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JP5079310B2 - ソルダーレジスト露光用フォトツール及びそれを用いて露光処理されるソルダーレジストパターンの形成方法 - Google Patents

ソルダーレジスト露光用フォトツール及びそれを用いて露光処理されるソルダーレジストパターンの形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、プリント配線板のソルダーレジストパターン形成時における露光処理技術に関するものであり、特にソルダーレジスト露光用フォトツールと、該フォトツールを用いて露光処理されるソルダーレジストパターンの形成方法、並びにそれに好適な感光性組成物に関するものである。
プリント配線板の最外層には、ソルダーレジスト層が形成されている。従来、ソルダーレジスト層は配線回路が形成された基材に感光性組成物ペーストを塗布し、所定のパターンに合わせてフォトマスクを介して露光を行い、現像し、露光光の照射部分を硬化させるという工程によって形成されている。プリント配線板の製造時における露光処理においては、高価なフォトマスクを傷やレジストとの貼り付きから保護する目的でフォトマスクのレジスト面側に薄膜フィルムを張り合わせることが行われている。かかる保護フィルムとして一般には、感光性組成物に十分な紫外線量を照射することができるよう300nm以上の紫外線領域の光を90%以上透過することができるPETフィルム等の熱可塑性フィルムが多く使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、PET素材からなる保護マスクを使用した場合、吸湿による影響を受けやすく寸法安定性に劣るという問題点のあることに加え、着色系で厚膜(〜100μm程度)硬化が必要なプリント配線板用ソルダーレジストにおいては、紫外線領域である300〜400nmに大きな吸収のあるフタロシアニンブルーといった顔料が使用されているため、せっかくフォトマスクを透過した300〜400nmの光が有効に寄与されず、細線や厚膜ではハレーションやアンダーカットを生じやすく解像性に問題があった。
また、被加工基材である回路形成された基板の回路厚が25μm〜105μmと大きく異なり、レジストの膜厚が場所によって大きく異なる。よって、同一のレジストで同じようなレジスト形状を得ることが難しかった。これに対応するため生産現場では回路厚が高い場合、より深くの硬化深度を得るため、通常よりも高い露光量を照射していたが、そのような場合は表層部がハレーションしたり、ライン幅が設計値よりも太くなったり、ビア径が設計値よりも小さくなったりする不具合が多く発生するという問題が生じる。一方、低露光量のままでは硬化深度が充分得られず、アンダーカットが発生するという問題が生じる。従って、プリント配線板に用いられるレジストパターンとして、厚膜でかつ高精細なパターン形成を可能とする技術が求められている。
特開平9−230580号公報
本発明は、ソルダーレジスト層の膜厚や青色顔料の影響によらず、再現性よく高解像度のレジストパターン形成を可能とするソルダーレジストの露光処理用フォトツールを提供することを目的とする。本発明はまた、該フォトツールを用いて露光処理されるソルダーレジストパターンの形成方法、並びに該形成方法に好適な感光性組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、380nm以下の紫外線光を透過しないため本来であればソルダーレジスト用フォトマスクに貼付する保護フィルムとして適用され得ないポリエチレンナフタレートに着目し、本発明に関わるソルダーレジスト露光処理技術、すなわちソルダーレジスト露光用フォトツール、該フォトツールを用いたレジストパターンの形成方法、並びに該形成方法に好適な感光性組成物を開発したものである。
すなわち、本発明により、ソルダーレジストのパターン形成における露光処理に用いられ、フォトマスクを具備するフォトツールにおいて、該フォトマスクのレジスト面側に370nm以下の光を50%以上カットし且つ400nm以上の光を80%以上透過する保護フィルムを具備することを特徴とするフォトツールが提供される。
本発明の一態様において、前記保護フィルムは熱可塑性フィルム(例えば、ポリエチレンナフタレートフィルム)であり得、この場合において該熱可塑性フィルムは紫外線吸収剤を含有し得る。あるいは、前記保護フィルムは紫外線吸収層を有し得る。
更に、本発明により、アルカリ現像可能な感光性組成物を基板上に塗布し、上記フォトツールを介して選択的に紫外線を該塗膜に照射し、未露光部分を現像してパターン形成した後、加熱により熱硬化させて硬化塗膜を得ることを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法が提供される。
また、本発明により、アルカリ現像可能な感光性組成物をフィルムに塗布、乾燥してなるドライフィルムを基板上にラミネートし、得られた塗膜に対し、上記フォトツールを介して選択的に紫外線を照射し、未露光部分を現像してパターン形成した後、加熱により熱硬化させて硬化塗膜を得ることを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法が提供される。
本発明の一態様において、上記感光性組成物は、該感光性組成物の乾燥塗膜の波長405nmにおける吸光度が膜厚25μmあたり0.2〜1.2の感光性組成物であり得る。
また、上記感光性組成物は、後掲の一般式(I)で表される構造部分を含むオキシムエステル系光重合開始剤、一般式(II)で表される構造部分を含むα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、一般式(III)で表される構造部分を含むアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、及び一般式(IV)で表されるチタノセン系光重合開始剤からなる群から選択される1種又は2種以上の光重合開始剤を含有し得る。
更に、上記一般式(I)で表される構造部分を含むオキシムエステル系光重合開始剤は、後掲の式(I−1)で表わされる化合物、あるいは後掲の一般式(I−2)で表わされる化合物であり得る。
また、上記感光性組成物は、増感剤としてジエチルチオキサントン、ジエチルアミノベンゾフェノン及びクマリン類から選択される少なくとも1種、あるいは熱硬化性成分、あるいはフタロシアニンブルー系顔料を含み得、該熱硬化性成分は、分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基を有する熱硬化性成分であり得る。
また、本発明の一態様において、上記硬化塗膜は緑色もしくは青色であり得る。
更に、本発明により、上記ソルダーレジストパターンの形成方法により得られる硬化塗膜が提供される。
また、本発明により、上記ソルダーレジストパターンの形成方法により得られる硬化塗膜を具備するプリント配線板が提供される。
プリント配線板の製造時におけるソルダーレジスト層のパターニングにおいて、本発明のフォトツールを用いることにより、フタロシアニンブルー系顔料の紫外線光吸収による影響を受けることなく、厚膜且つ高精細なソルダーレジストパターンを具備するプリント配線板の提供が可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のソルダーレジスト露光用フォトツールは、ソルダーレジストパターン形成における露光工程において用いられる、フォトマスクを構成部材として有するフォトツールであり、フォトマスクのレジスト面側に特定の光吸収特性を有するフィルムを具備することを特徴とする。そして、かかる特定の光吸収特性を有するフィルムとしては、紫外線のうち370nm以下の光を50%以上カットし且つ400nm以上の光を80%以上透過させる機能を有するフィルムが使用される。かかるフィルムをフォトマスクに貼付した場合、高圧水銀灯を用いた露光では365nmの光が大幅にカットされ感度として低くなることが容易に予想されることから、ソルダーレジスト露光用フォトマスクに貼付するPET保護フィルムに替えそのような光吸収特性を有する保護フィルムを使用するという発想は、常識的には起こり得ないのであるが、乾燥塗膜の波長405nmにおける吸光度が、膜厚25μmあたり0.2〜1.2であるアルカリ現像可能な感光性組成物に対しては、厚膜で且つ高解像度のレジストパターンを形成できることが本発明者等により見出されたものである。
なお、本発明において「乾燥塗膜の波長405nmにおける吸光度が、膜厚25μmあたり0.2〜1.2である」とは、後掲の実施例において詳述するが、感光性組成物ペーストを塗布・乾燥して得られる塗膜の膜厚と、各膜厚における波長405nmにおける吸光度のグラフを作成し、その近似式から膜厚25μmの乾燥塗膜の吸光度を算出して得られる吸光度が、0.2〜1.2の範囲にあることを意味する。
本発明において用い得る保護フィルムとしては、上記光吸収特性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば熱可塑性フィルムを用いることができるが、なかでもポリエチレンナフタレートフィルムは上記光吸収特性を満たし本発明のフォトツールにおいて好適に用いられる。また、熱可塑性フィルム自体が上記光吸収特性を満たさない場合には、更に紫外線吸収剤含有層をラミネートすることにより上記光吸収特性を満たすよう施されたラミネートフィルムとして用いてもよい。更には、フィルム自体に紫外線吸収剤を含有させたものを用いてもよい。
本発明のフォトツールを用いてレジストパターンの露光処理が行われれば、ここで用いられる感光性組成物がフタロシアニンブルー系顔料を多く含有するものであっても、該フタロシアニンブルーによる紫外線吸収の影響を受けることなく、厚膜で高解像度のレジストパターンを形成することが可能となる。
以下に、本発明のフォトツールを用いて露光処理されるソルダーレジストパターンの形成方法において好適に用いられる感光性組成物について説明する。
本発明のソルダーレジストパターンの形成方法において好適に用いられる感光性組成物は、その乾燥塗膜の波長405nmにおける吸光度が、膜厚25μmあたり0.2〜1.2、より好ましくは0.3〜0.8であるアルカリ現像可能な光硬化性、又は光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物であり、(A)カルボン酸含有樹脂、(B)一般式(I)で表される構造部分を含むオキシムエステル系光重合開始剤、一般式(II)で表される構造部分を含むα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、一般式(III)で表される構造部分を含むアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、及び一般式(IV)で表されるチタノセン系光重合開始剤からなる群から選択される1種又は2種以上の光重合開始剤、(C)分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、(D)熱硬化性成分、(E)フタロシアニンブルー系顔料及び(F)ジエチルチオキサントン、ジエチルアミノベンゾフェノン及びクマリン類から選択される1種又は2種以上の増感剤を含有し得る。特に、光重合開始剤(B)及び青色顔料(E)を適宜選択することにより、その乾燥塗膜の波長405nmにおける吸光度を、膜厚25μmあたり0.2〜1.2、より好ましくは0.3〜0.8に調整することが可能である。波長405nmにおける吸光度が25μmあたり0.2よりも低い場合、感度の低下が防止できず、一方1.2よりも大きい場合はアンダーカットが発生し高精細なパターンを得ることが困難となる。
上述したように、一般に高圧水銀灯を用いた露光では365nm、405nm、433nmといった波長の光が使用されるが、本発明のフォトツールを介した露光処理では365nmの光がカットされてしまい、感度として低くなってしまう。しかしながら、その塗膜の波長405nmにおける吸光度が、膜厚25μmあたり0.2〜1.2であり特定の光重合開始剤を使用したアルカリ現像可能な感光性組成物は、405nmの単独な光に対して高感度であり、従来の365nm、405nm、433nm等の複合光線で露光する市販の組成物とほとんど変わらない感度を与えることがわかった。
以下、各構成成分について詳細に説明する。
本発明の感光性組成物に含まれるカルボン酸含有樹脂(A)としては、分子中にカルボキシル基を含有している公知慣用の樹脂化合物が使用できる。更に分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボン酸含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面からより好ましい。
具体的には、下記に列挙するような樹脂が挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上とを共重合することにより得られるカルボン酸含有樹脂、
(2)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物の1種類以上との共重合体に、グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物や(メタ)アクリル酸クロライドなどによって、エチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(3)グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸を反応させ、生成した二級の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(4)無水マレイン酸などの不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の不飽和二重結合を有する化合物との共重合体に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(5)多官能エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した水酸基に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(6)ポリビニルアルコー誘導体などの水酸基含有ポリマーに、飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させた後、生成したカルボン酸に一分子中にエポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られる水酸基含有のカルボン酸含有感光性樹脂、
(7)多官能エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸と、一分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と、エポキシ基と反応するアルコール性水酸基以外の1個の反応性基を有する化合物(例えば、ジメチロールプロピオン酸など)との反応生成物に、飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、
(8)一分子中に少なくとも2個のオキセタン環を有する多官能オキセタン化合物に(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸を反応させ、得られた変性オキセタン樹脂中の第一級水酸基に対して飽和又は不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂、及び
(9)多官能エポキシ樹脂(例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など)に不飽和モノカルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸など)を反応させた後、多塩基酸無水物(例えば、テトラヒドロフタル酸無水物など)を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂に、更に、分子中に1個のオキシラン環と1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど)を反応させて得られるカルボン酸含有感光性樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものでは無い。
これらの例示の中で好ましいものとしては、上記(2)、(5)、(7)、(9)のカルボン酸含有感光性樹脂であり、特に上記(9)のカルボン酸含有感光性樹脂が、光硬化性、硬化塗膜特性の面から好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
上記のようなカルボン酸含有樹脂(A)は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数の遊離のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、上記カルボン酸含有樹脂(A)の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲であり、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボン酸含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
また、上記カルボン酸含有樹脂(A)の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。
このようなカルボン酸含有樹脂(A)及び/又はカルボン酸含有感光性樹脂(A’)の配合量は、全組成物中に、20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%である。上記範囲より少ない場合、塗膜強度が低下したりするので好ましくない。一方、上記範囲より多い場合、粘性が高くなったり、塗布性等が低下するので好ましくない。
本発明の感光性組成物に含まれる光重合開始剤(B)としては、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、アミノアセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルケタール系、アシルホスフィンオキシド系、オキシムエーテル系、オキシムエステル系、チタノセン系などの公知慣用のラジカル光重合開始剤が挙げられるが、下記一般式(I)で表される構造部分を含むオキシムエステル系光重合開始剤、下記一般式(II)で表される構造部分を含むα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、下記一般式(III)で表される構造部分を含むアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、及び下記一般式(IV)で表されるチタノセン系光重合開始剤からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましい。
Figure 0005079310
式中、Rは、水素原子、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい。)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい。)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい。)を表わす。Rは、フェニル基(炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい。)、炭素数1〜20のアルキル基(1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい。)、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルカノイル基又はベンゾイル基(炭素数が1〜6のアルキル基若しくはフェニル基で置換されていてもよい。)を表わす。R、Rは、各々独立に、炭素数1〜12のアルキル基又はアリールアルキル基を表わし、R、Rは、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表わし、あるいは2つが結合して環状アルキルエーテル基を形成してもよい。R、Rは、各々独立に、炭素数1〜10のアルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アリール基、又はハロゲン原子、アルキル基もしくはアルコキシ基で置換されたアリール基、又は炭素数1〜20のカルボニル基(但し、双方が炭素数1〜20のカルボニル基である場合を除く。)を表わす。R、R10は、各々独立に、ハロゲン原子、アリール基、ハロゲン化アリール基、複素環含有ハロゲン化アリール基を表わす。
前記一般式(I)で表される構造部分を含むオキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、下記式(I−1)で表される化合物、2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、及び下記一般式(I−2)で表わされる化合物などが挙げられる。
Figure 0005079310
Figure 0005079310
式(I−2)中、R11は、一般式(I)におけるRと同義であり、R12およびR14は、それぞれ独立に、一般式(I)におけるRと同義である。R13は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基(アルコキシル基を構成するアルキル基の炭素数が2以上の場合、アルキル基は1個以上の水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有してもよい)又はフェノキシカルボン基を表す。
これらの中で、上記式(I−1)で表される化合物、2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、及び一般式(I−2)で表わされる化合物が特に好ましい。上記化合物の市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のCGI−325、イルガキュアー OXE01、イルガキュアー OXE02が挙げられる。
前記一般式(II)で表される構造部分を含むα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などが挙げられる。
前記一般式(III)で表される構造部分を含むアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、BASF社製のルシリンTPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアー819などが挙げられる。
前記一般式(IV)で表されるチタノセン系光重合開始剤としては、ビス(η−2、4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2、6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアー784などが挙げられる。
このような光重合重合開始剤(B)の配合率は、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜30質量部、好ましくは0.5〜15質量部の割合である。光重合開始剤(B)の配合率が、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対し0.01質量部未満であると、銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離したり、耐薬品性等の塗膜特性が低下するので、好ましくない。一方、光重合開始剤(B)の配合率が、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対し30質量部を超えると、光重合開始剤(B)の光吸収により、深部硬化性が低下するので、好ましくない。
尚、前記式(I−1)で表されるオキシムエステル系光重合開始剤の場合、その配合率は、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.01〜5質量部の割合である。このようなオキシムエステル系光重合開始剤を使用する場合、銅箔との界面で銅原子と反応し、光重合開始剤としての機能が失活する場合があるため、前記α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤などと併用することが好ましい。
本発明において用いられる感光性組成物に含有され得る分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(C)は、紫外線照射により、光硬化して、前記カルボン酸含有樹脂(A)を、アルカリ水溶液に不溶化、又は不溶化を助けるものである。このような化合物としては、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;及びメラミンアクリレート、及び/又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類などが挙げられる。
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などが、挙げられる。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
このような分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(C)の配合率は、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは5〜100質量部、より好ましくは、1〜70質量部の割合である。前記配合率が、5質量部未満の場合、光硬化性が低下し、紫外線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となるので、好ましくない。一方、100質量部を超えた場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下したり、塗膜が脆くなるので、好ましくない。
本発明に用いられ得る熱硬化性成分(D)としては、メラミン樹脂、ベンゾクアナミン樹脂などのアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。これらの中で、多官能エポキシ化合物(D−1)、多官能オキセタン化合物(D−2)、エピスルフィド樹脂などの分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基を有する熱硬化性成分(以下、環状(チオ)エーテル化合物と略す。)が特に、好ましい。
前記多官能性エポキシ化合物(D−1)としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のエピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、大日本インキ化学工業社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社のアラルダイド6071、アラルダイド6084、アラルダイドGY250、アラルダイドGY260、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコートYL903、大日本インキ化学工業社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイド8011、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコート152、エピコート154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、大日本インキ化学工業社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドECN1235、アラルダイドECN1273、アラルダイドECN1299、アラルダイドXPY307、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製のエピクロン830、ジャパンエポキシレジン社製エピコート807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドXPY306等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコート604、東都化成社製のエポトートYH−434、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドMY720、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドCY−350(商品名)等のヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドCY175、CY179等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、旭電化工業社製EPX−30、大日本インキ化学工業社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコート157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のエピコートYL−931、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイド163等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のアラルダイドPT810、日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄化学社製ESN−190、ESN−360、大日本インキ化学工業社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;大日本インキ化学工業社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はそれらの混合物が好ましい。
前記多官能オキセタン化合物(D−2)としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
前記分子中に2個以上の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000などが挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
このような環状(チオ)エーテル化合物の配合率は、前記エチレン性不飽和基含有カルボン酸含有樹脂のカルボキシル基1当量に対して、環状(チオ)エーテル基が0.6〜3.0当量、好ましくは、0.8〜2.5当量となる範囲である。環状(チオ)エーテル化合物の配合量が、上記範囲より少ない場合、カルボキシル基が残り、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性などが低下するので、好ましくない。一方、上記範囲を超えた場合、低分子量の環状(チオ)エーテル基が残存することにより、塗膜の強度などが低下するので、好ましくない。
上記環状(チオ)エーテル化合物を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ヒドラジド、セバシン酸ヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物など、また市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)などがある。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、密着性付与剤としても機能するグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を前記熱硬化触媒と併用する。
熱硬化触媒の配合率は通常用いられる割合であればよく、例えばカルボン酸含有樹脂(A)または熱硬化性成分(D)100質量部に対して、0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜15.0質量部の割合で用いることができる。
本発明のレジストパターン形成方法に用いられる感光性組成物にフタロシアニンブルー系顔料(E)が含有されることは重要である。405nmの単独な光に対してフタロシアニンブルー系顔料(E)を添加したものの方が、より低露光量で光沢感度が得られることが本発明者等により見出された。このフタロシアニンブルー系顔料の増感効果の理由は、明らかでないが、例えば膜厚25μm当たりの吸光度が0.2未満の樹脂組成物に、フタロシアニンブルーを添加し、吸光度を0.2以上にするだけで十分な表面硬化性と硬化深度が同時に低露光量で得られる。また、この増感効果は、表面の反応性(光沢改善)に効果があり、硬化深度は逆に悪くなる。すなわち、露光光を反射するような働きをする。この働きはレジストの形状の安定化にも有効である。
例えば、レジストパターンの断面形状を見た場合、フタロシアニンブルーを含まず、吸光度が0.2よりも低い場合は、レジストの断面形状は底部が大きく広がった形状であり、また、塗膜表面部の光沢もない状況にある。また、フタロシアニンブルーを含まず、吸光度が1.2超の場合は、表層部が大きく広がり底部は細くなる状況がある。しかし、吸光度が0.2〜1.2の範囲内で、上述した光重合開始剤(B)、及びフタロシアニン系顔料(E)を含有する場合、レジスト膜厚が5〜100μmの範囲内で、フォトマスクのネガ寸法とほぼ同じ寸法の底部を有するレジスト形状が得られ且つ表面の光沢が得られることを見出した。
このようなフタロシアニン系顔料(E)の適正な添加量は、乾燥塗膜の405nmの波長における吸光度が、25μm当たり0.2〜1.2となる範囲であれば任意に添加することができるが、例えば、カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲で添加することができる。
フタロシアニン系顔料(E)としては、α型銅フタロシアニン・ブルー、α型モノクロル銅フタロシアニン・ブルー、β型銅フタロシアニン・ブルー、ε型銅フタロシアニン・ブルー、コバルトフタロシアニン・ブルー、メタルフリーフタロシアニン・ブルーなどが挙げられる。
本発明において好適に用いられる感光性組成物は、上述した光重合開始剤以外にも他の光重合開始剤、光開始助剤および増感剤を含有し得、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、キサントン化合物、および3級アミン化合物等を挙げることができる。
ベンゾイン化合物の具体例を挙げると、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルである。
アセトフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンである。
アントラキノン化合物の具体例を挙げると、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンである。
チオキサントン化合物の具体例を挙げると、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンである。
ケタール化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールである。
ベンゾフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドである。
3級アミン化合物の具体例を挙げると、例えば、エタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達社製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)等のジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアーEPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬社製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)である。
上記した中でも、チオキサントン化合物および3級アミン化合物が好ましい。本発明の組成物には、チオキサントン化合物が含まれることが深部硬化性の面から好ましく、中でも、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物が好ましい。
このようなチオキサントン化合物の配合率としては、上記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下の割合である。チオキサントン化合物の配合量が多すぎると、厚膜硬化性が低下して、製品のコストアップに繋がるので、好ましくない。
3級アミン化合物としては、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、最大吸収波長が350〜410nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物が特に好ましい。ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが、毒性も低く好ましい。最大吸収波長が350〜410nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物は、最大吸収波長が紫外線領域にあるため、着色が少なく、無色透明な感光性組成物はもとより、着色顔料を用い、着色顔料自体の色を反映した着色ソルダーレジスト膜を提供することが可能となる。特に、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オンが波長400〜410nmのレーザー光に対して優れた増感効果を示すことから好ましい。
このような3級アミン化合物の配合率としては、上記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部の割合である。3級アミン化合物の配合量が0.1質量部未満であると、十分な増感効果を得ることができない傾向にある。20質量部を超えると、3級アミン化合物による乾燥ソルダーレジスト塗膜の表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。
これらの光重合開始剤、光開始助剤および増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
このような光重合開始剤、光開始助剤、および増感剤の総量は、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して35質量部以下となる範囲であることが好ましい。35質量部を超えると、これらの光吸収により深部硬化性が低下する傾向にある。
本発明において用い得る感光性組成物には、塗膜の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。このようなフィラーとしては、公知慣用の無機又は有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカおよびタルクが好ましく用いられる。さらに、前述の分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(C)や前記多官能エポキシ樹脂(D−1)にナノシリカを分散したHanse−Chemie社製のNANOCRYL(商品名) XP 0396、XP 0596、XP 0733、XP 0746、XP 0765、XP 0768、XP 0953、XP 0954、XP 1045(何れも製品グレード名)や、Hanse−Chemie社製のNANOPOX(商品名) XP 0516、XP 0525、XP 0314(何れも製品グレード名)も使用できる。これらを単独で又は2種以上配合することができる。
これらフィラーの配合率は、前記カルボン酸含有樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは300質量部以下、より好ましくは0.1〜300質量部、さらに好ましくは、0.1〜150質量部の割合である。前記フィラーの配合率が、300質量部を超えた場合、組成物の粘度が高くなり印刷性が低下したり、硬化物が脆くなるので好ましくない。
さらに、本発明において使用し得る感光性組成物は、前記カルボン酸含有樹脂(A)の合成や組成物の調整のため、又は基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などである。
このような有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
また、本発明の感光性組成物は、解像性等に悪影響を与えない範囲内で、青色顔料以外の着色顔料を添加することができる。
本発明において使用し得る感光性組成物は、さらに必要に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
また、解像性等に悪影響を与えない範囲内で、フタロシアニンブルー系顔料以外の青色顔料や、青色顔料以外の着色顔料を添加することができる。
本発明において使用し得る感光性組成物は、例えば前記有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、回路形成した基板上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布し、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、タックフリーの塗膜を形成できる。また、上記組成物をキャリアフィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったドライフィルムを回路形成した基板上に張り合わせることにより、樹脂絶縁層を形成できる。その後、パターンを形成したフォトマスクを介して選択的に紫外線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば0.3〜3%炭酸ソーダ水溶液)により現像してレジストパターンが形成される。さらに、熱硬化性成分を含有している場合、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、前記カルボン酸含有樹脂(A)のカルボキシル基と、分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分(D)とが反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性に優れた硬化塗膜を形成することができる。
上記基板に用いる基材としては、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等を用いた高周波回路用銅張積層版等の材質を用いたもので全てのグレード(FR−4等)の銅張積層版、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
本発明において、感光性組成物を塗布した後に行なう揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブンなど(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用い乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行なうことができる。
上記紫外線照射に用いられる露光機としては、紫外線を発生する露光装置であればよく、その光源としては高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が好ましい。上記露光装置としては、例えば株式会社オーク製作所製HMW−680GW、株式会社アドテックエンジニアリング社製ADEX600Pなどがあり、本発明において使用することができる。
前記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法などがあり、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシドなどのアルカリ水溶液が使用できる。
以下に、実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。
合成例1
攪拌機、温度計、環流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−104S、軟化点92℃、エポキシ当量=220g/当量)660g、カルビトールアセテート 421.3g、及びソルベントナフサ 180.6gを仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。次に、一旦60℃まで冷却し、アクリル酸 216g、トリフェニルホスフィン 4.0g、メチルハイドロキノン1.3gを加えて、100℃で12時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応生成物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸 241.7gを仕込み、90℃に加熱し、6時間反応させた。これにより、不揮発分=65質量%、固形分酸価=77mgKOH/g、二重結合当量(不飽和基1モル当たりの樹脂のg重量)=400g/当量、重量平均分子量=7,000のカルボン酸含有感光性樹脂(A)の溶液を得た。以下、このカルボン酸含有感光性樹脂の溶液を、ワニスAと称す。
(感光性組成物No.1〜10の調製)
上記合成例1で得たワニスAを用い、表1に示す種々の成分とともに同表に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、ソルダーレジスト用の感光性組成物を調製した。ここで、得られた感光性組成物の分散度をエリクセン社製グラインドメータによる粒度測定にて評価したところいずれの試料も15μm以下であった。
Figure 0005079310
レジスト性能評価:
<吸光度>
吸光度の測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 Ubest−V−570DS)、及び積分球装置(日本分光株式会社製 ISN−470)を使用した。配合例1〜10の光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物をガラス板にアプリケーター塗布後、熱風循環式乾燥炉を用いて80℃,30分乾燥し、光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物の乾燥塗膜をガラス板上に作製した。紫外可視分光光度計及び積分球装置を用いて、光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物を塗布したガラス板と同一のガラス板で、500〜300nmにおける吸光度ベースラインを測定した。作製した乾燥塗膜付きガラス板の吸光度を測定し、ベースラインから乾燥塗膜の吸光度を算出でき、目的の光の波長405nmにおける吸光度を得た。塗布膜厚のずれによる吸光度のずれを防ぐため、この作業をアプリケーターによる塗布厚を4段階に変えて行い、塗布厚と405nmにおける吸光度のグラフを作成し、その近似式から膜厚25μmの乾燥塗膜の吸光度を算出して、それぞれの吸光度とした。
その吸光度の評価結果を表2に示す。
Figure 0005079310
<断面形状>
配合例1〜10の光硬化性・熱硬化性の樹脂組成物を、ライン/スペースが300/300μm、銅厚50μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してからスクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させる。乾燥後、高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて露光した。露光パターンは、スペース部に50/60/70/80/90/100μmのラインを描画させるパターンを使用した。露光量は、下記適正露光量評価によって得られた露光量とした。露光後、炭酸ナトリウム水溶液によって現像を行ってパターンを形成し、高圧水銀灯で1000mJ/cmの紫外線照射後、150℃,60分の熱硬化をすることにより硬化塗膜を得た。硬化塗膜の設計値100μmライン部のクロスセクションを観察した。
この断面形状を図1に記載した模式図のように、A〜Eの5段階に別けて評価した。図1中、評価A〜Eは、以下のような現象が発生した時の模式図を示す。特に、A評価の場合、設計値からのずれがライン上部、下部ともに5μm以内のものとした。その結果を表2に示す。ここで最も悪い評価はEである。
A評価:設計幅通りの理想状態
B評価:耐現像性不足等による表面層の食われ発生
C評価:アンダーカット状態
D評価:ハレーション等による線太り発生
E評価:表面層の線太りとアンダーカットが発生。
ここで、A評価に限らず、C評価、D評価もソルダーレジストとしては使用可能なレベルである。これに対し、B評価、E評価のものは、ライン、アンダーカット部が剥離しやすく、ソルダーレジストとしては使用が困難なレベルであり、特にE評価は使用不可能なレベルである。
<適正露光量>
配合例1〜10の感光性組成物を、評価基板の全面にスクリーン印刷により塗布した。その後、熱風循環式乾燥機で乾燥した後の塗膜に、50〜130μmのラインのネガパターンを形成したフォトマスクを、高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて露光した。その後、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間現像処理した。この時60μmの解像性が得られた最も少ない露光量を、適正露光量とした。
(例1:保護フィルムとしてPET系保護フィルムを使用/レジスト膜厚18μm)
銅厚20μmの回路パターンを使用したレジスト形成において、露光時にフォトマスク(ネガパターン)にポリエチレンテレフタレート系保護フィルム(タックウエル155)を貼り合わせたフォトツールを用い場合に得られたソルダーレジストパターンの断面形状の評価結果は表3の通りであった。このときのソルダーレジスト層の膜厚はいずれも18μmであった。
Figure 0005079310
(例2:保護フィルムとしてPEN系保護フィルムを使用/レジスト膜厚18μm)
保護フィルムとしてポリエチレンテレフタレート系フィルムに替えてポリエチレンナフタレートフィルムを使用した以外は例1と同様の試験を行った。得られたソルダーレジストパターンの断面形状の評価結果は表3と同じであった。また、フォトマスクは傷やレジストの付着もなくきれいな状態であった。
(例3:保護フィルムとしてPET系保護フィルムを使用/レジスト膜厚45μm)
銅厚50μmの回路パターンを使用したレジスト形成において、露光時にフォトマスク(ネガパターン)にポリエチレンテレフタレート系保護フィルム(タックウエル155)を貼り合わせたフォトツールを用い場合に得られたソルダーレジストパターンの断面形状の評価結果は表4の通りであった。このときのソルダーレジストの膜厚は45μmであった。
表4より、青色や緑色に着色されていない配合例8〜10については、レジストパターンの断面形状としては比較的良好なものの、青色や緑色に着色された配合例1〜7はアンダーカットや線太りが認められた。
Figure 0005079310
(例4:保護フィルムとしてPEN系保護フィルムを使用/レジスト膜厚45μm)
保護フィルムとしてポリエチレンテレフタレート系フィルムに替えてポリエチレンナフタレートフィルムを使用した以外は例3と同様の試験を行った。得られたソルダーレジストパターン(膜厚45μm)の断面形状の評価結果は表5の通りであった。また、フォトマスクは傷やレジストの付着もなくきれいな状態であった。
表5より、本発明のフォトツールを用いて露光処理した場合には、レジスト層の膜厚が45μmという厚膜においても、感光性組成物の吸光度が適切な範囲内にある場合にはアンダーカット等のない高精細なパターンを得られることがわかった。これは特に感光性樹脂が青色や緑色に着色されている場合に顕著であった。
Figure 0005079310
(例5:保護フィルムとしてPET製フォトマスク上に紫外線吸収処理したフィルムを設けてなるものを使用/レジスト膜厚45μm)
保護フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート製フォトマスク上に紫外線吸収処理したフィルムをラミネートすることにより、本発明の光吸収特性を有するよう調節されたラミネートフィルムに替えた以外は例3と同様の試験を行った。得られたソルダーレジストパターンの断面形状の評価結果は表5と同じで0あった。
以上より、405nmにおける吸光度が0.2〜1.2の範囲内の感光性組成物で370nm以下の光を50%以上カットし且つ400nm以上の光を80%以上透過するように調整された保護フィルムをフォトマスクに貼付してなる本発明のフォトツールを使用した工程はレジスト層の厚みによらず断面形状が優れたレジストパターンを与えることがわかった。
感光性組成物の硬化塗膜からなるパターンの断面形状を示す模式図。
符号の説明
1a・・・ライン幅の設計値
1b・・・露光・現像後の樹脂組成物
1c・・・基板

Claims (6)

  1. 乾燥塗膜の波長405nmにおける吸光度が膜厚25μmあたり0.2〜1.2であるアルカリ現像可能な感光性組成物からなるソルダーレジストのパターンの形成のための露光処理に用いられる、フォトマスクを具備するフォトツールであって、該フォトマスクのレジスト面側に波長が370nm以下の光を50%以上カットし且つ波長が400nm以上の光を80%以上透過する保護フィルムを具備することを特徴とするフォトツール。
  2. 前記保護フィルムが熱可塑性フィルムであり、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のフォトツール。
  3. 前記保護フィルムが紫外線吸収層を有する保護フィルムであることを特徴とする、請求項1に記載のフォトツール。
  4. 前記保護フィルムがポリエチレンナフタレートフィルムである請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトツール。
  5. アルカリ現像可能な前記感光性組成物を基板上に塗布し、またはアルカリ現像可能な前記感光性組成物をフィルムに塗布、乾燥してなるドライフィルムを基板上にラミネートし、得られた塗膜に対し、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトツールを介して選択的に紫外線を照射し、未露光部分を現像してパターン形成した後、加熱により熱硬化させて硬化塗膜を得ることを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法。
  6. 請求項5に記載のソルダーレジストパターンの形成方法により得られる、膜厚が5〜100μmの範囲内の硬化塗膜を具備するプリント配線板であって、前記硬化塗膜は、乾燥塗膜の波長405nmにおける吸光度が膜厚25μmあたり0.2〜1.2であるアルカリ現像可能な感光性組成物からなり、前記硬化塗膜のライン幅における前記フォトマスクのネガ寸法とのずれが、ライン幅の上部において5μm以内であるプリント配線板。
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