JP5089075B2 - 波長変換モジュール - Google Patents
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また、波長変換素子の出射端に接続される光ファイバの端面と波長変換素子の出射端面の間には、隙間などによる空気層があったため、動作時間の経過と共に空気中の含有物(例えば、炭素、酸素、有機化合物等)が隙間に入って付着し、導光を著しく阻害していた。これらの現象は、波長変換素子の出射端側における接続面のエネルギーが大きいことから、特に波長変換素子の出射端側において顕著であり、その結果、短期間で所望の光パワーが得られなくなってしまうという問題があった。
本発明は、上記従来の波長変換モジュールが有する各種問題点を解決するためになされたものであり、波長変換素子の入出射端、とりわけ出射端側のエネルギーが大きいことに起因する各種問題、すなわち、導光が著しく阻害される要因を無くして、長寿命及び高信頼性を達成し、所望の光パワーが長期間得られる波長変換モジュールを提供することを目的とする。
波長変換モジュール(50)は、例えば、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)などの非線形光学結晶に、周期的な分極反転構造が作製され、光導波路(図示せず)が形成されている波長変換素子(1)の導光側接続端面(以下、導光端面と略記する)および出射側接続端面(以下、出射端面と略記する)にそれぞれ第1の光導波路としての光ファイバ(2’)および第2の光導波路としての光ファイバ(3’)を接続して構成され、波長変換素子の導光端面側に光ファイバ(2’)との接続端面(第1の接続面(A))および出射端面側に光ファイバ(3’)との接続端面(第2の接続面(B))を有する。
また、前記波長変換素子(1)はホルダー(4)に支持され、該ホルダー(4)には、波長変換素子(1)の温度を調節するためのペルチェ素子(6)が取り付けられる。
前記第1の光導波路は、例えば基本波である1060nm〜1200nm帯の波長光を波長変換素子に導光するために用いられる光導波路である。なおこの光導波路は特定波長光の偏波面を保持したまま伝送できることが好ましく、例えばクラッド層に応力付与部を設けた偏波保持光ファイバが挙げられる。また前記偏波保持光ファイバのサイズは、例えばコア径が6μm、クラッド層径(外径)が125μmである。
また前記波長変換素子は、第1の光導波路からの光を導光して波長変換を行い、例えば1060nm〜1200nm帯の波長光を530nm〜600nm帯の波長光に変換して出射する。前記波長変換素子としては、例えば非線形光学結晶(例えば、PPLN(周期分極反転LiNbO3結晶)、KN(KNbO3)結晶等)が挙げられる。
また前記第2の光導波路は、波長変換素子で変換された光を導光し、次段に出射するために用いられる光導波路である。なおこの光導波路は特定波長光の偏波面を保持したまま伝送できることが好ましく、例えば偏波保持光ファイバが挙げられる。この第2の光導波路で用いられる偏波保持光ファイバは、例えば530nm〜600nm帯という短波長の波長光を通過させるために、コア径は波長特性から細いものが好ましく、例えばコア径が4μm、クラッド層径(外径)が125μmである。
本形態例1の波長変換モジュールでは、前記波長変換素子の出射端面及び第2の光導波路の導光端面(第2の接続面(B))はエネルギーが大きいので、端面に誘電体多層膜が施されている場合には、この多層膜の変質が起こり易いことから、ノンコートであることが望ましい。また前記第1の光導波路の出射端面及び波長変換素子の導光端面(第1の接続面(A))は、エネルギーが大きくないことから端面に施した誘電体多層膜の変質が起こり難く、接続損失を少なくすることができる。この場合、第1の光導波路の出射端面には高屈折率誘電体膜と低屈折率誘電体膜を交互に適切な層数で施し、また波長変換素子の導光端面には低屈折率誘電体膜を施すことが望ましい。
本形態例2の波長変換モジュールでは、前記波長変換素子の出射端面及び第2の光導波路の導光端面(第2の接続面(B))は、上記形態例1と同様に、誘電体多層膜などは施さないノンコートであることが望ましい。また波長変換素子と第2の光導波路とを、第2の光導波路の入射端面に球面研磨又は突き出し研磨を施した上、突き当てなどによって直接接触させることによって、隙間に空気中の含有物が付着することを防ぐことが望ましい。また前記第1の光導波路と波長変換素子の接続端面(第1の接続面(A))は、エネルギーが大きくないことから端面に空気中の含有物の付着は起こり難く、第1の光導波路の出射端面は平面研磨で良い。しかし安全をみて球面研磨または突き出し研磨を施しても良い。また、前記第1の接続面(A)はエネルギーが大きくないことから、接続損失がそれ程問題にならない場合はノンコートでも良い。なお、波長変換素子の端面を球面研磨又は突き出し研磨とすることは、形状及び構造上実施し難いため、平面研磨とする。
本形態例3の波長変換モジュールでは、前記波長変換素子の出射端面及び第2の光導波路の導光端面(第2の接続面(B))は、上記形態例1、2の接続端面と同様、誘電体多層膜などは施さないノンコートであることが望ましい。また波長変換素子と第2の導波路とを、第2の光導波路の入射端面に球面研磨又は突き出し研磨を施した上、突き当てなどによって直接接触させることによって、上記形態例2と同様、隙間に空気中の含有物が付着することを防ぐことが望ましい。また前記第1の光導波路と波長変換素子の接続端面(第1の接続面(A))は、エネルギーが大きくないことから端面に空気中の含有物の付着は起こり難く、これらの接続端面は平面研磨で良い。また同じ理由から、これらの接続端面に施した誘電体多層膜の変質が起こり難く、接続損失を少なくすることができる。なお波長変換素子の端面を球面研磨又は突き出し研磨とすることは、形状及び構造上実施し難いため、平面研磨とする。また誘電体多層膜については、上記形態例1の誘電体多層膜と同様である。
本形態例4の波長変換モジュールでは、前記球面研磨の場合は曲率半径を5mm以上、20mm以下とし、また突き出し研磨の場合は突き出し長さを1μm以上、5μm以下とすることにより加工性が良くなり、また波長変換素子と第2の光導波路が良好に直接接触し接続される。
図1は、本発明の波長変換モジュールの一例を示す略図であり、同図(a)は平面図、また同図(b)は正面図である。また図2は、本発明の波長変換モジュールの接続面を拡大した略図である。
これらの図において、1は波長変換素子、1iは波長変換素子の入射側接続端面、1oは波長変換素子の出射側接続端面、2は第1の光導波路(偏波保持光ファイバ)、2aは第1の光導波路のコア、2bは第1の光導波路のクラッド、2oは第1の光導波路の出射側接続端面、3は第2の光導波路(偏波保持光ファイバ)、3aは第2の光導波路のコア、3bは第2の光導波路のクラッド、3iは第2の光導波路の入射側接続端面、4は波長変換素子ホルダー、4aは波長変換素子ホルダーの本体、4bは波長変換素子ホルダーの蓋、5はガラスキャピラリ、6はペルチェ素子、6aはペルチェ素子のリード線、7は波長変換素子の筐体、8は波長変換素子の基台、10は波長変換モジュール、Aは第1の接続面、Bは第2の接続面、またmは誘電体多層膜(ARコート)である。
実施例1の波長変換モジュール(10)は、波長変換素子(1)と、該波長変換素子へ光を導光する第1の光導波路(2)と、波長変換素子から出射された光を外部へ導光する第2の光導波路(3)とからなり、前記第1の光導波路(2)の出射端面(2o)と波長変換素子の導光端面(1i)、および波長変換素子の出射端面(1o)と第2の光導波路(3)の導光端面(3i)が接続され、第1の接続面(A)と第2の接続面(B)を有する構造で、前記第1の光導波路(2)の出射端面(2o)および波長変換素子(1)の導光端面(1i)を平面研磨し、また前記波長変換素子(1)の出射端面(1o)を平面研磨し、また前記第2の光導波路(3)の導光端面(3i)を球面研磨し、また第1の光導波路(2)の出射端面(2o)および波長変換素子(1)の導光端面(1i)に誘電体多層膜(m)を施し、また前記波長変換素子(1)の出射端面(1o)と第2の光導波路(3)の導光端面(3i)は、誘電体多層膜を施さないノンコート構成とした。なお、前記波長変換素子(1)には光導波路(図示せず)が設けられており、また、波長変換素子(1)はホルダーの本体(4a)と、ホルダーの蓋(4b)からなる波長変換素子ホルダー(以下、ホルダーと略記する)(4)に支持されている。またホルダー(4)は波長変換素子の筐体(7)に収納され、この筐体(7)は波長変換素子の基台(8)に取り付けられている。また、前記ホルダー(4)には、波長変換素子(1)の温度を調節するためのペルチェ素子(6)およびサーミスタ(図示せず)が取り付けられており、ペルチェ素子リード線(6a)により温度調節器(図示せず)と接続される。
先ず第1の光導波路(2)として偏波保持光ファイバを用い、この光ファイバの出射端面(2o)および波長変換素子(1)の導光,出射端面(1i),(1o)を平面研磨した。この際、波長変換素子(1)は室温硬化型のシリコーンゴム(図示せず)でホルダー(4)に接着した。また第2の光導波路(3)として偏波保持光ファイバを用い、この光ファイバの導光端面(3i)を球面研磨した。また球面研磨の曲率半径は10mmとした。なお、第1の光導波路(2)の出射端面(2o)および第2の光導波路(3)の導光端面(3i)近辺はガラスキャピラリ(5)に保持した。
次に、第1の光導波路(2)の出射端面(2o)および波長変換素子(1)の導光端面(1i)に誘電体多層膜(m)を施した。なお、波長変換素子(1)の出射端面(1o)と第2の光導波路(3)の導光端面(3i)には誘電体多層膜を施さないノンコート構成とした。
次に、波長変換素子(1)の導光端面(1i)に、第1の光導波路(2)の出射端面(2o)を突き当てて、接着剤(図示せず)で固定した。この接続面が第1の接続面(A)となる。また波長変換素子(1)の出射端面(1o)に、第2の光導波路(3)の球面研磨した導光端面(3i)を突き当てて直接接触させ、接着剤(図示せず)で固定した。この接続面が第2の接続面(B)となる。なお、波長変換素子(1)の導光端面(1i)と第1の光導波路(2)の出射端面(2o)、および波長変換素子(1)の出射端面(1o)と第2の光導波路(3)の導光端面(3i)を接続する際は顕微鏡を用いて光軸合わせを行った。
次に、ホルダー(4)に、波長変換素子(1)の温度を調節するためのペルチェ素子(6)およびサーミスタ(図示せず)を取り付け、ペルチェ素子リード線(6a)により温度調節器(図示せず)と接続した。またホルダー(4)を波長変換素子の筐体(7)に収納し、この筐体(7)を波長変換素子の基台(8)に取り付けて波長変換モジュール(10)を完成させた。
前記波長変換素子(1)は、例えば非線形光学結晶のPPLNに、周期的な分極反転構造が作製され、例えば径が6μmの光導波路(図示せず)が形成されているものである。また、前記波長変換素子(1)のサイズは例えば1.2mm×0.8mm×12mmである。また前記第1の光導波路(2)の偏波保持光ファイバは、例えばコア(2a)の径が6μm、クラッド(2b)径(外径)が125μmである。また前記第2の光導波路(3)の偏波保持光ファイバは、例えばコア(3a)の径が4μm、クラッド(3b)径(外径)が125μmである。また前記ホルダー(4)は熱伝導性の良いものが好ましく、例えば材質は金めっき銅である。また前記誘電体多層膜(m)としては、第1の光導波路(2)の出射端面(2o)には高屈折率誘電体膜のTa2O5(5酸化タンタル)と低屈折率誘電体膜のTiO2(酸化チタン)を交互に2層施したARコートを、また波長変換素子(1)の導光端面(1i)にはSiO2(2酸化ケイ素)を施したARコートを用いた。また前記接着剤としては、例えばUV接着剤を用いた。なお本実施例では、第1の光導波路(2)の出射端面(2o)と波長変換素子(1)の導光端面(1i)に誘電体多層膜(m)としてARコートを施しているが、場合によっては施さなくてもよい。
1i 波長変換素子の入射側接続端面
1o 波長変換素子の出射側接続端面
2 第1の光導波路(偏波保持光ファイバ)
2a 第1の光導波路のコア
2b 第1の光導波路のクラッド
2o 第1の光導波路の出射側接続端面
3 3は第2の光導波路(偏波保持光ファイバ)
3a 第2の光導波路のコア
3b 第2の光導波路のクラッド
3i 第2の光導波路の入射側接続端面
4 波長変換素子ホルダー
4a 波長変換素子ホルダーの本体
4b 波長変換素子ホルダーの蓋
5 ガラスキャピラリ
6 ペルチェ素子、
6a ペルチェ素子のリード線
7 波長変換素子の筐体
8 波長変換素子の基台
10 波長変換モジュール
A 第1の接続面
B 第2の接続面
m 誘電体多層膜(ARコート)
Claims (4)
- 波長変換素子と、該波長変換素子へ光を導光する第1の光導波路と、波長変換素子から出射された光を外部へ導光する第2の光導波路とからなり、前記第1の光導波路の出射側接続端面と波長変換素子の導光側接続端面、および波長変換素子の出射側接続端面と第2の光導波路の導光側接続端面が接続されてなる波長変換モジュールであって、
前記波長変換素子はPPLN(周期分極反転LiNbO3)からなり、
前記第1の光導波路は1060nm〜1200nm帯の光を偏波面を保持したまま伝送する偏波面保持光ファイバ、および前記第2の光導波路は前記第1の光導波路よりコア径が小さい光ファイバからなるとともに、
前記第1の光導波路の出射側接続端面および波長変換素子の導光側接続端面には誘電体多層膜を施してこれらの端面を離間させて光学的に接続し、また、前記波長変換素子の出射側接続端面および第2の光導波路の導光側接続端面をともに誘電体多層膜を施さないノンコート構成とし、空気層を介さない直接接触によって接続したことを特徴とする波長変換モジュール。 - 波長変換素子と、該波長変換素子へ光を導光する第1の光導波路と、波長変換素子から出射された光を外部へ導光する第2の光導波路とからなり、前記第1の光導波路の出射側接続端面と波長変換素子の導光側接続端面、および波長変換素子の出射側接続端面と第2の光導波路の導光側接続端面が接続されてなる波長変換モジュールであって、
前記波長変換素子はPPLN(周期分極反転LiNbO3)からなり、
前記第1の光導波路は1060nm〜1200nm帯の光を偏波面を保持したまま伝送する偏波面保持光ファイバ、および前記第2の光導波路は前記第1の光導波路よりコア径が小さい光ファイバからなるとともに、
前記第1の光導波路の出射側接続端面を平面研磨、球面研磨又は突き出し研磨し、前記波長変換素子の導光側接続端面を平面研磨してこれらの端面を離間させて光学的に接続し、また、前記波長変換素子の出射側接続端面を平面研磨し、前記第2の光導波路の導光側接続端面を球面研磨又は突き出し研磨してこれらの端面をともに誘電体多層膜を施さないノンコート構成とし、直接接触によって接続したことを特徴とする波長変換モジュール。 - 波長変換素子と、該波長変換素子へ光を導光する第1の光導波路と、波長変換素子から出射された光を外部へ導光する第2の光導波路とからなり、前記第1の光導波路の出射側接続端面と波長変換素子の導光側接続端面、および波長変換素子の出射側接続端面と第2の光導波路の導光側接続端面が接続されてなる波長変換モジュールであって、
前記波長変換素子はPPLN(周期分極反転LiNbO3)からなり、
前記第1の光導波路は1060nm〜1200nm帯の光を偏波面を保持したまま伝送する偏波面保持光ファイバ、および前記第2の光導波路は前記第1の光導波路よりコア径が小さい光ファイバからなるとともに、
前記第1の光導波路の出射側接続端面および波長変換素子の導光側接続端面を平面研磨し且つ誘電体多層膜を施してこれらの端面を離間させて光学的に接続し、また、前記波長変換素子の出射側接続端面を平面研磨し、前記第2の光導波路の導光側接続端面を球面研磨又は突き出し研磨してこれらの端面をともに誘電体多層膜を施さないノンコート構成として直接接触によって接続したことを特徴とする波長変換モジュール。 - 前記球面研磨の曲率半径を5mm以上、20mm以下とし、また突き出し研磨の突き出し長さを1μm以上、5μm以下としたことを特徴とする請求項2または3記載の波長変換モジュール。
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