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JP5000446B2 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線板の製造方法に関し、特に貫通孔および/または非貫通孔を用いて層間の電気的接続を行うプリント配線板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、多機能化に伴い、機器内部に使用されるプリント配線板の小型化、高密度化が求められている。このような要求に応えるため、プリント配線板に形成される配線回路の微細化、プリント配線板の多層化等が行われる。
多層プリント配線板において層間の電気的接続を行う場合には、一般に、スルーホールやビアホールと呼ばれる、貫通孔や非貫通孔の内壁を電解めっき等によって金属電極層で被覆した構造が用いられる。
この場合、配線回路形成用の金属電極層上に、さらに電解めっき等による第2の金属電極層が形成されることになるため、配線回路を形成する電極層の総厚みが増加し、微細配線の形成には不利となる。また、電極層の総厚み増加を抑制するために第2の金属電極層を薄く形成することもできるが、その場合、スルーホールやビアホールの内壁に設けられた金属電極層の厚みも薄くなることから、層間の接続信頼性が低下し、断線等の不良に繋がる虞れがある。
さらに最近、プリント配線板の小型化、高密度化に伴って層間接続を行うスルーホールやビアホールの小径化が進んできており、これに起因する不具合が層間の接続信頼性の低下に拍車をかけている。
このような現状に対し、層間接続部分のみにめっきを厚付けして接続信頼性を確保するボタンめっきと呼ばれる工法が一般に知られている。
ボタンめっき工法を用いるプリント配線板は、通常、以下の工程により作製されるものである。すなわち、まず、図5(1)に示すように、厚さ25μm程度のポリイミド等の絶縁ベース材51の両面に、厚さ5μm程度の銅箔52を有する両面銅張積層板53を用意する。
次に、図5(2)に示すように、両面銅張積層板53に対し、ダイレクトレーザ加工法を用いて直径50μm程度の貫通孔54を形成し、続いて電解めっきにより層間接続を取るための前処理として、デスミア処理、導電化処理を行う。
そして、後にめっきレジストとして利用する感光性ドライフィルム55を積層し、次いで露光、現像を行うことで、貫通孔54およびその周辺部分に感光性ドライフィルムの開口56を形成する。
次に、図5(3)に示すように、貫通孔54および開口56に対して、電解銅めっき処理を用いて10μm程度の銅めっき層57を形成し、層間の電気的接続を図る。このとき、層間接続部分にのみ電解銅めっき処理を施すことから、層間接続部分の配置によっては電流密度が不安定になり、銅めっき層57の厚みばらつきを低減することが難しい。
特に、孤立した層間接続部分には電流が集中することから、銅めっき層57の厚さを最大で15μm程度にする必要がある。続いて、感光性ドライフィルム55を剥離することで、層間接続部分にのみめっきが厚付けされた両面銅張積層板53aを得る。
次に、図5(4)に示すように、両面銅張積層板53aの両面にエッチングレジストとして利用する感光性ドライフィルム58を積層し、続いて露光、現像を行う。
このとき、最大で15μm程度の厚さを持つ銅めっき層57の部分をマスクする感光性ドライフィルム58の厚さとしては、20μmもしくはそれ以上が必要となる。このため、薄型の高解像度ドライフィルムを使用することができず、厚く解像性能が低い感光性ドライフィルムを使用することとなる。
これにより、感光性ドライフィルム58のレジストギャップ58aの幅は、解像性能から考えて24μm以上は必要となり、後のエッチングの追い込み、エッチングばらつき等を考慮すると、安定して形成可能な配線ピッチは60μmもしくはそれ以上に大きくなる。
次に、図5(5)に示すように、通常のサブトラクティブ法によるエッチング手法を用いて銅箔52に配線回路52aを形成し、感光性ドライフィルム58を剥離する。続いてソルダーレジスト層59を形成し、必要に応じて部品実装用ランドやコネクタ等の端子表面に半田めっき、ニッケルめっき、金めっき等の表面処理を施す。
以上の工程により、層間接続部分のみにめっきが厚付けされた両面プリント配線板53bを得る。
このように、層間接続部分のみにめっきを厚付けするボタンめっき工法を用いたプリント配線板では、高い接続信頼性が得られるものの、配線回路の形成においては薄型の高解像度ドライフィルムが使用できないために微細配線の形成が困難である。さらには、層間接続部に厚付けされためっき厚のばらつきが大きいことから、基板平坦度が低下し、後の部品実装においても問題となることが懸念される。
これに対し、高密度な配線を持つ両面プリント配線板を製造するための方法として、特許文献1に、めっきレジストの外側に剥離性の樹脂層を形成し、導電化処理を行った後、前記剥離性の樹脂層を剥離し、その後、電解めっき等により層間接続を行い、続いて配線回路を形成する方法が記載されている。
しかしながら、このような方法では、スルーホールの内壁に形成された銅めっきと配線パターンとの接触が不十分であり、高い接続信頼性は得られない。加えて、配線回路形成の際にはスルーホールの孔や、銅めっきの突出部等が問題となり、薄型の高解像度ドライフィルムは使用不可能となるため、課題の解決には至らない。
また、特許文献2には、めっきレジストを用いて両面プリント配線板の片面側のみに銅めっきを形成する方法が記載されている。これにより、めっき無しとなる片側には微細な配線回路が形成できるとしている。
しかしながら、このような方法では、銅めっきの形成された面には微細配線は形成不能であり、また、スルーホール内壁に形成された銅めっきと、めっき無しとなる配線パターンとの接触が不十分であり、高い接続信頼性は得られない。
一方、高密度配線と接続信頼性とを両立させたプリント配線板を製造するための方法として、特許文献3に、エッチングストッパー層となる異種金属層を有する金属箔を用いて、微細配線の形成後にビルドアップ工法を用いて積層する方法が記載されている。
しかしながら、このような方法は、両面プリント配線板への応用が困難であり、エッチングストッパー層を有する金属箔を用意する必要があるなど、コスト的にも不利である。
さらに、特許文献4には、導電層だけを選択エッチング可能な異種金属パターンをエッチングレジストとして利用する方法が記載されている。
しかし、この方法は、片面プリント配線板を想定した方法であり、層間接続構造について何ら言及しておらず、課題の解決には至らない。
特開2006−108275号公報 特開2006−344921号公報 特開2006−253347号公報 特許第2787228号公報
上述のように、多層プリント配線板において層間の電気的接続を行う場合には、一般に、スルーホールやビアホールと呼ばれる、貫通孔や非貫通孔の内壁を電解めっき等によって金属電極層で被覆した構造が用いられる。この場合、配線回路形成用の金属電極層上に、さらに電解めっき等による第2の金属電極層が形成されることになるため、配線回路を形成する電極層の総厚みが増加し、微細配線の形成には不利となる。
また、電極層の総厚み増加を抑制するため第2の金属電極層を薄く形成することもできるが、その場合、スルーホールやビアホールの孔内壁の金属電極層の厚みも薄くなることから、層間の接続信頼性が低下し、断線等の不良に繋がる虞れがある。これらのことから、高い接続信頼性を確保しながら、微細な配線を形成することが望まれている。
本発明は上述の点を考慮してなされたもので、高い接続信頼性を確保しながら、同時に微細な配線が形成可能であるプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本願では、次の発明を提供する。
第一の発明によれば、
絶縁層の両面に導電層を持った両面板の前記導電層に回路を形成する、両面プリント配線板の製造方法であって、
(1)前記両面板を用意する工程、
(2)前記両面板に対して、前記導電層とは異なるエッチング特性を持った異種金属のパターンを形成する工程、
(3)前記両面板に導通用孔を形成する工程、
(4)前記導通用孔を前記異種金属のパターンの上から電解めっき処理することにより銅めっき層を形成して前記導電層間の電気的接続を行う工程、
(5)前記異種金属のパターンをエッチングレジストとして前記導電層を選択的にエッチングして配線回路を形成する工程、
を含むことを特徴とする。
また、第二の発明によれば、
2層以上の多層プリント配線板の製造方法であって、
(1)絶縁層の両面または片面に導電層を有する積層板を用意する工程、
(2)前記導電層上に、前記導電層とは異なるエッチング特性を持った異種金属のパターンを形成する工程、
(3)プリント配線板を用意する工程、
(4)前記異種金属のパターンが形成された前記積層板を、層間接着剤を介して前記プリント配線板に積層する工程、
(5)前記積層板及び前記プリント配線板に導通用孔を形成する工程、
(6)前記導通用孔を前記異種金属のパターンの上から電解めっき処理することにより銅めっき層を形成して前記導電層間の電気的接続を行う工程、
(7)前記異種金属パターンをエッチングレジストとして前記導電層を選択的にエッチングし配線回路を形成する工程、
を含むことを特徴とする。
これらの特徴により、本発明は次のような効果を奏する。
第一の発明によれば、前述の特徴により、高い接続信頼性を確保しながらピッチ25μmの微細配線がプリント配線板の両面に対して安定して形成可能であり、高密度で小型化が可能な両面プリント配線板を安価にかつ安定的に製造することができる。
また第二の発明によれば、前述の特徴により、高い接続信頼性を確保しながら、ピッチ35μmの微細配線が、多層プリント配線板の表面電極層に対して安定して形成可能であり、高密度で小型化が可能な多層プリント配線板を安価にかつ安定的に製造することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係るプリント配線板は、貫通孔および/または非貫通孔を用いて層間の電気的接続を行うプリント配線板の製造方法に関する。
実施形態1
図1A、図1Bおよび図2は、本発明の第一の実施形態におけるプリント配線板の製造工程を示す概念的断面図である。このプリント配線板は、以下の工程により作製されるものである。すなわち、まず、図1A(1)に示す、エポキシ、ポリイミド等からなる厚さ25μm程度の絶縁ベース材1の両面に厚さ5μm程度の銅箔2が設けられた両面銅張積層板3を用意する。ここで用いる銅箔2の厚さは、後に微細配線を形成することから考えて、10μm以下とすることが望ましい。
なお、絶縁ベース材1の材質は、エポキシ、ポリイミドに限定されるわけではなく、用途に応じて使い分けることができる。例えば、高速信号伝送時の誘電体損失を低減させる必要があるようなアプリケーションにおいては、低誘電正接材料として液晶ポリマー等をベースとした両面銅張積層板を用いることもできる。また、銅箔2に圧延銅箔を用い、絶縁ベース材1に可撓性のポリイミド等を用いれば、高い屈曲特性を実現することが可能となる。
次に、図1A(2)に示すように、両面銅張積層板3の両面に感光性ドライフィルムを積層し、次いで露光、現像を行うことでマスクパターン4を形成する。この際、両面銅張積層板3の両面は平坦であり、孔等も存在しないから、薄型の高解像度ドライフィルムを使用することで微細なマスクパターン4が形成可能である。
この実施形態1では、5μm厚の高解像度ドライフィルムを用いることで、マスクパターン4の微細配線部4aのパターン幅を8μm、パターンギャップを17μm(ピッチ25μm)に形成した。この程度のパターン幅、パターンギャップであれば、汎用露光機で十分対応可能であり、高価な高精度露光機は必要ではない。
次に、図1A(3)に示すように、マスクパターン4の開口部に対し、電解ニッケルめっき処理を用いて1〜3μm程度のニッケル層5を形成する。続いて、マスクパターン4の剥離を行うことで、表面にニッケル層5が形成された両面銅張積層板3aを得る。
ここで形成するニッケル層5は、後に微細な配線回路を形成する際、エッチングレジストとして利用するためのものである。この実施形態1においては、ニッケル層5の微細配線部5aはニッケルレジスト幅17μm、レジストギャップ8μmとなっている。
なお、ここで形成されたレジストギャップは、後に銅箔2をエッチングして微細配線を形成するために用いるから、形成するレジストギャップの厚みは2μm〜20μmの範囲内とするのが望ましく、レジストのパターンピッチは60μm以下とするのが望ましい。
なお上記工程において、後にエッチングレジストとして用いる材料はニッケルに限定される訳ではなく、銅箔2に対するエッチングレジストとして機能する材料であれば何でもよい。例えば、半田めっき、錫めっき、金めっき等が挙げられる。
ただし、このエッチングレジストは、後に行うデスミア処理に晒されることから、感光性ドライフィルムのような高分子材料は適さない。なお、銅箔界面での耐腐食性、耐熱性、剥離性等を総合的に考慮すると、ニッケルを用いるのが好適と考えられる。
次に、図1A(4)に示すように、UV−YAGレーザ等によるダイレクトレーザ加工法を用いて、後に層間の電気的接続を行うための直径50μm程度の導通用孔を形成し、レーザ処理により発生したスミアを除去するためのデスミア処理を行い、続いて導電化処理を行った後、電解銅めっき処理を用いて10μm厚程度の銅めっき層6を形成し、層間の電気的接続を図る。
この際、両面銅張積層板3aの全面に一様に銅めっき層6を形成することができるため、銅めっき層6の厚みばらつきは非常に小さく抑えられる。また、厚さ1〜3μm程度のニッケル層5の凹凸は、上記電解銅めっき処理によってほぼレベリングされて表面は平坦になる。以上の工程により、層間接続の取れた両面銅張積層板3bを得る。
なお、上記導通用孔の形成手段はUV−YAGレーザに限定される訳ではなく、要求される加工径およびスループット、加工精度、品質等を考慮して、炭酸ガスレーザ加工やドリル加工等を単独でまたは組み合わせて使用することができる。また、この実施形態1では導通用孔を貫通させ、スルーホールを形成しているが、非貫通孔を形成してビアホールを形成することもできる。
また、銅めっき層6の厚みは、絶縁ベース材1の材質や厚さ、導通用孔の直径、層間接続部の構造、要求される接続信頼性等を考慮して決定されるものであり、10μmには限定されない。より高い接続信頼性が要求される場合には、厚みを増加させて対応することができる。なお、銅めっき層6の厚みを増加させた場合でも、後に形成する微細配線の厚さは銅箔2の厚さで規定されており、微細配線の形成に対して不利になることはない。
次に、図1B(5)に示すように、両面銅張積層板3bに対して感光性ドライフィルム7を積層し、次いで露光、現像を行うことで層間接続部分やランド等の、銅めっき層6を残す必要がある部分をマスクする。この感光性ドライフィルム7としては、耐アルカリ性のある20μm程度の厚さの感光性ドライフィルムを用いることができる。
次に、図1B(6)に示すように、銅のみを選択的にエッチングすることで、配線回路2aおよび層間接続部のランド6aを形成し、感光性ドライフィルム7の剥離を行う。この際、使用するエッチング液は、ニッケルに対する腐食性が低く、銅を選択的にエッチングするエッチング液、たとえばアンモニアを含むアルカリ性のエッチング液を用いることができる。
図2は、配線回路2aの微細配線部の拡大図である。配線回路2aを形成するとき、銅箔2の厚みは5μmと薄く、エッチングレジストとして利用するニッケル層5の開口幅8μm(ピッチ25μm)からエッチングを進行させ、片側約3μm程度までエッチングを進行させることにより、パターンギャップを14μm程度に形成する。この程度までエッチングを進行させれば、エッチングばらつきを考慮してもショート等の不良に至る虞れはなく、安定して配線間の絶縁性を確保することができる。
これにより、ピッチ25μm(Line/Space=11μm/14μm、パターンTOP=7μm)の微細な配線を、プリント配線板の両面に安定して形成することができる。なおこのとき、配線回路2aには銅めっき層6は含まれないため、銅箔2に圧延銅箔を用い、絶縁ベース材1に可撓性のポリイミド等を用いた場合、高い屈曲特性を実現することができる。
なお、後に部品を実装するに当って、銅めっき層6の厚さ(10μm程度)分の凹凸が問題となる場合には、ランド8のように同じ部品を搭載するランド全てに銅めっき層6を残すのが望ましい。これにより、部品を実装する部分の平坦度が確保され、安定した実装工程を容易に構築できる。
また、製品外周部等の回路とはならない部分についても、銅めっき層6を残すのが望ましい。これにより、両面プリント配線板の電極層が厚くなり、製品の曲げ強さが向上し、後のリフロー等の実装工程において反り等の問題を生じることなく、安定した実装工程を構築できる。
それに加えて、両面プリント配線板全体の寸法収縮を抑え、後のカバー形成や部品実装等の位置合わせにおいても有利となるし、さらには、不要なエッチング液の消耗を抑えることで、コスト的にも有利となる。以上の工程により、微細配線が形成された両面プリント配線板3cを得る。
次に、図1B(7)に示すように、ニッケル層5の剥離を行い、ソルダーレジスト層9を形成し、必要に応じて部品実装用ランドやコネクタ等の端子表面に半田めっき、ニッケルめっき、錫めっき、金めっき等の表面処理を単独でまたは組合わせて施す。
このとき、ニッケル層5の剥離を行うに当っては、銅に対する腐食性が低く、ニッケルのみを選択的にエッチングするエッチング液、たとえば過酸化水素や硝酸を含むエッチング液を用いることができる。なお、このニッケル層5の剥離は必要不可欠な工程ではなく、後の不良に繋がらないのであれば、特に行わなくてもよい。
以上の工程により、高い接続信頼性を確保しながら、ピッチ25μm(パターンTOP=7μm、Line/Space=11μm/14μm)の微細配線を、プリント配線板の両面に対して安定して形成可能であり、高密度で小型化が可能な両面プリント配線板を安価にしかも安定的に製造することができる。
実施形態2
図3Aないし図3Cおよび図4は、本発明の第二の実施形態における多層プリント配線板の製造工程を示す概念的断面図である。本発明の第二の実施形態における多層プリント配線板は、コアとなる両面プリント配線板の片面もしくは両面に、他のプリント配線板をビルドアップすることにより作製される。この第二の実施形態は、ビルドアップ工法を用いる多層プリント配線板であれば、実施することができる。
まず、図3A(1)に示すように、エポキシ、ポリイミド等からなる厚さ25μm程度の絶縁ベース材21の片面に、厚さ5μm程度の銅箔22を有する片面銅張積層板23を用意する。ここで用いる銅箔22の厚さは、後に微細配線を形成することから考えて、15μm以下とすることが望ましい。
次に、図3A(2)に示すように、片面銅張積層板23の銅箔22の側面に感光性ドライフィルムを積層し、次いで露光、現像を行うことで、マスクパターン24を形成する。この際、片面銅張積層板23は平坦であり、孔等も存在しないことから薄型の高解像度ドライフィルムを使用することで微細なマスクパターン24を形成できる。
この実施形態1では、5μm厚の高解像度ドライフィルムを用いることで、マスクパターン24の微細配線部24aのパターン幅を10μm、パターンギャップを25μm(ピッチ35μm)に形成した。この程度のパターン幅、パターンギャップであれば、汎用露光機で十分対応可能であり、高価な高精度露光機は必要ではない。
次に、図3A(3)に示すように、マスクパターン24の開口部に対し、電解ニッケルめっき処理を用いて1〜3μm程度のニッケル層25を形成する。ここで形成するニッケル層は、後に微細な配線回路を形成する際、エッチングレジストとして利用するためのものである。この実施形態1においては、ニッケル層25の微細配線部25aはニッケルレジスト幅25μm、レジストギャップ10μmとなっている。
なお、ここで形成されたレジストギャップから、後に銅箔22をエッチングして微細配線を形成することから、形成するレジストギャップは2μm〜30μmの範囲内とするのが望ましく、レジストのパターンピッチは100μm以下とするのが望ましい。続いてマスクパターン24の剥離を行うことで、表面にニッケル層が形成された片面銅張積層板23aを得る。
なお、上記工程において、後にエッチングレジストとして用いる材料はニッケルに限定される訳ではなく、銅箔22に対するエッチングレジストとして機能する材料であれば何でもよい。例えば、半田めっき、錫めっき、金めっき等が挙げられる。
ただし、このエッチングレジストは、後に行うデスミア処理に晒されることから、感光性ドライフィルムのような高分子材料は適さない。なお、銅箔界面での耐腐食性、耐熱性、剥離性等を総合的に考慮すると、ニッケルを用いるのが好適と考えられる。
なお、ここで使用する銅張積層板は、片面銅張積層板に限定されず、両面銅張積層板であってもよい。その場合、層間接着剤を介して張り合わされる面は、積層前に配線回路を形成しておく必要がある。
次に、図3A(4)に示すように、配線パターンの形成された両面プリント配線板26の両面に対し、層間接着剤27を介して、片面銅張積層板23aを、位置合わせを行って真空プレス等で積層する。両面プリント配線板26としては、25μm程度の厚さを持つポリイミド等の絶縁ベース材28の両面に、12μm程度の厚さを持つ配線パターン29を有し、ビアフィルめっきで充填した有底ビアホール30により層間接続し、配線パターン29を一般的なカバーレイ30で保護した両面プリント配線板を用いることができる。
なお、絶縁ベース材28の材質は、ポリイミドに限定される訳ではなく、用途に応じて使い分けることができる。また、両面プリント配線板の層間接続構造は、ビアフィルめっきで充填した有底ビアホールに限定されず、通常の電解めっきを用いた有底ビアホールや、貫通孔を持つスルーホールなど、多種多様な層間接続構造を持つ両面プリント配線板を使用することができる。
また、両面プリント配線板の代わりに片面プリント配線板を用いることもできる。層間接着剤27としては、例えば30μm厚のアクリル、エポキシ等の接着剤を使用することができる。以上の工程により、ビルドアップされた多層基材31を得る。
次に、図3B(5)に示すように、多層基材31の所定の位置に、UV−YAGレーザ等によるダイレクトレーザ加工法を用いて、後に層間の電気的接続を行うための直径100〜150μm程度の導通用孔を形成し、レーザ処理により発生したスミアを除去するためのデスミア処理を行い、続いて導電化処理を行った後、電解銅めっき処理を用いて30μm程度の銅めっき層32を析出させてビアホール33を形成し、層間の電気的接続を図る。
この際、多層基材31の全面に一様に銅めっき層32を形成することができるため、銅めっき層32の厚みばらつきは非常に小さく抑えられる。また、厚さ1〜3μm程度のニッケル層25の凹凸は、上記電解銅めっき処理によってほぼレベリングされて表面は平坦になる。以上の工程により、層間接続の取れた多層基材31aを得る。
なお、上記導通用孔の形成はUV−YAGレーザに限定される訳ではなく、要求される加工径およびスループット、加工精度、品質等を考慮して、炭酸ガスレーザ加工やドリル加工等を単独でまたは組み合わせて使用することができる。また、この実施形態2では非貫通の導通用孔を形成し、ビアホールを形成しているが、貫通孔を形成し、スルーホールを形成することもできる。
また、銅めっき層32の厚みは、各層の材質や厚さ、導通用孔の直径、層間接続部の構造、要求される接続信頼性等を考慮して決定されるものであり、30μmには限定されない。より高い接続信頼性が要求される場合には、厚みを増加させて対応することができる。なお、銅めっき層32の厚みを増加させた場合でも、後に形成する微細配線の厚さは銅箔22の厚さで規定されており、微細配線の形成に対して不利になることはない。
次に、図3B(6)に示すように、多層基材31aの両面に感光性ドライフィルム41を積層し、次いで露光、現像を行うことで層間接続部分やランド等の、銅めっき層32を残す必要がある部分をマスクする。感光性ドライフィルム41としては、耐アルカリ性のある20μm程度の厚さの感光性ドライフィルムを用いることができる。
続いて、図3C(7)に示すように、銅のみを選択的にエッチングすることで、配線回路22aおよび層間接続部のランド32aを形成し、感光性ドライフィルム41の剥離を行う。この際、使用するエッチング液は、ニッケルに対する腐食性が低く、銅を選択的にエッチングするエッチング液、たとえばアンモニアを含むアルカリ性のエッチング液を用いることができる。
ここで、図4は、配線回路22aの微細配線部の拡大図である。配線回路22aを形成するとき、銅箔22の厚みは5μmと薄く、エッチングレジストとして利用するニッケル層25の微細開口幅10μm(開口ピッチ35μm)からエッチングを進行させ、開口幅10μmから片側約4.5μm程度までエッチングを進行させることにより、パターンギャップを19μm程度に形成する。この程度までエッチングを進行させれば、エッチングばらつきを考慮してもショート等の不良に至る虞れはなく、安定して配線間の絶縁性を確保することができる。
通常、ビルドアップ工法を行う場合の多層プリント配線板の表層電極層に対して配線回路を形成する場合には、電極層の総厚み以外にも次のような問題がある。
多層プリント配線板は、内層の電極層の有無や、可撓性ケーブル部等の存在により、配線板表面の凹凸が両面プリント配線板に比較して大きい。このため、使用する感光性ドライフィルムは厚く低解像度のものを使用せざるを得ない。また、この表面の凹凸が、露光時のクリアランスに対して誤差となり、露光自体の解像度が低下する。
これに対し、本発明による多層プリント配線板の配線回路の形成では、ビルドアップ工程の前にニッケル層25によって微細なエッチングレジストを精度よく形成できる。このため、エッチングレジストの形成においては、上記多層プリント配線板の表面の凹凸は問題とはならない。これにより、ピッチ35μm(Line/Space=16μm/19μm、パターンTOP=11μm)の微細な配線を、多層プリント配線板の両面の表層電極層に対して、安定して形成可能である。
このとき、ビアホール33の直径を100μmとすれば、片側25μm程度の露光ずれ、35μm程度のレーザ加工ずれを考慮し、ビアホール上には直径220μm程度のランド32aが形成可能である。ビアホール33に繋がるニッケルパターンのランドは、さらに露光ずれを片側につき25μmだけ考慮して直径270μmに形成すればよい。
このような微細配線を表層電極層に形成することで、例えば0.4mmピッチの接続ピンを持つCSP等を実装する場合、ランド直径が270μmであるから、ランド間のギャップは130μmとなり、0.4mmピッチの接続ピンの間にピッチ35μmの微細配線を3本も形成することができる。
このことから、近年求められている狭ピッチな多数の接続ピンを持つ部品を搭載する場合でも、配線の引き回しに余裕が生まれ、延いてはプリント配線板全体の小型化、高密度化へと繋がる。
なお、後にビアホール33上にCSP等の部品を実装する場合、銅めっき層32の厚さ(30μm程度)分の凹凸が問題となる可能性がある。そのような場合には、ランド42のように同じ部品を搭載するランド全てに銅めっき層32を残すのが望ましい。これにより、部品を実装する部分の平坦度が確保され、安定した実装工程を容易に構築できる。
また、製品外周部等の回路とはならない部分についても、銅めっき層32を残すのが望ましい。これにより、多層プリント配線板の表層電極層が厚くなって製品の曲げ強さが向上し、後のリフロー等の実装工程において反り等の問題なく安定した実装工程を構築できる。それに加えて、多層プリント配線板全体の寸法収縮を抑え、後のソルダーレジスト形成や部品実装等の位置合わせにおいても有利となるし、さらには、不要なエッチング液の消耗を抑えることで、コスト的にも有利となる。以上の工程により、微細配線が形成された多層プリント配線板31bを得る。
そして、図3C(8)に示すように、ニッケル層25の剥離を行い、ソルダーレジスト層43を形成し、必要に応じて部品実装用ランドやコネクタ等の端子表面に半田めっき、ニッケルめっき、錫めっき、金めっき等の表面処理を単独でまたは組合わせて施す。
このとき、ニッケル層25の剥離を行うに当っては、銅に対する腐食性が低く、ニッケルのみを選択的にエッチングするエッチング液、たとえば過酸化水素や硝酸を含むエッチング液を用いることができる。なお、このニッケル層25の剥離は、必要不可欠な工程ではなく、後の不良に繋がらないのであれば、特に行わなくてもよい。
以上の工程により、高い接続信頼性を確保しながら、ピッチ35μm(パターンTOP=11μm、Line/Space=16μm/19μm)の微細配線が多層プリント配線板の両面の表層電極層に対して安定して形成可能であり、高密度で小型化が可能な多層プリント配線板を安価にかつ安定的に製造することができる。
本発明の第一の実施形態によるプリント配線板の製造方法の概念的断面図。 本発明の第一の実施形態によるプリント配線板の製造方法の概念的断面図。 図1Bにおける配線回路2aの部際配線部の拡大図。 本発明の第二の実施形態による多層プリント配線板の製造方法の概念的断面図。 本発明の第二の実施形態による多層プリント配線板の製造方法の概念的断面図。 本発明の第二の実施形態による多層プリント配線板の製造方法の概念的断面図。 図3Cにおける配線回路22aの微細配線部の拡大図。 従来のボタンめっき工法によるプリント配線板の製造方法の概念的断面図。
符号の説明
1 厚さ25μm程度の絶縁ベース材
2 厚さ5μm程度の銅箔
2a 配線回路
3 両面銅張積層板
3a 表面にニッケル層の形成された両面銅張積層板
3b 層間接続のとれた両面銅張積層板
3c 微細配線の形成された両面銅張積層板
4 マスクパターン
4a マスクパターンの微細配線部
5 ニッケル層
5a ニッケル層の微細配線部
6 銅めっき層
6a ランド
7 感光性ドライフィルム
8 ランド
9 ソルダーレジスト
21 厚さ25μm程度の絶縁ベース材
22 厚さ5μm程度の銅箔
22a 配線回路
23 片面銅張積層板
23a 表面にニッケル層の形成された片面銅張積層板
24 マスクパターン
24a マスクパターンの微細配線部
25 ニッケル層
25a ニッケル層の微細配線部
26 両面プリント配線板
27 層間接着剤シート
28 厚さ25μm程度の絶縁ベース材
29 配線パターン
30 ビアホール
31 ビルドアップされた多層基材
31a 層間接続のとれた多層基材
31b 微細配線が形成された多層プリント配線板
32 銅めっき層
32a ランド
33 ビアホール
41 感光性ドライフィルム
42 ランド
43 ソルダーレジスト
51 厚さ25μm程度の絶縁ベース材
52 厚さ5μm程度の銅箔
53 両面銅張積層板
53a 両面銅張積層板
53b 両面プリント配線板
54 貫通孔
55 感光性ドライフィルム
56 感光性ドライフィルムの開口
57 銅めっき層
58 感光性ドライフィルム
58a 感光性ドライフィルムのレジストギャップ
59 ソルダーレジスト

Claims (6)

  1. 絶縁層の両面に導電層を持った両面板の前記導電層に回路を形成する、両面プリント配線板の製造方法であって、
    (1)前記両面板を用意する工程、
    (2)前記両面板に対して、前記導電層とは異なるエッチング特性を持った異種金属のパターンを形成する工程、
    (3)前記両面板に導通用孔を形成する工程、
    (4)前記導通用孔を前記異種金属のパターンの上から電解めっき処理することにより銅めっき層を形成して前記導電層間の電気的接続を行う工程、
    (5)前記異種金属のパターンをエッチングレジストとして前記導電層を選択的にエッチングして配線回路を形成する工程、
    を含むことを特徴とする両面プリント配線板の製造方法。
  2. 請求項1記載の両面プリント配線板の製造方法であって、
    感光性樹脂材料を用いて前記両面板の両面にマスクパターンを形成し、
    めっき処理を用いて前記感光性樹脂材料によりマスクされない部分に前記異種金属のパターンを形成し、
    前記感光性樹脂材料を剥離する
    ことを特徴とする両面プリント配線板の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の両面プリント配線板の製造方法において、
    同じ部品を搭載するランド全てに前記銅めっき層を残すことを特徴とする両面プリント基板の製造方法。
  4. 2層以上の多層プリント配線板の製造方法であって、
    (1)絶縁層の両面または片面に導電層を有する積層板を用意する工程、
    (2)前記導電層上に、前記導電層とは異なるエッチング特性を持った異種金属のパターンを形成する工程、
    (3)プリント配線板を用意する工程、
    (4)前記異種金属のパターンが形成された前記積層板を、層間接着剤を介して前記プリント配線板に積層する工程、
    (5)前記積層板及び前記プリント配線板に導通用孔を形成する工程、
    (6)前記導通用孔を前記異種金属のパターンの上から電解めっき処理することにより銅めっき層を形成して前記導電層間の電気的接続を行う工程、
    (7)前記異種金属パターンをエッチングレジストとして前記導電層を選択的にエッチングし配線回路を形成する工程、
    を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  5. 請求項4記載の多層プリント配線板の製造方法において、
    前記積層板の前記導電層上にマスクパターンを形成し、
    感光性樹脂材料によりマスクされない部分にめっき処理により前記異種金属のパターンを形成し、
    前記感光性樹脂材料を剥離する
    ことを特徴とする多層プリント板の製造方法。
  6. 請求項4または5記載の多層プリント配線板の製造方法において、
    同じ部品を搭載するランド全てに前記銅めっき層を残すことを特徴とする両面プリント基板の製造方法。
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