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JP5017120B2 - 回転電機用回転子及び回転電機 - Google Patents

回転電機用回転子及び回転電機 Download PDF

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JP5017120B2 JP2007544135A JP2007544135A JP5017120B2 JP 5017120 B2 JP5017120 B2 JP 5017120B2 JP 2007544135 A JP2007544135 A JP 2007544135A JP 2007544135 A JP2007544135 A JP 2007544135A JP 5017120 B2 JP5017120 B2 JP 5017120B2
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Description

本発明は、永久磁石を用いた回転電機に関し、特に冷媒により永久磁石及び回転子鉄心を冷却できるようにした回転電機用回転子、及びそれを用いた回転電機に関する。
近年の回転電機は回転子への永久磁石埋め込み構造の採用、回転子に磁気的突極性を持たせ磁気トルクに加えてリラクタンストルクも利用する技術の採用等により小型化が図られてきた。現在、更なる小型化を図るには回転子の回転数を上げることが課題と考えられている。
ところで回転数を上げると回転子鉄心内で発生する鉄損(ヒステリシス損と渦電流損の和)、とりわけ鉄心表面付近で発生する鉄損が増大する。また、回転子鉄心に埋設した永久磁石内で発生する渦電流損も無視できない。これら損失に伴う発熱により永久磁石の温度が上昇すると永久磁石は減磁して発生トルクが減少する。また、回転子鉄心の温度上昇も鉄心の透磁率を減少させて発生トルクを減少させる。
こうした回転子の温度上昇を抑えるため、回転子を冷却させる構造が従来より種々提案されている。例えば特許文献1には、回転子鉄心に軸方向に貫通する空洞部を、その空洞部に対向する位置の回転子鉄心の両側押え板部には開口部を形成し、それら空洞部と開口部に回転子の軸方向の長さより長い仕切り板を取り付けて空洞部内に空気を流す冷却構造が提案されている。しかしこの構造の場合、空気による冷却であるため冷却能力が低いという問題がある。
また、特許文献2には、埋設した永久磁石の内周側面側に断面が回転中心に向けて凸形状の冷却通路を軸方向に貫通して形成し、そこに冷媒を流す冷却構造が提案されている。この構造の場合、永久磁石の冷却には有効と考えられるが回転子鉄心の冷却には能力不足と思われる。
特開2002−78291号公報 特開2002−345188公報
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その課題は、回転電機の回転子の冷却性能を向上させることにより回転電機の高速化、小型化を容易にすることにある。
本発明による回転電機用回転子及び回転電機は、円柱状回転子鉄心の周辺部に軸方向に貫通させた複数の磁石挿入孔に永久磁石を埋設し、中心部に回転軸を挿通固定させた構造の回転電機用回転子であって、前記回転子鉄心には永久磁石の作る磁束方向である各d軸上であって埋設した永久磁石より外周側に軸方向に貫通するd軸貫通孔を設け、前記磁石挿入孔のうち当該磁石挿入孔に埋設された前記各永久磁石の断面長手方向の両側部を、前記回転子鉄心を軸方向に貫通する空隙孔とし、前記回転軸の前記回転子鉄心に挿通されていない軸方向の両側部分は中空軸に形成し、前記回転子鉄心の軸方向両側には前記回転子鉄心を挟み込む押え板を取り付け、更に、前記回転軸の両側の前記中空軸の中空軸壁には径方向に抜ける中空軸壁孔を形成し、前記押え板の前記回転子鉄心に接する面には、前記中空軸壁孔と前記回転子鉄心に設けた前記各d軸貫通孔および前記各空隙孔とを繋ぎ、前記押え板に設けられ前記各d軸貫通孔を繋ぐ第1の環状溝と、前記押え板に設けられ前記空隙孔を繋ぐ第2の環状溝と、前記押え板に設けられ前記第1の環状溝および前記第2の環状溝と前記回転軸の前記中空軸壁孔とを繋ぐ径方向溝とからなる冷却溝をそれぞれ形成し、前記押え板に冷媒流出孔をそれぞれ設けるとともに、一方の前記押え板に設けられた前記冷媒流出孔の孔径と、他方の前記押え板に設けられた前記冷媒流出孔の孔径とを異ならせ、前記回転軸の一方の前記中空軸内に供給された冷媒を、当該一方の中空軸に形成した前記中空軸壁孔および前記押え板の前記径方向溝を介して、前記押え板の前記第1の環状溝と、前記回転子鉄心の前記d軸貫通孔と、反対側の前記押え板の前記第1の環状溝とからなる流路、および、前記押え板の前記第2の環状溝と、前記回転子鉄心の前記空隙孔と、反対側の前記押え板の前記第2の環状溝とからなる流路にそれぞれ流し、前記押え板の前記径方向溝に流入した冷媒の一部を、一方の前記押え板に設けられた前記冷媒流出孔を通して外部に流出させ、残りの冷媒を、他方の前記押え板に設けられた前記冷媒流出孔を通して外部に流出させる冷媒通路を形成したところに特徴を有している。
本発明の回転電機用回転子及び回転電機は、回転子をこのような構成として、その回転軸の中空軸から冷媒を流せば、回転子を冷却してその温度上昇を抑えることができる。特に本構成の場合は回転子鉄心の周辺近くに設けたd軸貫通孔を冷媒が流れるため回転子鉄心の表層部分と永久磁石を効果的に冷却できる。従って、永久磁石の温度上昇を抑えてその減磁を防止できるため発生トルクの減少を回避できる効果を奏する。
図1は本発明に係る回転電機1の縦断面図である。 図2は第1の実施形態に係る回転子5のd軸を含む縦断面図である。 図3は本発明に係る回転子5の軸心に垂直な断面図である。 図4Aは図4Bの4A−4A断面図である。 図4Bは第1の実施形態に係る回転子5の回転子鉄心11を左側から押さえる左側押え板14aの正面図である。 図5は第1の実施形態に係る回転子5に冷媒を流した場合の流路を説明する図である。 図6は第2の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図7Aは図7Bの7A−7A断面図である。 図7Bは第2の実施形態に係る回転子5についての図4B相当図である。 図8は第3の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図9Aは図9Bの9A−9A断面図である。 図9Bは第3の実施形態に係る回転子5についての図4B相当図である。 図10は第4の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図11Aは図11Bの11A−11A断面図である。 図11Bは第4の実施形態に係る回転子5についての図4B相当図である。 図12は第5の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図13Aは第5の実施形態に係る回転子5についての左方の押え板14aの回転子鉄心11側正面図である。 図13Bは第5の実施形態に係る回転子5についての右方の押え板14bの回転子鉄心11側正面図である。 図14は第6の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図15Aは第6の実施形態に係る回転子5についての左方の押え板14aの回転子鉄心11側正面図である。 図15Bは第6の実施形態に係る回転子5についての右方の押え板14bの回転子鉄心11側正面図である。 図16は第7の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図17Aは第7の実施形態に係る回転子5についての左方の押え板14aの回転子鉄心11側正面図である。 図17Bは第7の実施形態に係る回転子5についての右方の押え板14bの回転子鉄心11側正面図である。 図18は第8の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図19Aは第8の実施形態に係る回転子5についての左方の押え板14aの回転子鉄心11側正面図である。 図19Bは第8の実施形態に係る回転子5についての右方の押え板14bの回転子鉄心11側正面図である。 図20は第9の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図21Aは第9の実施形態に係る回転子5についての左方の押え板14aの回転子鉄心11側正面図である。 図21Bは第9の実施形態に係る回転子5についての右方の押え板14bの回転子鉄心11側正面図である。 図1は第10の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図23Aは第10の実施形態に係る回転子5についての左方の押え板14aの回転子鉄心11側正面図である。 図23Bは第10の実施形態に係る回転子5についての右方の押え板14bの回転子鉄心11側正面図である。 図24は第11の実施形態に係る回転軸5についての左方の補助板41aの回転子鉄心11側正面図である。 図25は第11の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図26は第12の実施形態に係る回転子5についての図4B相当図である。 図27は第12の実施形態に係る回転子5についての図5相当図である。 図28は第7の実施形態に係る回転子5を採用した回転電機1aに冷媒を流した場合の流路を説明する図である。 図29は図14の回転子5における回転軸15の変形実施形態である。
符号の説明
1、1aは回転電機、5は回転子(回転電機用回転子)、26はd軸貫通孔、11は回転子鉄心、12は永久磁石、14a、14b、44a、44bは押え板、15は回転軸、15a、15bは回転軸の中空軸部、15cは回転軸の中実軸部、21、21a、21bは磁石挿入孔、23、23a、23bは空隙孔、24はブリッジ、25は中空軸壁孔、27はq軸貫通孔、30は第1の環状溝、31は径方向溝、32は第2の環状溝、33は第3の環状溝、34は第4の環状溝、35は押え板冷媒流出孔、37はケース冷媒流出孔を示す。
以下、本発明に係る回転電機用回転子及び回転電機について図面を参照して説明する。図1にその回転電機1の構成を縦断面図で示す。回転電機1は円筒状の金属製フレーム2、その両端面に取り付けた軸受ブラケット3、固定子4、回転子5により構成される。
固定子4は珪素鋼板などの磁性材料を略環状に打ち抜いた鉄心片を複数枚積層して形成した固定子鉄心7に固定子巻線8を収納したもので、円筒状フレーム2の内側に嵌合固定されている。フレーム2の両端面には軸受ブラケット3が図示しないボルトとナットによりに締め付け固定されている。両側軸受ブラケット3の中心部には軸受け9が取り付けられ、回転子5はその軸受け9により固定子4の内側に回転自在に保持されている。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る回転子5の後述するd軸を含む縦断面図である。回転子5は、回転子鉄心11とその内部に埋設された永久磁石12(図3参照)、回転子鉄心11の両端面を押さえる2枚の押え板14a、14b、回転軸15により構成される。図3は、図2中の3−3線に沿った回転子5の断面図である。回転子鉄心11は、磁性材料を図3に示す平面形状に打ち抜いた鉄心片を複数枚積層したものを軸方向にかしめて構成されている。回転子鉄心11の中心部のキー18を持つ孔19には、回転軸15が嵌合固定されている。
本実施形態の回転子5は永久磁石埋設型の回転子で、回転子鉄心11の周辺部には永久磁石12を埋設するための磁石挿入孔21が複数設けられている。図3は極数が8極の場合を示している。1極分の磁石挿入孔21は、回転軸15側から見てV字状に配置した2個の磁石挿入孔21a、21bにより構成されている。磁石挿入孔21は回転子鉄心11を軸方向に貫通して設けられており、内部には板状の永久磁石12が埋め込まれている。2個の磁石挿入孔21a、21bに埋設された永久磁石12は、回転子鉄心11の外周側を臨む側が同極で、隣のV字状磁石挿入孔21に埋設された永久磁石12とは異極となるように着磁されている。
埋設した永久磁石12の断面長手方向の両側部には、各磁石挿入孔21a、21bを拡張して形成した軸方向に貫通する空隙孔23a、23bが形成されている。この空隙孔23a、23bを設ける本来の目的は磁束短絡を防止することにあるが、本発明では後述するように冷媒通路としても使用する。
この磁石両側の空隙孔のうち回転子鉄心11の外周側に位置する空隙孔23aは、回転子鉄心11の外周面に接近して形成されている。回転軸15側に位置する他方の空隙孔23bは、隣り合う2つの空隙孔23bが両者の間に僅かな隙間を残して形成されている。この隙間部の鉄心は、V字状磁石挿入孔21より回転子外周側の鉄心を内周側鉄心に繋ぐものであることからブリッジ24と呼ばれる。
磁石挿入孔21a、21bは、このブリッジ24と回転軸15の軸心とを結ぶ線に対して線対称に形成されている。従ってV字状に配された永久磁石12の作る磁束は、V字状部分ではブリッジ24と回転軸15の軸心とを結ぶ線の方向を向いている。モータの2軸理論で知られているd−q座標系では、永久磁石の作る磁束方向はd軸と呼ばれる。本実施形態の回転子5では、ブリッジ24と回転軸15の軸心とを結ぶ線がこのd軸に相当する。
図3に示す回転子5では、各d軸上であって永久磁石12より外周側に軸方向に貫通するd軸貫通孔26を設けている。このd軸貫通孔26はd軸方向の磁気抵抗を増加させてd軸インダクタンスLdを減少させる。これによりq軸インダクタンスLqとd軸インダクタンスLdとの差が大きくなりリラクタンストルクが増加する。また、同時にV字状磁石挿入孔21よりも回転子外周側に位置する鉄心の質量を減少させるため、この部分に働く遠心力が減少して高速回転が可能となる。d軸貫通孔26を設ける本来の目的はこうした点にあるが、本発明では後述するように冷媒通路としても使用する。
d−q座標系ではd軸方向から電気角でπ/2位相が進んだ方向はq軸と呼ばれる。図3に示した回転子5では、隣り合うV字状磁石挿入孔21の隣り合う2つの空隙孔23a間と回転軸15の軸心とを結ぶ線がq軸に相当する。本実施形態の回転子5では、このq軸上にも回転子鉄心11を軸方向に貫通するq軸貫通孔27を形成している。このq軸貫通孔27は、回転子鉄心11を軽量化して回転速度変化に対しての応答性改善に寄与するが、本発明では後述するようにこのq軸貫通孔27も冷媒通路として使用する。
図4Aおよび図4Bは、図2の回転子鉄心11を左側から押さえている左側押え板14aの外形をその部分を貫く回転軸15の断面形状と共に表わした図で、図4Bは左側押え板14aと回転子鉄心11との接合面(図2中の4B−4B線を含む軸心に垂直な面)を回転子鉄心11側から見た図である。図4Aは図4B中の4A−4A線に沿った断面図である。この左側押え板14aの回転子鉄心11に接する面には、断面U字状の2つの溝が掘られている。また、中心には回転軸15が挿通固定されている。
回転軸15は図2に示すように中空軸部15a、15bと中実軸部15cとに分かれて構成されており、回転子鉄心11に挿通固定されている部分は中実軸に、回転子鉄心11から両側に突出した部分15a、15bは中空軸に形成されている。図2における左側中空軸部15aから中実軸部15cに移る手前の中空軸部15aの壁面には、径方向に抜ける中空軸壁孔25が形成されている。
押え板14a、14bに掘られた溝の一つは、押え板14a、14bの周辺に沿って環状に掘られた第1の環状溝30である。この第1の環状溝30は、回転子鉄心11に設けられた前記各d軸貫通孔26を繋ぐ位置に掘られている。もう一つの溝は、その第1の環状溝30を回転軸15の前記中空軸壁孔25に繋ぐ径方向溝31である。図4A、4Bでは、径方向溝31及び中空軸壁孔25はそれぞれ2個設けられているが更に個数を増やしてもよい。図2において回転子鉄心11を右側から押される右側押え板14b及びその部分の中空軸部15bの形状は、回転子鉄心11を挟んで左側押え板14a、左側中空軸部15aと面対称に形成されている。
このように形成された左側押え板14a、右側押え板14bが、その溝の掘られた面を回転子鉄心11に押しつけて取り付けられている。そして、それら押え板14a、14bに掘られた第1の環状溝30によって回転子鉄心11に設けられた前記複数のd軸貫通孔26は繋がれ、その第1の環状溝30は径方向溝31及び回転軸15の中空軸壁孔25を経て回転軸15の中空軸部15aの内側に繋がれている。このような構成により回転軸15の左側中空軸部15aの内側から右側中空軸部15bの内側に至る通路が形成されている。
従って、図5に示すように回転軸15の左側中空軸部15aの内側に冷媒を流し込むと、流し込まれた冷媒は図中の矢印のように左側中空軸部15aの中空軸壁孔25、左側押え板14aの径方向溝31、第1の環状溝30、回転子鉄心11のd軸貫通孔26、右側押え板14bの第1の環状溝30、径方向溝31、右側中空軸部15aの中空軸壁孔25、右側中空軸部15bの内側を通って外部へ流出する。
図1に示した本実施形態の回転電機1はこのような冷媒通路を構成した回転子5を採用しており、その冷媒通路に冷媒を流すことによって回転子5の冷却を図っている。冷媒としては油、防腐剤を混ぜた水、その他の液体、冷却用空気等を使用する。
このように回転子5に設けた冷媒通路に冷媒を流せば、回転子5を冷却してその温度上昇を抑えることができる。特に本実施形態の回転子5では、回転子鉄心11の周辺近くに設けたd軸貫通孔26を冷媒が流れるため回転子鉄心11の表層部分と永久磁石12が効果的に冷却される。従って、永久磁石の温度上昇が抑えられてその減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。また、このような構成の回転子5を備えた回転電機1は鉄損による回転子5の温度上昇を抑えることができるため、より高速運転が可能となり、ひいては回転電機1の小型化が可能となる。
また、回転子5はd軸方向磁束を作る永久磁石12を埋設する各磁石挿入孔21をd軸に沿って中央で2分割し、間に回転子鉄心11の磁石挿入孔21より外周側と内周側とを繋ぐブリッジ24を形成すると共に、分割した磁石挿入孔21をV字状に配置したことにより、高速回転時の遠心力に耐えられるようになる。従って、より高速回転を必要とする回転電機に採用することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る回転子について図6、図7A、7Bを参照して説明する。なお、図中、第1の実施形態に係る図2〜図5と同一又は相当部分には同一符号が付してある。図6は本実施形態の回転子5の縦断面図である。図7A、7Bは回転子鉄心11を左側から押さえている左側押え板14aの外形をその部分を貫く回転軸15の断面形状と共に表わした図で、図7Bは左側押え板14aと回転子鉄心11との接合面を回転子鉄心11側から見た図である。図7Aは図7B中の7A−7A線に沿った断面図である。なお、右側押え板14bは左側押え板14aと面対称に形成されている。
本実施形態の回転子5が第1の実施形態に係る図5の回転子5と異なる点は、左側押え板14a、右側押え板14bの回転子鉄心11に接する面に掘られた環状溝の位置である。第1の実施形態に係る図4A、4Bに示す左側押え板14aでは、第1の環状溝30は回転子鉄心11のd軸貫通孔26を繋ぐ位置に形成された。これに対して本実施形態の第2の環状溝32は、前述した磁石挿入孔21a、21bを拡張して形成した軸方向に貫通する空隙孔23bを繋ぐように形成されている。径方向溝31は、その第2の環状溝32を回転軸15の前記中空軸壁孔25に繋ぐように形成されている。
従って、図6に示すように回転軸15の左側中空軸部15aの内部に冷媒を流し込むと、冷媒は回転子鉄心11中をd軸貫通孔26の代わりに空隙孔23bを通過して反対側の右側中空軸部15aから流出する。
本実施形態の場合、左側中空軸部15aから冷媒を注入すれば冷媒は永久磁石12に接して軸方向に貫通する空隙孔23bに流れるため永久磁石12は一層効果的に冷却される。従って、その温度上昇が抑えられて減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。
次に、本発明の第3の実施形態に係る回転子について図8、図9A、9Bを参照して説明する。なお、図中、第1の実施形態に係る図2〜図5と同一又は相当部分には同一符号が付してある。図8は、本実施形態の回転子5の縦断面図である。図9A、9Bは回転子鉄心11を左側から押さえている左側押え板14aの外形をその部分を貫く回転軸15の断面形状と共に表わした図で、図9Bは左側押え板14aと回転子鉄心11との接合面を回転子鉄心11側から見た図である。図9Aは図9B中の9A−9A線に沿った断面図である。なお、右側押え板14bは左側押え板14aと面対称に形成されている。
本実施形態の回転子5が第1、第2の実施形態の回転子5と異なる点は、左側押え板14a、右側押え板14bの回転子鉄心11に接する面に掘られた環状溝の構成にある。本実施形態では第1の実施形態で設けた第1の環状溝30と、第2の実施形態で設けた第2の環状溝32の双方を設けている。第1の環状溝30は前述したように回転子鉄心11に設けられた複数のd軸貫通孔26を繋ぎ、第2の環状溝32は磁石挿入孔21a、21bを拡張して形成した軸方向に貫通する空隙孔23bを?いでいる。
更に、磁石挿入孔21a、21bを拡張して形成された空隙孔23の内、回転子鉄心11の外周側に位置する空隙孔23aは回転子鉄心11の軸心からの距離がd軸貫通孔26とほぼ同じである。従って、第1の環状溝30はd軸貫通孔26を繋ぐと同時に空隙孔23aをも繋ぐようにその溝の幅が調整してある。径方向溝31は第1、第2の環状溝32を回転軸15の前記中空軸壁孔25に繋ぐように形成されている。
従って、図8に示すように回転軸15の左側中空軸部15aの内側に冷媒を流し込むと、冷媒は回転子鉄心11中をd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23bの3種類の貫通孔を並行して通過する。冷媒はそれらの貫通孔を通過した後、反対側の右側中空軸部15aから外部へ流出する。
このように本実施形態の場合、左側中空軸部15aから冷媒を注入すれば冷媒は回転子鉄心11中のd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23bの3種類の貫通孔を流れるため永久磁石12及び回転子鉄心11は一層効果的に冷却される。従って、永久磁石12の温度上昇が抑えられて減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。
次に、本発明の第4の実施形態に係る回転子について図10、図11A、11Bを参照して説明する。なお、図中、第3の実施形態に係る図8、図9A、9Bと同一又は相当部分には同一符号が付してある。図10は、本実施形態の回転子5の縦断面図である。図11A、11Bは回転子鉄心11を左側から押さえている左側押え板14aの外形をその部分を貫く回転軸15の断面形状と共に表わした図で、図11Bは左側押え板14aと回転子鉄心11との接合面を回転子鉄心11側から見た図である。図11Aは図11B中の11A−11A線に沿った断面図である。なお、右側押え板14bは左側押え板14aと面対称に形成されている。
本実施形態の回転子5が第3の実施形態の回転子5と異なる点は、左側押え板14a、右側押え板14bの回転子鉄心11に接する面に掘られた環状溝の構成にある。本実施形態では第3の実施形態で設けた第1、第2の環状溝30、32に加えて第3の環状溝33を追加して設けている。この第3の環状溝33は、図3において説明したq軸貫通孔27を繋ぐように形成されている。
即ち、本実施形態では第1の環状溝30によりd軸貫通孔26と空隙孔23aとを、第2の環状溝32により空隙孔23bを、第3の環状溝33によりq軸貫通孔27を?いででいる。そして、径方向溝31はこれら第1、第2、第3の環状溝30、32、33を回転軸15の前記中空軸壁孔25に繋ぐように形成されている。
従って、図10に示すように回転軸15の左側中空軸部15aの内側に冷媒を流し込むと、冷媒は回転子鉄心11中をd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23b、q軸貫通孔27の4種類の貫通孔を並行して流れる。このため永久磁石12及び回転子鉄心11は第3の実施形態の場合よりも更に効果的に冷却される。その結果として永久磁石12の温度上昇が抑えられて減磁が防止され、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。
次に、本発明の第5の実施形態に係る回転子、及びそれを用いた回転電機について図12、図13A、13Bを参照して説明する。なお、図中、第4の実施形態に係る図10、図11A、11Bと同一又は相当部分には同一符号が付してある。図12は本実施形態の回転子5の縦断面図を示す。図13Aは回転子鉄心11を左側から押さえている左側押え板14aを回転子鉄心11側から見た図を、図13Bは回転子鉄心11を右側から押さえている右側押え板14bを回転子鉄心11側から見た図を示している。なお、図中にはその部分を貫く回転軸15の断面形状も示している。
図13Aに示す本実施形態の左側押え板14aは、第3の実施形態である図9A、9Bに示した左側押え板14aに対して、回転子鉄心11側のq軸貫通孔27(図3参照)に対向する位置に押え板冷媒流出孔35を追加して設けたものである。環状溝は、第3の実施形態の場合と同様にd軸貫通孔26と空隙孔23aを繋ぐ第1の環状溝30と、空隙孔23bを繋ぐ第2の環状溝32が設けてある。
図13Bに示す右側押え板14bは、第4の実施形態である図11A、11Bに示した左側押え板14aと面対称の右側押え板14bにおける径方向溝31の構成を変えたものである。この場合の径方向溝31は第1、第2、第3の環状溝30、32、33のみを相互に繋ぐ。
回転軸15は図12に示すように全ての部分を中空軸として形成してあるが、第4の実施形態に係る図10中に示す回転軸15と同じように回転子鉄心11に挿通されている部分のみを中空軸としてもよい。更には、図29中に示す回転軸15のように冷媒が供給される側の端から中空軸壁孔25に通ずる部分のみを中空軸として形成し、それ以外の部分は中実軸として形成してもよい。
このような構成の下で回転軸15の左側中空軸部15aの内側に冷媒を流し込むと冷媒は図12中の矢印のように流れる。回転子鉄心11の中ではd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23bを左側から右側に向かって並行して流れる。そして、右側押え板14bの溝内で反転して回転子鉄心11のq軸貫通孔27を右側から左側に向かって流れ、左側押え板14aに設けられたq軸貫通孔27に対向する位置の押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。
このようにして本実施形態の場合も冷媒が回転子鉄心11中をd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23b、q軸貫通孔27の各貫通孔を流れ、永久磁石12及び回転子鉄心11が冷却される。従って、永久磁石12の温度上昇が抑えられて減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。
次に、本発明の第6の実施形態に係る回転子について図14、図15A、15Bを参照して説明する。なお、図中、第5の実施形態に係る図12、図13A、13Bと同一又は相当部分には同一符号が付してある。図15Aは回転子鉄心11を左側から押さえている左側押え板14aを回転子鉄心11側から見た図を、図15Bは回転子鉄心11を右側から押さえている右側押え板14bを回転子鉄心11側から見た図を示している。なお、図中にはその部分を貫く回転軸15の断面形状も示している。
本実施形態の回転子5が第5の実施形態の回転子5と異なる点は、図15Bに示すように右側押え板14bの回転子鉄心11に接する面に設けられた第3の環状溝33にも押え板冷媒流出孔35を追加して設けた点にある。この押え板冷媒流出孔35は、回転子鉄心11のq軸貫通孔27(図3参照)に対向する位置に設けてあり、その孔径は左側押え板14aに設けた押え板冷媒流出孔35の孔径より小さくしてある。
回転軸15は図14に示すように全ての部分を中空軸として形成してあるが、第4の実施形態に係る図10中に示す回転軸15と同じように回転子鉄心11に挿通されている部分のみを中空軸としてもよい。更には、図29中に示す回転軸15のように冷媒が供給される側の端から中空軸壁孔25に通ずる部分のみを中空軸として形成し、それ以外の部分は中実軸として形成してもよい。
このような構成の下で回転軸15の軸内部に冷媒を流し込むと、冷媒は図14中の矢印のように流れる。回転子鉄心11の中ではd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23bを左側から右側に向かって並行して流れる。そして、右側押え板14bの径方向溝31に入り、そこで冷媒の一部はq軸貫通孔27に対向する位置に設けた押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。残りの冷媒は第5の実施形態の場合と同様に反転して回転子鉄心11のq軸貫通孔27を右側から左側に向かって流れ、左側押え板14aに設けられたq軸貫通孔27に対向する位置の押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。即ち、本実施形態では、冷媒は左右の押え板14a、14bに設けられた押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。
このようにして本実施形態の場合も冷媒が回転子鉄心11中をd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23b、q軸貫通孔27の各貫通孔を通って流れ、永久磁石12及び回転子鉄心11が冷却される。従って、永久磁石12の温度上昇が抑えられて減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。また、押え板冷媒流出孔35から冷媒を流出させることで、固定子4を冷却させる効果も奏する。
次に、本発明の第7の実施形態に係る回転子について図16、図17A、17Bを参照して説明する。なお、図中、第4の実施形態に係る図10、図11A、11Bと同一又は相当部分には同一符号が付してある。図17Aは回転子鉄心11を左側から押さえている左側押え板14aを回転子鉄心11側から見た図を、図17Bは回転子鉄心11を右側から押さえている右側押え板14bを回転子鉄心11側から見た図を示している。なお、図中にはその部分を貫く回転軸15の断面形状も示している。
本実施形態の回転子5が第4の実施形態の回転子5と異なる点は、図17A、17Bに示すように左右の押え板14a、14bの回転子鉄心11に接する面に掘られた第3の環状溝33に複数の押え板冷媒流出孔35を追加して設けた点と、右側押え板14bの径方向溝31は第1、第2、第3の環状溝30、32、33のみを相互に繋ぐようにした点にある。この追加して設ける押え板冷媒流出孔35は周方向に等間隔であればよく、必ずしも回転子鉄心11のq軸貫通孔27(図3参照)に対向する位置に設ける必要はない。左側押え板14aに設けた押え板冷媒流出孔35は、右側押え板14bに設けたものより孔径を小さくてある。
回転軸15は図16に示すように全ての部分を中空軸として形成してあるが、第4の実施形態に係る図10中に示す回転軸15と同じように回転子鉄心11に挿通されている部分のみを中空軸としてもよい。更には、図29中に示す回転軸15のように冷媒が供給される側の端から中空軸壁孔25に通ずる部分のみを中空軸として形成し、それ以外の部分は中実軸として形成してもよい。
このような構成の下で回転軸15の軸内部に冷媒を流し込むと、冷媒は図16中の矢印のように流れる。左側押え板14aの径方向溝31に流入した冷媒の一部は回転子鉄心11に設けられた各貫通孔を通ることなく第3の環状溝33と押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。また、右側押え板14bの第1、第2、第3の環状溝30、32、33に流出した冷媒は第3の環状溝33に設けられた押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。
このようにして本実施形態の場合も冷媒が回転子鉄心11のd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23b、q軸貫通孔27の各貫通孔を通って流れ、永久磁石12及び回転子鉄心11が冷却される。従って、永久磁石12の温度上昇が抑えられて減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。
次に、本発明の第8の実施形態に係る回転子について図18、図19A、19Bを参照して説明する。なお、図中、第1の実施形態に係る図4A、図4B、図5と同一又は相当部分には同一符号が付してある。図19Aは回転子鉄心11を左側から押さえている左側押え板14aを回転子鉄心11側から見た図を、図19Bは回転子鉄心11を右側から押さえている右側押え板14bを回転子鉄心11側から見た図を示している。なお、図中にはその部分を貫く回転軸15の断面形状も示している。
本実施形態の回転子5が第1の実施形態の回転子5と大きく異なる点は、図19A、19Bに示すように左右の押え板14a、14bに第4の環状溝34を追加形成した点と、その第4の環状溝34の底に軸方向外部に通ずる押え板冷媒流出孔35を複数個形成した点にある。第4の環状溝34の形成位置は、第1の環状溝30より内側にしてある。押え板冷媒流出孔35の位置は周方向に等間隔にしてあり、左側押え板14aに形成した押え板冷媒流出孔35の孔径は右側押え板14bの押え板冷媒流出孔35の孔径より小さくしてある。左側押え板14aの径方向溝31は第1、第4の環状溝30、34を中空軸壁孔25に繋ぎ、右側押え板14bの径方向溝31は第1、第4の環状溝30、34のみを相互に繋ぐように形成してある。
回転軸15は図16に示すように全ての部分を中空軸として形成してあるが、第1の実施形態に係る図5中に示す回転軸15と同じように回転子鉄心11に挿通されている部分のみを中空軸としてもよい。更には、図29中に示す回転軸15のように冷媒が供給される側の端から中空軸壁孔25に通ずる部分のみを中空軸として形成し、それ以外の部分は中実軸として形成してもよい。
このような構成の下で回転軸15の軸内部に冷媒を流し込むと、冷媒は図18中の矢印のように流れる。左側押え板14aの径方向溝31に流入した冷媒の一部は第4の環状溝34と押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。また、回転子鉄心11を軸方向に貫通するd軸貫通孔26を通って右側押え板14bの第1の環状溝30に流出した冷媒は第4の環状溝34に設けられた押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。
このようにして本実施形態の場合も冷媒が回転子鉄心11のd軸貫通孔26を流れ、永久磁石12及び回転子鉄心11が冷却される。従って、永久磁石12の温度上昇が抑えられて減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。
次に、本発明の第9の実施形態に係る回転子について図20、図21A、21Bを参照して説明する。なお、図中、第2の実施形態に係る図6、図7A、7Bと同一又は相当部分には同一符号が付してある。図21Aは回転子鉄心11を左側から押さえている左側押え板14aを回転子鉄心11側から見た図を、図21Bは回転子鉄心11を右側から押さえている右側押え板14bを回転子鉄心11側から見た図を示している。なお、図中にはその部分を貫く回転軸15の断面形状も示している。
本実施形態の回転子5が第2の実施形態の回転子5と大きく異なる点は、図21A、21Bに示すように左右の押え板14a、14bに第4の環状溝34を追加形成した点と、その第4の環状溝34の底に軸方向外部に通ずる押え板冷媒流出孔35を複数個形成した点にある。第4の環状溝34の形成位置は、第2の環状溝32より内側にしてある。押え板冷媒流出孔35の位置は周方向に等間隔にしてあり、左側押え板14aに形成した押え板冷媒流出孔35の孔径は右側押え板14bの押え板冷媒流出孔35の孔径より小さくしてある。左側押え板14aの径方向溝31は第2、第4の環状溝32、34を中空軸壁孔25に繋ぎ、右側押え板14bの径方向溝31は第2、第4の環状溝32、34のみを相互に繋ぐように形成してある。
回転軸15は図20に示すように全ての部分を中空軸として形成してあるが、第2の実施形態に係る図6中に示す回転軸15と同じように回転子鉄心11に挿通されている部分のみを中空軸としてもよい。更には、図29中に示す回転軸15のように冷媒が供給される側の端から中空軸壁孔25に通ずる部分のみを中空軸として形成し、それ以外の部分は中実軸として形成してもよい。
このような構成の下で回転軸15の軸内部に冷媒を流し込むと、冷媒は図20中の矢印のように流れる。左側押え板14aの径方向溝31に流入した冷媒の一部は第4の環状溝34と押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。また、回転子鉄心11を軸方向に貫通する空隙孔23bを通過して右側押え板14bの第2の環状溝32に流出した冷媒は第4の環状溝34に設けられた押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。
このようにして本実施形態の場合も冷媒が回転子鉄心11の空隙孔23bを通って流れ、永久磁石12及び回転子鉄心11が冷却される。従って、永久磁石12の温度上昇が抑えられて減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。
次に、本発明の第10の実施形態に係る回転子について図22、図23A、23Bを参照して説明する。なお、図中、第3の実施形態に係る図8、図9A、9Bと同一又は相当部分には同一符号が付してある。図23Aは回転子鉄心11を左側から押さえている左側押え板14aを回転子鉄心11側から見た図を、図23Bは回転子鉄心11を右側から押さえている右側押え板14bを回転子鉄心11側から見た図を示している。なお、図中にはその部分を貫く回転軸15の断面形状も示している。
本実施形態の回転子5が第3の実施形態の回転子5と大きく異なる点は、図23A、23Bに示すように左右の押え板14a、14bに第4の環状溝34を追加形成した点と、その第4の環状溝34の底に軸方向外部に通ずる押え板冷媒流出孔35を複数個形成した点にある。第4の環状溝34の形成位置は、第2の環状溝32より内側にしてある。押え板冷媒流出孔35の位置は周方向に等間隔にしてあり、左側押え板14aに形成した押え板冷媒流出孔35の孔径は右側押え板14bの押え板冷媒流出孔35の孔径より小さくしてある。左側押え板14aの径方向溝31は第1、第2、第4の環状溝30、32、34を中空軸壁孔25に繋ぎ、右側押え板14bの径方向溝31は第1、第2、第4の環状溝30、32、34のみを相互に繋ぐように形成してある。
回転軸15は図22に示すように全ての部分を中空軸として形成してあるが、第3の実施形態に係る図8中に示す回転軸15と同じように回転子鉄心11に挿通されている部分のみを中空軸としてもよい。更には、図29中に示す回転軸15のように冷媒が供給される側の端から中空軸壁孔25に通ずる部分のみを中空軸として形成し、それ以外の部分は中実軸として形成してもよい。
このような構成の下で回転軸15の軸内部に冷媒を流し込むと、冷媒は図22中の矢印のように流れる。左側押え板14aの径方向溝31に流入した冷媒の一部は第4の環状溝34と押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。また、回転子鉄心11を軸方向に貫通するd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23bを通過して右側押え板14bの第1、第2の環状溝30、32に流出した冷媒は第4の環状溝34に設けられた押え板冷媒流出孔35を通って外部に流出する。
このようにして本実施形態の場合も冷媒が回転子鉄心11のd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23bを通って流れ、永久磁石12及び回転子鉄心11が冷却される。従って、永久磁石12の温度上昇が抑えられて減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。
次に、本発明の第11の実施形態に係る回転子について図24、図25を参照して説明する。なお、図中、第1の実施形態に係る図5と同一又は相当部分には同一符号が付してある。図24は回転子鉄心11と左側の押え板14aとの間に介装される補助板41aを回転子鉄心11側から見た図を示している。なお、図中にはその部分を貫く回転軸15の断面形状も示している。
本実施形態の回転子5が第1の実施形態の回転子5と異なる点は、回転子鉄心11の軸方向の両端面と左右の押え板14a、14bとの間に、補助板41a、41bが介装されている構成にある。補助板41a、41bの外径は押え板14a、14bと同径とされ、中心には回転軸15が挿通固定される嵌合孔42が形成されている。補助板41a、41bは互いに同一形状をしている。補助板41a、41bは平板状に形成され、その外周縁には、回転子鉄心11の両端面に当接するように配置された時に、d軸貫通孔26と連通するように円周上に8個の通過孔43が等角度に形成されている。これにより、回転子鉄心11の両端面と左右の押え板14a、14bとの間に、補助板41a、41bが介装されて、押え板14a、14b側から見て回転子鉄心11に形成された空隙孔23a、23bおよびq軸貫通孔27を閉塞することができる。
従って、図25に示すように回転軸15の左側中空軸部15aの内側に冷媒を流し込むと、流し込まれた冷媒は図中の矢印のように左側中空軸部15aの中空軸壁孔25、左側押え板14aの径方向溝31、第1の環状溝30、左側補助板41aの通過孔43、回転子鉄心11のd軸貫通孔26、右側補助板41bの通過孔43、右側押え板14bの第1の環状溝30、径方向溝31、右側中空軸部15bの中空軸壁孔25、右側中空軸部15bの内側を通って外部へ流出する。
ここで、一般的に回転電機1において、固定子4側スロットに起因する高調波磁束により発生する回転子5の損失、いわゆる鉄損は、回転子5の表面ほど発生しやすい。特に、回転電機1の高回転速度化に伴い、回転子鉄心11の表面での損失が増加する傾向があり、回転子5の磁石12の温度を下げるためには、回転子鉄心11の主要な発熱部である表面付近を冷却することが効果的である。
従って、本実施形態の場合、左側中空軸部15aから冷媒を注入すれば、冷媒は回転子鉄心11中のd軸貫通孔26のみを流れるため、限られた冷媒の量で永久磁石12及び回転子鉄心11は一層効果的に冷却される。従って、永久磁石12の温度上昇が抑えられて減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。
次に、本発明の第12の実施形態に係る回転子について図26、図27(図26の27−27断面図)を参照して説明する。なお、図中、第1の実施形態に係る図5と同一又は相当部分には同一符号が付してある。図26は左側押え板14aに代えて、本実施形態において使用される左側押え板44aの回転子鉄心11側から見た正面図である。なお、図中にはその部分を貫く回転軸15の断面形状も示している。
本実施形態の回転子5が第1の実施形態の回転子5と異なる点は、回転子鉄心11の軸方向の両端面に押え板14a、14bに代えて押え板44a、44bが設けられている構成にある。押え板44a、44bの外径は押え板14a、14bと同径とされ、中心には回転軸15が挿通固定される嵌合孔45が形成されている。押え板44a、44bは嵌合孔45の形状が回転子鉄心11をはさんで対称とされている点を除いて、同一形状をしている。押え板44a、44bの回転子鉄心11と当接する側の面には、嵌合孔45と同心状となるように円環状に窪んだ流入部46が形成されている。嵌合孔45と流入部46とは、円周上に対向するように上下位置に配置された一対の連通路47によってのみ繋がれている。また、押え板44a、44bの回転子鉄心11と当接する側の面には、流入部46の外縁から外方に向けて8個の細溝48が放射状に延びており、これらは円周上に等角度に形成されている。回転子鉄心11の両端面に押え板44a、44bが配置されることにより、細溝48は回転子鉄心11の空隙23bの間(ブリッジ24)と対向して延びるため、回転軸15の中空軸部15a、15bは、中空軸壁孔25、連通路47、流入部46、細溝48を介してd軸貫通孔26のみと連通される。
従って、図27に示すように回転軸15の左側中空軸部15aの内側に冷媒を流し込むと、流し込まれた冷媒は図中の矢印のように左側中空軸部15aの中空軸壁孔25、左側押え板44aの連通路47、流入部46、細溝48、回転子鉄心11のd軸貫通孔26、右側押え板44bの細溝48、流入部46、連通路47、右側中空軸部15bの中空軸壁孔25、右側中空軸部15bの内側を通って外部へ流出する。
従って、本実施形態の場合も、左側中空軸部15aから冷媒を注入すれば、冷媒は回転子鉄心11中のd軸貫通孔26のみを流れるため、限られた冷媒の量で永久磁石12及び回転子鉄心11は一層効果的に冷却される。従って、永久磁石12の温度上昇が抑えられて減磁が防止される結果、発生トルクの減少が回避される効果を奏する。
また、上述した第11の実施形態のように、回転子鉄心11の軸方向の両端面と左右の押え板14a、14bとの間に、補助板41a、41bを介装する、あるいは第12の実施形態のように回転子鉄心11の軸方向の両端面に押え板44a、44bを設けることに代えて、合成樹脂材等により回転子鉄心11に形成された空隙孔23a、23bおよびq軸貫通孔27を封止して、中空軸部15aに注入された冷媒がこれらを流れることを防いでもよい。
図28は、図16に示した第7の実施形態の回転子5を採用した回転電機1aの構成例である。上述したように回転子5は、回転軸15の左側中空軸部15aの内側に流し込んだ冷媒が回転子鉄心11内を流れた後、左右の押え板14a、14bに設けた押え板冷媒流出孔35から流出する。従って、図28の回転電機1aでは押え板冷媒流出孔35から流出した冷媒を回転電機1aの外に流出させるために、ケース冷媒流出孔37を左右の軸受ブラケット3に設けている。
このような回転電機1aの構成では、回転軸15の左側中空軸部15aの内側に冷媒を流し込むと、冷媒は回転子鉄心11中をd軸貫通孔26、空隙孔23a、空隙孔23b、そしてq軸貫通孔27の4種類の貫通孔を通過して回転子5から排出される。従って、第7の実施形態の場合と同様に永久磁石12及び回転子鉄心11は効果的に冷却されその温度上昇が抑えられる。更に、回転子5から排出された冷媒は、フレーム2と左右の軸受ブラケット3により構成される回転電機ケース内を満たした後、ケース冷媒流出孔37を通って回転電機1aの外に排出される。従って、フレーム2に嵌合固定された固定子4も同時に冷却される効果を奏する。
(変形実施形態)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形して実施してもよい。
(1)前記図28は、図16に示した第7の実施形態の回転子5を採用して回転電機を構成したものであるが、回転子として図12に示した第5の実施形態に係る回転子、図14に示した第6の実施形態に係る回転子、図18に示した第8の実施形態に係る回転子、図20に示した第9の実施形態に係る回転子、図22に示した第10の実施形態に係る回転子を採用してもよい。その場合も本実施形態と同様の効果が得られる。
(2)前記第6〜第10の実施形態においては、左右の押え板14a、14bに設ける押え板冷媒流出孔35の孔径は左右で異なる値とした。これは冷媒の流れる流路の抵抗を考慮して左右の押え板14a、14bの押え板冷媒流出孔35から流出する冷媒の量をほぼ等しい値とするための配慮であるが、そのような配慮をせずに孔径を同一として形成してもよい。その場合も前述の各実施形態で述べたと同様の効果を奏する。
本発明にかかる回転電機用回転子及び回転電機は、一般機械,工作機械,車両,船舶等に利用可能である。

Claims (9)

  1. 円柱状回転子鉄心(11)の周辺部に軸方向に貫通させた複数の磁石挿入孔(21)に永久磁石(12)を埋設し、中心部に回転軸(15)を挿通固定させた構造の回転電機用回転子であって、
    前記回転子鉄心には前記永久磁石の作る磁束方向である各d軸上であって埋設した前記永久磁石より外周側に軸方向に貫通するd軸貫通孔(26)を設け、
    前記磁石挿入孔のうち当該磁石挿入孔に埋設された前記各永久磁石の断面長手方向の両側部を、前記回転子鉄心を軸方向に貫通する空隙孔とし、
    前記回転軸の前記回転子鉄心に挿通されていない軸方向の両側部分は中空軸(15a、15b)に形成し、
    前記回転子鉄心の軸方向両側には前記回転子鉄心を挟み込む押え板(14)を取り付け、
    更に、前記回転軸の両側の前記中空軸の中空軸壁には径方向に抜ける中空軸壁孔(25)を形成し
    記押え板の前記回転子鉄心に接する面には、前記中空軸壁孔(25)と前記回転子鉄心に設けた前記各d軸貫通孔および前記各空隙孔とを繋ぎ、前記押え板に設けられ前記各d軸貫通孔を繋ぐ第1の環状溝と、前記押え板に設けられ前記空隙孔を繋ぐ第2の環状溝と、前記押え板に設けられ前記第1の環状溝および前記第2の環状溝と前記回転軸の前記中空軸壁孔とを繋ぐ径方向溝とからなる冷却溝(30、31)をそれぞれ形成し
    前記押え板に冷媒流出孔をそれぞれ設けるとともに、一方の前記押え板に設けられた前記冷媒流出孔の孔径と、他方の前記押え板に設けられた前記冷媒流出孔の孔径とを異ならせ、
    前記回転軸の一方の前記中空軸内に供給された冷媒を、当該一方の中空軸に形成した前記中空軸壁孔および前記押え板の前記径方向溝を介して、前記押え板の前記第1の環状溝と、前記回転子鉄心の前記d軸貫通孔と、反対側の前記押え板の前記第1の環状溝とからなる流路、および、前記押え板の前記第2の環状溝と、前記回転子鉄心の前記空隙孔と、反対側の前記押え板の前記第2の環状溝とからなる流路にそれぞれ流し、前記押え板の前記径方向溝に流入した冷媒の一部を、一方の前記押え板に設けられた前記冷媒流出孔を通して外部に流出させ、残りの冷媒を、他方の前記押え板に設けられた前記冷媒流出孔を通して外部に流出させる冷媒通路を形成したことを特徴とする回転電機用回転子。
  2. 請求項1に記載の回転電機用回転子において、前記回転子鉄心における前記d軸より電気角でπ/2位相の進んだ方向であるq軸上に前記回転子鉄心を軸方向に貫通するq軸貫通孔(27)を形成し、
    両側の前記押え板の前記回転子鉄心に接する面には前記q軸貫通孔を繋ぐ第3の環状溝(33)を追加形成し、
    両側の前記押え板の前記径方向溝は前記第1、第2の環状溝に加えて前記第3の環状溝をも前記回転軸の前記中空軸壁孔に繋ぐように形成し、もって前記冷媒を前記回転子鉄心の前記d軸貫通孔と前記空隙孔に加えて前記q軸貫通孔にも流すように前記冷媒通路を構成したことを特徴とする回転電機用回転子。
  3. 請求項2に記載の回転電機用回転子において、両側の前記押え板に形成した前記第3の環状溝には軸方向外部に通ずる複数の冷媒流出孔を周方向に等間隔に追加形成し、
    前記回転子鉄心の反対側の前記押え板に形成する前記径方向溝は前記第1、第2、第3の環状溝のみを相互に繋ぐように形成したことを特徴とする回転電機用回転子。
  4. 請求項1に記載の回転電機用回転子において、両側の前記押え板にはそれら押え板に設けられた前記各環状溝よりも内側に第4の環状溝(34)を追加形成すると共に該第4の環状溝には軸方向外部に通ずる冷媒流出孔を周方向に等間隔に複数個形成し、
    前記冷媒が供給される側の押え板に形成する前記径方向溝は該押え板に形成された全ての環状溝を回転軸の前記中空軸壁孔に繋ぐように形成し、反対側の前記押え板に形成する前記径方向溝は該押え板に形成された全ての環状溝のみを相互に繋ぐように形成したことを特徴とする回転電機用回転子。
  5. 請求項2に記載の回転電機用回転子において、前記回転軸の全ての部分を中空軸として形成したことを特徴とする回転電機用回転子。
  6. 請求項2に記載の回転電機用回転子において、前記回転軸は前記冷媒が供給される側の端から前記中空軸壁孔に通ずる部分のみを中空軸として形成し、それ以外の部分は中実軸として形成したことを特徴とする回転電機用回転子。
  7. 請求項2に記載の回転電機用回転子において、前記d軸方向の磁束を作る前記永久磁石を埋設する前記各磁石挿入孔をd軸に沿って中央で2分割し、間に前記回転子鉄心の周辺部と前記回転軸の側部とを繋ぐブリッジ(24)を形成すると共に、分割した前記磁石挿入孔を前記回転軸側から見てV字状に配置し、それら各磁石挿入孔に前記永久磁石を埋設したことを特徴とする回転電機用回転子。
  8. 固定子を電機子に、永久磁石を埋設した回転子を界磁にした回転電機であって、前記回転子として請求項2に記載の回転電機用回転子を用い、該回転子の前記冷媒通路を通して冷媒を流すように構成したことを特徴とする回転電機
  9. 固定子を電機子に、永久磁石を埋設した回転子を界磁にした回転電機であって、前記回転子として請求項1に記載の回転電機用回転子を用い、該回転子と固定子を収納するケースに前記冷媒流出孔から流出した冷媒をケース外に流出させるケース冷媒流出孔(37)を設け、前記回転子の前記冷媒通路を通して冷媒を流すように構成したことを特徴とする回転電機
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