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JP5144523B2 - α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテル、そのホモポリマーおよびコポリマー - Google Patents

α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテル、そのホモポリマーおよびコポリマー Download PDF

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Description

本発明は、ある種のα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテル、そのホモポリマーおよびコポリマーに関する。
弾性フルオロポリマー(すなわちフルオロエラストマー)は、熱、気候、オイル、溶剤および化学薬品の影響に対して優れた耐性を示す。かかる材料は市販されており、通常はフッ化ビニリデン(VF2)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)および、任意選択的に、テトラフルオロエチレン(TFE)とのコポリマーである。他の公知のフルオロエラストマーには、TFEとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)とのコポリマー、TFEとプロピレン(P)と、任意選択的にVF2とのコポリマー、ならびにエチレン(E)とTFEおよびPMVEとのコポリマーが含まれる。多くの場合、これらのフルオロエラストマーはまた、加硫を促進するための硬化部位モノマーの共重合単位を含有する。これらのコポリマーは、低い圧縮永久歪みおよび優れた加工性をはじめとする、多くの望ましい特性を有するが、それらの低温可撓性はすべての最終使用用途にとって十分であるわけではない。特に望ましい一改良は、より低温への使用温度の拡張を伴うガラス転移温度(Tg)の低下であろう。低いガラス転移温度を有するポリマーは低温で弾性を維持するので、Tgはしばしば低温可撓性の指標として用いられる。
米国特許公報(特許文献1)は、組成物のTgを低下させるためにパーフルオロポリエーテルとブレンドされたフルオロエラストマーを開示している。しかしながら、かかる組成物が高温に暴露されたときに、パーフルオロポリエーテルは流出する傾向がある。組成物中のパーフルオロポリエーテルのレベルが低下するにつれて、Tgはパーフルオロポリエーテルを全く含有しない組成物のTgに戻る。
フルオロエラストマーのTgを低下させるために、他のものは、2つ以上の−C−O−C−シーケンスを有するパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)をエラストマー鎖中へ共重合させた。例えば、米国特許公報(特許文献2)は、式CF2=CFO−[CF2CF(CF3)O]nf(式中RfがC1~12パーフルオロアルキル基であり、そしてnが3〜30の整数である)で表されるパーフルオロビニルポリエーテルの5〜50モルパーセント共重合単位を含有するフルオロエラストマーを開示している。かかるフルオロエラストマーは−15℃〜−100℃のTgを有する。0〜2のn値を有するポリエーテルはTgにごくわずかしか影響を及ぼさないといわれている。ガラス転移温度は、共重合したパーフルオロビニルポリエーテル単位のレベルが増加すると共に、およびnの値が増加すると共に低下する。しかしながら、水へのポリエーテルの不十分な溶解性およびポリエーテルの比較的遅い重合反応速度のために中程度または高レベルのパーフルオロビニルポリエーテル単位をフルオロエラストマー中へ共重合させることは困難である。F−113などのクロロフルオロカーボンが重合溶媒として用いられてもよい。しかしながら、かかる溶媒は、それらのオゾン破壊係数のために環境問題を有する。また、パーフルオロビニルポリエーテルのエラストマー中への組み込みまたはそれへの変換は、ポリエーテルを十分に乳化させることができた場合には乳化重合法におけるよりもクロロフルオロカーボン溶媒中で少ない。
米国特許公報(特許文献3)は、式CF2=CF[O(CF2nm(OCF2xORf(式中nが1〜6の整数であり、mが1〜3の整数であり、xが0〜3の整数であり、そしてRfがC1~6パーフルオロアルキル基である)の10〜60モルパーセントのパーフルオロビニルエーテルを含有するフルオロエラストマーを製造するための乳化重合法を開示している。パーフルオロビニルエーテルは、コモノマーとの共重合前に界面活性剤であらかじめ乳化させられる。しかしながら、後者のパーフルオロビニルエーテルを製造することは困難である。典型的には、直接フッ素化または電気化学的フッ素化が用いられなければならない。重合反応速度論もまた、上記エーテルのために比較的遅い。
米国特許第5,268,405号明細書 米国特許第4,513,128号明細書 米国特許第6,730,760号明細書 米国特許第4,214,060号明細書 米国特許第5,214,106号明細書 米国特許第5,717,036号明細書 米国特許第6,211,319 B1号明細書
フルオロエラストマーのガラス転移温度は22モルパーセントより多くのある種のα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルがフルオロエラストマー中へ共重合させられたときに著しく低下するかもしれないことが意外なことに発見された。α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルのホモポリマーはまた良好な低温特性を有する。これらのエーテル上のα−水素原子がC−C二重結合を活性化させ、優れた重合活性をもたらす。
従って、本発明は、一般式Rf−[CH2n−OCF=CF2(式中nが1または2であり、そしてRfがパーフルオロアルコキシ基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択される)で表されるα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルに関する。
本発明の別の態様は、一般式Rf−[CH2n−OCF=CF2(式中nが1または2であり、そしてRfがパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、フルオロアルキル基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択される)で表されるα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルのホモポリマーである。
本発明の別の態様は、
A)一般式Rf−[CH2n−OCF=CF2(式中nが1または2であり、そしてRfがパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、フルオロアルキル基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択される)で表されるα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルモノマーの22モルパーセントより多い共重合単位と、
B)少なくとも1つの他の共重合可能なモノマーの共重合単位と
を含み、前記モルパーセントがコポリマー中のすべての共重合したモノマーの全モルを基準とするフルオロエラストマーコポリマーである。
本発明の別の態様は、
A)i)一般式Rf−[CH2n−OCF=CF2(式中nが1または2であり、そしてRfがパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、フルオロアルキル基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択される)で表されるα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテル、
ii)界面活性剤ならびに
iii)水
を含む混合物を乳化させて乳化α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルを形成する工程と、
B)前記乳化α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルを少なくとも1つのガス状フルオロモノマーと共重合させてフルオロエラストマーを形成する工程と
を含むフルオロエラストマーの製造方法である。
本発明の新規α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルは、一般式Rf−[CH2n−OCF=CF2(式中nが1または2であり(好ましくは1であり)、そしてRfがパーフルオロアルコキシ基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択される)で表される。具体的な例には、CH3O−(CF22−CH2−OCF=CF2、CF3O−(CF2O)p−CF2−CH2−OCF=CF2(pは1〜10の整数である)、およびC37O−[CF(CF3)CF2O]q−CF(CF3)−CH2−OCF=CF2(qは1〜20の整数である)が挙げられるが、それらに限定されない。
上述の新規α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルに加えて、本発明のホモポリマーおよびコポリマーに用いられてもよい他のα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルには、上記一般式(式中Rf基がパーフルオロアルキル基(好ましくは少なくとも4個の炭素原子を含有する)およびフルオロアルキル基(好ましくは少なくとも4個の炭素原子を含有する)からなる群から選択されてもよい)で表されるものが含まれる。かかるエーテルの具体的な例には、CF3CF2CF2CF2CH2−OCF=CF2およびH−CF2CF2CF2CF2−CH2OCF=CF2が挙げられる。しかしながら、パーフルオロアルコキシ基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択されるRf基を有するα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルをベースとするホモポリマーおよびコポリマーが好ましい。
すべてのこれらのα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルは、相当するアルコールまたはエステルから容易に合成されてもよい。例えば、
CF3CF2CF2CF2CH2OH+NaH→[CF3CF2CF2CF2CH2O−Na]+テトラフルオロエチレン(TFE)→CF3CF2CF2CF2CH2−OCF=CF2
CF3CF2CF2−O−CF(CF3)CF2−O(CF3)CF−CH2−OH+NaH/TFE→CF3CF2CF2−O−CF(CF3)CF2−O(CF3)CF−CH2−OCF=CF2
CH3O−CF2CF2−COOMe+LiAlH4→CH3O−CF2CF2−CH2OH
CH3O−CF2CF2−CH2OH+NaH/TFE→CH3O−CF2CF2−CH2OCF=CF2
本発明のホモポリマーは、相当するα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルの溶液重合か乳化重合かのいずれかによって製造されてもよい。重合は、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物によってまたは4,4’−ビス(t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートなどの有機過酸化物によって開始されてもよい。
本発明のフルオロエラストマーの好ましい製造方法は、転化率が高く、そしてクロロフルオロカーボン溶媒が必要ではないように乳化重合である。しかしながら、本発明のフルオロエラストマーに用いられるα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルは水にそれほど可溶性ではない。フルオロエラストマー中へα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルの十分な共重合単位を組み込み、そしてエラストマーのTgを低下させるために、α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルは、反応器へのガス状モノマーおよび開始剤の導入前に乳化させられるべきである。
好ましい重合法では、i)α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテル、ii)フルオロ界面活性剤およびiii)水を含む混合物は先ず乳化させられる。マイクロフルイダイザー(Microfluidizer)(登録商標)高剪断処理装置(High Shear Processor)(マイクロフルイディックス(Microfluidics)、MFIC社(MFIC Corp.)の一部門から入手可能な)などのミキサーは、エマルジョン調製を容易にする。この乳化混合物がガス状コモノマーを含有しないことが決定的に重要である。混合物は、硬化部位モノマーなどの他の原料、pH緩衝剤(例えば第二リン酸ナトリウム七水和物)、およびα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルの乳化を助けるためのフッ素化アルコール(例えばヘキサフルオロイソプロパノール)などのフッ素化溶媒をさらに含有してもよい。α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルの最大液滴径は好ましくは1ミクロン未満である。
生じた乳化α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルは次に、従来の乳化重合法で少なくとも1つのガス状フルオロモノマーと共重合させられてフルオロエラストマーを形成する。
本発明のフルオロエラストマーコポリマーは、上に定義されたようなα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルの22より多い(好ましくは25より多い)モルパーセント共重合単位と、少なくとも1つの他の共重合可能なモノマーの共重合単位とを含む。モルパーセントは、コポリマー中の共重合したモノマー単位のモルの総数を基準とする。共重合可能なモノマーには、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ素化ビニリデン(VF2)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、エチレン(E)およびプロピレン(P)、ならびに、CF2=CFOCF2CF(CF3)−O−CF2CF2−COOCH3、CF2=CFOCF2CF(CF3)−O−CF2CF2−SO2FおよびCF2=CFO−[CF2CF(CF3)O]nf(式中nが1〜6の整数であり、そしてRfが1〜8個の炭素原子を含有するパーフルオロアルキルまたはパーフルオロアルコキシ基である)などの他のモノマーなど官能性モノマーが含まれるが、それらに限定されない。
加えて、本発明のコポリマーは、フルオロポリマー工業で一般的に用いられる硬化部位モノマーの0.1〜7モルパーセント共重合単位を含有してもよい。かかる硬化部位モノマーには、ブロモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン、および4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテンなどの臭素−およびヨウ素含有オレフィンが含まれるが、それらに限定されない。かかる硬化部位モノマーは当該技術分野で周知である(例えば米国特許公報(特許文献4)、米国特許公報(特許文献5)、および米国特許公報(特許文献6))。他の硬化部位モノマーには、2−ヒドロペンタフルオロプロペン、1−ヒドロペンタフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、および米国特許公報(特許文献7)に開示されているもの(例えばパーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン))などのニトリル基含有フルオロオレフィンまたはフルオロビニルエーテルが含まれる。
本発明のフルオロエラストマーコポリマーは、公知の乳化、懸濁または溶液重合法によって製造されてもよい。二ヨウ化パーフルオロアルキル(例えばI−(CF24−I)、アルコール、ケトンまたは炭化水素などの連鎖移動剤が重合を調節するために用いられてもよい。
本発明のフルオロエラストマーの具体的な例には、a)25〜76%VF2/10〜50%HFP/26〜65%DHFVE、b)25〜64%VF2/5〜46%HFP/5〜30%TFE/26〜65%DHFVE、c)25〜64%VF2/10〜49%PMVE/26〜65%DHFVE、d)25〜64%VF2/5〜44%PMVE/5〜30%TFE/26〜65%DHFVE、e)5〜30%VF2/20〜40%TFE/10〜40%P/26〜65%DHFVE、f)20〜40%TFE/15〜40%P/26〜65%DHFVE、g)10〜30%E/15〜40%TFE/10〜20%PMVE/26〜65%DHFVEおよびh)15〜44%TFE/20〜45%PMVE/26〜65%DHFVEからなる群から選択される共重合単位を含むエラストマーが挙げられるが、それらに限定されない。フルオロエラストマーa)〜h)中のすべての百分率は、共重合したコモノマー単位の全モルを基準とするモル百分率である。いずれの場合もDHFVEはα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルを表す。これらのエラストマーは、上記のような少なくとも1種の硬化部位をさらに含んでもよい。
本発明のα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルは、フルオロポリマーの製造用のモノマーとして有用である。α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルのホモポリマーはコーティング材料として有用である。本発明のコポリマーは、ガスケット、チュービング、シールおよび他の成形部品の製造に有用である。かかる物品は一般に、エラストマー、硬化剤および様々な添加剤の配合調合物を圧縮成形し、成形品を硬化させ、次にそれをポスト硬化サイクルにかけることによって製造される。硬化部品は、優れた熱安定性および耐化学薬品性だけでなく優れた低温可撓性および加工性を有する。それらは、耐油性と、耐燃料性と低温可撓性との良好な組み合わせを必要とするシールおよびガスケットなどの用途で、例えば燃料注入システム、燃料ライン連結器システムならびに高温および低温自動車用途向けの他のシールで特に有用である。
これより、本発明を、すべての部および百分率が特に明記されない限り重量による、ある種の実施形態によって例示する。
(実施例1)
2,2,3,3−テトラフルオロ−3−メトキシプロピルトリフルオロビニルエーテル[CH3O−CF2CF2−CH2OCF=CF2]を、3−メトキシ−2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸メチルから3−メトキシ−2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中間体経由で製造した。
(3−メトキシ−2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール[CH3O−CF2CF2−CH2OH]の製造)
無水エーテル(1.0リットル)溶媒中の水素化リチウムアルミニウム(45.6g、0.20モル)懸濁液に3−メトキシ−2,2,3,3−テトラフルオロプロピオン酸メチル(275g、1.45モル、本願特許出願人から入手可能)を、外部冷却で反応温度を<15℃に調節しながらゆっくり加えた。添加を完了した後、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌させた。生成物混合物を6N塩酸溶液へゆっくり注いだ。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸留して生成物を無色透明の液体として得た。沸点:142〜144℃、収量は約130グラムであった。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ3.96(t,J=14.4Hz,2H),3.68(s,3H),2.53(s,1H);19F NMR(CDCl3,376.89MHz):−92.9(s,2F),−126.7(tt,J=4.0Hz,14.4Hz,2F)。
(2,2,3,3−テトラフルオロ−3−メトキシプロピルトリフルオロビニルエーテル[CH3O−CF2CF2−CH2OCF=CF2]の製造)
水素化ナトリウム(60%オイル懸濁物、30g、0.75モル)を無水エーテル(450mL)に懸濁させた。3−メトキシ−2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(97.2g、0.60モル)を、激しく撹拌しながらゆっくり加えた。添加を完了したとき、混合物を周囲温度で1〜2時間撹拌させた。混合物を、窒素流れ下に1300mL振盪機チューブへ移し、60℃で16時間加熱した。冷却および排気後に、テトラフルオロエチレン(TFE)ガスを400psig(2.76MPa)の圧力に達するまで加えた。チューブを次に密閉し、50℃で24時間かき混ぜた。TFE圧力を反応プロセスの間400psig(2.76MPa)に維持した。冷却後に、生成物を濾過していかなる固体残渣も除去し、水中へ放り入れた。有機層を分離し、新鮮な水で洗浄した。エーテル溶媒を真空で除去した後、物質を蒸留して生成物を無色透明の液体として得た。沸点:80mmHgで58℃。3つの行程および組み合わせた蒸留により、195gの生成物を得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ4.29(t,J=13.6Hz,2H),3.68(s,br,3H);19F NMR(CDCl3,376.89MHz):−93.0(s,br,2F),−125.4(m,br,2F),−122.2(4m,1F),−128.2(t,J=4.6Hz,1F),−137.7(4s,1F)。IR(ニート):1842cm-1
(実施例2)
2,2,4,4,6,6,8,8,8−ノナフルオロ−3,5,7−トリオキサ−オクチルトリフルオロビニルエーテル[CF3O−(CF2O)2−CF2CH2−OCF=CF2]を、2,2,4,4,6,6,8,8,8−ノナフルオロ−3,5,7−トリオキサ−1−オクタノールから水素化ナトリウムおよびTFEとの反応によって製造した。生成物は無色透明の液体であった。沸点:70mmHgで57℃。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ4.25(t,J=9.5Hz);19FNMR(CDCl3,376.89MHz):−54.0(m,2F),−56.0(m,2F),−57.5(m,3F),−80.6(m,2F),−121.4(4s,1F),−127.3(4s,1F),−137.9(4m,1F)。
(実施例3)
(α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルモノマーのホモ重合)
典型的な重合では、CH3−O−CF2CF2CH2−O−CF=CF2を下記の通り重合させた:
1リットル反応器に脱イオン水(550mL)、パーフルオロノナン酸のアンモニウム塩(界面活性剤、3.0g)、リン酸二ナトリウム七水和物(2.0g)および過硫酸アンモニウム(0.4g)を、2,2,3,3−テトラフルオロ−3−メトキシプロピルトリフルオロビニルエーテルモノマー(30g)と一緒に装入した。反応器を密閉し、数回冷却排気した。「冷却排気した」とは、真空をかけて酸素を除去する間にすべての原料が反応器に留まるように反応器内容物を十分に冷却することによって酸素を反応器から除去したことを意味する。重合を70℃で8時間行った。生じたポリマーラテックスを飽和硫酸マグネシウム溶液で凝固させた。沈澱したポリマーを濾過によって集めた。ポリマーを温水で十分に洗浄し、次に80℃で真空乾燥させた。26.2グラムの白色ポリマーを得た。それは、DSC(示差走査熱量測定法)によって測定した際に16.5℃のTgを有した。
他のホモポリマーを同様な方法によって製造した。生じたホモポリマーのガラス転移温度をDSCによって測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005144523
(実施例4)
(TFE/CH3O−(CF22−CH2−OCF=CF2の溶液重合)
400mLのステンレススチール振盪機チューブに2,2,3,3−テトラフルオロ−3−メトキシプロピルトリフルオロビニルエーテル(40g)、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(180g)および4,4’−ビス(t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(0.1g)を装入した。チューブを冷却し、数回排気し、次にTFE(12g)をチューブへ移した。チューブを密閉し、70℃で8時間振盪した。冷却後、取り出したポリマー溶液中の溶媒を真空下に蒸発させた。42.0グラムの白色ポリマーを得た。このコポリマーは、DSCによって測定した際に、−15.7℃のTgを有した。本コポリマーの組成は、周囲温度でヘキサフルオロベンゼン溶媒中F−NMRによって測定した際に40.4モル%TFE/59.6モル%CH3O−(CF22−CH2−OCF=CF2であった。
(実施例5)
(TFE/CF3CH2−OCF=CF2の共重合)
1リットル反応器に脱イオン水(550mL)、パーフルオロノナン酸のアンモニウム塩(界面活性剤、3.0g)、リン酸二ナトリウム七水和物(2.0g)および過硫酸アンモニウム(0.3g)を、3,3,3−トリフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル(30g)と一緒に装入した。反応器を密閉し、数回冷却排気し、次にTFE(10g)をチューブへ移した。重合は70℃で8時間進行した。生じたポリマーラテックスを飽和硫酸マグネシウム溶液で凝固させた。沈澱したポリマーを濾過によって集めた。ポリマーを温水で十分に洗浄し、次に80℃の真空オーブンで乾燥させ、36.1グラムの白色ポリマーを得た。このポリマーはDSCによって測定した際に2.7℃でのTgを有した。本ポリマー組成は、周囲温度でアセトン−d6溶媒中F−NMRによって測定した際に26.6モル%TFE/73.4モル%CF3CH2−OCF=CF2であった。
(実施例6)
本発明のポリマーを、十分に撹拌される反応容器中60℃で実施される、セミバッチ式乳化重合法によって製造した。2リットル反応器に1200gの脱イオン脱酸素水、30gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム、6gの第二リン酸ナトリウム七水和物、および90gのCH3O−CF2CF2−CH2OCF=CF2のエマルジョンを装入した。エマルジョンは、原料を約103MPaで2回マイクロフルイダイザー(登録商標)に通すことによって調製した。反応器を60℃に加熱し、次に60重量%フッ化ビニリデン(VF2)と30重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)とのモノマー混合物で1.0MPaに加圧した。0.001重量%過硫酸アンモニウム開始剤および0.005重量%第二リン酸ナトリウム七水和物水溶液の54.7mLサンプルを次に加えた。VF2およびPMVEを反応器に供給して重合の間中1.0MPaの圧力を維持した。開始剤溶液を反応期間の終わりまで1.0mL/時で連続的にフィードした。計110gのモノマー混合物を反応器に供給した後、モノマー添加を止め、反応器から残留モノマーを一掃した。全反応時間は27時間であった。生じたフルオロエラストマーラテックスを、硫酸アルミニウム水溶液の添加によって凝固させ、濾過したフルオロエラストマーを脱イオン水で洗浄した。ポリマー小片を60℃で2日間乾燥させた。66.7モル%VF2、13.1モル%PMVEおよび20.2モル%CH3O−CF2CF2−CH2OCF=CF2を含んでなるポリマーは、示差走査熱量測定法(加熱モード、10℃/分、転移の変曲点)によって測定した際に、−32℃のガラス転移温度(Tg)を有する非晶質フルオロエラストマーであった。
(実施例7)
本発明のポリマーを、十分に撹拌される反応容器中60℃で実施される、セミバッチ式乳化重合法によって製造した。2リットル反応器に1200gの脱イオン脱酸素水、30gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム、6gの第二リン酸ナトリウム七水和物、および110gのCH3O−CF2CF2−CH2OCF=CF2のエマルジョンを装入した。エマルジョンは、原料を約103MPaで2回マイクロフルイダイザー(登録商標)に通すことによって調製した。反応器を60℃に加熱し、次にテトラフルオロエチレン(TFE)で1.0MPaに加圧した。0.001重量%過硫酸アンモニウム開始剤および0.005重量%第二リン酸ナトリウム七水和物水溶液の54.7mLアリコートを次に加えた。TFEを反応器に供給して重合の間中1.0MPaの圧力を維持した。開始剤溶液を反応期間の終わりまで1.0mL/時で連続的にフィードした。計90gのTFEを反応器に供給した後、モノマー添加を止め、反応器から残留モノマーを一掃した。全反応時間は9時間であった。生じたフルオロエラストマーラテックスを、硫酸アルミニウム水溶液の添加によって凝固させ、濾過したフルオロエラストマーを脱イオン水で洗浄した。ポリマー小片を60℃で2日間乾燥させた。33.6モル%TFEおよび66.4モル%CH3O−CF2CF2−CH2OCF=CF2を含んでなるポリマーは、示差走査熱量測定法(加熱モード、10℃/分、転移の変曲点)によって測定した際に、−23℃のガラス転移温度を有する非晶質フルオロエラストマーであった。
(実施例8)
ポリマーを、十分に撹拌される反応容器中60℃で実施される、セミバッチ式乳化重合法によって製造した。2リットル反応器に1200gの脱イオン脱酸素水、30gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム、6gの第二リン酸ナトリウム七水和物、および124gのCH3O−CF2CF2−CH2OCF=CF2のエマルジョンを装入した。エマルジョンは、原料を約103MPaで2回マイクロフルイダイザー(登録商標)に通すことによって調製した。反応器を60℃に加熱し、次にTFEで1.0MPaに加圧した。0.001重量%過硫酸アンモニウム開始剤および0.005重量%第二リン酸ナトリウム七水和物水溶液の54.7mLアリコートを次に加えた。TFEを反応器に供給して重合の間中1.0MPaの圧力を維持した。開始剤溶液を反応期間の終わりまで1.0mL/時で連続的にフィードした。計76gのモノマー混合物を反応器に供給した後、モノマー添加を止め、反応器から残留モノマーを一掃した。全反応時間は11時間であった。生じたフルオロエラストマーラテックスを、硫酸アルミニウム水溶液の添加によって凝固させ、濾過したフルオロエラストマーを脱イオン水で洗浄した。ポリマー小片を60℃で2日間乾燥させた。41.6モル%TFEおよび58.4モル%CH3O−CF2CF2−CH2OCF=CF2を含んでなるポリマーは、示差走査熱量測定法(加熱モード、10℃/分、転移の変曲点)によって測定した際に、−17℃のガラス転移温度を有する非晶質フルオロエラストマーであった。
(実施例9)
ポリマーを、十分に撹拌される反応容器中60℃で実施される、セミバッチ式乳化重合法によって製造した。2リットル反応器に1200gの脱イオン脱酸素水、30gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム、6gの第二リン酸ナトリウム七水和物、および96gのCF3CH2−OCF=CF2のエマルジョンを装入した。エマルジョンは、原料を約103MPaで2回マイクロフルイダイザー(登録商標)に通すことによって調製した。反応器を60℃に加熱し、次にTFEで1.0MPaに加圧した。0.001重量%過硫酸アンモニウム開始剤および0.005重量%第二リン酸ナトリウム七水和物水溶液の54.7mLアリコートを次に加えた。TFEを反応器に供給して重合の間中1.0MPaの圧力を維持した。開始剤溶液を反応期間の終わりまで1.0mL/時で連続的にフィードした。計104gのモノマー混合物を反応器に供給した後、モノマー添加を止め、反応器から残留モノマーを一掃した。全反応時間は11時間であった。生じたフルオロエラストマーラテックスを、硫酸アルミニウム水溶液の添加によって凝固させ、濾過したフルオロエラストマーを脱イオン水で洗浄した。ポリマー小片を60℃で2日間乾燥させた。77.2モル%TFEおよび22.8モル%CF3CH2−OCF=CF2を含んでなるポリマーは、示差走査熱量測定法(加熱モード、10℃/分、転移の変曲点)によって測定した際に、−9.5℃のガラス転移温度を有する非晶質フルオロエラストマーであった。
本発明は以下の実施の態様を含むものである。
1.一般式R f −[CH 2 n −OCF=CF 2 (式中nが1または2であり、そしてR f がパーフルオロアルコキシ基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択される)で表されることを特徴とするα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテル。
2.式中nが1であることを特徴とする前記1.に記載のα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテル。
3.CH 3 O−(CF 2 2 −CH 2 −OCF=CF 2 、CF 3 O−(CF 2 O) p −CF 2 −CH 2 −OCF=CF 2 (式中pが1〜10の整数である)、およびC 3 7 O−[CF(CF 3 )CF 2 O] q −CF(CF 3 )−CH 2 −OCF=CF 2 (式中qが1〜20の整数である)からなる群から選択されることを特徴とする前記2.に記載のα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテル。
4.一般式R f −[CH 2 n −OCF=CF 2 (式中nが1または2であり、そしてR f がパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、フルオロアルキル基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択される)で表されることを特徴とするα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルのホモポリマー。
5.前記エーテルがCH 3 O−(CF 2 2 −CH 2 −OCF=CF 2 、CF 3 −CH 2 OCF=CF 2 、CF 3 O−(CF 2 O) p −CF 2 −CH 2 −OCF=CF 2 (式中pが1〜10の整数である)、C 3 7 O−[CF(CF 3 )CF 2 O] q −CF(CF 3 )−CH 2 −OCF=CF 2 (式中qが1〜20の整数である)、CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CH 2 −OCF=CF 2 、およびH−CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 −CH 2 OCF=CF 2 からなる群から選択されることを特徴とする前記4.に記載のホモポリマー。
6.A)一般式R f −[CH 2 n −OCF=CF 2 (式中nが1または2であり、そしてR f がパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、フルオロアルキル基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択される)で表されるα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルモノマーの22モルパーセントより多い共重合単位と、
B)少なくとも1つの他の共重合可能なモノマーの共重合単位と
を含み、前記モルパーセントがコポリマー中のすべての共重合したモノマーの全モルを基準とすることを特徴とするコポリマー。
7.前記エーテルがCH 3 O−(CF 2 2 −CH 2 −OCF=CF 2 、CF 3 −CH 2 OCF=CF 2 、CF 3 O−(CF 2 O) p −CF 2 −CH 2 −OCF=CF 2 (式中pが1〜10の整数である)、C 3 7 O−[CF(CF 3 )CF 2 O] q −CF(CF 3 )−CH 2 −OCF=CF 2 (式中qが1〜20の整数である)、CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CH 2 −OCF=CF 2 、およびH−CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 −CH 2 OCF=CF 2 からなる群から選択されることを特徴とする前記6.に記載のコポリマー。
8.前記共重合可能なモノマーがテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、エチレン、プロピレン、CF 2 =CFOCF 2 CF(CF 3 )−O−CF 2 CF 2 −COOCH 3 、CF 2 =CFOCF 2 CF(CF 3 )−O−CF 2 CF 2 −SO 2 F、およびCF 2 =CFO−[CF 2 CF(CF 3 )O] n f (式中nが1〜6の整数であり、そしてR f が1〜8個の炭素原子を含有するパーフルオロアルキルまたはパーフルオロアルコキシ基である)からなる群から選択されることを特徴とする前記6.に記載のコポリマー。
9.A)i)一般式R f −[CH 2 n −OCF=CF 2 (式中nが1または2であり、そしてR f がパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、フルオロアルキル基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択される)で表されるα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテル、
ii)界面活性剤ならびに
iii)水
を含む混合物を乳化させて乳化α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルを形成する工程と、
B)前記乳化α,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルを少なくとも1つのガス状フルオロモノマーと共重合させてフルオロエラストマーを形成する工程と
を含むことを特徴とするフルオロエラストマーの製造方法。
10.前記界面活性剤がフルオロ界面活性剤であることを特徴とする前記9.に記載の方法。
11.工程A)で乳化される前記混合物がフッ素化溶媒をさらに含むことを特徴とする前記9.に記載の方法。

Claims (1)

  1. 一般式Rf−[CH2n−OCF=CF2(式中nが1または2であり、そしてRfがパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、フルオロアルキル基およびフルオロアルコキシ基からなる群から選択される)で表されることを特徴とするα,α−ジヒドロフルオロビニルエーテルのホモポリマー。
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