JP5039530B2 - 車両用湿式多板ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
そのため、従来から解決方法として、油圧ピストンに供給する作動油の供給油量自体を調整してピストンストロークを一定に保つ方法や、油圧ピストンのピストンシールに生じる摺動抵抗の戻し力を用いてピストンストロークを一定に保つ方法等が行われていた。
しかし、供給油量を調整する方法では装置が大掛かりになり取り付けスペース、コストが大幅に増大する欠点があり、またピストンシールによるストローク制限では、制限量に限界がありブレーキ板の枚数が多くなると、引きずり等が発生する問題も有していた。
かかる特許文献1の技術は、図4に示すように、ディスクブレーキ01を構成する円板状のインナディスク02と環状のアウタディスク03とを摩擦係合させてブレーキを作動させるために環状のピストン04を設け、このピストン04の背後の油室05にブレーキ作動時に油圧が供給されるように構成されている。
従って、スリーブ08はディスク02、03に生じる摩擦分だけ前進変位されていくことになり、隙間Aは常に一定に保たれる。このため、該ディスク02、03の磨耗が進行してもピストン04のストロークが常に一定に保つようになっている。
ピストン04は1本の環状体によって形成されているため、ピストン04のディスク02、03への当接面が捩れやすく油室05に掛かる油圧によるピストン04の動きが軸方向に均等に作用しにくく、また、ディスク02、03の磨耗に対してピストン04の動きが精度よく追従しにくい。このため、ピストン04の移動ストロークから精度よくディスク02、03の磨耗状態を反映した自動調整機構は得難い。
このようにして、油圧ピストンのストロークを一定に保つことができるため、発進時及び高速走行時のブレーキの引きずりを回避し、ロストルクを無くして燃費の悪化を低減できると共に、ピストン作動油量を一定に保つことができる。
具体的には、第1ピストンシールをテフロン(登録商標)製のシール材によって形成し、該第1ピストンシールをピストンスリーブの外周に凹設された溝に嵌合し、第2ピストンシールをゴム製のシール材によって形成し、該第2ピストンシールを油圧ピストンの外周に凹設された溝に嵌合する。さらに該第2ピストンシールの断面を矩形とすることでピストンスリーブとの摺動抵抗をより大きくすることができる。
環状に形成されたフレームサポート7は、内周側を複数のボルト9により前記アクスルハウジング3のフランジ部11に固定され、外周側を複数のボルト13により車体側のフレーム15に固定されている。また、フレームサポート7の内周側を固定する複数のボルト9によってピストンハウジング17の内周側が、フレームサポート7と共締めにてアクスルハウジング3に固定されている。
そして、第2ピストンシール65の摺動抵抗を第1ピストンシール63の摺動抵抗よりも大きくなるように設定されている。
リターンプレート67の移動が規制された後は、油圧ピストン55だけが更に進み前記フリクションプレート51とメーティングプレート53とからなるブレーキ板に当接して押圧するようになっている。
なお、油室59はそれぞれの油圧ピストン55毎に設置されており、ドライバのブレーキ操作に応じて図示しない作動油路を介して油圧が供給されるようになっている。
まず、ブレーキ操作がなされて油室59に油圧が掛かると、第2ピストンシール65の摺動抵抗が第1ピストンシール63の摺動抵抗よりも大きいため、ピストンスリーブ61は油圧ピストン55とともに移動を開始する。この移動を開始すると、油圧は油圧ピストン55の後端面だけでなく、ピストンスリーブ61の後端面にも回り込んで作用するため、油圧ピストン55とピストンスリーブ61とはともに油圧によって押し出される。
その後さらに、油圧の作用によって油圧ピストン55だけが進み前記フリクションプレート51とメーティングプレート53とからなるブレーキ板に当接して押圧することで、ブレーキ力が発生する。
この初期状態に戻る際に、油圧ピストン55とピストンスリーブ61との位置関係は一定に保持され、初期すきま調整を距離Cに設定したことになる。
その結果、発進時及び高速走行時のブレーキの引きずりを回避し、ロストルクを無くして燃費の悪化を低減できる。
3 アクスルハウジング
5 アクスルシャフト
7 フレームサポート
13 ボルト
15 フレーム
17 ピストンハウジング
19 ホイールハブ
23 ボルト
25 ブレーキハブ
35 軸受
36 軸受
39 ボルト
41 ナット
47 ブレーキハウジング
49 ボルト
51 フリクションプレート
53 メーティングプレート
55 油圧ピストン
61 ピストンスリーブ
63 第1ピストンシール
65 第2ピストンシール
67 リターンプレート
69 ピストン貫通孔
71 ピストンスリーブ当接部
73 リターンスプリング
Claims (6)
- アクスルハウジングに連結されるフレームサポート側に取り付けられたメーティングプレートとアクスルシャフトに連結されるブレーキハブ側に取り付けられたフリクションプレートとを油圧ピストンにより接脱するように構成され、前記油圧ピストンはブレーキ軸心を中心とする円周に沿って複数個設けられるとともに、前記油圧ピストン毎に該油圧ピストンに作用する作動油が給排される油室を備えた車両用湿式多板ブレーキ装置において、
前記油圧ピストンが収納される油圧ピストン穴の内周面と油圧ピストンの外周面との間に環状のピストンスリーブを摺動可能に設け、該ピストンスリーブは前記油室に油圧が掛かったときに油圧ピストンとともに移動する摺動抵抗を有し、戻し力が付勢されたリターンプレートを前記ピストンスリーブの先端部に当接可能にかつ一定距離移動可能に配設し、前記油室に油圧が掛かると前記油圧ピストンと前記ピストンスリーブとが一体状態のまま前記リターンプレートの戻し力に抗して前記一定距離移動し、その後油圧ピストンだけがブレーキ板に当接するまで摺動するように構成して、前記ピストンスリーブと前記油圧ピストンとの位置関係を、油圧ピストンのピストンストロークを一定に保持する関係に調整可能にすることを特徴とする車両用湿式多板ブレーキ装置。 - 前記ピストンスリーブの外周側には第1ピストンシールが設けられ、前記ピストンスリーブの内周側には第2ピストンシールが設けられ、該第2ピストンシールの摺動抵抗が前記第1ピストンシールの摺動抵抗より大きいことを特徴とする請求項1に記載の車両用湿式多板ブレーキ装置。
- ブレーキ軸心を中心とする円周に沿って複数個設けられた前記油圧ピストンは、ブレーキ軸心を中心に車両前後方向に均等に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用湿式多板ブレーキ装置。
- 前記リターンプレートの戻し力がリターンスプリングによって付勢され、該リターンスプリングがブレーキ軸心を中心に車両前後方向に均等に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用湿式多板ブレーキ装置。
- 前記リターンプレートは円環形状をなし、前記油圧ピストンが貫通するピストン貫通孔が円周上に前記油圧ピストンの位置に対応して穿設されるとともに、該ピストン貫通孔の開口周縁部によって前記ピストンスリーブの先端部と当接するピストンスリーブ当接部を形成することを特徴とする請求項1に記載の車両用湿式多板ブレーキ装置。
- ピストンハウジングとブレーキハウジングのそれぞれの端面を利用して、前記リターンプレートの摺動範囲を一定にしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用湿式多板ブレーキ装置。
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