JP5052364B2 - 砕氷船プロペラ翼、砕氷船プロペラおよび砕氷船 - Google Patents
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Description
「鳴音」の発生メカニズムは、プロペラ翼の後縁部の正面と背面とから、それぞれ規則的に発生する渦(カルマン渦列)の周波数が、プロペラ翼の水中での固有振動数と共振する時に生じる音とされている。鳴音は、プロペラ性能に悪影響は無いが、その音圧レベルが大きい場合は、船内の居住空間に不快感を与え、さらには船体振動を励起して、他の船内機器に悪影響を与える場合がある。
しかしながら、鳴音の発生条件は極めて複雑であり、明確に解明されていないのが現状であることから、鳴音の発生を事前に予測する事が困難であり、実船の試運転時に初めて鳴音の発生が発覚するケースが多い。
また、プロペラ翼の翼後縁部について、(iv)先端寄りの範囲ではバック面を削り加工し、反対に、ボス寄りの範囲ではフェース面を削り加工して、鳴音の発生を防止する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、(v)背面側をカットすることにより、バック面側とピッチ面側の非対象性を強め、カルマン渦の渦場を不安定にし、渦場の強さを弱くすることをねらった、鳴音防止加工形状の影響が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
さらに、(vi)プロペラ後縁部の半径55%の位置からプロペラ先端までの範囲を、直径2mmの小さな円弧にして、断面を非対称にするエッジ処理加工を施す鳴音防止加工法が開示されている(例えば、非特許文献3参照)。
すなわち、従来の砕氷船のプロペラは、氷に接触するために、そのプロペラ羽根強度を一般船のプロペラに比べて大きくしなければならない。このため、砕氷船プロペラ翼の厚さは、砕氷船を対象とした国際的な氷海船規則でも定められており、翼の厚さは一般の船に比べて全体的に厚く、翼の後縁部についても当然厚くする事が必要となる。翼端部の厚さについては、プロペラ翼面の所定の位置での厚さが規定されていて、それ以上に薄くすることはできない(Finnish・SwedishIceClassRules,Chap.6.2Prope11ers)。
したがって、通常は、翼後縁部を許される範囲で極力薄くして、カルマン渦の発生周波数を非常に高くし、プロペラ翼の固有振動数との共振を避ける方法が採用されるが、砕氷船プロペラについては構造強度上この手法を採用できない。つまり、翼後縁部の薄さが氷の荷重に耐えられなくなり、破断・欠落することになるからである。
ちなみに、砕氷船プロペラ翼の後縁部端に要求される厚さは、プロペラ直径にもよるが、例えばプロペラ翼の直径が5m程度の場合、翼後縁部の厚さは20mm以上となるのに対し、非特許文献1に示されている「鳴音を避けるための具体的な翼後縁部の厚さ」は、1mmから1.5mm以下の値である。
前記背面が、プロペラ直径(Dp[m])および引張強度(σ[kgf/mm 2 ])によって規定される「(20+2・Dp)・√(50/σ)」または「(15+2・Dp)・√(50/σ)」であるプロペラチップ厚さ(t[m])の50%の直径(D[m])である仮想円弧部に滑らかに繋がるものであって、
前記円弧部の直径(d[m])が、前記仮想円弧部の直径(D[m])の50〜75%であって、
前記直線部が、後縁端から翼弦長(L)の5〜10%の範囲において前記背面に連続することを特徴とする。
(2)また、前記仮想円弧部の直径(D[m])が13mm〜28mmであることを特徴とする。
(3)また、本発明に係る砕氷船プロペラは、前記(1)または(2)記載の砕氷船プロペラ翼を有する。
(4)さらに、本発明に係る砕氷船は、前記(3)記載の砕氷船プロペラを有する。
(ii)また、13mm以上のオリジナル円弧部の直径(D)に対し、砕氷船プロペラ翼の円弧部の直径(d)が6.5mm以上であるから、引用発明1等に示された後端縁を形成する円弧部の直径(1〜2mm等)より大きな値となるから、翼の構造強度が保証される。
(iii)したがって、本発明に係る砕氷船プロペラおよび砕氷船は、鳴音のない快適性な航行と、翼損傷が防止された高い保全性(装置の継続使用の安定性に同じ)が保証される。
図1〜図3は、本発明の実施形態1に係る砕氷船プロペラ翼を説明するものであって、図1は平面図(左側が後縁側、右側が前縁側)、図2は断面図(図1におけるA−A断面)、図3は実施例を示す断面図(図1におけるA−A断面)である。なお、各図において、それぞれの部材は模式的に示されているため、図示されたものに限定されるものではない。また、同じ部分にはそれぞれ同じ符号を付している。
図1および図2において、本発明の実施の形態1に係る砕氷船プロペラ翼10は、断面円弧状の背面1と、背面1に対向する平面状の正面6と、後縁部において正面6に接する断面円弧状の円弧部4と、背面1にナックルポイント2において連続して円弧部4に接する断面直線状の直線部3と、を有している。
このとき、円弧部4の直径(d[m])が、背面1と正面6とを有する従来の砕氷船プロペラ翼(以下「オリジナル砕氷船プロペラ翼」と称す)における後縁部に形成される円弧部(以下「仮想円弧部」と称す)の直径(D[m]、これについては別途詳細に説明する)の50〜75%である。また、ナックルポイント2(直線部3が背面1に連続する位置に同じ)と翼後端5との距離(a)が、翼弦長(L)の5〜10%の範囲にある。
図3の(a)に示す砕氷船プロペラ翼10aは、d=50%D、a= 5%Lである。
図3の(b)に示す砕氷船プロペラ翼10bは、d=50%D、a=10%Lである。
図3の(c)に示す砕氷船プロペラ翼10cは、d=75%D、a= 5%Lである。
図3の(d)に示す砕氷船プロペラ翼10dは、d=75%D、a=10%Lである。
次に、鳴音を防止しようとする翼断面になっていないオリジナル砕氷船プロペラ翼の後端部の曲率円の直径(D)について説明する。
氷海規則(Finnish-Swedish Rule)では後縁厚さを、「後縁端部から1.25tの位置で、プロペラチップの厚さtの50%以下にならないこと」と定義している。
そして、プロペラチップ厚さtとは、プロペラ翼先端(r=1.0R)での厚さであり、以下の式で得られる値を下回らない様に決められている。
アイスクラスIASuperでは、t=(20+2・Dp)・√(50/σ)、
アイスクラスIA、IB、ICでは、t=(15+2・Dp)・√(50/σ)、
ここで、Dpはプロペラ直径(m)、σはプロペラ材料の引張強度(kgf/mm2)である。
そこで、この値から、後端部の円弧の直径(D[m])を推定するのは、各断面での翼断面形状によってプロペラ後縁端部から1.25tの位置までの形状が異なるため、正確に推定することは極めて難しいものの、ほぼ前記の値(13〜28mm)に等しいか、わずかに小さいであろうと考えられる。
したがって、本発明においては、オリジナル砕氷船プロペラにおける後縁部に形成される仮想円弧部の直径(D[m])を、13mm以上としている。
図4〜図7は、本発明の実施形態1に係る砕氷船プロペラ翼について、CFD(Computer Fluid Dynamics)を用いて実施した数値シミュレーションを説明するものであって、カルマン渦の発生の有無を確認している。なお、図4は計算格子、図5はオリジナル砕氷船プロペラ翼の翼端部計算格子、図6はオリジナル砕氷船プロペラ翼の翼後縁部(翼断面)の周りの流線、図7は砕氷船プロペラ翼10dの翼後縁部(翼断面)の周りの流線、をそれぞれ示している。
(1)計算手法
コード ;非構造格子の有限体積法
2次元乱流モデル ;標準k−ωモデル
時間刻み ;1.OE−04sec
(2)計算格子(図4参照)
トポロジー ;0−Grid
格子数 ;15200 (翼面80点、半径方向190点)
最小格子間隔 ;0.0001C
すなわち、砕氷船プロペラ翼10dにおいては、翼の周りの流れを一様にするというメカニズムによって、鳴音は発生しないと推察されるから、翼背面で流れを剥離させて、規則性のあるカルマン渦列の発生を防止するという従来のメカニズムと相違している。
図8および図9は、本発明の実施形態1に係る砕氷船プロペラ翼について模型プロペラを製作してキャビテーシヨン水槽(キャビテーションタンネル)を用いて実施した模型実験の結果であって、図8は鳴音実験結果、図9は性能実験結果を示す特性図である。
図8は、オリジナル砕氷船プロペラ翼の模型と砕氷船プロペラ翼10dで構成される模型(本発明の実施の形態に係る)とについて、回転数を変更しながら、鳴音計測を行った結果である。オリジナル砕氷船プロペラ翼の模型では10〜17rpmの回転数において鳴音が発生しているのに対して、砕氷船プロペラ翼10dで構成される模型では鳴音が消失している事が確認された。
縦軸であるプロペラ単独効率(ETAO)および横軸である前進係数(J)は、以下の式で定義されるものである。
ETAO=(J/2π)・(KT/KQ)
J=Va/(n・Dp)
KT=T/(ρ・n2・D4)
KQ=Q/(ρ・n2・D5)
ここで、KT:スラスト係数
KQ:トルク係数
T:プロペラスラスト
Q:プロペラトルク
ρ:流体密度、
n:プロペラ回転数
Dp:プロペラ直径
Va:流体のプロペラ面への流入速度
である。
2 ナックルポイント
3 直線部
4 円弧部
5 翼後端
6 正面
10 砕氷船プロペラ翼
Claims (4)
- プロペラの翼断面が、断面円弧状の背面と、該背面に対向する平面状の正面と、後縁部において前記正面に接する断面円弧状の円弧部と、前記背面に連続して前記円弧部に接する断面直線状の直線部と、を有し、
前記背面が、プロペラ直径(Dp[m])および引張強度(σ[kgf/mm 2 ])によって規定される「(20+2・Dp)・√(50/σ)」または「(15+2・Dp)・√(50/σ)」であるプロペラチップ厚さ(t[m])の50%の直径(D[m])である仮想円弧部に滑らかに繋がるものであって、
前記円弧部の直径(d[m])が、前記仮想円弧部の直径(D[m])の50〜75%であって、
前記直線部が、後縁端から翼弦長(L)の5〜10%の範囲において前記背面に連続することを特徴とする砕氷船プロペラ翼。 - 前記仮想円弧部の直径(D[m])が13mm〜28mmであることを特徴とする請求項1記載の砕氷船プロペラ翼。
- 請求項1または2記載の砕氷船プロペラ翼を有する砕氷船プロペラ。
- 請求項3記載の砕氷船プロペラを有する砕氷船。
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