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JP5072473B2 - 壁面構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物内外壁における壁面構造体に関するものである。
建築物の内外壁等においては、美観性が高く、個性的な意匠性を表出する仕上げを望む声が強くなってきている。最近では、特に、石材調、砂岩調等の自然の風合いを表出できる装飾性塗材への期待が高まっている。このような装飾性塗材は、一般に、合成樹脂を結合材とし、その中に自然石の粉砕物や、陶磁器の粉砕物、着色骨材等の各種骨材を混合したものであり、骨材の種類や配合比率を調整することによって、様々な意匠性を表出することが可能である。
ところで、建築物の表面に用いられる基材のうち、コンクリート、モルタル等のセメント基材は、基材自体の収縮、基材への荷重等の影響により、経時的にひび割れが生じるおそれがある。また、サイディングボード、ALC板、有機フォーム板等の建材で構成される壁面では、建材どうしの継目部分が温度、湿度等の変化によって変位しやすい。このような基材に対して、装飾性塗材を塗付すると、基材の変位に追従できず、塗膜に割れが生じる場合がある。
下地の変位に追従可能な装飾性塗材としては、例えば、特開平5−200354号公報に開示されたものが挙げられる。該公報に開示された塗材では、結合材として、乾燥時に弾性を有するアクリル共重合樹脂等を用いることで、その形成塗膜に追従性を付与し、割れの発生を抑制している。しかしながら、該公報のように、単に結合材として弾性タイプのものを使用するのみでは、下地への追従性能が付与される反面、ほこり、塵、排気ガス等の汚染物質が付着しやすくなり、あまり実用的ではない。
下地の変位に起因する装飾性塗膜の割れを防止するには、装飾性塗膜の膜厚を大きくする手法も有効である。しかし、この場合は、塗膜の乾燥過程(塗膜形成初期段階)において、割れが生じやすくなるという問題が生じてしまう。
特開平5−200354号公報
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、石材調、砂岩調等のような装飾性の高い外観が形成でき、下地基材の変位に対して追従可能な性能を有するとともに、塗膜形成初期段階での割れ発生も抑えることができる手法を提供することを目的とするものである。
これらの課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を行い、第1塗膜層及び第2塗膜層により装飾層を形成し、第2塗膜を非連続塗膜とし、さらに第2塗膜に大粒径の粒状物を散在させることにより、塗膜形成時ないし塗膜形成後における塗膜内の応力が緩和され、耐割れ性を高めることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記の特徴を有するものである。
1.建築物壁面を構成する基材の表面に装飾層が設けられた壁面構造体において、
前記装飾層は、全面に亘って設けられた第1塗膜層と、
当該第1塗膜層上に1〜100mmの間隙を介して非連続に設けられた第2塗膜層からなり、
前記第1塗膜層は、ガラス転移温度−20〜40℃の合成樹脂エマルション及び粒子径1mm未満の有色粉粒体を、それぞれ固形分比率100:(200〜1500)で含む第1塗材により形成されたものであり、
前記第2塗膜層は、ガラス転移温度0〜60℃の合成樹脂エマルション、粒子径1mm未満の有色粉粒体、及び粒子径mm以上の骨材を、それぞれ固形分比率100:(200〜1500):(10〜500)で含む第2塗材により形成されたものであることを特徴とする壁面構造体。
2.前記第1塗膜層の乾燥膜厚は0.3〜3mm、前記第2塗膜層の乾燥膜厚は1〜10mmであり、前記第1塗膜層と前記第2塗膜層の乾燥膜厚の比は1:1〜1:10であることを特徴とする1.記載の壁面構造体。
本発明によれば、装飾塗膜の塗膜形成時ないし塗膜形成後におけるひび割れ発生を防止することができる。さらに、本発明における装飾塗膜は、独自の美観性を表出することもできる。
以下、本発明をその実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明の壁面構造体の一例を図1に示す。図1では、基材1に対し装飾層2が設けられ、装飾層2は、第1塗膜層Lと第2塗膜層Mによって構成されている。
基材1は、建築物内外壁面を構成するものである。基材1の具体例としては、コンクリート、モルタル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、石膏ボード、合板、有機フォーム板、押出成形板、鋼板等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものでもよい。本発明では特に、基材1がコンクリート、モルタル等のセメント系基材である場合、または、複数の板状建材で構成された基材である場合において、有利な効果を得ることができる。
装飾層2は、建築物内外壁面に美観性を付与するものである。図1における装飾層2は、基材1の全面に亘って設けられた第1塗膜層Lと、当該第1塗膜層上に1〜100mmの間隙Pを介して非連続に設けられた第2塗膜層Mからなるものである。
このうち、第1塗膜層Lは、ガラス転移温度−20〜40℃(好ましくは−10〜35℃)の合成樹脂エマルション及び粒子径1mm未満の有色粉粒体を必須成分とする第1塗材により形成されたものである。
合成樹脂エマルションとしては、ガラス転移温度が上記範囲内であればよく、種々の樹脂を使用することができる。この合成樹脂エマルションのガラス転移温度が高すぎる場合は、塗膜に割れが生じやすくなる。逆に、ガラス転移温度が低すぎる場合は、塗膜が汚れやすく実用性に欠くこととなり、また第2塗膜層Mに割れが生じるおそれもある。なお、本発明におけるガラス転移温度は、FOXの計算式より求められる値である。
この合成樹脂エマルションにおいて使用可能な樹脂の種類としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。このうち、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、あるいはこれらの複合系を使用すると、塗膜の耐候性を高めることができる点で好適である。
有色粉粒体は、装飾層に種々の色相を付与する成分である。本発明では、色相が異なる2種以上の有色粉粒体を組み合わせて用いることにより、多彩感を高めることができる。有色粉粒体の色相は、無彩色、有彩色のいずれであってもよく、透明性を有するものであってもよい。具体的に有色粉粒体としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒色酸化鉄、べんがら、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、ベンツイミダゾロンイエロー、フタロシアニングリーン、群青、紺青、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット等の着色顔料;重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、珪藻土、タルク、沈降性硫酸バリウム、シリカ粉等の体質顔料;天然石粉砕物、陶磁器粉、珪砂、セラミック粉、ゴム粒、金属粒等、あるいはこれらの表面を着色コーティングしたもの等の如き骨材等が挙げられる。これら有色粉粒体の粒子径は1mm未満(好ましくは0.05mm以上0.8mm以下)である。なお、本発明における粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行うことによって測定される値である。
第1塗材における合成樹脂エマルションと有色粉粒体との固形分比率は、通常100:(200〜1500)、好ましくは100:(400〜1000)とする。各成分の比率がこのような範囲内であれば、割れ防止性、意匠性等の点で好適である。
第1塗材は、本発明の効果が損われない範囲内であれば、上記成分以外の結合材、粉粒体、各種添加剤等を含むものであってもよい。
第2塗膜層Mは、ガラス転移温度0〜60℃(好ましくは5〜50℃)の合成樹脂エマルション、粒子径1mm未満以下の有色粉粒体、及び粒子径1mm以上の粒状物Nを含む第2塗材により形成されたものである。
このうち、合成樹脂エマルションとしては、ガラス転移温度が上記範囲内であれば、第1塗材と同様の樹脂を使用することもできる。ガラス転移温度については、第1塗材の合成樹脂エマルションよりも高いものも使用できる。また、ガラス転移温度が第1塗材と同一のものも使用でき、この場合はガラス転移温度0〜40℃(好ましくは5〜35℃)の樹脂を使用すればよい。有色粉粒体についても第1塗材と同様のものを使用することができる。
第2塗材では、粒子径1mm以上の粒状物Nを必須成分とする。このような粒状物Nは、第2塗膜層Mの各領域内に散在することで、塗膜の割れ防止性に寄与するものである。また、粒状物Nが、その周辺の塗膜とは異なる色調を有する場合は、アクセント的な意匠性を付与することもできる。第2塗材が粒子径1mm未満の有色粉粒体しか含まない場合は、このような効果が得られ難くなる。粒状物Nの色相は、無彩色、有彩色のいずれであってもよく、透明性を有するものであってもよい。具体的に粒状物Nとしては、例えば、天然石粉砕物、陶磁器粉、珪砂、セラミック粉、ゴム粒、金属粒等、あるいはこれらの表面を着色コーティングしたもの等の如き骨材等が挙げられる。これら粒状物Nの粒子径は1mm以上であればよいが、好ましくは2〜8mm程度である。粒状物Nとして、その周辺の塗膜と同色であるものを使用すれば、粒状物Nの存在を目立ち難くすることもできる。
第2塗膜層Mは、第1塗膜層L上に1〜100mmの間隙Pを介して非連続に設けられる。本発明では、第2塗膜層Mがこのような間隙Pを介して複数の領域に区分され、さらに各領域内において粒状物Nが散在することにより、塗膜形成時ないし塗膜形成後における応力が十分に緩和され、塗膜の割れ発生を防止することができる。また、間隙Pから現れる第1塗膜層Lは、有色粉粒体によって色彩が付与されているため、美観性の点においても好適である。
このような間隙Pは、通常50〜500mm程度の間隔で設けられることが望ましい。このような間隔であれば、割れ防止性をいっそう高めることができる。
また、本発明では、このような間隙Pで第1塗膜層Mの各領域が島状に区分されることが望ましい。各領域の形状は、通常は方形であるが、これ以外の形状であってもよく、ランダムな形状であってもよい。
第2塗材における各成分の固形分比率は、合成樹脂エマルション:有色粉粒体:粒状物が100:(200〜1500):(10〜500)となるように調整する。より好適な混合比率は、100:(400〜1000):(50〜300)である。各成分の比率がこのような範囲内であれば、割れ防止性において安定した効果を得ることができ、さらに意匠性等の点でも好適である。
第2塗材は、本発明の効果が損われない範囲内であれば、上記成分以外の結合材、粉粒体、各種添加剤等を含むものであってもよい。
装飾層2において、第1塗膜層Lの乾燥膜厚は0.3〜3mm(好ましくは0.5〜2mm)、第2塗膜層Mの乾燥膜厚は1〜10mm(好ましくは2〜8mm)とすることが望ましい。さらに、第1塗膜層Lと第2塗膜層Mの乾燥膜厚の比は1:1〜1:10(好ましくは1:2〜1:8)とすることが望ましい。各塗膜層の乾燥膜厚がこのような範囲内であれば、割れ防止性において安定した効果を得ることができる。また、装飾層2の全体的な美観性においても望ましいものである。第1塗膜層Lの乾燥膜厚が小さすぎる場合は、塗膜形成後に割れが生じるおそれがあり、逆に大きすぎる場合は、塗膜形成初期段階において割れが生じやすくなる。第2塗膜層Mの乾燥膜厚が小さすぎる場合は、粒状物Nを安定して固定化することが難しくなり、十分な割れ防止効果を得ることができない。第2塗膜層Mの乾燥膜厚が大きすぎる場合は、基材1への負荷が大きくなるため、あまり実用的ではない。
本発明では、第2塗膜層Mを非連続な状態とするとともに、第2塗膜層Mの各領域内に複数の線状凹部を設けることもできる。これにより、装飾層2における割れ防止性をいっそう高めることができる。線状凹部同士の間隔は、通常1〜100mm程度とすればよい。
装飾層2は、第1塗材、第2塗材をそれぞれ吹付け塗装、ローラー塗装、鏝塗り等の方法で塗付することによって形成できる。第2塗膜層Mを非連続とするには、第2塗膜層Mを形成する前に、第1塗膜層Lの表面を、目地材、目地形成用型枠等で部分的に覆っておき、第2塗材を塗付した後、これら目地材、目地形成用型枠等を除去する方法が好適である。このような方法により、間隙Pが形成され、格子模様、レンガ調模様等の種々の模様を形成することもできる。
第2塗膜層Mの各領域において線状凹部を形成するには、第2塗膜層Mの硬化前に、その塗膜表面に鏝等を押し当てながら骨材の一部を引きずる方法を採用すればよい。他の方法として、塗膜表面に棒状の器具を押し当てながら凹部を形成する方法等も採用できる。
本発明の壁面構造体では、必要に応じ、クリヤー塗料によるクリヤー層を形成させることも可能である。クリヤー塗料としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、アクリルシリコン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料等が挙げられる。本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、着色タイプのクリヤー塗料を使用することも可能である。クリヤー層を設けることで装飾層の経時的な割れ発生を抑制することもできる。
クリヤー塗料の塗装においては、公知の方法が採用でき、例えば、吹付け塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等の各種方法が採用できる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(塗材の製造)
・塗材A
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃)200重量部に対し、有色粉粒体(茶系着色珪砂と赤系着色珪砂と黄系着色珪砂の混合物、粒子径0.08〜0.2mm)を540重量部、造膜助剤を16重量部、増粘剤を1重量部、消泡剤を2重量部混合し、常法にて均一に攪拌して塗材Aを製造した。
・塗材B
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃)200重量部に対し、有色粉粒体(茶系着色珪砂と赤系着色珪砂と黄系着色珪砂の混合物、粒子径0.08〜0.2mm)を480重量部、有色粒状物(御影石粉砕物、粒子径4〜6mm)130重量部、造膜助剤を12重量部、増粘剤を1重量部、消泡剤を2重量部混合し、常法にて均一に攪拌して塗材Bを製造した。
・塗材C
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃)200重量部に対し、有色粉粒体(茶系着色珪砂と赤系着色珪砂と黄系着色珪砂の混合物、粒子径0.08〜0.2mm)を920重量部、造膜助剤を16重量部、増粘剤を1重量部、消泡剤を2重量部混合し、常法にて均一に攪拌して塗材Cを製造した。
・塗材D
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃)200重量部に対し、有色粉粒体(茶系着色珪砂と赤系着色珪砂と黄系着色珪砂の混合物、粒子径0.08〜0.2mm)を860重量部、有色粒状物(御影石粉砕物、粒子径4〜6mm)70重量部、造膜助剤を12重量部、増粘剤を1重量部、消泡剤を2重量部混合し、常法にて均一に攪拌して塗材Dを製造した。
・塗材E
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃)200重量部に対し、有色粉粒体(茶系着色珪砂と赤系着色珪砂と黄系着色珪砂の混合物、粒子径0.08〜0.2mm)を540重量部、有色粒状物(御影石粉砕物、粒子径4〜6mm)280重量部、造膜助剤を12重量部、増粘剤を1重量部、消泡剤を2重量部混合し、常法にて均一に攪拌して塗材Eを製造した。
・塗材F
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃)200重量部に対し、有色粉粒体(茶系着色珪砂と赤系着色珪砂と黄系着色珪砂の混合物、粒子径0.08〜0.2mm)を1600重量部、有色粒状物(御影石粉砕物、粒子径4〜6mm)130重量部、造膜助剤を12重量部、増粘剤を1重量部、消泡剤を2重量部混合し、常法にて均一に攪拌して塗材Fを製造した。
・塗材G
アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、ガラス転移温度20℃)200重量部に対し、有色粉粒体(茶系着色珪砂と赤系着色珪砂と黄系着色珪砂の混合物、粒子径0.08〜0.2mm)を480重量部、有色粒状物(御影石粉砕物、粒子径4〜6mm)5重量部、造膜助剤を12重量部、増粘剤を1重量部、消泡剤を2重量部混合し、常法にて均一に攪拌して塗材Gを製造した。
(実施例1)
上記方法によって得られた塗材A、及び塗材Bを用いて、以下の試験を行った。
(1)初期乾燥によるひび割れ抵抗性試験
600×600×6mmのスレート板に乾燥塗膜厚みが1mmとなるように塗材Aをスプレー塗装し、5時間乾燥させた後、10mm幅の目地材を150mmの間隔で格子状に貼り付けた。次いで、その上から乾燥塗膜厚みが5mmとなるように塗材Bをスプレー塗装した後、目地材を除去した。以上の方法で作製した試験体を、直ちに風速3m/s±10%に調整した風洞内に入れ、試験体を気流に平行になるように置き、6時間後に試験体を取り出し、塗膜表面におけるひび割れ発生の有無を目視によって確認した。評価は、ひび割れが生じなかったものを「○」、わずかにひび割れが生じたものを「△」、明らかにひび割れが生じたものを「×」とした。なお、試験体の塗装及び試験は、すべて標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で行った。
(2)温冷繰り返し抵抗性試験
上記(1)と同様の方法で作製した試験体を、標準状態で14日間養生した後、水浸漬(23℃)18時間→−20℃3時間→80℃3時間を1サイクルとする温冷繰返し試験を合計10サイクル行い、塗膜表面におけるひび割れ発生の有無を目視によって確認した。評価は、ひび割れが生じなかったものを「○」、わずかにひび割れが生じたものを「△」、明らかにひび割れが生じたものを「×」とした。
試験結果を表1に示す。実施例1では良好な結果を得ることができた。
(実施例2)
600×600×6mmのスレート板に乾燥塗膜厚みが1mmとなるように塗材Aをスプレー塗装し、5時間乾燥させた後、10mm幅の目地材を150mmの間隔で格子状に貼り付けた。次いで、その上から乾燥塗膜厚みが5mmとなるように塗材Bをスプレー塗装し、その塗面に鏝を押し当てながら骨材の一部を引きずることにより線状凹部を形成させた後、目地材を除去した。以上の方法で作製した試験体について、実施例1と同様の方法で試験を行った。試験結果を表1に示す。実施例2では良好な結果を得ることができた。
(実施例3)
600×600×6mmのスレート板に乾燥塗膜厚みが1mmとなるように塗材Cをスプレー塗装し、5時間乾燥させた後、10mm幅の目地材を150mmの間隔で格子状に貼り付けた。次いで、その上から乾燥塗膜厚みが5mmとなるように塗材Bをスプレー塗装した後、目地材を除去した。以上の方法で作製した試験体について、実施例1と同様の方法で試験を行った。試験結果を表1に示す。実施例3では良好な結果を得ることができた。
(実施例4)
600×600×6mmのスレート板に乾燥塗膜厚みが1mmとなるように塗材Aをスプレー塗装し、5時間乾燥させた後、10mm幅の目地材を150mmの間隔で格子状に貼り付けた。次いで、その上から乾燥塗膜厚みが5mmとなるように塗材Dをスプレー塗装した後、目地材を除去した。以上の方法で作製した試験体について、実施例1と同様の方法で試験を行った。試験結果を表1に示す。実施例4では良好な結果を得ることができた。
(実施例5)
600×600×6mmのスレート板に乾燥塗膜厚みが1mmとなるように塗材Aをスプレー塗装し、5時間乾燥させた後、10mm幅の目地材を150mmの間隔で格子状に貼り付けた。次いで、その上から乾燥塗膜厚みが5mmとなるように塗材Eをスプレー塗装した後、目地材を除去した。以上の方法で作製した試験体について、実施例1と同様の方法で試験を行った。試験結果を表1に示す。実施例5では良好な結果を得ることができた。
(比較例1)
600×600×6mmのスレート板に乾燥塗膜厚みが1mmとなるように塗材Aをスプレー塗装し、5時間乾燥させた後、10mm幅の目地材を150mmの間隔で格子状に貼り付けた。次いで、その上から乾燥塗膜厚みが5mmとなるように塗材Fをスプレー塗装した後、目地材を除去した。以上の方法で作製した試験体について、実施例1と同様の方法で試験を行った。試験結果を表1に示す。比較例1では、実施例に比べ不十分な結果となった。
(比較例2)
600×600×6mmのスレート板に乾燥塗膜厚みが1mmとなるように塗材Aをスプレー塗装し、5時間乾燥させた後、10mm幅の目地材を150mmの間隔で格子状に貼り付けた。次いで、その上から乾燥塗膜厚みが5mmとなるように塗材Gをスプレー塗装した後、目地材を除去した。以上の方法で作製した試験体について、実施例1と同様の方法で試験を行った。試験結果を表1に示す。比較例2では、実施例に比べ不十分な結果となった。
(比較例3)
600×600×6mmのスレート板に乾燥塗膜厚みが1mmとなるように塗材Aをスプレー塗装し、5時間乾燥させた後、10mm幅の目地材を150mmの間隔で格子状に貼り付けた。次いで、その上から乾燥塗膜厚みが5mmとなるように塗材Aをスプレー塗装した後、目地材を除去した。以上の方法で作製した試験体について、実施例1と同様の方法で試験を行った。試験結果を表1に示す。比較例3は、実施例に比べ不十分な結果となった。
(比較例4)
600×600×6mmのスレート板に乾燥塗膜厚みが1mmとなるように塗材Aをスプレー塗装し、5時間乾燥させた後、乾燥塗膜厚みが5mmとなるように塗材Bをスプレー塗装した。以上の方法で作製した試験体について、実施例1と同様の方法で試験を行った。試験結果を表1に示す。比較例4は、実施例に比べ不十分な結果となった。
(比較例5)
600×600×6mmのスレート板に乾燥塗膜厚みが6mmとなるように塗材Aをスプレー塗装した。以上の方法で作製した試験体について、実施例1と同様の方法で試験を行った。試験結果を表1に示す。比較例5は、実施例に比べ不十分な結果となった。
Figure 0005072473
本発明壁面構造体の一例を示す断面図である。
符号の説明
1:基材
2:装飾層
L:第1塗膜層
M:第2塗膜層
N:粒状物
P:間隙

Claims (2)

  1. 建築物壁面を構成する基材の表面に装飾層が設けられた壁面構造体において、
    前記装飾層は、全面に亘って設けられた第1塗膜層と、
    当該第1塗膜層上に1〜100mmの間隙を介して非連続に設けられた第2塗膜層からなり、
    前記第1塗膜層は、ガラス転移温度−20〜40℃の合成樹脂エマルション及び粒子径1mm未満の有色粉粒体を、それぞれ固形分比率100:(200〜1500)で含む第1塗材により形成されたものであり、
    前記第2塗膜層は、ガラス転移温度0〜60℃の合成樹脂エマルション、粒子径1mm未満の有色粉粒体、及び粒子径mm以上の骨材を、それぞれ固形分比率100:(200〜1500):(10〜500)で含む第2塗材により形成されたものであることを特徴とする壁面構造体。
  2. 前記第1塗膜層の乾燥膜厚は0.3〜3mm、前記第2塗膜層の乾燥膜厚は1〜10mmであり、前記第1塗膜層と前記第2塗膜層の乾燥膜厚の比は1:1〜1:10であることを特徴とする請求項1記載の壁面構造体。
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