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JP5151478B2 - 液晶配向処理剤及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向処理剤及びそれを用いた液晶表示素子 Download PDF

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JP5151478B2
JP5151478B2 JP2007517845A JP2007517845A JP5151478B2 JP 5151478 B2 JP5151478 B2 JP 5151478B2 JP 2007517845 A JP2007517845 A JP 2007517845A JP 2007517845 A JP2007517845 A JP 2007517845A JP 5151478 B2 JP5151478 B2 JP 5151478B2
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Description

本発明は、ラビン処理工程を経て作製される液晶表示素子に用いる液晶配向処理剤、それを用いた液晶配向膜及び液晶表示素子に関するものである。
液晶表示素子は、液晶分子が基板に形成された液晶配向膜で挟まれた構造をしており、液晶配向膜によって一定方向に配向した液晶分子が、電圧によって応答することを利用した表示素子である。この液晶配向膜は、一般的には電極付き基板上に形成されたポリイミド膜の表面を、レーヨンやナイロン布によってその表面に圧力をかけて擦る、いわゆる“ラビング処理”を行って作製されている。このラビング処理により液晶分子の配向方向及びプレチルト角が決定されるため、ラビング処理は非常に重要な工程となる。
電極付き基板上にポリイミド膜を形成させる手段としては、ポリアミック酸などのポリイミド前駆体の溶液を使用して塗膜を作成し、基板上でイミド化させる方法と、あらかじめイミド化させてある可溶性ポリイミドを含む溶液を使用する方法とがある。
このうち、可溶性ポリイミドを含む溶液を使用する方法は、比較的低温の焼成であっても、液晶配向膜としたときの特性が良好なポリイミド膜を形成させることが可能である。その反面、形成された膜の強度が低く、ラビング処理により膜表面への傷や膜の剥離が起き易いという問題がある。液晶配向膜表面の傷や剥離は、液晶表示素子とした際に表示不良が起こる原因となるため重要な問題である。
また、ポリイミドは、ポリアミック酸などと比較して一般的に有機溶媒への溶解性に劣るため、あらかじめイミド化させると、均一な塗膜の形成が困難となったり、更には液晶配向処理剤に常用される溶媒に対して不溶化し、液晶配向処理剤中に含有させることができなくなることも起こりうる。よって、液晶配向処理剤中に含有させる可溶性ポリイミドの溶解性も重要となる。
ラビング処理により膜表面への傷や膜の剥離が起き易いという問題に対しては、ポリオルガノシロキサン誘導体を添加する方法(例えば特許文献1参照)や、ジアジド化合物を添加する方法(例えば特許文献2参照)などが提案されている。
特開平6−308502号公報 特開平7−120769号公報
本発明は上記の状況を鑑み、液晶配向処理剤として使用するために、ポリイミドの有機溶媒への溶解性の向上と、そこから得られる塗膜の耐ラビング性の改善とを課題としてなされたものである。即ち、本発明は、ラビング処理による膜表面への傷や膜の剥離が起き難い、可溶性ポリイミド系の液晶配向処理剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明の要旨は以下の記載のとおりである。
(1)電極付き基板上に塗布、焼成し、ラビング処理して液晶配向膜とするための液晶配向処理剤であって、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化した可溶性ポリイミドを含有し、上記ジアミン成分中には、下記一般式[1]で表されるジアミンを含有し、かつ上記テトラカルボン酸二無水物成分中には、脂環式構造または脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
Figure 0005151478

(2)ジアミン成分が、上記一般式[1]で表されるジアミンを20モル%以上含む前項(1)に記載の液晶配向処理剤。
3)テトラカルボン酸二無水物成分中には、脂環式構造または脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物と、芳香族テトラカルボン酸二無水物とを含有する前項(1)又は(2)に記載の液晶配向処理剤。
4)脂環式構造または脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物と、芳香族テトラカルボン酸二無水物との比率が、前者/後者のモル比で90/10〜50/50で含有する前項(3)に記載の液晶配向処理剤。
(5)前記ポリアミック酸が、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを1:0.8〜1:1.2のモル比で反応させて得られたものである前項(1)〜(4)のいずれかにに記載の液晶配向処理剤。
(6)塩基性触媒および酸無水物の共存下にポリアミック酸をイミド化反応させて得られた可溶性ポリイミドを含有してなる前項(1)〜(5)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
(7)可溶性ポリイミドの重量平均分子量が、2,000〜200,000である前項(1)〜(6)のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
(8)可溶性ポリイミドのイミド化率が、40%以上である前(6)に記載の液晶配向処理剤。
(9)前項(1)〜(8)のいずれかに記載の液晶配向処理剤を電極付き基板上に塗布、焼成し、ラビング処理して得られる液晶配向膜。
(10)前項(9)に記載の液晶配向膜を用いて得られる液晶表示素子。
本発明の液晶配向処理剤は、低温焼成であっても液晶配向膜としたときの特性が良好なポリイミド膜を形成させることができる。さらに、ラビング処理時の膜表面への傷や膜の剥離が少ないので、表示不良が少なく良好な特性を有する液晶表示素子を得ることができる。
また、本発明の液晶配向処理剤に含有される可溶性ポリイミドは、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチロラクトンなど、液晶配向処理剤に常用される溶媒に対する溶解性が向上している。したがって、可溶性ポリイミドに使用できるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分との組み合わせの選択範囲が広い。よって、これらを適宜選択することにより、ラビング耐性以外の特性にも優れた液晶配向処理剤を提供することができる。
本発明に関して以下に詳細に述べる。
本発明の液晶配向処理剤は、電極付き基板上に塗布、焼成し、ラビング処理して液晶配向膜とするために使用される組成物である。そして、本発明の液晶配向処理剤には、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化した可溶性ポリイミドを含有し、該ジアミン成分中には、下記一般式[1]で表されるジアミンを含有することを特徴とする。
Figure 0005151478
一般式[1]で表されるジアミンにおいて、ベンゼン環上の各置換基の位置は特に限定されないが、2つのアミノ基の位置関係はメタまたはパラが好ましい。以下にこのジアミンの好ましい具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。
Figure 0005151478
本発明において、可溶性ポリイミドの原料となるジアミン成分は、一般式[1]で表されるジアミンのみであってもよく、その他のジアミンから選ばれる1種または2種以上とを組み合わせてもよい。可溶性ポリイミドを得るためのジアミン成分として、一般式[1]で表されるジアミンを含有させることで、塗膜をラビング処理する時の膜表面への傷や膜の剥離といった問題が改善され、また、同時にポリイミドの有機溶媒に対する溶解性が高くなる。
上記のジアミン成分において、一般式[1]で表されるジアミンは、ジアミン成分全体の20mol%以上含有することが好ましく、より好ましくは40mol%以上であり、特には50mol%以上である。一般式[1]で表されるジアミンの比率が多くなるほど、ラビング処理時の配向膜表面の傷や膜の剥離を抑制する効果が高くなり、また、可溶性ポリイミドの有機溶媒に対する溶解性も高くなる。
上記のジアミン成分において、一般式[1]で表されるジアミンと組み合わせて使用するジアミンは、特に限定されない。その具体例を示すならば以下の通りである。
脂環式ジアミンの例としては、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンの例としては、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、2,5−ジアミノ−p−キシレン、1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,4−ジアミノ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビベンジル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’―ジメチルジフェニルメタン、2,2’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)安息香酸、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビベンジル、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)メチル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、α、α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,4−ジアミノジフェニルアミン、1,8−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,3−ジアミノピレン、1,6−ジアミノピレン、1,8―ジアミノピレン、2,7−ジアミノフルオレン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェニル)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェニル)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェニル)デカン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、ジ(4−アミノフェニル)プロパン−1,3−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ブタン−1,4−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ペンタン−1,5−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘキサン−1,6−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘプタン−1,7−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)オクタン−1,8−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ノナン−1,9−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)デカン−1,10−ジオエート、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕プロパン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ブタン、1,5−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ペンタン、1,6−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘキサン、1,7−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ヘプタン、1,8−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕オクタン、1,9−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ノナン、1,10−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕デカンなどが挙げられる。
複素環式ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,7−ジアミノジベンゾフラン、3,6−ジアミノカルバゾール、2,4−ジアミノ−6−イソプロピル−1,3,5−トリアジン、2,5−ビス(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
脂肪族ジアミンの例としては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−4,4−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−3−メチルヘプタン、1,9−ジアミノ−5−メチルヘプタン、1,12−ジアミノドデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタンなどが挙げられる。
また、液晶のプレチルト角を高める為に、特定の置換基を有するジアミンを組み合わせて使用することもできる。液晶のプレチルト角を高めることができる置換基としては、長鎖アルキル基、パーフルオロアルキル基、芳香族環状基、脂肪族環状基、およびこれらを組み合わせた置換基、ステロイド骨格基などが知られている。以下にこのような置換基を有するジアミンの具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。なお、以下に例示する構造においてjは5〜20の整数を表し、kは1〜20の整数を表す。
Figure 0005151478
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本発明において、可溶性ポリイミドの原料となるテトラカルボン酸二無水物成分中に、脂環式構造または脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含有する。
本発明において、テトラカルボン酸二無水物成分中に、脂環式構造または脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含有する場合、高イミド化率のポリイミドであっても比較的溶解性の高い可溶性ポリイミドが得やすく、また、液晶セルの電圧保持率を高くできる。脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸−3,4:7,8−二無水物、ヘキサシクロ[6.6.0.12,7.03,6.19,14.010,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸−4,5:11,12−二無水物などが挙げられる。
更に、上記に加えて芳香族テトラカルボン酸二無水物を併用すると、液晶配向性が向上し、かつ液晶セルの蓄積電荷を低減させることができる。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
可溶性ポリイミドの溶解性、液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷などの各特性のバランスを考慮するならば、脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物と、芳香族テトラカルボン酸二無水物との比率は、前者/後者のモル比で90/10〜50/50が好ましく、より好ましくは80/20〜60/40である。
本発明の液晶配向処理剤に用いられる可溶性ポリイミドは、上記したジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化したポリイミドである。ここで、ポリアミック酸を得る反応は、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で混合させることで可能となる。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で混合させる方法としては、(1)ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物成分をそのまま、または有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、(2)テトラカルボン酸二無水物成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、(3)テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられる。また、テトラカルボン酸二無水物成分またはジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、これら複数種の成分をあらかじめ混合した状態で重合反応させてもよく、個別に順次重合反応させてもよい。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を有機溶剤中で重合反応させる際の温度は、通常0〜150℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは10〜80℃である。温度が高い方が重合反応は早く終了するが、高すぎると高分子量の重合体が得られない場合がある。
また、重合反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となる。好ましい濃度は1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%である。重合反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加しても構わない。
上記反応に用いられる有機溶媒は、生成したポリアミック酸が溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。これらは単独でも、また混合して使用してもよい。さらに、ポリアミック酸を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。
また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
ポリアミック酸の重合反応に用いるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の比率は、モル比で1:0.8〜1:1.2であることが好ましく、このモル比が1:1に近いほど得られるポリアミック酸の分子量は大きくなる。このポリアミック酸の分子量を制御することで、イミド化後に得られる可溶性ポリイミドの分子量を調整することができる。
本発明の液晶配向処理剤に含有される可溶性ポリイミドの分子量は特に限定されないが、塗膜の強度と液晶配向処理剤としての取り扱いのしやすさの観点から、重量平均分子量で2,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000である。
上記のようにして得られたポリアミック酸のイミド化は、有機溶媒中において、塩基性触媒と酸無水物の存在下で1〜100時間攪拌することにより可能である。
塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは、反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができる。中でも無水酢酸は、イミド化終了後に、得られたポリイミドの精製が容易となるので好ましい。有機溶媒としては前述したポリアミック酸重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。
可溶性ポリイミドのイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することにより制御することができる。このときの塩基性触媒の量はアミック酸基の0.2〜10倍モルが好ましく、より好ましくは0.5〜5倍モルである。また、酸無水物の量はアミック酸基の1〜30倍モルが好ましく、より好ましくは1〜10倍モルである。反応温度は−20〜250℃が好ましく、より好ましくは0〜180℃である。
本発明の液晶配向処理剤に含有される可溶性ポリイミドのイミド化率は特に限定されないが、40%以上であることが好ましく、高い電圧保持率を得るためには60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上である。
このようにして得られた可溶性ポリイミドの溶液内には、添加した触媒などが残存しているので、可溶性ポリイミドを回収・洗浄してから本発明の液晶配向処理剤に用いることが好ましい。
可溶性ポリイミドの回収は、イミド化後の溶液を攪拌している貧溶媒に投入し、ポリイミドを析出させた後にろ過することで可能である。このときの貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセロソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼンなどを挙げることができる。回収した可溶性ポリイミドの洗浄も、この貧溶媒で行うことができる。
このようにして回収・洗浄したポリイミドは、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱乾燥して粉末とすることができる。
本発明の液晶配向処理剤の調製方法は特に限定されない。その一例を挙げるならば、上記のようにして得られた可溶性ポリイミドの粉末を、有機溶媒に再溶解させてポリイミド溶液とし、次いで、所望の濃度まで希釈する方法などである。この希釈工程において、基板への塗布性を制御する為の溶媒組成の調整や、塗膜の特性を改善する為の添加物の追加などを行うことができる。更には、上記とは異なる構造の可溶性ポリイミドの溶液や、ポリアミック酸の溶液と混合したり、他の樹脂成分を添加してもよい。
液晶配向処理剤中の可溶性ポリイミドの濃度は、形成させようとする液晶配向膜の厚みや、他の固形分の含有量によっても異なるが、良好な液晶配向膜を形成させるために、1〜10重量%が好ましく、特には3〜10重量%が好ましい。
ポリイミド粉末を再溶解させるための有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
基板への塗布性を制御する為に加える溶媒としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどが挙げられる。これらの溶媒には、単独では可溶性ポリイミドを溶解させることができない溶媒も含まれるが、ポリイミドが析出しない範囲であれば、本発明の液晶配向処理剤に混合することができる。特に、低表面張力を有する溶媒を適度に混合させることにより、基板への塗布時に塗膜均一性が向上することが知られており、本発明の液晶配向処理剤においても好適に用いられる。
塗膜の特性を改善する為の添加物としては、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらシランカップリング剤の添加により、基板に対する塗膜の密着性を更に向上させることができる。
本発明の液晶配向処理剤の固形分濃度は、形成させようとする液晶配向膜の厚みの設定によって適宜変更することができるが、1〜10重量%とすることが好ましい。1重量%未満では均一で欠陥のない塗膜を形成させることが困難となり、10重量%よりも多いと溶液の保存安定性が悪くなる場合がある。
以上のようにして得られた液晶配向処理剤は、基板に塗布する前に濾過することが好ましい。
本発明の液晶配向処理剤は、基板に塗布し、乾燥、焼成することで塗膜とすることができ、この塗膜面をラビング処理することにより、液晶配向膜として使用される。
この際、用いる基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができる。このように、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミ等の光を反射する材料も使用できる。
液晶配向処理剤の塗布方法としては、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などが挙げられる。生産性の面から工業的にはフレキソ印刷法が広く用いられており、本発明の液晶配向処理剤においても好適に用いられる。
液晶配向処理剤を塗布した後の乾燥の工程は、必ずしも必要とされない。しかし、塗布後から焼成までの時間が基板ごとに一定していない場合や、塗布後ただちに焼成されない場合には、乾燥工程を含める方が好ましい。この乾燥は、基板の搬送等により塗膜形状が変形しない程度に溶媒が蒸発していればよく、その乾燥手段については特に限定されない。具体例を挙げるならば、50〜150℃、好ましくは80〜120℃のホットプレート上で、0.5〜30分、好ましくは1〜5分乾燥させる方法がとられる。
液晶配向処理剤を塗布した基板の焼成は、100〜350℃の任意の温度で行うことができる。好ましくは150℃〜300℃であり、さらに好ましくは180℃〜250℃である。液晶配向処理剤中にアミック酸基が存在する場合は、この焼成温度によってアミック酸からイミドへの転化率が変化するが、本発明の液晶配向処理剤は、必ずしも100%イミド化させる必要は無い。ただし、液晶セル製造工程で必要とされる、シール剤硬化などの熱処理温度より、10℃以上高い温度で焼成することが好ましい。
焼成後の塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合がある。好ましくは10〜200nm、より好ましくは50〜100nmである。
上記のようにして基板上に形成された塗膜面のラビング処理は、既存のラビング装置を使用することができる。この際のラビング布の材質としては、コットン、レーヨン、ナイロンなどが挙げられる。
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向処理剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを液晶表示素子としたものである。
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された1対の基板を、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmのスペーサーを挟んで、ラビング方向が0〜270°の任意の角度となるように設置して周囲をシール剤で固定し、液晶を注入して封止する方法が一般的である。
液晶封入の方法については特に制限されず、作製した液晶セル内を減圧にした後液晶を注入する真空法、液晶を滴下した後封止を行う滴下法などが例示できる。
このようにして得られた液晶表示素子は、ラビング処理時に発生する液晶配向膜の傷や膜の剥離に伴う表示不良が軽減され、かつ信頼性の高い液晶表示デバイスとすることができる。また、TN液晶表示素子、STN液晶表示素子、TFT液晶表示素子、OCB液晶表示素子、更には、横電界型の液晶表示素子など、種々の方式の表示素子に好適に用いられる。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例または比較例で使用する略号の説明
<テトラカルボン酸二無水物>
CBDA: 1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TDA: 3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物
BODA: ビシクロ[3,3,0]−オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物
PMDA: ピロメリット酸二無水物
<ジアミン>
2,4−DAA: 2,4−ジアミノ−N,N−ジアリルアニリン
p−PDA: p−フェニレンジアミン
PCH7AB: 4−{4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)フェノキシ}−1,3−ジアミノベンゼン
C12DAB: 4−ドデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
C18DAB: 4−オクタデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
4−ABA: 4−アミノベンジルアミン
DDM: 4,4’−ジアミノジフェニルメタン
C14DAB: 4− テトラデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
3−ABA: 3−アミノベンジルアミン
<有機溶媒>
NMP: N−メチル−2−ピロリドン
γBL: γ−ブチロラクトン
DPM: ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
<構造式>
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<分子量の測定>
可溶性ポリイミドの分子量は、該ポリイミドをGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量と重量平均分子量を算出した。
GPC装置:センシュウ科学社製 (SSC−7200)
カラム:Shodex社製 (KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10ml/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、およびポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
<イミド化率の測定>
可溶性ポリイミドのイミド化率は、該ポリイミドをd−DMSO(ジメチルスルホキシド−d)に溶解させ、H−NMRを測定し、イミド化せずに残存しているアミド酸基の比率をプロトンピークの積算値の比から求め算出した。
(実施例1)
テトラカルボン酸二無水物成分として TDA 30.03g(0.100mol)、ジアミン成分として p−PDA 7.57g(0.070mol)及び 2,4−DAA 6.10g(0.030mol)を用い、NMP 174.80g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液15.09gに、NMP 25.67gを加えて希釈し、無水酢酸2.29gとピリジン0.97gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール154.1ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は9,508、重量平均分子量は19,629であった。また、イミド化率は97%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 2.02gに、γBL 18.18gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 6.73g、DPM 6.73gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
<ラビング耐性の評価>
上記の液晶配向処理剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面をロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数500rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.3mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。
この液晶配向膜の膜表面を共焦点レーザー顕微鏡にて2000倍で観察したところ、傷や膜の剥離は見られなかった。
なお、膜表面の観察には、レーザーテック社製リアルタイム走査型レーザー顕微鏡1LM21Dを使用した。
(実施例2)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 11.53g(0.059mol)及び TDA 18.02g(0.060mol)、ジアミン成分として 4−ABA 11.73g(0.096mol)及び 2,4−DAA 4.88g(0.024mol)を用い、NMP 261.60g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液27.47gに、NMP 41.60gを加えて希釈し、無水酢酸11.84gとピリジン5.50gを加え、35℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール259.9ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は13,379、重量平均分子量は32,132であった。また、イミド化率は79%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 1.82gに、γBL 16.38gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 6.07g、DPM 6.07gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行ったところ、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(比較例1)
テトラカルボン酸二無水物成分として TDA 30.03g(0.100mol)、ジアミン成分として p−PDA 10.81g(0.100mol)を用い、NMP 163.40g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液15.09gに、NMP 25.67gを加えて希釈し、無水酢酸2.29gとピリジン0.97gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール154.1ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は7,424、重量平均分子量は18,681であった。また、イミド化率は96%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 2.02gに、γBL 18.18gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 6.73g、DPM 6.73gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、比較のための液晶配向処理剤とした。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行ったところ、液晶配向膜の表面に若干の傷が観察され、実施例1または実施例2の液晶配向処理剤から得られた塗膜よりも耐ラビング性に劣ることが確認された。
(比較例2)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 11.30g(0.058mol)及び TDA 18.02g(0.060mol)、ジアミン成分として 4−ABA 14.66g(0.120mol)を用い、NMP 249.20g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液26.01gに、NMP 39.63gを加えて希釈し、無水酢酸11.84gとピリジン5.50gを加え、35℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール249.3ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は11,824、重量平均分子量は29,019であった。また、イミド化率は81%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 1.85gに、γBL 16.65gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 6.17g、DPM 6.17gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、比較のための液晶配向処理剤とした。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行ったところ、液晶配向膜の表面に若干の傷が観察され、実施例1または実施例2の液晶配向処理剤から得られた塗膜よりも耐ラビング性に劣ることが確認された。
(実施例3)
テトラカルボン酸二無水物成分として TDA 42.04g(0.140mol)、ジアミン成分として p−PDA 7.57g(0.070mol)及び 2,4−DAA 14.20g(0.070mol)を用い、NMP 255.40g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液13.39gに、NMP 22.85gを加えて希釈し、無水酢酸1.95gとピリジン0.83gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール136.6ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は10,522、重量平均分子量は25,220であった。また、イミド化率は97%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 1.77gに、γBL 15.93gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 5.90g、DPM 5.90gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例1よりも強ラビングである、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.5mmとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(実施例4)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 19.41g(0.099mol)、ジアミン成分として 2,4−DAA 20.33g(0.100mol)を用い、NMP 159.00g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液25.13gに、NMP 38.79gを加えて希釈し、無水酢酸3.94gとピリジン1.68gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール243.4ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は10,122、重量平均分子量は21,004であった。また、イミド化率は97%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 2.50gに、γBL 22.50gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 8.33g、DPM 8.33gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(比較例3)
比較例1で調製した液晶配向剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜の表面に無数の傷が確認された。
(比較例4)
テトラカルボン酸二無水物成分として TDA 30.03g(0.100mol)、ジアミン成分として p−PDA 5.14g(0.048mol)及び DDM 9.91g(0.050mol)を用い、NMP 181.40g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液20.82gに、NMP 21.47gを加えて希釈し、無水酢酸7.61gとピリジン3.54gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール154.1ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は9,508、重量平均分子量は19,629であった。また、イミド化率は98%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 2.05gに、γBL 18.45gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 6.83g、DPM 6.83gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、比較のための液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜の表面に無数の傷が確認された。
(比較例5)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 22.59g(0.115mol)、ジアミン成分として 4−ABA 14.66g(0.120mol)を用い、NMP 211.10g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液21.22gに、NMP 22.74gを加えて希釈し、無水酢酸10.12gとピリジン4.71gを加え、50℃で反応させたところ、30分でゲル化してしまい、可溶性ポリイミドを得ることができなかった。
そこで、再度ポリアミック酸溶液の希釈から行ったが、今度はイミド化反応温度を35℃に下げ3時間反応させた。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール205.7ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は12,994、重量平均分子量は30,081であった。また、イミド化率は78%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 1.64gに、γBL 14.76gを加え、50℃で24時間攪拌したが、攪拌終了時点で未溶解のポリイミドが残っており、実施例4と比較して可溶性ポリイミドの溶解性が劣ることが確認された。
(実施例5)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 14.12g(0.072mol)及び TDA 22.52g(0.075mol)、ジアミン成分として p−PDA 8.11g(0.075mol)及び 2,4−DAA 15.25g(0.075mol)を用い、NMP 240.00g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液21.48gに、NMP 37.67gを加えて希釈し、無水酢酸3.62gとピリジン1.54gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール225.1ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は13,735、重量平均分子量は28,273であった。また、イミド化率は97%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 2.75gに、γBL 24.75gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 9.17g、DPM 9.17gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(実施例6)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 11.11g(0.057mol)及び TDA 18.02g(0.060mol)、ジアミン成分として p−PDA 6.49g(0.060mol)、PCH7AB 2.28g(0.006mol)及び 2,4−DAA 10.98g(0.054mol)を用い、NMP 195.30g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液20.77gに、NMP 30.82gを加えて希釈し、無水酢酸3.11gとピリジン1.32gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール196.1ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は8,550、重量平均分子量は16,005であった。また、イミド化率は98%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 2.31gに、γBL 20.79gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 7.70g、DPM 7.70gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(実施例7)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 9.41g(0.048mol)及び PMDA 10.91g(0.050mol)、ジアミン成分として 2,4−DAA 20.33g(0.100mol)を用い、NMP 162.60g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液17.10gに、NMP 21.40gを加えて希釈し、無水酢酸2.30gとピリジン0.98gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール146.2ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの黄白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は11,673、重量平均分子量は23,037であった。また、イミド化率は94%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 2.50gに、γBL 22.50gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 8.33g、DPM 8.33gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(実施例8)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 19.89g(0.101mol)及び PMDA 5.67g(0.026mol)、ジアミン成分として 4−ABA 6.35g(0.052mol)及び 2,4−DAA 15.86g(0.078mol)を用い、NMP 191.10g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液17.39gに、NMP 27.30gを加えて希釈し、無水酢酸2.98gとピリジン1.27gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール171.3ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの黄白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は11,471、重量平均分子量は28,400であった。また、イミド化率は94%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 2.05gに、γBL 18.45gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 7.70g、DPM 7.70gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(実施例9)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 26.67g(0.136mol)及び PMDA 13.09g(0.060mol)、ジアミン成分として 4−ABA 4.89g(0.040mol)、C12DAB 17.55g(0.060mol)及び 2,4−DAA 20.33g(0.100mol)を用い、NMP 330.10g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液25.82gに、NMP 37.6gを加えて希釈し、無水酢酸3.73gとピリジン1.59gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール214.0ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの黄白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は12,194、重量平均分子量は27,273であった。また、イミド化率は94%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 2.76gに、γBL 24.84gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 9.20g、DPM 9.20gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(実施例10)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 18.36g(0.094mol)及び PMDA 5.23g(0.024mol)、ジアミン成分として C18DAB 4.52g(0.012mol)及び 2,4−DAA 21.96g(0.108mol)を用い、NMP 200.30g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液20.14gに、NMP 29.18gを加えて希釈し、無水酢酸2.88gとピリジン1.23gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール187.0ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの黄白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は12,941、重量平均分子量は30,624であった。また、イミド化率は95%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 2.35gに、γBL 21.15gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 7.83g、DPM 7.83gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(実施例11)
テトラカルボン酸二無水物成分として TDA 15.02g(0.050mol)及び PMDA 10.69g(0.049mol)、ジアミン成分として 2,4−DAA 20.33g(0.100mol)を用い、NMP 184.10g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液14.80gに、NMP 23.35gを加えて希釈し、無水酢酸2.02gとピリジン0.86gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール143.6ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの黄白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は12,666、重量平均分子量は25,378であった。また、イミド化率は94%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 1.91gに、γBL 17.19gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 6.37g、DPM 6.37gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(実施例12)
テトラカルボン酸二無水物成分として BODA 12.51g(0.050mol)及び PMDA 10.25g(0.047mol)、ジアミン成分として 2,4−DAA 20.33g(0.100mol)を用い、NMP 169.70g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液13.30gに、NMP 15.13gを加えて希釈し、無水酢酸2.02gとピリジン0.86gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール109.6ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの黄白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は11,727、重量平均分子量は26,165であった。また、イミド化率は49%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 1.82gに、γBL 16.38gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 6.07g、DPM 6.07gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
(実施例13)
テトラカルボン酸二無水物成分として CBDA 17.34g(0.088mol)及び PMDA 8.51g(0.039mol)、ジアミン成分として 3−ABA 6.35g(0.052mol)、C14DAB 12.50g(0.039mol)及び 2,4−DAA 7.93g(0.039mol)を用い、NMP 263.11g中、室温で24時間反応させポリアミック酸溶液を得た。
このポリアミック酸溶液20.06gに、NMP 34.7gを加えて希釈し、無水酢酸2.89gとピリジン1.23gを加え、50℃で3時間反応させてイミド化した。
この反応溶液を室温程度まで冷却後、メタノール206.0ml中に投入し、沈殿した固形物を回収した。さらに、この固形物をメタノールで数回洗浄した後、100℃で減圧乾燥して、可溶性ポリイミドの黄白色粉末を得た。この可溶性ポリイミドの数平均分子量は9,442、重量平均分子量は24,660であった。また、イミド化率は90%であった。
上記で得られた可溶性ポリイミド 1.55gに、γBL 13.95gを加え、50℃で24時間攪拌した。攪拌終了時点で可溶性ポリイミドは完全に溶解していた。この溶液を室温程度まで冷却後、γBL 5.11g、DPM 5.17gを加えて充分に攪拌し、可溶性ポリイミドが6重量%、DPMが20重量%の溶液とし、本発明の液晶配向処理剤を得た。
この液晶配向処理剤を用い、実施例1と同様にラビング耐性の評価を行った。ただし、ラビング条件は、実施例3と同じ強ラビングとした。その結果、液晶配向膜には傷や膜の剥離は見られなかった。
<電圧保持率、及び蓄積電荷の評価>
実施例3〜13で調製した液晶配向処理剤、および比較例1、比較例4で調製した液晶配向処理剤について、以下のようにして液晶セルの電圧保持率測定、及び残留DC測定による評価を行った。
液晶配向処理剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。この塗膜面をロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.5mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。
この基板を2枚用意し、その1枚の液晶配向膜面上に6μmのスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷し、もう1枚の基板を液晶配向膜面が向き合いラビング方向が直行するようにして張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−2003(メルク・ジャパン社製)を注入し、注入口を封止して、ツイストネマティック液晶セルを得た。
このツイストネマティック液晶セルに、23℃の温度下で4Vの電圧を60μs間印加し、16.67ms後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率として計算した。また、80℃の温度下でも同様の測定をした。
なお、電圧保持率の測定には東陽テクニカ社製、VHR−1電圧保持率測定装置を使用した。
次いで、電圧保持率を測定した液晶セルに、23℃の温度下で直流3Vの電圧を重畳した±3V/30Hzの矩形波を60分間印加し、直流3Vを切った直後の液晶セル内に残る残留DC電圧を光学的フリッカー消去法で測定した。
この評価結果を以下に示す。
液晶配向処理剤 電圧保持率(23℃、80℃) 残留DC電圧
実施例3で調製した 99.6%、94.3% 0.5V
実施例4で調製した 99.7%、97.1% 0.3V
実施例5で調製した 99.7%、96.7% 0.4V
実施例6で調製した 99.6%、95.2% 0.5V
実施例7で調製した 99.5%、94.8% 0.0V
実施例8で調製した 99.6%、95.4% 0.0V
実施例9で調製した 99.2%、94.4% 0.0V
実施例10で調製した 99.2%、94.6% 0.0V
実施例11で調製した 99.5%、93.2% 0.0V
実施例12で調製した 99.2%、93.5% 0.0V
実施例13で調整した 99.2%、93.9% 0.0V
比較例1で調製した 99.1%、89.7% 0.9V
比較例4で調製した 99.2%、90.4% 0.6V
以上の評価結果より、テトラカルボン酸二無水物成分に、脂環式構造または脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含むことで良好な電圧保持率を示すこと、脂環式構造または脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物と、芳香族テトラカルボン酸二無水物との両者を含むことで残留DC電圧も低いことが確認された。
本発明による液晶配向処理剤は、可溶性ポリイミドを含有し、かつラビング処理時の膜表面への傷や膜の剥離が起き難い液晶配向膜を得ることができる。そのため、本発明の液晶配向処理剤を用いて作製した液晶表示素子は、信頼性の高い液晶表示デバイスとすることができる。また、TN液晶表示素子、STN液晶表示素子、TFT液晶表示素子、OCB液晶表示素子、更には、横電界型の液晶表示素子など、種々の方式による表示素子に好適に用いられる。

なお、2005年5月25日に出願された日本特許出願2005−152720号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (10)

  1. 電極付き基板上に塗布、焼成し、ラビング処理して液晶配向膜とするための液晶配向処理剤であって、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを反応させて得られるポリアミック酸をイミド化した可溶性ポリイミドを含有し、上記ジアミン成分中には、下記一般式[1]で表されるジアミンを含有し、かつ上記テトラカルボン酸二無水物成分中には、脂環式構造または脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含有することを特徴とする液晶配向処理剤。
    Figure 0005151478
  2. ジアミン成分が、上記一般式[1]で表されるジアミンを20モル%以上含む請求項1に記載の液晶配向処理剤。
  3. テトラカルボン酸二無水物成分中には、脂環式構造または脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物と、芳香族テトラカルボン酸二無水物とを含有する請求項1又は2に記載の液晶配向処理剤。
  4. 脂環式構造または脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物と、芳香族テトラカルボン酸二無水物との比率が、前者/後者のモル比で90/10〜50/50で含有する請求項3に記載の液晶配向処理剤。
  5. 前記ポリアミック酸が、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを1:0.8〜1:1.2のモル比で反応させて得られたものである請求項1〜4のいずれかにに記載の液晶配向処理剤。
  6. 塩基性触媒および酸無水物の共存下にポリアミック酸をイミド化反応させて得られた可溶性ポリイミドを含有してなる請求項1〜5のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
  7. 可溶性ポリイミドの重量平均分子量が、2,000〜200,000である請求項1〜6のいずれかに記載の液晶配向処理剤。
  8. 可溶性ポリイミドのイミド化率が、40%以上である請求項6に記載の液晶配向処理剤。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の液晶配向処理剤を電極付き基板上に塗布、焼成し、ラビング処理して得られる液晶配向膜。
  10. 請求項9に記載の液晶配向膜を用いて得られる液晶表示素子。
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