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JP5077399B2 - 台車式搬送装置 - Google Patents

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JP5077399B2 JP2010172897A JP2010172897A JP5077399B2 JP 5077399 B2 JP5077399 B2 JP 5077399B2 JP 2010172897 A JP2010172897 A JP 2010172897A JP 2010172897 A JP2010172897 A JP 2010172897A JP 5077399 B2 JP5077399 B2 JP 5077399B2
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Description

本発明は、所定の経路に沿って、ワークを搬送するための台車をフリクション駆動手段によって推進する台車式搬送装置の技術に関する。
従来、ワークを搬送するための複数の台車を、所定の経路に沿って、フリクション駆動手段によって玉突き状に互いに押圧させて推進する態様の台車式搬送装置が知られている。このような台車式搬送装置では、直線状の経路においては、良好に各台車を推進させることが可能であり、そして、このような直線状の経路において、各種組立作業等を行う工程を配置するようにしている。
しかしながら、従来の台車式搬送装置では、U字状の折り返し部等を有する曲線状の経路においては、各台車を玉突き状に互いに押圧させて推進するのが困難であった。このため、直線状の走行経路からU字状の折り返し部等を有する曲線状の経路に移行する場合には、別途AGVやトラバース等の搬送手段を用いなければならないという問題があり、曲線状の経路においては、各種組立作業等を行う工程を配置することが困難であった。
そこで、曲線状の経路においても良好に各台車を推進させることができる台車式搬送装置に関する技術が種々検討されており、例えば、以下に示す特許文献1にその技術が開示され公知となっている。
特許文献1に開示されている従来技術では、台車の荷台下側で左右幅方向の中央部に走行方向と平行に付設された棒状体の側面によって形成する駆動用摩擦面を備える台車式搬送装置であって、前記棒状体の前後両端に、荷台の前後両端から突出しない前側棒状体および後側棒状体が、それぞれ左右水平揺動可能に連結され、これらの各棒状体により、荷台の略全長に及ぶ屈曲可能な前記駆動用摩擦面を形成する構成としている。
このような構成により、前記棒状体がカーブ状の経路に沿って屈曲するため、カーブ状の経路であっても台車の走行を可能とし、従来必要としていた、台車の向きを変えるためのトラバーサ等の装置が不要な台車式搬送装置となっている。
特開2002−240707号公報
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術に係る台車式搬送装置では、カーブ状の経路の曲率半径がより小さくなった場合に対応することが困難であり、種々の工程レイアウトにより柔軟に対応できる台車式搬送装置の開発が望まれていた。
また、このような従来の台車式搬送装置では、被駆動部に推進力を付与するための駆動部の配置場所を工程スペース内に確保する構成としているため、作業工程等を配置できる有効な工程スペースが減少してしまうという問題があった。
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、カーブ状の経路であっても台車の走行を可能としつつ、種々の工程レイアウトにより柔軟に対応可能であり、工程スペースをより有効に活用することができる台車式搬送装置を提供することを目的としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、摩擦力が付与されて、推進される部位である推進部と、該推進部に連結される台車と、前記推進部の推進方向を規制して推進経路を形成する複数のガイド部材と、前記推進部に対して推進方向に向けて摩擦力を付与する駆動部と、を備え、前記推進部に付与される摩擦力を推進力として、前記推進経路に沿って、前記台車を走行させる台車式搬送装置であって、前記推進部の前記摩擦力が付与される部位を、前記推進経路に沿って弾性変形する部材である弾性部材によって構成するものである。
請求項2においては、前記弾性部材を、帯状の部材とするものである。
請求項3においては、前記帯状の部材を、鋼板により構成するものである。
請求項4においては、前記駆動部を、前記台車の走行面よりも下方に配置するものである。
請求項5においては、前記台車の走行面に該走行面を貫通する溝部を前記推進経路に沿って形成し、前記弾性部材から突設する支持部を、前記溝部から、前記台車の走行面を境界として該台車が配置される側に臨ませつつ、該支持部に係止部材を配設し、該係止部材により前記台車を係止して、前記弾性部材と前記台車を連結するものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、台車の走行経路が湾曲している場合であっても、別途搬送装置を用いることなく、走行経路に沿って台車を走行させることができる。
請求項2においては、推進部を推進経路に沿って、容易に変形させることができる。
請求項3においては、推進部を推進経路に沿って、容易に変形させるとともに、容易に平板状に復元することができる。
請求項4においては、工程スペースをより有効に活用することができる。
請求項5においては、台車の走行経路が湾曲している場合であっても、別途搬送装置を用いることなく、簡易な構成で、走行経路に沿って台車を走行させることができる。
本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置を示す斜視模式図。 本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置を示す部分断面模式図。 本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置における案内部の配置を示す平面模式図。 本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置を構成する駆動部を示す平面模式図。 本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置における作業床を示す平面模式図。 本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置を構成する推進部を示す模式図、(a)平面模式図、(b)側面模式図。 本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置を構成する推進部の連結部を示す部分模式図、(a)連結前の状態を示す模式図、(b)連結状態を示す模式図、(c)連結を解除した状態を示す模式図。 本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置を構成する台車を示す斜視模式図。 本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置における推進部の推進状況を示す模式図、(a)平面模式図、(b)図9(a)におけるA−A断面模式図、(c)図9(a)におけるB−B断面模式図。 本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置における推進経路の設定例を示す模式図。
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置の全体構成について、図1〜図8を用いて説明をする。尚、以下の説明では、図1中に示すように、推進部の推進方向をX軸方向として規定して、これを前方と呼び、Y軸方向を右方と呼び、Z軸方向を上方と呼ぶものと規定する。
図1に示す如く、本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置である台車式搬送装置1は、複数の案内部2・2・・・、駆動部3、作業床4、複数の推進部5・5・・・、複数の台車6・6・・・、等によって構成されている。
台車式搬送装置1は、作業者の作業スペースを、作業床4によって形成するとともに、当該作業床4において、複数の台車6・6・・・を走行させる構成としており、各台車6・6・・・上にそれぞれワーク11・11・・・を載置し、各作業工程を順次通過するように各台車6・6・・・を走行させることによって、各作業工程で待機している各作業者による流れ作業を、効率よく行うことができるようにするものである。
図1および図2に示す如く、案内部2は、推進部5の位置を規制して、該推進部5を推進方向に沿って案内するための部位である。
図2に示す如く、案内部2は、軸心方向を鉛直に保持する一対の従動ローラからなる水平方向案内ローラ2a・2aと、軸心方向を水平に保持する一つの従動ローラからなる鉛直方向案内ローラ2bとを備えている。
これらの各ローラ2a・2a・2bは、作業床4に固設されるフレーム部2cに対して回転可能に軸支されている。
水平方向案内ローラ2a・2aは、軸心方向を鉛直に保持しつつ互いに平行に軸支される一対のローラ部材であり、各ローラ2a・2aの周側面同士の離間距離(即ち、隙間)が、所定の幅に保持されている。この所定の幅は、推進部5を構成する被駆動部材5aの厚みに対応しており、各ローラ2a・2aによって形成する隙間に被駆動部材5aを通過させることができる幅に設定している。
尚、本実施形態では、各ローラ2a・2a間に隙間を設定する場合を例示しているが、各ローラ2a・2aを弾性部材によって構成するとともに、各ローラ2a・2aを当接させる構成(即ち、隙間を「0」とする)として、各ローラ2a・2aを弾性変形させつつ、各ローラ2a・2a間に、被駆動部材5aを通過させる態様とすることも可能である。
そして、各ローラ2a・2aによって形成される隙間に推進部5を通過させて、被駆動部材5aの表裏面にそれぞれ各ローラ2a・2aを接触させることによって、被駆動部材5aの水平方向(被駆動部材5aの厚み方向)に対する位置を規制して、推進部5を所望する推進方向に沿って案内する構成としている。
より詳しくは、水平方向案内ローラ2a・2aでは、各水平方向案内ローラ2a・2aの各軸心を最短距離で結ぶ線分の中点における水平な垂線の方向を推進方向として、推進部5を案内する構成としている。
鉛直方向案内ローラ2bは、軸心方向を水平に保持しつつ軸支される一つのローラ部材であり、該鉛直方向案内ローラ2bの周側面上部と作業床4により形成する床面(図2中に示すFLの位置)との離間距離が所定の距離に保持されている。この所定の距離は、推進部5を構成する被駆動部材5aの高さ方向の寸法に対応しており、被駆動部材5aの下端面を該ローラ2bに接触させて載置した場合に、被駆動部材5aの上端部(後述する各支持部5b・5c)が作業床4の床面よりも鉛直方向上側に突出する距離に設定している。
また、平面視において、水平方向案内ローラ2a・2aにおいて設定する推進方向と鉛直方向案内ローラ2bの軸心方向は垂直の角度を成す構成としており、鉛直方向案内ローラ2bの回転方向を、水平方向案内ローラ2a・2aにおいて設定する推進方向に沿わせる構成としている。
そして、鉛直方向案内ローラ2bに被駆動部材5aの下端面を接触させつつ、推進部5を推進させることによって、被駆動部材5aの高さ方向に対する位置を規制して、推進部5を所望する推進方向に沿って案内する構成としている。
そして、図1および図3に示す如く、台車式搬送装置1では、複数の案内部2・2・・・を所望する経路に沿って配置することによって、推進部5・5・・・を推進させるための経路である推進経路Sを形成する構成としている。より詳しくは、水平方向案内ローラ2a・2aにおいて設定する推進方向を、直線状の経路では、所望する経路に推進方向を一致させるように案内部2を配置し、また、曲線状の経路では、所望する経路の接線方向に推進方向を一致させるように案内部2を配置する構成としている。
また、台車式搬送装置1では、推進経路Sにおける各案内部2・2・・・の配置数および配置ピッチを適宜設定して、一つの推進部5が、常に少なくとも3個以上の案内部2・2・2によって案内されるようにしている。
さらに、本実施形態に示す推進経路Sでは、推進経路Sにおける直線状の部位に比して、カーブ状の部位の方が、案内部2・2・・・の配置ピッチがより密となる配置としている。
これにより、カーブ状の推進経路Sにおいても各案内部2・2・・・によって、各推進部5・5・・・をより安定させた状態で推進できる構成としている。即ち、台車式搬送装置1では、推進経路Sにおけるカーブ部の曲率半径が小さいほど、案内部2・2・・・の配置ピッチをより密とすることが望ましい。
尚、本実施形態では、推進経路Sが連続する(即ち、無端の)周回経路となるように、平面視において略長円状に複数の案内部2・2・・・を配置する場合を例示しているが、本発明に係る台車式搬送装置における推進経路Sの態様をこれに限定するものではなく、始端および終端が存在するような推進経路としたり、あるいは、略矩形状や略楕円状の周回経路としたりすることも可能である。
図1に示す如く、台車式搬送装置1では、推進部5・5・・・を推進方向に推進させるための力(推進力)を付与するための駆動部3を備えている。駆動部3は、複数の案内部2・2・・・によって形成する推進経路S上に配置される。
図4に示す如く、駆動部3は、回転駆動される駆動ローラ3a、駆動ローラ3aに対向配置され駆動ローラ3aと当接する従動ローラ3b、駆動ローラ3aおよび従動ローラ3bに導入された被駆動部材5aの下端部と当接し、前述した案内部2における鉛直方向案内ローラ2bと同様の役割を果たす従動ローラ3c・3c、および駆動ローラ3aを回転駆動する駆動モータ3d等を備えており、駆動ローラ3aと従動ローラ3bを当接させる部位において、推進部5を挟圧するための部位である挟圧部3eを形成している。
そして、この挟圧部3eを推進経路S上に配置する構成としている。
駆動部3において、一対の駆動ローラ3aと従動ローラ3bは、軸心方向を鉛直に保持しつつ互いに平行に軸支される構成としており、バネ部材3fによって駆動ローラ3aを従動ローラ3b側に付勢し、駆動ローラ3aを従動ローラ3bに押圧することによって、各ローラ3a・3bにより推進部5を挟圧することができる部位である挟圧部3eを形成している。
また、挟圧部3eにおいて推進部5を挟圧した状態で、駆動ローラ3aを回転駆動することによって、前記挟圧部3eにおける各ローラ3a・3bの接線方向であって推進部5の推進方向に向けて、推進部5に対して摩擦力を付与する構成としている。
尚、本実施形態に示す駆動部3では、一対の駆動ローラ3aと従動ローラ3bを二組備える構成としている。
駆動ローラ3aは、挟圧部3eにおいて推進部5と接触する部位(即ち、駆動ローラ3aの周側面)がゴム等の摩擦係数の高い素材によって覆われており、挟圧部3eにおいて、推進部5に対して効率よく摩擦力を付与することができる構成としている。
また、駆動部3を構成する駆動モータ3dとしては、ギアモータ等を採用することができる。
駆動モータ3dの回転軸には、スプロケット3gが軸止されている。尚、本実施形態に示す駆動部3では、駆動ローラ3aを二つ備えているため、スプロケット3gも回転軸方向にずらした位置に二つ備える構成としている。また、各駆動ローラ3a・3aの回転軸にもそれぞれスプロケット3h・3hが軸止されており、各スプロケット3g・3hに駆動チェーン3kを巻回している。これにより、駆動モータ3dにより発生させる駆動力を、各駆動チェーン3k・3kを介して各駆動ローラ3a・3aに伝達する構成としている。
そして、挟圧部3eにおいて、推進部5を挟圧しつつ、駆動モータ3dによって各駆動ローラ3a・3aを回転させて、各ローラ3a・3bと推進部5との間で摩擦力を生じさせることによって、各推進部5・5・・・に対して、推進経路Sに沿った方向に推進力を付与する構成としている。
図1、図2および図5に示す如く、作業床4は、案内部2・2・・・および駆動部3に比して上方に、台車6・6・・・を走行させるための床面を形成するとともに、台車6に載置されたワーク11に対して各種の部品等を組み付ける際における作業者の作業スペースを形成するための部位であり、床部材4aおよび支持部材4b等によって構成されている。そして、床部材4aには、推進経路Sに沿う貫通した溝部である貫通溝4cが形成されている。
作業床4は、工程スペースの床レベル(図2中に示すGLのレベル)に比して、一段上がったレベル(図2中に示すFLのレベル)において、二重床の態様で床部材4aを配置して床面を形成する構成としており、このGLレベルとFLレベルの間の空間を利用して、各案内部2・2・・・、駆動部3等を収容する構成としている。
このため、台車式搬送装置1では、駆動部3等を配置するためのスペースを、工程スペースを削って確保する必要がない。
尚、本実施形態では、GLレベルに比して高い位置に作業床4の床面のレベルを設定する場合を例示しているが、工程スペースの床レベル(GLレベル)からさらに掘り下げた部分(所謂、トラフ)を設ける態様として、作業床4の床面のレベルをGLレベルと同じにしつつ、トラフ内に各案内部2・2・・・や駆動部3等を収容する態様とすることも可能である。
また、本実施形態に係る台車式搬送装置1では、作業床4の上において、湾曲した推進経路Sに沿って台車6を走行させることができるため、図5に示すように、台車6の走行経路Kがカーブ状となっている部位にも作業工程(例えば、図5中に示す部品α組付工程および部品β組付工程)を配置することができる。
これにより、従来に比して、ワークの搬送経路に対してより柔軟なレイアウトで作業工程を配置することが可能になるとともに、有効に活用できる工程スペースを増大させることができる。
即ち、本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置1において、駆動部3を、台車6の走行面である床部材4aを境界として、該台車6が配置される側とは反対側(本実施形態では、床部材4aの床下)に配置するものである。
このような構成により、工程スペースをより有効に活用することができる。
図1および図6に示す如く、推進部5は、駆動部3により付与される摩擦力を推進力として、複数の案内部2・2・・・によって形成される推進経路Sに沿って推進される部位であり、被駆動部材5a、係止部材7・8、第一連結部9、第二連結部10等によって構成されている。
図6に示す如く、推進部5の主要部を構成する被駆動部材5aは、推進経路Sの方向を長さ方向とする帯状の鋼板からなる部材であり、外力が作用すると厚み方向に弾性変形可能であるとともに、外力が作用しなくなると、元の略平板状の形状に復元する性質を有している。
このように被駆動部材5aの形状を帯状とすることによって、例えば、被駆動部材の形状が略棒状である場合に比して、被駆動部材5aを水平方向に湾曲させることがより容易であり、また、被駆動部材5aをもとの平板状の形態に復元させることも容易である。このため、被駆動部材5aを弾性変形させる場合における該被駆動部材5aの形状としては、帯状の形状が適している。
尚、本実施形態では、台車式搬送装置1における被駆動部材5aの形状を帯状とする場合を例示しているが、被駆動部材5aの形状は、必ずしも帯状でなくともよく、その他の形状(例えば、棒状等)の弾性部材を採用することも可能である。
また、被駆動部材5aに使用する素材の種類としては、例えば、焼入れリボン鋼等の鋼板を採用するのが好適であり、推進経路Sの形状が湾曲している場合には、その曲率に沿って容易に弾性変形させることができ、また、推進経路Sの形状が直線状である場合には、容易に平板状に精度良く復元することができる。
尚、本実施形態では、被駆動部材5aの素材として、焼入れリボン鋼を採用する場合を例示しているが、弾性変形可能な素材であれば、種々の素材を被駆動部材5aを構成する素材として採用することが可能である。
即ち、本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置1において、推進部5は、帯状の部材である被駆動部材5aを用いる構成としている。
このような構成により、推進部5を推進経路Sに沿って、容易に変形させることができる。
また、本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置1においては、帯状の部材である被駆動部材5aを、焼入れリボン鋼帯等の鋼板により構成している。
このような構成により、カーブ状の推進経路Sに沿って、推進部5を容易に変形させるとともに、直線状の推進経路Sに沿って、推進部5を容易に平板状に復元することができる。
また、被駆動部材5aの上方の辺部(即ち、鉛直方向案内ローラ2bと当接する辺部に対する対辺)には、上方に向けて突設する支持部5b・5cが形成されており、該支持部5b・5cにおいて、台車6を係止するための係止部材7・8を付設する構成としている。
該支持部5b・5cは、推進部5(被駆動部材5a)が各案内部2・2・・・によって案内される状態において、貫通溝4cから床面よりも上方に突出する高さに形成されており、係止部材7・8を作業床4における台車6の走行面(床面)に比して上方において、支持する構成としている。
また、各係止部材7・8には、後述する台車6の係止部6c・6dを係止するための部位である係止孔7a・8aが形成されている。
また、被駆動部材5aの推進方向に対する前端部には、第一連結部9を付設しており、被駆動部材5aの推進方向に対する後端部には、第二連結部10を付設している。
第一連結部9と第二連結部10は、推進経路Sにおいて前後に連続する推進部5・5同士を連結したり、あるいは連結を解除したりすることができる部位である。
図7(a)に示す如く、第一連結部9は、本体部9aによって、被駆動部材5aの前端部において固設されている。第一連結部9は、本体部9aに軸部9bを備えており、また該軸部9bによって上下方向に揺動可能に支持されるリンク部材9cを備えている。さらに、リンク部材9cの前端部には係止部9dを備えており、また、リンク部材9cの後端部には、ローラ部材9eを備えている。
また、第二連結部10は、本体部10aによって、被駆動部材5aの後端部において固設されている。第二連結部10は、本体部10aに軸部10bを備えており、また該軸部10bによって上下方向に変位可能に支持される係止部材10cを備えている。
尚、各連結部9・10の幅方向の寸法は、床部材4aに形成される貫通溝4cの幅に比して十分に大きいため、推進部5の推進時において、被駆動部材5aが上方に浮き上がることは確実に防止される。
また、台車式搬送装置1では、床部材4aの下面において、下方に突出するライナー部材4dが適宜設けられている。
このライナー部材4dは、第一連結部9のローラ部材9eと接触可能な位置に配置されており、ライナー部材4dが存在する部位においては、ローラ部材9eがライナー部材4dによって下方に押圧されて、係止部9dが上方に押し上げられるようにリンク部材9cが揺動される。
そしてこの状態で、第一連結部9を第二連結部10に押し当てると、図7(b)に示すように、まず係止部材10cの後下部に形成される傾斜面に係止部9dが押圧されることにより、係止部材10cが係止部9dによって上方に押し上げられる。その後、係止部9dが係止部材10cの前方位置まで押圧されると係止部材10cが下方に落ち込んだ状態となるため、係止部9dと係止部材10cが互いに係止し合う状態となる。
これにより、各連結部9・10が連結された状態となる。即ち、前後の各推進部5・5が、各連結部9・10によって連結される。またこの状態は、ライナー部材4dが連続して存在する限り継続される。
そして、推進経路Sにおいて連続する複数の推進部5・5・・・は、前後の各推進部5・5の第一連結部9および第二連結部10を連結させることによって、複数の推進部5・5・・・を一体的に連結することができる構成としている。
そして、このような一体的に連結された状態の複数の推進部5・5・・・は、いずれかの推進部5に駆動部3からの推進力が付与されることによって、連結された各推進部5・5・・・を一体的に推進させることができる。
例えば、図3および図5に示すように、7個の各推進部5・5・・・を各連結部9・10によって一体的に連結した場合、駆動部3により、いずれかの推進部5に推進力が付与されることによって、連結された7個の各推進部5・5・・・を一体的に推進させることができる。
一方、床部材4aの下面にライナー部材4dが存在しない部位では、ローラ部材9eがライナー部材4dによって押圧されることがないため、係止部9dが最も下側に下げられた状態となるようにリンク部材9cが揺動される。
そしてこの状態では、図7(c)に示すように、係止部材10cの下端と係止部9dの上端が距離dだけ離間するようになるため、係止部9dと係止部材10cが互いに係止し合うことができなくなる。これにより、各連結部9・10の連結状態が解除される。即ち、ライナー部材4dが存在しない部位では、前後の各推進部5・5が、各連結部9・10によって連結されないため、各推進部5・5・・・が隙間なく連続していれば、駆動部3から付与される推進力により、各台車6・6・・・を走行させることも可能であるとともに、作業者の力によって台車6を押し進めることによって、駆動部3による推進力から切り離した状態で、各推進部5・5・・・を単独で推進することも可能である。
このように台車式搬送装置1では、複数の推進部5・5・・・を一体的に推進させたい工程部分と、複数の推進部5・5・・・をそれぞれ独立して推進させたい工程部分とを、ライナー部材4dを設けるか否かの設定によって容易に変更することが可能であるため、工程レイアウトの変更等により柔軟に対応することが可能である。
図1および図8に示す如く、台車6は、推進部5に対して係止されており、該推進部5に対して付与される推進力に従って、走行面上を走行する部位であり、本体部6a、走行車輪6b・6b・・・、係止部6c・6d等を備えている。また、本体部6aの上面には、ワーク11を載置するための平面部である載置面6eを形成している。
走行車輪6b・6b・・・は、本体部6aの脚部に対して、該走行車輪6bの軸心が水平面内で回転可能な態様で付設されており、台車6の走行方向を自由に変更できる構成としている。
係止部6c・6dは、本体部6aから下方に向けて突設される部位であり、台車6を床部材4a上の走行面に配置した状態において、各係止部6c・6dの下端の高さが、係止部材7・8の上端面よりも低く、かつ、床部材4aの床面よりも高くなる構成としている。
そして、台車式搬送装置1では、台車6と推進部5は一対の関係となっており、台車6が備える係止部6c・6dを、推進部5に付設される係止部材7・8によって係止する構成としている。このように、台車6を二点支持することによって、常に推進経路Sに対して略平行な姿勢を保持しつつ走行させることができる構成としている。
また、本実施形態において、係止孔7aの内径は、係止部6cの外径に対応しており、該係止部6cを挿通可能な内径としている。また同様に、係止孔8aの内径は、係止部6dの外径に対応しており、該係止部6dが挿通可能な内径としている。
また、推進経路Sが湾曲している部位において、被駆動部材5aが推進経路Sに沿って湾曲すると、各係止孔7a・8aの離間距離が変化するため、この変化量を吸収することができるように、係止孔8aの内径は、係止部6dの外径に比して若干余裕を持たせて大きめの内径としている。
次に、本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置1における、台車6の走行状況について、図9および図10を用いて説明をする。
図9(a)に示す如く、本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置1では、案内部2・2・・・によって形成される推進経路Sに沿って、各推進部5・5・・・が推進される。
各推進部5・5・・・は、前後の各推進部5・5が、各連結部9・10で互いに連結されることにより、一体化された状態で推進される。
また、推進部5には、係止部材7・8が付設されており、推進部5が推進経路Sに沿って推進されることによって、係止部材7・8もそれに伴って、作業床4よりも上部において、推進経路Sに沿って推進される。
台車6には、係止部材7・8にそれぞれ対応する係止部6c・6dが備えられており、各係止部6c・6dを各係止部材7・8に形成される各係止孔7a・8aに挿通することによって、各係止部材7・8で、台車6を係止することができる。
そして、各係止部材7・8が、作業床4上を推進経路Sに沿って推進されるのに伴って、推進経路Sに沿う作業床4上の走行経路Kにおいて、各台車6・6・・・の間隔を略一定に保持しながら、各台車6・6・・・を走行させることができる。
ここで、台車式搬送装置1において、推進部5の被駆動部材5aは、板厚方向に可撓性を有し(図6(a)参照)、弾性変形することが可能な構成としているため、推進経路Sの湾曲状況に沿って被駆動部材5a自体を湾曲させることが可能である。
このため、図10に示すように、台車式搬送装置1を用いれば、例えば、複数のカーブ部が連続するような推進経路S(図10中の矢印Pで示す部位)であったり、また、曲率半径がR1・R2と異なるカーブ部が連続するような推進経路S(図10中の矢印Qで示す部位)であったり、さらには、曲率半径がR1・R2に比してより小さい曲率半径R3であるカーブ部を備えるような推進経路S(図10中の矢印Rで示す部位)であっても、推進部5の構成を変更せずに、案内部2の配置位置、配置数、配置ピッチ等の変更によって容易に対応することが可能であり、所望する作業工程の配置に対して、より柔軟に対応することができる。
また、台車式搬送装置1においては、床部材4aよりも上方には、係止部材7・8と台車6のみが露出しており、また、係止部材7・8を、台車6の下部に隠すこともできる。さらに、床部材4aに形成されている貫通溝4cは、被駆動部材5aの厚みより若干幅が広い程度の微小な隙間とすることができるため、台車式搬送装置1を用いた場合には、フラットで作業性のよい工程スペースを実現することができる。
即ち、本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置1は、摩擦力が付与されて推進される部位である推進部5と、該推進部5に連結される台車6と、推進部5の推進方向を規制して推進経路Sを形成する複数のガイド部材である案内部2・2・・・と、推進部5に対して、推進部5の推進方向に向けて摩擦力を付与する駆動部3と、を備え、推進部5に付与される摩擦力を推進力として、推進経路Sに沿って、台車6を走行させるものであって、推進部5を、推進経路Sの曲率に沿って弾性変形する弾性部材である被駆動部材5aによって構成するものである。
このような構成により、台車6の走行経路Kが湾曲している場合であっても、別途搬送装置を用いることなく、走行経路Kに沿って台車6を走行させることができる。
また、本発明の一実施形態に係る台車式搬送装置1において、台車6の走行面(床部材4aの床面)に該走行面を貫通する溝部である貫通溝4cを推進経路Sに沿って形成し、被駆動部材5aから突設する支持部5b・5cを、貫通溝4cから、台車6の走行面(床部材4a)を境界として該台車6が配置される側(即ち、本実施形態では、床部材4aの床面上)に臨ませつつ、該支持部5b・5cに係止部材7・8を配設し、該係止部材7・8により台車6を係止して、被駆動部材5aに台車6を連結するものである。
このような構成により、台車6の走行経路Kが湾曲している場合であっても、別途搬送装置を用いることなく、簡易な構成で、走行経路Kに沿って台車6を走行させることができる。
1 台車式搬送装置
2 案内部
3 駆動部
4 作業床
5 推進部
5a 被駆動部材
6 台車
6c 係止部
6d 係止部
7 係止部材
8 係止部材

Claims (5)

  1. 摩擦力が付与されて、推進される部位である推進部と、
    該推進部に連結される台車と、
    前記推進部の推進方向を規制して推進経路を形成する複数のガイド部材と、
    前記推進部に対して推進方向に向けて摩擦力を付与する駆動部と、を備え、
    前記推進部に付与される摩擦力を推進力として、前記推進経路に沿って、前記台車を走行させる台車式搬送装置であって、
    前記推進部の前記摩擦力が付与される部位を、
    前記推進経路に沿って弾性変形する部材である弾性部材によって構成する、
    ことを特徴とする台車式搬送装置。
  2. 前記弾性部材を、
    帯状の部材とする、
    ことを特徴とする請求項1記載の台車式搬送装置。
  3. 前記帯状の部材を、鋼板により構成する、
    ことを特徴とする請求項2記載の台車式搬送装置。
  4. 前記駆動部を、
    前記台車の走行面よりも下方に配置する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の台車式搬送装置。
  5. 前記台車の走行面に該走行面を貫通する溝部を前記推進経路に沿って形成し、
    前記弾性部材から突設する支持部を、前記溝部から、前記台車の走行面を境界として該台車が配置される側に臨ませつつ、該支持部に係止部材を配設し、
    該係止部材により前記台車を係止して、前記弾性部材と前記台車を連結する、
    ことを特徴とする請求項4記載の台車式搬送装置。
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