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JP4715028B2 - 回転電機 - Google Patents

回転電機 Download PDF

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JP4715028B2 JP2001143114A JP2001143114A JP4715028B2 JP 4715028 B2 JP4715028 B2 JP 4715028B2 JP 2001143114 A JP2001143114 A JP 2001143114A JP 2001143114 A JP2001143114 A JP 2001143114A JP 4715028 B2 JP4715028 B2 JP 4715028B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は永久磁石式の同期電動機など、回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石式同期電動機の回転子の冷却性能を高めるものとして、特開平11−206063号公報に示すような永久磁石式同期電動機がある。
【0003】
これは図7に示すように、同期電動機の回転子1の回転子鉄心3に、回転軸4を中心とする、同一円周上に複数の永久磁石2を等間隔で配置し、この永久磁石2を挿入配置する磁石挿入孔5の断面を永久磁石2の断面よりもわずかに大きく設定しておき、回転子1が回転したときに働く遠心力により永久磁石2が回転外方に移動したときにできる隙間5aに冷媒を流し、永久磁石2を直接的に冷却するようにしたものである。
【0004】
永久磁石2は内部の渦電流による自己発熱と、固定子巻線の温度上昇に基づく熱伝達とにより温度が上昇すると性能が低下するので、永久磁石2を直接的に冷却することにより、このような問題を回避している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
回転子1に配置される永久磁石2の周囲に空隙があると、永久磁石2から固定子に向かう磁束の流れに対して空隙が大きな抵抗となり、電動機の出力、トルクが低下するが、上記した冷媒を流す隙間5aは永久磁石2の内周側にあり、固定子側である永久磁石2の外周側には空隙が無いために、出力やトルクの低下を阻止できる。
【0006】
しかし反面、永久磁石2の全幅に沿って均一な厚みをもつ内周側の隙間5aが回転子鉄心3の内部の磁束流れを阻害する抵抗となり、永久磁石2の磁力が弱められるため、上記外周側の空隙ほどではなくとも、これによる電動機の出力、トルクの低下は否めない。
【0007】
本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、固定子の内側に間隙をもって配置される回転子を備え、回転子の回転子鉄心に設けた回転子軸方向に延びる磁石挿入孔に永久磁石が挿入固定されている回転電機において、前記回転子の回転中心に対して、前記永久磁石の外周側面が前記磁石挿入孔に密着し、永久磁石の内周側面には磁石挿入孔に沿って冷媒が導かれる冷却通路が形成され、前記冷却通路は、前記磁石挿入孔から延びる複数の溝で形成され、前記複数の溝のうち、中央部の溝ほど深く、かつ、端部の溝ほど浅くなるように構成される。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記冷却通路が回転子の端面に開口し、回転子の一部が、回転電機のケースの内部空間に貯留した冷媒に浸されている。
【0010】
第3の発明は、第2の発明において、前記回転子の側面には前記冷却通路の開口部位の近傍に冷媒を攪拌する部材が設けられている。
【0011】
第4の発明は、第1の発明において、前記回転子の回転軸に冷媒を導く通路を貫通形成し、この通路を前記冷却通路に接続し、外部からの冷媒を冷却通路に導くようにする。
【0012】
第5の発明は、固定子と回転子を備え、回転子の回転子鉄心に設けた回転子軸方向に延びる磁石挿入孔に永久磁石が挿入固定されている回転電機において、前記永久磁石の固定子側の面が前記磁石挿入孔に密着し、反対側の面には磁石挿入孔に沿って冷媒が導かれる冷却通路が形成され、前記冷却通路は、前記磁石挿入孔から延びる複数の溝で形成され、前記複数の溝のうち、中央部の溝ほど深く、かつ、端部の溝ほど浅くなるように構成される。
【0016】
【作用・効果】
第1の発明では、永久磁石の内周面側を冷媒により直接的に冷却することができ、永久磁石の温度上昇による性能低下を防ぐ一方、永久磁石の内周側面に形成される冷却通路が磁石挿入孔から延びる複数の溝で形成され、複数の溝のうち、中央部の溝ほど深く、かつ、端部の溝ほど浅くなるように構成されるため、Lq/Ld比を高めることで、リラクタンストルクを増加させ、冷却通路を設けたことによる磁石トルクの減少分を補償し、回転電機としての総合的な出力、トルクの減少を抑制できる。
【0017】
第2の発明では、回転子が冷媒に浸っているため、冷却通路に容易に冷媒を流すことができ、冷却系の構成が簡略化できる。
【0018】
第3の発明では、回転子の回転により冷媒が攪拌され、効率よく冷却通路に冷媒を導くことができる。
【0019】
第4の発明では、回転子の内部を冷媒が流れ、外部に漏れることがなく、このため効率のよい冷却が可能となり、また回転子の回転抵抗とならず、機械効率も低下することがない。
【0020】
第5の発明では、固定子の外側に回転子が配置されている回転電機であっても、第1の発明と同じような作用、効果を生じる。
【0024】
【実施の形態】
以下本発明の同期電動機に適用した実施の形態について図面にしたがって説明する。
【0025】
図1に示す第1の実施形態において、この図には電動機の回転子11のみが示され、回転子11の外周側に配置される固定子は省略されている。
【0026】
回転子11を構成する回転子鉄心13には、回転軸14を中心とする同一円周上に等間隔で複数の永久磁石12が配設されている。この例では8個の永久磁石12が、隣接する磁極が互いに相違するように配置される。
【0027】
永久磁石12は回転子鉄心13に設けた、回転子軸方向に延びる磁石挿入孔16に挿入固定される。
【0028】
ここで、磁石挿入孔16の断面形状は、回転軸14を中心にして、永久磁石12の外周側では永久磁石12に密着するようにその外面と同一な平面16aに形成されるが、その内周側は冷媒を流す冷却通路15となるように回転軸14に向けて凸となる略三角の山形の傾斜面16bが形成される。
【0029】
つまり、冷却通路15の断面は、その基部が永久磁石12の円周方向の幅よりも小さく、かつ回転軸14の軸心に向けて頂部をもつ三角形に形成される。
【0030】
このように冷却通路15を形成することで、回転子11のLq/Ld比、すなわち回転子q軸方向のインダクタンス(Lq)と、d軸方向のインダクタンス(Ld)との比を高めることができ、永久磁石12の内周側に設けた冷却通路15による空隙のため、永久磁石12によるトルクが減少しても、リラクタンストルクが増加するため電動機としての出力、トルクの低下は防止できる。
【0031】
永久磁石12は接着剤を塗布した状態で磁石挿入孔16に挿入することで固定されるが、このとき冷却通路15の冷媒と接触する面には接着剤を塗布せず、冷却効率の低下を防いでいる。
【0032】
なおこの場合、永久磁石12の内周側に冷却通路15があるため、接着剤を外周面側に塗布した永久磁石12を磁石挿入孔16に挿入したのち、冷却通路15に治具などを挿入して永久磁石12を外周側に向けて強く押し付けることが可能で、その状態で接着剤を固化させれば接着剤層を極めて薄くできる。この接着剤層は磁気回路的には空隙と等価なため、とくに回転子11の外周側に空隙があると、永久磁石2から固定子に向かう磁束の流れに対して空隙が大きな抵抗となり、電動機の出力、トルクを低下させる原因となるが、接着剤層が薄くなることでこのような問題も極力回避できる。
【0033】
電動機の回転により、回転子11の永久磁石12は、永久磁石内を流れる渦電流による自己発熱と、固定子巻線の発熱による熱伝達により温度上昇し、この温度上昇により磁力が弱まり、電動機の出力、トルクが減少したり、あるいは温度によっては永久減磁が起こると初期性能を維持できないことがある。
【0034】
しかし、上記のように永久磁石12の内周側には冷却通路15が形成され、ここに絶縁油などの冷媒を流すことで、永久磁石12を効率よく冷却することができ、その温度上昇を効果的に抑制することが可能となる。なお、冷却通路15への冷媒の供給は、具体的には、後で説明する図4、図6などの方法による。
【0035】
次に図2の実施形態を説明する。
【0036】
これは冷却通路15の基部を永久磁石12の円周方向の幅と同一に拡幅し、冷媒の永久磁石12との接触面積を大きくして、永久磁石12の冷却効率をさらに高めるようにしたものである。
【0037】
なお、磁石挿入孔16の山形の傾斜面16bについては、その傾斜角度が図1よりも小さく設定される。
【0038】
図3の実施形態は、永久磁石12の内周側において、磁石挿入孔16から互いに平行で奥行きの異なる複数の溝16cを設け、かつ各溝16cの頂点を結んでいくと山形の傾斜面となるようにし、これら溝16cにより冷却通路15を形成したものである。
【0039】
この場合には、複数の溝16cで冷却通路15を形成することで、上記したLq/Ld比をさらに高めることができ、その分だけ出力トルクの減少を抑制することが可能となる。また、永久磁石12は磁石挿入孔16の内周側でも支持されるので、永久磁石12の保持がそれだけ確実になる。
【0040】
さらに図4の実施形態を説明する。
【0041】
図4は電動機の全体的な断面図であり、回転子11の軸方向両側にはエンドプレート21が配置され、エンドプレート21は回転軸14に溶接など固定され、回転子鉄心13を圧縮状態で挟み込んで保持し、回転子11に発生する回転トルクを回転子鉄心13からエンドプレート21へと互いの接触摩擦力により伝達し、さらに回転軸14へと伝えるようになっている。
【0042】
回転子11の回転軸14はケース20に対して、その貫通部分に配置した軸受(図示せず)を介して回転自在に支持される。回転子11の外周側には所定の間隙をもって固定子17が配置され、この固定子17はコイル18が巻回された状態で、ケース20の内面に固定支持される。
【0043】
ケース20の内部は、基本的には回転子11、固定子17を除いて、密閉された内部空間23が形成され、この内部空間23にはケース20の一方の側面上方に設けた導入口24aから冷媒が供給され、かつこの冷媒はケース20の他方の側面下方に設けた排出口24bから排出される。
【0044】
前記エンドプレート21には回転子11に設けた永久磁石12の冷却通路15と対応する位置に貫通孔22が設けられ、これにより冷却通路15は回転子11の外部と接続している。
【0045】
ケース20の内部空間23には、常時所定量の冷媒が溜められるように、冷媒の供給量が調整され、これにより回転子11の回転に伴い各冷却通路15にはこの貯留冷媒がエンドプレート21の貫通孔22を介して導かれ、永久磁石12の冷却を行うようになっている。
【0046】
とくにこの場合には、回転子11の一部が冷媒に浸されているので、永久磁石12とともに回転子鉄心13の冷却も効果的に行える。
【0047】
また、図5の実施形態は、図4の実施形態において、回転子11の側面のエンドプレート21に、貫通孔22の外側近傍でかつ回転方向の後側にフィン25を設け、回転子11が回転したときにフィン25により内部空間23に貯留した冷媒を積極的に掻き込み、冷却通路15への冷媒の流れを向上させるようにしたものである。
【0048】
このようにすると、さらに効率よく永久磁石12の冷却を行うことができる。
【0049】
なお、エンドプレート21にフィン25を設ける代わりにエンドプレート21の一部を削って同等の攪拌効果をもたらすこともできる。また、この他のポンプ、スクリュウ、インペラなどの手段により冷媒を冷却通路15に循環させるようにしてもよい。
【0050】
次に図6の実施形態を説明すると、これは冷媒を冷却通路15に導くための通路を回転軸14の内部に形成し、ケース20の内部空間23は冷媒が流れることのない単なる空間にしてある。
【0051】
このため、回転軸14の軸心には上流側通路26aと、下流側通路26bが形成され、これらと冷却通路15の両端部を連通するようにエンドプレート21には半径方向に延びる分岐通路26cがそれぞれ形成される。
【0052】
上流側通路26aから導入された冷媒は、分岐通路26cにより冷却通路15の一方端に流入し、その下流側へと永久磁石12を冷却しながら流れ、さらに分岐通路26cより下流側通路26bへと流れ出る。
【0053】
この場合には、内部空間23に冷媒が無く、回転子11と固定子17の間の冷媒によるフリクショントルクが発生しないため、回転子11の機械損失がそれだけ小さくなる。また、冷却通路15を含めて冷却系が閉回路となるので、永久磁石12の冷却のための設計が容易となる。
【0054】
上記実施の形態では本発明を電動機に適用した例を示したが、発電機についても同様に適用できることは明白である。また、永久磁石の断面は長方形に限らず、円弧型、蒲鉾型などの形状が採用可能である。
【0055】
また、固定子の外側に円筒状の回転子が同心的に配置される回転電機にも本発明を適用することができる。
【0056】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で当業者がなしうる、さまざまな変更、改良が含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の回転子の断面図である。
【図2】第2の実施形態の回転子の一部を示す断面図である。
【図3】第3の実施形態の回転子の一部を示す断面図である。
【図4】第4の実施形態を示す電動機の断面図である。
【図5】第5の実施形態の回転子側面図である。
【図6】第6の実施形態の電動機の断面図である。
【図7】従来例の一部の断面図である。
【符号の説明】
11 回転子
12 永久磁石
13 回転子鉄心
14 回転軸
15 冷却通路
16 磁石挿入孔
16a 平面
16b 傾斜面

Claims (5)

  1. 固定子の内側に間隙をもって配置される回転子を備え、回転子の回転子鉄心に設けた回転子軸方向に延びる磁石挿入孔に永久磁石が挿入固定されている回転電機において、
    前記回転子の回転中心に対して、前記永久磁石の外周側面が前記磁石挿入孔に密着し、永久磁石の内周側面には磁石挿入孔に沿って冷媒が導かれる冷却通路が形成され、前記冷却通路は、前記磁石挿入孔から延びる複数の溝で形成され、前記複数の溝のうち、中央部の溝ほど深く、かつ、端部の溝ほど浅くなるように構成されることを特徴とする回転電機。
  2. 前記冷却通路が回転子の端面に開口し、回転子の一部が、回転電機のケースの内部空間に貯留した冷媒に浸されている請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記回転子の側面には前記冷却通路の開口部位の近傍に冷媒を攪拌する部材が設けられている請求項2に記載の回転電機。
  4. 前記回転子の回転軸に冷媒を導く通路を貫通形成し、この通路を前記冷却通路に接続し、外部からの冷媒を冷却通路に導くようにした請求項1に記載の回転電機。
  5. 固定子と回転子を備え、回転子の回転子鉄心に設けた回転子軸方向に延びる磁石挿入孔に永久磁石が挿入固定されている回転電機において、
    前記永久磁石の固定子側の面が前記磁石挿入孔に密着し、反対側の面には磁石挿入孔に沿って冷媒が導かれる冷却通路が形成され、前記冷却通路は、前記磁石挿入孔から延びる複数の溝で形成され、前記複数の溝のうち、中央部の溝ほど深く、かつ、端部の溝ほど浅くなるように構成されることを特徴とする回転電機。
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