JP5062722B2 - 無水・高温下に作動可能なプロトン導電性燃料電池用膜、及びその製造方法 - Google Patents
無水・高温下に作動可能なプロトン導電性燃料電池用膜、及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
(1) パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部〜200重量部、または1,2,4-トリアゾール(C)20重量部〜100重量部を配合したワニス状高分子電解質膜用前駆体を、基板上に層状に展開・延伸し、これを加熱して得られる燃料電池用高分子電解質膜。
(2) 膜厚が200μm以下である、上記(1)の燃料電池用高分子電解質膜。
(3) 膜厚が20μm〜200μmで、膜自体に自己支持性がある、上記(1)又は(2)の燃料電池用高分子電解質膜。
(4) 比導電率は、温度80〜200度にて0.001(S/cm)以上である、上記(1)〜(3)いずれかの燃料電池用高分子電解質膜。
(5) 次の工程を含んでなる燃料電池用高分子電解質膜の製造方法。
1.溶媒を用い、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部〜200重量部、または1,2,4-トリアゾール(C)20重量部〜100重量部を添加・混合し、ワニス状高分子電解質膜用前駆体を調製する工程;
2.基板上に前記ワニスを膜状に展開・延伸する工程;
3.溶媒及び水分が揮散する温度に加熱する工程。
(6) 次の工程を含んでなる燃料電池用高分子電解質膜の製造方法。
1.溶媒を用い、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部〜200重量部、または1,2,4-トリアゾール(C)20重量部〜100重量部を添加・混合し、ワニス状高分子電解質膜用前駆体を調製する工程;
2.基板上に前記ワニスを膜状に展開・延伸する工程;
3.溶媒及び水分が揮散する温度に加熱する工程。
4.基板上に形成された燃料電池用高分子電解質膜を基板から剥離する工程。
これによって無水・高温で性能が劣化することなくプロトン導電性を有する、新規な燃料電池用高分子電解質膜が提供される。
(1)溶媒を用い、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部〜200重量部、または1,2,4-トリアゾール(C)20重量部〜100重量部を添加・混合し、高分子電解質膜用前駆体(ワニス)を調製する工程;
(2)基板上に前記ワニスを膜状に展開・延伸する工程;
(3)溶媒及び水分が揮散する温度に加熱する工程。
このプロセスによって、基板の片面に高分子電解質膜が形成された燃料電池用高分子電解質膜付き基板が容易に得ることができる。
(1)溶媒を用い、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部〜200重量部、または1,2,4-トリアゾール(C)20重量部〜100重量部を添加・混合し、高分子電解質膜用前駆体(ワニス)を調製する工程;
(2)基板上に前記ワニスを膜状に展開・延伸する工程;
(3)溶媒及び水分が揮散する温度に加熱する工程。
(4)基板上に形成された燃料電池用高分子電解質膜を基板から剥離する工程。
このプロセスによって、自己支持性のある燃料電池用高分子電解質膜を容易に得ることができる。
また、本発明の製造方法によって、燃料電池用高分子電解質膜付き基板又は(自己支持性を有する)燃料電池用高分子電解質膜を容易に、安価に製造することができる。
ここで、「パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー」とは、高分子鎖内にC−F結合を含み、C−H結合を含まないポリマーで、かつスルホン酸基(−SO3H)を有するポリマーをいい、例示すれば、ナフィオン(デュポン社の登録商標)である。図1に、ナフィオンの化学構造式を示すとともに、ベンズイミゾール(b)の化学構造式を示し、図6に1,2,4-トリアゾールの化学構造式を示した。
また、「基板」は、得られた燃料電池用高分子電解質膜の剥離を前提とするガラス板やポリフッ化エチレン(テフロン)板や金属板のような支持板でも構わないし、剥離を前提としない集電板(ガス流路を有する集電板)や、電極の役目を果たすパラジウム(水素吸蔵、水素化触媒)等でも構わない。このような場合は、燃料電池用高分子電解質膜の膜厚を50μm以下の薄さとすることができる。
(1)溶媒を用い、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部〜200重量部、または1,2,4-トリアゾール(C)20重量部〜100重量部を添加・混合し、高分子電解質膜用前駆体(ワニス)を調製する工程;
(2)基板上に前記ワニスを膜状に展開・延伸する工程;
(3)溶媒及び水分が揮散する温度に加熱する工程。
なお、上記工程(3)のあとに、基板から燃料電池用高分子電解質膜を剥離する工程を加えてもよい。そうすることで、基板の片面に高分子電解質膜が形成された燃料電池用高分子電解質膜付き基板を得ることもできるし、膜のみの(自己支持性がある)燃料電池用高分子電解質膜を得ることもできる。
前記酸成分と塩基成分との混合液を調製する場合の溶媒は、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー又はベンズイミダゾールや1,2,4-トリアゾールを溶解し得る溶媒を用いることができる。ナフィオン(パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーの一種)の場合は、ナフィオン液(市販品)に含まれる溶媒(除去は不要)のほかに、これを希釈するためにイソプロパノール等の溶媒を用いることができる。ベンズイミダゾールや1,2,4-トリアゾールの溶媒としては、エタノール、メタノールやイソプロパノール等が使える。
パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(酸成分;A)に対する1,2,4-トリアゾール(塩基成分;C)の配合量は、前記酸成分(不揮発分基準)100重量部に対して20重量部〜100重量部(固体重量基準)、好ましくは100重量部である。前記塩基成分が100重量部未満では、高温(80〜160℃)側で、比導電率の十分な向上が認められなく、100重量部を越えると硬い膜になる。
(1)燃料電池用高分子電解質膜の調製
原料の一つのナフィオン液(5%溶液)はElectrochem Co., Ltd.から購入したものを用いた。また、別の原料のベンズイミダゾール(C7H6N2;MW=118.14)はAlfa Co., Ltd.から購入したもの(固体)を用いた。
ナフィオン及びベンズイミダゾールを5:1の重量比で含む高分子電解質膜用前駆体(ワニス)は、「ナフィオン液」(5%溶液)の3g(ナフィオン0.15g含有)とイソプロパノール(希釈用)15mlとの混合液(以下、ナフィオン希釈液)に、ベンズイミダゾール0.03g(イソプロパノール3mlに溶かしたもの)溶液を加え、両者を混ぜて調製した。ナフィオン及びベンズイミダゾールを5:5の重量比で含む高分子電解質膜用前駆体(ワニス)は、ナフィオン希釈液3g(ナフィオン0.15g含有)に、ベンズイミダゾール0.15g(イソプロパノール3mlに溶かしたもの)溶液を加え、両者を混ぜて調製した。ナフィオン及びベンズイミダゾールを5:10の重量比で含む高分子電解質膜用前駆体(ワニス)は、ナフィオン希釈液3g(ナフィオン0.15g含有)に、ベンズイミダゾール0.3g(イソプロパノール3mlに溶かしたもの)溶液を加え、両者を混ぜて調製した。比較(対照)としては、上記ナフィオン希釈液(ベンズイミダゾール無添加)を用いた。
得られた高分子電解質膜用前駆体(ワニス)の所定量をペトリ皿に流し込み、乾燥状態で、60℃で1日間加熱処理し、膜を生成させた(均質な膜が得られた)。更に100℃で1日間加熱処理し、残存溶媒と水分子とを完全に除去して、本発明の燃料電池用高分子電解質膜(コンポジット膜ともいう;白色不透明又は白色半透明)を得た。得られた膜の厚みはペトリ皿に流し込んだ容積に依存したが、53−154μmの範囲であった。なお本明細書で、「%」とは、特に断らない限り、重量(wt)%を意味する。
コンポジット膜および比較品における分子構造は、分解能4cm−1のダイヤモンド減衰全反射プリズム(diamond attenuated total reflection)付きIR分析で調べた。図2がその結果である。リキャスト(recast)ナフィオンフィルム((b)のBz:0%の比較品)の場合、水の吸収[ν O−H(3458cm−1)、δ O−H(1630cm−1)]、及びH3O+(1720cm−1)が見られる。これは水の遊離とともに分解して共存するRSO3 −と結合し、膜における脱水の進行とともにRSO3Hが生じたことを示唆している。
他方、ナフィオン−Bzコンポジット膜は(いずれの場合も)ナフィオン及びBzの各々の吸収ピークが見られる。ナフィオン−Bzコンポジット膜におけるBzのN−H(3100cm−1)、C−N(1620cm−1)、C−C(1454cm−1)及びN−H(748cm−1)結合である。ナフィオン−Bzコンポジット膜はO−HやH3O+のような水の吸収を示していない。しかし、脱プロトン化されたSO3 −ピークは(ナフィオン−Bzコンポジット生成後も)残っている。それゆえに、プロトンは酸残基からBzの塩基サイトへ移動し、ベンズイミダゾールのプロトン化と、スルホン化されたアニオンの形成とを引き起こし、それがこれらの分子にイオンチャンネルを形成するクーロン引力を生じさせると考えられる。
(1)燃料電池用高分子電解質膜の調製
原料の一つのナフィオン液(5%溶液)はElectrochem Co., Ltd.から購入したものを用いた。また、別の原料の1,2,4-トリアゾール(C2H3N3;MW=69.07)はAldrich Co.,Ltd.から購入したもの(固体)を用いた。
ナフィオン及び1,2,4-トリアゾールを5:1の重量比で含む高分子電解質膜用前駆体(ワニス)は、「ナフィオン液」(5%溶液)の3g(ナフィオン0.15g含有)に、1,2,4-トリアゾール0.03g(イソプロパノール0.4mlに溶かしたもの)溶液を加え、両者を混ぜて調製した。ナフィオン及び1,2,4-トリアゾールを5:2の重量比で含む高分子電解質膜用前駆体(ワニス)は、ナフィオン希釈液3g(ナフィオン0.15g含有)に、1,2,4-トリアゾール0.06g(イソプロパノール0.4mlとメタノール0.2mlに溶かしたもの)溶液を加え、両者を混ぜて調製した。ナフィオン及び1,2,4-トリアゾールを5:5の重量比で含む高分子電解質膜用前駆体(ワニス)は、ナフィオン希釈液3g(ナフィオン0.15g含有)に、1,2,4-トリアゾール0.15g(イソプロパノール0.4mlとメタノール0.2mlに溶かしたもの)溶液を加え、両者を混ぜて調製した。
得られた高分子電解質膜用前駆体(ワニス)の所定量をテフロン皿に流し込み、乾燥状態で、60℃で1日間加熱処理し、膜を生成させ(均質な膜が得られた)、本発明の燃料電池用高分子電解質膜(コンポジット膜ともいう;透明または白色不透明又は白色半透明)を得た。得られた膜の厚みはテフロン皿に流し込んだ容積に依存したが、70−110μmの範囲であった。
(2)得られたコンポジット膜の評価
Claims (6)
- パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部〜200重量部、または1,2,4−トリアゾール(C)20重量部〜100重量部を配合した高分子電解質膜用前駆体を基板上に層状に展開・延伸し、これを加熱乾燥して得られる燃料電池用高分子電解質膜。
- 膜厚が200μm以下である、請求項1の燃料電池用高分子電解質膜。
- 膜厚が20μm〜200μmで、膜自体に自己支持性がある、請求項1又は2の燃料電池用高分子電解質膜。
- 比導電率は、温度80〜200度にて0.001(S/cm)以上である、請求項1〜3いずれかの燃料電池用高分子電解質膜。
- 次の工程を含んでなる燃料電池用高分子電解質膜の製造方法。
(1)溶媒を用い、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(A)100重量部に対して、ベンズイミダゾール(B)20重量部〜200重量部、または1,2,4−トリアゾール(C)20重量部〜100重量部を添加・混合し、高分子電解質膜用前駆体を調製する工程;
(2)基板上に前記高分子電解質膜用前駆体を膜状に展開・延伸する工程;
(3)溶媒及び水分が揮散する温度に加熱する工程。 - 次の工程を更に含んでなる請求項5の燃料電池用高分子電解質膜の製造方法。
(4)基板上に形成された燃料電池用高分子電解質膜を基板から剥離する工程。
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