以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係る用紙穿孔装置及びその制御方法について説明をする。
図1は、本発明に係る実施形態としての用紙穿孔装置を応用したバインド装置100の構成例を示す概念図である。
図1に示すバインド装置100は用紙穿孔装置を応用したものであり、コピー機や印刷装置から出力される記録紙(以下単に用紙3という)にパンチ処理をし、その後、所定の綴じ部品(消耗品)43で綴じ処理をして排出する装置である。もちろん、所定の用紙3に孔を穿孔してそのまま排紙する機能を備えた用紙穿孔装置に適用してよい。穿孔済みの用紙の場合は、パンチ処理を通さずに、バインド装置(バインド処理部)に供給してもよい。
バインド装置100は装置本体部(筐体)101を有している。バインド装置100は複写機や印刷機(画像形成装置)等と並べて使用されることが好ましく、装置本体部101は、複写機や印刷機等と同程度の高さを有している。
装置本体部101内には、用紙搬送部10が備えられる。用紙搬送部10は、第1の搬送路11及び第2の搬送路12を有している。搬送路11は、給紙口13及び排出口14を有しており、給紙口13から引き込んだ用紙3を所定の位置となる排出口14へ向けて搬送するスルーパス機能を有している。
ここにスルーパス機能とは、上流側の複写機や印刷機等と下流側の他の用紙処理装置の間に位置する搬送路11が、複写機や印刷機等から他の用紙処理装置へ用紙3を直接受け渡す機能をいう。このスルーパス機能が選択された場合は、搬送ローラの加速処理やバインド処理等を省略するようになされる。用紙3は、通常、片面コピーの場合に、フェースダウンの状態で送られてくる。給紙口13には給紙センサ111が取付けられ、用紙3の先端を検知して給紙検知信号S11を制御部50へ出力するようになされる。
搬送路12は、当該搬送路11から搬送経路が切り替え可能なスイッチバック機能を有している。ここにスイッチバック機能とは、搬送路11の所定の位置で用紙3の搬送を減速及び停止し、その後、搬送路11から搬送路12に用紙3の搬送経路を切り替え、かつ、当該用紙3を逆方向に送出する機能をいう。搬送路11には、フラップ15が設けられ、搬送経路を搬送路11から搬送路12に切換えるようになされる。
また、搬送路11と搬送路12との切換え点には、3連の搬送ローラ17c、19a’、19aが設けられる。搬送ローラ17c及び19aは時計方向回りに回転し、搬送ローラ19a’は半時計方向回りに回転する。例えば、搬送ローラ19a’が駆動ローラで搬送ローラ17c及び19aが従動ローラとなっている。搬送ローラ17c及び19a’により取り込まれた用紙3は、減速及び停止するが、フラップ15が上方から下方に切換えられると、搬送ローラ19a’及び19aにより給紙されて搬送路12に搬送される。3連の搬送ローラ17c、19a’、19aの手前には用紙検知センサ114が配設され、用紙の前端及び後端を検知して用紙検知信号S14を制御部50へ出力するようになされる。
搬送路12の下流側には、穿孔手段の一例となるパンチ処理部20が配置されている。この例で、上述の搬送路11と搬送路12との間は、所定の角度を有するように設計されている。例えば、搬送路11の搬送面とパンチ処理部20の用紙被穿孔面の間には、第1の俯角θ1が設定されている。ここに用紙被穿孔面とは、用紙3に孔を穿孔する面をいう。パンチ処理部20は、搬送路11の搬送面を基準にして俯角θ1を有する位置に用紙被穿孔面を設定するように配置される。
パンチ処理部20では、搬送路11からスイッチバックし、搬送路12によって搬送される用紙3の一端に二以上の綴じ用の孔を穿孔するようになされる。パンチ処理部20は、例えば、往復動作可能なパンチ刃21を駆動するモータ22を有している。用紙3はモータ22によって駆動されるパンチ刃21によって、1枚づつ穿孔される。モータ22にはDCモータが使用される。表1は、モータ22の動作モードを示している。
表1において、「正回転」モードとはモータ22の端子間に所定の極性の電圧を印加してモータ22を正回転させる動作(ON(CW))をいう。「逆回転」モードとはモータ22の端子間に逆極性の電圧を印加してモータ22を逆回転させる動作(ON(CCW))をいう。「ショートブレーキ」モードとは、モータ22を電源から切り離して端子間を短絡(ショート)し、モータ22を発電機として機能させ、その電機子反作用を利用して制動する動作をいう。「フリーラン」モードとは、モータ22を電源から切り離して端子間を開放し、負荷トルクに対応して回転する動作をいう。
パンチ処理部20内には、孔あけ位置の基準となる開閉可能なフェンス24が設けられ、用紙3を当てつけるように使用される。更に、パンチ処理部20には、サイドジョーガー23が設けられ、用紙3の姿勢を修正するようになされる。例えば、用紙3の先端が開閉可能なフェンス24に均等に当接するようになされる。フェンス24は用紙端部の揃え時の位置基準となる。サイドジョーガー23の手前には用紙検知センサ118が配設され、用紙3の前端及び後端を検知して用紙検知信号S18を制御部50へ出力するようになされる。
パンチ処理部20は、用紙3をフェンス24に当接させて停止させ、その後、当該用紙3の先端を穿孔する。なお、パンチ処理本体の下方には、パンチカス収納部26が設けられ、パンチ刃21によって切り落とされたパンチカスを収納するようになされる。パンチ処理部20の下流側には、用紙排出手段の一例となる排紙ローラ25が設けられ、用紙穿孔後の用紙3’を次段のユニットに搬送するようになされる。
パンチ処理部20の下流側には、バインダ紙揃えユニット30が配置され、パンチ処理部20から排紙される複数枚の用紙3’の孔の位置を揃えて一時保留(蓄積)するようになされる。バインダ紙揃えユニット30は、搬送部11の搬送面を基準にして第2の俯角θ2を有する位置に用紙保留面を設定するように配置される。ここに用紙保留面とは、孔があけられた用紙3’を保留(積層)する面をいう。この例では、俯角θ1と俯角θ2との関係がθ1<θ2に設定される。俯角θ1に関しては、0°<θ1<45°に設定され、俯角θ2に関しては、0°<θ2<90°に各々設定される。この設定は本体装置101の幅を縮小化するため、及び、この条件下で用紙3’を直線的に搬送するためである。
バインダ紙揃えユニット30は用紙案内押え機能を有しており、紙進入時に用紙3を所定の位置に案内し、紙進入完了後は、用紙3’の後端を押え込むようになされる。また、バインダ紙揃えユニット30は用紙先端揃え機能を有しており、紙進入時、用紙3’の先端と横端を基準位置に揃えるための多櫂状の回転部材(以下パドルローラ32という)の適正な位置に用紙3’の先端を案内するようになされる。
バインダ紙揃えユニット30の下流側には、バインド処理部40が配置され、当該ユニット30によって揃えられた複数枚の用紙束3”を綴じ部品43で綴じて冊子90を作成するようになされる。冊子90とは、綴じ部品43が嵌合され綴じられた用紙束3”をいう。
この例で、バインド処理部40は移動機構41を有している。移動機構41は、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向と、上述した用紙搬送部10の搬送方向と直交する位置との間を往復回転するように通過する。バインド処理部40は、バインダー(綴じ部品)カセット42を有している。バインダーカセット42には、複数個の綴じ部品がセットされる。綴じ部品は、例えば、射出金型成形され、用紙束3”の厚みに応じた複数種類が準備される。
移動機構41は、例えば、用紙搬送部10の搬送方向と直交する位置でバインダーカセット42から1個の綴じ部品43を引き抜いて保持し、この状態で、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を見通せる位置に回転する。この位置で、バインド処理部40は、バインダ紙揃えユニット30から、パンチ孔が位置決めされた用紙束3”を受入れ、そのパンチ孔に綴じ部品43を嵌合して綴じ処理を実行する(自動製本機能)。
バインド処理部40の下流側には、排出ユニット60が配置され、バインド処理部40により作成された冊子90を排出処理するようになされる。排出ユニット60は、例えば、第1のベルトユニット61、第2のベルトユニット62及びスタッカ63を有して構成される。
ベルトユニット61は、バインダ紙揃えユニット30から落下してくる冊子90を受止めて送出方向を切換えるようになされる。例えば、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を見通せる位置から所定の排出方向へベルトユニット本体を振り向けるようになされる。
ベルトユニット62は、ベルトユニット61によって送出方向が切換えられた冊子90を受け取ってリレー搬送するようになされる。スタッカ63は冊子蓄積部の一例を構成し、ベルトユニット61及び62によって搬送されてくる冊子90をため込むようになされる。このようにして用紙穿孔装置を応用したバインド装置100を構成する。
続いて、本発明に係る用紙処理方法について説明する。図2A〜Dは、バインド装置100の機能例を示す工程図である。
図2Aに示す用紙3は、当該バインド装置100の上流側から給紙されたものである。パンチ孔が開孔されていないものである。用紙3’は、図1に示した搬送路11の所定の位置に向けて搬送され、搬送路11の所定の位置で減速及び停止される。その後、搬送路11から搬送路12に用紙3’の搬送経路が切り替えられ、かつ、当該用紙3を逆方向に送出されてパンチ処理部20に搬送される。
パンチ処理部20では、図2Bに示すように用紙3の一端に所定の数の綴じ用の孔があけられる。綴じ用の孔部が形成された用紙3’は、バインダ紙揃えユニット30へ搬送される。バインダ紙揃えユニット30では、用紙3’が予め設定された用紙枚数に到達し、図2Cに示す用紙束3”となると、その綴じ用の孔部の位置が揃えられ、バインド処理部40と協調して綴じ部品43をその孔部へ挿入するようになされる。これにより、綴じ部品43が挿通された、図2Dに示すような冊子90を得ることができる。
続いて、パンチ刃21の駆動系をユニット化したパンチ処理ユニット20’について説明をする。図3は、パンチ処理ユニット20’の構成例を示す一部破砕の側断面図である。
図3に示すパンチ処理ユニット20’は、パンチ刃21、フェンス24、本体部201、パンチ刃ユニット202、リンク部材203、駆動機構204及びエンコーダ206を有して構成される。
本体部201は、前面板207及び背面板208で橋架部材209を支持されたブリッジ形状を有している。本体部201は、鉄板を所望の位置で折曲げ及びプレス加工して形成される。橋架部材209は箱形を有しており、橋架部材209には駆動機構204が備えられる。
駆動機構204は、モータ22、カムシャフト81、カム82、付勢部材(図示せず)及びギヤユニット205から構成される。カム82はカムシャフト81に少なくとも2箇所取り付けられる。駆動機構204は、カム82が回転することにより、パンチ刃ユニット202を駆動する。例えば、パンチ刃ユニット202は、複数のパンチ刃21を直列に取付けたボディ部210を有している。ボディ部210は、図示しないコイルバネ等の付勢部材により一定方向(この例では下方向)に付勢された状態で、駆動機構204のカムシャフト81を介して回転するカム82に可動自在に係合される。
ギヤユニット205は、図示しない減速歯車を有している。モータ22は減速歯車に係合され、減速歯車はカムシャフト81に取り付けられ、カムシャフト81を介してカム82を回転する。モータ22に取り付けられた歯車(小)の歯数は「12」であり、カムシャフト81に取り付けられた歯車(大)の歯数は「59」であり、歯車比は「1:4.92」である。
カム82はモータ22の回転運動を、コイルバネ等により一定方向に付勢されるボディ部210の上下往復駆動に変換する。ボディ部210の上下往復運動は、パンチ刃21の上下往復運動となる。上下往復運動は、上述のコイルバネ等の付勢力に打ち勝ってカムシャフト81を通じてカム駆動力により与えられる。これにより、駆動機構204によって、パンチ刃ユニット202を上下往復駆動するようになされる。パンチ刃21の上下往復運動により所定の厚みの用紙3に所定の数の孔を開孔するようになる。
上述の橋架部材209の内側には駆動機構204のカムシャフト81の他にソレノイド211が配置される。ソレノイド211にはリンク部材203が可動自在に取付けられる。リンク部材203の他端には、フェンス24が取付けられる。フェンス24は、用紙3の長さよりも長い板状を有しており、用紙3に対するパンチ刃の基準位置が設定されている。フェンス24は、パンチ刃ユニット202の下方に配置される。リンク部材203はソレノイド211による往復運動に基づいてフェンス24を上下に駆動(閉鎖開門動作)するようになされる。
上述のモータ22の回転軸にはエンコーダ206が取り付けられ、モータ回転速度を検出して速度検出信号(速度検出情報)S23を出力する。エンコーダ206は透過型の光学センサと、モータ軸に取り付けられた羽根車を有している。羽根車には、例えば、32箇所のスリットが半径方向に回転軸を中心にして放射状に配置されている。エンコーダ206は、カム1回転に付き、パルス数Px=157(歯車比4.92×スリット数32)を出力する。
この例で、上述の羽根車には32箇所のスリットの他に異径円上に1つのスリットが設けられ、エンコーダ206は、カム1回転に付き、パンチ刃の往復動作=1回を示すカウント値を発生する。
橋架部材209の内側には、位置センサ212が配設され、固定位置で、パンチ刃ユニット202を検知し、当該ユニット202がホームポジションに戻っているか否かを示す位置検出信号S24を出力する。これにより、パンチ処理ユニット20’を構成する。速度検出信号S23及び位置検出信号S24は、図4に示す制御部50に出力される。
図4は、パンチ処理ユニット20’の制御系の構成例を示すブロック図である。図4に示すパンチ処理ユニット20’の制御系は、制御部50、モータ駆動部120及びソレノイド駆動部121を有して構成される。
制御部50は、制御手段の一例を構成し、システムバス51を有している。システムバス51には、I/Oポート52、ROM53、RAM54及びCPU55が接続される。
I/Oポート52には位置センサ212が接続され、パンチ刃21の定位置(以下ホームポジションHPという)を検出して位置検出信号S24を出力する。位置センサ212には透過型の光学センサが使用される。I/Oポート52には、位置センサ212の他に速度センサの一例となるエンコーダ206が接続され、モータ回転速度を検出して速度検出信号S23をCPU55に出力する。CPU55は、速度検出信号S23に基づいてパンチ刃21の往路及び復路の速度を監視するようになる。
I/Oポート52にはシステムバス51が接続され、システムバス51には、ROM53が接続される。ROM53にはパンチ刃復路時の速度制御プログラムが格納される。その内容は、パンチ刃復路時の特定区間を複数に区切った分割制御区間(以下で区間#i(i=1〜n)と示す)を設定するステップと、各々の区間#i又は区間#iの集合群毎にパンチ刃21の目標通過時間(以下設定値Th1、Th2・・・という)を設定するステップと、区間#i毎にパンチ刃21の実際の通過時間Tx(測定通過時間:Time A)を測定するステップと、当該区間#iに設定された設定値Th1等と実測により得られる通過時間Txとを比較するステップと、比較結果に基づいて次の区間#i+1におけるパンチ刃駆動用のモータ22の駆動又は制動(ブレーキ)を制御するステップである。
CPU55は、ROM53から読み出したパンチ刃復路時の速度制御プログラムに基づいてモータ22の駆動又は制動を制御する。例えば、CPU55は、実測により得られた通過時間Txが設定値Th1等よりも小さい場合は、次の区間#i+1におけるパンチ刃駆動用のモータ22をショートブレーキにより制動し、通過時間Txが設定値Th1等よりも大きい場合は、次の区間#i+1におけるパンチ刃駆動用のモータ22をオン制御して駆動するようになされる。
また、CPU55には、I/Oポート52を通じてモータ駆動部120が接続され、CPU55からモータ駆動信号S20を入力し、このモータ駆動信号S20に基づいてモータ22を駆動し、駆動機構204を介して、パンチ刃ユニット202を上下往復駆動するようになされる。例えば、モータ駆動信号S20に基づく157個のパルス信号をモータ駆動部120からモータ22へ出力すると、減速歯車が一周する。この例では、減速歯車が一周すると、当該減速歯車に取り付けられているカムシャフト81を介してカム82が1回転し、パンチ刃21がホームポジションHPを出発して用紙に穿孔して再びホームポジションHPに戻ってくる。
上述のROM53には、パンチ刃復路時の速度制御プログラムの他に、例えば、モータ22を逆転する方向に力を加えて制動することを逆転制動としたとき、その逆転制動量(以下逆転ブレーキ保持時間Yという)を演算するためのプログラムが格納されている。RAM54は、逆転ブレーキ力保持時間Yを演算する際に、ワークメモリとして使用される。RAM54には汎用メモリが使用され、演算途中のデータを一時記憶するようになされる。
この逆転制動量演算用のプログラムの他に、CPU55は、パンチ刃21の復路時の速度検出信号S23に基づいて逆転ブレーキ力保持時間Yを演算し、当該パンチ刃21の定位置検出時に逆転ブレーキ保持時間Yに基づいてモータ逆転ブレーキ制御を実行する。パンチ刃21の復路時の速度検出信号S23はエンコーダ206から取得する。CPU55は、位置センサ212から出力されるパンチ刃21の位置検出信号S24及び逆転ブレーキ保持時間Yに基づいてパンチ刃21をホームポジションHPに停止させる。
この例でCPU55は、パンチ刃21が復路時に特定区間を通過する時間をXとし、定数をα及びβとし、逆転ブレーキ力保持時間をYとしたとき、(1)式
、すなわち、
Y=−αX+β・・・・・(1)
を演算する。αは、Xが小さくなればなるほど、Yが大きくなる関係の定数である。もちろん、逆転ブレーキ力保持時間Yを求める(1)式は、一例を挙げているに過ぎず、一次式(関数)に限られることはなく、二次式、三次式等であってもよい。
なお、I/Oポート52にはモータ駆動部120の他に、接続されたソレノイド駆動部121は、CPU55からソレノイド駆動信号S21を入力し、このソレノイド駆動信号S21に基づいてソレノイド211を駆動し、フェンス24を昇降駆動するようになされる。
この例で、位置センサ212からの位置検出信号S24より、パンチ刃の往復動作=1回を示すカウント値を発生する。このカウント値に基づいて用紙3を何枚パンチ処理したかをCPU55で検出(識別)できるようになり、上位又は下位の制御系にパンチ回数を通知できるようになる。これにより、パンチ処理ユニット20’の制御系を構成する。
図5A〜Eは、パンチ刃ユニット202の状態例及びモータ22の制御例を示す波形図である。図6A〜Eは、そのパンチ刃21の状態例を示す概念図である。この例で、図5Aに示す状態Iは、パンチ刃ユニット202がホームポジションにある場合である(図6A参照)。
図5Bは、モータ22の駆動例を示す電流波形図である。図5Bにおいて、ポジション(i)でモータ22をスタートすると、起動時の負荷(パンチ刃ユニット202)は重たく、波形が急激に立ち上がり、その後、徐々に負荷が軽くなり、なだらかに波形が立ち下がる。このとき、図5Aに示す状態IIでパンチ刃ユニット202は、左より用紙3を貫通開始するようになされる(図6B参照)。
その後、状態IIIでパンチ刃ユニット202が用紙3への貫通を終了する。このとき、パンチ刃ユニット202が最下点に到達する(図6C参照)。そして、パンチ刃21は復路に入る。このとき、図5Aに示す状態IVでパンチ刃ユニットは、左側よりリターンしてホームポジションに復帰する(図6D参照)。そして、ポジション(ii)でエンコーダ206を監視し、設定パルス数Px(0〜157)に到達したところで、モータ22に対して第1のショートブレーキ制御を実行する。ショートブレーキ制御では、モータ22を電源から切り離して端子間を短絡(ショート)し、モータ22を発電機として機能させ、その電機子反作用を利用して制動するようになされる。
図5Cは、位置センサ212によるホームポジション検出例を示す波形例である。図5Cに示す位置検出信号S24は、ハイ・レベル(以下「H」レベルという)でパンチ刃ユニットがホームポジションHPから脱出している場合である。また、ロー・レベル(以下「L」レベルという)でパンチ刃ユニット202がホームポジションHPに滞在している場合である。
図5Dは、エンコーダ206による速度検出例を波形図である。図中、A、B及びCは制御区間を示している。エンコーダ206は、モータ22の回転中の速度検出信号S23をCPU55へ出力する。速度検出信号S23は、モータ22の回転速度が遅いとパルス周期は広くなり、その回転速度が早いとパルス周期は短くなる。
図5Eに示すパルス数Pxは、図4に示したエンコーダ206からの速度検出信号S23に反映される出力パルス数Pxである。表2は、パルス数Px=85〜130の特定区間と、3つの制御区間A、B及びCに対応した設定値Th1、Th2、Th3との関係を示している。
この例では、パンチ刃21の復路行程の特定区間を示すパルス数Px=85〜130を15区間に分割している。1区間は3パルスとしている。区間#1はエンコーダ206がパルス数Px=85〜88を出力する区間である。区間#2は同様にしてパルス数Px=88〜91を出力する区間である。以下、区間#3〜区間#15についても、エンコーダ206がパルス数Px=91〜130を3パルス毎に出力する区間となる。
このパンチ刃21の復路行程の15区間を更に3つの制御区間(グループ:集合群)A、B、Cに分割し、それぞれのグループ毎に設定値Th1、Th2、Th3が割り当てられている。表2によれば、区間#1〜区間#5には設定値Th1が設定され、区間#6〜区間#12には設定値Th2が設定され、区間#13〜区間#15には設定値Th3が設定される。三者の設定値の間には、例えば、Th1<Th2<Th3なる関係に設定される。パンチ刃21のホームポジションへの移動速度を徐々に遅く制御するためである。
CPU55では、第1のショートブレーキ制御を実行した後の速度検出信号S23をサンプリングする。この例では、エンコーダ206の出力パルス数Pxを監視し、特定区間の設定パルス数Px=85〜130を3パルス毎に区切った15区間(区間#1〜#15)を通過する時間(通過時間Tx)を計測する。通過時間Txは区間毎に得られる。CPU55は通過時間Tx=t1,t2・・・を、区間毎に設定されている時間(設定値Th1等)と比較するようになされる。設定値Th1等と通過時間Txとの関係が、例えば、Th1>Txの場合は、ショートブレーキ制御を次の3パルス間継続する。Th1<Txの場合は、次の区間の(3パルスの間)モータ22をCW方向にON制御して駆動する。この制御をホームポジションHPに入るまで繰り返して速度制御を実行する。
CPU55は、ここで演算して得た逆転ブレーキ保持時間Yに基づいてポジション(v)でモータ逆転ブレーキ制御を実行する。ポジション(vi)の保持時間に強い制動力がモータ22で発生する。このモータ逆転ブレーキ制御に連続してポジション(vii)でCPU55は、当該モータ22を第2のショートブレーキ制御を実行する。
このようにモータ22を制御すると、パンチ刃ユニット202の復路時の速度が基準速度よりも速い場合は、基準のブレーキ力よりも強いブレーキ力でパンチ刃ユニット202をホームポジションHPに停止できるようになり、パンチ刃ユニット202の復路時の速度が基準速度よりも遅い場合は、基準のブレーキ力よりも弱いブレーキ力でパンチ刃ユニット202をホームポジションHPに停止できるようになる。なお、図5Aに示す状態Vで、パンチ刃ユニット202がホームポジションに復帰する(図6E参照)。パンチ刃21は、このように左右に波打つようなウェーブ状にパンチ刃21を駆動して用紙3に孔を孔けるようになされる。
図7A〜Fは、パンチ刃ユニット202における1サイクルのパンチ刃ストローク例を示す図である。
図7Aに示すパンチ刃ユニット202は、ホームポジションHPに待機(位置)している状態である。図7Bに示すパンチ刃ユニット202は、モータ22がONされて、ホームポジションHPから用紙被開孔面に向けて降下している状態である。図7Cに示すパンチ刃ユニット202は、用紙被開孔面を貫いて最下点に到達した状態である。この用紙被開孔面を貫くときに、シート状の用紙3の一端に綴じ用の孔があけられるようになる。図中のMaxは、パンチ刃ユニット202の最大ストロークである。
図7Dに示すパンチ刃ユニット202は、最下点を脱して用紙被開孔面を通過してホームポジションHPへ上昇する状態である。この上昇期間中に、CPU55は、エンコーダ206によって検出されるパンチ刃復路時の速度検出信号S23を入力し、この速度検出信号S23に基づいて逆転ブレーキ保持時間Yを演算する。
図7Eに示すパンチ刃ユニット202は、ホームポジション検出直前の状態である。このとき、先に演算して求めて有る逆転ブレーキ保持時間Yに基づいてモータ逆転ブレーキ制御を実行する。これにより、常に、ホームポジション内でパンチ刃ユニット202を停止させることができる。図7Fに示すパンチ刃ユニット202は、ホームポジションHPに停止した状態であり、次の用紙3のパンチ処理を待機するようになる。
図8A〜Cは、パンチ刃21の復路行程(特定区間)におけるモータ制御例を示すタイミングチャートである。
図8Aに示すパルス数Pxは、図4に示したエンコーダ206からの速度検出信号S23に反映される出力パルス数Pxである。この例では、パルス数Px=88が区間#1と#2とを区切っている。同様にして、そのパルス数Px=91が区間#2と#3とを区切り、パルス数Px=94が区間#3と#4とを区切り、パルス数Px=97が区間#4と#5とを区切り、パルス数Px=100が区間#5と#6とを区切り、パルス数Px=103が区間#6と#7とを区切り、パルス数Px=106が区間#7と#8とを区切っている。
図8Bに示すエンコーダ206の出力波形において、CPU55は区間#1で通過時間Tx=t1を測定する。通過時間Tx=t1は当該区間中のパルス数Px=[88−85]のパルス幅から得られる。同様にして、区間#2で通過時間Tx=t2を測定する。通過時間Tx=t2はパルス数Px=[91−88]のパルス幅の合計から得られる。区間#3で通過時間Tx=t3を測定する。通過時間Tx=t3はパルス数Px=[94−91]のパルス幅の合計から得られる。
更に、区間#4で通過時間Tx=t4を測定する。通過時間Tx=t4はパルス数Px=[97−94]のパルス幅の合計から得られる。区間#5で通過時間Tx=t5を測定する。通過時間Tx=t5はパルス数Px=[100−97]のパルス幅の合計から得られる。区間#6で通過時間Tx=t6を測定する。通過時間Tx=t6はパルス数Px=[103−100]のパルス幅の合計から得られる。CPU55は区間#15に至るまで通過時間Tx=txを測定する。
この例では、図8Cに示す出力波形において、CPU55がエンコーダ206のパルス数Px「80」を検出したとき、モータ駆動部120へモータ制御信号S20を出力する。モータ制御信号S20はハイ・レベル(以下「H」レベルという)からロー・レベル(以下「L」レベルという)に立ち下がる信号である。これにより、モータ22のショートブレーキが開始される。ショートブレーキ期間中は、モータ22から電源が切り離され、端子間がショートされる。
CPU55は、図8Bに示した区間#1で計測した通過時間Tx=t1と、予め設定された設定値Th1とを比較する。この比較結果からt1<Th1を得た場合、CPU55は、区間#2に関して、ショートブレーキのまま制御を継続するようになる。
次に、CPU55は、区間#2で通過時間Tx=t2と設定値Th1とを比較する。この比較結果からt2>Th1を得た場合は、区間#2の比較結果を受けて、区間#3では、モータ22をCW方向のオン制御する。この例で、エンコーダ206のパルス数Pxが「91」のとき、モータ制御信号S20が「L」レベルから「H」レベルに立ち上がる。これにより、モータ22がCW方向のオン制御され、端子間に所定の電圧が印加されて駆動される。なお、モータ22には電気的時定数と機械的時定数があるため、モータ駆動部120にモータ制御信号S20を出力し、所定の電圧をモータ22に印加してから実際に、目標速度に到達するまでに、立ち上がり時間を要する。
更に、CPU55は、区間#3で通過時間Tx=t3と設定値Th1とを比較する。この比較結果からt3>Th1を得た場合は、区間#3の比較結果を受けて、区間#4では、モータ22へのCW方向のオン制御を継続する。この例では、エンコーダ206のパルス数Pxが「94」のときも、モータ制御信号S20は「H」レベルが維持され、モータ22の端子間へ印加されている電圧がそのまま継続されて駆動される。
また、CPU55は、区間#4で通過時間Tx=t4と設定値Th1とを比較する。この比較結果からt4<Th1が得られた場合は、区間#4の比較結果を受けて、区間#5では、モータ22のショートブレーキ制御を実行する。この例では、エンコーダ206のパルス数Pxが「97」のとき、モータ制御信号S20が「H」レベルから「L」レベルに立ち下がる。これにより、モータ22のショートブレーキが開始される。ショートブレーキ期間中、モータ22から電源が切り離され、端子間がショートされる。
以下、区間#5で通過時間Tx=t5と設定値Th1とを比較した結果、t5<Th1が得られ、区間#6で通過時間Tx=t6と設定値Th1とを比較した結果、t6<Th1が得られ、区間#6で通過時間Tx=t6と設定値Th1とを比較した結果、t6<Th1が得られ、区間#7で通過時間Tx=t7を測定し、・・・・といったような場合に、エンコーダ206のパルス数Pxが「100」、「103」・・・のとき、モータ制御信号S20は「L」レベルが維持され、モータ22のショートブレーキが継続される。
図9〜図11は、パンチ処理ユニット20’の制御例(その1〜3)を示すフローチャートである。
この例では、モータ22がモータ制御信号S20に基づいて回転すると、減速歯車が一周し、これに取り付けられているカムシャフト81を介してカム82が1回転し、パンチ刃21がホームポジションHPを出発して用紙に穿孔し、再びホームポジションHPに戻ってくる制御を前提とする。
エンコーダ206は速度検出信号S23に関してパルス数1〜157を出力する。パルス数Pxが85≦Px≦99である場合は設定値Th1と比較し、パルス数Pxが100≦Px≦120である場合は、設定値Th2と比較し、パルス数Pxが121≦Px≦129である場合は、設定値Th3と比較する場合を例に挙げる。なお、当該区間の通過時間をTxとしたとき、Txには区間#1の通過時間t1、区間#2の通過時間t2、・・・が代入される。
また、モータ駆動部120では、CPU55からのモータ22の起動命令を待機している状態である。モータ22は、電源が切り離され、端子間がショートされたショートブレーキ状態で待機している。この例で、パンチ処理命令は、上位の制御系からCPU55へ与えられる。
これらを制御条件にして、図9に示すフローチャートのステップST1でモータ駆動部120は、CPU55からのモータ22の起動命令を入力すると、モータ22をONする。このとき、CPU55からモータ駆動部120へ出力される、モータ制御信号S20が「L」レベルから「H」レベルに立ち上がる。
次に、ステップST2でCPU55はパンチ刃21のホームポジションHPを監視する。このとき、位置センサ212がそのホームポジションHPを検出すると、位置検出信号S24をCPU55に出力する。CPU55は、ステップST3で位置検出信号S24を受けて、パルスカウントを開始する。このとき、エンコーダ206は速度検出信号S23をCPU55内のカウンタに出力する。カウンタは、エンコーダ206から得られるパルス数Px=1〜157をカウント(検出)する。
その後、ステップST4でCPU55は、パルス数Pxが「80」に到達するのを監視する。この監視はパンチ刃21が用紙3を穿孔し、その後、再びホームポジションHPに戻る際の復路行程に突入する時点を見出すためである。パルス数Pxが「80」に到達した場合は、パンチ刃21が復路行程に突入したので、ステップST5に移行してCPU55は、ショートブレーキ制御を開始し、パルス数Pxが「84」になるまで制御を継続する。そして、ステップST6でパルス数Pxが「84」を越えたかを判別する。これはパンチ刃21が特定区間に突入したか否かを見出すためである。
パルス数Pxが「84」を越えた場合は、ステップST7に移行してCPU55はパルス数Pxが「99」を越えたかを判別する。パルス数Pxが85≦Px≦99である場合は、ステップST8に移行する。ステップST8で、CPU55は通過時間Txと設定値Th1を比較して制御を分岐する。
通過時間Txが設定値Th1よりも大きい場合は、ステップST9に移行して、次の区間#(N+1)を通過する間、パルス数Pxに関してPx+1〜Px+3だけ、モータ22をCW方向にONする。又は、その間、モータ22をフリーランさせる。モータ22のフリーランとは、電源端子を開放し、モータ22を慣性により回転させることをいう。
図8Bに示した例によれば、CPU55が区間#2で通過時間Tx=t2と設定値Th1とを比較する。この比較結果からt2>Th1を得ているので、この区間#2の比較結果を受けて、区間#3では、モータ22をCW方向にオン制御するようになされる。その後、ステップST7に戻る。
なお、通過時間Txが設定値Th1よりも小さい場合は、ステップST10に移行して次の区間#(N+1)を通過する間、パルス数Pxに関してPx+1〜Px+3だけ、モータ22のショートブレーキを継続する。図8Bに示した例によれば、CPU55が区間#1で計測した通過時間Tx=t1と、予め設定された設定値Th1とを比較する。CPU55は、比較結果からt1<Th1を得ているので、区間#2に関して、ショートブレーキのまま制御を継続するようになる。その後、ステップST7に戻る。
上述のステップST7でパルス数Pxが99を越えた場合は、図10に示すステップST11に移行する。ステップST11でCPU55はパルス数Pxが「120」を越えたかを判別する。パルス数Pxが100≦Px≦120である場合は、ステップST12に移行する。ステップST12で、CPU55は通過時間Txと設定値Th2を比較して制御を分岐する。
通過時間Txが設定値Th2よりも大きい場合は、ステップST13に移行して、次の区間#(N+1)を通過する間、パルス数Pxに関してPx+1〜Px+3だけ、モータ22をCW方向にONする。又は、その間、モータ22をフリーランさせる。このとき、CPU55が区間#Nで通過時間Txと設定値Th2とを比較する。この比較結果からTx>Th2を得た場合は、この区間#Nの比較結果を受けて、区間#(N+1)では、モータ22をCW方向にオン制御するようになされる。その後、ステップST11に戻る。
また、通過時間Txが設定値Th2よりも小さい場合は、ステップST14に移行して次の区間#(N+1)を通過する間、パルス数Pxに関してPx+1〜Px+3だけ、モータ22のショートブレーキを継続する。このとき、CPU55が区間#Nで計測した通過時間Txと、予め設定された設定値Th2とを比較する。CPU55は、比較結果からTx<Th2を得た場合は、次の区間#(N+1)に関して、ショートブレーキのまま制御を継続するようになる。その後、ステップST11に戻る。
上述のステップST11でパルス数Pxが「120」を越えた場合は、図10に示すステップST15に移行する。ステップST15でCPU55はパルス数Pxが「129」を越えたかを判別する。パルス数Pxが121≦Px≦129である場合は、ステップST16に移行する。ステップST16で、CPU55は通過時間Txと設定値Th3を比較して制御を分岐する。
通過時間Txが設定値Th3よりも大きい場合は、ステップST17に移行して、次の区間#(N+1)を通過する間、パルス数Pxに関してPx+1〜Px+3だけ、モータ22をCW方向にONする。又は、その間、モータ22をフリーランさせる。このとき、CPU55が区間#Nで通過時間Txと設定値Th3とを比較する。この比較結果からTx>Th3を得た場合は、この区間#Nの比較結果を受けて、区間#(N+1)では、モータ22をオン制御するようになされる。その後、ステップST15に戻る。
また、通過時間Txが設定値Th3よりも小さい場合は、ステップST18に移行して次の区間#(N+1)を通過する間、パルス数Pxに関してPx+1〜Px+3だけ、モータ22のショートブレーキを継続する。このとき、CPU55が区間#Nで計測した通過時間Txと、予め設定された設定値Th3とを比較する。CPU55は、比較結果からTx<Th3を得た場合は、次の区間#(N+1)に関して、ショートブレーキのまま制御を継続するようになる。その後、ステップST15に戻る。
上述のステップST15でパルス数Pxが129を越えた場合は、ステップST16ないしステップST17の状態をPx=132まで維持して、図11に示すステップST19に移行する。ステップST19でCPU55は、速度検出信号S23に基づくパルス数Pxに関して、133≦Px≦137の区間の通過時間Tx=tBを測定する。なお、この区間、モータ22にはショートブレーキ状態が維持される。
そして、ステップST20でCPU55は、通過時間Tx=tBを(1)式のXに代入し、定数αに4.3を代入し、βに19を各々代入して、逆転ブレーキ力保持時間Y=TCCWを演算する。すなわち、上述の(1)式は、(1)’式に書き換えられる。
TCCW=−4.3tB+19 ・・・・(1)’
但し、α=4.3や、β=19は実験値であり、本発明者らが実験をして、最適な逆転ブレーキ力保持時間TCCWが得られたときの値である。CPU55は、図5に示したポジション(iv)で、上述の(1)’式を利用して逆転ブレーキ保持時間TCCWを演算するようになる。TCCWはパンチ刃21の速度を「0」とするための時間である。
その後、ステップST21でCPU55はパンチ刃21のホームポジションHPを監視する。このとき、パンチ刃21がホームポジションに突入(IN)すると、位置センサ212がCPU55に位置検出信号S24を出力する。CPU55は、ステップST22で位置検出信号S24を受けて、図5に示したポジション(v)で逆転ブレーキ保持時間Tx=TCCW[msec]だけ、逆転ブレーキを実行する。このとき、同図のポジション(vi)の保持時間に強い制動力がモータ22で発生する。
逆転ブレーキ終了後、ステップST23でCPU55はショートブレーキ制御を実行する。このとき、図5に示したポジション(vii)でCPU55は、モータ22の逆転ブレーキ制御に連続して、モータ駆動部120を介してモータ22に対してショートブレーキ制御を実行する。これにより、モータ22の速度制御を終了する。
このように、実施形態としての用紙穿孔装置を応用したバインド装置100及びその制御方法によれば、所定の用紙3に孔を穿孔する場合に、制御部50は、パンチ刃復路時の特定区間を15個に区切った区間#1〜#15を設定し、表2に示したように、グループAの区間#1〜#5に設定値Th1を設定し、グループBの区間#6〜#12に設定値Th2を設定し、グループCの区間#13〜#15に設定値Th3を設定し、各々の区間#1〜#15毎にパンチ刃21の実際の通過時間Txを測定し、当該グループ毎に設定された設定値Th1や、Th2、Th3等と実測により得られる通過時間Tx=txとを比較し、この比較結果に基づいて次の区間#(N+1)におけるパンチ刃駆動用のモータ22の駆動又は制動を制御するようになされる。
従って、パンチ刃21の復路時の速度制御を高精細かつ高分解能で実行できるので、パンチ刃21がホームポジションHPの手前で停止したり、パンチ刃21がホームポジションHPを越えて停止する事態を回避できるようになった。これにより、用紙3が厚い場合も薄い場合も、穿孔後のパンチ刃21を再現性良くホームポジションHPに停止させることができる。従って、常にホームポジションHPを基準にしてパンチ刃21を往復動作させることができる。
上述した実施形態では、特定区間の設定パルス数Px=85〜130を3パルス毎に区切った場合について説明したが、これに限られることはなく、これらを1パルス毎に区切ってモータ22の速度制御を実行してもよい。より一層高精度にモータ22の速度制御を実行できるようになる。