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JP5078241B2 - 発光素子を用いた発光装置および発光素子の駆動方法並びに照明器具 - Google Patents

発光素子を用いた発光装置および発光素子の駆動方法並びに照明器具 Download PDF

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JP5078241B2 JP2005229542A JP2005229542A JP5078241B2 JP 5078241 B2 JP5078241 B2 JP 5078241B2 JP 2005229542 A JP2005229542 A JP 2005229542A JP 2005229542 A JP2005229542 A JP 2005229542A JP 5078241 B2 JP5078241 B2 JP 5078241B2
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Description

本発明は、電流を流すことにより発光する発光素子を有する発光装置に関する。特に、輝度劣化の小さい発光素子を有する発光装置に関する。また、輝度劣化を小さくするための発光素子の駆動方法に関する。
近年、発光ダイオード(LED)や、発光性の有機化合物を用いた発光素子(有機発光ダイオード;OLED)のように、電流を流すことにより高輝度が得られる発光素子が注目を浴びている。
発光性の有機化合物を用いた発光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子およびホールがそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に輸送され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子およびホール)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。
なお、有機化合物が形成する励起状態の種類としては、一重項励起状態と三重項励起状態が可能であり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と呼ばれている。
このような発光素子は通常、サブミクロン〜数ミクロン程度の薄膜で形成されるため、薄型軽量に作製できることが大きな利点である。また、キャリアが注入されてから発光に至るまでの時間はマイクロ秒程度あるいはそれ以下であるため、非常に応答速度が速いことも特長の一つである。また、数ボルト〜数十ボルト程度の直流電圧で十分な発光が得られるため、消費電力も比較的少ない。これらの利点から、上述した発光素子は、次世代のフラットパネルディスプレイ素子として注目されている。
また、このような発光素子は、一対の電極および発光層を膜状に形成するため、大面積の素子を形成することにより、面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
ところで、上述したような電流を流すことにより発光する発光素子は、流す電流量によってその出力(輝度)が決まる。したがって、発光素子を発光させる際には、電流量を適切な値に設定することで、用途に適した輝度を設定することができる。なお、この時、電流密度に対する輝度の割合のことを電流効率と呼ぶ。
この電流効率が変化しなければ、ある一定の電流を流すことである一定の輝度が得られることになるが、現実的にはそうではない。通常の発光素子は、電流を流す(あるいは発光させる)ことで徐々に電流効率が低下していくため、ある一定の電流を流していても輝度は徐々に低下していくのである。特に、発光性の有機化合物を用いた発光素子においては、この輝度劣化は顕著に見られ、発光素子の発展の大きな妨げとなっている。
そのため、この分野の研究開発においては、一定電流を流し続けた時の輝度劣化(すなわち定電流駆動時の電流効率の低下)をなるべく抑制するために、材料やデバイス構造の改善が数多くなされてきた。その結果、現在では、輝度の半減期で数万時間に達する発光素子も開発されており、実用化レベルという見方も多い。なお、定電流駆動とは、発光素子の電極にある一定の電流密度で電流を流し続けることをいう。なお、電流密度とは、発光素子の電極の単位面積当たりの電流の強さを表す。
しかしながら、輝度の違い(あるいは輝度ムラ)は数%程度であっても認識されてしまうため、パーソナルコンピュータやテレビ等に用いるディスプレイ用途、あるいは照明用途のように、輝度劣化の小ささが要求される応用分野に対しては、まだ十分な信頼性を有しているとは言えない。特に照明などは高輝度が要求されるが、設定輝度を上げれば上げるほど輝度劣化も速くなってしまうという発光素子の現状を考えると、未だ実用化レベルには達していない。
この輝度劣化のメカニズムに関しては、未だ十分な議論はなされていないが、例えば、一定電流を流し続けた時の輝度劣化曲線(時間−輝度曲線)を拡張指数関数と呼ばれる関数でフィッティングし、輝度劣化のメカニズムについて考察しているものがある(非特許文献1参照。)。輝度劣化には複数の要因が複雑に混在しており、残念ながら根本的な解明には繋がっていないが、この関数自体はかなり精度よく輝度劣化曲線をフィッティングできる。
いずれにしても、上述したような輝度劣化、すなわち電流効率の低下は、基本的に有機材料の低い耐久性や有機薄膜の脆弱さに起因している部分が大きいと考えられ、材料やデバイス構造の改善だけでは不十分と言える。そこで、駆動方法の観点から輝度劣化を抑制する試みもなされている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1においては、逆バイアスを印加することにより輝度半減期を2倍程度にまで向上させているが、輝度劣化の発生自体を大きく抑制するには至っていない。
Masahiko Ishii、外1名、アプライド フィジクス レターズ、vol.80(18)、3430−3432(2002) 特開2003−323988号公報
そこで本発明では、駆動手段を工夫することにより、輝度劣化の小さい発光素子を有する発光装置を提供することを課題とする。また、発光素子の輝度劣化を小さくするための駆動方法を提供することを課題とする。
発光素子は上述したように、電流を流す(あるいは発光させる)ことで電流効率の低下を示すが、これは材料や素子構造に由来する回避しがたい現象である。したがって、輝度劣化を小さくするためには、電流効率が経時的に低下してしまう分を補正する形で経時的に電流量を増やしていけばよい。
しかしながら、電流量を増やしすぎてしまうと、輝度劣化を小さくするというよりもむしろ、逆に輝度の上昇を招いてしまう恐れがある。かといって、電流量の増加が小さすぎれば、輝度劣化を抑制することはできない。また、輝度劣化を抑制するための適切な電流量の増やし方は、発光素子の構成材料・構造によって大きく変わってくる。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、これらの困難を以下に示す手法により克服できることを見出した。すなわち本発明の構成は、陽極と陰極との間に発光層を有する発光素子と、前記発光素子に流れる電流の電流密度Jを下記式(1)に従って経時的に増加させる手段と、を有する発光装置である。
J = J0・exp[(k・t)β] ・・・(1)
(J0は前記発光素子における初期設定の電流密度、tは発光時間、kおよびβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。)
また、本発明の他の構成は、陽極と陰極との間に発光層を有する発光素子と、前記発光素子に流れる電流の電流密度Jを下記式(2)に従って経時的に増加させる手段と、を有する発光装置である。
J = J0・exp[(k’・∫Jdt)β] ・・・(2)
(J0は前記発光素子における初期設定の電流密度、tは発光時間、k’およびβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。また、∫は0からtまでの積分を表す。)
また、本発明の他の構成は、陽極と陰極との間に発光層を有する発光素子と、前記発光素子に流れる電流の電流密度の増加率γを下記式(3)に従って制御する手段と、を有する発光装置である。
γ = exp[{(γ+1)・k・t/2}β] ・・・(3)
(tは発光時間、kおよびβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。また、前記発光素子における初期設定の電流密度をJ0、前記発光素子に流れる電流密度をJとすると、γ=J/J0である。)
さらに本発明者は、0<n<100なるデューティー比nで駆動する発光素子に対し、下記式(4)で表される式に従って電圧上昇させていくことによって、電流量を経時的に適度に増加させ、輝度劣化を抑制できることを見出した。すなわち本発明の他の構成は、陽極と陰極との間に発光層を有する発光素子と、前記発光素子を0<n<100なるデューティー比nで駆動するための第1の手段と、前記発光素子の電圧Vを下記式(4)に従って増加させる第2の手段と、を有する発光装置である。なお、この時の前記発光素子に流れる電流量の増加率は、適切なデューティー比を選ぶことによって適切な率に設定することができる。
V = {J0/g(Q100)}1/f(t') ・・・(4)
(J0は前記発光素子における初期設定の電流密度を表す。また、f(t’)は保存時間t’を変数とする単調減少の関数である。また、g(Q)は前記発光素子に流れる単位面積あたりの総電荷量Qを変数とする単調減少の関数である。また、Q100は、デューティー比100、電流密度J0で前記発光素子を定電流駆動した場合に流れる単位面積あたりの総電荷量であり、前記発光素子の駆動時間をt’’とすると、Q100=J0・t’’で表される。)
この時、前記発光素子に対して、式(4)で表される電圧を印加する手法としては、前記発光素子と同一構造であるモニター素子をデューティー比=100、電流密度=J0で定電流駆動し、そのモニター素子の電圧をオペアンプにより前記発光素子に印加する手法が考えられる。したがって、前記第2の手段が、前記発光素子と同一構造であるモニター素子と、電流密度がJ0である一定電流を前記モニター素子に供給するための定電流源と、前記モニター素子に印加される電圧を前記発光素子に印加するためのオペアンプと、を有する発光装置も本発明に含むものとする。なお、モニター素子は、発光素子に対応して、当該発光素子の電圧Vを式(4)に従って増加させることができるのであれば、発光素子と同一構造でなくてもよい。
なお、発光性の有機化合物を用いた発光素子は、電流効率の低下が比較的顕著であるため、本発明の構成は特に、発光性の有機化合物を用いた発光素子に対して有用である。発光性の有機化合物としては、燐光物質が好ましい。
さらに、本発明の発光装置は、高輝度・長寿命が要求される照明器具などの用途に好適である。
以上で述べた本発明の主旨によれば、本発明は、発光素子の輝度劣化を小さくするための駆動方法も提供することができる。すなわち本発明では、上記式(1)〜(3)のいずれかに従って、発光素子に流す電流の電流密度を経時的に増加させる発光素子の駆動方法も含むものとする。あるいはまた、発光素子を0<n<100なるデューティー比nで駆動し、かつ、上記式(4)に従って、前記発光素子の電圧を増加させる発光素子の駆動方法も含むものとする。
なお、本明細書中における発光装置とは、発光素子を用いた発光体や画像表示デバイスなどを指す。また、発光素子にコネクター、例えばフレキシブルプリント基盤(FPC:Flexible Printed Circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
本発明を実施することで、輝度劣化の小さい発光素子を有する発光装置を得ることができる。
以下では、本発明の実施形態について、動作原理および具体的な構成例を挙げて詳細に説明する。まず、本発明の動作原理について説明する。
連続点灯させる前の発光素子が、ある電流密度J0の電流を流すことにより、輝度L0で発光したとする(以下、J0を初期設定の電流密度、L0を初期輝度と呼ぶ)。この発光素子に対し、J0の電流密度で電流を流し続ける(すなわち定電流駆動する)場合、初期輝度L0で発光していた発光素子の輝度は徐々に低下するわけだが、上記非特許文献1によれば、下記式(5)で表される「拡張された指数関数」に従って輝度が低下していくことが知られている。
L(t) = exp[−(t/τ)β] ・・・(5)
(tは発光時間、L(t)は相対輝度(初期輝度L0に対する輝度Lの割合)を表す。すなわち、L(t)=L/L0であり、また、L(0)=1である。さらに、τおよびβは発光素子によって決まる正のパラメータであり、τは減衰時間(単位;時間)、βは分散因子(単位なし)と呼ばれている。)
ここで、k=1/τとおくと、上記式(5)は下記式(6)のように書き換えることができる。
L/L0 = exp[−(k・t)β] ・・・(6)
なお、β=1の時、式(6)はL=L0・exp[−(k・t)]と書くことができる。この式は、一次反応の反応速度則と酷似しているため、その類似性から、kは「発光に寄与する分子が一次反応的に発光に寄与しなくなる」場合の速度定数と見ることができる(実際に、kの単位も[時間-1]である)。また、βは指数曲線の形を変形させるパラメータであり、具体的には、0<β≦1の範囲において、βが小さくなるほど式(6)は初期劣化が大きい曲線となる。
ところで、発光素子の輝度Lは、電流効率をη、電流密度をJとして、一般に下記式(7)で表される。また、定電流駆動する場合であれば、J=J0とおくことで、式(7)は式(8)のように書くことができる(J0は初期設定の電流密度であり、なおかつ一定の値である)。
L = η・J ・・・(7)
L = η・J0 ・・・(8)
したがって、定電流駆動する場合においては、式(6)および式(8)から下記式(9)を導くことができる。
η = L0/J0・exp[−(k・t)β] ・・・(9)
ここで、L0/J0は、「初期輝度/初期設定の電流密度」であるから、連続点灯させる前、つまり初期状態の電流効率η0のことを指す。したがって、この式(9)は、「ある一定の電流密度J0で電流を流し続けた場合、電流効率ηがη0(=L0/J0)から経時的に低下していく」現象を示している。つまり、式(6)で表される定電流駆動時における輝度劣化曲線は、式(9)で表される電流効率の低下の曲線と同義であることがわかる。
電流効率ηが式(9)に従って低下していく以上、一定の電流を流し続ける手法では、輝度も低下していくことになる。そこで、適切な割合で電流量を増やしていくことで、輝度劣化を抑えることができると本発明者は考えた。
ここで重要なのは、その電流量の増やし方が小さすぎると輝度劣化の抑制効果も小さくなってしまうし、一方で、電流量の増やし方が大きすぎると、逆に輝度が大きく上昇してしまうという別の不良が発生してしまうことである。つまり、輝度が大きく上昇もせず、また劣化も小さく抑えられるような電流量の増やし方を確立することが重要であり、本発明の主旨となるものである。
また本発明においては、その電流量の増やし方を、発光時間を変数とする関数(数式)で表す点が主旨の一つでもある。なぜならば、そのような数式で発光素子を駆動するようプログラムしておき、なおかつ発光時間を記憶できるメモリ回路を併設するだけで、容易に輝度劣化の小さい発光素子が得られるためである。
[実施形態1]
まず、一般的な電流効率を表す式である式(7)に式(9)を代入すると、下記式(10)が得られる。
L = L0/J0・exp[−(k・t)β]・J ・・・(10)
ここで、式(10)において、輝度Lを初期輝度L0のまま保つ(すなわち、輝度の経時劣化がない)と仮定する。その場合、L=L0を式(10)に代入し、変形することで下記式(1)が得られる。
J = J0・exp[(k・t)β] ・・・(1)
(J0は発光素子における初期設定の電流密度、tは発光時間、kおよびβはそれぞれ発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。)
なお、発光時間とは、発光素子が発光している時間のことをさす。
式(1)は、式(9)が成り立つ場合に、電流密度Jを初期設定の電流密度J0からどのように経時的に増やしていけば、輝度Lが初期輝度L0に保たれるかを理論的に表す式である。したがって、式(1)に従って発光素子の電流量を経時的に増加させていくことにより、輝度劣化の小さい発光素子が得られる。また、発光素子と、前記発光素子に流れる電流の電流密度Jを式(1)に従って経時的に増加させる手段(具体的には、発光時間を記憶できるメモリ回路と、式(1)に従って発光素子を駆動するプログラムである)と、を有する発光装置を作製することにより、輝度劣化の小さい発光装置が得られる。
なお、発光素子によって決まるパラメータkおよびβは、あらかじめ発光素子を初期輝度L0で定電流駆動(すなわち初期設定の電流密度J0(=一定)で駆動)し、その結果得られる輝度劣化曲線(時間−輝度曲線)を式(6)でフィッティングすることにより求めることができる。
したがって、
実用に供したい輝度を決定し、
その輝度を得るのに必要な電流密度を測定し、
その電流密度で駆動することにより輝度劣化曲線を測定し、
その輝度劣化曲線からパラメータkおよびβを求め、
求めたパラメータkおよびβを式(1)に代入し、
パラメータkおよびβを代入した式(1)に従って電流密度Jが増えるようプログラムし、
そのプログラムに従って発光素子を駆動する
ことにより、輝度劣化の小さい発光素子、およびその発光素子を用いた発光装置が得られる。
ただし、パラメータkおよびβは加速試験から求めてもよい。すなわち、パラメータkおよびβの輝度に対する加速係数が求まっていれば、実用に供したい輝度が1000cd/m2であっても、実際には初期輝度5000cd/m2で定電流駆動してパラメータkおよびβを求め、それを初期輝度1000cd/m2で定電流駆動した時のパラメータkおよびβに換算してもよい。
このように、本実施形態1では、式(1)の如き極めて単純な数式を適用することにより、容易に輝度劣化の小さい発光素子が得られるという利点がある。
[実施形態2]
上述した式(9)は、定電流駆動時における電流効率の低下を表す式である。したがって、定電流駆動ではなく、経時的に電流量を増やしていった場合、電流効率の低下は実際には式(9)よりも加速される場合がある(つまり、電流効率の低下は、式(9)からずれてくる可能性がある)。
そこで本実施形態2では、やや煩雑にはなるものの、電流効率の低下のずれを補正し、理論上一定輝度が得られるような電流量の増やし方を表す理論式を提供する。
まず、式(9)において、k=k’・J0とおくと、下記式(11)が得られる。
η = L0/J0・exp[−(k’・J0・t)β] ・・・(11)
ここで、式(11)中の右辺において、「J0・t」は発光時間tの時点で発光素子に流れた単位面積あたりの総電荷量Qを表す。つまり、電流効率ηの低下は、定電流駆動かそうでないかに関わらず、発光素子に流れる単位面積あたりの総電荷量Qを用いて、実際は下記式(12)で表されると考えられる。
η = L0/J0・exp[−(k’・Q)β] ・・・(12)
また、単位面積あたりの総電荷量Qは、発光素子に流れる電流の電流密度Jを用いて、下記式(13)の積分式で表される。
Q = ∫Jdt ・・・(13)
(∫は0からtまでの積分を表す。)
したがって、式(12)および式(13)から、下記式(14)が得られる。
η = L0/J0・exp[−(k’・∫Jdt)β] ・・・(14)
この式(14)は、定電流駆動に限らず、電流量が変化する駆動であっても、発光素子に流れた総電荷量(すなわち積分項)に依存して電流効率がどの程度低下するかを表せる式である。つまり、図1(a)の時間−電流密度曲線に示すように、電流密度が経時的に一定でなく変化する場合であっても、流れた単位面積あたりの総電荷量Q(図1(a)中の斜線部の面積に相当する)を求めることで、ある時間において電流効率がどの程度低下するかを知ることができる。
この式(14)を、一般的な電流効率を表す式である式(7)に代入すると、下記式(15)が得られる。
L = L0/J0・exp[−(k’・∫Jdt)β]・J ・・・(15)
ここで、式(15)において、輝度Lを初期輝度L0のまま保つ(すなわち、輝度の経時劣化がない)と仮定する。その場合、L=L0を式(15)に代入し、変形することで下記式(2)が得られる。
J = J0・exp[(k’・∫Jdt)β] ・・・(2)
(J0は前記発光素子における初期設定の電流密度、tは発光時間、k’およびβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。また、∫は0からtまでの積分を表す。)
式(2)は、電流密度Jを初期設定の電流密度J0からどのように経時的に増やしていけば、輝度Lを初期輝度L0に保てるかを理論的に表す式である。したがって、式(2)に従って発光素子の電流量を経時的に増加させていくことにより、輝度劣化の極めて小さい発光素子が得られる。また、発光素子と、前記発光素子に流れる電流の電流密度Jを式(2)に従って経時的に増加させる手段(具体的には、電流密度をモニターする電流計と、発光時間および流れた電流密度を記憶できるメモリ回路と、式(2)に従って発光素子を駆動するプログラムである)と、を有する発光装置を作製することにより、輝度劣化の小さい発光装置が得られる。
なお、発光素子によって決まるパラメータk’およびβは、あらかじめ発光素子を初期輝度L0で定電流駆動(すなわち初期設定の電流密度J0(=一定)で駆動)し、その結果得られる輝度劣化曲線(時間−輝度曲線)を式(6)でフィッティングすることにより求めることができる(フィッティングから求まるのはkとβであるが、k’はk=k’・J0の定義から求めることができる)。
したがって、
実用に供したい輝度を決定し、
その輝度を得るのに必要な電流密度を測定し、
その電流密度で定電流駆動することにより輝度劣化曲線を測定し、
その輝度劣化曲線からパラメータk’およびβを求め、
求めたパラメータk’およびβを式(1)に代入し、
パラメータk’およびβを代入した式(1)に従って電流密度Jが増えるようプログラムし、
そのプログラムに従って発光素子を駆動する
ことにより、輝度劣化の小さい発光素子、およびその発光素子を用いた発光装置が得られる。
ただし、パラメータk’およびβは加速試験から求めてもよい。すなわち、パラメータk’およびβの輝度に対する加速係数が求まっていれば、実用に供したい輝度が1000cd/m2であっても、実際には初期輝度5000cd/m2で定電流駆動してパラメータk’およびβを求め、それを初期輝度1000cd/m2で定電流駆動した時のパラメータk’およびβに換算してもよい。
このように、本実施形態2では、輝度劣化のほとんどない、理論上は一定輝度の発光素子が得られるという利点がある。
[実施形態3]
本実施形態3では、実施形態2で述べた式(2)の積分項を近似し、より簡略な理論式を提供する。
発光素子に流れる単位面積あたりの総電荷量Qは、先にも述べた通り式(13)の積分で表される。このQの値を正確に求めるためには、常にある時間における電流密度をモニターし、図1(a)のように積分する必要があり、煩雑となる。そこで本発明者は、以下に述べる近似を適用することを考案した。
本発明においては、発光素子の輝度劣化を小さくするために、電流量を徐々に増加させていくことが主眼である。したがって、発光素子に流れる電流密度は、時間に対して基本的に単調増加の関数となる。図1(b)は時間−電流密度曲線であるが、図1(b)中の実線は、このことを模式的に表したものである。
ここで、この単調増加の関数を直線で近似すると、図1(b)中の破線のようになる。この破線を電流密度の経時変化と見なす(直線で電流密度の経時変化を近似する)と、単位面積あたりの総電荷量Qは下記式(16)のように表すことができる。
Q = (J0+J)・t/2 ・・・(16)
式(16)を式(12)に代入することにより、下記式(17)が得られる。
η = L0/J0・exp[−{(J0+J)・k’・t/2}β] ・・・(17)
この式(17)は、電流量を単調増加させる駆動を行った場合、電流効率が経時的にどの程度低下するかを近似的に表せる式である。この式(17)を、一般的な電流効率を表す式である式(7)に代入すると、下記式(18)が得られる。
L = L0/J0・exp[−{(J0+J)・k’・t/2}β]・J ・・・(18)
ここで、式(18)において、輝度Lを初期輝度L0のまま保つ(すなわち、輝度の経時劣化がない)と仮定する。その場合、L=L0を式(18)に代入し、変形することで下記式(19)が得られる。
J = J0・exp[{(J0+J)・k’・t/2}β] ・・・(19)
そして式(19)は、下記式(20)のように変形することができる。
J/J0 = exp[{(J/J0+1)・J0・k’・t/2}β] ・・・(20)
ここで、実施形態2で述べた定義からJ0・k’=kである。また、J/J0は、初期設定の電流密度に対して実際に流れている電流密度の割合のことであるから、いわば電流密度の増加率を表す。この電流密度の増加率J/J0をγで表すと、下記式(3)が得られる。
γ = exp[{(γ+1)・k・t/2}β] ・・・(3)
(tは発光時間、kおよびβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。また、前記発光素子における初期設定の電流密度をJ0、前記発光素子に流れる電流密度をJとすると、γ=J/J0である。)
式(3)は、電流密度の増加率γが発光時間に対してどのように変化すれば、近似的に輝度Lを初期輝度L0に保てるかを近似的に表す式である。したがって、式(3)に従って発光素子の電流量を経時的に増加させていくことにより、輝度劣化の極めて小さい発光素子が得られる。また、発光素子と、前記発光素子に流れる電流の電流密度の増加率γを式(3)に従って経時的に増加させる手段(具体的には、発光時間を記憶できるメモリ回路と、式(3)に従って発光素子を駆動するプログラムである)と、を有する発光装置を作製することにより、輝度劣化の小さい発光装置が得られる。
なお、発光素子によって決まるパラメータkおよびβは、あらかじめ発光素子を初期輝度L0で定電流駆動(すなわち初期設定の電流密度J0(=一定)で駆動)し、その結果得られる輝度劣化曲線(時間−輝度曲線)を式(6)でフィッティングすることにより求めることができる。
したがって、
実用に供したい輝度を決定し、
その輝度を得るのに必要な電流密度を測定し、
その電流密度で定電流駆動することにより輝度劣化曲線を測定し、
その輝度劣化曲線からパラメータkおよびβを求め、
求めたパラメータkおよびβを式(3)に代入し、
パラメータkおよびβを代入した式(3)に従って電流密度Jが増えるようプログラムし、
そのプログラムに従って発光素子を駆動する
ことにより、輝度劣化の小さい発光素子、およびその発光素子を用いた発光装置が得られる。
ただし、パラメータkおよびβは加速試験から求めてもよい。すなわち、パラメータkおよびβの輝度に対する加速係数が求まっていれば、実用に供したい輝度が1000cd/m2であっても、実際には初期輝度5000cd/m2で定電流駆動してパラメータkおよびβを求め、それを初期輝度1000cd/m2で定電流駆動した時のパラメータkおよびβに換算してもよい。
このように、本実施形態3では、流れた総電荷量をモニターすることなく、なおかつ輝度劣化の極めて小さい発光素子が得られるという利点がある。
[実施形態4]
本実施形態4では、発光素子の電圧−電流特性に着目し、電圧を制御することによって輝度劣化の小さい発光素子を得る形態を開示する。
電流を流すことによって発光する発光素子の電圧−電流特性は一般に、いわゆるダイオード特性を示す。したがって、順バイアス時の電圧−電流特性は、オームの法則(J∝V)よりも急峻な曲線となる。この時、流れる電流の電流密度をJ、電圧をVとすると、実用的な輝度の領域(具体的には100cd/m2〜10000cd/m2)においては、そのダイオード特性は下記式(21)で近似することができる。
J = S・Vn ・・・(21)
(S、nはそれぞれ、発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。また、n>1である。)
発光素子に電流を流し続ける(すなわち発光させ続ける)と、そのダイオード特性は、図2(a)に示すように経時的に電流が流れにくくなる。実線が駆動前、破線が駆動後のダイオード特性である。この時、上述した式(21)において、Sは単位面積あたりの総電荷量に依存して低下するパラメータであり、nは電流を流す、流さないに関わらず、保存時間のみで低下するパラメータであることを本発明者は見出した。すなわち、Sやnが低下することにより、図2(a)に示したような変化が発生するのである。
なお、式(21)の両対数をとると、下記式(22)が得られる。したがって、式(22)において、y切片(logS)は流れた単位面積あたりの総電荷量に依存して低下し、傾き(n)は保存時間に依存して低下することになる。言い換えれば、ダイオード特性の閾値は総電荷量に依存して高電圧側にシフトする性質があり、傾きは保存時間に依存して寝てくる性質がある。
logJ = n・logV+logS ・・・(22)
ここで、Sは流れた単位面積あたりの総電荷量に依存して低下するパラメータであり、nは保存時間のみで低下するパラメータであるから、それぞれ単位面積あたりの総電荷量Q、保存時間t’の関数で表すことができる。すなわち、下記式(23)が得られる。
J = g(Q)・Vf(t') ・・・(23)
(f(t’)およびg(Q)はいずれも、単調減少の関数である)
ここで、式(23)において、g(Q)は単位面積あたりの総電荷量Qに依存して変化するわけであるから、例えば、デューティー比が100の発光素子とデューティー比がn(0<n<100)の発光素子とでは、当然g(Q)の変化の仕方が異なってくる。
この現象を模式的に表したのが図2(b)である。Aが駆動前のダイオード特性、Bがデューティー比100である時間駆動した時のダイオード特性、Cがデューティー比nで同じ時間駆動した時のダイオード特性である。概念的には、図2(b)に示した通り、単位面積あたりの総電荷量が少ないCの方が電流は流れやすくなるわけだが、これは式(23)におけるg(Q)の差に起因する。すなわち、Bにおいては下記式(24)が成り立ち、Cにおいては下記式(25)が成り立つ。J100はデューティー比100の素子に流れる電流の電流密度、Jnはデューティー比nの素子に流れる電流の電流密度である。また、Q100はデューティー比100の素子に流れた単位面積あたりの総電荷量であり、Qnはデューティー比nの素子に流れた単位面積あたりの総電荷量である。
100 = g(Q100)・Vf(t') ・・・(24)
n = g(Qn)・Vf(t') ・・・(25)
ここで、デューティー比100の発光素子を定電流駆動するならば、Jは一定の電流密度J0となる。したがって式(24)は、式(26)のようになる。
0 = g(Q100)・Vf(t') ・・・(26)
f(t’)、g(Q100)共に単調減少の関数であるから、式(26)における電圧Vは、図2(b)中に示したように初期の電圧V0からVt(V0<Vt)へシフトしていく。
ここで、デューティー比100の素子にかかる電圧Vtを、バッファーアンプ等を介してデューティー比nの素子に印加する場合、式(25)と式(26)の電圧Vは共通のものとなる。したがって式(25)および式(26)から、下記式(27)が得られる。
n = {g(Qn)/g(Q100)}・J0 ・・・(27)
式(27)において、g(Q)は単調減少の関数であり、かつ、Q100>Qnであるから、常にg(Qn)>g(Q100)が成り立つ。また、駆動時間が長くなるにつれて、g(Qn)とg(Q100)の差は次第に大きくなっていく。したがって、式(27)から、Jnは駆動時間が長くなるにつれて、徐々に増加する。
図2(b)中に、Jnが増加する様子を模式的に示した。また、曲線BとCは駆動する時間が長くなれば長くなるほど離れていくため、Jnも徐々に増加していく。
この増加率は、デューティー比n、すなわちQnを制御することで制御できるため、電流量を徐々に増やして輝度劣化を小さくするという本発明の主旨を達成することができる。したがって、デューティー比100で定電流駆動している時に発光素子に加わる電圧を表す下記式(4)(上述の式(26)を変形して得られる)を、0<n<100なるデューティー比nで駆動している発光素子に印加することにより、電流量を徐々に増やし、輝度劣化を小さくすることができる。
V = {J0/g(Q100)}1/f(t') ・・・(4)
(J0は前記発光素子における初期設定の電流密度を表す。また、f(t’)は保存時間t’を変数とする単調減少の関数である。また、g(Q)は前記発光素子に流れる単位面積あたりの総電荷量Qを変数とする単調減少の関数である。また、Q100は、デューティー比100、電流密度J0で前記発光素子を定電流駆動した場合に流れる単位面積あたりの総電荷量であり、前記発光素子の駆動時間をt’’とすると、Q100=J0・t’’で表される。)
なお、保存時間(経過時間ともいう。)t’とは、ある任意の点からの経過時間のことであり、例えば発光素子を駆動させてから、経過した時間のことをさす。また、駆動時間t’’とは、デューティー比100の発光素子の発光時間をtとした時、t’’=t・n/100で表される時間のことである。
この時、前記発光素子に対して、式(4)で表される電圧を印加する手法としては、例えば、前記発光素子と同一構造であるモニター素子をデューティー比=100、電流密度=J0で定電流駆動し、そのモニター素子の電圧をオペアンプにより前記発光素子に印加する手法がある。ただし、本発明はこの手法に限定されることはない。
[実施形態5]
本実施形態5では、発光素子の一態様について説明する。本発明は、電流を流すことにより発光する発光素子であればいかなるものにも適用することができるが、本実施形態5では、発光性の有機化合物を用いた発光素子について説明する。
なお、発光素子は、発光を取り出すために少なくともどちらか一方の電極が透明であれば良い。従って、基板上に透明な電極を形成し、基板側から光を取り出す従来の素子構造だけではなく、実際は、基板とは逆側から光を取りだす構造や、電極の両側から光を取り出す構造も適用可能である。
以下では、本発明の発光素子の構成に関し、用いることのできる材料や素子構造を説明する。図3は代表的な発光素子の構造であり、基板300の上に陽極301、発光層302、陰極303が積層されている。発光層302は、少なくとも発光性の有機化合物を含んでいればよく、低分子化合物、高分子化合物(ポリマー)の他、それらに類さないオリゴマーやデンドリマー等の中分子化合物、あるいは無機化合物を用いて形成することができる。発光性の有機化合物に関しても、低分子化合物、高分子化合物(ポリマー)の他、それらに類さないオリゴマーやデンドリマー等の中分子化合物を用いることができる。
本実施形態5の図3においては、発光層302はホール注入層311、ホール輸送層312、発光性の有機化合物を含む層313、電子輸送層314、電子注入層315から構成されているが、必ずしもこの構成に限定されることはない。なお、ホール注入層は陽極からホールを受け取る機能を示す層であり、ホール輸送層は発光性の有機化合物を含む層にホールを受け渡す機能を示す層である。また、電子注入層は陰極から電子を受け取る機能を示す層であり、電子輸送層は発光性の有機化合物を含む層に電子を受け渡す機能を示す層である。
まず、それら各層に用いることのできる材料を具体的に例示する。ただし、本発明に適用できる材料は、これらに限定されるものではない。
ホール注入層に用いることができるホール注入材料としては、フタロシアニン系の化合物が有効であり、フタロシアニン(略称:H2−Pc)、銅フタロシアニン(略称:Cu−Pc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等を用いることができる。また、導電性高分子化合物に化学ドーピングを施した材料もあり、ポリスチレンスルホン酸(略称:PSS)をドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(略称:PEDOT)やポリアニリン(略称:PAni)などを用いることもできる。また、酸化モリブデン(MoOx)、酸化バナジウム(VOx)、酸化ニッケル(NiOx)などの無機半導体の薄膜や、酸化アルミニウム(Al23)などの無機絶縁体の超薄膜も有効である。また、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)、4,4’−ビス[N−(4−(N,N−ジ−m−トリル)アミノ)フェニル−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳香族アミン系化合物も用いることができる。さらに、それら芳香族アミン系化合物に対してアクセプタ性を示す物質を添加してもよく、具体的にはVOPcにアクセプタである2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:F4−TCNQ)を添加したものや、α−NPDにアクセプタであるMoOxを添加したものを用いてもよい。
ホール輸送層に用いることができるホール輸送材料としては、芳香族アミン系化合物が好適であり、上述したTDATA、MTDATA、TPD、α−NPD、DNTPDなどを用いることができる。
電子輸送層に用いることができる電子輸送材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などの金属錯体が挙げられる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)などのオキサジアゾール誘導体、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)などのトリアゾール誘導体、2,2’,2”−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール](略称:TPBI)のようなイミダゾール誘導体、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などのフェナントロリン誘導体を用いることができる。
電子注入層に用いることができる電子注入材料としては、上述したAlq3、Almq3、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2、PBD、OXD−7、TAZ、p−EtTAZ、TPBI、BPhen、BCPなどの電子輸送材料を用いることができる。その他に、LiF、CsFなどのアルカリ金属ハロゲン化物や、CaF2のようなアルカリ土類ハロゲン化物、Li2Oなどのアルカリ金属酸化物のような絶縁体の超薄膜がよく用いられる。また、リチウムアセチルアセトネート(略称:Li(acac))や8−キノリノラト−リチウム(略称:Liq)などのアルカリ金属錯体も有効である。また、これら電子注入材料に対してドナー性を示す物質を添加してもよく、ドナーとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属などを用いることができる。具体的にはBCPにドナーであるリチウムを添加したものや、Alq3にドナーであるリチウムを添加したものを用いることができる。
次に、発光性の有機化合物として用いることのできる材料を列挙するが、本発明においてはこれらに限定されず、いかなる発光性の有機化合物を用いても良い。
例えば青色〜青緑色の発光は、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)などをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。また、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)などのスチリルアリーレン誘導体や、9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(略称:DNA)、9,10−ビス(2−ナフチル)−2−t−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)などのアントラセン誘導体から得ることができる。また、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)等のポリマーを用いても良い。
例えば青緑色〜緑色の発光は、クマリン30、クマリン6などのクマリン系色素や、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N、C2'](ピコリナト)イリジウム(略称:FIrpic)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2')(アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(ppy)2(acac))などをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。また、上述のペリレンやTBPを5wt%以上の高濃度で適当なホスト材料に分散させることによっても得られる。また、BAlq、Zn(BTZ)2、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)クロロガリウム(Ga(mq)2Cl)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いても良い。
例えば黄色〜橙色の発光は、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エチニル−4H−ピラン(略称:DCM2)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルアセトナトイリジウム(Ir(thp)2(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト)アセチルアセトナトイリジウム(Ir(pq)2(acac))などをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。ビス(8−キノキリノラト)亜鉛(略称:Znq2)やビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(略称:Znsq2)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いても良い。
例えば橙色〜赤色の発光は、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[2−(ジュロリジン−9−イル)エチニル]−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エチニル−4H−ピラン(略称:DCM2)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルアセトナトイリジウム(Ir(thp)2(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト)アセチルアセトナトイリジウム(Ir(pq)2(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3'](アセチルアセトナト)イリジウム(Ir(btp)2(acac))などをゲスト材料として用い、適当なホスト材料に分散させることによって得られる。ビス(8−キノキリノラト)亜鉛(略称:Znq2)やビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(略称:Znsq2)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(3−アルキルチオフェン)等のポリマーを用いても良い。
また、上述した発光性の有機化合物の中でも特に、FIrpic、Ir(ppy)2(acac)、Ir(thp)2(acac)、Ir(pq)2(acac)、Ir(btp)2(acac)などの燐光物質を用いることが好ましい。本発明を適用した発光素子は、経時的に電流量が増えていくため消費電力の上昇が大きいが、これら燐光物質を用いれば、一般に消費電力を小さくできるためである。
なお、上記の構成において、適当なホスト材料としては、発光性の有機化合物よりも発光色が短波長のものであるか、またはエネルギーギャップの大きいものであればよい。具体的には、上述した例に代表されるホール輸送材料や電子輸送材料から適宜選択することができる。また、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)などを使用しても良い。
一方、発光素子における陽極301を構成する材料としては、仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましい。また、陽極301側から光を取り出す場合は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物等の透明導電性材料を用いればよい。また、陽極301を遮光性とするのであれば、陽極301はTiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr等の単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を用いることができる。あるいは、Ti、Al等の反射性電極の上に上述した透明導電性材料を積層する方法でもよい。
また、陰極303を構成する材料としては、仕事関数の小さい導電性材料を用いることが好ましく、具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属を用いて形成することもできる。また、これらの導電性材料の上に、他の導電性材料(例えばアルミニウムなど)を積層しても良い。また、LiF、CsF、CaF2、Li2O等の電子注入層を用いる場合は、アルミニウム等の通常の導電性薄膜を用いることができる。また、陰極303側を光の取り出し方向とする場合は、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属を含む超薄膜と、透明導電膜(ITO、IZO、ZnO等)との積層構造を用いればよい。あるいは、上述した電子輸送材料に対してドナー性を示す物質(アルカリ金属またはアルカリ土類金属など)を添加した層と、透明導電膜(ITO、IZO、ZnO等)を積層した構成としてもよい。具体的にはBCPにドナーであるリチウムを添加した層や、Alq3にドナーであるリチウムを添加した層の上に、ITOを積層すればよい。
なお、以上で述べた本発明の発光素子を作製するに当たっては、発光素子中の各層の積層法を限定されるものではない。積層が可能ならば、真空蒸着法やスピンコート法、インクジェット法、ディップコート法など、どの様な手法を選んでも良いものとする。
[実施形態6]
発光素子とモニター素子を備えた表示装置の一態様を図9を参照して説明する。
この表示装置は走査線駆動回路108、データ線駆動回路109、画素部111を備えている。画素部111には、スイッチング用トランジスタ106、駆動用トランジスタ104、容量素子107、発光素子105を含む画素110が配列されている。
データ線駆動回路109はパルス出力回路112、第1ラッチ回路113、第2ラッチ回路114を有する。このデータ線駆動回路109において、第1ラッチ回路113にデータを入力しているとき、第2ラッチ回路114は出力を行うことができる。
画素部111は、走査線駆動回路108につながる走査線G1〜Gnと、データ線駆動回路109につながるデータ線D1〜Dmを含んでいる。走査線駆動回路108から信号が入力される走査線G1は、画素110のスイッチング用トランジスタ106のゲートに信号を送る。走査線G1によって選択されたスイッチング用トランジスタ106はオンとなり、第2ラッチ回路114によりデータ信号線D1に出力されたデータ信号を容量素子107に書き込む動作を行う。この容量素子107に書き込まれたデータ信号によって、駆動用トランジスタ104が動作して、発光素子105の発光状態又は非発光状態を制御する。つまり、電源線V1〜Vmの電位が、オンにある駆動用トランジスタ104を介して発光素子105に与えられると、発光状態にする動作を行う。
モニター素子102の数は適宜選択することができる。モニター素子は一つでも構わないし、複数個を配置しても良い。図9で示す表示装置は、n(n>1)個のモニター素子102を備え、それ画素一列分と等しい数で設けられている。モニター素子102をn個配置することで、個々のモニター素子における特性ばらつきを平均化することができる。
図9において示すn個のモニター素子102は、電流源101と並列に接続されている。発光素子105がデータ信号によって発光又は非発光の状態をとるのに対し、n個のモニター素子102は、定電流駆動され常時点灯している。これらn個のモニター素子102の、電流源101に接続する電極の電位を検出し、電圧発生回路103により電源線V1〜Vmに電位を設定する。電圧発生回路103はボルテージフォロワ回路で構成されている。
この構成によれば、n個のモニター素子102が定電流駆動している状態で表示装置の温度が変化すると、n個のモニター素子102の抵抗値が変化する。その抵抗値が変化により、n個のモニター素子102の両電極間における電位が変化するので、その電位を電圧発生回路103で検出することができる。それにより、表示装置の温度が変化を発光素子105の駆動条件に反映させることができる。また、n個のモニター素子102の発光特性が経時変化により変化する場合にも、n個のモニター素子102の抵抗値が変化するので、同様に発光素子105の駆動条件に反映させることができる。
画素部111は異なる発光色を呈する発光素子を複数組み合わせて画素部111を構成することができる。例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)若しくはそれに近い発光色を呈する発光素子を組み合わせて画素部を構成しても良い。そのとき、n個のモニター素子102は、赤(R)、緑(G)、青(B)若しくはそれに近い発光色を呈する一種の発光素子で形成すれば良い。モニター素子も同様に、赤(R)、緑(G)、青(B)若しくはそれに近い発光色を呈する各発光素子で構成する。また、白色を発光する発光素子105で構成することができる。そのとき、n個のモニター素子102も同様に白色発光素子で構成する。
図10は、図9の表示装置の画素110に適用することのできる他の一例を示している。図10(A)の画素110は、スイッチング用トランジスタ106と駆動用トランジスタ104に、消去用トランジスタ115と消去用のゲート線Ryを設けている。発光素子105の一方は駆動用トランジスタ104と接続し、他方は対向電源116に接続している。消去用トランジスタ115により、強制的に発光素子105に電流が流れない状態を作ることができるため、画素110に対する信号の書き込みを待つことなく、データ信号の書き込み期間の開始と同時又は直後に発光期間を設けることができる。これによりデューティー比を向上させることが出来、発光と非発光の期間を強制的に制御するので、特に動画の表示に適している。
図10(B)は、トランジスタ118とトランジスタ119を直列に接続して駆動用トランジスタとして機能させている。さらにトランジスタ118のゲートに接続する電源線Vax(xは自然数、1≦x≦l)とを設けた画素110の構成を示している。電源線Vaxは電源117に接続する。この画素110は、トランジスタ118のゲートを一定電位の電源線Vaxに接続することにより、トランジスタ118のゲート電位を飽和領域で動作する電位に固定する。トランジスタ119は線形領域で動作させるので、そのゲートには画素110の発光又は非発光の情報を含むビデオ信号を入力する。線形領域で動作するトランジスタ119のソースとドレイン間電圧は小さいため、トランジスタ119のゲート及びソース間電圧の僅かな変動は、発光素子105に流れる電流値に影響を及ぼさない。従って、発光素子105に流れる電流値は、飽和領域で動作するトランジスタ119により決定される。上記構成は、トランジスタ119の特性バラツキに起因した発光素子105の輝度ムラを改善して画質を高めることができる。
以上に説明したように、この表示装置は電流源、モニター素子、電圧発生回路によって、温度及び輝度劣化の補償回路を構成している。すなわち、発光素子とそれと同等のモニター素子の両者を、異なる駆動条件で動作させ、表示部に設けた発光素子とモニター素子に流れる総電荷量の比が、輝度の劣化を考慮した一定の関係を満たすように制御することができる。
[実施形態7]
実施形態6で説明した発光素子を用いた表示装置の一構成例について図面を参照して説明する。
図11で示す画素110は、二つのトランジスタを備えた構成を例示している。この画素110はデータ線Dx(xは自然数、1≦x≦m)と、走査線Gy(yは自然数、1≦y≦n)が絶縁層を介して交差して設けられている。画素110は、発光素子105、容量素子107、スイッチング用トランジスタ106及び駆動用トランジスタ104を有している。スイッチング用トランジスタ106は、ビデオ信号の入力を制御し、駆動用トランジスタ104は発光素子105の発光と非発光を制御する。これらのトランジスタは電界効果トランジスタであり、例えば、薄膜トランジスタを利用することができる。
スイッチング用トランジスタ106のゲートは走査線Gyに接続し、ソース及びドレインの一方はデータ線Dxに接続し、さらに駆動用トランジスタ104のゲートに接続する。駆動用トランジスタ104のソース及びドレインの一方は電源線Vx(xは自然数、1≦x≦m)を介して第2電源線121に接続し、他方は発光素子105に接続する。発光素子105において、第1電源線120に接続しない他方の端子は第2電源線121に接続する。
容量素子107は駆動用トランジスタ104のゲートとソースの間に設けられる。スイッチング用トランジスタ106と駆動用トランジスタ104は、nチャネル型又はpチャネル型を選択することができる。図11で示す画素110は、スイッチング用トランジスタ106をnチャネル型、駆動用トランジスタ104をpチャネル型とした場合を示している。第1電源線120の電位と第2電源線121の電位も特に制約されない。発光素子105に順方向電圧又は逆方向電圧が印加されるように、互いに異なる電位に設定する。
このような画素110の平面図を図12に示す。スイッチング用トランジスタ106、駆動用トランジスタ104及び容量素子107が配置されている。第1電極211は、発光素子105の一方の電極であり、この上に発光層を積層することにより駆動用トランジスタ104に接続する発光素子105を形成する。開口率を大きくするために、容量素子107は電源線Vxと重畳して設けられている。
また、図12に示すA−B−Cの切断線に対応する断面構造を図13に示す。ガラスや石英などの絶縁表面を有する基板200上にスイッチング用トランジスタ106、駆動用トランジスタ104、発光素子105、容量素子107が設けられている。スイッチング用トランジスタ106はオフ電流を低減するためにマルチゲートとすることが好ましい。スイッチング用トランジスタ106と駆動用トランジスタ104のチャネル部を形成する半導体は、さまざまなものが適用できる。例えば、シリコンを主成分とする非晶質半導体、セミアモルファス半導体(微結晶半導体ともいう)又は多結晶半導体を用いることができる。その他に、有機半導体を用いることもできる。セミアモルファス半導体は、シランガス(SiH4)とフッ素ガス(F2)を用いて形成するか、シランガスと水素ガスを用いて形成する。また、スパッタリング法などの物理的成膜法又は気相成長法など化学的成膜法で形成した非晶質半導体を、レーザビームなど電磁エネルギーの照射により結晶化させた多結晶半導体を用いることができる。スイッチング用トランジスタ106及び駆動用トランジスタ104のゲートは、基板側から窒化タングステン(WN)、タングステン(W)の順に積層した構造や、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、あるいは、窒化モリブデン(MoN)、モリブデン(Mo)の順に積層した構造を採用するとよい。
スイッチング用トランジスタ106と駆動用トランジスタ104のソース又はドレインに接続する配線204、205、206、207は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、基板側からチタン(Ti)、アルミニウムシリコン(Al−Si)、チタン(Ti)、又は、Mo、Al−Si、Mo、又は、MoN、Al−Si、MoNの順に積層した構造である。これらの配線204、205、206、207は第1絶縁層203上に形成される。
発光素子105は、画素電極に相当する第1電極211、発光層212、対向電極に相当する第2電極213の積層構造を有している。第1電極211の端部は隔壁層210で囲まれている。発光層212と第2電極213は、隔壁層210の開口部で第1電極211と重畳するように積層されている。この重畳する部位が発光素子105となる。第1電極211、第2電極213の両者が透光性を有する場合、発光素子105は、第1電極211に向かう方向と、第2電極213に向かう方向に光を発する。つまり発光素子105は双方向に光を放射する構成となる。また、第1電極211と第2電極213の一方が透光性を有し、他方が遮光性を有する場合、発光素子105は第1電極211に向かう方向か、第2電極213に向かう方向に光を発する。つまり発光素子105は上面出射又は下面出射を行う。
図13は、発光素子105が下面出射を行う場合の断面構造を例示している。容量素子107は、駆動用トランジスタ104のゲートとソースの間に配置され、そのゲート及びソース間電圧を保持する。容量素子107は、スイッチング用トランジスタ106と駆動用トランジスタ104を形成する半導体層と同じ層に設けられた半導体層201と、スイッチング用トランジスタ106と駆動用トランジスタ104のゲートと同じ層に設けられた導電層202a、202b(以下総称して導電層202と表記)と、その間の絶縁層により容量を形成する。
また、容量素子107は、スイッチング用トランジスタ106と駆動用トランジスタ104のゲートと同じ層に設けられた導電層202と、スイッチング用トランジスタ106と駆動用トランジスタ104のソース及びドレインに接続する配線204、205、206、207と同じ層に設けられた配線208と、その間の絶縁層により容量を形成する。これにより、容量素子107は駆動用トランジスタ104のゲートとソース間電圧を保持するのに十分な容量を得ることができる。また、容量素子107は、電源線を構成する導電層に重畳させて形成することで、容量素子107の配置による開口率の減少を抑えている。
スイッチング用トランジスタ106と駆動用トランジスタ104のソース又はドレインに接続する配線204、205、206、207、208の厚さは、500〜2000nm、好ましくは500〜1300nmである。配線204、205、206、207、208は、データ線Dxや電源線Vxを構成しているため、上記特徴のように、配線204、205、206、207、208の膜厚を厚くすることで、電圧降下による影響を抑制することができる。
第1絶縁層203と第2絶縁層209は、酸化珪素や窒化珪素等の無機材料、ポリイミド、アクリル等の有機材料等を用いて形成する。第1絶縁層203と第2絶縁層209を同じ材料で形成してもよいし、互いに異なる材料で形成してもよい。有機材料としては、シロキサン系の材料を用いればよく、例えば、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
[実施の形態8]
実施形態611の表示装置の一形態である、画素部111と、走査線駆動回路108と、データ線駆動回路109とを搭載したパネルについて説明する。基板200上には、発光素子105を含む画素を複数有する画素部111、走査線駆動回路108、データ線駆動回路109及び接続フィルム217が設けられる(図14(A)参照)。接続フィルム217は外部回路と接続する。
図14(B)はパネルのA−Bにおける断面図を示し、画素部111に設けられた駆動用トランジスタ104と発光素子105と容量素子107と、データ線駆動回路109に設けられたトランジスタを示す。画素部111と走査線駆動回路108、データ線駆動回路109の周囲にはシール材214が設けられ、発光素子105は、シール材214と対向基板216により封止される。この封止処理は、発光素子105を水分から保護するための処理であり、ここではカバー材(ガラス、セラミックス、プラスチック、金属等)により封止する方法を用いるが、熱硬化性樹脂や紫外光硬化性樹脂を用いて封止する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法を用いてもよい。基板200上に形成される素子は、非晶質半導体に比べて移動度等の特性が良好な結晶質半導体(ポリシリコン)により形成することが好適であり、そうすると、同一表面上におけるモノリシック化が実現される。上記構成を有するパネルは、接続する外部ICの個数が減少するため、小型、軽量、薄型が実現される。
なお上記の図14(B)に示す構成では、発光素子105の第1電極211は透光性を有し第2電極213は遮光性を有する。従って、発光素子105は基板200側に光を放射する。図15(A)で示すように、上記とは異なる構成として、発光素子105の第1電極211は遮光性を有し第2電極213は透光性を有する構成とすることもできる。この場合、発光素子105は上面出射を行う。また、図15(B)に示すように、上記とは異なる構成として、発光素子105の第1電極211と第2電極213の両者を透光性電極として、両面から光を放射する構成とすることも出来る。これらの態様において、モニター素子は発光素子と同じ構成で設ければ良い。
なお、画素部111は絶縁表面上に形成された非晶質半導体(アモルファスシリコン)をチャネル部としたトランジスタにより構成し、走査線駆動回路108及びデータ線駆動回路109はドライバICにより構成してもよい。ドライバICは、COG方式により基板200上に実装する、又は基板200に接続する接続フィルム217に実装してもよい。非晶質半導体は、CVD法を用いることで、大面積の基板に簡単に形成することができ、かつ結晶化の工程が不要であることから、安価なパネルの提供を可能とする。また、この際、インクジェット法に代表される液滴吐出法により導電層を形成すると、より安価なパネルの提供を可能とする。
[実施形態9]
本実施形態では、本発明の発光装置を用いて完成させた様々な電気器具について、図16を用いて説明する。
本発明の発光装置を用いて作製された電気器具として、テレビジョン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)、照明器具などが挙げられる。これらの電気器具の具体例を図16に示す。
図16(A)は表示装置であり、筐体9001、支持台9002、表示部9003、スピーカー部9004、ビデオ入力端子9005等を含む。本発明を用いて形成される発光装置をその表示部9003に用いることにより作製される。なお、表示装置は、コンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用装置が含まれる。
図16(B)はパーソナルコンピュータであり、本体9101、筐体9102、表示部9103、キーボード9104、外部接続ポート9105、ポインティングマウス9106等を含む。本発明の発光素子を有する発光装置をその表示部9103に用いることにより作製される。
図16(C)はビデオカメラであり、本体9201、表示部9202、筐体9203、外部接続ポート9204、リモコン受信部9205、受像部9206、バッテリー9207、音声入力部9208、操作キー9209、接眼部9210等を含む。本発明の発光素子を有する発光装置をその表示部9202に用いることにより作製される。
図16(D)は卓上照明器具であり、照明部9301、傘9302、可変アーム9303、支柱9304、台9305、電源9306を含む。本発明の発光素子を用いて形成される発光装置を照明部9301に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具または壁掛け型の照明器具なども含まれる。このような照明器具は高輝度が必要とされているため、特に本発明の発光装置の適用例として好ましい形態である。また、照明器具はディスプレイと異なり、少なくとも一つの発光素子で構成することができるため、式(1)〜(3)のような数式のプログラムで発光素子の電流密度を制御することや、式(4)のような数式のプログラムで発光素子の電圧を制御することが、極めて容易に行えるというメリットもある。
ここで、図16(E)は携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。本発明の発光素子を有する発光装置をその表示部9403に用いることにより作製される。
以上のようにして、本発明の発光素子を用いた電気器具や照明器具を得ることができる。本発明の発光素子を有する発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電気器具に適用することが可能である。
本実施例では、実施形態1で述べた式(1)を用いることにより、輝度劣化の小さい発光素子を作製する例を具体的に例示する。
まず、発光性の有機化合物を用いた発光素子を作製した。素子構造は図3の通りであるので、図3の符号を引用して説明する。
まず、絶縁表面を有する基板300上に、陽極301が形成される。材料として透明導電膜であるITOを用い、スパッタリング法により110nmの膜厚で形成した。陽極301の形状は、2mm×2mmの大きさとした。
このように陽極301が形成された基板を洗浄、乾燥した後、陽極301上に発光層302を形成する。まず、陽極301が形成された基板を、真空蒸着装置の基板ホルダーに陽極301が形成された面を下方にして固定し、抵抗加熱法を用いた真空蒸着法により、DNTPDを50nmの膜厚で成膜した。これが、ホール注入層311となる。次に、ホール輸送性材料であるα―NPDを同様の方法により、10nmの膜厚で形成し、ホール輸送層312とした。
さらに、Alq3とクマリン6を共蒸着することにより、発光性の有機化合物を含む層313を37.5nmの膜厚で形成した。なお、共蒸着の際には、Alq3とクマリン6の比率が質量比で1:0.005となるように調節した。したがってAlq3がホスト材料、クマリン6が発光性の有機化合物として作用する。
次に、電子輸送性材料であるAlq3を真空蒸着法により37.5nm形成し、電子輸送層314とした。さらに、電子注入層315として、CaF2を真空蒸着法により1nm形成した。以上が発光層302となる。
最後に、陰極303を形成する。本実施例では、アルミニウム(Al)を抵抗加熱による真空蒸着法により150nm形成し、陰極303とした。
本実施例においては、まず、実用に供する輝度を1000cd/m2と設定した。また、本実施例により作製した発光素子に電流を流して発光させたところ、1000cd/m2の輝度で光らせるのに必要な電流密度は、9.25mA/cm2であった。
そこでまず、9.25mA/cm2の電流密度で一定の電流を発光素子に流し続けることにより、初期輝度1000cd/m2の定電流駆動試験を行った。その時の輝度劣化曲線を図4に示す。図中の実線が実際のデータであり、横軸が時間、縦軸が相対輝度(初期輝度をL0、輝度をLとすると、L/L0に相当する)を表す。
次に、得られたデータを式(6)によりフィッティングした。その結果が図4中の点線であり、非常に精度よくフィッティングされていることがわかる。このフィッティングから、式(6)におけるパラメータkおよびβの値が得られた。その結果を下記表1に示す。
Figure 0005078241
したがって式(1)から、本実施例の発光素子を初期輝度1000cd/m2で発光させる場合、下記式(1’)に従って、発光時間tに対して電流密度Jを上昇させることにより、輝度劣化の小さい発光素子を得ることができる。なお、式(1’)をグラフ化すると図5のようになる(横軸が発光時間t[h]、縦軸が電流密度J[mA/cm2]である)。
J = 9.25・exp[(0.00018414・t)0.6531] ・・・(1’)
(Jは電流密度[mA/cm2]、tは発光時間[h]を表す)
本実施例では、実施形態2で述べた式(2)を用いることにより、輝度劣化の小さい発光素子を作製する例を具体的に例示する。
発光素子としては、実施例1と同一のものを用いた。したがって、パラメータkおよびβの値は表1と同一である。また、k=k’・J0であるから、式(2)におけるパラメータk’およびβは下記表2の通りになる。
Figure 0005078241
したがって式(2)から、本実施例の発光素子を初期輝度1000cd/m2で発光させる場合、下記式(2’)に従って、発光時間tに対して電流密度Jを上昇させることにより、輝度劣化の小さい発光素子を得ることができる。
J = 9.25・exp[(0.0000199・∫Jdt)0.6531] ・・・(2’)
(Jは電流密度[mA/cm2]、tは発光時間[h]を表す)
本実施例では、実施形態3で述べた式(3)を用いることにより、輝度劣化の小さい発光素子を作製する例を具体的に例示する。
発光素子としては、実施例1、2と同一のものを用いた。したがって、パラメータkおよびβは実施例1の表1の値を用いればよい。
したがって式(3)から、本実施例の発光素子を初期輝度1000cd/m2で発光させる場合、下記式(3’)に従って、発光時間tに対して電流密度の増加率γが上昇することにより、輝度劣化の小さい発光素子を得ることができる。なお、式(3’)をグラフ化すると図6のようになる(横軸が発光時間t[h]、縦軸が電流密度の増加率γ(=J/J0)[−]である)。
γ = exp[{0.00009207・(γ+1)・t}0.6531] ・・・(3’)
(γは電流密度の増加率[−]、tは発光時間[h]を表す。)
本実施例では、実施形態4で述べた式(4)を用いることにより、輝度劣化の小さい発光素子を作製する例を具体的に例示する。発光素子としては、実施例1〜3と同一のものを用いた。
まず、この発光素子において、A.連続点灯させる前、B.1000時間点灯せずに保存した後、C.9.25mA/cm2の一定の電流密度で電流を流し続けて1000時間点灯させた後、のそれぞれに関し、電圧−電流特性を測定した。その結果を図7(a)に示す。横軸が電圧、縦軸が電流密度である。図7(a)の通り、点灯させた後(C.)のみならず、点灯せずに保存した後(B.)に関しても、電流が流れにくくなっていた。
次に、実用的な輝度領域(100〜10000cd/m2;電流密度にして1〜100mA/cm2)において、図7(a)のデータを式(22)を用いてフィッティングした。その結果を図7(b)に示す。図7(b)から、発光素子の電圧−電流密度特性は、式(22)によって非常に精度よく直線でそれぞれフィッティングされることがわかる。
さらに、図7(b)のフィッティングから、A.、B.、C.、それぞれについて、式(22)におけるSおよびnの値が得られた。その結果を下記表3に示す。また、表3をグラフ化したのが図8である。
Figure 0005078241
まずnは、図8からもわかるように、1000時間電流を流さず保存するだけでも減少しており、しかもその減少率は、1000時間電流を流して点灯した場合とほとんど変わらない。すなわち、電流を流す、流さないにかかわらず、ほぼ時間経過のみで減少していくパラメータである。つまりnは、保存時間t’の関数で表すことができる(n=f(t’))。したがって、1000時間以外の他の保存時間についても同様の実験を行い、保存時間t’に対するnの値をプロットすることで、f(t’)を求めることができる。
一方Sは、図8からわかるように、1000時間保存するだけではほとんど変化せず、電流を流すことで初めて減少するパラメータである。時間に依らず、電流を流すことに依存するということは、流れた単位面積あたりの総電荷量Qの関数であることが予想される(S=g(Q))。本実施例では、9.25mA/cm2の一定の電流密度で1000時間駆動しているので、Q=33300[C/cm2]である。したがって、33300[C/cm2]以外の単位面積あたりの総電荷量を流した場合についても同様の実験を行い、単位面積あたりの総電荷量Qに対するSの値をプロットすることで、g(Q)を求めることができる。
以上のようにして得られるf(t’)およびg(Q)を式(4)に代入し、式(4)に従って0<n<100なるデューティー比nで駆動している発光素子に電圧を印加することにより、0<n<100なるデューティー比nで駆動している発光素子に流れる電流密度は徐々に大きくなり、その結果輝度劣化を小さくすることができる。
単位面積あたりの総電荷量の求め方を示す図。 発光素子の電圧−電流密度曲線を示す図。 発光素子の素子構造を示す図。 発光素子の輝度劣化曲線を示す図。 実施例1における電流密度の経時変化を示す図。 実施例3における電流密度の増加率の経時変化を示す図。 実施例4における電圧−電流密度曲線を示す図。 実施例4におけるSおよびnの変化を示す図。 本発明のモニター素子と発光素子を備えた表示装置の構成を示す図。 本発明の表示装置に適用できる画素回路の構成を示す図。 本発明の表示装置における画素の回路の一例を示す図。 本発明の表示装置における画素の一例を示す図。 本発明の表示装置における表示部の一構成例を示す縦断面図。 本発明の表示装置であって、表示部と走査線駆動回路とデータ線駆動回路との一構成例を示す図。 本発明の表示装置であって、表示部と走査線駆動回路とデータ線駆動回路との一構成例を示す図。 本発明の発光装置を適用した電気器具。
符号の説明
101 電流源
102 モニター素子
103 電圧発生回路
104 駆動用トランジスタ
105 発光素子
106 スイッチング用トランジスタ
107 容量素子
108 走査線駆動回路
109 データ線駆動回路
110 画素
111 画素部
112 パルス出力回路
113 第1ラッチ回路
114 第2ラッチ回路
115 消去用トランジスタ
116 対向電源
117 電源
118 トランジスタ
119 トランジスタ
120 第1電源線
121 第2電源線


Claims (11)

  1. 陽極と陰極との間に発光層を有する発光素子と、前記発光素子に流れる電流の電流密度Jを下記式(1)に従って経時的に増加させる手段と、を有する発光装置。
    J = J・exp[(k・t)β] ・・・(1)
    (Jは前記発光素子における初期設定の電流密度、tは発光時間、減衰時間の逆数であるkおよび分散因子であるβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。)
  2. 陽極と陰極との間に発光層を有する発光素子と、前記発光素子に流れる電流の電流密度Jを下記式(2)に従って経時的に増加させる手段と、を有する発光装置。
    J = J・exp[(k’・∫Jdt)β] ・・・(2)
    (Jは前記発光素子における初期設定の電流密度、tは発光時間、減衰時間の逆数であるkとの間にk=k’・Jとの関係を有するk’および分散因子であるβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。また、∫は0からtまでの積分を表す。)
  3. 陽極と陰極との間に発光層を有する発光素子と、前記発光素子に流れる電流の電流密度の増加率γを下記式(3)に従って制御する手段と、を有する発光装置。
    γ = exp[{(γ+1)・k・t/2}β] ・・・(3)
    (tは発光時間、減衰時間の逆数であるkおよび分散因子であるβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。また、前記発光素子における初期設定の電流密度をJ、前記発光素子に流れる電流密度をJとすると、γ=J/Jである。)
  4. 陽極と陰極との間に発光層を有する発光素子と、前記発光素子を0<n<100なるデューティー比nで駆動するための第1の手段と、前記発光素子の電圧Vを下記式(4)に従って増加させる第2の手段と、を有する発光装置。
    V = {J/g(Q100)}1/f(t’) ・・・(4)
    (Jは前記発光素子における初期設定の電流密度を表す。また、f(t’)は保存時間t’を変数とする単調減少の関数である。また、g(Q)は前記発光素子に流れる単位面積あたりの総電荷量Qを変数とする単調減少の関数である。また、Q100は、デューティー比100、電流密度Jで前記発光素子を定電流駆動した場合に流れる単位面積あたりの総電荷量であり、前記発光素子の駆動時間をt’’とすると、Q100=J・t’’で表される。)
  5. 請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の発光装置において、前記発光層は、発光性の有機化合物を含むことを特徴とする発光装置。
  6. 前記発光性の有機化合物が燐光物質である請求項に記載の発光装置。
  7. 請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の発光装置を用いた照明器具。
  8. 下記式(1)に従って、発光素子に流す電流の電流密度Jを経時的に増加させる発光素子の駆動方法。
    J = J・exp[(k・t)β] ・・・(1)
    (Jは前記発光素子における初期設定の電流密度、tは発光時間、減衰時間の逆数であるkおよび分散因子であるβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。)
  9. 下記式(2)に従って、発光素子に流す電流の電流密度Jを経時的に増加させる発光素子の駆動方法。
    J = J・exp[(k’・∫Jdt)β] ・・・(2)
    (Jは前記発光素子における初期設定の電流密度、tは発光時間、減衰時間の逆数であるkとの間にk=k’・Jとの関係を有するk’および分散因子であるβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。また、∫は0からtまでの積分を表す。)
  10. 下記式(3)に従って、発光素子に流す電流の電流密度の増加率γを制御する発光素子の駆動方法。
    γ = exp[{(γ+1)・k・t/2}β] ・・・(3)
    (tは発光時間、減衰時間の逆数であるkおよび分散因子であるβはそれぞれ前記発光素子の特性によって決まる正のパラメータを表す。また、前記発光素子における初期設定の電流密度をJ、前記発光素子に流れる電流密度をJとすると、γ=J/Jである。)
  11. 発光素子を0<n<100なるデューティー比nで駆動し、かつ、下記式(4)に従って、前記発光素子の電圧Vを増加させる発光素子の駆動方法。
    V = {J/g(Q100)}1/f(t’) ・・・(4)
    (Jは前記発光素子における初期設定の電流密度を表す。また、f(t’)は保存時間t’を変数とする単調減少の関数である。また、g(Q)は前記発光素子に流れる単位面積あたりの総電荷量Qを変数とする単調減少の関数である。また、Q100は、デューティー比100、電流密度Jで前記発光素子を定電流駆動した場合に流れる単位面積あたりの総電荷量であり、前記発光素子の駆動時間をt’’とすると、Q100=J・t’’で表される。)
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