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JP5060248B2 - 平ベルト - Google Patents

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Description

本発明は、ベルト長さ方向に延びると共にベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線が埋設された心線保持層とそのベルト内周側に設けられたプーリ接触部たる内側ゴム層とを有する平ベルトに関する。
伝動ベルトの耐久性の向上を目的として、心線が埋設された心線保持層とその内側或いは外側のゴム層とを弾性率の互いに異なるゴム組成物で形成することが行われている。
特許文献1には、心線保持層の外側には心線保持層よりも弾性率の高いゴム層を設ける一方、心線保持層の内側には心線保持層よりも弾性率の低いゴム層を設けたVベルトが開示されている。
特許文献2には、心線保持層がベルト厚さ方向に配向した短繊維が分散して配されたゴム組成物で形成され、その内側の歯ゴム層が短繊維を含まないゴム組成物で形成された歯付ベルトが開示されている。
特許文献3には、心線保持層とそのベルト内周側に設けられたプーリ接触部たる内側ゴム層との間に、短繊維混合ゴム層が設けられた平ベルトが開示されている。
特許文献4には、熱可塑性樹脂の心線保持層とその両側の表面層のそれぞれとの間に、補強布が設けられた平ベルトが開示されている。
特開昭61−286637号公報 特開2005−180486号公報 実公平6−47155号公報 特開2001−153186号公報
平ベルトは、Vベルトのようにプーリに対するくさび効果を発現せず、プーリとの間の摩擦のみにより走行するものであるため、蛇行しやすく走行安定性が低い。そのため、平ベルト用のプーリとしては、両側にフランジが設けられたものや中心部から端部にいくに従って小径に形成されたクラウン形状のものが用いられ、それによって平ベルトの蛇行を抑制している。このような事情から、平ベルトは、主として低負荷の搬送用途や伝動用途等に用いられてきた。
ところで、近年、平ベルトの蛇行を制御することができるプーリが技術開発されており、それによって平ベルトの高負荷伝動用途への適用が期待されている。
しかしながら、従来の平ベルトをそのまま高負荷伝動用途に適用したのでは、耐久性の面で問題がある。
本発明は、高負荷伝動用途においても優れた耐久性を発現する平ベルトを提供することを目的とする。
上記の目的を達成する本発明の平ベルトは、ベルト長さ方向に延びると共にベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線が埋設された心線保持層と、該心線保持層のベルト内周側に設けられたプーリ接触部たる内側ゴム層と、を有するものであって、
上記心線保持層は、ベースゴム100質量部に対する含有量が1〜20質量部であり且つベルト幅方向に配向するように分散して配された短繊維を含むゴム組成物で形成されている一方、
上記内側ゴム層は、短繊維を含まないゴム組成物で形成され
また、上記心線保持層は、短繊維を含む未加硫ゴムの上に上記心線となる撚り糸が設けられ、その上に短繊維を含む別の未加硫ゴムが設けられ、そして、それらの未加硫ゴムの架橋反応が進行して形成されていることを特徴とする。
本発明の平ベルトは、上記心線保持層を形成するゴム組成物のベースゴムがエチレン−α−オレフィンエラストマー又は水素添加ニトリルゴムであってもよい。
本発明の平ベルトは、送風機、コンプレッサー若しくは発電機の駆動伝達用途又は搬送用途に好適である。
本発明によれば、心線保持層がベルト幅方向に配向した短繊維を含むので、ベルト走行時の摩擦熱による心線保持層のベルト幅方向の収縮変形が抑制されることとなり、それによって心線が均一に負荷分担し、また、ベルト長さ方向に対する曲げ剛性が高められること無く、ベルト幅方向の剛性が高められ、結果として、高負荷伝動用途においても優れた耐久性を得ることができる。しかも、プーリ接触部たる内側ゴム層には短繊維が含まれていないので、その表面の摩擦係数が低減されることがない。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態にかかる平ベルトBを示す。この平ベルトBは、高負荷伝動用途に好適に用いられるものであり、具体的用途としては、例えば、送風機やコンプレッサーや発電機の駆動伝達用途や搬送用途等が挙げられる。また、この平ベルトBは、JIS K6323に規定されているA型、B型、C型のVベルトの用途にも用いることができる。さらに、自動車の補機駆動用途等のVリブドベルト等の摩擦伝動ベルト用途にも用いることができる。この平ベルトBは、例えば、ベルト周長600〜3000mm、ベルト幅10〜20mm及びベルト厚さ2〜3.5mmに形成されている。
平ベルトBは、ベルト中間層を構成する心線保持層11と、ベルト内周側の内側ゴム層12と、ベルト外周側の外側ゴム層13と、を備えた3層積層構造に構成されている。また、心線保持層11には、ベルト長さ方向に延びると共にベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように心線14が埋設されている。
心線保持層11は、断面横長矩形の帯状に構成され、例えば、厚さ0.3〜1.0mmに形成されている。心線保持層11は、ベースゴムに配合剤が配合されて混練された未加硫ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されている。
心線保持層11を形成するゴム組成物のベースゴムとしては、例えば、エチレン・プロピレンゴム(EPR)やエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)等のエチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。これらのうち、ゴムの耐熱性の点から、ベースゴムはエチレン−α−オレフィンエラストマー又は水素添加ニトリルゴムであることが好ましい。
心線保持層11を形成するゴム組成物に配合される配合剤としては、例えば、架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤、老化防止剤、補強剤、充填剤、増強剤、可塑剤、加工助剤、安定剤、着色剤等が挙げられる。なお、各配合剤については、単一種で構成されていても、また、複数種で構成されていても、いずれでもよい。
架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、硫黄等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル類、ジシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等が挙げられる。有機過酸化物の含有量は、ベースゴム100質量部に対して0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましい。架橋剤として有機過酸化物を用いる場合、さらに、架橋助剤が配合されていてもよい。架橋助剤としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等が挙げられる。架橋助剤については、単一種で構成されていても、また、複数種で構成されていても、いずれでもよい。
硫黄の含有量は、ベースゴム100質量部に対して0.2〜3.5質量部であることが好ましく、1〜3質量部であることがより好ましい。架橋剤として硫黄を用いる場合、さらに、架橋促進剤を配合されていてもよい。架橋促進剤としては、例えば、N−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(OBS)等が挙げられる。架橋促進剤については、単一種で構成されていても、また、複数種で構成されていても、いずれでもよい。
老化防止剤としては、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤等が挙げられる。老化防止剤の含有量は、ベースゴム100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。
補強剤としては、例えば、ファーネスブラックやサーマルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。補強剤の含有量は、ベースゴム100質量部に対して20〜100質量部であることが好ましく、40〜80質量部であることがより好ましい。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、珪藻土等が挙げられる。充填剤の含有量は、ベースゴム100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。
増強剤としては、シリカ等が挙げられる。増強剤の含有量は、ベースゴム100質量部に対して5〜80質量部であることが好ましく、5〜60質量部であることがより好ましい。
可塑剤としては、ジブチルフタレート(DBP)やジオクチルフタレート(DOP)等のジアルキルフタレート、ジオクチルアジペート(DOA)等のジアルキルアジペート、ジオクチルセバケート(DOS)等のジアルキルセバケート等が挙げられる。可塑剤の含有量は、ベースゴム100質量部に対して0.1〜40質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましい。
加工助剤としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル等が挙げられる。加工助剤の含有量は、ベースゴム100質量部に対して0.1〜40質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましい。
心線保持層11を形成するゴム組成物にはベルト幅方向に配向するように分散して配された短繊維15が含まれている。
短繊維15としては、例えば、ナイロン6短繊維、ナイロン66短繊維、ポリエステル短繊維、綿短繊維、アラミド短繊維等が挙げられる。短繊維15については、単一種で構成されていても、また、複数種で構成されていても、いずれでもよい。
短繊維15の含有量は、ベースゴム100質量部に対して1〜20質量部であり、1〜10質量部であることがより好ましい。
短繊維15の繊維長は、0.1〜5mmであることが好ましく、0.5〜3mmであることがより好ましい。
短繊維15の引張弾性率は、1〜800CN/dtexであることが好ましく、20〜600CN/dtexであることがより好ましい。なお、この引張弾性率は、カット前のフィラメント糸について、JIS L 1013に準じて測定することができる。
短繊維15には、表面にいわゆる接着処理が施されていても、また、施されていなくても、いずれでもよい。かかる接着処理としては、例えば、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液(以下「RFL水溶液」という。)等に浸漬した後に加熱する処理やゴム糊に浸漬した後に乾燥させる処理等が挙げられる。
内側ゴム層12は、断面横長矩形の帯状に構成され、例えば、厚さ0.5〜1.5mmに形成されている。内側ゴム層12は、ベースゴムに配合剤が配合されて混練された未加硫ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されている。この内側ゴム層12がプーリ接触部を構成している。
内側ゴム層12を形成するゴム組成物のベースゴムとしては、上記心線保持層11を形成するものと同一のものが挙げられる。
内側ゴム層12を形成するゴム組成物に配合される配合剤としては、上記心線保持層11を形成するものと同一のものが挙げられる。
内側ゴム層12を形成するゴム組成物には、短繊維15が含まれていない。
外側ゴム層13は、断面横長矩形の帯状に構成され、例えば、厚さ0.5〜1.5mmに形成されている。外側ゴム層13は、ベースゴムに配合剤が配合されて混練された未加硫ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されている。この外側ゴム層13がベルト背面部を構成している。
外側ゴム層13を形成するゴム組成物のベースゴムとしては、上記心線保持層11を形成するものと同一のものが挙げられる。
外側ゴム層13を形成するゴム組成物に配合される配合剤としては、上記心線保持層11を形成するものと同一のものが挙げられる。
外側ゴム層13を形成するゴム組成物には、短繊維が含まれていても、また、短繊維が含まれていなくても、いずれでもよい。
外側ゴム層13を形成するゴム組成物に短繊維が含まれている場合、繊維種としては、心線保持層11に含まれたものと同一のものが挙げられる。短繊維の含有量は、ベースゴム100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。短繊維の繊維長は、0.1〜5mmであることが好ましく、0.5〜3mmであることがより好ましい。短繊維の引張弾性率は、1〜800CN/dtexであることが好ましく、20〜600CN/dtexであることがより好ましい。短繊維は、ベルト幅方向、ベルト長さ方向、及びベルト厚さ方向のいずれに配向するように設けられていてもよく、また、無配向に設けられていてもよい。短繊維には、表面にいわゆる接着処理が施されていても、また、施されていなくても、いずれでもよい。
心線保持層11、内側ゴム層12及び外側ゴム層13は、ベースゴムが同一種であっても、また、相互に異なっていても、いずれでもよい。
心線14は、例えば、ポリエチレンテレフタラート繊維(PET)やポリエチレンナフタレート繊維(PEN)等のポリエステル繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維等の撚り糸で構成されている。心線14は、例えば、外径が0.1〜2.0mmに形成されている。心線14の心線保持層11における埋設位置は、ベルト厚さ方向の中央であっても、また、ベルト厚さ方向の内側ゴム層12に近い側であっても、さらに、ベルト厚さ方向の外ゴム層13に近い側であっても、いずれでもよい。
心線14は、心線保持層11に対する接着性付与のために、成型加工前にRFL水溶液に浸漬した後に加熱する接着処理及び/又はゴム糊に浸漬した後に乾燥させる接着処理が施されたものであることが好ましい。
以上の構成の平ベルトBによれば、心線保持層11はベルト幅方向に配向した短繊維15を含むので、ベルト走行時の摩擦熱による心線保持層11のベルト幅方向の収縮変形が抑制されることとなり、それによって心線15が均一に負荷分担し、また、ベルト長さ方向に対する曲げ剛性が高められることなく、ベルト幅方向の剛性が高められ、結果として、小径プーリに巻き掛けられる用途においても、また、高負荷伝動用途においても、高い走行安定性及び優れた耐久性を得ることができる。しかも、プーリ接触部たる内側ゴム層12には短繊維が含まれていないので、その表面の摩擦係数が低減されることがない。
次に、上記平ベルトBの製造方法を図2に基づいて説明する。
平ベルトBの製造では、円筒形金型と、ゴムスリーブ(いずれも図示せず)を用いる。
まず、円筒形金型の外周に、外側ゴム層13を形成するための未加硫ゴムシート13’を巻き付けた後、その上に、心線保持層11の外周部分を形成するためのシート面内で一方向に配向した短繊維15を含む未加硫ゴムシート11a’を巻き付ける。このとき、短繊維15の配向方向を円筒状金型の軸方向に一致させる。
次いで、その上に、心線14となる撚り糸14’を螺旋状に巻き付けた後、その上に、心線保持層11の内周部分を形成するためのシート面内で一方向に配向した短繊維15を含む未加硫ゴムシート11b’を巻き付ける。このとき、短繊維15の配向方向を円筒状金型の周方向に一致させる。また、さらにその上に、内側ゴム層12を形成するための未架橋ゴムシート12’を巻き付ける。
しかる後、円筒状金型の成形体にゴムスリーブを被せてそれを成形釜にセットし、円筒状金型を高熱の水蒸気などにより加熱すると共に、高圧をかけてゴムスリーブを半径方向内方に押圧する。このとき、未加硫ゴム組成物が流動すると共に架橋反応が進行し、加えて、撚り糸14’のゴムへの接着反応も進行し、これによって筒状のベルトスラブが形成される。
続いて、成型釜から円筒状金型を取り出した後、円筒状金型上に形成されたベルトスラブを脱型する。
最後に、ベルトスラブの外周面及び内周面を研磨することにより内側及び外側の厚さを均一化させた後に所定幅に幅切りし、それぞれの表裏を反対にすることにより、平ベルトBを得る。
なお、本実施形態では、心線保持層11,内側ゴム層12及び外側ゴム層13の3層構造の平ベルトBとしたが、特にこれに限定されるものではなく、本実施形態の心線保持層11及び内側ゴム層12と同様の構成を有するものであれば、2層構造のものであっても、また、4層以上の構造のものであってもよい。
平ベルトについて行った評価試験について説明する。
(ゴム組成物の構成)
<心線保持層用のゴム組成物>
心線保持層用のゴム組成物として、以下のゴム組成物1〜14を混練調整した。詳細は表1にも示す。
−ゴム組成物1−
ベースゴムであるEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマーゴム)(The Dow Chemical Company製 商品名:Nordel IP 4640)と、このベースゴム100質量部に対して、カーボンブラックFEF(東海カーボン社製 商品名:シーストSO)70質量部、パラフィン系オイル(日本サン石油製 商品名:サンパー2280)10質量部、ステアリン酸(新日本理化社製 商品名:ステアリン酸50S)1質量部、酸化亜鉛(堺化学工業社製 商品名:酸化亜鉛3種)5質量部、架橋助剤(精工化学社製 商品名:ハイクロスM)2質量部及び有機過酸化物(日本油脂社製 商品名:パークミルD)5質量部からなる配合剤と、ベースゴム100質量部に対してパラアラミド短繊維(帝人製 商品名:テクノーラカットファイバーCFH3050、繊維長3mm)10質量部と、からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物1とした。
このゴム組成物1をロールで圧延して未加硫ゴムシートとしたものを、160℃で30分間プレス架橋することによりシート状の架橋ゴム組成物とし、この架橋ゴム組成物について、JIS K 6253に準じタイプAデュロメータを用いてデュロメータ硬さ試験を行ったところ、硬度は88であった。
−ゴム組成物2−
パラアラミド短繊維の配合量を1質量部としたことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物2とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ81であった。
−ゴム組成物3−
パラアラミド短繊維の配合量を2質量部としたことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物3とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ82であった。
−ゴム組成物4−
パラアラミド短繊維の配合量を5質量部としたことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物4とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ84であった。
−ゴム組成物5−
パラアラミド短繊維の配合量を20質量部としたことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物5とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ94であった。
−ゴム組成物6−
パラアラミド短繊維の代わりにメタアラミド短繊維(帝人製 商品名:コーネックスカットファイバーCFA3000、繊維長3mm)10質量部を配合したことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物6とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ86であった。
−ゴム組成物7−
パラアラミド短繊維の代わりにビニロン短繊維(ユニチカ製 商品名:CFV3010、繊維長3mm)10質量部を配合したことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物7とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ85であった。
−ゴム組成物8−
パラアラミド短繊維の代わりに綿短繊維(橋本株式会社製 商品名:デニムチッパー5、繊維長5mm)10質量部を配合したことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物8とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ82であった。
−ゴム組成物9−
パラアラミド短繊維の代わりにナイロン短繊維(旭化成社製 商品名:ナイロン6,6、繊維長3mm)10質量部を配合したことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物9とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ84であった。
−ゴム組成物10−
ベースゴムとしてEPDMの代わりにEBM(エチレンブテンモノマーゴム)(The Dow Chemical Company製 商品名:Engage ENR7380)を用いたことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物10とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ90であった。
−ゴム組成物11−
ベースゴムとしてEPDMの代わりにEOM(エチレンオクテンモノマーゴム)(The Dow Chemical Company製 商品名:Engage 8180)を用いたことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物11とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ92であった。
−ゴム組成物12−
ベースゴムとしてEPDMの代わりにH−NBR(水素添加ニトリルゴム)(日本ゼオン製 商品名:Zetpol 2010H)を用いたことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物12とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ86であった。
−ゴム組成物13−
パラアラミド短繊維を配合しないことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物13とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ79であった。
−ゴム組成物14−
パラアラミド短繊維の配合量を25質量部としたことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練し、得られたゴム組成物をゴム組成物14とした。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ96であった。
<内側及び外側ゴム層用のゴム組成物>
内側ゴム層及び外側ゴム層用のゴムとして、以下のゴム組成物15〜16を混練調整した。詳細は表1に示す。
−ゴム組成物15−
内側及び外側ゴム層用のゴム組成物15として、パラアラミド短繊維を配合しないことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練した。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ79であった。なお、このゴム組成物15は、心線保持層用の上記ゴム組成物13と同一構成である。
−ゴム組成物16−
内側及び外側ゴム層用のゴム組成物16として、パラアラミド短繊維の配合量を15質量部としたことを除いてゴム組成物1と同一構成からなる混練材料を密閉式混練機に投入して混練した。ゴム組成物1と同様に硬度を測定したところ90であった。
Figure 0005060248
(試験評価用の平ベルト)
以下の実施例1〜12及び比較例1〜4のそれぞれの平ベルトを作製した。各構成は表2にも示す。
<実施例1>
ゴム組成物1で心線保持層を形成し且つゴム組成物15で内側ゴム層及び外側ゴム層を形成した平ベルトを作製し、これを実施例1とした。
なお、心線保持層は、短繊維がベルト幅方向に配向するように形成した。また、心線をアラミド繊維(1100dtex)の撚り糸で構成し、ベルト周長を1100mm、ベルト幅を15mm及びベルト厚さを2.6mmとした。
<実施例2>
ゴム組成物2で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例2とした。
<実施例3>
ゴム組成物3で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例3とした。
<実施例4>
ゴム組成物4で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例4とした。
<実施例5>
ゴム組成物5で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例5とした。
<実施例6>
ゴム組成物6で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例6とした。
<実施例7>
ゴム組成物7で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例7とした。
<実施例8>
ゴム組成物8で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例8とした。
<実施例9>
ゴム組成物9で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例9とした。
<実施例10>
ゴム組成物10で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例10とした。
<実施例11>
ゴム組成物11で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例11とした。
<実施例12>
ゴム組成物12で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを実施例12とした。
<比較例1>
ゴム組成物13で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを比較例1とした。これは、心線保持層、内側ゴム層及び外側ゴム層の全体が同一ゴム組成物で形成されたものである。
<比較例2>
心線保持層の短繊維の配向方向をベルト長さ方向としたことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを比較例2とした。
<比較例3>
ゴム組成物14で心線保持層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを比較例3とした。
<比較例4>
ゴム組成物15で内側ゴム層及び外側ゴム層を形成したことを除いて実施例1と同一構成の平ベルトを作製し、これを比較例4とした。
内側ゴム層及び外側ゴム層は、短繊維がベルト幅方向に配向するように形成した。
(試験評価方法)
図3は、試験評価に用いたベルト走行試験機30のプーリレイアウトを示す。
このベルト走行試験機30は、上下に配設されたプーリ径120ミリの大径の平プーリ(上側が従動プーリ、下側が駆動プーリ)31,32と、それらの上下方向中間の右方に配されたプーリ径75ミリの小径の平プーリ33と、からなる。小径の平プーリ33は、ベルト内側にベルト巻き付け角度が90度となるように、それぞれ位置付けられている。
実施例1〜12及び比較例1〜4のそれぞれについて、3つの平プーリ31,32,33に巻き掛けると共に、392Nのデッドウェイトが負荷されるように小径の平プーリ33を側方に引っ張り、雰囲気温度120℃の下で、駆動プーリである下側の平プーリ32を回転数4900rpmで時計回りに回転させ、ベルト走行不可となるまでの時間をベルト耐久走行時間として測定した。
そして、比較例1のベルト耐久走行時間に対する走行時間の割合をベルト耐久性の指標とした。また、ベルト走行不可となった故障原因を観察した。
(試験評価結果)
表2は、実施例1〜12及び比較例1〜4の試験評価の結果を表す。また、短繊維の含有量のみが異なる実施例1〜5、比較例1及び比較例3の結果を、別途まとめて表3に示す。
Figure 0005060248
Figure 0005060248
表2によれば、短繊維を含むゴム組成物で心線保持層が形成された実施例1〜12と、短繊維を含まないゴム組成物で心線保持層が形成された比較例1とを比較すると、前者の方が後者よりも耐久性が優れることが分かる。
ベルト幅方向に配向するように分散して配された短繊維を含むゴム組成物で心線保持層が形成された実施例1と、ベルト長さ方向に配向するように分散して配された短繊維を含むゴム組成物で心線保持層が形成された比較例2とを比較すると、前者の方が後者よりも耐久性が優れることが分かる。
短繊維のベースゴム100質量部に対する含有量が1〜20質量部であるゴム組成物で心線保持層が形成された実施例1〜12と、短繊維のベースゴム100質量部に対する含有量が25質量部であるゴム組成物で心線保持層が形成された比較例3とを比較すると、前者の方が後者より耐久性が優れることが分かる。
短繊維を含まないゴム組成物で内側及び外側ゴム層が形成された実施例1と、短繊維を含むゴム組成物で内側及び外側ゴム層が形成された比較例4とを比較すると、前者の方が後者よりも耐久性が優れることが分かる。
従って、心線保持層が、短繊維をベースゴム100質量部に対して1〜20質量部含有し、その配向方向がベルト幅方向であるゴム組成物で形成され、且つ、内側ゴム層及び外側ゴム層が、短繊維を含まないゴム組成物で形成されることにより、優れた耐久性を得ることができる。
以上説明したように、本発明は、平ベルトについて有用である。
実施形態にかかる平ベルトの構成を示す斜視図である。 平ベルトの製造方法を示す説明図である。 ベルト試験走行機のプーリレイアウトを示す図である。
符号の説明
B 平ベルト
11 心線保持層
12 内側ゴム層
13 外側ゴム層
14 心線
15 短繊維

Claims (8)

  1. ベルト長さ方向に延びると共にベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線が埋設された心線保持層と、該心線保持層のベルト内周側に設けられたプーリ接触部たる内側ゴム層と、を有する平ベルトであって、
    上記心線保持層は、ベースゴム100質量部に対する含有量が1〜20質量部であり且つベルト幅方向に配向するように分散して配された短繊維を含むゴム組成物で形成されている一方、
    上記内側ゴム層は、短繊維を含まないゴム組成物で形成され
    また、上記心線保持層は、短繊維を含む未加硫ゴムの上に上記心線となる撚り糸が設けられ、その上に短繊維を含む別の未加硫ゴムが設けられ、そして、それらの未加硫ゴムの架橋反応が進行して形成されていることを特徴とする平ベルト。
  2. 請求項1に記載された平ベルトにおいて、
    上記心線保持層を形成するゴム組成物は、ベースゴムがエチレン−α−オレフィンエラストマー又は水素添加ニトリルゴムであることを特徴とする平ベルト。
  3. 請求項1又は2に記載された平ベルトにおいて、
    送風機、コンプレッサー若しくは発電機の駆動伝達用途又は搬送用途に用いられることを特徴とする平ベルト。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された平ベルトにおいて、
    上記心線保持層のベルト外周側に設けられ短繊維を含まないゴム組成物で形成された外側ゴム層をさらに有することを特徴とする平ベルト。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された平ベルトにおいて、
    上記短繊維がパラアラミド短繊維、メタアラミド短繊維、ビニロン短繊維、綿短繊維、又はナイロン短繊維であることを特徴とする平ベルト。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載された平ベルトにおいて、
    上記短繊維の繊維長が0.1〜5mmであることを特徴とする平ベルト。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載された平ベルトにおいて、
    上記内側ゴム層を形成するゴム組成物が、短繊維を含まないことを除いて上記心線保持層を形成するゴム組成物と同一であることを特徴とする平ベルト。
  8. 請求項4に記載された平ベルトにおいて、
    上記外側ゴム層を形成するゴム組成物が、短繊維を含まないことを除いて上記心線保持層を形成するゴム組成物と同一であることを特徴とする平ベルト。
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