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JP5077913B2 - 扁平形電池 - Google Patents

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Description

本発明は、ボタン型電池やコイン型電池などの扁平形電池に関する。
携帯用の小型電子機器などの外部機器の電源としては、扁平形の一次電池が多く使用されている。この扁平形電池は、正極材や負極材などを含む発電要素が電池容器内に収容されており、前記電池容器を構成する金属製の外装缶と封口蓋とが、外部機器の正負の端子に接触接続するための接続端子をそれぞれ兼ねている。
前記封口蓋は、ガスケットを介して外装缶の開口に嵌め込まれており、外装缶と封口蓋との間が前記ガスケットによって絶縁されている。かかる外装缶と封口蓋との間隔は小さいために、金属片などが外装缶と封口蓋とに同時に接触するおそれが高く、これによって外装缶と封口蓋とを短絡させるおそれがある。
特に、使用済みの扁平形電池を廃棄する場合には、前記短絡が起こり易いことになる。つまり、前記電池は、使用後に電器店や家電量販店などに配置した回収ボックスに集められて回収されるが、回収ボックス内では、電池が無造作に積み上げられた状態で収容される。このため、いずれか一の電池に対して、別の電池が、例えば斜めの姿勢で接することがあり、別の電池によって一の電池の外装缶と封口蓋とが短絡することがある。
また、前記電池は、多くの容量を残したままで使用済みとして廃棄されることがあるために、前記短絡が生じると大電流の放電が生じ、これに伴う電池の発熱や電池内でのガス発生によって電池の破裂などが発生するおそれがある。この対策としては、特許文献1・2に示すごとく、外装缶や封口蓋を絶縁性樹脂で被覆することが考えられる。
実開昭58−52864号公報(第2図) 特開平3−116652号公報(第1−3図) 特開2002−93395号公報(図1)
特許文献1の電池では、外装缶(正極ケース)の周側面の全体が絶縁性樹脂で被覆されるために、その分だけ電池の外径寸法が大きくなって規格から外れてしまう。これに伴って、外部機器に装着できなくなるおそれがある。この場合、絶縁性樹脂の厚さ分だけ電池自体の外径寸法を小さくすることも考えられるが、その分だけ電池容量が小さくなるところに問題がある。
また、特許文献3に示すごとく外部機器の正負の端子のうち、一方の端子は、外装缶の周側面に接触して接続されることが一般的である(特許文献3では正極端子)。このため、前述のごとく外装缶の周側面の全体が絶縁性樹脂で被覆されていると、外部機器と電池とが接続できなくなる。
特許文献2の電池でも、外装缶(正極缶)の周側面において周方向の少なくとも半分が絶縁被覆膜で覆われるために、その分だけ電池の外径寸法が大きくなって、外部機器に装着できなくなるおそれがある。
そこで本発明の目的は、電池の外形寸法を変更することなく、別の電池などとの接触で外装缶と封口蓋とが短絡することを防止できる扁平形電池を提供することにある。
本発明が対象とする扁平形電池は、図1に示すごとく、上向きに開口する外装缶3に封口蓋5をガスケット6を介して嵌め込むことで電池容器1を形成してあり、封口蓋5の上面5aが露出した状態で外装缶3と封口蓋5との間がガスケット6によって絶縁されている。ここでの扁平形電池は、ボタン型電池やコイン型電池などの円形形状の電池の他に、四角形状などの多角形形状の電池なども含まれる。扁平形電池としては、外装缶3が正極かつ封口蓋5が負極となる場合と、外装缶3が負極かつ封口蓋5が正極となる場合とが含まれる。なお、コイン型電池としては、例えば電池の高さ寸法よりも径寸法の方が大きいものが該当する。
本発明の扁平形電池の封口蓋5は、その上面5aの周縁から外装缶3の内部へ向けて下向きに延びる肩部5bを有しており、図1および図2に示すごとく、封口蓋5の上面5aの周縁部から、肩部5bを含む封口蓋5の上部周面にかけて、絶縁性を有する被覆部11周回状に形成してあることを特徴とする。ここでの被覆部11の素材は、紫外線硬化型、熱硬化型あるいは常温硬化型の樹脂などが該当する。被覆部11は、封口蓋5に対して塗布、印刷、吹き付けあるいは貼り付けなどの手法によって配される。被覆部11の素材が、前記紫外線硬化型の樹脂の場合には、硬化前の樹脂を封口蓋5に塗布などしたのちに紫外線が照射されて硬化される。被覆部11の素材が、前記熱硬化型の樹脂の場合には、硬化前の樹脂を封口蓋5に塗布などしたのちに加熱されて硬化される。被覆部11は、硬質であってもよいが、柔軟性を有するものであってもよい。
被覆部11は、封口蓋5の肩部5bよりもさらに下側まで形成する。
さらに詳しく説明すると、被覆部11は、図2に示すごとく、封口蓋5の上面5aにおいて、前記外部機器の端子16が接触する領域5c以外の領域5dに形成されている。
被覆部11が、錆びなどを発生させ難い素材で形成される場合には、コストの点から封口蓋5を鉄または鉄を主成分とする鉄鋼を用いて形成することが好ましい。封口蓋5は、全体を鉄または鉄鋼のみで形成してもよいが、クラッド鋼板などのように鉄または鉄鋼と、その他の種類の金属とを層状に重ね合わせたものであってもよい。この場合、最も外側の層が鉄または鉄鋼であってもよい。
被覆部11の素材が、紫外線硬化型の樹脂の場合には、前記鉄や鉄鋼では硬化前の樹脂を塗布などしたことに起因する錆びなどが発生し易いために、封口蓋5は、少なくとも被覆部11に接する領域5dをステンレス鋼で形成することが好ましい。封口蓋5は、全体をステンレス鋼のみで形成してもよいが、ステンレス鋼とその他の種類の金属とを層状に重ね合わせたものであってもよい。この場合には、最も外側の層がステンレス鋼で形成されることになる。また、封口蓋5のうち、被覆部11に接する領域5d以外の部分は、前記鉄鋼などで形成してもよい。
電池容器1の内部に、金属リチウムまたはリチウム合金からなる負極材を含む発電要素2が収容されていてもよい。
本発明によれば、別の電池や金属片などの金属体12が誤って接触した場合などにおいても、被覆部11によって、ガスケット6を挟んで隣接する外装缶3と封口蓋5とが短絡することが抑制される。しかも、被覆部11は、封口蓋5の上面5aの周縁付近のみに形成され、外装缶3の周側面3aなどには形成されないので、被覆部11を配したことによる電池の外形寸法の増加を抑えることができる。したがって、収容可能な電池の寸法が予め決まっている外部機器の電池収容部15に装着するために、電池容器1を小さくしなくても済み、その分だけ電池容量の減少を防止できる。
被覆部11が形成される領域5dが少ないので、被覆部11の素材の使用量を低減できて、電池製造に要するコストを抑えることができる。しかも、前記被覆部11が形成される領域が少ない分だけ、電池に対する前記素材の均一な塗布や硬化が可能になる。
被覆部11を封口蓋5の上面5aの周縁部5dから肩部5bにかけて形成すると、図1に示すごとく、金属体12が、封口蓋5の上面5aの縁側から外装缶3側へ向けて下り傾斜状の姿勢で接触しようとしても、被覆部11が金属体12に臨む封口蓋5の肩部5bまでも被覆しているので、封口蓋5と外装缶3との間の短絡を確実に阻止できる。
外部機器の正負の端子16・17は、一般に、封口蓋5の上面5aの中央部5cと、外装缶3の周側面3aとにそれぞれ接触する。これに応じて、前記端子16が接触する領域である封口蓋5の上面5aの中央部5c以外の領域5dに被覆部11を形成したので、外部機器の端子16と封口蓋5との確実な接触を確保することができる。
封口蓋5を鉄または鉄鋼を用いて形成すると、封口蓋5の材料コストを低減でき、その分だけ電池の製造に要するコストを低減できる。
被覆部11の素材として紫外線硬化型の樹脂を用いると、紫外線の照射で短時間に樹脂を硬化できるために製造能率を向上させることができ、かつ前記紫外線の照射では電池が加熱され難いので、過度の加熱による電池性能の低下を抑制できる。そのうえで、封口蓋5にステンレス鋼を用いることで、硬化前の樹脂によって封口蓋5に錆びなどが発生することを確実に防止できて、硬化させたのちの被覆部11が電池から剥がれ落ちることなどを確実に防止できる。
かかる発明を、金属リチウムまたはリチウム合金からなる負極材を含む発電要素2が収容されている扁平形電池に適用すると、この扁平形電池は、外部機器での使用後も2V以上の電圧を有していて短絡時の熱発生量が大きいが、本発明の被覆部11によって短絡を防止することで、前記短絡による熱発生を的確に抑制できる。
図面は、本発明が対象とする扁平形電池としての一次電池の実施例を示している。電池容器1は、図1に示すごとく、上向きに開口する浅皿形状の正極缶(外装缶)3と、下向きに開口する浅皿形状の負極缶(封口蓋)5とからなっており、全体が扁平なコイン形状に形成される。前記扁平形電池の公称電圧は3Vである。電池容器1の内部には、発電要素2が収容されており、正極缶3と負極缶5との周縁間には、円環状のガスケット6が配されている。
そして、正極缶3の内部に発電要素2を収容した状態で、負極缶5がガスケット6を介して正極缶3の開口内縁側に嵌め込まれて、かしめ固定されることで(図1の状態)、ガスケット6によって正極缶3と負極缶5との間が封止(密封)された電池容器1が形成される。ガスケット6は、正極缶3と負極缶5との間を絶縁する。前記扁平形電池は、外径寸法が20mm、全厚寸法が3.2mmである。
発電要素2は、正極活物質としての二酸化マンガンなどを含有する円盤形状の正極材7と、負極活物質の金属リチウムまたはリチウム合金を円盤形状に形成した負極材9と、不織布製のセパレータ10と、LiClO4 などを含有する非水電解質とを含み、正極材7の上側にセパレータ10を介して負極材9が配される。ガスケット6は、ポリアミド系樹脂やポリプロピレン樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂などを素材とする射出成形品からなる。
正極缶3および負極缶5は、ステンレス鋼などの鉄合金や、鉄や、鉄を主成分とする鉄鋼などからなる。図1および図2に示すごとく、負極缶5の上面5aの周縁に沿って、絶縁性を有する絶縁被覆部11が周回状に被覆形成されている。つまり、絶縁被覆部11は、負極缶5の上面5aにおいて、その中央部5c以外の領域5dに形成してある。絶縁被覆部11は、例えば、紫外線硬化型、熱硬化型あるいは常温硬化型などの絶縁性樹脂を素材として形成される。
絶縁被覆部11は、厚さ寸法が0.01〜0.5mmの範囲内になるよう形成される。絶縁被覆部11の厚さ寸法が0.5mmよりも大きい場合には、その分だけ扁平形電池の全厚寸法が大きくなり過ぎて、規格品の扁平形電池を使用する電子機器に設けた電池収容部15(図3参照)に装着することが困難になるために好ましくない。
負極缶5は、図1に示すごとく、その上面5aの周縁から正極缶3の内部へ向けて下向きに延びる肩部5bを有しており、絶縁被覆部11は、負極缶5の上面5aの周縁部5dから肩部5bにかけて形成されている。これにより、例えば、別の電池などの金属体12が、電池容器1の上部周縁に対して斜めの姿勢で当接しようとしても、負極缶5の上面5aの周縁部5dおよび肩部5bが絶縁被覆部11で被覆されているために、金属体12が正極缶3の上端部と同時に負極缶5の上面5aの周縁部5dや肩部5bに接触することが防止される(図1の二点鎖線図参照)。
図1では、正極缶3の上端部が負極缶5の上面5aよりも低くなっているが、正極缶3の上端部と負極缶5の上面5aとがほぼ等しい高さであってもよい。この場合でも、金属体12が、正極缶3の上端部と負極缶5の上面5aや肩部5bとを同時に接触することが絶縁被覆部11によって防止される。絶縁被覆部11は、少なくとも負極缶5の上面5aの周縁部5dを被覆すればよいが、負極缶5の肩部5bよりもさらに下側まで被覆してもよい。
絶縁被覆部11で囲まれた負極缶5の上面5aの中央部5cは露出しており、図3に示すごとく、電子機器の電池収容部15に扁平形電池を収容したときには、電池収容部15に配した負極端子16の先端部が、負極缶5の上面5aの中央部5cに接触して接続される(図2参照)。電池収容部15に配した正極端子17の先端部は、正極缶3の周側面3aに接触して接続される。
絶縁被覆部11を形成する絶縁性樹脂として紫外線硬化型の樹脂を用いた場合には、紫外線の照射で短時間に樹脂が硬化するために製造能率がよいが、硬化前の液体状態で一般的に弱酸性であるため、硬化前の液体状のまま負極缶5に長期間滞在していると、負極缶5を腐食させて表面に錆びを発生させることがある。この場合、電池の見栄えを損なううえ、錆びの発生量が大きい場合には、硬化させたのちの絶縁被覆部11が剥がれ落ちるおそれがある。
このため、前記絶縁性樹脂として紫外線硬化型の樹脂を用いる場合には、負極缶5にはステンレス鋼を用いることが好ましい。前記絶縁性樹脂として常温硬化型や熱硬化型の樹脂を用いる場合には、前述の錆びの発生がほとんどないために、ステンレス鋼よりも安価な鉄や鉄を主成分とする鉄鋼を用いることが好ましい。
なお、負極缶5は、クラッド鋼板などのように複数種類の金属を層状に重ね合わせたものであってもよい。この場合、前記絶縁性樹脂として紫外線硬化型の樹脂を用いる場合には、最も外側の金属層が前述のステンレス鋼となることが好ましく、前記絶縁性樹脂として常温硬化型や熱硬化型の樹脂を用いる場合には、最も外側の金属層が前述の鉄や鉄鋼となることが好ましい。
本発明にかかる扁平形電池の縦断面図 本発明の扁平形電池の平面図 扁平形電池を電子機器などの電池収容部に収容した状態を示す縦断面図
符号の説明
1 電池容器
2 発電要素
3 正極缶
5 負極缶
5a 上面
5b 肩部
5c 中央部
5d 周縁部
6 ガスケット
9 負極材
11 絶縁被覆部
16 負極端子

Claims (2)

  1. 上向きに開口する外装缶に封口蓋をガスケットを介して嵌め込むことで電池容器を形成してあり、前記封口蓋の上面が露出した状態で前記外装缶と前記封口蓋との間が前記ガスケットによって絶縁されている扁平形電池において、
    前記封口蓋は、その上面の周縁から前記外装缶の内部へ向けて下向きに延びる肩部を有しており、
    前記封口蓋の上面の周縁部から、前記肩部を含む前記封口蓋の上部周面にかけて、絶縁性を有する被覆部周回状に形成してあることを特徴とする扁平形電池。
  2. 前記被覆部が、前記封口蓋の肩部よりもさらに下側まで形成してある請求項1記載の扁平形電池
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