JP5034147B2 - 二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は二次電池に関するものであり、特にエネルギー密度が高く、高容量で安定性に優れた二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話といった小型あるいは携帯電子機器の急速な市場拡大に伴い、これらに用いられる電池に対して軽量化、高容量化を求める要求が高まっている。この要求に応えるために、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンを荷電担体とし、その電荷授受に伴う電気化学反応を利用した二次電池が盛んに開発されている。なかでも、リチウムイオン二次電池は、安定性に優れたエネルギー密度の大きい高容量電池として種々の電子機器に利用されている。このようなリチウムイオン二次電池は、活物質として正極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムといったリチウム含有遷移金属酸化物、負極に炭素を用いたものであり、これら活物質へのリチウムイオンの挿入、脱離反応を利用して充放電を行っている。
【0003】
しかしながら、上述したリチウムイオン二次電池は特に正極に比重の大きな金属酸化物を用いているため、単位質量当たりの電池容量は充分とは言えず、より軽量の電極材料を用いて高容量電池を開発しようとする試みが検討されてきた。例えば、米国特許第4,833,048号公報、および特許第2715778号公報には、ジスルフィド結合を有する有機化合物を正極に用いた電池が開示されている。これはジスルフィド結合の生成、解離を伴う電気化学的酸化還元反応を電池の原理として利用したものである。この電池は硫黄や炭素といった比重の小さな元素を主成分とする電極材料から構成されているため、高エネルギー密度の大容量電池という点において一定の効果を奏している。しかし、解離した結合が再度結合する効率が小さいことや、活物質の電解液への拡散のため、充放電サイクルを重ねると容量が低下しやすいという欠点がある。
【0004】
一方、同じく有機化合物を利用した電池として、導電性高分子を電極材料に用いた電池が提案されている。これは導電性高分子に対する電解質イオンのドープ、脱ドープ反応を原理とした電池である。ここで述べるドープ反応とは、導電性高分子の酸化もしくは還元によって生ずる荷電ソリトンやポーラロン等のエキシトンを、対イオンによって安定化させる反応のことである。一方、脱ドープ反応とはその逆反応に相当し、対イオンによって安定化されたエキシトンを電気化学的に酸化もしくは還元する反応のことを示している。
【0005】
米国特許第4,442,187号公報には、上述のような導電性高分子を正極もしくは負極の材料とする電池が開示されている。この電池は、炭素や窒素といった比重の小さな元素のみから構成されたものであり、高容量電池として開発が期待された。しかし、導電性高分子には、酸化還元によって生じるエキシトンがπ電子共役系の広い範囲に亘って非局在化し、それらが相互作用するという性質がある。これは発生するエキシトンの濃度に限界をもたらすものであり、電池の容量を制限するものである。このため、導電性高分子を電極材料とする電池では軽量化という点で一定の効果を奏しているものの、大容量という点からは不充分である。
【0006】
以上述べてきたように、高容量電池を実現するために、遷移金属含有活物質を利用しない様々な電池の提案がなされている。しかし、エネルギー密度が高く、高容量で安定性に優れた電池は未だ得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、正極に遷移金属酸化物を用いるリチウムイオン電池では、元素の比重が大きいため、現状を上回る高容量電池の製造が原理的に困難であった。このため、高容量電池を実現するために、遷移金属含有活物質を利用しない様々な電池の提案がなされているが、エネルギー密度が高く、高容量で安定性に優れた電池は未だ得られていない。本発明は、エネルギー密度が高く、高容量で充放電サイクルの安定性に優れた新規な二次電池を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、前記課題は、電極の活物質として、その構造中に下記一般式(1)で表される構造を酸化状態で、下記化学式(2)で表される構造を還元状態で有する化合物を用いることにより解決できることを見いだした。
【化5】
(一般式(1)において、Y−は、電解質に含まれる電解質塩を構成する対アニオンであって、PF 6 − 、ClO 4 − 、BF 4 − 、Z−SO 3 − 、N(Z−SO 2 ) 2 − [ZはC n F 2n+1 (nは1乃至8)、アルキル基、またはアルキル置換もしくは無置換の芳香族基を表す]からなる群の中から選ばれる対アニオンである。)
【化6】
(化学式(2)において、Li +は、電解質に含まれる電解質塩を構成する対カチオンである。)
【0009】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記(A)〜(B)に示す二次電池を提供する。
【0010】
(A)少なくとも正極、負極および電解質を構成要素とする二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、酸化状態において、一般式(1)で表される構造を有し、還元状態において、化学式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする二次電池。
【0011】
(B)少なくとも正極、負極および電解質を構成要素とする二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、2種以上の物質からなり、そのうち少なくとも一つの物質が、酸化状態において一般式(1)で表される構造、還元状態において化学式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする二次電池。
【0014】
すなわち、本発明は、上記の化合物が電極活物質として優れていることを見出したものである。この酸化還元反応は反応式(3)に示す通りである。
【化7】
【0015】
本発明における充放電メカニズムとしては、本発明の活物質が電極反応によりカチオンイオンの状態とアニオンイオンの状態に可逆的に変化して電荷を蓄積する。この電極反応は、4電子が関与する酸化還元反応であるため、高容量の蓄電が容易にできる。
【0016】
本発明では、これらを活物質材料として用いる電極は、正極または負極のいずれかに限定されるものではない。ただし、エネルギー密度の観点から、特に正極の電極活物質として用いることが好ましい。本発明において、電解質カチオン、電解質アニオンは特に限定されないが、高容量が得られるという点から特に電解質カチオンに関してはリチウムイオンが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の電池は、例えば図1に示すような構成である。図1に示された電池は、負極1と正極2とを電解質を含んだセパレータ3を介して重ね合わせたものをラミネートフィルムを外装材として封止した構成である。本発明では、負極1、または正極2の電極活物質の少なくとも一方の主たる成分がラジカル化合物である。図2は図1のA−A’断面図であり、負極集電体1−2、負極層1−1、電解質を含んだセパレータ3、正極層2−1、正極集電体2−2を順に重ね合わせた構造である。本発明では電極の積層方法は特に限定されず、正極、および負極が対向するように重ね合わせたものを多層積層したもの、重ね合わせたものを巻回したもの等が利用できる。
【0018】
本発明の活物質である一般式(1)で表される構造を酸化状態で、化学式(2)で表される構造を還元状態でとる化合物としては、例えば反応式(3)のように酸化還元反応を行う化合物が挙げられる。
【化8】
【0019】
本発明の電池において活物質は固体状態であっても、また、電解質へ溶解または分散した状態であってもよい。ただし、固体状態で用いる場合、電解液への溶解による容量低下が少ないため、電解液に対し不溶性または低溶解性のものが好ましい。また、本発明の電池において活物質は通常単独で用いられるが、二種類以上を組み合わせて用いても良い。また、他の活物質と組み合わせて用いても良い。
【0020】
本発明の電池は正極または負極の一方の活物質として本発明の活物質を用いる場合、もう一方の電極層に電池の活物質として従来公知のものが利用できる。このようなものとして、例えば負極層に本発明の活物質を用いる場合には正極層として金属酸化物粒子、ジスルフィド化合物、および導電性高分子等が用いられる。ここで、金属酸化物としては例えばLiMnO2、LixMn2O4(0<x<2)等のマンガン酸リチウムあるいはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO2、LiCoO2、LiNiO2、あるいはLixV2O5(0<x<2)等が、ジスルフィド化合物としてはジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオール等が、また、導電性高分子にはポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。本発明ではこれらの正極層材料を単独、もしくは組み合わせて使用することもできる。
【0021】
一方、正極層に本発明の活物質を用いた場合には負極層としてグラファイトや非晶質カーボン、リチウムやリチウム合金、リチウムイオン吸蔵炭素、ナトリウム、ナトリウム合金、導電性高分子等を用いることができる。これらの形状としては特に限定されず、例えばリチウム金属では薄膜状のものに限らず、バルク状のもの、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等であっても良い。また、これらの負極活物質を単独、もしくは組み合わせて使用できる。
【0022】
本発明の活物質を正極層に用いる場合、本発明の活物質と従来公知の正極活物質とを組み合わせ複合電極としてもよい。従来公知の正極活物質の例としては、LiMnO2、LixMn2O4(0<x<2)等のマンガン酸リチウムあるいはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO2、LiCoO2、LiNiO2、あるいはLixV2O5(0<x<2)等が、ジスルフィド化合物としてはジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6−トリチオール等が、また、導電性高分子にはポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられる。
【0023】
本発明の活物質を負極層に用いる場合、本発明の活物質と従来公知の負極活物質とを組み合わせ複合電極としてもよい。従来公知の負極活物質の例としては、グラファイトや非晶質カーボン、リチウムやリチウム合金、リチウムイオン吸蔵炭素、ナトリウム、ナトリウム合金、導電性高分子等が挙げられる。
【0024】
本発明では電極層を形成する際に、インピーダンスを低下させる目的で、補助導電材やイオン伝導補助材を混合させることもできる。これらの材料としては、補助導電材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子が挙げられ、イオン伝導補助材としては高分子ゲル電解質、高分子固体電解質等が挙げられる。
【0025】
本発明では、各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。
【0026】
本発明では、電極反応をより潤滑に行うために、酸化還元反応を助ける触媒を用いることもできる。このような触媒としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子、ピリジン誘導体、ピロリドン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、アクリジン誘導体等の塩基性化合物、金属イオン錯体等が挙げられる。
【0027】
本発明では、負極集電体、正極集電体として、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属箔や金属平板、メッシュ状電極、炭素電極等を用いることができる。また、集電体に触媒効果を持たせたり、活物質と集電体とを化学結合させたりしてもよい。一方、上記の正極、および負極が接触しないように多孔質フィルムからなるセパレーターや不織布を用いることもできる。
【0028】
本発明において電解質は、負極層と正極層の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には室温で10-5〜10-1S/cmのイオン伝導性を有している。本発明では、電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。本発明では電解質塩として、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N、Li(CF3SO2)3C、Li(C2F5SO2)3C等の従来公知の材料を用いることができる。また、電解液の溶剤としては例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。本発明ではこれらの溶剤を単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。
【0029】
さらに、本発明では電解質として固体電解質を用いることもできる。これら固体電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体や、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、これらのアクリレート体やメタクリレート体の重合体などが挙げられる。これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを用いても、高分子化合物のみをそのまま用いても良い。
【0030】
本発明において、電池の形状は特に限定されず、従来公知の形状とすることができる。電池形状としては、電極積層体、あるいは巻回体を金属ケース、樹脂ケース、あるいはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムからなるラミネートフィルム等によって封止したもの等が挙げられ、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等で作製されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
本発明の電池の製造方法は特に限定されず、材料に応じて様々な方法を用いることができる。例えば、活物質に溶剤を加えスラリー状にして電極集電体に塗布し、加熱もしくは常温で溶剤を揮発させたのちに、対極、セパレータを挟んで積層または巻回して外装体で包み、電解液を注入して封止するといった方法である。溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等のアミン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素等が挙げられる。
【0032】
本発明において、電極からのリードの取り出し、外装等のその他の製造条件は二次電池の製造方法として従来公知の方法を用いることができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の詳細について実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
ガス精製装置を備えたドライボックス中でアルゴン雰囲気下、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体60mgに1mol/lのLiPF6電解質塩を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合比1:1)からなる電解液140mgを混合し、ここへテトラヒドロフラン1.2gを加えて溶解した。これにより、ゲル電解質のテトラヒドロフラン溶液を作製した。
【0035】
つづいて、ガラス製容器に化学式(A)
【化9】
の構造を有する化合物を30mg、補助導電剤としてグラファイト粉末60mg、イオン導電補助剤としてゲル電解質のテトラヒドロフラン溶液200mgを加えて、混合した。その後、テトラヒドロフラン1gを加えて全体が均一になるまで3分間さらに混合したところ、黒色のスラリーが得られた。得られたスラリー200mgをリード線を備えたアルミ箔(面積:1.5cm×1.5cm、厚さ100μm)の表面に滴下し、ワイヤーバーで全体が均一な厚さになるように展開した。室温で120分間放置したところ、溶剤のテトラヒドロフランが気化し、アルミ箔上に化学式(A)の構造を有する化合物を含む有機化合物の層が形成された。
【0036】
次に、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体600mgに1mol/lのLiPF6電解質塩を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合比1:1)からなる電解液1400mgを混合し、テトラヒドロフラン11.3gを加えて室温で撹拌した。フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が溶解した後、ガラス板上に塗布し、厚さが1mmとなるようにした。1時間放置し、溶剤のテトラヒドロフランを自然乾燥させると、ガラス板上に厚さ150μmのゲル電解質膜が得られた。
【0037】
その後、化学式(A)の構造を有する化合物を含む有機化合物の層を形成したアルミ箔に、ゲルを含浸した不織布を積層し、さらにリード線を備えたリチウム張り合わせ銅箔(リチウム膜厚30μm、銅箔の膜厚20μm)を重ね合わせた。全体を厚さ5mmのポリテトラフルオロエチレン製シートで鋏み、圧力を加えて電池を作製した。
【0038】
以上のように作製した正極活物質として化学式(A)の構造を有する化合物、負極活物質として金属リチウムを用いた電池を用いて、0.1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.2V付近から2.8V付近まで約6時間保たれた。この間の平均電圧は約3.0Vであった。その後、2.8Vから1.5Vに急激に低下した。さらに4.0〜2.0Vの範囲で充放電を10回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.2V付近から2.8V付近まで約6時間保たれ、その後2.8Vから2.0Vに急激に低下することが繰り返された。
【0039】
(実施例2)
実施例1と同様の方法で電池を作製した。ただし、化学式(A)の構造を有する化合物の代わりに、化学式(2)
【化10】
の構造を有する化合物を用いた。この電池を用い0.1mAの定電流で4.2Vになるまで充電を行った。つづいて、0.1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は3.2V付近から2.8V付近まで約10時間保たれた。この間の平均電圧は約3.0Vであった。その後、2.8Vから1.5Vに急激に低下した。さらに4.0〜2.0Vの範囲で充放電を10回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行っても放電時に3.2V付近から2.8V付近まで約10時間保たれ、その後2.8Vから2.0Vに急激に低下することが繰り返された。
【0040】
(参考例)
実施例1と同様の方法で電池を作製した。ただし、化学式(A)の構造を有する化合物は用いなかった。この電池を用い4.2Vまで0.1mAの定電流で充電を行ったところ、電圧は4.2Vまでに急激に上昇した。さらに、この電池を用い、0.1mAの定電流で放電を行った。その結果、電圧は1.5Vに急激に低下した。さらに4.0〜1.5Vの範囲で充放電を10回繰り返した。その結果、繰り返し充放電を行うと、充電時に電圧は急激に上昇し、放電時に電圧は急激に低下することが繰り返された。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、活物質として、その構造中に一般式(1)で表される構造を酸化状態で、化学式(2)で表される構造を還元状態で有する化合物を用いた新規な電池を提案したものである。これにより、電極活物質として重金属を含まない軽くて安全な元素から構成される電池を作製することを可能とするものであり、また、エネルギー密度が高く、高容量で安定性に優れた電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池の構成の一例を示す正面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【符号の説明】
1・・・負極、1−1・・・負極層、1−2・・・負極集電体、2・・・正極、2−1・・・正極層、2−2・・・正極集電体、3・・・電解質を含むセパレータ、4・・・負極端子、5・・・正極端子、6・・・ラミネートフィルム
Claims (2)
- 少なくとも正極、負極および電解質を構成要素とする二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、酸化状態において、一般式(1)で表される構造を有し、還元状態において、化学式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする二次電池。
- 少なくとも正極、負極および電解質を構成要素とする二次電池において、正極および負極の少なくとも一方の活物質が、2種以上の物質からなり、そのうち少なくとも一つの物質が、酸化状態において一般式(1)で表される構造、還元状態において化学式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする二次電池。
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