JP5149112B2 - 自動二輪車のスクリーン - Google Patents
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Description
この発明によれば、カウリングと可動ウインドスクリーンとの間に、車体後方側に向かって傾斜する導風板を設け、この導風板を、カウリングと可動ウインドスクリーンとの間からの走行風を可動ウインドスクリーンの後面に沿って流すように傾斜角度を調整自在にしたので、走行風を可動ウインドスクリーンの後面に沿って適切に流すことができる。
また、上記構成において、前記連結機構(30)は、前記導風板(20)に連結されて前記可動ウインドスクリーン(51)の傾斜角度に応じて前記導風板(20)の傾斜角度を変化させる連結部材(31)を備え、この連結部材(31)を、前記導風板(20)の下方に配設するようにしてもよい。この構成によれば、導風板の下方に連結部材を配設するので、連結部材が可動ウインドスクリーンと導風板との間からの走行風の流れを妨げない。このため、走行風を導風板の前面に沿ってより滑らかに流すことができ、空気抵抗低減及び風切り音の低減が可能になる。
この場合、前記連結部材(31)は、前記導風板(20)の下方を前後方向に沿って延びるガイドアーム(181)を備え、このガイドアーム(181)を前記可動ウインドスクリーン(50)に連結されるステー(97)の可動に応じて上下に揺動させ、このガイドアーム(50)の上下の揺動により前記導風板(20)の傾斜角度を変化させるようにしてもよい。この構成によれば、導風板の下方を前後方向に沿って延びるガイドアームを上下に揺動させて導風板の傾斜角度を変化させるので、ガイドアームが可動ウインドスクリーンと導風板との間からの走行風の流れを妨げず、走行風を導風板の前面に沿って滑らかに流すことができる。
また、上記構成において、前記導風板(20)は、前記可動ウインドスクリーン(51)に比して上下長さが短く、前記可動ウインドスクリーン(51)よりも車幅方向に幅広であるように形成してもよい。
また、導風板の傾斜角度を、前記可動ウインドスクリーンの傾斜角度が大のときに大に調整し、前記可動ウインドスクリーンの傾斜角度が小のときに小に調整したため、導風板の傾斜角度と可動ウインドスクリーンの傾斜角度とを略揃えて走行風を可動ウインドスクリーンの後面に沿って流すことができる。
また、導風板を可動ウインドスクリーンに連結する連結機構が、可動ウインドスクリーンの傾斜角度に応じて導風板の傾斜角度を変化させるため、可動ウインドスクリーンに導風板を連動させる構成を簡易にできる。
また、導風板は、その下端をカウリングの表面近傍に位置させた状態を保持しつつカウリングに揺動自在に連結され、カウリングの表面に沿って流れる走行風を導風板の前面に沿って車体後方へ流すようにしたため、カウリングの表面に沿って流れる走行風を導風板の前面に効率よく導くことができる。
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る自動二輪車の前部を示す斜視図である。
この自動二輪車は、車体の前上部を覆うアッパカウリング41を備え、アッパカウリング41の前部には、ヘッドライト50が配置され、アッパカウリング41の前上部には、透明樹脂材料で形成されたウインドスクリーン51が配置されている。
このアッパカウリング41は、車体前方からの走行風を運転者に直接当てずに運転者の周囲に整流して流すように車体後方へ行くに従って車幅方向及び上下方向に滑らかに拡がる流線形状に形成され、ウインドスクリーン51は、上方に行くに従って幅狭となる略台形形状に形成されている。このウインドスクリーン51は、後述する移動機構90によってその高さ及び傾斜角度を調整自在な可動ウインドスクリーンに構成されており、図1はウインドスクリーン51を低い位置(Lo位置)に移動した状態を示し、図2はウインドスクリーン51を高い位置(Hi位置)に移動した状態を示している。
また、図4(A)はウインドスクリーン51がLo位置のときの機構部分を示す図であり、図4(B)はウインドスクリーン51がHi位置のときの機構部分を示す図である。なお、図4(A)(B)では、後述するサブスクリーン20を省略して示している。
図3に示すように、ウインドスクリーン51は、車体後方に向かって傾斜して配置され、移動機構90によって、側面視で車体後方側へ僅かに膨らむ矢印y方向に沿って、その傾斜角度を変化させながら上下動可能に配設されている。
このウインドスクリーン51を矢印y方向に沿って移動させる移動機構90は、アッパカウリング41に取り付けられ、y方向に延びるガイド部(アジャストレールとも称する)91と、ガイド部91に移動自在に支持された可動部92と、ウインドスクリーン51と可動部92とを連結する連結部94とを備えている。
ガイド部91は左右一対あり、アッパカウリング41内側に支持されており、このガイド部91に摺動自在に支持される可動部92は、プッシュケーブル96を介してアッパカウリング41内側に配置された不図示の電動モータに連結され、この電動モータの駆動に基づきガイド部91に案内されつつ上下方向に移動する。
可動部固定側ステー97は、ほぼ長板状に形成されており、下端側(車体前方側)に形成され、図4(A)(B)に示すように、可動部92に対してねじ等の取付部材によって固定される孔部99及び切欠部100と、可動部固定側ステー97の長手方向において所定の間隔で設けられた第1凸部(固定部)101及び第2凸部(固定部)102とを備えている。このうち、第1凸部101は可動部固定側ステー97の長手方向ほぼ中央部に形成され、第2凸部102は可動部固定側ステー97の上端側(車体後方側)に形成されている。可動部固定側ステー97は、孔部99及び切欠部100を介して可動部92に固定されることにより、可動部92の移動に伴って移動する。
また、第1凹部106及び第2凹部107のそれぞれは上端側に向かってえぐられた係止部106A及び係止部107Aを有している。そして、これら係止部106A、107Aを有する第1、第2凹部106、107のそれぞれは、可動部固定側ステー97の第1、第2凸部101、102のそれぞれと係合可能となっている。更に、スクリーン固定側ステー98の長穴部105は、可動部固定側ステー97の第1、第2凸部101、102のそれぞれと係合可能となっている。
一方、スクリーン固定側ステー98を可動部固定側ステー97に対してHi位置(図4(B)参照)で固定する際には、可動部固定側ステー97の第1凸部101がスクリーン固定側ステー98の長穴部105の下端側と係合し、可動部固定側ステー97の第2凸部102がスクリーン固定側ステー98の第1凹部106の係止部106Aと係合する。このとき、スクリーン固定側ステー98の第2凹部107は何れとも係合していない。
このように、可動部固定側ステー97は、この可動部固定側ステー97に対してスクリーン固定側ステー98をほぼ傾斜方向の異なる2つの位置で固定可能な第1凸部101及び第2凸部102を有している。
サブスクリーン20は、その下端中央部21に背面側に突出する左右一対の軸挿通部21A、21Aを備え、これら軸挿通部21A、21Aが、アッパカウリング41の前上部に形成された凹部41Aの蓋を構成するバイザー25に設けられた左右一対の孔部25A、25Aに各々挿入される。このバイザー25は、アッパカウリング41に嵌め込まれてアッパカウリング41の表面部材の一部を構成し、このバイザー25の裏側には、上記軸挿通部21A、21Aの孔に連通する孔を備えた左右一対の軸受け部25B、25Bが突出しており、これらに単一のシャフト26を挿通し、該シャフト26の抜け止めを行うことによって、サブスクリーン20とバイザー25とが連結される。なお、図中、符号21Cは、バイザー25をアッパカウリング41に係止するための係止部である。
このサブスクリーン20の左右端部20L、20Rは、車体前上部に向かって若干屈曲されており、これによって車体前方からの走行風をサブスクリーン20の左右端部20L、20Rで車体後方に向けて斜め上方側に流すことができる。このため、サブスクリーン20の左右端部20L、20Rを屈曲しない構成に比して、走行風の一部を運転者の肩部より上方へ導いて運転者の肩部への風圧を適度に低減することができる。
詳述すると、この連結機構30は、ウインドスクリーン51及び可動部92を連結する可動部固定側ステー97とサブスクリーン20とを連結する左右一対のサブスクリーン連結用ステー(導風板連結用ステー)31を有している。
各サブスクリーン連結用ステー31は、車体後方側に向けて略斜め上方に延びる長孔部31Cを有するステー本体31Aと、このステー本体31Aの下縁から屈曲する屈曲板部31Bとを備え、屈曲板部31Bがサブスクリーン20にねじ等の取付部材によって固定されることによってステー本体31Aをサブスクリーン20から立設させて固定される。
このため、ウインドスクリーン51がLo位置とHi位置とのいずれの位置にあっても、或いは、その間の位置にあっても、アッパカウリング41とウインドスクリーン51との間からの走行風を、サブスクリーン20によってウインドスクリーン51の後面に沿って流すことができる。従って、ウインドスクリーン51と運転者との間の空間が負圧になることが防止される。
これにより、可動式のウインドスクリーン51の傾斜角度や高さを制限することなく、ウインドスクリーン51と運転者との間の空間が負圧になる事態を防止することができ、例えば、ウインドスクリーン51をより高く調整可能に構成する等の仕様変更を容易に行うことが可能になる。
しかも、このサブスクリーン20とウインドスクリーン51とを連結する連結機構30が、ウインドスクリーン51の傾斜角度に応じてサブスクリーン20の傾斜角度を変化させるので、ウインドスクリーン51とサブスクリーン20とを別々の機構で各々の傾斜角度を変更する場合に比して、部品点数低減といった構成の簡易化が可能であり、かつ、サブスクリーン20の傾斜角度をウインドスクリーン51の傾斜角度に容易に一致させることができる。
また、このサブスクリーン20をウインドスクリーン51より幅広に形成したので、ウインドスクリーン51とサブスクリーン20の双方で、走行風の整流や運転者への風圧低減を行うことができる。このため、整流効果や防風効果をより一層向上することができると共に、外観デザインの観点等からウインドスクリーン51を幅狭にする等の設計変更を行った場合でも、サブスクリーン20によって整流効果や防風効果を十分に担保することができ、ウインドスクリーン51の設計自由度やデザイン自由度を向上させることもできる。
図7乃至図10は、第2実施形態に係る自動二輪車のスクリーンを示している。
第2実施形態では、サブスクリーン20をウインドスクリーン51に連結する連結機構30が、図7に示すように、ウインドスクリーン51側に左右一対のサブスクリーンホルダ(以下、ホルダという)150を備え、このホルダ150を介してサブスクリーン20をウインドスクリーン51に連結している。
詳述すると、図7に示すように、ウインドスクリーン51には、左右一対の可動部固定側ステー97が取り付けられる。可動部固定側ステー97には、内側面から突出するボス部97Bが各々に設けられ、各ボス部97Bには、上記ホルダ150が各々挿通されて段付きボルト151が締結される。この場合、各ホルダ150は、ボス部97Bを軸にして回動自在(傾動自在)に支持される。
この左右一対の可動部固定側ステー97には、図8に示すように、断面L字形状の支持板153が、雄ねじ形状の第1凸部101及び第2凸部102を介してナット101A、102Bにより各々固定される。この左右一対の支持板153には、ウインドスクリーン51が複数のボルト155で固定され、これによってウインドスクリーン51と可動部固定側ステー97とが一体的に連結される。なお、この連結構造は第1実施形態と同じである。
これら転動体171〜173は、サブスクリーン連結用ステー31に形成された長孔部31Cに挿通される複数(本例では2個)の第1転動体171、172と、サブスクリーン連結用ステー31の上面31Dに当接する第2転動体173とで構成される。第1転動体171、172は、ホルダ部161から突出する軸部166、167に回転自在に支持され、第2転動体173は、ホルダ部161に付勢部材175を介して回転自在に支持されている。
付勢部材175は、ホルダ150とサブスクリーン連結用ステー31とを連結した場合に、転動体173が、サブスクリーン連結用ステー31の長手方向に延びる上面31Dに押し付けられるように第2転動体173を付勢するものであり、ばね線材を図9に示すように屈曲して形成される。
一方、ウインドスクリーン51がLo位置からHi位置(図10中、二点鎖線で示す)へ移動した場合には、ホルダ150(図10中、150’)が、ウインドスクリーン51(図10中、51’)と一体的に車体後方斜め上方向(ガイド部91の延びる方向)へ移動する。このため、ホルダ150が、サブスクリーン連結用ステー31(図10中、31’)の長孔部31C内を車体後側に移動しながら、該連結用ステー31を揺動中心(シャフト26(図7参照)の軸心に相当)を支点に起立させる。この連結用ステー31の起立に伴い、連結用ステー31が固定されたサブスクリーン20(図10中、20’)も起立し、サブスクリーン20の傾斜角度が大きくなる。これによって、第1実施形態と同様に、ウインドスクリーン51の傾斜角度とサブスクリーン20の傾斜角度とを常時同じ角度に保持することができる。
また、本実施形態では、サブスクリーンホルダ150が、複数の転動体171〜173を介してサブスクリーン連結用ステー31を摺動するので、摺動抵抗を小さくすることができる。
図11乃至図13は、第3実施形態に係る自動二輪車のスクリーンを示している。ここで、図11は、スクリーンを周辺構成と共に示す分解斜視図であり、図12は、スクリーンの側断面図であり、図13は、図12のXIII−XIII断面図である。
第3実施形態では、図11及び図12に示すように、サブスクリーン20の下方を前後方向に沿って延びる左右一対のガイドアーム181、181を備え、このガイドアーム181、181によりウインドスクリーン51の可動に応じてサブスクリーン20の傾斜角度を変化させる機構、つまり、サブスクリーン20をウインドスクリーン51に連結する連結機構30が構成される。
縦板部181A、181Aの先端は、ボルト191及びカラー192を介して左右一対のガイド部91、91の側面に各々回転自在に取り付けられ、これによって、左右のガイドアーム181、181が、車幅方向に延びるボルト191の軸線を中心にガイド部91、91に回転自在に支持される。ここで、カラー192は、低摩擦材料で形成されており、ガイドアーム181とガイド部91との間に配置されてガイドアーム181回転時の摺動抵抗を低減する。
この可動部固定側ステー97、97には、当該ステー97、97の車幅方向外側に張り出して上記左右一対のガイドアーム181、181を各々保持するホルダ(ガイドアームホルダ)97C、97Cが各々設けられる。図13に示すように、これらホルダ97C、97Cは、可動部固定側ステー97に溶接固定されるステー固定部97D、97Dと、このステー固定部97D、97Dから屈曲して略L字状に折り曲がる屈曲板部97E、97Eとを一体に備えた板状部材を備え、この屈曲板部97E、97Eには、ガイドアーム181、181を上下から保持する上下一対のスライダ201、202が取り付けられ、これら201、202によりガイドアーム181、181との間の摺動抵抗を低減してイドアーム181、181を摺動自在に支持する。
したがって、可動部固定側ステー97を可動させてウインドスクリーン51の傾斜角度を変更すると、このステー97の可動に応じてガイドアーム181、181が揺動してサブスクリーン20の傾斜角度が変更され、第1実施形態と同様に、ウインドスクリーン51の傾斜角度とサブスクリーン20の傾斜角度とをほぼ同じ角度に保持することが可能になる。
したがって、第1及び第2実施形態と同様の効果に加えて、サブスクリーン20上方にサブスクリーン連結用ステー31等を配置する必要がないから、この種の部品がアッパカウリング41とウインドスクリーン51との間からの走行風の流れを妨げることがなく、走行風をサブスクリーン20前面に沿ってより滑らかに流すことができ、空気抵抗低減及び風切り音の低減が可能になる。
また、サブスクリーン20がウインドスクリーン51に比して小型であり、かつ、アッパカウリング41に揺動自在に支持されるため、このサブスクリーン20を非透明の材料で形成しても運転者の視認性を十分に担保でき、サブスクリーン20のデザイン自由度を十分に確保できる。
また、上述の実施形態では、ウインドスクリーン51を電動モータで駆動する自動二輪車のスクリーンに本発明を適用する場合を説明したが、電動モータ以外の駆動源を用いてもよく、或いは、ウインドスクリーン51を手動で作動させる手動式スクリーン等にも本発明を広く適用可能である。
25 バイザー
26 シャフト
30 連結機構
31 サブスクリーン連結用ステー(導風板連結用ステー)
41 アッパカウリング(カウリング)
51 ウインドスクリーン(可動ウインドスクリーン)
90 移動機構
97 可動部固定側ステー(可動部固定側部材)
97C、97C ホルダ(ガイドアームホルダ)
98 スクリーン固定側ステー(スクリーン固定側部材)
150 サブスクリーンホルダ
171、172 第1転動体
173 第2転動体
181 ガイドアーム
193 アーム
Claims (4)
- 車体の前上部を覆うカウリング(41)と、このカウリング(41)の上方に車体後方側に向かって傾斜して配置され、その傾斜角度が調整自在に取り付けられた可動ウインドスクリーン(51)とを備える自動二輪車のスクリーンにおいて、
前記カウリング(41)と前記可動ウインドスクリーン(51)との間に、車体後方側に向かって傾斜する導風板(20)を設け、この導風板(20)を、前記カウリング(41)と前記可動ウインドスクリーン(51)との間からの走行風を前記可動ウインドスクリーン(51)の後面に沿って流すように傾斜角度を調整自在にし、前記導風板(20)の傾斜角度を、前記可動ウインドスクリーン(51)の傾斜角度が大のときに大に調整し、前記可動ウインドスクリーン(51)の傾斜角度が小のときに小に調整したことを特徴とする自動二輪車のスクリーン。 - 前記導風板(20)を前記可動ウインドスクリーン(51)に連結し、前記可動ウインドスクリーン(51)の傾斜角度に応じて前記導風板(20)の傾斜角度を変化させる連結機構(30)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車のスクリーン。
- 前記導風板(20)は、その下端を前記カウリング(41)の表面近傍に位置させた状態を保持しつつ前記カウリング(41)に揺動自在に連結され、前記カウリング(41)の表面に沿って流れる走行風を前記導風板(20)の前面に沿って車体後方へ流すことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車のスクリーン。
- 前記導風板(20)は、前記可動ウインドスクリーン(51)に比して上下長さが短く、前記可動ウインドスクリーン(51)よりも車幅方向に幅広であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動二輪車のスクリーン。
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