JP5085445B2 - 車両のバンパーシステム - Google Patents
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Description
八角形断面を縦に2つ組み合わせて一体化した前述の略8の字断面のクラッシュボックスは、従来のクラッシュボックスを改良したもので、最大荷重以降の荷重の上下動を抑制して、エネルギ吸収効率を増加させることができる。かつ、製造性(押出性)の問題もある程度クリアできる。また、内部リブ数が少ないため、余り反力荷重を高くすることなく外寸法を大きくすることが可能となる。
しかし、単位断面として正八角形を用いることから、偏心荷重に対するバンパーシステムの衝突特性あるいはタイダウンに対する耐性を改善するため縦方向幅を大きくすると、必然的に横方向幅も大きくなり、クラッシュボックス全体が大型化して重量も増加するという問題があった。
このバンパーシステムは、クラッシュボックスの後端(バンパービームの反対側端部)が自動車車体のサイドメンバ前端に取り付けられる。
多角形断面を有するアルミニウム合金押出中空形材を縦(軸方向)圧壊変形させたとき、多角形の辺の数が多くなるほど、圧壊変形に伴う荷重の上下変動が小さく安定するが、逆に辺の数が多くなりすぎると、隣接する辺同士の角度が浅くなり、隣接する2辺が同時に圧壊変形し、かえって圧壊変形の安定性が損なわれる可能性がある。圧壊変形の安定性の観点から六角形又は八角形断面が適当である。また、単位質量当たりの荷重及び単位質量当たりのエネルギー吸収量が、下記表1に示すとおり、六角形断面において最も大きく、八角形断面がそれに次ぐ。
表1に示すように、エネルギー吸収量(EA量)は六角形断面のものが最も大きい。最大荷重(Pmax)、平均荷重、単位質量当たりのエネルギー吸収量も同様に、六角形断面のものが最も大きく、六角形断面が特性上、最も優れている。八角形断面のものがそれに次ぎ、辺数がこれより増加すると特性が低下する。
さらに、これらの多角形断面を2つ結合して略8の字型断面形状とした場合も、同様な特性の傾向が得られる。
図1,2に本発明に係るバンパーシステム1を示す。バンパーシステム1は、断面日型のアルミニウム合金押出中空形材からなるバンパービーム2と、略8の字型の断面形状を有するアルミニウム合金押出形材からなり、バンパービーム1の後壁5に固定されたクラッシュボックス3により構成される。なお、この明細書において、車両のフロント側、リア側に関わらず、衝突面側を前とし、車体側を後とする。
クラッシュボックス3は、図3に示すように、車両縦方向に偏平化した2つの六角形断面が互いにその一辺を共有して縦方向に重なり一体化されたもので、略8の字型の断面形状を有する。後端には、図示しないサイドメンバーの前端部にボルト結合されるフランジ9が、例えば全周溶接により取り付けられている。クラッシュボックス3の前端は、バンパービーム3の後壁5に例えば全周溶接により取り付けられるが、後端と同様にフランジを取り付け、このフランジを介してバンパービーム1の後壁5にボルト接合することもできる。
クラッシュボックス3の断面は、縦方向に偏平化した2つの六角形断面が互いにその一辺を共有して縦方向に重なり一体化された略8の字型の断面形状を有する。ここで、縦方向に偏平化した六角形断面とは、先に述べたように、2つの正六角形断面を横幅をそのままで縦方向に拡大、偏平化した形状を意味し、その代表的な形状を図5に示す。
図5(b)の六角形断面11,12は、同じく左右の辺14,15,17,18を縦方向に伸ばす形態で偏平化したものであるが、偏平化は全ての稜角を120度に保ったまま(上下の辺13,16は短くなる)行われている。
なお、対辺同士が平行である場合、対辺間の間隔を両辺間に引いた垂線の長さで定義することもできる。偏平化した六角形断面11,12において、3組の対辺(辺13と辺16、辺14と辺17、辺15と辺18)がいずれも互いに平行であるとすれば、上下の対辺間の間隔(辺13と辺16に引いた垂線の長さ)は左右の2組の対辺間の間隔(辺14と辺17、辺15と辺18に引いた垂線の長さ)より広いということができる。
図6(b)の八角形断面21,22は、左右の辺25,29のみを縦方向に伸ばす形態で偏平化したものであり、全ての稜角が135度に保たれている。
なお、図5を参照して偏平化した六角形断面11,12について説明したこと(段落0021〜0024参照)は、八角形断面21,22においても適用される。
2 バンパービーム
3 クラッシュボックス
9 フランジ
10 変形促進エンボス
11,12 略8の字型断面形状を構成する六角形断面
21,22 略8の字型断面形状を構成する八角形断面
Claims (3)
- 軸方向に衝突荷重を受けて変形し車両の衝突エネルギーを吸収するバンパーシステムであって、車両左右方向を押出方向とするアルミニウム合金押出中空形材からなるバンパービームと、車両前後方向を押出方向とするアルミニウム合金押出中空形材からなり、前記バンパービームを支持する左右のクラッシュボックスにより構成され、前記クラッシュボックスは、車両縦方向に偏平化した2つの略六角形断面が互いにその一辺を共有して縦方向に重なり一体化された略8の字型の断面形状を有することを特徴とする車両のバンパーシステム。
- 前記クラッシュボックスの後端に、サイドメンバーの前端部に結合されるフランジが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載された車両のバンパーシステム。
- 前記クラッシュボックスは、その壁部に押出方向に対して略直交方向に初期荷重低下のための変形促進エンボスを有することを特徴とする請求項1又は2に記載された車両のバンパーシステム。
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