JP5076392B2 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Description
特に、前記反応性ケイ素基としてトリアルコキシシリル基を用いた硬化性組成物は、硬化速度が速く、かつ架橋密度が高いため速硬化性の接着剤、コーティング剤、シーリング材として有用である(特許文献2参照。)。
本発明は前記事情に鑑みて、良好な接着性を有するとともに耐熱性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物を提供することを目的とする。
(Si(−X21)a(−R21)3−a)−Q21−NCO ・・・(II)
[式中、X21は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R21は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基を表し、Q21は炭素数1〜20の2価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表す。ただし、R21が複数存在するとき複数のR21は互いに同一でも異なっていてもよく、X21が複数存在するとき複数のX21は互いに同一でも異なっていてもよい。]
前記水酸基含有重合体(pP)の水酸基の総数に対する前記イソシアネート基含有化合物(U)のイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)が0.80〜1.10であることが好ましい。
前記水酸基含有重合体(pP1)の、水酸基1個あたりの数平均分子量が1000〜20000であることが好ましい。
さらに硬化触媒(B)を、前記オキシアルキレン重合体(P)の100質量部に対して、0.1〜10質量部含有することが好ましい。
本発明で用いられるオキシアルキレン重合体(P)(以下、単に重合体(P)ということもある。)は、ポリオキシアルキレン鎖にウレタン結合を介して反応性ケイ素基が結合している重合体である。
オキシアルキレン重合体(P)におけるポリオキシアルキレン鎖は、炭素数2〜6のアルキレンオキシドの開環重合により形成されたオキシアルキレンの重合単位からなるのが好ましい。具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、およびヘキシレンオキシドからなる群から選ばれる1種以上のアルキレンオキシドの開環重合により形成されたオキシアルキレンの重合単位からなるのがより好ましい。プロピレンオキシドの開環重合により形成されたオキシアルキレンの重合単位からなるのが特に好ましい。ポリオキシアルキレン鎖が2種以上のオキシアルキレンの重合単位からなる場合、2種以上のオキシアルキレンの重合単位の並び方は、ブロック状であってもよくランダム状であってもよい。
本発明の硬化性組成物は、1種の重合体(P)を含有してもよく、2種以上の重合体(P)を含有してもよい。
オキシアルキレン重合体(P)における反応性ケイ素基は、加水分解し、縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る基であり、下記一般式(III)で表される基が好ましい。
−Si(−X21)a(−R21)3−a・・・(III)。
[式中、X21は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R21は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表す。ただし、R21が複数存在するとき複数のR21は互いに同一でも異なっていてもよく、X21が複数存在するとき複数のX21は互いに同一でも異なっていてもよい。]
上式(III)におけるR21は、炭素数8以下のアルキル基、炭素数8以下のフルオロアルキル基又はフェニル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基又はフェニル基であることがより好ましい。
−Si(−X21)3 ・・・(III−1)。
上式(III−1)における3個のX21は、その好ましい態様も含めて上式(III)におけるものと同義である。該(III−1)における3個のX21は、同一の基であってもよく異なる基であってもよく、同一の基であるのが好ましい。
また上式(III)におけるaが2で、かつ上式(III)で表される反応性ケイ素基とウレタン結合との間にメチレン基が介在しているオキシアルキレン重合体(P)も、硬化が速い点で好ましい。
本発明における数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりテトラヒドロフランを移動相として測定される標準ポリスチレンを基準として換算した数平均分子量(Mn)を意味する。また、質量平均分子量(Mw)は、同様のGPCで測定した質量平均分子量(Mw)を意味する。
オキシアルキレン重合体(P)の末端基1個あたりのMnが20000以下であると押し出し性が良好となり、例えば、硬化性組成物をシーラントや接着剤として使用する場合などに作業性が良好となる。一方、オキシアルキレン重合体(P)の末端基1個あたりのMnが1000以上であると、組成物の硬化性が良好となる。
また、オキシアルキレン重合体(P)のMw/Mnは、3.0以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましい。
重合体(P)は、ポリオキシアルキレン鎖と水酸基を有する水酸基含有重合体(pP)、および下記一般式(II)で表されるイソシアネート基含有化合物(U)をウレタン化反応させて得られる重合体(P1)であることが好ましい。
(Si(−X21)a(−R21)3−a)−Q21−NCO ・・・(II)
[式中、X21は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R21は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基を表し、Q21は炭素数1〜20の2価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表す。ただし、R21が複数存在するとき複数のR21は互いに同一でも異なっていてもよく、X21が複数存在するとき複数のX21は互いに同一でも異なっていてもよい。]
上式(II)におけるX21、R21およびaは、その好ましい態様も含めて上式(III)におけるのと同義である。
上式(II)におけるQ21は炭素数1〜20の2価の有機基であり、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましい。
またイソシアネート基含有化合物(U)として、例えば1−イソシアネートメチルジメトキシメチルシランなど、上式(II)におけるaが2で、かつQ21がメチレン基であるものも、硬化が速い重合体(P1)が得られる点で好ましい。
複合金属シアン化物錯体は、有機配位子を有する複合金属シアン化物錯体が好ましい。有機配位子は、エーテル系配位子またはアルコール系配位子が好ましい。エーテル系配位子の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。アルコール系配位子の具体例としては、tert−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、iso−ペンチルアルコール、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルが挙げられる。
複合金属シアン化物錯体としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテートが特に好ましい。
水酸基含有重合体(pP1)の、水酸基1個あたりの数平均分子量(Mn)は1000〜20000が好ましく、3000〜10000がより好ましい。
該「イソシアネート基/水酸基」の値が上記範囲内であると、得られるオキシアルキレン重合体(P1)の貯蔵安定性がより良好となる。その理由は、「イソシアネート基/水酸基」の値が上記範囲内であると、得られたオキシアルキレン重合体(P1)中に水酸基が残存しても、該水酸基とオキシアルキレン重合体(P1)中の反応性ケイ素基との架橋反応が抑制され、貯蔵中の増粘が抑えられるためと考えられる。また、ウレタン化反応における副反応(アロファネート化反応、イソシアヌレート化反応等。)が抑制され、該副反応による反応性ケイ素基の生成が生じ難く、貯蔵中の増粘が生じ難いと考えられる。
本発明で用いられるイミダゾールシラン化合物(A)は下式(I)で表されるイミダゾール基と「ケイ素原子に1以上のアルコキシ基が結合しているアルコキシ基含有反応性ケイ素基」を有している。イミダゾールシラン化合物(A)を添加することにより、加熱による物性低下を抑えつつ、硬化性組成物の接着性を向上できる。
式(I)において、R2は水素原子、ビニル基または炭素数1〜5のアルキル基を表す。合成の容易性から水素、メチル基、ビニル基等が好ましい。
−Si(−OR3)n(−R4)3−n・・・(IV)。
[式中、R3、R4は、それぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。ただし、(OR3)が複数存在するとき複数の(OR3)は互いに同一でも異なっていてもよく、R4が複数存在するとき複数のR4は互いに同一でも異なっていてもよい。]
上式(IV)におけるR3、R4は、合成の容易性から、それぞれ独立にメチル基、エチル基が好ましい。nは2〜3が好ましい。
上式(IV)で表されるアルコキシ基含有反応性ケイ素基として、上記nが3であるものがより好ましい。すなわち下記一般式(IV−1)で表される基がより好ましい。
−Si(−OR3)3 ・・・(IV−1)。
上式(IV−1)におけるR3は、その好ましい態様も含めて、上式(IV)におけるR3と同義である。上式(IV−1)における3個のOR3は、同一であってもよく、異なっていてもよく、同一であるのが好ましい。
該2価の有機基は置換基を有してもよく、該2価の有機基中の第2級炭素に結合している水素原子の1以上が水酸基に置換されていることが好ましい。このような第2級炭素に結合している水酸基を、以下「2級水酸基」という。
イミダゾールシラン化合物(A)は1個以上の2級水酸基を有することが、接着性をより向上できる点で好ましい。
イミダゾールシラン化合物(A)が2級水酸基を有する場合、イミダゾールシラン化合物(A)は、同一分子内に存在するアルコキシ基含有反応性ケイ素基のアルコキシ基と2級水酸基とが縮合反応して環を形成していてもよい。または、2分子のイミダゾールシラン化合物(A)において、一方の分子内に存在するアルコキシ基含有反応性ケイ素基のアルコキシ基と、他方の分子内に存在する2級水酸基とが縮合反応して二量体を形成していてもよい。
上式(1)、(2)又は(3)におけるR1、R2は、その好ましい態様も含めて上式(I)におけるものとそれぞれ同義である。
上式(1)、(2)又は(3)におけるR3、R4およびnは、その好ましい態様も含めて上式(IV)におけるものとそれぞれ同義である。
この反応によれば、上式(1)、(2)及び(3)で表される化合物が混合物の状態で得られる。これらの化合物は、溶解度の差を利用する方法、カラムクロマトグラフィー等の既知の手段により精製され、単離できる。
本発明の硬化性組成物に硬化触媒(B)を含有させることが好ましい。硬化触媒(B)の具体例としては、有機スズ化合物、スズ以外の金属を含む有機金属化合物、金属有機アルコキシド、スズ以外の金属を含む錯体、有機アミン、その他の触媒が挙げられる。
活性の低い触媒の具体例としては、特定の、配位子中に硫黄原子を含む有機スズ化合物(クロンプトン社製商品名UL−29、日東化成社製商品名ネオスタンU−860等。)が挙げられる。
硬化性組成物は、上記重合体(P)、イミダゾールシラン化合物(A)および硬化触媒(B)の他に、必要に応じて、以下に説明する充填剤、可塑剤、脱水剤、チキソ性付与剤、老化防止剤を含有していてもよい。また、イミダゾールシラン化合物(A)以外に接着性付与剤を含有してもよい。
更に、表面改質剤、溶剤、フェノキシトリメチルシランなど加水分解によりトリメチルシラノールを発生する化合物などのモジュラス調整剤、桐油などの空気によって硬化する化合物、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの光によって硬化する化合物、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料およびフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料を含有していてもよい。顔料の使用は、着色のみならず耐候性の向上という目的でも効果的である。また、公知の難燃剤や防かび剤などを硬化性組成物に添加するともできる。塗料用途に使用されている艶消し剤を添加することも可能である。硬化性組成物は、これらに限らず、必要に応じて他の添加剤を含有していてもよい。
充填剤の具体例としては、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、表面を脂肪酸や樹脂酸系有機物で表面処理した膠質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム;フュームドシリカ;沈降性シリカ;表面シリコーン処理シリカ微粉体;無水ケイ酸;含水ケイ酸;カーボンブラック;炭酸マグネシウム;ケイソウ土;焼成クレー;クレー;タルク;酸化チタン;ベントナイト;酸化第二鉄;酸化亜鉛;活性亜鉛華;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、カーボンバルーン等の無機質の中空体;フェノール樹脂バルーン、エポキシ樹脂バルーン、尿素樹脂バルーン、ポリ塩化ビニリデン樹脂バルーン、ポリ塩化ビニリデン−アクリル樹脂バルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートバルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−アクリル系樹脂バルーン、ポリアクリロニトリルバルーン等の有機樹脂中空体;樹脂ビーズ、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤;ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤が挙げられる。これらの充填剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、硬化性組成物およびその硬化物を軽量化することができる点からは、充填剤として中空体を用いることが好ましい。また、中空体を用いることにより、組成物の糸引き性を改善して作業性を向上させることができる。中空体は単独で用いてもよいが、炭酸カルシウム等のその他の充填剤と組み合わせて用いてもよい。
充填剤を添加する場合の添加量は、オキシアルキレン重合体(P)100質量部に対して1000質量部以下が好ましく、50〜250質量部がより好ましい。
可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸イソノニル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル;ペンタエリスリトールエステルなどのアルコールエステル類;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤;塩素化パラフィン;2塩基酸と2価アルコールとを反応させてなるポリエステル類などのポリエステル系可塑剤;ポリオキシプロピレングリコールやその誘導体、例えばポリオキシプロピレングリコールの水酸基をアルキルエーテルで封止したようなポリエーテル類、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレンのオリゴマー類、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブテン、エポキシ化ポリブタジエン等のオリゴマー類等の高分子可塑剤が挙げられる。これら可塑剤は、例えば、フタル酸エステルとエポキシ可塑剤等の異なる種類の2種以上の併用も可能である。
可塑剤を添加する場合の添加量は、オキシアルキレン重合体(P)100質量部に対して1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。
硬化性組成物は、貯蔵安定性をさらに改良するために、硬化性や柔軟性に悪影響を及ぼさない範囲で少量の脱水剤を添加することできる。脱水剤としては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル等のオルトギ酸アルキル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等のオルト酢酸アルキル、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の加水分解性有機シリコン化合物、加水分解性有機チタン化合物等が挙げられる。これらの中でも、ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシランがコスト及び効果の点から特に好ましい。特に、硬化性組成物が、硬化触媒を含有した状態で防湿容器に充填された1液配合タイプとして知られる製品として取り扱われる場合、この脱水剤を用いることが有効である。
脱水剤を添加する場合の添加量は、オキシアルキレン重合体(P)100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましい。
チキソ性付与剤を含有することにより、硬化性組成物の垂れ性が改善される。このチキソ性付与剤としては、水添ひまし油、脂肪酸アミド等が挙げられ、これらの任意の量が使用される。
老化防止剤として、一般に用いられている酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤が適宜用いることができる。具体的には、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系の各化合物を老化防止剤として適宜使用できる。特に、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤から2つ又はすべてを組み合わせて使用することが、それぞれの特徴を生かして全体として効果できるため、好ましい。具体的には、3級は2級のヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系および又はホスファイト系酸化防止剤を組み合わせることが好ましい。
接着性付与剤の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシラン、エポキシ基を有するシラン、カルボキシル基を有するシラン等の有機シランカップリング剤;イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)プロピルトリメトキシチタネート、3−メルカプトプロピルトリメトキチタネート等の有機金属カップリング剤;エポキシ樹脂が挙げられる。
本発明者等の知見によれば、従来の接着性付与剤であるアミノシラン類を用いると、良好な接着性は得られるものの、硬化物において加熱による物性低下が生じ易い。かかる加熱による物性低下は、特に硬化触媒としてスズ系触媒を用いる場合、または重合体(P)の反応性ケイ素基においてケイ素原子に3個のアルコキシ基が結合している場合に顕著である。
これに対して本発明の硬化性組成物にあっては、イミダゾールシラン化合物(A)を含有させたことにより、重合体(P)の反応性ケイ素基においてケイ素原子に3個のアルコキシ基が結合しており、かつ硬化触媒としてスズ系触媒を用いた場合であっても、良好な接着性と優れた耐熱性を両立できる。
本発明におけるイミダゾールシラン化合物(A)の作用機構は不明であるが、イミダゾールシラン中のイミダゾール環の窒素原子とアルコキシシリル基が、被着体界面や硬化配合物に対し強く相互作用するため接着性が向上するものと考えられる。
[調製例1] オキシアルキレン重合体(P)の調製
撹拌機付きステンレス製10000mlの耐圧反応器内に、開始剤としてポリオキシプロピレンジオール(Mn=1000)の300gと、グライムを配位子とする亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒の1000mg(金属量として8.0mg)投入した。反応器を窒素置換後、140℃に昇温し、プロピレンオキシドの50gを反応器内に供給して反応させた。反応器内の圧力が低下した後、プロピレンオキシドの4500gを約80g/hrの速度で反応器内に供給した。6時間20分かけてプロピレンオキシドの供給を終了し、さらに1時間撹拌を続けた。その間、反応器の内温を140℃、撹拌速度を500rpmに保ち反応を進行させた。この反応によって得られたポリエーテルポリオール(pP−A)の数平均分子量(Mn)は、16000であった。
前記調製例1において、開始剤の使用量を500gに変更し、触媒をtert−ブチルアルコールを配位子とする亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒の250mg(金属量として2.0mg)に変更した他は調製例1と同様にして、Mnが10000のポリエーテルポリオール(pP−B)を得た。
次いで、上記で得られたポリエーテルポリオール(pP−B)を用い、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランの添加量を86.4gに変更したほかは調製例1と同様にしてオキシアルキレン重合体(P−B)を得た。得られたオキシアルキレン重合体(P−B)のMnは12000であり、Mw/Mnは1.20であった。
上記調整例で得たオキシアルキレン重合体(P−A)、(P−B)および市販の成分を用い、表1に示す配合で硬化性組成物を調製し、特性を評価した。表1における配合割合の単位は「質量部」である。
(実施例1)
調製例1で得られたオキシアルキレン重合体(P−A)の100質量部に対し、充填材として表面処理炭酸カルシウム(白石工業社製、製品名:白艶華CCR)の75質量部と、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、製品名:ホワイトンSB)の75質量部、可塑剤としてフタル酸ビス−2−エチルヘキシルの40質量部、およびチキソ性付与剤として水添ひまし油(楠本化成社製、製品名:ディスパロン6500)の3質量部を加えて、遊星式撹拌器(クラボウ社製)で撹拌した。混合物の温度を室温まで下げ、3本ロールで更に均一な混合物とした。
この後、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン(信越化学社製、製品名:KBM−1003)の3質量部、および接着性付与剤として3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、製品名:KBM−403)の1質量部を加えて撹拌した後、イミダゾールシラン化合物(A)としてIS1000(製品名、日鉱マテリアルズ社製、)の1質量部を添加して撹拌した。この後、硬化触媒としてジブチルスズジラウレートの1質量部加えて撹拌し、硬化性組成物を得た。
オキシアルキレン重合体およびイミダゾールシラン化合物(A)を、表1に示すとおりに変更したほかは実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
イミダゾールシラン化合物(製品名:IM10000およびIA100A)はいずれも日鉱マテリアルズ社製である。
実施例1、2において、イミダゾールシラン化合物(A)を用いず、その代わりにアミノシラン類(N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製、製品名:KBM603)を用いたほかは実施例1、2とそれぞれ同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例3、4)
実施例1、2において、本発明におけるイミダゾールシラン化合物(A)を用いないほかは実施例1、2とそれぞれ同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例5、6)
実施例1において、イミダゾールシラン化合物(A)を用いず、その代わりにアクリルシラン(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製、製品名:KBM503)、イソシアネートシラン(3−プロピルトリメトキシシリルイソシアネート、GE東芝シリコーン社製、製品名:SILQUEST Y5187)を用いたほかは実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
実施例1〜5および比較例1〜6で得られた硬化性組成物を厚さ約2mmのシート状とし、23℃、湿度50%にて7日間硬化養生した。この後、50℃、湿度65%にて7日間養生し、養生装置から各試験体を取り出した。この試験体を23℃、湿度50%の条件下に1日放置した後、得られた硬化物について後述のダンベル試験を行い、初期養生における測定値を得た。
一方、前記と同様にして50℃、湿度65%にて7日間養生した後、養生装置から取り出さず、さらに90℃で1週間養生して養生装置から各試験体を取り出した。この試験体を23℃、湿度50%の条件下に1日放置した後、得られた硬化物について後述のダンベル試験を行い、耐熱養生における測定値を得た。測定結果を表1に示す。
シート状の硬化物を3号ダンベルの形状に打抜いたサンプルについて、JIS K6251に準拠する方法で引張試験を行った。測定は引張速度500mm/分で行い、50%引張時の応力(表には「M50」と記載する。単位:N/mm2)、最大伸び(単位:%)および最大引張応力(表には「Tmax」と記載する。単位:N/mm2)を測定した。
被着体との接着性を確認するため、実施例1〜5および比較例1〜6で得られた硬化性組成物を用い、JIS A5758に準拠する方法でH型試験体を作成した。被着体としては、表面陽極酸化アルミニウムを用いた。サンプル2個についてH型試験体の引張測定を行い、硬化物の破壊形態を目視にて観察した。界面剥離が生じず、硬化物の破断が生じたサンプルの数から、凝集破壊率を求めた。この凝集破壊率が高いほど、引張りによる硬化物の切断(破壊)が発生しており、被着体との接着性が良好であることを意味する。
これに対して、イミダゾールシラン化合物(A)に代えてアミノシラン類を用いた比較例1、2では、接着性は良好であったものの、M50の測定値が、初期養生と比べて耐熱養生で顕著に低下しており、長期加熱により弾性が劣化したことがわかる。
イミダゾールシラン化合物(A)およびアミノシラン類のいずれも添加しなかった比較例3、4では、硬化物と被着体との接着性が悪かった。
イミダゾールシラン化合物(A)に代えて、一般的な接着性付与剤として知られているアクリルシランまたはイソシアネートシランを用いた比較例5、6では、耐熱性はほぼ良好であったものの、硬化物と被着体との接着性が悪く、本発明にかかる硬化性組成物においては接着性向上効果が得られなかった。
Claims (6)
- ポリオキシアルキレン鎖にウレタン結合を介して反応性ケイ素基が結合しているオキシアルキレン重合体(P)、および
下記一般式(I)で表されるイミダゾール基と「ケイ素原子に1以上のアルコキシ基が結合しているアルコキシ基含有反応性ケイ素基」を有するイミダゾールシラン化合物(A)を含有し、
前記イミダゾールシラン化合物(A)が、下記一般式(1)、(2)又は(3)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上であり、
前記オキシアルキレン重合体(P)の100質量部に対して、前記イミダゾールシラン化合物(A)を0.1〜10質量部含有することを特徴とする硬化性組成物。
- 前記オキシアルキレン重合体(P)が、ポリオキシアルキレン鎖と水酸基を有する水酸基含有重合体(pP)と、下記一般式(II)で表されるイソシアネート基含有化合物(U)をウレタン化反応させて得られる重合体(P1)である請求項1に記載の硬化性組成物。
(Si(−X21)a(−R21)3−a)−Q21−NCO ・・・(II)
[式中、X21は炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、R21は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基を表し、Q21は炭素数1〜20の2価の有機基を表し、aは1〜3の整数を表す。ただし、R21が複数存在するとき複数のR21は互いに同一でも異なっていてもよく、X21が複数存在するとき複数のX21は互いに同一でも異なっていてもよい。] - 前記水酸基含有重合体(pP)の水酸基の総数に対する、前記イソシアネート基含有化合物(U)のイソシアネート基の総数のモル比(イソシアネート基/水酸基)が0.80〜1.10である、請求項2に記載の硬化性組成物。
- 前記水酸基含有重合体(pP)が、複合金属シアン化物錯体の存在下、活性水素原子を有する化合物にアルキレンオキシドを開環重合させて得た水酸基含有重合体(pP1)である、請求項2または3に記載の硬化性組成物。
- 前記水酸基含有重合体(pP1)の、水酸基1個あたりの数平均分子量が1000〜20000である、請求項4に記載の硬化性組成物。
- さらに硬化触媒(B)を、前記オキシアルキレン重合体(P)の100質量部に対して、0.1〜10質量部含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
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