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JP5031294B2 - アミン化合物および有機発光素子 - Google Patents

アミン化合物および有機発光素子 Download PDF

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JP5031294B2 JP2006209612A JP2006209612A JP5031294B2 JP 5031294 B2 JP5031294 B2 JP 5031294B2 JP 2006209612 A JP2006209612 A JP 2006209612A JP 2006209612 A JP2006209612 A JP 2006209612A JP 5031294 B2 JP5031294 B2 JP 5031294B2
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Description

本発明は,アミン化合物及び該アミン化合物を用いた発光素子に関する。
有機発光素子における最近の進歩は著しく、その特徴は低印加電圧で高輝度、発光波長の多様性、高速応答性、薄型、軽量の発光デバイス化が可能であることから、広汎な用途への可能性を示唆している。しかしながら、長時間の使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気などによる劣化等の耐久性の面で未だ多くの問題がある。フルカラーディスプレイ等への応用を考えた場合、現状では更なる長寿命の、高変換効率、高色純度の青、緑、赤色発光が必要であり、種々の提案がされている。
特許文献1,2には、フルオランテン誘導体を用いた発光素子が開示されているが、置換あるいは無置換のフルオランテン基を有するアミノフルオレン化合物に関する開示はない。
特開平10−189248号公報 特開2002−69044号公報
本発明は、高効率で高輝度、高寿命の光出力を有する有機発光素子用化合物を提供することを目的とする。さらには、製造が容易でかつ比較的安価に作成可能な有機発光素子を提供することを目的とする。
本発明者等は、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のアミン化合物は、下記一般式[]で示されることを特徴とする。
Figure 0005031294
(一般式[]において、R1乃至R5は、水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シリル基、アミノ基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基である。R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士は同じであっても異なっていてもよく、またR1乃至R5は互いに同じであっても異なっていてもよい。
Ar1,Ar2は、置換あるいは未置換のアリール基である。Ar1とAr2は互いに同じであっても異なっていてもよい。
mは1以上10以下の整数。nは1以上9以下の整数。)
本発明のアミン化合物は、良好なガラス転移温度を有する。また、本発明のアミン化合物は、有機発光素子に、特に発光層のホストまたはゲストとして、含有させることにより、高効率発光を得ることを可能とする。
本発明の有機発光素子は、低い印加電圧で高効率な発光を与えると共に、優れた耐久性も得られる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
まず、本発明のアミン化合物について説明する。
本発明のアミン化合物は、有機発光素子用材料として使用できる。その中で、発光層用として使用する場合、発光層において単独で用いること、及びドーパント(ゲスト)材料、ホスト材料の目的で使用でき、高効率発光し、長い期間高輝度を保ち、通電劣化が小さい素子を得ることができる。
発光層が、キャリア輸送性のホスト材料とゲストからなる場合、発光にいたる主な過程は、以下のいくつかの過程からなる。
1.発光層内での電子・ホールの輸送。
2.ホストの励起子生成。
3.ホスト分子間の励起エネルギー伝達。
4.ホストからゲストへの励起エネルギー移動。
それぞれの過程における所望のエネルギー移動や、発光はさまざまな失活過程と競争でおこる。
EL素子の発光効率を高めるためには、発光中心材料そのものの発光量子収率が大きいことは言うまでもない。しかしながら、ホスト−ホスト間、あるいはホスト−ゲスト間のエネルギー移動が如何に効率的にできるかも大きな問題となる。また、通電による発光劣化は今のところ原因は明らかではないが、少なくとも発光中心材料そのもの、または、その周辺分子による発光材料の環境変化に関連したものと想定される。
そこで本発明者らは種々の検討を行い、本発明のアミン化合物を、特に発光層のホストまたはゲストに用いた素子が高効率発光し、長い期間高輝度を保ち、通電劣化が小さいことを見出した。
通電による発光劣化の原因の一つとして、発光層の薄膜形状の劣化による発光劣化が考えられる。この薄膜形状の劣化は、駆動環境の温度、素子駆動時の発熱等による有機薄膜の結晶化に起因すると考えられている。これは、材料のガラス転移温度の低さに由来すると考えられ、有機EL材料は高いガラス転移温度を有する事が望まれている。本発明のアミン化合物は良好なガラス転移温度を有し、有機EL素子の高耐久化を期待する事が出来る。
アミノフルオレン化合物は良好な青色発光を与えることを特徴とする。ピレン基をフルオレン環に導入したアミノフルオレン化合物も良好な青色発光を供与し得る。これに対し、本発明のアミン化合物は、フルオレン環にフルオランテニル基を導入することにより、LUMOエネルギーレベルが下がり、HOMOエネルギーレベルとのギャップを狭くすることにより緑領域の発光色を与え得る。LUMOエネルギーレベル低下による電子トラップ性、アミノ基部分のホール輸送性により、発光層のキャリアバランスに寄与し得る。
本発明は、以上の考察のもとに分子設計し発明がなされたものである。
本発明のアミン化合物は、下記一般式[1]で示される。
Figure 0005031294
(一般式[1]において、R 1 乃至R 5 は、水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シリル基、アミノ基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基である。R 1 同士、R 2 同士、R 3 同士、R 4 同士、R 5 同士は同じであっても異なっていてもよく、またR 1 乃至R 5 は互いに同じであっても異なっていてもよい。
Ar 1 ,Ar 2 は、置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基である。Ar 1 とAr 2 は互いに同じであっても異なっていてもよい。
Xは、直接単結合、置換あるいは未置換のアルキレン基、アラルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基及び二価の複素環基からなる群より選ばれた基である。
mは1以上10以下の整数。nは1以上9以下の整数。)
一般式[1]において、水素置換基は、重水素で置き換わってもよい。
置換あるいは未置換のアルキル基としては、以下のものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
メチル基、メチル−d1基、メチル−d3基、エチル基、エチル−d5基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、iso−プロピル基、iso−プロピル−d7基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ブチル−d9基、iso−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−オクチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、パーフルオロブチル基、5−フルオロペンチル基、6−フルオロヘキシル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、4−クロロブチル基、5−クロロペンチル基、6−クロロヘキシル基、ブロモメチル基、2−ブロモエチル基、ヨードメチル基、2−ヨードエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、4−フルオロシクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等
置換あるいは未置換のアラルキル基としては、以下のものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルイソプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、2−(1−ナフチル)エチル基、2−(2−ナフチル)エチル基、9−アントリルメチル基、2−(9−アントリル)エチル基、2−フルオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基等
置換あるいは未置換のアリール基としては、以下のものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
フェニル基、フェニル−d5基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エチルフェニル基、4−フルオロフェニル基、4−トリフルオロフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、メシチル基、4−tert−ブチルフェニル基、ジトリルアミノフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ナフチル−d7基、アセナフチレニル基、アントリル基、アントリル−d9基、フェナントリル基、フェナントリル−d9基、ピレニル基、ピレニル−d9基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、クリセニル基、ジベンゾクリセニル基、ベンゾアントリル基、ベンゾアントリル−d11基、ジベンゾ[a,h]アントリル基、ナフタセニル基、ピセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基、ペリレニル−d−11等
置換あるいは未置換の複素環基としては、以下のものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
ピロリル基、ピリジル基、ピリジル−d5基、ビピリジル基、メチルピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ターピロリル基、チエニル基、チエニル−d4基、ターチエニル基、プロピルチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル−d7基、フリル基、フリル−d4基、ベンゾフリル基、イソベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ジベンゾフリル−d7基、キノリル基、キノリル−d6基、イソキノリル基、キノキサリニル基、ナフチリジニル基、キナゾリニル基、フェナントリジニル基、インドリジニル基、フェナジニル基、カルバゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、アクリジニル基、フェナジニル基等
置換あるいは未置換のアルコキシ基としては、上記記載の置換あるいは未置換のアルキル基、アラルキル基を有するアルキルオキシ基、アラルキルオキシ基、上記記載の置換あるいは未置換のアリール基、複素環基を有するアリールオキシ基が挙げられる。例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−エチル−オクチルオキシ基、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、ベンジルオキシ基、チエニルオキシ基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
ハロゲン基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素基などが挙げられる。
置換あるいは未置換のアルキレン基としては、以下のものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
メチレン基、メチレン−d2基、ジフルオロメチレン基、エチレン基、エチレン−d4基、パーフルオロエチレン基、プロピレン基、iso−プロピレン基、ブチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基等
置換あるいは未置換のアラルキレン基としては、以下のものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
ベンジレン基、2−フェニルエチレン基、2−フェニルイソプロピレン基、1−ナフチルメチレン基、2−ナフチルメチレン基、9−アントリルメチレン基、2−フルオロベンジレン基、3−フルオロベンジレン基、4−フルオロベンジレン基、4−クロロベンジル基、4−ブロモベンジレン基等
置換あるいは無置換のアルケニレン基としては、ビニレン基、iso−プロペニレン基、スチリレン基、1,2−ジフェニルビニレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは無置換のアルキニレン基としては、アセチレニレン基、フェニルアセチレニレン基等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
置換あるいは未置換のアリーレン基としては、以下のものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
フェニレン基、ビフェニレン基、テトラフルオロフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基、ナフタセニレン基、ペンタセニレン基、ペリレニレン基等
置換あるいは未置換の二価の複素環基としては、以下のものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
フリレン基、ピロリレン基、ピリジレン基、ターピリジレン基、チエニレン基、ターチエニレン基、オキサゾリレン基、チアゾリレン基、カルバゾリレン基、ジベンゾチエニレン基、ジベンゾフリレン基等
上記置換基がさらに有しても良い置換基としては、以下のものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、ビフェニル基などのアリール基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基などの複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基などのアミノ基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基
本発明のアミン化合物としては、下記一般式[2]で示される化合物が好ましく、m=2または1である化合物がより好ましい。
Figure 0005031294
以下、本発明のアミン化合物を具体的に挙げるが、もちろんこれらに限定されるものではない。尚、例示化合物No.A−101〜A−112、A−117、A−118、C−123〜C−128が本発明の化合物である。
Figure 0005031294
Figure 0005031294
上記例示化合物A、B、Cについては例えば下記方法により合成できるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
化合物Aは、2位にハロゲン原子、7位に置換アミノ基を有するフルオレン中間体化合物に、鈴木−宮浦カップリング反応によりフルオランテン環を導入し合成できる。また、例えば2,7−ジブロモフルオレンに鈴木−宮浦カップリング反応によりフルオランテン環を導入し、ブロモ残基にパラジウム触媒アミノ化反応によってアミノ基を導入することによっても合成できる。
化合物Bは、置換位置違いのフルオランテニルピナコールボラン体を使用し、化合物Aの合成法と同様に合成できる。
化合物Cにおいて、例えばC−123は、2位にハロゲン原子、7位に置換アミノ基を有するフルオレン中間体化合物か2位にハロゲン原子、7位にフルオランテニル基を有するフルオレン中間体化合物の一方をピナコールボラン体とし、続いて鈴木−宮浦カップリング反応により合成できる。フルオレン2量体の2,7’−ジハロゲン体からも合成できる。
またピナコールボラン体だけでなく、鈴木−宮浦カップリング反応を可能にするボロン酸等他のホウ素化合物とし使用してもよい。
次に、本発明の有機発光素子について詳細に説明する。
本発明の有機発光素子は、少なくとも一方が透明か半透明な陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に挟持された有機化合物を含む1または複数の層を有する有機発光素子である。そして、前記有機化合物を含む層のうち少なくとも一層、好ましくは発光領域のある少なくとも一層、より好ましくは発光層が、上記本発明のアミン化合物を少なくとも一種含有する。
アミン化合物を含有する発光層は、アミン化合物のみからなる層であってもよいし、ホストとゲストの少なくとも2種の化合物から構成される層であってもよい。
また、ホストが、本発明のアミン化合物よりもエネルギーギャップの大きい、4環以上の縮合環芳香族骨格を有する化合物であることが好ましい。
4環以上の縮合環芳香族骨格としては、ピレン骨格、フルオランテン骨格、ベンゾフルオランテン骨格、テトラセン骨格、トリフェニレン骨格、クリセン骨格などが挙げられる。バンドギャップやキャリア輸送性の観点から、好ましくはピレン骨格、フルオランテン骨格である。
ピレン骨格を有する化合物としては、例えば以下のような材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005031294
本発明のアミン化合物をドーパント材料として使用する場合、ホスト材料に対するドーパント濃度は0.01wt%以上80wt%以下、好ましくは1wt%以上40wt%以下である。ドーパント材料はホスト材料からなる層全体に均一あるいは濃度勾配を有して含まれるか、あるいはある領域に部分的に含まれてドーパント材料を含まないホスト材料層の領域があってもよい。
本発明の有機発光素子は、一対の電極間に電圧を印加することにより発光する電界発光素子であることが好ましい。
図1乃至図5に本発明の有機発光素子の好ましい例を示す。
図1は、本発明の有機発光素子の一例を示す断面図である。図1は、基板1上に、陽極2、発光層3及び陰極4を順次設けた構成のものである。図1の発光素子は、それ自体でホール輸送能、エレクトロン輸送能及び発光性の性能を単一で有している化合物を使う場合や、それぞれの特性を有する化合物を混ぜて使う場合に有用である。
図2は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図2は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。この場合は、発光物質はホール輸送性かあるいは電子輸送性のいずれか、あるいは両方の機能を有している材料をそれぞれの層に用い、発光性の無い単なるホール輸送物質あるいは電子輸送物質と組み合わせて用いる場合に有用である。また、この場合、発光層は、ホール輸送層5あるいは電子輸送層6のいずれかから成る。
図3は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図3は、基板1上に、陽極2、ホール輸送層5、発光層3,電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成のものである。これは、キャリヤ輸送と発光の機能を分離したものであり、ホール輸送性、電子輸送性、発光性の各特性を有した化合物を適時組み合わせて用いられ、極めて材料選択の自由度が増すとともに、発光波長を異にする種々の化合物が使用できる。そのため、発光色相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層3に各キャリヤあるいは励起子を有効に閉じこめて、発光効率の向上を図ることも可能になる。
図4は、本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図4は、図3に対して、ホール注入層7を陽極2側に挿入した構成であり、陽極2とホール輸送層5の密着性改善あるいはホールの注入性改善に効果があり、低電圧化に効果的である。
図5は本発明の有機発光素子における他の例を示す断面図である。図5は、図3に対してホールあるいは励起子(エキシトン)が陰極4側に抜けることを阻害する層(ホール/エキシトンブロッキング層8)を、発光層3、電子輸送層6間に挿入した構成である。イオン化ポテンシャルの非常に高い化合物をホール/エキシトンブロッキング層8として用いる事により、発光効率の向上に効果的な構成である。
ただし、図1乃至図5はあくまでごく基本的な素子構成であり、本発明の有機発光素子の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電極と有機層界面に絶縁性層を設ける、接着層あるいは干渉層を設ける、ホール輸送層がイオン化ポテンシャルの異なる2層から構成されるなど多様な層構成をとることができる。
本発明の有機発光素子は、図1乃至図5のいずれの形態でも使用することができる。
特に、本発明のアミン化合物を用いた有機層は、発光層、電子輸送層あるいはホール輸送層として有用であり、また真空蒸着法や溶液塗布法などによって形成した層は結晶化などが起こりにくく経時安定性に優れている。
本発明の有機発光素子は、特に発光層の構成成分として、本発明のアミン化合物を用いるが、必要に応じてこれまで知られている低分子系およびポリマー系のホール輸送性化合物、発光性化合物あるいは電子輸送性化合物などを一緒に使用することもできる。
以下にこれらの化合物例を挙げる。
正孔(ホール)注入輸送性材料としては、陽極からのホールの注入を容易にし、また注入されたホールを発光層に輸送する優れたモビリティを有することが好ましい。正孔注入輸送性能を有する低分子および高分子系材料としては、以下に示すものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、およびポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子
本発明のアミン化合物以外に使用できる、主に発光機能に関わる材料としては、以下に示すものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
多環縮合芳香族化合物(例えばナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、ピレン誘導体、テトラセン誘導体、コロネン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、9,10−ジフェニルアントラセン誘導体、ルブレンなど)、キナクリドン誘導体、アクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、ナイルレッド、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、スチルベン誘導体、有機金属錯体(例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、有機ベリリウム錯体)およびポリ(フェニレンビニレン)誘導体、ポリ(フルオレン)誘導体、ポリ(フェニレン)誘導体、ポリ(チエニレンビニレン)誘導体、ポリ(アセチレン)誘導体等の高分子誘導体
電子注入輸送性材料としては、陰極からの電子の注入を容易にし、注入された電子を発光層に輸送する機能を有するものから任意に選ぶことができ、ホール輸送材料のキャリア移動度とのバランス等を考慮し選択される。電子注入輸送性能を有する材料としては、以下に示すものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等
本発明の有機発光素子において、本発明のアミン化合物を含有する層およびその他の有機化合物からなる層は、以下に示す方法により形成される。一般には真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマあるいは、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により薄膜を形成する。特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択できる。例えば、以下に示すものが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等
また、これらは単独または共重合体ポリマーとして1種または2種以上混合してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
陽極材料としては、仕事関数がなるべく大きなものがよい。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン等の金属単体あるいはこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマーも使用できる。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陽極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
一方、陰極材料としては、仕事関数の小さなものがよい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体が挙げられる。あるいはリチウム−インジウム、ナトリウム−カリウム、マグネシウム−銀、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マグネシウム、マグネシウム−インジウム等、複数の合金として用いることができる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は単独で用いるか、あるいは複数併用することもできる。また、陰極は一層構成でもよく、多層構成をとることもできる。
本発明で用いる基板としては、特に限定するものではないが、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等の透明性基板が用いられる。また、基板にカラーフィルター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜などを用いて発色光をコントロールする事も可能である。
なお、作成した素子に対して、酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。
本発明の素子は、基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を作成し、それに接続して作成することも可能である。
また、素子の光取り出し方向に関しては、ボトムエミッション構成(基板側から光を取り出す構成)および、トップエミッション(基板の反対側から光を取り出す構成)のいずれも可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>[例示化合物No.A−101の製造方法]
Figure 0005031294
窒素雰囲気下、以下の化合物をトルエン(80ml)、エタノール(40ml)の混合溶媒に溶解させ、さらに炭酸ナトリウム246g(2.43mmol)を蒸留水10mlに溶解させた水溶液を加え、50℃で30分攪拌した。
2−ブロモ−7−[N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)アミノ]−9,9−ジメチルフルオレン673mg(1.218mmol)
フルオランテン−3−イル−4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン400mg(1.218mmol)
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(141mg,0.122mmol)を加え、90℃に加熱したシリコーンオイルバス上で3.5時間加熱攪拌した。室温まで冷却後、水、トルエン、酢酸エチルを加え、有機層を分離し、水層をさらにトルエン、酢酸エチルの混合溶媒で抽出(2回)し、はじめに分離した有機層溶液に加えた。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘプタン=1:3)で精製し、例示化合物A−101を650mg得た。
MALDI−TOF MS(マトリックス支援イオン化−飛行時間型質量分析)によりこの化合物のM+である673.4を確認した。
さらに、NMR測定によりこの化合物の構造を確認した(図6)。
パーキンエルマー社製DSC「Pyris1」を用いてガラス状態の化合物を室温から10℃/minの昇温速度でガラス転移温度を測定したところ、139℃であった。
また、1×10-5mol/lの希薄トルエン溶液を調整し、日立分光蛍光光度計「F−4500」を用いて発光スペクトルを測定した(図7)。
また、最高被占軌道(HOMO)エネルギーを、光電子分光法(測定器名「AC−1」理研機器製)を用いて測定した。最低空軌道(LUMO)エネルギーはエネルギーギャップ測定値と上記HOMOエネルギーから算出する方法を用いた。HOMOエネルギーは−5.40eVでエネルギーギャップは2.66であり、LUMOエネルギーは−2.74eVと算出された。
<実施例2>
図3に示す構造の有機発光素子を以下に示す方法で作成した。
基板1としてのガラス基板上に、陽極2としての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて120nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板として用いた。これをアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
正孔輸送材料として下記構造式で示される化合物1を用いて、濃度が0.2wt%となるようにクロロホルム溶液を調整した。
Figure 0005031294
この溶液を上記のITO電極上に滴下し、最初に500RPMの回転で10秒、次に1000RPMの回転で1分間スピンコートを行い膜形成した。この後10分間、80℃の真空オーブンで乾燥し、薄膜中の溶剤を完全に除去した。形成されたホール輸送層5の厚みは15nmであった。
次に、ホール輸送層5の上に前記例示化合物No.A−101と、下記構造式で示される化合物2を共蒸着(重量比10:90)して25nmの発光層3を設けた。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/sec以上0.3nm/secの条件で成膜した。
Figure 0005031294
更に、電子輸送層6として、2,9−[2−(9,9’−ジメチルフルオレニル)]−1,10−フェナントロリンを真空蒸着法にて25nmの膜厚に形成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は0.2nm/sec以上0.3nm/sec以下の条件であった。
次に、フッ化リチウム(LiF)を先ほどの有機層の上に、真空蒸着法により厚さ0.5nm形成し、更に真空蒸着法により厚さ100nmのアルミニウム膜を設け電子注入電極(陰極4)とする有機発光素子を作成した。蒸着時の真空度は1.0×10-4Pa、成膜速度は、フッ化リチウムは0.05nm/sec、アルミニウムは1.0nm/sec以上1.2nm/sec以下の条件で成膜した。
得られた有機EL素子は、水分の吸着によって素子劣化が起こらないように、乾燥空気雰囲気中で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。
この様にして得られた素子に、ITO電極(陽極2)を正極、Al電極(陰極4)を負極にして、4Vの印加電圧で青緑色の発光が観測された。
さらに、この素子に窒素雰囲気下、100時間電圧を印加したところ、良好な発光の継続が確認された。
<実施例3>[例示化合物No.A−102の合成]
実施例1の2−ブロモ−7−[N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)アミノ]−9,9−ジメチルフルオレンの代わりに下記化合物を用いる以外は実施例1と同様の方法で例示化合物No.A−102を合成する事が出来る。
2−ブロモ−7−(N,N−ジ−p−トリルアミノ)−9,9−ジメチルフルオレン
<実施例4>[例示化合物No.A−105の合成]
実施例1の2−ブロモ−7−[N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)アミノ]−9,9−ジメチルフルオレンの代わりに下記化合物を用いる以外は実施例1と同様の方法で例示化合物No.A−105を合成する事が出来る。
2−ブロモ−7−(N−(4−tert−ブチルフェニル)−N−(4−フルオロフェニル)アミノ)−9,9−ジメチルフルオレン
<実施例5>[例示化合物No.A−106の合成]
実施例1の2−ブロモ−7−[N,N−ジ(4−tert−ブチルフェニル)アミノ]−9,9−ジメチルフルオレンの代わりに下記化合物を用いる以外は実施例1と同様の方法で例示化合物No.A−106を合成する事が出来る。
2−ブロモ−7−[N,N−ジ(4−フルオロフェニル)アミノ]−9,9−ジメチルフルオレン
本発明における有機発光素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。 本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。 本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。 本発明における有機発光素子の他の例を示す断面図である。 例示化合物No.A−101の1H−NMR(CDCl3)スペクトルを示す図である。 例示化合物No.A−101の1×10-5mol/l希薄トルエン溶液の発光スペクトルを示す図である。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 ホール輸送層
6 電子輸送層
7 ホール注入層
8 ホール/エキシトンブロッキング層

Claims (9)

  1. 下記一般式[2]で示されることを特徴とするアミン化合物。
    Figure 0005031294
    (一般式[2]において、R 1 乃至R 5 は、水素原子、ハロゲン原子、置換あるいは無置換のアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シリル基、アミノ基、アリール基及び複素環基からなる群より選ばれた基である。R 1 同士、R 2 同士、R 3 同士、R 4 同士、R 5 同士は同じであっても異なっていてもよく、またR 1 乃至R 5 は互いに同じであっても異なっていてもよい。
    Ar 1 ,Ar 2 は、置換あるいは未置換のアリール基である。Ar 1 とAr 2 は互いに同じであっても異なっていてもよい。
    mは1以上10以下の整数。nは1以上9以下の整数。)
  2. 前記一般式[2]において、R 1 、R 2 はアルキル基あり、R 3 、R 4 は水素原子であり、R 5 は水素原子またはアルキル基であり、Ar 1 、Ar 2 はフェニル基であり、前記フェニル基の水素原子はハロゲン原子あるいはアルキル基の少なくともいずれかによって置換されてもよく、mは1、nは1であることを特徴とする請求項1に記載のアミン化合物。
  3. 前記フェニル基の、置換されてもよい水素原子は、窒素原子との結合位置に対してパラ位の水素原子であることを特徴とする請求項2に記載のアミン化合物。
  4. 少なくとも一方が透明か半透明な陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に挟持された有機化合物を含む1または複数の層を有する有機発光素子において、前記有機化合物を含む層のうち少なくとも一層が、請求項1乃至のいずれか一項に記載のアミン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とする有機発光素子。
  5. 前記アミン化合物を含有する層が、ホストとゲストの少なくとも2種の化合物から構成される層であることを特徴とする請求項に記載の有機発光素子。
  6. 前記ホストが、前記アミン化合物よりもエネルギーギャップの大きい、4環以上の縮合環芳香族骨格を有する化合物であることを特徴とする請求項に記載の有機発光素子。
  7. 前記アミン化合物を含有する層が発光領域のある少なくとも一層であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の有機発光素子。
  8. 前記発光領域のある少なくとも一層が発光層であることを特徴とする請求項に記載の有機発光素子。
  9. 前記一対の電極間に電圧を印加することにより発光する電界発光素子であることを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載の有機発光素子。
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