JP5092561B2 - 接合方法 - Google Patents
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Description
即ち、従来の接合方法100は、金属部材101,101の突合部104(二点鎖線)に沿って表面102及び裏面103の両側から摩擦撹拌接合を行い、摩擦撹拌接合によって形成された塑性化領域105,106の厚さ方向の中央部分が接触するように接合するものである。これにより、突合部104においては、隙間なく接合することができる。
本発明に係る接合方法は、図1に示すように、第一金属部材1a及び第二金属部材1bを突き合わせてなる被接合金属部材1の外周4辺を摩擦撹拌により接合する際に、本接合用回転ツールGの回転方向及び進行方向のそれぞれを好適に設定することを特徴とするものである。
まず、本実施形態に係る接合方法の被接合金属部材1を詳細に説明するとともに、この被接合金属部材1を接合する際に用いられる第一タブ材と第二タブ材を詳細に説明する。
なお、図1に示すように、被接合金属部材1の表面を表面A、裏面を裏面B、一方の側面を第一側面C、他方の側面を第二側面Dとする。また、本実施形態における上下左右前後は、図1の矢印に従う。
図2及び図3を参照して第一の準備工程を説明する。第一の準備工程は、第一及び第二の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置や終了位置が設けられる当て部材(第一タブ材2及び第二タブ材3)を準備する工程である。第一の準備工程は、本実施形態では、第一金属部材1a及び第二金属部材1bを突き合せる(1-1)突合工程と、被接合金属部材1の突合部J1の両側に第一タブ材2と第二タブ材3を配置する(1-2)タブ材配置工程と、第一タブ材2と第二タブ材3を溶接により被接合金属部材1に仮接合する(1-3)溶接工程と、被接合金属部材1を図示せぬ摩擦撹拌装置の架台に設置する(1-4)設置工程と、を具備している。
突合工程では、図2及び図3に示すように、第一金属部材1aの端面11aに第二金属部材1bの端面11bを密着させる。また、第一金属部材1aの表面12aと第二金属部材1bの表面12bを面一にし、さらに、第一金属部材1aの裏面13aと第二金属部材1bの裏面13bを面一にする。また、同様に、第一金属部材1aの第一側面14aと第二金属部材1bの第一側面14bを面一にし、第一金属部材1aの第二側面15aと第二金属部材1bの第二側面15bを面一にする。
タブ材配置工程では、図2の(b)に示すように、突合部J1の第一側面C側に第一タブ材2を配置して、その当接面21を第一側面Cに当接させる。さらに、突合部J1の第二側面Dに第二タブ材3を配置して、その当接面31を第二側面Dに当接させる。このとき、図3の(b)に示すように、第一タブ材2の表面22と第二タブ材3の表面32を被接合金属部材1の表面Aと面一にするとともに、第一タブ材2の裏面23と第二タブ材3の裏面33を被接合金属部材1の裏面Bと面一にする。
溶接工程では、図2の(a)及び(b)に示すように、被接合金属部材1と第一タブ材2とにより形成された入隅部2a,2bを溶接して被接合金属部材1と第一タブ材2とを仮接合する。さらに、被接合金属部材1と第二タブ材3とにより形成された入隅部3a,3bを溶接して被接合金属部材1と第二タブ材3とを仮接合する。なお、入隅部2a,2b及び3a,3bの全長に亘って連続して溶接を施してもよいし、断続して溶接を施してもよい。
設置工程では、第一タブ材2及び第二タブ材3が仮溶接された被接合金属部材1を図示せぬ摩擦撹拌装置の架台に載置し、例えばクランプを用いて移動不能に拘束する。本実施形態に係る前記摩擦撹拌装置は、被接合金属部材1の上方から摩擦撹拌を行うように設定される装置とする。
なお、第一の準備工程において、溶接工程を省略する場合には、図示せぬ摩擦撹拌装置の架台上で、突合工程とタブ材配置工程を実行してもよい。
第一の予備工程は、第一の本接合工程に先立って行われる工程であり、本実施形態では、表面A側において、被接合金属部材1と第二タブ材3との突合部J3を接合する(2-1)第二タブ材接合工程と、被接合金属部材1の突合部J1を仮接合する(2-2)仮接合工程と、被接合金属部材1と第一タブ材2との突合部J2を接合する(2-3)第一タブ材接合工程と、第一の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置に下穴を形成する(2-4)下穴形成工程とを具備している。
まず、図5の(a)に示すように、第二タブ材3の適所に設けた開始位置SP1の直上に仮接合用回転ツールFを位置させ、続いて、仮接合用回転ツールFを右回転させつつ下降させて撹拌ピンF2を開始位置SP1に押し付ける。仮接合用回転ツールFの回転速度は、撹拌ピンF2の寸法・形状、摩擦撹拌される被接合金属部材1等の材質や肉厚等に応じて設定されるものであるが、多くの場合、500〜2000(rpm)の範囲内において設定される。
第二タブ材接合工程では、第二タブ材3と被接合金属部材1との突合部J3に対して摩擦撹拌を行う。具体的には、被接合金属部材1と第二タブ材3の継ぎ目(境界線)上に摩擦撹拌のルートを設定し、当該ルートに沿って仮接合用回転ツールFを相対移動させることで、突合部J3に対して摩擦撹拌を行う。なお、本実施形態では、仮接合用回転ツールFを途中で離脱させることなく第一タブ材接合工程の始点s2から終点e2まで連続して摩擦撹拌を行う。
仮接合用回転ツールFが第二タブ材接合工程の終点e2に達したら、終点e2で摩擦撹拌を終了させずに仮接合工程の始点s1まで連続して摩擦撹拌を行い、そのまま仮接合工程に移行する。即ち、第二タブ材接合工程の終点e2から仮接合工程の始点s1まで仮接合用回転ツールFを離脱させずに摩擦撹拌を継続し、さらに、始点s1で仮接合用回転ツールFを離脱させることなく仮接合工程に移行する。このようにすると、第二タブ材接合工程の終点e2での仮接合用回転ツールFの離脱作業が不要となり、さらに、仮接合工程の始点s1での仮接合用回転ツールFの挿入作業が不要となることから、予備的な接合作業の効率化・迅速化を図ることが可能となる。
第一タブ材接合工程では、被接合金属部材1と第一タブ材2との突合部J2に対して摩擦撹拌を行う。具体的には、被接合金属部材1と第一タブ材2の継ぎ目(境界線)上に摩擦撹拌のルートを設定し、当該ルートに沿って仮接合用回転ツールFを相対移動させることで、突合部J2に対して摩擦撹拌を行う。なお、本実施形態では、仮接合用回転ツールFを途中で離脱させることなく第一タブ材接合工程の始点s3から終点e3まで連続して摩擦撹拌を行う。
続いて、下穴形成工程を実行する。下穴形成工程は、図4の(b)に示すように、第一の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置に下穴P1を形成する工程である。第一の予備工程に係る下穴形成工程においては、第一タブ材2の表面22に設定された開始位置SM1に下穴P1を形成する。
第一の本接合工程は、被接合金属部材1の表面A側における突合部J1を本格的に接合する工程である。本実施形態に係る第一の本接合工程では、図4の(b)に示す本接合用回転ツールGを使用し、仮接合された状態の突合部J1に対して被接合金属部材1の表面A側から摩擦撹拌を行う。
なお、本実施形態では、第一タブ材2に摩擦撹拌の開始位置SM1を設け、第二タブ材3に終了位置EM1を設けているが、開始位置SM1と終了位置EM1の位置を限定する趣旨ではない。
まず、図7の(a)に示すように、下穴P1(開始位置SM1)の直上に本接合用回転ツールGを位置させ、続いて、本接合用回転ツールGを右回転させつつ下降させて撹拌ピンG2の先端を下穴P1に挿入する。撹拌ピンG2を下穴P1に入り込ませると、撹拌ピンG2の周面(側面)が下穴P1の穴壁に当接し、穴壁から金属が塑性流動化する。このような状態になると、塑性流動化した金属を撹拌ピンG2の周面で押し退けながら、撹拌ピンG2が圧入されることになるので、圧入初期段階における圧入抵抗を低減することが可能となり、また、本接合用回転ツールGのショルダ部G1が第一タブ材2の表面22に当接する前に撹拌ピンG2が下穴P1の穴壁に当接して摩擦熱が発生するので、塑性流動化するまでの時間を短縮することが可能となる。つまり、摩擦撹拌装置の負荷を低減することが可能となり、加えて、本接合工程に要する作業時間を短縮することが可能となる。
第二の準備工程は、第二の予備工程に先だって行われる準備工程である。本実施形態では、被接合金属部材1の裏面B側を上方に向けて、図示しない摩擦撹拌装置に再度設置する再設置工程を具備するものである。
再設置工程では、第一の本接合工程を終えた被接合金属部材1の拘束を解いた後、被接合金属部材1の表裏を逆にして、裏面B側を上方に向け、摩擦撹拌装置の架台に再度設置する。本実施形態では、図1に示す前後軸回りに被接合金属部材1を半回転させて、被接合金属部材1の表裏を逆にする。
ここで、図8の(a)は、第一実施形態に係る第二の準備工程の再設置工程後において、突合部J1から第一金属部材1a側を臨む断面図である。図8の(a)に示すように、再設置工程では、被接合金属部材1の上面が裏面Bとなるとともに、突合部J1側から第一金属部材1aを臨むと、被接合金属部材1の左側に第一タブ材2、右側に第二タブ材3が位置する。
なお、摩擦撹拌装置の形態によっては、被接合金属部材1の拘束を解かずに表裏を回転させてもよい。
第二の予備工程は、第二の本接合工程に先だって行われる工程であり、裏面B側において、被接合金属部材1と第一タブ材2との突合部J2を接合する(5-1)第一タブ材接合工程と、被接合金属部材1の突合部J1を仮接合する(5-2)仮接合工程と、被接合金属部材1と第二タブ材3との突合部J3を接合する(5-3)第二タブ材接合工程と、第二の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置に下穴を形成する(5-4)下穴形成工程とを具備している。なお、(5-1)第一タブ材接合工程、(5-2)仮接合工程及び(5-3)第二タブ材接合工程においては、仮接合用回転ツールFを用いる。
(5-1)第一タブ材接合工程、(5-2)仮接合工程及び(5-3)第二タブ材接合工程は、前記した第一の予備工程に係る(2-3)第一タブ材接合工程、(2-2)仮接合工程及び(2-1)第二タブ材接合工程と略同等の工程である。図8の(b)に示すように、一の仮接合用回転ツールFを一筆書きの移動軌跡(ビード)を形成するように移動させて、突合部J2,J1,J3の順で連続して摩擦撹拌を行う。即ち、摩擦撹拌の開始位置SP2に挿入した仮接合用回転ツールFの撹拌ピンF2(図4の(a)参照)を途中で離脱させることなく終了位置EP2まで移動させ、(5-1)第一タブ材接合工程、(5-2)仮接合工程及び(5-3)第二タブ材接合工程、を連続して実行する。なお、終了位置EP2は、後に行う第二の本接合工程の開始位置SM2となる。
なお、(5-1)第一タブ材接合工程、(5-2)仮接合工程及び(5-3)第二タブ材接合工程の詳細な説明は、第一予備工程と略同等であるため省略する。
下穴形成工程は、図9の(a)に示すように、第二の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置SM2に下穴P2を形成する工程である。即ち、下穴形成工程は、本接合用回転ツールGの撹拌ピンG2の挿入予定位置に下穴P2を形成する工程である。これにより、本接合用回転ツールGの撹拌ピンG2の挿入抵抗(圧入抵抗)を低減することができる。
なお、(5-4)下穴形成工程は、第一の予備工程に係る(2-4)下穴形成工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
第二の本接合工程は、被接合金属部材1の裏面B側における突合部J1を本格的に接合する工程である。本実施形態に係る第二の本接合工程では、本接合用回転ツールGを使用し、仮接合された状態の突合部J2に対して被接合金属部材1の裏面B側から摩擦撹拌を行う。
第二の本接合工程については、第一の本接合工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においては、第二の予備工程を行ったが、第二の予備工程を省略して、第一の本接合工程の直後に第二の本接合工程を行ってもよい。
タブ材切除工程では、第一タブ材2及び第二タブ材3を被接合金属部材1から切除する。本実施形態では、第二の本接合工程を終えた被接合金属部材1を摩擦撹拌装置の架台から一旦外し、図示しない切削器具を用いて突合部J2,J3に沿って第一タブ材2及び第二タブ材3を切除する。この際、被接合金属部材1の表面A及び裏面Bに形成されているバリを除去することが好ましい。これにより、後記する(8-1)タブ材配置工程を行う際に、被接合金属部材1に第一タブ材2及び第二タブ材3を密着させることができる。
ここで、表面側塑性化領域W1及び裏面側塑性化領域W2には、本接合用回転ツールGの進行方向(矢印V1,V2参照)左側、即ち、第二金属部材1bに、第一側面C側から第二側面D側に亘って連続する空洞欠陥R1,R2が発生しているものとする。
第三の準備工程は、第一側面C側の摩擦撹拌接合を行う際に、被接合金属部材1の摩擦撹拌の開始位置や終了位置が設けられる当て部材(第一タブ材2’及び第二タブ材3’)を準備する工程である。第三の準備工程は、本実施形態では、被接合金属部材1の突合部J1の両側に第一タブ材2’と第二タブ材3’を配置する(8-1)タブ材配置工程と、第一タブ材2’と第二タブ材3’を溶接により被接合金属部材1に仮接合する(8-2)溶接工程と、被接合金属部材1の第一側面Cが上面を向くように図示せぬ摩擦撹拌装置の架台に設置する(8-3)再設置工程と、を具備するものである。
タブ材配置工程では、図11に示すように、第二の本接合工程を終えた被接合金属部材1において、突合部J1を覆うように表面Aに第二タブ材3’を配置して、その当接面31’を表面Aに当接させる。さらに、突合部J1を覆うように裏面B側に第一タブ材2’を配置して、その当接面21’を裏面Bに当接させる。このとき、(1-2)タブ材配置工程と同様に、第一タブ材2’と第二タブ材3’の表面及び裏面と第一側面C及び第二側面Dとを面一にする。
溶接工程では、図11に示すように、被接合金属部材1と第一タブ材2’とにより形成された入隅部2a’,2b’を溶接して被接合金属部材1と第一タブ材2’とを接合する。さらに、被接合金属部材1と第二タブ材3’とにより形成された入隅部3a’,3b’を溶接して被接合金属部材1と第二タブ材3’とを接合する。
再設置工程では、図11に示すように、溶接工程を終えた被接合金属部材1の第一側面Cを上面に向けるとともに、突合部J1から第一金属部材1aを臨むと左側に第二タブ材3’が位置するように、被接合金属部材1を図示せぬ摩擦撹拌装置の架台に拘束させて再度設置する。
(9)第三の予備工程
第三の予備工程は、第三の本接合工程に先だって、摩擦撹拌接合の開始位置に下穴を形成する(9-1)下穴形成工程を具備している。
下穴形成工程は、図11に示すように、第三の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置SM3に下穴P3を形成する工程である。即ち、下穴形成工程は、前記した下穴形成工程と同様に、本接合用回転ツールGの撹拌ピンG2の挿入予定位置に下穴P3を形成する工程である。これにより、本接合用回転ツールGの撹拌ピンG2の挿入抵抗(圧入抵抗)を低減することができる。(9-1)下穴形成工程は、第一の予備工程に係る(2-4)下穴形成工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
第三の本接合工程は、被接合金属部材1の第一側面C側における突合部J1を接合する工程である。本実施形態に係る第三の本接合工程では、図12に示すように、本接合用回転ツールGを使用し、第二タブ材3’の表面32’に形成された下穴P3に本接合用回転ツールGの撹拌ピンG2を挿入(圧入)し、挿入した撹拌ピンG2を途中で離脱させることなく終了位置EM3まで移動させる(進行方向V3参照)。即ち、第三の本接合工程の開始位置SM3は、第一の本接合工程の開始位置側(進行方向V1参照)に位置する。
また、第三の本接合工程の前に、前記した第一タブ材接合工程、仮接合工程、第二タブ材接合工程を行ってもよい。
第四の準備工程は、第四の本接合工程に先だって行われる工程であり、本実施形態では、被接合金属部材1の第二側面D側を上方に向けて、図示しないクランプに再度設置する(11-1)再設置工程を具備するものである。
再設置工程では、第三の本接合工程を終えた被接合金属部材1の拘束を解いた後、被接合金属部材1の表裏を逆にして、第二側面D側を上方に向け、図示せぬ摩擦撹拌装置の架台に再度設置する。本実施形態では、図12に示す左右軸回りに被接合金属部材1を半回転させて被接合金属部材1の表裏を逆にする。これにより図14に示すように、被接合金属部材1の上面が第二側面Dとなるとともに、突合部J1から第二金属部材1bを臨むと右側に第一タブ材2’が位置する。
なお、摩擦撹拌装置によっては、被接合金属部材1の拘束を解かずに表裏を回転させてもよい。
(12)第四の予備工程
第二の予備工程は、第四の本接合工程に先だって行われる工程であり、第二側面D側において、第四の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置に下穴を形成する(12-1)下穴形成工程を具備している。
下穴形成工程は、図14(a)に示すように、第四の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置SM4に下穴P4を形成する工程である。これにより、本接合用回転ツールGの撹拌ピンG2の挿入抵抗(圧入抵抗)を低減することができる。
なお、(12-1)下穴形成工程は、第一の予備工程に係る(2-4)下穴形成工程と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
第四の本接合工程は、被接合金属部材1の第二側面Dにおける突合部J1を接合する工程である。本実施形態に係る第四の本接合工程では、本接合用回転ツールGを使用し、被接合金属部材1の第二側面D側から摩擦撹拌接合を行う。
タブ材切除工程では、第四の本接合工程を終了した後に、第一タブ材2’及び第二タブ材3’を被接合金属部材1から切除する(図1参照)。この際、被接合金属部材1の第一側面C及び第二側面Dで発生したバリを除去することが好ましい。
しかし、本実施形態によれば、塑性化領域W1乃至W4の両端部を重複させているため、酸化皮膜を分断し、高品質な製品を製造することができる。
例えば、第一実施形態においては、本接合用回転ツールGの回転方向は、全て右回転で設定したが、第二実施形態のように全て左回転で設定してもよい。
図15に示すように、本接合用回転ツールGの回転方向を左方向に設定し、被接合金属部材1の表面Aを進行方向V1で第一の本接合工程を行った場合、第二の本接合工程は、第一の本接合工程の終了位置側から開始位置側(進行方向V2)に向かって摩擦撹拌接合を行う。この際、本接合用回転ツールGは左回転であるため、空洞欠陥Rは、表面側塑性化領域W1及び裏面側塑性化領域W2の進行方向右側にできる可能性が高く、進行方向左側は比較的高密度の塑性化領域が形成される。即ち、この場合、第一金属部材1aに空洞欠陥R1,R2が形成されやすい。
また、例えば、図16に示す参考形態に係る接合方法は、本接合用回転ツールGの回転方向が同方向ではない点で第一実施形態と相違する。
一方、第二の本接合工程は、本接合用回転ツールGの回転方向を右回転に設定するとともに、摩擦撹拌接合の開始位置を第一の本接合工程の開始位置側に設定し、第一側面C側から第二側面D側に向けて(進行方向V2’参照)摩擦撹拌接合を行う。この際、表面側塑性化領域W1に形成される空洞欠陥R1及び裏面側塑性化領域W2に形成される空洞欠陥R2は、共に第一金属部材1aに形成されやすい。
1a 第一金属部材
1b 第二金属部材
2 第一タブ材
3 第二タブ材
A 表面
B 裏面
C 第一側面
D 第二側面
F 仮接合用回転ツール
G 本接合用回転ツール
J1〜J3 突合部
P1〜P4 下穴
V1〜V4 回転ツールの進行方向
W1〜W4 塑性化領域
SM 本接合工程の開始位置
EM 本接合工程の終了位置
Claims (4)
- 第一金属部材と第二金属部材とを突き合わせてなる被接合金属部材に対して回転ツールを移動させて摩擦撹拌を行う接合方法であって、
前記第一金属部材と前記第二金属部材との突合部に対して前記被接合金属部材の表面側から摩擦撹拌を行う第一の本接合工程と、
前記突合部に対して前記被接合金属部材の裏面側から摩擦撹拌を行う第二の本接合工程と、
前記突合部に対して前記被接合金属部材の一方の側面側から摩擦撹拌を行う第三の本接合工程と、
前記突合部に対して前記被接合金属部材の他方の側面側から摩擦撹拌を行う第四の本接合工程と、を含み、
前記第一の本接合工程及び第二の本接合工程で形成された塑性化領域と、
前記第三の本接合工程及び第四の本接合工程で形成される塑性化領域とを重複させるとともに、
前記第一乃至第四の本接合工程における前記回転ツールの回転方向が同方向の場合、
前記第二の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置は、前記第一の本接合工程における摩擦撹拌の終了位置側に設定し、
前記第三の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置は、前記第一の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置側及び前記第二の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置側のいずれか一方に設定し、
前記第四の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置は、前記第一の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置側及び前記第二の本接合工程における摩擦撹拌の開始位置側のいずれか他方に設定することを特徴とする接合方法。 - 前記第一乃至第四の各本接合工程のうち少なくとも一の本接合工程を行う前に、
前記突合部を仮接合する仮接合工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の接合方法。 - 前記突合部の両側に一対のタブ材を配置し、前記タブ材と前記被接合金属部材との突合部に予備的に摩擦撹拌を行う予備工程、を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合方法。
- 前記回転ツールの挿入予定位置に予め下穴を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の接合方法。
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