JP5084110B2 - リチウム二次電池及びその製造方法 - Google Patents
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Description
上記式において、3.6は容量(mAh)を電気量(C:クーロン)に換算するための値であり、96500はファラデー定数であり、6.94はリチウムの原子量である。なお、1mAhは1.0×10-3Aで1時間電流を流した場合の電気量であり、1C(クーロン)は、1Aで1秒間電流を流した場合の電気量である。従って、1mAh=3.6C(クーロン)となる。
LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiAs
F6、LiClO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。
どの無機固体電解質であってもよい。
た、この他にも、リチウムを電気化学的に挿入、脱離する物質であれば、制限なく用いることができる。
〔負極の作製〕
耐熱性圧延銅合金箔の表面上に、電解法により銅を析出させて表面を粗面化させた銅合金箔(算術平均粗さRa:0.25μm、厚み:25μm)を集電体として用いた。この集電体の上に、表2に示す条件で非晶質シリコン薄膜を堆積し、電極を作製した。ここでは、スパッタリング用の電力として直流パルスを供給しているが、直流や高周波でも同様の条件でスパッタリングが可能である。なお、表2において、流量の単位であるsccmは、standard cubic centimeter per minutesである。
プロピレンカーボネート(PC)と、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比9:1で混合した溶媒に、LiPF6を1モル/リットルとなるように溶解し、電解液Aを作製した。
電解液A100重量部に対し、ビニレンカーボネート(VC)を2重量部となるように添加し、電解液Bを作製した。
リチウムを含有していない状態における負極の総容量を測定した。具体的には、上記負極を作用極として用い、リチウム金属を対極及び参照極として用いた三電極式セルを作製し、1mA/cm2の電流密度で0V(vs.Li/Li+)の電位まで充電を行い、1サイクル目の充電容量を求め、これを負極の総容量とした。この結果、負極の総容量として5.0mAh/cm2の値が得られた。電解液としては、電解液A及び電解液Bのいずれ
を用いた場合にも同様であった。
出発原料として、Li2CO3及びCoCO3を用いて、Li:Coの原子比が1:1と
なるように秤量して乳鉢で混合し、これを直径17mmの金型でプレスし、加圧成形した後、空気中において、800℃で24時間焼成し、LiCoO2の焼成体を得た。これを
乳鉢で粉砕し、平均粒子径20μmに調製した。
着剤としてのポリフッ化ビニリデン5重量部を含む5重量%のN−メチルピロリドン溶液に混合し、正極合剤スラリーとした。
上記正極を用い、三電極式セルを作製して、正極の総容量を求めた。具体的には、1mA/cm2の電流密度で2.75V〜4.3V(vs.Li/Li+)の電位範囲で充放電を行い、1サイクル目の放電容量を求め、正極の総容量とした。正極の総容量として、2.6mAh/cm2の値が得られた。電解液A及び電解液Bのいずれを用いた場合にも同
様の値であった。
上記負極を作用極、金属リチウムを対極及び参照極とし、電解液Aを用いた三電極式セルを作製し、5つの負極に、それぞれ充電容量0.88mAh(0.14mAh/cm2
)、2.36mAh(0.38mAh/cm2)、3.83mAh(0.61mAh/c
m2)、6.25mAh(1.0mAh/cm2)、及び12.5mAh(1.6mAh/cm2)となるように、充電して各負極にリチウムをプリドープした。これらの電極を電
極a1〜a5とした。これらのプリドープした電極は、それぞれ電池A1〜A5及び電池B1〜B5用として2つずつ作製した。
(実施例1〜4及び比較例1〜2)
上記電極a0〜a5と、上記正極と、上記電解液Aを用いてリチウムを作製した。具体的には、正極と負極の間に多孔質ポリエチレンからなるセパレーターを挟んで電極群とし、この電極群をアルミネートラミネートからなる電池外装体内に挿入した。次に、上記電解液Aを500μl注入し、電池A0〜A5を作製した。なお、これらの電池の設計容量は、10.4mAhである。
電解液Bを用いる以外には上記と同様にして、電池B0〜B5を作製した。
上記電池A0〜A5及びB0〜B5について、充放電サイクル特性を評価した。各電池を25℃において、電流値10.4mAで4.2Vまで充電した後、電流値10.4mAで2.75Vまで放電し、これを1サイクルの充放電とした。1サイクル目の充電容量及び放電容量を表3に示す。また、1サイクル目の充電容量及び放電容量と、三電極式セルでプリドープした容量から、残存Li量を算出し、表3に示した。また、残存Li量から以下の式によりLi割合を算出した。Li割合は、放電終止状態における負極活物質の総容量に対するリチウム残存割合である。
また、上記の充放電サイクル条件で50サイクルの充放電を行い、50サイクル目の放電容量及び容量維持率を求め、表3に示した。なお、容量維持率は以下の式で算出した。
の放電容量(mAh/cm2)〕+プリドープした容量(mAh/cm2)
表3及び表4から明らかなように、Li割合が8%以上になることにより、50サイクル目における放電容量及び容量維持率が高くなっており、放電容量及びサイクル特性が向上することがわかる。また、Li割合が20%以上になることにより、さらに放電容量及びサイクル特性が向上することがわかる。
〔負極の作製〕
表5に示す条件で非晶質シリコン薄膜を堆積して電極を作製する以外は、実験1と同様にして負極を作製した。
実験1と同様にして正極を作製した。
(実施例9)
図2は、上記正極及び負極を示す平面図である。図2(a)は正極の表面、図2(b)は正極の裏面、図2(c)は負極の表面、図2(d)は負極の裏面をそれぞれ示している。
巻取り体において、金属リチウムを挿入しない以外は、上記と同様にして電池C2を作製した。
上記電池C1及びC2について、充放電サイクル特性を評価した。各電池を25℃において電流値274mAで4.2Vまで充電した後、4.2Vで電流値13.7mAに至るまで定電圧充電を行った。その後274mAで電池電圧2.75Vまで放電し、これを1サイクルの充放電とした。この条件で40サイクルまで充放電し、各電池について以下の式に定義される容量維持率を算出した。
なお、1サイクル目における充電容量、放電容量、残存Li量及びLi割合は、実験1と同様にして算出した。結果を表6に示す。
(実施例10)
実験2と同様にして、図1に示す巻き取った電極を作製し、図1の参照番号6の箇所に金属リチウムを42mg貼り付ける以外は実施例9と同様にして電池を作製した。
実施例10において、図1の参照番号5の箇所に金属リチウムを30mg、参照番号6の箇所に金属リチウムを12mg貼り付ける以外は同様にして電池を作製した。
実施例10において、図1の参照番号5の箇所に金属リチウムを20mg、参照番号6の箇所に金属リチウムを12mg、参照番号9の箇所に金属リチウムを10mgを貼り付ける以外は同様にして電池を作製した。
実施例11:9.5mg
実施例12:7mg
以上の結果から、金属リチウムを1箇所に貼り付けるよりも、複数箇所に分けて貼り付けた方が、金属リチウムの溶解速度が速くなり、負極活物質により速くリチウムを吸蔵させ得ることがわかる。従って、金属リチウムを複数箇所に分けて貼り付けることにより、エージング工程の時間を短縮することができる。
放電容量2.6mAh/cm2の正極、及び放電容量3.0mAh/cm2の負極を用い、以下のようにして金属リチウム20mgを貼り付けて、実施例9と同様にして電池を作製した。
本実施例では、図1の参照番号6の箇所にのみ金属リチウムを20mg貼り付けた。
本実施例では、図1の参照番号5の箇所に金属リチウムを10mg、参照番号6の箇所に金属リチウムを10mg貼り付けた。
図3は、実験2と同様に負極と正極をセパレーターを介して重ね合わせ巻回した電極群を示している。図3に示す実施例においては、負極2の外周端部に銅箔16を電気的に接続して取り付けている。このように取り付けた銅箔16に金属リチウム15を取り付けることにより、金属リチウムの取り付け工程を簡易なものにすることができる。従って、電池作製の歩留りも向上させることができる。
2…負極活物質
3…集電体
4…セパレーター
5〜10…金属リチウム
11…正極集電体
11a〜11d…正極活物質が塗布されていない領域
12…正極タブ
13…負極集電体
14…負極タブ
15…金属リチウム
16…銅箔
Claims (12)
- 負極活物質及び負極集電体を有する負極と、正極と、非水電解質とを備えるリチウム二次電池であって、
前記負極活物質として、充電の際にリチウムと合金化することにより体積が増加する材料が用いられ、前記負極活物質が前記負極集電体の上に直接接するように設けられることにより前記負極が構成されており、
前記負極が、前記負極集電体上に気相または液相から前記負極活物質の薄膜を堆積させて形成した電極であって、該薄膜の厚み方向に形成された切れ目によって該薄膜が柱状に分離されており、かつ該柱状部分の底部が前記負極集電体と密着しており、
前記負極活物質のリチウムを含有しない状態における総容量の8%以上のリチウムが放電終止状態において前記負極活物質内に含まれており、
前記放電終止状態における前記負極活物質内の8%以上のリチウムが、充放電前に前記負極活物質にリチウムをプリドープすることによりもたらされていることを特徴とするリチウム二次電池。 - 前記負極活物質が非晶質または微結晶薄膜であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記薄膜がシリコン薄膜またはシリコン合金薄膜であることを特徴とする請求項2に記載のリチウム二次電池。
- 前記負極活物質がシリコン合金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池を製造する方法であって、
電池組立前の前記負極、前記正極、前記非水電解質、及びこれらを収納する電池外装体を準備する工程と、
前記放電終止状態において前記8%以上のリチウムが前記負極活物質内に含まれるよう
に、充放電前に前記負極活物質にリチウムをプリドープする工程と、
前記リチウムをプリドープした負極、前記正極、前記非水電解質、及び前記電池外装体からリチウム二次電池を完成させる工程とを備えることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。 - 前記プリドープの工程が、電気化学的にリチウムを前記負極活物質にプリドープする工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- 前記プリドープの工程が、前記電池外装体内に前記負極及び前記正極を配置し、かつ前記負極の一部に金属リチウムを接触させた状態で、前記非水電解質を前記電池外装体内に導入し、前記金属リチウムから前記負極活物質にリチウムをプリドープする工程を含むことを特徴とする請求項5または6に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- 前記金属リチウムを接触させる前記負極の領域が、前記正極の正極活物質と対向しない前記負極活物質または前記負極集電体の領域であることを特徴とする請求項7に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- 前記負極と前記正極がセパレーターを介して重ね合わせ巻回された状態で前記電池外装体内に収納されており、該巻回状態の負極の最内周部と最外周部に前記金属リチウムが貼り付けられていることを特徴とする請求項7または8に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- 前記金属リチウムが複数箇所に分けて貼り付けられていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- 前記負極の外周端部に金属箔を取り付け、該金属箔上に前記金属リチウムを貼り付けることを特徴とする請求項9または10に記載のリチウム二次電池の製造方法。
- 前記負極活物質または前記負極集電体の上に前記金属リチウムを予め貼り付けた電極を、前記負極として用いることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載のリチウム二次電池の製造方法。
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