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JP5032752B2 - インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、ノズルが形成された比較的短尺なノズルチップを高精度に複数個配列することにより長尺化したインクジェット記録ヘッド(いわゆるつなぎヘッド)を用いて画像を記録するためのインクジェット記録装置、およびインクジェット記録方法に関するものである。
プリンタ、複写機等に用いられる記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合電子機器およびワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置は、記録情報に基づいて、用紙やプラスチック薄板等の被記録材に画像(文字や記号等を含む)を記録するように構成されている。かかる記録装置は、記録方式により、インクジェット式、ワイヤドット式、サーマル式、およびレーザービーム式等に分けることができる。
また、いわゆるシリアルタイプの記録装置においては、被記録材の搬送方向(副走査方向)と交差する主走査方向に記録手段(記録ヘッド)を移動させながら、記録動作を行う。そして、その記録手段によって1主走査分の記録動作を終了する毎に、被記録材を副走査方向に所定量搬送する。このように、記録動作と被記録媒体の搬送動作とを繰り返すことによって、被記録材上に順次画像を記録する。
また、いわゆるラインタイプの記録装置においては、記録手段の主走査方向の移動を伴わずに、被記録材を副走査方向に搬送方向しつつ記録を行う。
また、インクジェット式の記録装置(インクジェット記録装置)は、被記録材に対して、記録手段としてのインクジェット記録ヘッドからインクを吐出することによって記録を行う。このようなインクジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッドのコンパクト化が容易であること、高精細の画像を高速に記録できること、いわゆる普通紙に特別の処理を必要とせず記録できてランニングコストが低廉であること、ノンインパクト方式であるので騒音が小さいこと、多色のインクを使用してカラー画像を形成するための構成を採るのが容易であること等の利点を有している。特に、いわゆるフルマルチタイプのインクジェット記録ヘッド、つまり被記録材の搬送方向と直交する方向に多数のノズル(インク吐出口)が配列された記録ヘッドを用いるラインタイプのインクジェット記録装置は、画像形成の一層の高速化が可能であり、最近ニーズが高まりつつあるオンデマンド記録用の装置として注目されている。
オンデマンド記録(印刷)では従来の新聞や雑誌のような数百万部という単位の印刷と異なり、一時間あたり10万枚というような記録速度は要求されない代わりに、省力化が望まれている。フルマルチタイプの記録ヘッドを用いるラインタイプのインクジェット記録装置は、従来のオフセット記録などの記録装置(印刷機)に比して記録速度は劣るものの、印刷版を作る必要がないため人手を省くことができて、オンデマンド記録に最適である。
フルマルチタイプのインクジェット記録ヘッドを用いるラインタイプのインクジェット記録装置において、例えば、文章などのモノカラー画像(単色画像)の記録には600×600dpi(ドット/インチ)の解像度、また写真のようなフルカラー画像の記録には1200×1200dpi以上の高い解像度が求められ、しかもA3サイズの被記録材に毎分30頁以上の記録速度も求められている。
一方、デジタルカメラ等により撮影された画像を従来と同様にL判サイズの被記録材に記録したり、そのような画像をはがき等の小さな被記録材に記録する場合もある。このように、数種類のサイズの被記録材に対して画像を記録することがきわめて多い。
しかしながら、フルマルチタイプのインクジェット記録ヘッドは、被記録材上の記録領域の全幅に渡って配列された多数の吐出口、およびそれぞれ吐出口からインクを吐出させるための多数の素子(インクジェット記録素子)の全てを少しの欠陥なく加工することは難しい。例えば、オフィス等において大判用紙に写真調の画像を記録するために用いられるフルマルチタイプの記録ヘッドは、A3サイズの用紙に1200dpiの解像度の記録を行うために、約14000の吐出口(記録幅約280mm)が必要となる。このような多数の吐出口のそれぞれに対応するインクジェット記録素子の全てを少しの欠陥もなく加工することは、その製造プロセス上難しい。仮に、そのような欠陥の全くない記録ヘッドが製造できた場合、その良品率はきわめて低く、その製造コストは莫大なものとなってしまう。
そのため、ラインタイプのインクジェット記録装置においては、いわゆるつなぎヘッドを用いる構成が提案されている。そのつなぎヘッドは、シリアルタイプのインクジェット記録装置に用いられる比較的安価な短尺な記録ヘッドのチップを利用し、それを高精度に複数個配列することにより、長尺化した記録ヘッドである。しかし、このつなぎヘッドにおいては、複数のチップのつなぎ部分に対応する記録画像に濃度むらが生じやすいという問題があった。具体的には、隣接するチップにおけるノズル(吐出口)の配列にずれが生じた場合に、それらのチップのつなぎ部分におけるノズルピッチが他の部分のノズルピッチと同一とならず、記録された画像上にすじ状の高濃度部分または低濃度部分(つなぎスジ)が発生するおそれがある。
このようなつなぎヘッドにおけるつなぎスジの発生を抑えるために、いくつかの改善策が提案されている。
例えば、チップのつなぎ部分を高精度に配列する方法、および配列装置によってノズルピッチのずれを小さくする方法(特許文献1)、つまり記録ヘッドの物理的な加工精度を向上させる方法が提案されている。また、特許文献2のように、互いに隣接するチップに関して、それらのノズル列の端部に位置するノズル(端ノズル)同士を単にノズル列の方向に隣接させるように配列するのではなく、それらノズル列の端部寄りに位置する複数のノズルを互いにオーバーラップさせるように配列する方法が提案されている。記録動作時には、つなぎスジを目立たなくするように、互いにオーバーラップするノズルからインクを吐出させる。さらに、つなぎスジを目立たなくするように、チップのつなぎ部分に位置するノズルからのインクの吐出量を変化させる方法も提案されている。
特開2003−305853号公報 特開平05−057965号公報 米国特許第4723129号明細書 米国特許第4740796号明細書 米国特許第4463359号明細書 米国特許第4345262号明細書 米国特許第4313124号明細書 米国特許第4558333号明細書 米国特許第4459600号明細書 特開昭59−123670号公報 特開昭59−138461号公報
しかしながら、上記のようなつなぎスジの発生を抑える対策を講じたとしても、記録ヘッドの製造工程において複数のチップの配列に異常が発生した場合には、つなぎスジの発生を抑えることが難しくなる。そのため、多数のチップを配列して長尺化した記録ヘッドを製造した場合、それらのチップのつなぎ部分の1箇所でも不良が発生したときには、その記録ヘッドは不良品となり、記録ヘッドの歩留まりが悪化する。さらに、複数のチップを配列させるための装置を高精度化した場合には、製造コストをアップさせる要因となってしまう。また、このようなチップのつなぎ部分における配列のずれに応じた記録制御のための画像処理を行う場合には、テストパターンを記録結果などからずれ量を求める手段が別途必要となる。
本発明の目的は、複数のチップが配列された長尺なインクジェット記録ヘッドを用いて、高品質な画像を記録することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、チップのつなぎ部分に対応する画像に関する画像処理を簡易化することにある。
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出可能な複数のノズルを列状に備えたチップが複数配列され、かつ互いに隣接する2つのチップのつなぎ部分におけるノズルの記録領域がオーバーラップするインクジェット記録ヘッドを用い、前記ノズルの配列方向と交差する方向前記インクジェット記録ヘッドと被記録媒体とを相対移動させて、前記つなぎ部分に対応する画像であってかつ前記配列方向と交差する方向の同一ラインに記録されるべき画像を前記2つのチップのそれぞれのノズルで分担して記録するインクジェット記録装置において、前記2つのチップの配列位置のずれ量に応じて、前記つなぎ部分における前記2つのチップのそれぞれのノズルの中から、前記同一ラインに記録されるべき画像を分担して記録するための前記2つのチップのそれぞれのノズルを選定する選定手段を備えることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、インクを吐出可能な複数のノズルを列状に備えたチップが複数配列され、かつ互いに隣接する2つのチップのつなぎ部分におけるノズルの記録領域がオーバーラップするインクジェット記録ヘッドを用い、前記ノズルの配列方向と交差する方向前記インクジェット記録ヘッドと被記録媒体とを相対移動させて、前記つなぎ部分に対応する画像であってかつ前記配列方向と交差する方向の同一ラインに記録されるべき画像を前記2つのチップのそれぞれのノズルで分担して記録するインクジェット記録方法において、前記2つのチップの配列位置のずれ量に応じて、前記つなぎ部分における前記2つのチップのそれぞれのノズルの中から、前記同一ラインに記録されるべき画像を分担して記録するための前記2つのチップのそれぞれのノズルを選定することを特徴とする。
なお、本明細書において、「プリント」および「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く被記録材上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も言うものとする。
また、「被記録材」とは、一般的なインクジェット記録装置で用いられている紙のみならず、広く布,プラスチックフィルム,金属板等、ヘッドによって吐出されるインクを受容可能なものも言うものとする。
さらに「インク」とは、上記「プリント」および「記録」の定義と同様広く解釈されるべきもので、被記録材上に付与されることによって画像,模様,パターン等の形成、または被記録材の加工に供されうる液体を言うものとする。
本発明は、複数のノズルを備えたチップが複数配列された長尺なインクジェット記録ヘッドをも用いて記録する場合に、チップの配列のずれに応じて、チップのつなぎ部分に対応する画像の記録に用いるノズルを選定することにより、チップの配列にずれがあるインクジェット記録ヘッドを用いたとしても高品位な画像を記録することができる。
また、チップの配列のずれ量を予め測定して記憶保持しておくことにより、チップのつなぎ部分に対応する画像に関する画像処理を簡易化することができる。
さらに、チップの配列ずれが生じたインクジェット記録ヘッドによっても高品位な画像を記録することができるため、そのインクジェット記録ヘッドの製造の歩留まりを向上させることができる。この結果、長尺なインクジェット記録ヘッドおよびそれを用いるインクジェット記録装置を安価に提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を説明するための側面図である。
長尺なインクジェット記録ヘッド1,2,3,4はヘッドユニットを構成しており、それらの記録ヘッドには、インクを吐出するためのインク吐出口が複数配列されている。記録ヘッド1、2、3、および4は、それぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)のインクを吐出するための長尺なインクジェット記録ヘッドである。記録ヘッドのそれぞれには、不図示のインク供給チューブを通してインクが供給され、さらに、不図示のフレキシブルケーブルを介して制御信号などが送られる。普通紙や高品位専用紙、OHPシート、光沢紙、光沢フィルム、ハガキ等の被記録材5は、搬送ローラ6と紙押さえローラ7の間に挟持され、駆動モータ8の駆動に伴って矢印方向(搬送方向)に送られる。
それぞれの記録ヘッドには、インク吐出口に連通する液路に、インク吐出用の熱エネルギーを発生する発熱素子(電気・熱エネルギー変換体)が設けられている。リニアエンコーダ(不図示)の読みとりタイミングに伴い、記録信号に基づいて発熱素子を駆動し、被記録材上にインク滴を吐出、付着させることによって、画像を記録することができる。
さらに、不図示の記録ヘッドの位置制御部は、不図示の制御モータと移動ベルトによって、それぞれの記録ヘッドを移動させることができる。すなわち、その位置制御装置は、記録すべき画像の幅、または被記録材のサイズなどに応じて制御モータを作動させることにより、それぞれの記録ヘッドを移動させることができる。
記録ヘッドは、記録を行わないときに、不図示のキャッピング手段によってインク吐出口面(インク吐出口の形成面)が密閉される。これにより、インク溶剤の蒸発に起因するインクの固着、あるいは塵埃などの異物の付着などによる目詰まりが防止される。また、このキャッピング手段のキャッピング機能は、記録頻度の低いインク吐出口の吐出不良や目詰まりを解消するためにも利用される。すなわち、インク吐出口から離れたキャップ部に向かって、画像の記録に寄与しないインクを吐出させる空吐出に利用されたり、キャッピング状態のキャップ部内に不図示のポンプから負圧を導入することにより、インク吐出口からキャップ部内にインクを吸引排出させて、吐出不良を起こしたインク吐出口の回復に利用される。またキャップ部の隣接位置に、不図示のブレードや拭き部材を配置することにより、記録ヘッドにおけるインク吐出口の形成面をクリーニングすることが可能である。
図2は、このような記録装置において用いられるフルマルチ型の長尺な記録ヘッドの構成例を説明するための図である。本例における記録ヘッドは、比較的短い(ノズル数の少ない)ノズル列群を持つ複数(本例の場合は4つ)のチップ41,42,43,44をノズル列方向にずらして配置することによって、1つの長尺なノズル群ユニット45として構成されている。比較的短いチップ41〜44は、それらのノズル群の端部に位置するノズル(以下、「端部ノズル」ともいう)の少なくとも2ノズル以上(本例の場合は2ノズル)がオーバーラップするように配列されている。このオーバーラップされたノズルから吐出されるインク滴は、記録ヘッドと被記録材とが相対移動して記録を行う場合に、同一の記録マトリックス内に着弾可能である。
すなわち、図3のように、チップN側のノズル(n+6),(n+7)とチップ(N+1)側のノズル(n+8),(n+9)とがオーバーラップする場合に、互いにオーバーラップするノズル(n+6)および(n+8)から吐出されるインク滴は、記録マトリックス上の(A+4,a)、(A+4,c)、(A+4,e)、(A+4,g)内に着弾可能である。また、互いにオーバーラップするノズル(n+7)および(n+9)から吐出されるインク滴は、記録マトリックス上の(A+5,a)、(A+5,c)、(A+5,e)、(A+5,g)内に着弾可能である。
また、図4からも明らかなように、互いにオーバーラップするノズルの相対的な位置関係は、それらのノズルが矢印Aの走査方向において同一画像を記録するような配列関係である。図4は、それらの配列にずれがない状態を示している。具体的には、ノズル(n+6)および(n+8)は走査方向における同一の記録ライン上にドットを形成可能であり、同様に、ノズル(n+7)および(n+9)も主走査方向における同一の記録ライン上にドットを形成可能である。
図5は、図4におけるノズルと画像データとの対応関係を模式的に示したものである。図5から明らかなように、互いにオーバーラップするノズルに対しては同一の画像データが供給される。
図6は、チップ(n)および(n+1)のノズルと、それらのノズルから吐出されたインク滴によって形成されるインクドットと、の関係を模式的に示したものである。オーバーラップしないノズル(n)〜(n+5),(n+10)〜(n+15)に対しては、それらに対応する画像データが連続的に供給される。また、オーバーラップするノズル(n+6)および(n+8)に対しては、それらが交互にインクを吐出するように、それらに対応する画像データが配分される。同様に、オーバーラップするノズル(n+7)および(n+9)に対しては、それらが交互にインクを吐出するように、それらに対応する画像データが配分される。
図7は、図4と同等の構成の記録ヘッドにおいて、チップの配列にずれが生じた場合の配列関係を模式的に示したものである。
図7は、オーバーラップ部分のノズル(2ノズル分)のピッチが小さくなる方向に、チップ(n)および(n+1)の配列にずれが生じた場合の例である。このような配列のずれに関係なく、図6の場合と同様に画像データを供給した場合には、図8のようにインクドットが形成されて、オーバーラップ部分に対応する画像にずれが生じてしまう。このような画像の記録結果を目視したところ、明らかに、オーバーラップ部分に対応する画像のつなぎ部分が目立ち、スジ状の濃度むら、またはモアレ状の濃度むらが視認された。
そこで本実施形態においては、チップ配列のずれを考慮して、オーバーラップ部分の画像形成に使用するノズルを選択する。そして、その選択したノズルを用いてドットを形成する。
まずは、チップ配列のずれを求める方法について説明する。
図9は、記録ヘッドの構成であり、図2と同様に、チップ41〜44が互いに千鳥配列となるような位置に配置される。チップ41〜44のそれぞれの4隅には、それらの配列時において位置あわせ基準となるアライメントマーク(41a,41b,41c,41d,・・・・44c,44d)が設けられている。これらのアライメントマークの座標を検出することによって、チップ41〜44の絶対位置、およびチップ相互間の相対位置を計測する。このアライメントマークは、チップ上のノズルあるいはヒータ製造プロセスにおけるアライメントマークと共通であるが、特に共通でなくてもよく、チップの配列時における基準位置を正確に判別可能なものであればよい。
図10は、このようなアライメントマークを計測するための計測手段の制御系の構成例を示すブロック図である。図10において、101は画像入力部、102は操作部、103は各種処理を行うCPU、104は各種測定データを記憶する記憶媒体、105は画像処理部、106は画像入力部101を所定位置へ移動させる移動部、107は表示部、108は各種データを転送するバス部である。
画像入力部101はCCDカメラ等の画像入力機器であり、ここから、図9のようなチップの画像データが取り込まれ、その画像データはモニター等の表示部107上に表示される。操作部102は、各種パラメータの設定、画像入力部101を所定の位置に移動させる動作、画像入力や計測の開始などを指示する各種キーを備えている。CPU103は、記憶媒体104中の制御プログラムにしたがって、本例の計測手段全体を制御する。記憶媒体104には、制御プログラムやエラー処理プログラムにしたがって本例の計測手段を動作させるためのプログラムなどが格納されている。より具体的には、記憶媒体104としては、RAM、FD、HD、メモリカード、光磁気ディスクなどを用いることができる。
画像処理部105は、画像入力部101から取り込まれたチップの画像データを表示すると共に、このチップの画像データから、図9のようなアライメントマークを検出する。そして、その検出結果を内部メモリにコピー等した後、予め設定されたチップの画像と参照しながら画像処理を進め、その処理結果をチップの位置情報である座標に変換する。CPU103は、画像処理部105において変換されたチップの座標を順次記録媒体104に格納し、ステージなどの形態の移動部106によって、画像入力部101を次のチップの計測位置へ移動させる。
このような動作を全てのチップに対して繰り返して、それらのチップの座標情報を記録媒体104に格納する。その後、CPU103は、それらのチップの座標情報に基づいて、それぞれのチップの絶対位置、および相対位置を演算し、その演算結果をチップ間の配列ずれのデータとして記憶媒体104に格納する。
チップ(N),(N+1)において、本来は、図4および図6のようにノズル(n+6)とノズル(n+8)とがオーバーラップし、またノズル(n+7)とノズル(n+9)とがオーバーラップする。図7および図8のように、チップ(N),(N+1)の配列がずれ場合には、図10のように構成された計測手段によって、チップ(N)に対してチップ(N+1)が図7中の矢印B方向に約1ノズル分ずれていることが検出される。そのずれ量の測定データに基づいて、そのオーバーラップ部分の画像形成に使用するノズルの組み合わせを変更する。
より具体的には、ノズルのオーバーラップ部分において最もずれが小さいチップ(N)側とノズル(N+1)側のノズル列群の組み合わせは、図11のように、ノズル(n+5),(n+7)が位置するノズル列群L2とノズル(n+9)が位置するノズル列群L12との組み合わせ、およびノズル(n+6)が位置するノズル列群L1とノズル(n+8),(n+10)が位置するノズル列群L11との組み合わせとなる。
このような関係に応じて、それぞれのノズルに供給する画像データを変更して、画像を形成する。
図12は、ノズルのオーバーラップ部分において、ノズル列群L2,L12から吐出するインク滴によってインクドットを形成した場合の説明図である。本例においては、記録ライン1〜6上のインクドットをノズル(n)〜(n+5)によって形成し、記録ライン7上のインクドットはノズル(n+9)によって形成し、記録ライン8上のインクドットはノズル(n+7)によって形成し、記録ライン9〜13上のインクドットはノズル(n+11)〜(n+15)によって形成する。ノズル(n+8)および(n+10)からは使用しない。
このようにインクドットを形成することにより、画像が連続してつなぎ部が目立ちにくくなる。このようなプリント結果を目視したところ、つなぎ部分が目立つことはなく、スジ状の濃度むら、またはモアレ状の濃度むらが視認されることもなかった。
(第2の実施形態)
図13は、本発明の第2の実施形態において用いる長尺な記録ヘッドの構成例である。本例の記録ヘッドは、1つの短尺チップ内に4つのノズル列群(L1,L2,L3,L4)を有する複数(図13の場合は4つ)のチップ51,52,53,54をノズル列方向にずらして配置することによって、1つの長尺なノズル群ユニット55を構成するフルマルチ型の長尺記録ヘッドである。それぞれのノズル列群L1〜L4において、ノズル間のピッチPは600dpi(約42.4μm)である。また、ノズル列群L1〜L4のノズルは、P/4ピッチ(2400dpi)ずつずれて配列されている。また、4つのチップ51〜54のつなぎ部分においては、それぞれのノズル列群L1〜L4のノズルが2つずつオーバーラップしている。
4つのチップ51〜54のそれぞれの4隅には、前述した図9の場合と同様に、基準位置となるアライメントマークが設けられている。このアライメントマークは、チップ51〜54上のノズルあるいはヒータ製造プロセスにおけるアライメントマークと共通に使用することができる。前述した図10と同様の計測手段によって、これらのアライメントマークの座標位置を検出し、その検出データに基づいてチップ51〜54の絶対位置、およびチップ相互間の相対位置を算出して、チップ51〜54の配置ずれ量の情報として保存する。
図14および図15は、このようなチップの配置ずれの測定結果から、チップ51,53に対してチップ52がB方向に6μmずれていることが測定された場合の模式図である。この場合には、チップ51,52のつなぎ部分におけるノズルの配列間隔は本来の配列間隔よりも狭くなり、またチップ52,53のつなぎ部分におけるノズルの配列間隔は本来の配列間隔よりも広くなる。
本例においては、このようなチップのつなぎ部分におけるノズルの配列間隔のずれ量を考慮し、1200dpiの記録解像度で画像を記録する場合に使用するノズル列群を選択する。
本来、チップ51,52のつなぎ部分においては、前者のノズル群L1〜L4と後者のノズル群L1〜L4とが対応し、またチップ52,53のつなぎ部分においては、前者のノズル群L1〜L4と後者のノズル群L1〜L4とが対応する。しかしノズルの配列ずれの測定結果が図14および図15のような場合には、チップ51,52のつなぎ部分において最もずれ量が小さいノズル列群の組み合わせは、チップ51側のノズル列群L4とチップ52側のノズル列群L3との組み合わせ、およびチップ51側のノズル列群L2とチップ52側のノズル列群L1との組み合わせとなる。同様に、チップ52,53のつなぎ部分において最もずれ量が小さいノズル列群の組み合わせは、チップ52側のノズル列群L3とチップ53側のノズル列群L4との組み合わせ、およびチップ52側のノズル列群L1とチップ53側のノズル列群L2との組み合わせとなる。
図16および図17は、このような組み合わせのノズル列群からインクを吐出して、インクドットを形成した場合の模式図である。すなわち、チップ51のノズル列群L2,L4、チップ52のノズル列群L1,L3、およびチップ53のノズル列群L2,L4からインクを吐出して、インクドットを形成した。
より具体的には、図16において、記録ライン1,3,5上のインクドットはチップ51のノズル列群L4を用いて形成し、記録ライン2,4,6上のインクドットはチップ51のノズル列群L2を用いて形成し、記録ライン7,9上のインクドットはチップ51のノズル列群L4とチップ52のノズル列群L3を交互に用いて形成し、記録ライン8,10上のインクドットはチップ51のノズル列群L2とチップ52のノズル列群L1を交互に用いて形成し、記録ライン11,13上のインクドットはチップ52のノズル列群L3を用いて形成し、記録ライン12上のインクドットはチップ52のノズル列群L1を用いて形成する。同様に、図17においては、記録ライン1,3,5上のインクドットはチップ52のノズル列群L3を用いて形成し、記録ライン2,4,6上のインクドットはチップ52のノズル列群L1を用いて形成し、記録ライン7,9上のインクドットはチップ52のノズル列群L3とチップ53のノズル列群L4を交互に用いて形成し、記録ライン8,10上のインクドットはチップ52のノズル列群L1とチップ53のノズル列群L2を交互に用いて形成し、記録ライン11,13上のインクドットはチップ53のノズル列群L4を用いて形成し、記録ライン12上のインクドットはチップ53のノズル列群L2を用いて形成する。
このように、インクドットを形成することにより、画像が連続的に記録されて、つなぎ部が目立ちにくくなる。さらに、ノズルのオーバーラップ部分、つまり図16および図17中における記録ライン7〜10の部分では、隣接するチップのそれぞれのノズルから交互にインクを吐出することにより、つなぎ部がより目立ちにくくなる。このように、それぞれのチップにおけるノズル列群を使い分けるためには、上述したようなノズル列群の組み合わせを決定してから、そのノズル列群と画像データとを対応させればよい。
(他の実施形態)
図18は、インクジェット記録装置の制御系の一例を説明するためのブロック構成図である。
図18において、CPU100は、本記録装置の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM101は、それらの処理手順等のプログラムが格納され、またRAM102は、それらの処理を実行するためのワークエリアなどとして用いられる。記録ヘッド45からのインクの吐出は、CPU100が発熱素子(電気・熱エネルギー変換体)の駆動データ(画像データ)および駆動制御信号(ヒートパルス信号)をヘッドドライバ45Aに供給することにより行われる。CPU100は、図1のように被記録材5を矢印A方向に搬送するための駆動モータ8をモータドライバ8Aを介して制御する。
CPU100は、前述したように、チップのつなぎ部分に位置するノズルの中から、チップの配列位置のずれ量に応じて選定されたノズルをオーバーラップするノズルとして用いて、つなぎ部分に対応する画像を記録するための制御手段として機能する。また、CPU100は、チップの配列位置のずれ量に応じて、オーバーラップするノズルを選定する選定手段として機能を備えてもよい。その場合には、チップの配列位置のずれ量に関する情報を記憶可能な記憶手段を記録ヘッドまたは記録装置に備えておき、それらの記憶手段の記憶情報に基づいて、オーバーラップするノズルを選定することができる。
このように、予め記憶手段に記憶しておいた情報に基づいて、オーバーラップするノズルを選定することにより、ノズルと記録データとを対応付ける処理を含む画像処理を簡易化することができる。その情報は、少なくとも、ノズルの配列方向におけるチップの配列位置のずれ量の測定データを含む。このような測定データは、例えば、前述した実施形態のように、記録ヘッドの製造段階等においてアライメントマークを読み取って、チップの配列時における水平方向、垂直方向、および回転方向のずれを測定することにより得ることができる。
また、制御手段および選定手段としての機能は、CPU100側のみならずホスト装置200側にもたせることもでき、それらの機能をプログラムにしたがってコンピュータにより達成できればよい。
(その他)
本発明は、インクジェット記録方式の中でも特に、熱エネルギーを利用して液滴を吐出して記録を行うインクジェット方式の記録ヘッドを用いた記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
その代表的な構成や原理については、例えば、特許文献3および特許文献4に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である。オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加する。これにより、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的に、この駆動信号に対応した気泡を液体(インク)内に形成することができる。この気泡の成長、収縮により、吐出用開口を通して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの液滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすることにより、即時適切に気泡の成長収縮が行われ、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成できてより好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、特許文献5および特許文献6に記載されているようなものが適している。また、上記の熱作用面の温度上昇率に関する発明の特許文献7に記載されている条件を採用することにより、更に優れた記録を行うことができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に、特許文献8および特許文献9に開示されているように、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成も本発明に含まれる。
加えて、複数の電気熱変換体に対して、特許文献10に開示されているように共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成、および特許文献11に開示されているように熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を用いたとしても、本発明は有効である。すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録を確実に効率よく行うことができる。
また本発明は、記録装置が記録できるプリント材の最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対してはもちろんのこと、上述したようなシリアルタイプの記録ヘッドを用いる場合にも有効である。さらに本発明は、装置本体に固定された記録ヘッド、装置本体に装着されることによって装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いる場合にも有効である。
また、本発明の記録装置の構成として、記録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定化できるので好ましい。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引により記録ヘッドから画像の記録に寄与しないインクの排出する手段、記録とは別に画像の記録に寄与しないインクを吐出させる予備吐出手段を挙げることができる。さらに、電気熱変換体、これとは別の加熱素子、あるいはこれらの組み合わせを用いて、記録ヘッドを加熱する予備加熱手段も挙げることができる。
本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録装置の構成を示す模式図である。 図1のインクジェット記録装置に用いられるフルマルチ型の長尺記録ヘッドの模式図である。 図2の記録ヘッドのつなぎ部分のノズルと、インクドットの形成位置と、の関係の説明図である。 図3における記録ヘッドのつなぎ部分に配列のずれがない場合の模式図である。 図4の記録ヘッドのつなぎ部分のノズルと画像データとの対応関係の説明図である。 図4の記録ヘッドのつなぎ部分のノズルと、インクドットの形成位置と、の関係の説明図である。 図3における記録ヘッドのつなぎ部分に配列のずれがある場合の模式図である。 図7の記録ヘッドのつなぎ部分のノズルと、インクドットの形成位置と、の関係の説明図である。 図2の記録ヘッドにおけるつなぎ部分の配列精度の計測方法の説明図である。 図9の計測方法において用いられる検出手段の制御系のブロック構成図である。 図9の計測方法によって測定された記録ヘッドのつなぎ部分のずれの一例の説明図である 図11の記録ヘッドにおけるつなぎ部分のノズルと、インクドットの形成位置と、の関係の説明図である。 本発明の第2の実施形態においても用いられるフルマルチ型の長尺記録ヘッドの模式図である。 図13の記録ヘッドのつなぎ部分に配列のずれがある場合における1つのつなぎ部分の模式図である。 図13の記録ヘッドのつなぎ部分に配列のずれがある場合における他の1つのつなぎ部分の模式図である。 図14のつなぎ部分におけるノズルと、インクドットの形成位置と、の関係の説明図である。 図15のつなぎ部分におけるノズルと、インクドットの形成位置と、の関係の説明図である。 本発明にインクジェット記録装置における制御系の一例を説明するためのブロック構成図である。
符号の説明
1,2,3,4 インクジェット記録ヘッド
5 被記録材
6 搬送ローラ
7 紙押さえローラ
8 駆動モータ
41,42,43,44 チップ(ノズル群)
45 ノズル群ユニット
51,52,53,54 チップ(ノズル群)
55 ノズル群ユニット
101 画像入力部
102 操作部
103 CPU
104 記憶媒体
105 画像処理部
106 移動部
107 表示部
108 データバス

Claims (9)

  1. インクを吐出可能な複数のノズルを列状に備えたチップが複数配列され、かつ互いに隣接する2つのチップのつなぎ部分におけるノズルの記録領域がオーバーラップするインクジェット記録ヘッドを用い、前記ノズルの配列方向と交差する方向前記インクジェット記録ヘッドと被記録媒体とを相対移動させて、前記つなぎ部分に対応する画像であってかつ前記配列方向と交差する方向の同一ラインに記録されるべき画像を前記2つのチップのそれぞれのノズルで分担して記録するインクジェット記録装置において、
    前記2つのチップの配列位置のずれ量に応じて、前記つなぎ部分における前記2つのチップのそれぞれのノズルの中から、前記同一ラインに記録されるべき画像を分担して記録するための前記2つのチップのそれぞれのノズルを選定する選定手段を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記選定されるノズルは、前記2つのチップのつなぎ部分において前記ノズルの配列方向のずれ量が最も小さいノズルの組を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記チップには前記ノズル列が複数形成され、
    前記選定されるノズルは、前記2つのチップのつなぎ部分において前記ノズルの配列方向のずれ量が最も小さいノズル列に含まれることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記複数のノズル列のそれぞれにおけるノズルは、前記ノズルの配列方向にずれて位置することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記選定されるノズルが含まれる前記ノズル列を用いて画像を記録することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記複数のチップの配列位置のずれ量に関する情報を記憶可能な記憶手段を備え、
    前記選定手段は、前記記憶手段に記憶される前記情報に基づいて、前記同一ラインに記録されるべき画像を分担して記録するための前記2つのチップのそれぞれのノズルを選定する
    ことを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記インクジェット記録ヘッドは、前記複数のチップの配列位置のずれ量に関する情報を記憶可能な記憶手段を備え、
    前記選定手段は、前記インクジェット記録ヘッドの記憶手段に記憶される前記情報に基づいて、前記同一ラインに記録されるべき画像を分担して記録するための前記2つのチップのそれぞれのノズルを選定する
    ことを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記情報は、少なくとも前記ノズルの配列方向における前記複数のチップの配列位置のずれ量の測定データを含むことを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェット記録装置。
  9. インクを吐出可能な複数のノズルを列状に備えたチップが複数配列され、かつ互いに隣接する2つのチップのつなぎ部分におけるノズルの記録領域がオーバーラップするインクジェット記録ヘッドを用い、前記ノズルの配列方向と交差する方向前記インクジェット記録ヘッドと被記録媒体とを相対移動させて、前記つなぎ部分に対応する画像であってかつ前記配列方向と交差する方向の同一ラインに記録されるべき画像を前記2つのチップのそれぞれのノズルで分担して記録するインクジェット記録方法において、
    前記2つのチップの配列位置のずれ量に応じて、前記つなぎ部分における前記2つのチップのそれぞれのノズルの中から、前記同一ラインに記録されるべき画像を分担して記録するための前記2つのチップのそれぞれのノズルを選定することを特徴とするインクジェット記録方法。
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