JP5032860B2 - 位相差フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
(式中、Re(450nm)及びRe(650nm)はそれぞれ波長450nm及び波長650nmでの位相差値を示す)
前記位相差フィルムは、位相差に関して正の波長依存性を示す。すなわち、波長550nmでの位相差値を基準値としたとき、波長400〜700nmにおいて、550nm未満の波長での位相差値が基準値と同じであるか又は基準値よりも小さく、550nmを越える波長での位相差値が基準値と同じであるか又は基準値よりも大きい。より具体的には、本発明の位相差フィルムは、下記式を満足してもよい。
1.00<Re(650nm)/Re(550nm)<1.6
(式中、Re(450nm)、Re(550nm)及びRe(650nm)は、それぞれ波長450nm、波長550nm及び波長650nmでの位相差値を示す)
グルカン誘導体(セルロース誘導体など)は、セルロースアシレート、例えば、アシル基の平均置換度1.5〜2.95のセルロースアシレートであってもよい。さらに、グルカン誘導体(セルロース誘導体など)は、アシル基の平均置換度2.0〜2.9のセルロースC2−4アシレートであってもよい。このようなグルカン誘導体(セルロース誘導体など)は、通常、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、及びセルロースアセテートブチレートから選択された少なくとも一種である場合が多い。
グルカンとしては、特に限定されず、例えば、β−1,4−グルカン、α−1,4−グルカン、β−1,3−グルカン、α−1,6−グルカンなどが挙げられる。代表的なグルカンとしては、例えば、セルロース、アミロース、デンプン、レンチナン、デキストランなどの多糖類が挙げられる。グルカンは単独で又は2種以上合わせて使用できる。これらのグルカンうち、セルロース、デンプン(又はアミロース)、特にセルロースが好ましい。セルロースとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、コットンリンターパルプなどの種々のセルロース源が使用できる。これらのパルプは、通常、ヘミセルロースなどの異成分を含有していてもよい。パルプとしては、針葉樹パルプ及びリンターパルプから選択された少なくとも一種のパルプを使用する場合が多い。高品位セルロースのα−セルロース含有量は、98%以上(例えば、98.5〜100%、好ましくは99〜100%、さらに好ましくは99.5〜100%程度)であってもよい。
ヒドロキシ酸成分としては、ヒドロキシアルカンカルボン酸、環状エステルなどが例示でき、環状エステルには、ラクトン(環状モノエステル)、及び環状ジエステルが含まれる。ヒドロキシアルカンカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸(L−乳酸、D−乳酸、)、ヒドロキシプロピオン酸(ヒドロアクリル酸)、α−オキシ酪酸、6−ヒドロキシヘキサン酸などのヒドロキシC2−10アルカンカルボン酸(好ましくはα−ヒドロキシC2−6アルカンカルボン酸、さらに好ましくはα−ヒドロキシC2−4アルカンカルボン酸)などが例示できる。なお、ヒドロキシ酸は、低級アルキルエステル(例えば、C1−2アルキルエステル)化されていてもよい。これらのヒドロキシ酸のうち、特に、α−ヒドロキシ酸[特に、乳酸(L−乳酸、D―乳酸、又はこれらの混合物)]が好ましい。ヒドロキシ酸は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。ラクトン(環状モノエステル)としては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ラウロラクトン、エナントラクトン、ドデカノラクトン、ステアロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン、γ−メチル−ε−カプロラクトン、β,δ−ジメチル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラクトンなどのC3−20ラクトン、好ましくはC4−15ラクトン、さらに好ましくはC4−10ラクトン)などが例示できる。環状ジエステルとしては、例えば、グリコリド、ラクチド(L−ラクチド、D−ラクチド又はこれらの混合物)などのC4−15環状ジエステル、好ましくはC4−10環状ジエステルなど)などが挙げられる。
グルカン誘導体とヒドロキシ酸成分(環状エステルなど)との反応において、ヒドロキシ酸成分の重合を単独で(又は活性水素原子を有する開始剤を含まず、ヒドロキシ酸成分と触媒と不活性溶媒だけの反応系で)重合活性を示す触媒(触媒する触媒)を用いると、ヒドロキシ酸成分のホモポリマーが生成する。そのため、本発明では、ヒドロキシ酸成分(環状エステルなど)の重合(又は開環重合、グラフト重合)を触媒する化合物のうち、活性水素原子(ヒドロキシル基、アミノ基の活性水素原子)を有さず又は反応系で活性水素原子を生成せず、触媒単独では(活性水素原子を有する開始剤の非存在下では)、ヒドロキシ酸成分の重合を開始しない(又は重合活性を示さない)触媒、例えば、金属錯体(又は金属化合物)を使用する。このような触媒を用いると、活性水素原子を有する化合物(開始剤、特に水)が共存しない場合には、ヒドロキシ酸成分(環状エステルなど)の重合が開始せず(又は実質的に開始しない)、ヒドロキシル基を有するグルカン誘導体との共存(又は併用)下において、ヒドロキシ酸成分(環状エステルなど)の重合が開始し、ヒドロキシ酸成分のホモポリマー(又はオリゴマー)の生成を有効に防止でき、高い効率でグラフト重合体が得られる。
上記式(1)において、基R1、R2、X1およびX2としては、ヒドロキシル基以外の置換基であればよく、例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、へキシル基、2−エチルへキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのC1−24アルキル基、好ましくはC1−16アルキル基、さらに好ましくはC1−8アルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などのC2−10アルケニル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC4−10シクロアルキル基など)、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)など]、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ラウリルオキシ基などのC1−20アルコキシ基)、シクロアルキルオキシ基(例えば、シクロヘキシルオキシ基などのC4−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基など)、アシル基[例えば、ホルミル基、アルキルカルボニル基又はアルカノイル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ドデカノイル基などのC2−24アルキルカルボニル基、好ましくはC2−20アルキルカルボニル基;(メタ)アクリロキシ基などのC2−10アルケニルカルボニル基など)、アリールカルボニル基又はアロイル基(例えば、ベンゾイル基などのC7−10アリールカルボニル基)など]、アシルオキシ基[例えば、ホルミルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ラウロイルオキシ基(ドデカノイルオキシ基)、ヘキサデカノイルオキシ基、オクタデカノイルオキシ基などのC2−24アルキルカルボニルオキシ基、好ましくはC2−20アルキルカルボニルオキシ基、さらに好ましくはC2−16アルキルカルボニルオキシ基)、シクロアルキルカルボニルオキシ基(例えば、シクロヘキシルカルボニルオキシ基などのC4−10アルキル−カルボニルオキシ基など)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ基などのC7−10アリールカルボニルオキシ基)など]、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのC1−10アルコキシ−カルボニル基など)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、窒素原子含有基(例えば、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基など)などが挙げられる。これらの置換基(配位子)は、単独で又は2種以上組み合わせて、スズ原子に置換していてもよい。
ヒドロキシ酸成分(環状エステルなど)を用いた重合反応系では、水に対する溶解度が小さな特定の溶媒(疎水性溶媒)又は水分含有量の少ない溶媒を使用すると、水の影響を極力抑え、ヒドロキシ酸成分(環状エステルなど)のホモポリマーの生成を著しく抑制できる。そこで、前記特定の触媒と特定の溶媒とを組み合わせることにより、ヒドロキシ酸成分単独の重合(すなわち、環状エステルなどのホモポリマーの生成)を抑制するのが有用である。また、溶媒の非存在下、前記特定の触媒を用いることによっても、ヒドロキシ酸成分単独の重合を抑制できる。
前記グルカン誘導体とヒドロキシ酸成分との反応により得られる変性グルカン誘導体は、ヒドロキシ酸成分の遊離のホモポリマー(オリゴマー)の含有量が少なく、グルカン誘導体のヒドロキシル基(開始基)に対してヒドロキシ酸成分が有効にグラフトしているという特色がある。ヒドロキシ酸成分のグラフト割合(平均付加モル数)は、ヒドロキシ酸換算で、グルコース単位1モルに対して、平均0.01〜5モル程度の範囲から選択でき、通常、0.1〜4モル(例えば、0.3〜3モル)、好ましくは0.5〜2.5モル、さらに好ましくは0.6〜2.0モル(例えば、0.7〜1.8モル)程度である。
前記変性グルカン誘導体で構成された位相差フィルムは、未延伸フィルムであってもよく延伸フィルム(一軸又は二軸延伸フィルム)であってもよい。位相差フィルムは、通常、未延伸フィルム又は一軸延伸フィルムである場合が多い。延伸倍率は、レタデーション値に応じて1.05〜5倍程度の範囲から適当に選択でき、例えば、1.1〜3倍、好ましくは1.15〜2.5倍、さらに好ましくは1.2〜2倍(例えば、1.3〜1.7倍)程度であってもよい。
(式中、Re(450nm)及びRe(650nm)はそれぞれ波長450nm及び波長650nmでの位相差値(レタデーション値)を示す)
すなわち、本発明の位相差フィルムは、波長550nmでの位相差値(レタデーション値)を基準値としたとき、波長400〜700nmにおいて、550nm未満の波長での位相差値が基準値と同じであるか又は基準値よりも小さく、550nmを越える波長での位相差値(レタデーション値)が基準値と同じであるか又は基準値よりも大きい。より具体的には、前記式(1)において、Re(450nm)/Re(650nm)=Xとすると、X=0.3〜0.98、好ましくは0.35〜0.95、さらに好ましくは0.38〜0.93(例えば、0.4〜0.92)程度であってもよい。
1.00<Re(650nm)/Re(550nm)<1.6 (3)
(式中、Re(450nm)、Re(550nm)及びRe(650nm)は、それぞれ波長450nm、波長550nm及び波長650nmでの位相差値を示す)
前記式(2)及び(3)において、Re(450nm)/Re(550nm)=Yとすると、Y=0.3〜0.98、例えば、0.35〜0.98(例えば、0.4〜0.97)、好ましくは0.45〜0.96、さらに好ましくは0.5〜0.95(例えば、0.55〜0.93)程度であってもよく、Re(650nm)/Re(550nm)=Zとすると、Z=1.01〜1.6、例えば、1.01〜1.5(例えば、1.02〜1.45)、好ましくは1.02〜1.4(例えば、1.02〜1.35)、さらに好ましくは1.03〜1.3(例えば、1.04〜1.25)程度であってもよい。
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚みを示す。)
本発明の位相差フィルムは、通常、可視光域において、波長が大きくなるにつれて位相差も大きくなり、波長が短くなるにつれて位相差も小さくなる。すなわち、正の波長分散特性を有している。そのため、可視光域での光線の位相のずれを補償し、鮮明な色再現性を実現するのに有効である。
位相差フィルムは、慣用の方法でフィルム又はシート成形し、得られたフィルム又はシートを延伸(又は配向処理)することなく製造してもよく、延伸(又は配向処理)することにより製造してもよい。フィルム成形には、押し出し成形、ブロー成形などの溶融成形法(溶融製膜法)を利用してもよく、流延成形法(流延製膜法)を利用してもよい。フィルム成形には、通常、流延成形法が利用される。溶融成形法では、押出機を用いて前記変性グルカン誘導体単独又は変性グルカン誘導体を含む組成物を溶融してダイのスリットからフィルム状に押出成形し、冷却することによりフィルム又はシートを調製し、このフィルム又はシートを延伸(又は配向処理)するか又は延伸することなく、位相差フィルムを得ることができる。溶融成形法ではTダイを利用して押し出し成形する場合が多い。なお、溶融製膜法では、ダイからの溶融フィルム又はシートの引き取りによりフィルム又はシートを配向させることもできる。本願明細書では、このような配向も延伸の概念に含めることができる。
(グラフト体の調製)
撹拌機、いかり型撹拌翼を備えた反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、平均置換度2.41)70重量部を加え、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージし、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン30重量部、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン(ANON)67重量部を加えて150℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応系中の水分含量は、0.03重量%であった。この混合液にモノブチルスズトリオクチレート0.25重量部を添加し、150℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応混合液を室温まで冷却し反応を終結させ反応生成物を得た。さらに、クロロホルム90重量部に対して反応生成物10重量部を溶解した後、大過剰のメタノール900重量部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(グラフト体)を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃で5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンがセルロースアセテートにグラフトしたグラフト体(セルロースアセテート−カプロラクトングラフト共重合体)を得た。
得られたグラフト体15重量部、塩化メチレン78重量部、およびメタノール7重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置しドープ中の泡を除いた。
実施例1で得られたフィルム(未延伸フィルム)を、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、140℃で幅方向に1.2倍延伸させた。得られた膜厚97μmのフィルム(1.2倍延伸)の波長分散性(波長依存性)を、前記自動複屈折率計を用いて実施例1と同様の条件で測定したところ、Re(450nm)/Re(650nm)=0.90、Re(450nm)/Re(550nm)=0.93、Re(650nm)/Re(550nm)=1.04、Re(550nm)=99nmとなった。このフィルムは測定波長が短波長になるほど位相差が小さくなり、正の波長分散特性を有することを確認した。
実施例1で得られたフィルム(未延伸フィルム)を、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、140℃で幅方向に1.5倍延伸させた。得られた膜厚92μmのフィルム(1.5倍延伸)の波長分散性(波長依存性)を、前記自動複屈折率計を用いて実施例1と同様の条件で測定したところ、Re(450nm)/Re(650nm)=0.90、Re(450nm)/Re(550nm)=0.93、Re(650nm)/Re(550nm)=1.04、Re(550nm)=185nmとなった。このフィルムは測定波長が短波長になるほど位相差が小さくなり、正の波長分散特性を有することを確認した。
(グラフト体の調製)
撹拌機、いかり型撹拌翼を備えた反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、NAC、平均置換度2.80)70重量部を加え、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン30重量部、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン(ANON)67重量部を加えて160℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応系中の水分含量は、0.04重量%であった。この混合液にモノブチルスズトリオクチレート0.25重量部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応混合液を室温まで冷却し反応を終結させ反応生成物を得た。さらに、クロロホルム90重量部に対して反応生成物10重量部を溶解した後、大過剰のメタノール900重量部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(グラフト体)を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンがセルロースアセテートにグラフトしたグラフト体(セルロースアセテート−カプロラクトングラフト共重合体)を得た。
得られたグラフト体を用いて、実施例1と同様にフィルムを製膜した。得られたフィルム(未延伸フィルム)を、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、160℃で幅方向に1.5倍延伸させた。得られた膜厚107μmのフィルム(1.5倍延伸フィルム)の波長分散性(波長依存性)を、前記自動複屈折率計を用いて実施例1と同様の条件で測定したところ、Re(450nm)/Re(650nm)=0.42、Re(450nm)/Re(550nm)=0.53、Re(650nm)/Re(550nm)=1.27、Re(550nm)=44nmとなった。このフィルムは測定波長が短波長になるほど位相差が小さくなり、正の波長分散特性を有することを確認した。
(グラフト体の調製)
撹拌機、いかり型撹拌翼を備えた反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、平均置換度2.41)50重量部、L−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製)50重量部を加え、65℃、12時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン(ANON)67重量部を加えて160℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応系中の水分含量は、0.03重量%であった。この混合液にモノブチルスズトリオクチレート0.25重量部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応混合液を室温まで冷却し反応を終結させ反応生成物を得た。さらに、クロロホルム90重量部に対して反応生成物10重量部を溶解した後、大過剰のメタノール900重量部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(グラフト体)を濾別することによって、L−ラクチドの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、L−ラクチドがセルロースアセテートにグラフトしたグラフト体(セルロースアセテート−ラクチドグラフト共重合体)を得た。
得られたグラフト体を用いて、実施例1と同様にフィルムを製膜した。得られたフィルム(未延伸フィルム)を、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、140℃で幅方向に1.5倍延伸させた。得られた膜厚94μmのフィルム(延伸前フィルム、未延伸フィルム)の波長分散性(波長依存性)を、前記自動複屈折率計を用いて実施例1と同様の条件で測定したところ、Re(450nm)/Re(650nm)=0.83、Re(450nm)/Re(550nm)=0.88、Re(650nm)/Re(550nm)=1.07、Re(550nm)=77nmとなった。このフィルムは測定波長が短波長になるほど位相差が小さくなり、正の波長分散特性を有することを確認した。
実施例5で得られた未延伸フィルムを、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、上記と同様にして幅方向に1.8倍延伸させた。得られた膜厚85μmのフィルム(1.8倍延伸)の波長分散性(波長依存性)を、前記自動複屈折率計を用いて実施例1と同様の条件で測定したところ、Re(450nm)/Re(650nm)=0.80、Re(450nm)/Re(550nm)=0.86、Re(650nm)/Re(550nm)=1.08、Re(550nm)=102nmとなった。このフィルムは測定波長が短波長になるほど位相差が小さくなり、正の波長分散特性を有することを確認した。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアプラスチック(株)製、ユーピロンS−3000U)を用い、溶融製膜によりフィルムを得た。得られた未延伸フィルムを、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、140℃で幅方向に1.5倍延伸させた。得られた膜厚57μmのフィルム(1.5倍延伸)の波長分散性(波長依存性)を、前記自動複屈折率計を用いて実施例1と同様の条件で測定したところ、Re(450nm)/Re(650nm)=1.11、Re(450nm)/Re(550nm)=1.07、Re(650nm)/Re(550nm)=0.96、Re(550nm)=1731nmとなった。このフィルムは測定波長が短波長になるほど位相差が大きくなり、屈折率異方性は負であることを確認した。
Claims (2)
- 溶媒中、(1)ヒドロキシ酸成分の重合を単独では重合活性を示さない触媒の存在下、(2)水分含有量が0.5重量%以下の反応系で、グルカン誘導体の残存ヒドロキシル基にヒドロキシ酸成分をグラフトさせ、生成した変性グルカン誘導体をフィルム又はシート成形し、このフィルム又はシートを延伸するか又は延伸することなく位相差フィルムを製造する方法。
- 流延製膜法又は溶融製膜法でフィルム又はシートを調製する請求項1記載の製造方法。
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