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JP5140158B2 - 電動式パワーステアリング制御装置 - Google Patents

電動式パワーステアリング制御装置 Download PDF

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JP5140158B2
JP5140158B2 JP2010522536A JP2010522536A JP5140158B2 JP 5140158 B2 JP5140158 B2 JP 5140158B2 JP 2010522536 A JP2010522536 A JP 2010522536A JP 2010522536 A JP2010522536 A JP 2010522536A JP 5140158 B2 JP5140158 B2 JP 5140158B2
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Description

この発明は、モータにより操舵力を補助する電動式パワーステアリング制御装置に関するものである。
従来の電動式パワーステアリング制御装置は、運転者による操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、上記検出された操舵トルク信号に基づいて上記操舵トルクを補助する補助トルク電流を演算するトルク制御器と、上記操舵トルクを補助するトルクを発生するモータと、上記モータの回転方向のモータ振動速度を推定する振動速度推定手段と、上記推定されたモータ振動速度の推定値を用いて、上記補助トルク電流に加算されるダンピング電流を演算するダンピング制御器と、モータ電流検出手段を備えていた。この回転方向の振動速度検出手段は、モータに通電される電流の検出値もしくは指令値から操舵による成分を除去する電流操舵成分除去手段と、操舵トルク検出手段の出力から操舵による成分を除去するトルク操舵成分除去手段と、モータの慣性モーメントを慣性項、トルクセンサの剛性をバネ項とする振動方程式に対して構成され、上記電流操舵成分除去手段から出力されるモータ電流とトルク操舵成分除去手段から出力される操舵トルクとに基づいてモータ回転方向の振動速度の推定値を演算する回転速度オブザーバとなっていた(例えば特許文献1参照)。
特開2000−168600号公報(17頁 。手続補正1、請求項8)
電動式パワーステアリングが除去したい振動は一般に0.2Nm以下の極めて小さな振動であり、このような振動における操舵トルク信号を正確に検出しようとする場合には、その検出特性においてヒステリシス特性などの十分小さい、高価なトルク検出手段が必要となる。特許文献1に示すような従来の電動式パワーステアリング制御装置にあっては、電流操舵成分除去手段から出力されるモータ電流とトルク操舵成分除去手段から出力される操舵トルクとに基づいてモータ回転方向の振動速度の推定値を演算する回転速度オブザーバとなっていたため、トルク検出手段の出力が極めて小さいトルク振動に対して、トルク検出手段のヒステリシスなどの影響により、精度が十分高いものではなく、振動成分を検出できない場合や、振幅が例えば10%以上低下する場合がある。この場合、回転速度オブザーバの推定値に位相遅れが生じるなど回転速度の真値との誤差が生じる。従って、この回転速度オブザーバの推定値にゲインを乗じてダンピングを行っても、回転速度の真値にゲインを乗じてダンピングを行った場合よりも振動抑制効果が低下するので、精度が十分高くない安価なトルク検出手段が適用できない課題があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、トルク検出手段の出力が上記のように極めて小さいトルク振動に対して、上述のような安価で精度が十分高くないトルク検出手段を用いた場合にも正確なモータの回転方向の振動速度を推定しダンピング制御を行うことができる電動式パワーステアリング制御装置を得ることを目的としている。
この発明に係る電動式パワーステアリング制御装置は、運転者による操舵トルクをトーションバーの相対角から検出する操舵トルク検出手段と、上記検出された操舵トルク信号に基づいて上記操舵トルクを補助する補助トルク電流を演算するトルク制御器と、上記操舵トルクを補助するトルクを発生するモータと、モータに通電される電流の検出値もしくは指令値から操舵による成分を除去する電流操舵成分除去手段と、上記モータの回転方向の振動速度を推定する振動速度推定手段と、上記推定されたモータ振動速度の推定値を用いて、上記補助トルク電流に加算されるダンピング電流を演算するダンピング制御器と、を備えた電動式パワーステアリング制御装置であって、上記振動速度推定手段は、電流操舵成分除去手段から出力されるモータ電流に積算してモータの回転方向の振動加速度を演算する振動加速度演算手段と、振動加速度演算手段出力を積分してモータ回転方向の振動速度を演算する回転加速度積分手段を備えたものである。
この発明によれば、運転者による操舵トルクをトーションバーの相対角から検出する操舵トルク検出手段と、上記検出された操舵トルク信号に基づいて上記操舵トルクを補助する補助トルク電流を演算するトルク制御器と、上記操舵トルクを補助するトルクを発生するモータと、モータに通電される電流の検出値もしくは指令値から操舵による成分を除去する電流操舵成分除去手段と、上記モータの回転方向の振動速度を推定する振動速度推定手段と、上記推定されたモータ回転方向の振動速度の推定値を用いて、上記補助トルク電流に加算されるダンピング電流を演算するダンピング制御器とを備えた電動式パワーステアリング制御装置であって、上記振動速度推定手段は、電流操舵成分除去手段から出力されるモータ電流に積算してモータ回転方向の振動加速度を演算する振動加速度演算手段と、振動加速度演算手段を積分してモータ回転方向の振動速度を演算する加速度積分手段を備えたことにより、上述のような安価で精度が十分高くないトルク検出手段を用いた場合にも正確なモータ回転方向の振動速度を推定しダンピング制御を行うことができる電動式パワーステアリング制御装置を得ることができる、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
本発明の実施の形態1に係わる電動式パワーステアリング制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1のアルゴリズムを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1による他の電動式パワーステアリング制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1による他のアルゴリズムを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係わる電動式パワーステアリング制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2のアルゴリズムを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1による別の電動式パワーステアリング制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1による別のアルゴリズムを示すフローチャートである。
符号の説明
1 トルクセンサ、2 位相補償器、3 トルク制御器、4 駆動電流HPF、5 回転速度演算器、5a 振動加速度演算器、5b 加速度積分器、5c 速度積分器、5d 反力トルク加速度演算器、5e 加速度加算器、6 ダンピング制御器、7 加算器、8 電流制御器、9 モータ、10 電流検出器。
以下、この発明の各実施の形態を図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係わる電動式パワーステアリング制御装置の構成を示すブロック図である。同図において、運転者が操舵した場合の操舵トルクを検出するトルクセンサ1の出力信号は、位相補償器2により位相補償され、その周波数特性が改善される。ついで、位相補償器2により位相補償されたトルクセンサ1の出力に基づいて、トルク制御器3により、上記操舵トルクを補助する補助トルク電流が演算される。
一方、操舵成分除去手段である駆動電流ハイパスフィルタ(以下、駆動電流HPFという)4は、電流検出器10で検出された電流検出信号から操舵周波数成分を除去する。ついで、振動速度推定器5は、上記の駆動電流HPFの出力から、モータ回転速度の振動成分を演算する。ここで、振動速度推定器5は、上記駆動電流HPFの出力にゲインを乗じてモータトルクによるモータ回転方向の振動加速度を演算する振動加速度演算器5aと、これを積分しモータ回転方向の振動速度を演算する加速度積分器5bを構成要素として含む。そして、ダンピング制御器6は、上記振動速度推定器5の出力であるモータ振動速度信号に基づいて操舵の減衰特性を制御するためのダンピング電流を演算する。
次いで、トルク制御器3で演算された補助トルク電流と、ダンピング制御器6で演算されたダンピング電流とが、加算器7で加算され目標電流が演算される。そして、電流制御器8の出力端では、モータ9に通電される電流が上記目標電流に一致するように制御される。モータ9がアシストトルクを発生すべく、例えば目標電流と電流検出信号の差に対してPI制御演算を行うことにより、モータ9の入力端子に印加する駆動電圧指令値を設定する。この駆動電圧指令値は、例えばPWM信号として出力される。
次に、上記構成の電動式パワーステアリング制御装置の動作について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS101で、位相補償器2で位相補償されたトルクセンサ1の出力をマイコンに読み込みメモリに記憶し、ステップS102で、電流検出信号を読み込みメモリに記憶する。電流検出信号は例えばシャント抵抗の電圧降下を検出することにより得られる。次に、ステップS103において、トルク制御器3により、上記メモリに記憶された位相補償後のトルクセンサ出力を読み込み、補助トルク電流をマップ演算しメモリに記憶する。
ステップS104では、駆動電流HPF4において、上記メモリに記憶された電流検出信号を読み込みハイパスフィルタの演算を行い駆動電流HPF出力としてメモリに記憶し、ステップS105では、振動加速度演算器5aにおいて駆動電流HPF出力にゲインを乗じてモータ回転方向のモータ振動加速度を演算する。ステップS106では加速度積分器5bにおいてモータ振動加速度を積分演算しモータ回転方向のモータ振動速度を演算する。ステップS107において、ダンピング制御器6により、上記メモリに記憶された回転速度演算器出力を読み込み、制御ゲインを乗じてダンピング電流を演算しメモリに記憶する。ステップS108では、加算器7において、上記メモリに記憶された補助トルク電流とダンピング電流とを加算し、目標電流としてメモリに記憶する。ステップS109では、目標電流と電流検出信号の差に対してPI制御演算を行い、駆動電圧指令値を設定する。この駆動電圧指令値は例えばPWM信号として出力しモータ9の端子に印加し駆動する。上記ステップS101からS109までの動作を、制御サンプリング毎に繰り返す。
なお、上記ステップS103で使用したトルクセンサ出力と補助トルク電流の関係を示すマップ、上記ステップS105で使用した駆動電流HPF出力をモータ回転方向の振動加速度に変換するゲイン、上記ステップS107で使用したダンピング電流を演算するための制御ゲインなどの目標電流の演算を行う際に必要なマップや比例係数等の定数は予めROMに設定しておくものとする。
ここで、上記操舵成分除去手段である駆動電流HPF4について説明する。
一般に運転者が操舵可能な周波数は3Hz程度以下である。また、例えばレーンチェンジ時の操舵周波数は、0.2Hz付近であり、通常はこのような低周波の操舵を行うケースが多い。これに対し、ステアリング発振を生じやすい周波数帯域は30Hz以上であり、操舵周波数との周波数分離が可能である。
従って、ステアリング発振を発生するような周波数領域では、周波数分離器として次式(1)の伝達関数で表されるハイパスフィルタなどを用いることなどにより操舵周波数成分を除去し振動成分のみを得ることができる。
3s/(T3s+1) (1)
ここでT3は時定数であり、折点周波数をf3[Hz]とすると下記となる。
3=1/{f3×(2π)} (2)
このとき、一般にハイパスフィルタの折点周波数を低く設定すれば操舵による成分が残り易くなり、高く設定すれば、ハイパスフィルタを通して得られた電流検出信号のステアリング発振成分の位相ずれが大きくなるので、通常行われる操舵周波数からステアリング発振を生ずる周波数の範囲内のいずれかの周波数にハイパスフィルタの折点周波数を設定しておけば、電流検出信号のステアリング発振成分を残して操舵周波数成分を除去することが可能である。そこで、本実施の形態1では、駆動電流HPF4として、一般の運転者が操舵可能な最大周波数を狙って、折点周波数が0.2〜30Hzの範囲に設定したハイパスフィルタを用い、操舵成分を除去した電流検出信号のステアリング発振成分を得るようにしている。
また、電流とモータトルクの関係は、トルク定数Ktとして既知の値である。駆動電流HPF4の出力にトルク定数Ktを乗じて回転慣性モーメントJmで除算することにより、モータ回転方向のモータ振動加速度に変換することができる。この際、モータにはトルクセンサからの反力トルクやタイヤからの反力トルクも伝わるが、一般に慣性モーメントは振動周波数の2乗に比例するので振動周波数が高い場合にはトルクセンサからの反力やタイヤからの反力トルクの影響は相対的に小さくなり無視できる。
従って、駆動電流HPF4の出力にゲインKt/Jmを乗じることによりモータ回転方向のモータ振動加速度に変換することができる。
さらにモータ回転方向のモータ振動加速度を積分演算することにより、モータ回転方向のモータ振動速度を得ることができる。
このように、本実施の形態1においては、上記操舵周波数成分を除去された電流検出信号から演算したモータ振動速度に基づいてダンピング電流を演算する構成としたので、前述のようにトルク検出手段の出力が極めて小さいトルク振動に対して精度が十分高くない場合にも正確なモータ振動速度を推定しダンピング制御を行うことができ、一般にトルク比例ゲインを大きくしても制御系の発振を防止することができる。したがって、ダンピング制御器6のダンピング制御ゲインを大きくしてダンピングを強く効かせることができるので、ハンドルの振動を運転者が感じることなく、操舵トルクを低減することができる。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係わる電動式パワーステアリング制御装置の構成を示すブロック図である。駆動電流HPFからモータ回転速度の振動成分を演算する振動速度推定器5以外の部分は、実施の形態1と全く同一の構成であるので説明を省略する。振動速度推定器5は、駆動電流HPF4の出力にゲインを乗じて、モータトルクによるモータ回転方向のモータトルク振動加速度を演算する振動加速度演算器5aと、トルクセンサからの反力トルクやタイヤからの反力トルクを加速度の次元として出力する反力トルク加速度演算器5dの出力を加算する加速度加算器5e、加速度加算器5eの出力を積分しモータ回転方向のモータ振動速度を演算する加速度積分器5b、加速度積分器5bの出力を積分しモータ回転方向のモータ振動角度を演算する速度積分器5cよりなる。反力トルク加速度演算器5dは、速度積分器5cで演算されたモータ回転方向のモータ振動角度にゲインを乗じて反力トルク加速度信号を得る。このようにして得られたモータ振動速度信号を実施の形態1と同様にダンピング制御器6に出力する。
次に、上記構成の電動式パワーステアリング制御装置の動作について、図6のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS301で、位相補償器2で位相補償されたトルクセンサ1の出力をマイコンに読み込みメモリに記憶し、ステップS302で、電流検出信号を読み込みメモリに記憶する。電流検出信号は例えばシャント抵抗の電圧降下を検出することにより得られる。
次に、ステップS303において、トルク制御器3により、上記メモリに記憶された位相補償後のトルクセンサ出力を読み込み、補助トルク電流をマップ演算しメモリに記憶する。
ステップS304では、駆動電流HPF4において、上記メモリに記憶された電流検出信号を読み込みハイパスフィルタの演算を行い駆動電流HPF出力としてメモリに記憶し、ステップS305では、振動加速度演算器5aにおいて駆動電流HPF出力にゲインを乗じてモータが発生するトルクによるモータ回転方向のモータトルク振動加速度を演算する。ステップS306では、加速度加算器5eにおいて、振動加速度演算器5aで演算されたモータトルク振動加速度信号と、反力トルク加速度演算器5dで演算しメモリに記憶された反力トルク加速度信号とを加算演算しモータ振動加速度信号としてメモリに記憶する。ステップS307では加速度積分器5bにおいてモータ振動加速度を積分演算しモータ回転方向のモータ振動速度を演算しメモリに記憶する。ステップS308では速度積分器5cにおいてモータ振動速度信号を積分して、モータ振動角度信号を演算しメモリに記憶する。ステップS309では反力トルク加速度演算器において、モータ振動角度信号にゲインを乗じて、トルクセンサからの反力トルクやタイヤからの反力トルクを加速度の次元に変換した反力トルク加速度信号を演算しメモリに記憶する。ステップS310では加速度積分器5bにおいてメモリに記憶されたモータ振動速度をダンピング制御器6に出力する。
ステップS311において、ダンピング制御器6により、モータ振動速度に制御ゲインを乗じてダンピング電流を演算しメモリに記憶する。ステップS312では、加算器7において、上記メモリに記憶された補助トルク電流とダンピング電流とを加算し、目標電流としてメモリに記憶する。ステップS313では、目標電流と電流検出信号の差に対してPI制御演算を行い、駆動電圧指令値を設定する。この駆動電圧指令値は例えばPWM信号として出力しモータ9の端子に印加し駆動する。上記ステップS301からS313までの動作を、制御サンプリング毎に繰り返す。なお、上記ステップS303で使用したトルクセンサ出力と補助トルク電流の関係を示すマップ、上記ステップS305で使用した駆動電流HPF出力をモータ回転方向の振動加速度に変換するゲイン、上記ステップS309で使用したモータ振動角度信号にゲインを乗じて反力トルク加速度信号を演算するゲイン、上記ステップS310で使用したダンピング電流を演算するための制御ゲインなどの目標電流の演算を行う際に必要なマップや比例係数等の定数は予めROMに設定しておくものとする。
ここで、実施の形態1と異なるのは、ステップS305からS309までの動作であるのでこの部分についてさらに説明を加える。電流とモータトルクの関係は、前述の通りトルク定数Ktとして既知の値である。これを回転慣性モーメントJmで除算することにより、モータ回転方向のモータトルク振動加速度に変換することができる。この際、実施の形態1では無視したトルクセンサからの反力トルクやタイヤからの反力トルクも影響は小さいながらモータに伝わる。また、これらのトルクはトルクセンサのトーションバーやタイヤのねじれ変形によるものが支配的であるので、そのトルクは回転角度に比例し、駆動電流HPF4で操舵周波数成分を除去されているので、モータ振動角速度信号を積分したモータ振動角度信号にトーションバーのバネ定数Ksを乗じることによりモータ回転方向の振動トルクが得られる。そこで、この振動トルクを回転慣性モーメントJmで除算することにより、モータ回転方向の振動加速度に変換することができる。従って、モータ振動角度信号にゲインKs/Jmを乗じることによりモータ回転方向の反力トルク振動加速度に変換することができる。
以上のように、モータトルク振動加速度に反力トルク振動加速度を加算することにより、より正確なモータ回転方向のモータ振動加速度を演算することができ、これを積分演算することにより、より正確なモータ回転方向のモータ振動速度を得ることができる。
このように、本実施の形態2においては、上記操舵周波数成分を除去された電流検出信号から演算したモータ振動加速度とトルクセンサのトーションバーやタイヤのねじれ変形によるトルク振動加速度の和を積分演算したモータ振動速度に基づいてダンピング電流を演算する構成としたので、上述のような安価で精度が十分高くないトルク検出手段を用いた場合にも、正確なモータ振動速度を推定しダンピング制御を行うことができ、一般にトルク比例ゲインを大きくしても制御系の発振を防止することができる。したがって、ダンピング制御器6のダンピング制御ゲインを大きくしてダンピングを強く効かせることができるので、ハンドルの振動を運転者が感じることなく、操舵トルクを低減することができる。
また、実施の形態1及び2では、駆動電流HPFに入力する信号を電流検出器10の出力としたが、目標電流としてもよい。例えば実施の形態1において電流検出器10の出力を目標電流とした場合には、図3のブロック図及び図4のフローチャートに示す構成となる。このとき、目標電流は、前サンプリングでの演算値を用いればよい。
また、電流検出を行わず、目標電流と誘起電圧演算値から電流制御を行う方式もあり、その場合は、図7のブロック図及び図8のフローチャートに示す構成となる。ここで誘起電圧は、モータ回転速度に比例することが知られているので、レゾルバなどのモータ回転速度センサを用いることにより得られる。この場合、前述のとおり、主に一般に運転者が操舵可能な周波数は3Hz程度以下であり、また、誘起電圧は操舵周波数成分が支配的であるので、モータ回転速度センサは操舵周波数帯域で位相やゲインのずれが生じることなく検出できる特性であればよい。電流制御には、電流検出手段を有さず、目標電流と誘起電圧演算値から電流制御を行う方式もあり、本段落で述べた構成では、このような方式の電動パワーステアリング制御装置にも適用が可能となる。
また加速度積分器5bや速度積分器5cは単純な積分器としたが、例えば式(3)に示すハイパスフィルタに通した信号を積分しても良い。
s/(Ts+1) (3)
積分器の伝達関数は
1/s (4)
であるので、ハイパスフィルタを通した信号を積分することにより、ローパスフィルタにゲインを乗じた下記の伝達関数となる。
/(Ts+1) (5)
ここでT4は時定数であり、折点周波数をf[Hz]とする下記となる。
=1/{f×(2π)} (6)
時定数は、例えば30Hzで振動が発生する場合は、折点周波数fを30Hz以下など振動周波数以下の範囲に設定する。
この場合、折点周波数f以下の周波数範囲では積分されない擬似積分しとなるので、信号にオフセットがある場合にも積分によるドリフトを防止することができる。

Claims (4)

  1. 運転者による操舵トルクをトーションバーの相対角から検出する操舵トルク検出手段と、上記検出された操舵トルク信号に基づいて上記操舵トルクを補助する補助トルク電流を演算するトルク制御器と、
    上記操舵トルクを補助するトルクを発生するモータと、
    上記モータに通電される電流の検出値もしくは指令値から操舵による成分を除去する電流操舵成分除去手段と、
    上記モータの回転方向の振動速度を推定する振動速度推定手段と、
    上記推定されたモータ振動速度の推定値を用いて、上記補助トルク電流に加算されるダンピング電流を演算するダンピング制御器と、
    を備えた電動式パワーステアリング制御装置であって、
    上記振動速度推定手段は、電流操舵成分除去手段から出力されるモータ電流に積算してモータの回転方向の振動加速度を演算する振動加速度演算手段と、
    振動加速度演算手段出力を積分してモータ回転方向の振動速度を演算する回転加速度積分手段と、
    を備えたことを特徴とする電動式パワーステアリング制御装置。
  2. 上記モータの回転方向の振動速度を推定する振動速度推定手段の出力を積分してモータの回転方向の振動角度を演算する速度積分手段と、
    上記回転方向の振動角度から、トルクセンサからの反力トルクやタイヤからの反力トルクを加速度の次元として出力する反力トルク加速度を演算する反力トルク加速度演算手段と、
    上記電流操舵成分除去手段から出力されるモータ電流に積算してモータの回転方向の振動加速度を演算したモータトルク振動加速度演算手段の出力を加算し、モータ振動加速度を演算する加速度加算手段と、
    を有し、
    上記回転加速度積分手段は、上記加速度加算手段出力を積分演算することを特徴とする請求項1記載の電動式パワーステアリング制御装置。
  3. 折点周波数が上記モータの回転方向の振動周波数以下の周波数の範囲に設定されたハイパスフィルタを、上記回転加速度積分手段あるいは上記速度積分手段に挿入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動式パワーステアリング制御装置。
  4. 上記電流操舵成分除去手段への入力信号は、電流検出器の出力あるいは目標電流であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1の請求項に記載の電動式パワーステアリング制御装置。
JP2010522536A 2008-07-30 2008-11-04 電動式パワーステアリング制御装置 Expired - Fee Related JP5140158B2 (ja)

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