JP5056241B2 - ロボットシステム制御装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、ティーチングして再生動作できる範囲は、図5,6に示されるロボットの動作範囲を越えることはできない。
例えば図7のような作業範囲外近くに作業対象がきた場合、ロボットが極端に折りたたまれてしまうなどの問題が生じる。そこで、ロボットを傾斜させる従来技術を適用することが考えられる(例えば、特許文献1参照)。これによれば、作業範囲外近くであった領域がより作業範囲内となり、ロボットに対して傾斜の下方となる領域にツールの先端部を容易に到達させることが可能となり、極端に折りたたまれてしまうなどの問題を解消することが可能となる。
そこで、ロボットを傾斜設置する台の下に地面と垂直に旋回軸を設けることで動作範囲を拡大する方法が考えられる。しかしながら、かかる構成の場合、旋回軸が実質的に冗長となるため、旋回軸とロボットの各関節角度とが一意に決まらなくなり、旋回軸とロボットを同時に動作させることができないという問題があった。一方、旋回軸を動作させて所定位置で固定し、その後、ロボットを動作させる等のように、垂直旋回軸とロボットとを独立に動作させる動作形態をとれば、旋回軸とロボットの各関節角度とをそれぞれ一意に定めることが可能となるが、その場合には、ロボットと旋回軸が独立に動作するため、サイクルタイムが延長してしまうという問題が生じる。
同様に、「前記ロボットの動作開始時の先端位置と前記入力された教示点とを正射影して求まる二点」との記載も「直前の教示点とそれに続く二番目以降の教示点とを正射影して求まる二点」と読み替えるものとする。
上記のように、旋回角度算出部が各補間点における旋回角度を定めるので、ロボットシステムにおいて旋回軸の自由度が冗長となる場合でも、各補間点におけるロボットの各関節角度をすべて一意に定めることができる。即ち、関節角度算出部は、各補間点においてロボットの先端位置が動作開始時の先端位置と教示点とを結ぶ直線に乗るように各関節角度を算出する。なお、各補間点が、動作開始時の先端位置と教示点とを結ぶ直線上のいずれに位置するかは、例えば、補間点周期に従って均一間隔に配置しても良いし、各補間点ごとの旋回角度に応じた間隔で配置しても良いし、その他の周知の補間点の配置法に従っても良い。
そして、動作制御部は、旋回角度算出部及び関節角度算出部から求まる旋回軸及び各関節の算出角度に基づいて、各補間点について順番に角度制御を行うことで、ロボットシステムが再生動作を実行する。
このように、本発明は、ロボットを旋回台に傾斜配置したことで旋回軸との協働により周囲の動作死角を低減し、動作範囲を拡大することが可能となる。
また、教示点が入力されると各補間点の旋回角度を定めるので、ロボットの各関節角度も一意に定めることができ、冗長関節の問題を解消すると共に、旋回動作とロボットの動作とを並行して行うことができ、再生時のサイクルタイムを短縮化することが可能となる。従って、動作範囲を拡大しつつ適切に動作を行うことが可能となる。
なお、旋回角度算出部と関節角度算出部の算出処理を予め済ませてから再生動作を実行しても良いし、算出処理と再生動作とを並行して行っても良い。
これにより、ロボットの動作限界により動作開始時の先端位置と教示点とを結ぶ直線上に通過できない箇所が発生しても、当該直線からロボットの先端位置が逸脱して移動することを回避することができると共に、そのような通過できない補間点を含むために移動不可能となる動作範囲を低減し、ロボットシステムの動作可能範囲をより拡大することが可能となる。
本発明の実施の形態を図1乃至図4に基づいて説明する。図1は、実施形態であるロボットシステム制御装置50の概略構成図である。
上記ロボットシステム制御装置50は、ツール15を保持可能であると共に当該ツール先端(ロボットの先端位置)を任意の位置に移動させ或いは任意の向きに向ける動作を行うロボット10と当該ロボット10を旋回させる旋回装置20とからなるロボットシステム1と、入力される教示点に基づいてロボットシステム1に再生動作を行わせる制御回路30とを備えている。
上述のロボットシステム1のロボット10は、土台となるベース11と、関節13で連結された複数のアーム部材12と、各関節13ごとに設けられた駆動源としてのサーボモータ(図示略)と、各サーボモータの軸角度をそれぞれ検出するエンコーダ(図示略)とを備えている。そして、連結された各アーム部材12の先端部14にはロボットシステム1の用途に応じたツール15(例えば溶接ガン、ハンド等)が装備される。
上記各関節13は、アーム部材12の一端部を揺動可能として他端部を軸支する揺動関節と、アーム自身をその長手方向を中心に回転可能に軸支する回転関節とのいずれかから構成される。また、最もベース11側となる第一関節は回転関節、次の第二及び第三関節は揺動関節となっており、これら第一〜三関節によりツール15の位置決めを行う。即ち、本実施形態におけるロボット10は垂直多関節構造のロボットに相当する。
かかる旋回装置20は、通常は水平面上に設置される。そして、旋回モータは旋回台21を設置面に対して垂直軸周りに旋回駆動させる。つまり、旋回軸はZ軸方向に平行になっている。また、この旋回モータはその旋回角度を検出するエンコーダ(図示略)が併設されたサーボモータであり、制御回路30により任意の旋回角度に制御されるようになっている。
制御回路30は、当該制御回路30全体を制御するシステムプログラムとロボットシステム1の教示を実行するための教示プログラム32aとロボットシステム1の再生動作を実行するための各種プログラム32b〜32dと各種の初期設定データが格納されたROM32と、ROM32に格納された各種のプログラムを実行するCPU31と、CPU31の処理により各種データをワークエリアに格納するRAM33と、CPU31の実行する教示プログラム32a及び再生のための各種プログラム32b〜32dに従って決定されるロボット10及び旋回装置20の各サーボモータのトルク値に応じたサーボモータ駆動電流を通電するサーボ制御回路34と、各サーボモータに併設されたエンコーダ出力を受信するインターフェイス35と、前述の教示プログラム32a及び再生のための各種プログラム32b〜32dの処理により求められるロボットシステム1の制御データが格納される記憶手段としての補助記憶装置36と、ロボットシステム1の教示点、その他の各種の設定を入力するための例えばティーチペンダント等の教示入力装置としての入力装置37と、各種の処理において所定の情報の表示を行うディスプレイである表示手段38と、上記各構成を信号の送受が可能に接続するバス39とを備えている。
なお、上述の補助記憶装置36は、格納されたデータを書き替え可能に記憶保持可能な手段であれば良く、例えば、不揮発性の半導体メモリ或いはいわゆるハードディスク装置等で構成されている。
制御回路30において行われる主要な処理について図2及び図3に基づいて説明する。
なお、以下の説明において、ロボットシステム1の設置面(水平面)に平行な一方向をX軸方向とし、設置面に平行でX軸方向に直交する方向をY軸方向とし、設置面に垂直な方向をZ軸方向とする。
前述の入力装置37は、少なくとも、3次元上の任意の位置にツール先端を誘導するようにロボットシステム1全体を操作する方向キーと、任意の位置を教示点として確定するための確定キーと、確定された教示点に基づく動作の再生を実行させる再生キーとを備えている。
入力装置37の方向キーの入力を受けると、教示プログラム32aによりCPU31は、ロボットシステム1の旋回モータを含む全サーボモータを制御して方向キーの示す方向にツール先端を移動させる。このときのロボットシステム1の動作制御は、方向キーの示すX,Y成分の移動量が所定範囲を超えなければロボット10のみを動作させ、X,Y成分の移動量が所定範囲を超える場合には冗長となる旋回モータが足りない移動量を補う方向に動作するように制御される。なお、旋回モータについては冗長関節についての周知の制御を行っても良い。
そして、任意の位置にツール先端が位置決めされて確定キーが入力されると、当該先端位置を教示点として補助記憶装置36に記憶する。
また、教示プログラム32aの実行に際し、入力装置37からは、教示点到達までの予定到達時間、教示点におけるツール先端の速度、その他、ロボット10が4自由度を超える場合にはツールの姿勢等が入力され、これらも補助記憶装置36に記憶される。
図2(A)はZ軸方向に沿って真上からロボットシステム1を見た場合の各点を示す概略図、図2(B)は再生動作による位置変化する場合の各点を示す概略図である。
再生キーの入力を受けると、旋回角度算出プログラム32aにより、CPU31は、ロボットシステム1の各エンコーダから動作開始位置を求めると共に記憶された教示点を読み出して、動作開始位置から教示点までの複数の補間点における旋回角度を算出する処理を実行する。補間点とは、動作開始位置から教示点までを結ぶ直線(移動軌跡Lとする)の再生動作においてロボット10のツール先端が移動軌跡L上を所定周期で通過すべき複数の通過点のことである。
まず、CPU31は、各補間点ごとに旋回モータの旋回角度は、図2(A)に示すように、教示点Kd及び動作開始位置KsについてX−Y平面に正射影された二点の位置を求め、各点からX−Y平面の原点に延びた直線同士のなす角θを算出する。そして、この角度θを教示点までの目標旋回角度に定める。
次いで、CPU31は、教示点までの到達予定時間や教示点におけるツール先端の速度から角度θだけ旋回するための加減速パターンを定める。加減速パターンは、例えば、複数種類のものが予め記憶されており、旋回角度量やその所要時間に応じて適宜選択して決定しても良い。或いはこの加減速パターンも入力装置37から入力しても良い。
そして、CPU31は、加減速パターンにより所定周期ごとの角度位置を各補間点における旋回角度として算出し、RAM33に記憶する。
このように、旋回角度算出プログラム32bを実行することによりCPU31は、「旋回角度算出部」として機能する。
さらに、CPU31は、各補間点とそれぞれの旋回角度が求まると、ロボット1の各関節角度を算出する。即ち、旋回角度が決まると、ロボット1のベース11の位置及び向きが定まり、そこからのツール先端を合わせる補間点も定まっているので、ロボット10に固有の逆変換行列を用いて各関節角度を一意に定めることが可能となる。
このように、関節角度算出プログラム32cを実行することによりCPU31は、「関節角度算出部」として機能する。
また、この再生動作制御プログラム32dによれば、CPU31は、教示点Kdに至るまでの各補間点を通過させる際に、いずれかの旋回角度においてロボット10の動作限界によりツール先端位置を対応する補間点に合わせることができない場合には、旋回を継続して対応する補間点に合わせることが可能となる旋回角度となるまでロボット10の先端位置が途中の補間点を維持するようにロボット10を制御する。
上記制御を図3により詳しく説明する。
旋回角度θ1においてロボット10のツール先端が補間点K1に合わせられた状態から次の旋回角度θ2に移行する過程において、リーチが届かない或いは構造上の動作死角に該当するなどの理由により、次の旋回角度θ2に移動すると対応する補間点K2にツール先端に合わせることができないと判断すると、CPU31は、ロボット10が旋回角度θ2に位置する状態で直前の補間点K1にツール先端を位置合わせするための各関節角度を算出し直し、当該関節角度となるようにロボット10を制御する。つまり、ロボットシステム1は旋回角度θ2において補間点K1を維持した状態となる。そして、次の旋回角度θ3において対応する補間点K3にツール先端に合わせることができるか判定を行い、できない場合には旋回角度θ2と同様に補間点K1を維持する処理を行う。図3では、次の旋回角度θ3において補間点K3にツール先端に合わせることが可能と判断された場合の動作を示している。その場合、図3に示すように、ロボット10は補間点K2を飛ばして補間点K3に至ることになる。
このように、再生動作制御プログラム32dを実行することによりCPU31は、「動作制御部」として機能する。
以下、上記構成からなるロボットシステム制御装置50におけるロボットシステム1の教示及び再生の一連の動作を図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、入力装置37の方向キーにより教示点の位置の入力が行われると(ステップS1)、CPU31は、教示プログラム32aに従って、方向キーが示す方向にロボット10のツール先端が移動するようにロボットシステム1の動作制御を実行する。そして、確定キーの入力により教示点位置が確定し、教示点到達までの予定到達時間、教示点におけるツール先端の速度等の諸条件が入力されると、それらを補助記憶装置36に記憶する。
当該補間点Tnがロボット10の動作範囲内であれば、RAM33内に設定された一時記憶領域に当該補間点Tnの値を上書きする(ステップS9)。
そして、旋回モータを補間点Tnにおける旋回角度θnとなるように制御すると共にステップS7で求めた各関節角度となるように各サーボモータを制御して(ステップS10)、ステップS13に処理を進める。
一方、補間点Tnがロボット10の動作範囲外の場合には、CPU31は、一時記憶領域に最後に記憶された補間点Tn-mを読み出すと共に、旋回角度θnに位置するロボット10のツール先端を補間点Tn-mに合わせるための関節角度を新たに算出し直す処理を実行する。
ここで、一時記憶領域は、補間点Tnがロボット10の動作範囲外である場合に、ロボット10の動作範囲内であった最後の補間点を読み出すためのものである。例えば、ステップS8において動作範囲外の判定がm回連続した場合には最後に動作範囲内と判定された補間点Tn-mの値が読み出されることとなる。
そして、旋回モータを補間点Tnにおける旋回角度θnとなるように制御すると共にステップS11で求めた各関節角度となるように各サーボモータを制御して(ステップS12)、ステップS13に処理を進める。
ロボットシステム制御装置50では、制御回路30のCPU31が旋回角度算出部として機能することにより、各補間点における旋回角度を定めるので、関節角度算出部として機能するCPU31は、ロボットシステム1において旋回軸の自由度が冗長となる場合でも、各補間点におけるロボットの各関節角度をすべて一意に定めることができる。
従って、ロボット10を旋回台21に傾斜配置したことで旋回軸との協働により周囲の動作死角を低減し、動作範囲を拡大することを可能としつつも、旋回装置20の動作停止を待ってからロボット10を駆動する必要がなくなり、旋回動作とロボット10の動作とを並行して行うことができ、再生時のサイクルタイムを短縮化することが可能となる。
なお、上記教示装置30に処理にあっては、二軸のロボット10を例示したが、図1に示すような、より多くの関節を有するロボット10に対して同様の教示処理を行っても良いことはいうまでもない。その場合、第四関節以降は、ツールの姿勢制御に用いられることが一般的であるが、教示の際には教示点におけるツールの姿勢も設定することが必要となる。そして、第四関節以降について、再生の際には、動作開始時の姿勢の各関節角度から教示点における姿勢をとるための各関節角度になるように所定の加減速パターンで回転駆動するように制御が行われる。
10 ロボット
12 アーム部材
15 ツール
20 旋回装置
21 旋回台
30 制御回路
31 CPU(旋回角度算出部、関節角度算出部、動作制御部)
32a 教示プログラム
32b 旋回角度算出プログラム
32c 関節角度算出プログラム
32d 再生動作制御プログラム
32 ROM
34 補助記憶装置(記憶手段)
37 入力装置(教示点入力装置)
50 ロボットシステム制御装置
Claims (1)
- 複数のアーム部材が複数の関節で連結されると共に前記各関節ごとに駆動源を備えるロボットと前記ロボットを傾斜状態で保持する旋回台と前記旋回台を旋回させる旋回駆動源とを備えるロボットシステムと、
前記ロボットシステムの教示点を入力するための教示点入力装置と、
前記旋回台の旋回軸に対して垂直となる平面に前記ロボットの動作開始時の先端位置と前記入力された教示点とを正射影して求まる二点が前記旋回軸回りでなす角を旋回台の目標旋回角度とし、当該目標旋回角度に基づいて、前記ロボットの動作開始時の先端位置から教示点を結ぶ直線上に点在する複数の補間点とこれらの補間点に個別に対応する前記旋回台の旋回角度を算出する旋回角度算出部と、
前記各補間点に個別に対応する前記旋回台の旋回角度に基づいて、前記ロボットの先端位置が前記各補間点を通過するように、当該ロボットの各関節角度を算出する関節角度算出部と、
前記旋回角度算出部及び関節角度算出部から求まる算出角度に基づいて前記ロボットシステムの再生時の動作制御を行う動作制御部とを備え、
前記動作制御部は、前記教示点に向かって旋回角度が推移する場合に、前記ロボットの動作限界により前記ロボットの先端位置を前記旋回角度に対応する補間点に合わせることができない場合に、対応する補間点に合わせることが可能となる旋回角度となるまでロボットの先端位置が前記直線上の途中の補間点を維持するように前記ロボットを制御することを特徴とするロボットシステム制御装置。
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