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JP5087385B2 - 電源装置及びアーク加工用電源装置 - Google Patents

電源装置及びアーク加工用電源装置 Download PDF

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JP5087385B2 JP2007325051A JP2007325051A JP5087385B2 JP 5087385 B2 JP5087385 B2 JP 5087385B2 JP 2007325051 A JP2007325051 A JP 2007325051A JP 2007325051 A JP2007325051 A JP 2007325051A JP 5087385 B2 JP5087385 B2 JP 5087385B2
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Description

本発明は、インバータ回路を有する電源装置及びアーク加工用電源装置に関するものである。
アーク加工機等に用いられる電源装置は、例えば特許文献1に示されるように、商用電源(三相交流電源)を整流回路にて整流し平滑コンデンサにて平滑化した直流電圧に変換する直流変換回路と、2個のスイッチング素子のハーフブリッジ回路で構成されるインバータ回路とを備えている。インバータ回路は、その2個のスイッチング素子が交互にオンオフ制御されることで、直流変換回路からの直流電圧を所定の高周波交流電圧に変換している。そして、インバータ回路からの所定の高周波交流電圧がアーク溶接やアーク切断等のアーク加工に適したアーク加工用直流電圧に更に変換されている。
また、特許文献1に示される電源装置では、直流変換回路を構成する平滑コンデンサとインバータ回路との間の一対の電源線間に補助コンデンサが接続されるとともに、平滑及び補助コンデンサ間の各電源線上にそれぞれ補助スイッチング素子が配置されている。各補助スイッチング素子は、インバータ回路の一対のスイッチング素子と組をなしてオンオフ制御され、オン時にはインバータ回路のスイッチング素子と補助スイッチング素子とが組毎に同時オンされ、オフ時にはインバータ回路のスイッチング素子がオフするよりも補助スイッチング素子が先にオフされる。このようなインバータ回路のスイッチング素子及び補助スイッチング素子の動作に付随した補助コンデンサの充放電動作を利用することで、各スイッチング素子におけるスイッチング損失を低減するソフトスイッチング制御を行う構成となっている。
特開2005−279774号公報
しかしながら、軽負荷時や無負荷時等において、補助コンデンサの充放電が不完全となる場合がある。この補助コンデンサの不完全な充放電動作は、スイッチング損失の増大やサージ電圧発生によるスイッチング素子の破損に繋がるため、これらを解決することが要望されている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ソフトスイッチング制御で用いる補助コンデンサの充放電を負荷状態にかかわらず確実とし、スイッチング損失の低減や電圧サージの抑制を図ることができる電源装置及びアーク加工用電源装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、整流回路及びその出力側の一対の電源線間に直列接続された第1及び第2の平滑コンデンサを有し、入力交流電源を整流・平滑化した直流電圧に変換する直流変換回路と、第1及び第2のスイッチング素子を用いたハーフブリッジ回路で構成され、その第1及び第2のスイッチング素子が交互にオンオフして前記各電源線を介して供給された前記直流電圧を所定の交流電圧に変換するインバータ回路と、前記平滑コンデンサと前記インバータ回路との間の前記各電源線間に直列接続された第1及び第2の補助コンデンサを有するとともに、前記平滑コンデンサと前記補助コンデンサの間の前記各電源線上に前記第1及び第2のスイッチング素子と組をなして交互に動作される第3及び第4のスイッチング素子のそれぞれが配置されてなる補助スイッチング回路とを備え、対応する前記第1及び第2の補助コンデンサの充電状態で前記第3及び第4のスイッチング素子が前記第1及び第2のスイッチング素子のオフに先立ってそれぞれオフし、対応する前記第1及び第2の補助コンデンサの放電後に前記第1及び第2のスイッチング素子をそれぞれオフさせるソフトスイッチング制御が行われる構成の電源装置であって、前記第1及び第2のスイッチング素子間と前記第1及び第2の補助コンデンサ間との間に設けられ、前記第1及び第2の補助コンデンサの放電開始となる前記第3及び第4のスイッチング素子の各オフ又は各オフに先立って共振動作し、前記補助コンデンサの放電電流に基づく前記第1及び第2のスイッチング素子の出力電流を増大させる共振電流を生じさせる共振回路を備えたことをその要旨とする。
この発明では、インバータ回路の第1及び第2のスイッチング素子間と補助スイッチング回路の第1及び第2の補助コンデンサ間との間に共振回路が設けられ、該共振回路は、第1及び第2の補助コンデンサの放電開始となる第3及び第4のスイッチング素子の各オフ又は各オフに先立って共振動作し、補助コンデンサの放電電流に基づく第1及び第2のスイッチング素子の出力電流が増大するような共振電流を生じさせる。これにより、補助コンデンサの放電速度が速くなり、該補助コンデンサの放電時間が短縮化される。従って、補助コンデンサの放電が短時間で速やかに行われ、軽負荷時や無負荷時であっても補助コンデンサの放電を確実に行うことが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電源装置において、前記共振回路は、前記第1及び第2のスイッチング素子の各オフに基づいて、前記共振電流を、反対側の組の前記第1及び第2の補助コンデンサの充電電流としてそれぞれ供給することをその要旨とする。
この発明では、第1及び第2のスイッチング素子の各オフに基づいて、共振回路は、その共振電流を、放電が完了した補助コンデンサとは反対側の補助コンデンサの充電電流としてそれぞれ供給する。これにより、共振回路からの共振電流が反対側の組の補助コンデンサの充電電流としても用いられることから、補助コンデンサの充電速度が速くなり、該補助コンデンサの充電時間が短縮化される。従って、補助コンデンサの充電が短時間で速やかに行われ、軽負荷時や無負荷時であっても補助コンデンサの充電を確実に行うことが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電源装置において、前記共振回路は、還流ダイオードを有し前記第3及び第4のスイッチング素子と組をなして交互に動作される第5及び第6のスイッチング素子と、共振インダクタとを備えてなり、前記共振インダクタの両側に互いに逆向きに前記第5及び第6のスイッチング素子を配置しその一方が前記第1及び第2のスイッチング素子間に、他方が前記第1及び第2の補助コンデンサ間にそれぞれ接続されて構成されていることをその要旨とする。
この発明では、共振回路は、還流ダイオードを有し第3及び第4のスイッチング素子と組をなして交互に動作される第5及び第6のスイッチング素子が互いに逆向きとされて共振インダクタの両側に配置され、第5及び第6のスイッチング素子の一方が第1及び第2のスイッチング素子間に、他方が第1及び第2の補助コンデンサ間にそれぞれ接続されて構成される。つまり、共振回路を2個のスイッチング素子と共振インダクタとで簡素に構成可能である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電源装置において、前記第5及び第6のスイッチング素子は、対応する前記第3及び第4のスイッチング素子のオフに先立ってオンされることをその要旨とする。
この発明では、共振回路の第5及び第6のスイッチング素子は、対応する第3及び第4のスイッチング素子のオフに先立ってオンされ、共振インダクタによる共振動作が行われる。つまり、第3及び第4のスイッチング素子のオフに先立ってこの共振回路の第5及び第6のスイッチング素子がオンされることで、補助コンデンサの放電開始前に立ち上がりの緩やかなインダクタの共振電流(共振エネルギー)を予め増大させておくことができ、これにより第3及び第4のスイッチング素子のオフにより補助コンデンサの放電が開始された時からその放電が速やかとなる。そのため、補助コンデンサの放電時間がより短縮化される。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置を用い、加工対象物のアーク加工を行うアーク加工用電圧を生成するように構成されているアーク加工用電源装置である。
この発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置が用いられてアーク加工用電源装置が構成されるため、上記各請求項の作用効果が得られるアーク加工用電源装置を提供できる。
本発明によれば、ソフトスイッチング制御で用いる補助コンデンサの充放電が負荷状態にかかわらず確実となり、スイッチング損失の低減や電圧サージの抑制を図ることができる電源装置及びアーク加工用電源装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のアーク加工用電源装置11を備えたアーク加工機10を示す。アーク加工機10は、その電源装置11から出力される加工用直流電圧をトーチTHに供給し、そのトーチTHから加工対象物Mに向けてアークを発生させることで、加工対象物Mに対してアーク溶接やアーク切断等のアーク加工を行う装置である。
アーク加工用電源装置11は、入力される例えば200V又は400Vの商用電源(三相交流電圧)を直流電圧に変換する直流変換回路12と、その直流電圧を所定の高周波交流電圧に変換するインバータ回路13とを備えてなる。
直流変換回路12は、ダイオードを用いたブリッジ回路で構成され三相の入力交流電源を全波整流する一次側整流回路DR1と、該整流回路DR1の出力側の電源線L1,L2間に接続され該整流回路DR1の出力電圧を平滑化する同容量の2個の平滑コンデンサCa,Cbとを有してなる。直流変換回路12は、この整流回路DR1及び平滑コンデンサCa,Cbにて入力交流電源から直流電圧を生成している。
インバータ回路13は、電源線L1,L2に接続され、IGBTよりなる2個のスイッチング素子S1,S2を用いたハーフブリッジ回路で構成されている。尚、これらのスイッチング素子S1,S2には、それぞれ還流ダイオードD1,D2が逆接続されている。各スイッチング素子S1,S2は、ゲートに入力される出力制御回路SCからの制御信号に基づいて交互にオンオフ駆動され、直流変換回路12から出力された直流電圧を所定の高周波交流電圧に変換し、該高周波交流電圧を変圧器INTの一次側コイルに供給している。
また本実施形態では、インバータ回路13及び前記直流変換回路12の間に、補助スイッチング回路14及び共振回路15が備えられている。
補助スイッチング回路14は、IGBTよりなる2個のスイッチング素子S3,S4と、2個の補助コンデンサC1,C2と、2個の還流ダイオードD7,D8とを備えている。スイッチング素子S3は平滑コンデンサCa,Cbの後段の電源線L1上に配置され、スイッチング素子S4は該コンデンサC1,C2の後段の電源線L2上に配置されている。各スイッチング素子S3,S4には、それぞれ還流ダイオードD3,D4が逆接続されている。各スイッチング素子S3,S4は、ゲートに入力される出力制御回路SCからの制御信号に基づいて交互にオンオフ駆動される。
スイッチング素子S3,S4の後段の電源線L1,L2間には還流ダイオードD7,D8が直列に接続されており、この還流ダイオードD7,D8は、電源線L2から電源線L1に向けて順方向となるように接続されている。還流ダイオードD7,D8の後段の電源線L1,L2間には、同容量の補助コンデンサC1,C2が直列に接続されている。この補助コンデンサC1,C2間の接続点N1は、還流ダイオードD7,D8間の接続点及び前記平滑コンデンサCa,Cb間の接続点にともに接続されている。
共振回路15は、補助コンデンサC1,C2間の接続点N1と、前記インバータ回路13のスイッチング素子S1,S2間の接続点N2との間に接続されている。共振回路15は、IGBTよりなる2個のスイッチング素子S5,S6と、2個のインダクタ(共振インダクタLr及び直列インダクタLs)とを備えている。スイッチング素子S5は、そのコレクタが前記接続点N2に接続されるとともに、エミッタが共振インダクタLrを介してスイッチング素子S6のエミッタに接続されている。スイッチング素子S6のコレクタは、前記接続点N1に接続されている。各スイッチング素子S5,S6には、それぞれ還流ダイオードD5,D6が逆接続されている。各スイッチング素子S5,S6は、ゲートに入力される出力制御回路SCからの制御信号に基づいて交互にオンオフ駆動される。直列インダクタLsは、一端が接続点N2に接続されるとともに、他端が変圧器INTの一次側コイルを介して前記接続点N1に接続されている。
そして、補助スイッチング回路14及び共振回路15における各スイッチング素子S3〜S6は、前記インバータ回路13のスイッチング素子S1,S2の動作に付随したオンオフ駆動がなされ、このスイッチング素子S1,S2のスイッチング損失を低減、及びスイッチング素子S3〜S6自身のスイッチング損失を低減するソフトスイッチング制御が行われる。尚、この制御についての詳細は、インバータ回路13の制御と合わせて後述する。
インバータ回路13で生成された高周波交流電圧は、変圧器INTの一次側コイルに供給され、該変圧器INTの二次側には、二次側整流回路DR2及び直流リアクトルDCLが備えられる。二次側整流回路DR2は、変圧器INTの二次側コイルの両端にそれぞれアノードが接続される2個のダイオードD11,D12を備え、各ダイオードD11,D12のカソードが接続される該整流回路DR2の出力側には、直流リアクトルDCLが接続されている。直流リアクトルDCLは、出力線L3を介してトーチTHと接続される。二次側整流回路DR2及び直流リアクトルDCLは、インバータ回路13からの高周波交流電圧をアーク加工用直流電圧に変換してトーチTHに出力する。一方、変圧器INTの二次側コイルの中間タップに接続された出力線L4は加工対象物Mと接続され、トーチTHへのアーク加工用直流電圧の供給に基づきトーチTHから加工対象物Mに向けてアークが生じるようになっている。
次に、上記したインバータ回路13のスイッチング素子S1,S2と、補助スイッチング回路14及び共振回路15のスイッチング素子S3〜S6とをスイッチング制御する出力制御回路SCのその制御について図2を参照しつつ説明する。尚、図2において、「S1」〜「S6」は、スイッチング素子S1〜S6のオンオフ状態を示しており、電圧「V」及び電流「I」の添え字「s1〜s6,c1,c2,d7,d8」は各素子の符号に対応付けてある。また添え字「s1〜s6」については、還流ダイオードD1〜D6も含んでいる。電圧「V」及び電流「I」は、各素子にかかる電圧及び電流変化を示している。
出力制御回路SCは、先ずはインバータ回路13の主たる動作として直流電圧から高周波交流電圧を生成するために、インバータ回路13のスイッチング素子S1,S2を所定周波数で交互にオンオフさせる。ここで、出力制御回路SCは、出力線L4等から実出力電流値の検出を行っており、その実出力電流値と出力設定値とに基づいてPWM制御を実施、即ちオンパルス幅W(デューティ)の変更にてスイッチング素子S1,S2のオン時間を調整し、その高周波交流電圧を制御している。
また、この出力制御回路SCは、インバータ回路13のスイッチング素子S1と組でスイッチング素子S3,S5を動作させるとともに、スイッチング素子S2と組でスイッチング素子S4,S6を動作させ、インバータ回路13の主たる動作に付随して補助スイッチング回路14及び共振回路15の各スイッチング素子S3〜S6を動作させるソフトスイッチング制御も行っている。
詳述すると、出力制御回路SCは、インバータ回路13のスイッチング素子S1のオン側では、補助スイッチング回路14のスイッチング素子S3を同時にオンさせる。これに対し、インバータ回路13のスイッチング素子S1のオフ側では、出力制御回路SCは、そのオフよりも所定時間T1前にスイッチング素子S3をオフ、更にそのスイッチング素子S3をオフよりも所定時間T2前に共振回路15のスイッチング素子S5をオンさせる。そして、出力制御回路SCは、もう一方の組のスイッチング素子S2,S4のオンと同時にスイッチング素子S5をオフさせる。因みに、スイッチング素子S1,S3のオンからスイッチング素子S5のオフまでの間は少なくとも、もう一方の組のスイッチング素子S2,S4,S6をオフ状態に維持している。もう一方の組のスイッチング素子S2,S4,S6のオンオフ動作については、スイッチング素子S2,S4のオン以降、スイッチング素子S1,S3,S5の上記オンオフ動作と同様に実施される。
このような出力制御回路SCのスイッチング制御により、各タイミングでの回路各所の電流及び電圧変化を見てみると、先ず、スイッチング素子S1,S3がオン状態、スイッチング素子S2,S4〜S6がオフ状態にある時刻t0前においては、平滑コンデンサCa(補助コンデンサC1)の端子間電圧がインバータ回路13のスイッチング素子S1に供給される。スイッチング素子S1からの出力電圧は、直列インダクタLsを介して変圧器INTの一次側コイルに供給され、これに伴い変圧器INTの二次側では、二次側整流回路DR2のダイオードD11側から直流リアクトルDCLを介してトーチTHにアーク加工用直流電圧が出力される。
「時刻t0」になると、スイッチング素子S5がオンされる。このオンに基づいて共振回路15が共振動作し、共振インダクタLrに共振電流が生じて、接続点N2からスイッチング素子S5、共振インダクタLr及び還流ダイオードD6の経路でこの共振電流が流れる。これにより、スイッチング素子S5を流れる電流Is5が増加し、これに連動してスイッチング素子S1を流れる電流(出力電流)Is1も増加する。尚、共振インダクタLrにより生じる共振電流はゼロからの立ち上がりが緩やかであるため、スイッチング素子S5はゼロ電流でのオンとなり、そのスイッチング損失が低減されている。スイッチング素子S1からは、変圧器INTの一次側コイル側に平滑コンデンサCaの端子間電圧に基づく出力電圧の供給が継続され、変圧器INTの二次側ではダイオードD11側からの直流リアクトルDCLへの電流供給が継続される。補助コンデンサC1の端子間電圧は、依然、平滑コンデンサCaの端子間電圧と同等に維持されている。
「時刻t1」になると、スイッチング素子S3がオフされる。このオフに基づいて、スイッチング素子S1への平滑コンデンサCaからの端子間電圧の供給が遮断されるものの、補助コンデンサC1の放電が開始され該コンデンサC1の端子間電圧の供給に替わる。尚、このスイッチング素子S3のオフ時には、時刻t1以前に補助コンデンサC1の端子間電圧が平滑コンデンサCaの端子間電圧まで充電されていることから、スイッチング素子S3をゼロ電圧(端子間の電位差がゼロ)でオフでき、そのスイッチング損失が低減されている。スイッチング素子S1からは、変圧器INTの一次側コイル側に今度は補助コンデンサC1の端子間電圧に基づく出力電圧の供給が継続され、変圧器INTの二次側では同様にダイオードD11側からの直流リアクトルDCLへの電流供給が継続される。
また、このときにおいてもスイッチング素子S1を流れる電流Is1が変圧器INTの一次側コイル側のみ流れる態様とした場合の電流値と比較して大きく、しかも本実施形態ではスイッチング素子S5を流れる電流Is5が時刻t1直前よりも更に増加する設定となっているため、これに連動してスイッチング素子S1を流れる電流Is1も一層増加する。これにより、補助コンデンサC1の放電速度が速くなり、該補助コンデンサC1の放電時間が短縮化される。従って、スイッチング素子S1がオンされるよりも前に補助コンデンサC1の放電が短時間で速やかに行われるようになっている。
「時刻t2」において、補助コンデンサC1の放電が完了すると、オン状態のスイッチング素子S1、変圧器INTの一次側コイル(直列インダクタLs)側、及び還流ダイオードD7を使用した経路で還流電流が流れる。また、共振インダクタLrの共振電流に基づいてスイッチング素子S5側に分岐した経路でも還流電流が流れる。変圧器INTの二次側では、時刻t2前までに直流リアクトルDCLに蓄積された電磁エネルギーの放出に基づいて、両方のダイオードD11,D12を経路とした還流電流が流れる。尚、ここで放電した補助コンデンサC1は、次にスイッチング素子S2がオンからオフに切り替わるまでその放電状態が継続され、そのスイッチング素子S2のオフに基づいて充電が開始される。
「時刻t3」になると、スイッチング素子S1がオフされる。このスイッチング素子S1のオフ時には、補助コンデンサC1が既に時刻t2で放電されていることから、スイッチング素子S1をゼロ電圧(端子間の電位差がゼロ)でオフでき、そのスイッチング損失が低減されている。また、このオフに基づいて、直列インダクタLsに蓄積された電磁エネルギーの放出に基づいて還流ダイオードD2を使用した経路で還流電流が流れ、共振インダクタLrに蓄積された電磁エネルギーの放出に基づいてスイッチング素子S5側に分岐した経路でも引き続き還流電流が流れる。そして、変圧器INTの一次側コイル側のみ流れる態様とした場合の電流値と比較して大きくなるこれら双方の還流電流に基づいて、補助コンデンサC2の充電が開始される。これにより、補助コンデンサC2の充電速度が速くなり、該補助コンデンサC2の充電時間が短縮化される。従って、スイッチング素子S2,S4がオンされるよりも前に補助コンデンサC2の充電が短時間で速やかに行われる。変圧器INTの二次側では、ダイオードD11,D12の両経路を流れる還流電流が継続して生じている。
「時刻t4」になると、補助コンデンサC2の充電が完了する。これにより、直列インダクタLs及び共振インダクタLrに蓄積された電磁エネルギーの放出に基づいて生じる還流電流が還流ダイオードD4を使用した経路に切り替わり、これにより平滑コンデンサCbの充電が開始される。尚、変圧器INTの二次側では、依然としてダイオードD11,D12の両経路を流れる還流電流が生じている。
「時刻t5」において、直列インダクタLs及び共振インダクタLrの電磁エネルギーにて平滑コンデンサCbの充電が完了すると、変圧器INTの一次側で生じていた還流電流(共振電流)が消失する。
「時刻t6」になると、スイッチング素子S5がオフされるとともに、スイッチング素子S2,S4がともにオンされる。この場合、変圧器INTの一次側での還流電流(共振電流)が消失していることから、スイッチング素子S5は、ゼロ電流でのオフとなり、そのスイッチング損失が低減されている。また、直列インダクタLsによりスイッチング素子S2,S4にかかる電流のゼロからの立ち上がりが緩やかであるため、該スイッチング素子S2,S4はゼロ電流でのオンとなり、これらのスイッチング損失が低減されている。また、スイッチング素子S4においては、補助コンデンサC2と平滑コンデンサCbとの端子間電圧が同電圧となっていることからゼロ電圧でのオンとなり、このことからもスイッチング損失が低減されている。
スイッチング素子S2,S4のオンに基づいて、平滑コンデンサCb(補助コンデンサC2)の端子間電圧がインバータ回路13のスイッチング素子S2に供給される。スイッチング素子S2からの出力電圧は、直列インダクタLsを介して変圧器INTの一次側コイルに供給され、これに伴い変圧器INTの二次側では、二次側整流回路DR2のダイオードD12側から直流リアクトルDCLを介してトーチTHにアーク加工用直流電圧が出力される。
「時刻t7」になると、スイッチング素子S6がオンされ、以降は上記した動作と同様の動作をスイッチング素子S2,S4,S6、補助コンデンサC2、及び還流ダイオードD8が行い、アーク加工用直流電圧の出力が継続されるようになっている。
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、インバータ回路13のスイッチング素子S1,S2間の接続点N2と、補助スイッチング回路14の補助コンデンサC1,C2間の接続点N1との間に共振回路15が設けられている。共振回路15は、補助コンデンサC1,C2の放電開始となるスイッチング素子S3,S4の各オフに時間T2だけ先立って共振動作し、補助コンデンサC1,C2の放電電流に基づくスイッチング素子S1,S2の出力電流(電流Is1,Is2)が増大するような共振電流を生じさせる。これにより、補助コンデンサC1,C2の放電速度が速くなり、該補助コンデンサC1,C2の放電時間が短縮化される。従って、補助コンデンサC1,C2の放電が短時間で速やかに行われ、軽負荷時や無負荷時であっても補助コンデンサC1,C2の放電を確実に行うことができる。その結果、スイッチング損失の低減や電圧サージの抑制を図ることができるアーク加工用電源装置11を提供することができる。
(2)本実施形態では、共振回路15は、スイッチング素子S1,S2の各オフに基づいて、その共振電流を、放電が完了した補助コンデンサC1,C2とは反対側の補助コンデンサC2,C1の充電電流としてそれぞれ供給する。これにより、共振回路15からの共振電流が反対側の組の補助コンデンサC1,C2の充電電流としても用いられることから、補助コンデンサC1,C2の充電速度が速くなり、該補助コンデンサC1,C2の充電時間が短縮化される。従って、補助コンデンサC1,C2の充電が短時間で速やかに行われ、軽負荷時や無負荷時であっても補助コンデンサC1,C2の充電を確実に行うことができる。
(3)本実施形態では、共振回路15は、還流ダイオードD5,D6を有しスイッチング素子S3,S4と組をなして交互に動作されるスイッチング素子S5,S6が互いに逆向きとされて共振インダクタLrの両側に配置され、スイッチング素子S5がスイッチング素子S1,S2間の接続点N2に、スイッチング素子S6が補助コンデンサC1,C2間の接続点N1にそれぞれ接続されて構成されている。また、本実施形態の共振回路15は、変圧器INTの一次側コイルに直列接続される直列インダクタLsを有している。つまり、共振回路15を2個のスイッチング素子S5,S6とインダクタLr,Lsとで簡素に構成することができる。
(4)本実施形態では、共振回路15のスイッチング素子S5,S6は、対応するスイッチング素子S3,S4のオフに先立ってオンされ、共振インダクタLrによる共振動作が行われる。つまり、第3及び第4のスイッチング素子S3,S4のオフに先立ってこの共振回路15の第5及び第6のスイッチング素子S5,S6がオンされることで、補助コンデンサC1,C2の放電開始前に立ち上がりの緩やかなインダクタLrの共振電流(共振エネルギー)を予め増大させておくことができ、これにより第3及び第4のスイッチング素子S3,S4のオフにより補助コンデンサC1,C2の放電が開始された時からその放電が速やかとなる。そのため、本実施形態では、補助コンデンサC1,C2の放電時間をより短縮化できる構成となっている。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、共振回路15を2個のスイッチング素子S5,S6とインダクタLr,Lsとで構成したが、スイッチング素子やインダクタの数や配置等、適宜変更してもよい。またこれらの素子の他に、コンデンサや抵抗等を付加又は置換して構成してもよい。
・上記実施形態では、共振回路15のスイッチング素子S5,S6をスイッチング素子S3,S4の各オフに先立ってそれぞれオンさせて共振動作を開始させたが、スイッチング素子S5,S6の各オンをスイッチング素子S3,S4の各オフと同時としてもよい。また、スイッチング素子S1,S2の各オフよりも前なら、スイッチング素子S5,S6の各オンをスイッチング素子S3,S4の各オフよりも若干遅らせることもできる。また、スイッチング素子S5,S6のオフは、スイッチング素子S2,S4のオンと同時でなくとも、共振電流が消失した時点でオフさせてもよい。
・上記実施形態では、共振回路15は、スイッチング素子S1,S2の各オフに基づいて、その共振電流を、放電が完了した補助コンデンサC1,C2とは反対側の補助コンデンサC2,C1の充電電流としてそれぞれ供給するように構成されているが、その共振電流が補助コンデンサC1,C2の放電時のみに生じる構成とし、共振電流を充電電流としてまで用いない構成としてもよい。
・上記実施形態では、各スイッチング素子S1〜S6にIGBTを用いたが、IGBT以外のスイッチング素子を用いて構成してもよい。
・上記実施形態では、アーク加工用電源装置11に実施したが、アーク加工用以外の目的で用いられる電源装置、具体的には直流変換回路12、インバータ回路13、補助スイッチング回路14及び共振回路15を有する交流−交流変換電源装置に実施してもよい。また、直流変換回路12のない、インバータ回路13、補助スイッチング回路14及び共振回路15を有する直流−交流変換電源装置に実施してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) 第1及び第2のスイッチング素子を用いたハーフブリッジ回路で構成され、その第1及び第2のスイッチング素子が交互にオンオフして一対の電源線を介して供給された直流電圧を所定の交流電圧に変換するインバータ回路と、
前記各電源線間に直列接続される第1及び第2の平滑コンデンサと前記インバータ回路との間の前記各電源線間に直列接続された第1及び第2の補助コンデンサを有するとともに、前記平滑コンデンサと前記補助コンデンサの間の前記各電源線上に前記第1及び第2のスイッチング素子と組をなして交互に動作される第3及び第4のスイッチング素子のそれぞれが配置されてなる補助スイッチング回路とを備え、
対応する前記第1及び第2の補助コンデンサの充電状態で前記第3及び第4のスイッチング素子が前記第1及び第2のスイッチング素子のオフに先立ってそれぞれオフし、対応する前記第1及び第2の補助コンデンサの放電後に前記第1及び第2のスイッチング素子をそれぞれオフさせるソフトスイッチング制御が行われる構成の電源装置であって、
前記第1及び第2のスイッチング素子間と前記第1及び第2の補助コンデンサ間との間に設けられ、前記第1及び第2の補助コンデンサの放電開始となる前記第3及び第4のスイッチング素子の各オフ又は各オフに先立って共振動作し、前記補助コンデンサの放電電流に基づく前記第1及び第2のスイッチング素子の出力電流を増大させる共振電流を生じさせる共振回路を備えたことを特徴とする電源装置。
このように構成すれば、上記請求項1と同様の作用効果を有する。
本実施形態のアーク加工用電源装置を示す回路図である。 電源装置各所の波形図である。
符号の説明
11…電源装置、12…直流変換回路、13…インバータ回路、
14…補助スイッチング回路、15…共振回路、
C1,C2…補助コンデンサ(第1及び第2の補助コンデンサ)、
Ca,Cb…平滑コンデンサ(第1及び第2の平滑コンデンサ)、
D5,D6…還流ダイオード、DR1…一次側整流回路(整流回路)、
L1,L2…電源線、Lr…共振インダクタ、M…加工対象物、
S1〜S6…スイッチング素子(第1〜第6のスイッチング素子)。

Claims (5)

  1. 整流回路及びその出力側の一対の電源線間に直列接続された第1及び第2の平滑コンデンサを有し、入力交流電源を整流・平滑化した直流電圧に変換する直流変換回路と、
    第1及び第2のスイッチング素子を用いたハーフブリッジ回路で構成され、その第1及び第2のスイッチング素子が交互にオンオフして前記各電源線を介して供給された前記直流電圧を所定の交流電圧に変換するインバータ回路と、
    前記平滑コンデンサと前記インバータ回路との間の前記各電源線間に直列接続された第1及び第2の補助コンデンサを有するとともに、前記平滑コンデンサと前記補助コンデンサの間の前記各電源線上に前記第1及び第2のスイッチング素子と組をなして交互に動作される第3及び第4のスイッチング素子のそれぞれが配置されてなる補助スイッチング回路とを備え、
    対応する前記第1及び第2の補助コンデンサの充電状態で前記第3及び第4のスイッチング素子が前記第1及び第2のスイッチング素子のオフに先立ってそれぞれオフし、対応する前記第1及び第2の補助コンデンサの放電後に前記第1及び第2のスイッチング素子をそれぞれオフさせるソフトスイッチング制御が行われる構成の電源装置であって、
    前記第1及び第2のスイッチング素子間と前記第1及び第2の補助コンデンサ間との間に設けられ、前記第1及び第2の補助コンデンサの放電開始となる前記第3及び第4のスイッチング素子の各オフ又は各オフに先立って共振動作し、前記補助コンデンサの放電電流に基づく前記第1及び第2のスイッチング素子の出力電流を増大させる共振電流を生じさせる共振回路を備えたことを特徴とする電源装置。
  2. 請求項1に記載の電源装置において、
    前記共振回路は、前記第1及び第2のスイッチング素子の各オフに基づいて、前記共振電流を、反対側の組の前記第1及び第2の補助コンデンサの充電電流としてそれぞれ供給することを特徴とする電源装置。
  3. 請求項1又は2に記載の電源装置において、
    前記共振回路は、還流ダイオードを有し前記第3及び第4のスイッチング素子と組をなして交互に動作される第5及び第6のスイッチング素子と、共振インダクタとを備えてなり、前記共振インダクタの両側に互いに逆向きに前記第5及び第6のスイッチング素子を配置しその一方が前記第1及び第2のスイッチング素子間に、他方が前記第1及び第2の補助コンデンサ間にそれぞれ接続されて構成されていることを特徴とする電源装置。
  4. 請求項3に記載の電源装置において、
    前記第5及び第6のスイッチング素子は、対応する前記第3及び第4のスイッチング素子のオフに先立ってオンされることを特徴とする電源装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置を用い、加工対象物のアーク加工を行うアーク加工用電圧を生成するように構成されていることを特徴とするアーク加工用電源装置。
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