<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る弾球遊技機の実施形態として、遊技場等に設置されるパチンコ機を図面に沿って説明する。なお、第1の実施の形態では、本発明の弾球遊技機を所謂第2種特別電動役物を使用したパチンコ機として述べるが、本発明はこれに限らず、後述する第2の実施の形態のような所謂第1種特別電動役物や、所謂第3種特別電動役物等を使用したパチンコ機、或いはこれらが適宜組み合わされた機能を有するパチンコ機にも適用可能であることは勿論である。
ここで、図1及び図2を参照して、パチンコ機1の概略を説明する。図1は本発明に係る実施の形態におけるパチンコ機1の外部構造を示す正面図、図2は本パチンコ機1の遊技盤及び遊技領域を拡大して示す正面図である。
図1に示すように、本パチンコ機1は、開口を有する枠体状の筐体2と、該筐体2に開閉自在に装着(支持)された前扉3とを有しており、前扉3の前面には、透明ガラス(ガラス板)6を有するガラス枠5が開閉自在に取り付けられている。透明ガラス6の奥側には、遊技盤7が配設されている。つまり、前扉3は、遊技盤7及び該遊技盤7を覆う透明ガラス6の双方を支持している。なお、本実施の形態では、透明ガラス6は図1及び図2において明確には描かれていないが(図7には透明ガラス6を部分的に表示)、該透明ガラス6は、前扉3に備えられたガラス枠5によって外周縁部を支持された状態で遊技領域7aの全域を覆い、その内面には、後述するロッド部材73の一端部73a(図7ではロッド部材81の一端部81a)が近接している。各実施の形態において、この「近接」とは、双方の間に僅かな隙間が存在する状態は勿論、完全に接触して双方の間に隙間が無い状態をも含む広い概念である。
前扉3における遊技盤7の左右上方には演出用照明装置9が配設されており、前扉3における遊技盤7の左下方にはスピーカー(図示せず)を有する放音装置10が配設されている。また、ガラス枠5における右側部には、前扉3を筐体2側に施錠/解放するための施錠装置11が配設されている。なお、筐体2及び前扉3等から遊技機本体が構成されている。
前扉3における遊技盤7の下方には上皿12が設けられており、上皿12における左上部には、賞球及び貸球を含む遊技球が供給される球供給口13が設けられ、上皿12における右上部壁面には、球貸ボタン14a及び返却ボタン14bが設けられている。
また、前扉3における上皿12の下方には下皿15が配設されており、該下皿15の右部には、球発射装置16(図5参照)を操作して遊技球を遊技領域7aに向けて打ち出すための発射ハンドル17が配設されている。更に下皿15には、上皿12からオーバーフローした遊技球が放出される球放出口19が形成されており、下皿15の左部には灰皿20が配設されている。なお、図1中の符号21は、発射ハンドル17の操作で発射された遊技球を遊技領域7aに導くガイドレールを示し、符号22はアウト口を示している。また、本パチンコ機1には、遊技中に遊技領域7aにて入賞することなく落下してアウト口22に入り込んだ遊技球をパチンコ機背面側に導くアウト球通路(図示せず)が設けられている。下皿15の手前側には、該下皿15に貯留した遊技球を下方に置いた賞球箱(図示せず)に排出するための球抜きレバー23が配設されている。
一方、遊技領域7a内に配設された入賞口は、全て遊技球が入賞した場合に所定数の遊技球を賞球するように機能するが、単に遊技球の賞球のみを行うものと、賞球以外の他の機能を有するものとが存在している。具体的には、遊技領域7aの中央左右に設けられた入賞口25と、遊技領域7aの左右下方に設けられた、後述する遊技球誘導ユニット26に配設された入賞口27とが、賞球のみ行う入賞口である。また、遊技領域7aの中央に設けられたセンター役物29の上部左右に配設される特定入賞口30と、遊技領域7aの中央下部に縦に整列されて配設される第1及び第2入賞口31,32とが、賞球以外の他の機能を有する入賞口である。なお、上記センター役物29については、図3を用いて後に詳述する。なお、上記センター役物29は、遊技領域7aに、該遊技領域7aに打ち出された遊技球Baを受け入れて機械的に当たり抽選を実行する入球役物を構成している。
図2に示すように、第1入賞口31及び第2入賞口32の左右方向に配設された遊技球誘導ユニット26は、遊技領域7aに打ち出されて落下してきた遊技球を誘導する誘導部材33と、該誘導部材33を延長させる可動部材35とにより構成されている。誘導部材33は、可動部材35と該可動部材35を駆動するソレノイド(図示せず)とを収容した状態で、遊技盤7の取付穴(図示せず)にネジ止め固定されている。可動部材35は、奥行き方向(図2の紙面奥側)に向かう略々三角柱形状を呈しており、可動部材35の最下部頂点に設けられた連結点(図示せず)を軸として回動(揺動)するように誘導部材33に支持されている。誘導部材33の上部には、遊技領域7aの中央部に向かって下降するように傾斜する遊技球誘導路36が形成されているので、遊技領域7aに打ち出されて落下してくる遊技球が、遊技球誘導ユニット26の上面側に落下した際には、該誘導路36上を遊技領域7aの中央部に向かって転動することとなる。
一方、前述したセンター役物29が有する特定入賞口30は、通常時において羽根部材37によって閉鎖されている。しかし、遊技球が、第1入賞口31又は第2入賞口32に入賞した際には、羽根部材37が後述する大入賞口ソレノイド39によって開閉駆動されることによって、一定時間(約0.5秒)だけ開放状態となる。上記羽根部材37は、遊技領域7aにおける透明ガラス6の奥側に配置されて、即ちセンター役物29に設けられて、遊技領域7aの奥行き方向(前後方向)に延びる軸38を中心に回動して開閉動作する入賞開閉部材を構成している。
すなわち、第1入賞口31及び第2入賞口32への入賞は、通常の賞球のみならず、センター役物29の特定入賞口30を開放させる条件ともなっている。具体的には、第1入賞口31に遊技球が入賞した際には、羽根部材37が駆動されることによって、特定入賞口30が1回だけ開放状態となる。また、第2入賞口32に遊技球が入賞した際には、第1入賞口31に入賞したときと同様な特定入賞口30の開放が2回実行される。これにより、第1入賞口31へ入賞したときよりも第2入賞口32に入賞したときの方が、特定入賞口30への遊技球の入賞可能性は高まる。
ところで、遊技領域7aには、センター役物29の左右上方及び左右下方にそれぞれ風車40が配設されている。また、遊技領域7aにおけるセンター役物29の周囲には、発射されてからセンター役物29に関与せずに落下してくる遊技球を適宜散らし、第1入賞口31、第2入賞口32等に対し、入球に導くようにするための多数の障害釘が打ち込まれている。なお、上記風車40、障害釘及び各種入賞口は、配設位置や数については設計に応じて適宜変更され得るものである。
次に、センター役物29について、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。図3はセンター役物29の内部領域を拡大して概略的に示すもので、(a)はVゾーン案内装置45が正面を向いた時点での正面図、(b)はVゾーン案内装置45が横方向を向いた時点での正面図である。
センター役物29の上部には、図2に示したような、本パチンコ機1の名称やロゴ等を模った装飾部材41が配設されており、その下方には、センター役物29に備えた略々台形形状の開口部42から露出されるように図柄表示装置43が配設されている。該図柄表示装置43の左右下部には、特定入賞口30を開閉する前述した羽根部材37が回動自在に配設されている。
センター役物29の特定入賞口30内方における遊技球入賞口46,47,46の直上方には、人間を模った立体造形物からなるVゾーン案内装置45が配置されている。また、左右の特定入賞口30の各直下方であってセンター役物29の左右外側部には、センター役物29を装飾する外枠部材49(図1及び図2参照)が形成され、更にそのやや内側には、図3に示すように、特定入賞口30の下方からセンター役物29の中央部を囲うような装飾性のある波形の壁部材50が形成されている。この壁部材50の下方端部、即ちセンター役物29の底部には、センター役物29に導入された遊技球を入賞させる上記遊技球入賞口46,47,46が、それぞれの開口部が水平で同じ高さとなるような横並びの状態に配設されている。
Vゾーン案内装置45は、入賞口30から導入された遊技球を遊技球入賞口46,47,46のいずれかへ誘導する誘導路51を構成している。ここで、図3に示す矢印L1,L2は、該Vゾーン案内装置45により誘導される遊技球の進路の例を示している。
遊技球入賞口46(以下、一般入賞口46ともいう)は、遊技領域7aに設けられた入賞口25,27と同様、遊技球の入賞をもって賞球される入賞口である。また、遊技球入賞口47(以下、Vゾーン入賞口47という)は、所謂一般的なVゾーンと呼ばれる特別な入賞口であり、遊技球の入賞により大当たり抽選実行の契機となり得る入賞が行われ、パチンコ機1を特定の遊技状態に移行させるものとなっている。
上記Vゾーン入賞口47への誘導路51を形成するVゾーン案内装置45は、人間の上半身を模った上部45aと、下半身を模った下部45bとから構成されており、上部45aはモータ52(図5参照)によって図3の回動軸Xを中心として矢印Eに示される向きに回動される。この上部45aには、入賞口30からの遊技球を鉛直下方に誘導する誘導路51が備えられ、下部45bには、その前面中央部に貫通穴53aを有した太鼓形状のドラム53が備えられている。
そして、上部45aが、上記矢印Eの向きに回動した際には誘導路51も回動することとなり、その回動角度によっては、図3(a)に示すように、誘導路51を通過した遊技球が矢印L1に沿ってドラム53の貫通穴53aに導入され、Vゾーン入賞口47へ高確率で入賞する。また、図3(b)に示すように、誘導路51がドラム53の直上方から外れた角度に回動されている際には、遊技球はドラム53の貫通穴53aに導入されず、その外側へと落下し、多くの場合は遊技球入賞口46に入賞することとなる。
ここで、開放状態の羽根部材37を強制的に閉止する強制閉止機構について、図1、図2及び図4を参照して説明する。なお、図4は強制閉止機構を拡大して詳細に示す斜視図であり、(a)は羽根部材37の開放時における強制閉止機構の状態を示し、(b)は強制閉止機構によって羽根部材37を閉止した状態を示している。なお、上記強制閉止機構は、後述するカム部材71とロッド部材73とから構成されている。
図4(a)に示すように、透明ガラス6の遊技領域7aでは、該遊技領域7aの前後方向(即ち、図1の紙面手前−奥方向)に周知の支持機構(図示せず)で回動自在に軸38が支持されており、該軸38には、先端部に羽根部材37の基部が孔37aを貫通させた状態で固定され、かつ後端部に連動アーム74の後端部が固定されている。該連動アーム74の先端部に対応する位置にはソレノイド75が配置されており、該ソレノイド75のプランジャ75aは連動アーム74の上記先端部にピン76を介して回動自在に連結されている。羽根部材37及び連動アーム74は、図4(a)に示すプランジャ75aの突出状態(進出位置)にあっては羽根部材37が特別入賞口30を開放する位置に回動し、図4(b)に示すプランジャ75aの退避状態(後退位置)にあっては羽根部材37が特別入賞口30を閉止する位置に回動するように軸38に対する角度を決められて固定されている。なお、本実施の形態におけるソレノイド75は、内部の圧縮スプリング(図示せず)の付勢力でプランジャ75aを突出させる一方、励磁することでプランジャ75aを吸着して内部側に後退させるように構成されている。
上記軸38の中央部には、カム部材(閉止部材、被作動部材)71が固定されている。また、軸38の下方には、長尺のロッド部材(移動部材)73を遊技領域7aの前後方向に摺動自在に移動ガイドする2枚の支持部材72が配置されている。これら支持部材72は、それぞれ案内孔72aを有しており、これら案内孔72aにてロッド部材73を遊技領域7aの前後方向に摺動自在に案内し得るように位置決めして固定されている。上記ロッド部材73は、支持部材72によって遊技領域7aの奥行き方向に移動自在に支持された状態で、羽根部材37の開放時に透明ガラス6の内面に一端部73aを近接させるように構成されており、遊技盤7a側に押圧された際の透明ガラス6の微少移動に連動して同方向に移動する。該ロッド部材73は、センター役物29の他のいずれの部位、及び遊技領域7a内にあるいずれの遊技部品よりも透明ガラス6内面側に近接しており、該透明ガラス6が不正に押し込まれた際には真っ先に一端部73aが押圧されるように構成される。
該カム部材71は、ロッド部材73の移動に連動して開放状態の羽根部材37を閉止するように構成されている。つまり、該カム部材71は、遊技盤7側に透明ガラス6が微少移動する際に一端部73aを押されるロッド部材73の他端部73bから力を受けて羽根部材37を閉止方向(図4(b)の矢印C)に回動させるように作動するものであり、ロッド部材73の他端部73bの一方向(図4(b)の矢印A方向)の押圧力を、羽根部材37を閉止する方向(図4(b)の矢印C方向)への回動力に変換する。
詳細には、カム部材71は、全体的に楕円形状に形成されてその一端側が軸38に固定され、かつ他端側がロッド部材73の他端部73bにカム面71aが接触可能な位置となるように軸38に固定されている。カム面71aは、図4(a)の羽根部材37の開放位置において他端部73bから上方に向かって次第に離れるように切り込まれた形状を呈しており、同図の状態において透明ガラス6が押し込まれてロッド部材73が同方向(図4(b)の矢印A方向)に移動すると、支持部材72により軸38に対する相対位置を決められた該ロッド部材73が、カム部材71のカム面71aに接触しつつ奥方向に移動するため、カム部材71はカム面71aを他端部73b側に滑り込ませるようにしながら軸38を中心として同図時計回り方向(図4(b)の矢印B方向)に回動することになる。
この際、ソレノイド75は、プランジャ75aをソレノイド本体から突出させた状態で羽根部材37を開放位置に保持しているが、カム部材71とともに同方向(図4(b)の矢印D方向)に回動する連動アーム74により、ソレノイド本体内部のスプリング(図示せず)の付勢力に抗して押し込まれる形で、図4(b)に示す状態に退避してカム部材71の回動を許容する。これにより、羽根部材37が時計回り方向(図4(b)の矢印C方向)に回動して閉止位置になる。
次に、本実施形態におけるパチンコ機1の制御系を図5に沿って説明する。図5は本パチンコ機1の全体の制御系を示すブロック図である。すなわち、本制御系は、大きく分けて、遊技制御装置60と、排出制御装置61をはじめとするその他の周辺装置等とによって構成されている。
遊技制御装置60は、本パチンコ機1における抽選手段及び画像処理手段が構成される装置となっており、遊技盤7の裏面に取り付けられた役物制御ユニット(図示略)により実現されている。遊技制御装置60は、パチンコ遊技等に必要な役物制御を行うワンチップマイコンからなる遊技用マイクロコンピュータ62と、水晶の発振周波数を分周して所定のクロックを得るクロック生成回路(CLK)63と、各種信号の入出力を行う入出力インターフェース64とを有している。遊技用マイクロコンピュータ62は、CPU62a、ROM62b、RAM62cを内蔵しており、所謂アミューズチップ用のICとして製造されている。
遊技制御装置60の入出力インターフェース64には、第1入賞口センサ65、第2入賞口センサ66、入賞口センサA1〜A3、及びセンター役物29における継続センサ67からの検出信号が入力される。第1入賞口センサ65は、第1入賞口31への入賞を検出するセンサであり、第2入賞口センサ66は、第2入賞口32への入賞を検出するセンサであり、更に入賞口センサA1〜A3は、一般入賞口25,27,46への入賞をそれぞれ検出するセンサである。また、継続センサ67は、センター役物29に入賞した遊技球のうち、Vゾーン入賞口47にV入賞した遊技球を検知する(V入賞検知信号を検知する)センサである。なお、一般入賞口がN個ある場合には、入賞口センサもこれに対応してN個配設させることとなる。
一方、入出力インターフェース64からは、放音装置10を放音駆動して効果音などの出力制御を行う音声出力制御装置68、演出用照明装置9や図柄表示装置43等の制御を行う演出制御装置69、センター役物29の羽根部材37を駆動する大入賞口ソレノイド39、Vゾーン案内装置45を駆動するモータ52、球発射装置16を制御する発射制御装置70、ソレノイド75に信号が出力される。
また、入出力インターフェース64からは、排出制御装置61にも賞球制御情報の信号が出力される。なお、賞球制御情報の内容としては、賞球数情報や排出条件等の情報が出力される。排出制御装置61は、遊技制御装置60から入力される賞球制御情報に基づいて、排出ユニット(不図示)を駆動して遊技球を排出する制御を行うものである。すなわち、遊技制御装置60は、遊技領域7aの各入賞口に設けられた第1入賞口センサ65、第2入賞口センサ66、入賞口センサA1〜A3によって入賞が検出されると、各入賞口の入賞価値に対応して予め設定された賞球数情報を、排出制御装置61へ送信する。そして、排出制御装置61では、この賞球数情報を受信して、それに応じた賞球排出制御を行う。
一方、前述した抽選手段は、Vゾーン入賞口47に対応する継続センサ67からのV入賞検知信号の受信時、大当たり確定に伴う特定入賞口30を開閉継続させるラウンド数を、ROM62bに格納された演出乱数値に基づく抽選で決定する。このラウンド数は、3、7、15回の3通りがあり、この3と7の各ラウンドの最後に前述したV入賞検知信号を受信した場合には、再び次のラウンド数の抽選がなされ、最高15ラウンドまで大当たり遊技が継続される。そして、上記抽選手段による大当たり抽選の確定に際しては、遊技制御装置60による演出用照明装置9や図柄表示装置43等の各種発光・表示演出が適時になされる。なお、本実施形態においては、大当たり遊技中、特定入賞口30に遊技球が10個入賞するか、特定入賞口30が15回開閉されると1ラウンドの終了となる。
次に、本パチンコ機1による作用について説明する。すなわち、本パチンコ機1に対面して着座した遊技者が発射ハンドル17を握り、適宜の角度に回動操作した際には、発射制御装置70がその回転角に基づいて球発射装置16を制御し、それにより、該球発射装置72の作動で遊技球を所定の時間間隔で遊技領域7aに向けて連続的に発射させる。すると、遊技領域7aに打ち出されて転動落下する多数の遊技球は、入賞口25,27等に適時入賞し、或いは、これらに関与せずに転動落下して、遊技領域7a最下部のアウト口22から遊技盤7背面側に排出される。
このような遊技中、遊技球誘導ユニット26において、可動部材35が揺動されていない通常の状態にあっては、可動部材35は誘導部材33内に収容されており、該可動部材35の側面が遊技球誘導路36から延長された状態となっていない。このとき、遊技領域7aに打ち出された遊技球が、誘導部材33の上部に落下した際には、遊技球は遊技球誘導路36に沿って転動し、該遊技球誘導路36の終端に到達した後で下方に落下する。
また、可動部材35が揺動されていない通常の状態にあって、遊技領域7aに打ち出された遊技球が、遊技球誘導路36の終端よりも中心部側、即ち、該終端と入賞口31,32との間に落下した際には下方に落下する。この場合の遊技球は、遊技領域7aに配設された障害釘に適宜に当接するなどし、多くの場合はそのまま下方へと落下することになる。
一方、可動部材35が揺動された特別な状態にある場合には、該可動部材35の側面は誘導部材33の遊技球誘導路36から延長された状態となる。このとき、誘導部材33の上部に遊技球が落下すると、該遊技球は誘導路36に沿って転動し、引き続き可動部材35の側面へ移動して、第2入賞口32に向かって落下する。
遊技球が第1入賞口31に入賞した際には、センター役物29の羽根部材37が、大入賞口ソレノイド39によって1回の開閉動作(約0.5秒間)を行う。また、遊技球が第2入賞口32に入賞した際には、センター役物29の羽根部材37は、大入賞口ソレノイド39によって2回の開閉動作(約0.5秒間)を行う。このようにして羽根部材37が開放状態となった際に、遊技領域7aに打ち出された遊技球の中には、特定入賞口30からセンター役物29内へと導入されるものがある。
そして、センター役物29内に導入された遊技球は、Vゾーン案内装置45等に当接しながら落下し、遊技球入賞口46もしくはVゾーン入賞口47に向かう。このとき、Vゾーン案内装置45における上部45aは、遊技制御装置60からの指令によりモータ52が駆動制御されることによって、矢印Eの向きに所定の速度で周期的に回動(1往復を約10秒間)している。そして、遊技制御装置60は、センター役物29内に導入された遊技球が、矢印L1で示される経路を通過してVゾーン入賞口47に入賞したと判断すると、これに応じた演出、例えば「Vゾーン入賞」の文字を図柄表示装置43に表示制御する。
遊技球がVゾーン入賞口47に入賞すると、大当たりの種別、つまり大当たり遊技において特定入賞口30を開閉させるラウンド数の決定が、遊技制御装置60における抽選手段にてなされる。このラウンド数が決定されると、大入賞口ソレノイド39の駆動により羽根部材37が作動され、特定入賞口30が開閉動作される大当たり遊技が開始される。ここで、特定入賞口30が開いた際に、遊技領域7aに打ち出された遊技球が該特定入賞口30からセンター役物29内に導入されると、前述した誘導路51等の経路を経て、遊技球入賞口46もしくはVゾーン入賞口47に入賞されることとなる。
加えて、例えば、上記大当たり遊技において当初のラウンド数が3回に決定された場合、この3回目の最終ラウンド中にVゾーン入賞口47が入賞した場合には、再びラウンド数の決定が抽選手段により行われ、そこで大当たりが終了するか更に大当たりが継続するかが決定される。継続が決定された際には、一連のラウンド数が15回を超えない範囲でラウンド数が延長設定され(例えば、7回分が増加されて全体で10回)、その旨を遊技者に報知する演出が遊技制御装置60の制御によって適時に演出用照明装置9や図柄表示装置43等に行われることにより、これらの内容等が遊技者の視覚に訴えるような演出表示として実行されることとなる。
上述したような遊技を遊技者が行うことによって、入賞口25,27、第1入賞口31、第2入賞口32、遊技球入賞口46、及びVゾーン入賞口47へと遊技球が適宜入賞し、それぞれの入賞価値に応じた多量の遊技球が球供給口13から上皿12に払い出される。
上述した遊技中に、例えば、遊技者が不正に出玉を得る目的から、第1入賞口31や第2入賞口32に入賞したことで羽根部材37が1回、2回と開閉動作するタイミングで、透明ガラス6におけるセンター役物29に対向する部分を強く押しつけ、センター役物29を撓ませて羽根部材37を開放位置に保持し、特別入賞口30からの入球を不正に行おうとしても、以下のように不正行為は確実に防止される。すなわち、透明ガラス6が遊技領域7a側に押し込まれると、移動する透明ガラス6がその内面で、ロッド部材73の一端部73aを真っ先に押し込む。これにより、他端部73bが、図4(a)に示す位置にあるカム部材71のカム面71aに向けて進出するため、カム面71aに他端部73bが滑りつつ次第に食い込むことでカム部材71が矢印B方向に回動し、ソレノイド75のプランジャ75aを押し込みつつ連動アーム74が矢印D方向に回動して、羽根部材37が矢印C方向に回動して特別入賞口30を確実に閉止する(図4(b))。
そして、不正行為者が透明ガラス6から手を離すと、ロッド部材73は一端部73aへの押圧が解放されることで、無理に押し込まれていたプランジャ75aがソレノイド本体内部のスプリング(図示せず)の付勢力で突出するため、軸38を介して羽根部材37が矢印Cと逆方向に回動することで、図4(a)に示す開放状態に再度移行すると共に、ロッド部材73が一端部73aを透明ガラス6側に移動させて元の位置に復帰する。
本実施の形態における強制閉止機構によると、上述のように、不正行為者が透明ガラス6を押し込んで羽根部材37を開放状態に保持して遊技球を不正に多く入球させようとしても、透明ガラス6の押し込みとともに羽根部材37を確実に閉止して、不正行為を確実に防止することができる。また、ロッド部材73を透明ガラス6の内面近傍に配置し、該ロッド部材73の移動に応じてカム部材71で羽根部材37を閉止方向に回動させるだけの簡単な構成により、不正行為を確実に阻止できる強制閉止機構を実現できるので、部品点数を削減し、コストダウンを期待できる。
更に、本実施の形態によれば、カム部材71により、ロッド部材73の他端部73bの一方向の押圧力を、羽根部材37を閉止する方向への回動力に変換できるので、当該カム部材71を回動させるだけで羽根部材37を強制的に閉止する構造がよりシンプルになる。そして、本実施の形態によると、所謂2種タイプのパチンコ機1において、羽根部材37を開放状態に保持してセンター役物29に不正に入球させるという不正行為を、確実に防止することができる。
<第2の実施の形態>
以上説明した第1の実施の形態では、透明ガラス6の移動に連動するカム部材71により、遊技領域7aの前後方向に延びる軸38を中心に回動する羽根部材37を閉止位置に強制的に戻すように構成したが、遊技領域7aの左右幅方向に延びる軸88を中心に回動する入賞開閉部材としての開閉プレート79を強制的に閉止位置に戻すように構成した第2の実施の形態について、図6及び図7を参照して説明する。なお、図6は本実施の形態における強制閉止機構の概要を示す斜視図、図7は該強制閉止機構を詳細に示す側面図であり、(a)は開閉プレート79の閉止状態、(b)は開閉プレート79の開放状態、(c)は開放した開閉プレート79を強制的に閉止した状態をそれぞれ示している。
本第2の実施の形態は、所謂第1種特別電動役物を用いたパチンコ機のアタッカー84の部分に適用されるものであるが、このアタッカー84の部位は、前述したセンター役物29の羽根部材37ほどには透明ガラス6を押し込んだことによる影響を受け難いが、該アタッカー84を備えた状態で遊技盤77に装着されるアタッカーユニットの突出部分等を介してアタッカー84周囲が撓むことで該アタッカー84の回動動作が損なわれるような状況があるものとして説明する。
すなわち、本実施の形態では、図6及び図7に示すように、遊技盤77の下部側にて横長矩形状に貫通・形成された開口部92に、アタッカー84を含むアタッカーユニットのユニット本体93が嵌め込まれて固定されている。該ユニット本体93には、横長矩形状の開口部78が貫通・形成されており、該開口部78に対して開閉動作するように矩形状の開閉プレート(入賞開閉部材)79が取り付けられ、透明ガラス6の内面に一端部81aを近接させるようにロッド部材81が設けられている。該ロッド部材81は、遊技領域内にあるいずれの遊技部品よりも透明ガラス6内面側に近接しており、該透明ガラス6が不正に押し込まれた際には真っ先に一端部81aが押圧されるように構成される。また、ユニット本体93におけるアタッカー84の右下方には、該ユニット本体93を貫通する孔80が形成されており、該孔80にロッド部材81が摺動自在に貫通している。アタッカー84は、遊技盤77の遊技領域にユニット本体93を介して設けられ、当たり当選時に賞球用に開放して、該遊技領域に打ち出された遊技球を受け入れる大入賞口を構成している。上記開閉プレート79は、遊技領域に設けられて該遊技領域の左右方向の軸88を中心に回動して開閉動作するように構成される。
図7(a)に示すように、開閉プレート79は下部側を、遊技盤77の左右幅方向に延び、ユニット本体93に支持された軸88(図6参照)によって回動自在に支持されており、該軸88には、開口部78の内方の下部側に斜めに延びるようにアーム87が固定されている。開口部78の内方下部には、軸91によって回動自在に支持された「へ」字状のリンク部材(被作動部材)90が配置されている。該リンク部材90は、上記軸91を介してユニット本体93側に回動自在に支持された状態で、軸91から距離の短い一端部90aをロッド部材81の他端部81bに対向させ、かつ他端部90bを、開口部78の後方側にてユニット本体93側に位置決め固定されたソレノイド86のプランジャ86aの先端部に上記アーム87とともにピン89で回動自在に支持されている。なお、本実施の形態では、リンク部材90とロッド部材81とから強制閉止機構が構成されている。
また、遊技盤77の裏側には、孔80の下側から上方に立ち上がる形状を呈してユニット本体93に基部が固定された支持部材82が配置されており、該支持部材82に形成された摺動孔には、ロッド部材81の他端部81bが摺動自在に貫通している。ロッド部材81におけるユニット本体93裏面と支持部材82との間には円形状のプレート部材85が固定されており、該プレート部材85と支持部材82との間には、スプリング83が縮設されている。これにより、ロッド部材81は、一端部81aが押圧されてスプリング83の付勢力に抗して遊技盤77側(ユニット本体93側)に移動し、また該一端部81aへの押圧力が解除されるとスプリング83の付勢力に準じて元の状態に復帰する。この構造によりリンク部材90は、ロッド部材81の他端部81bの一方向(図7の(c)の矢印b方向)の押圧力を、開閉プレート79を閉止する方向(図7の(c)の矢印c方向)への回動力に変換するように構成される。
上記構成を有する本パチンコ機での遊技中、図7(a)に示す閉止状態のアタッカー84が大当たり発生によって、図7(a)ではプランジャ86aを突出させていたソレノイド86が図7(b)に示すように後退することで、ピン89を介して上昇させられるアーム87により開閉プレート79が軸88を中心に矢印a方向に回動して、開口部78を開放する。この開放から所定球数の入賞(又は所定時間の経過)があった時点で開閉プレート79が一旦閉止し、この開閉動作が所定回数(ラウンド)だけ実行されるのであるが、当該開閉プレート79が開放した時点で透明ガラス6を強く押しつけて該開閉プレート79を開放位置に保持して不正行為を行おうとしても、透明ガラス6が押し込まれた時点で、図7(c)に示すように、直ちに一端部81aがスプリング83に抗して矢印b方向に押し込まれ、該ロッド部材81の他端部81bがリンク部材90の一端部90aを押圧する。これにより、該リンク部材90が軸91を中心に反時計回り方向に回動するため、ソレノイド86の後退したプランジャ86aが引き出されつつアーム87が押し下げられる。このため、開閉プレート79が強制的に矢印c方向に回動されて閉止位置に戻るので、開口部78が確実に閉止される。なお、本実施の形態におけるソレノイド86は、内部の圧縮スプリング(図示せず)の付勢力でプランジャ86aを後退させる一方、励磁することでプランジャ86aを突出させるように構成されており、第1の実施の形態とは逆の動作を行う。
その後、不正行為者が透明ガラス6から手を離した時点で、ロッド部材81が解放されて、無理に引き出されていたプランジャ86aがソレノイド本体内部の圧縮スプリングの付勢力で後退することで、開閉プレート79が再び図7(b)に示す開放状態になると共に、ロッド部材81が一端部81aを透明ガラス6側に移動させて元の位置に復帰する。
以上の第2の実施の形態では、リンク部材90により、ロッド部材81の他端部81bの一方向の押圧力を、開閉プレート79を閉止する方向への回動力に変換するので、当該リンク部材90を回動させるだけで開閉プレート79を強制的に閉止する機構の構造を一層簡単化し、装置構成をシンプルにしてコンパクト化することができる。また、当たり当選時に賞球用に開放して、該遊技領域に打ち出された遊技球を受け入れるアタッカー84を備え、開閉プレート79が、遊技領域にて左右方向の軸88を中心に回動して開閉動作するので、所謂1種タイプのパチンコ機1においてアタッカー84に対する不正な入賞を行おうとする不正行為を、確実に防止することができる。
以上、本発明をその好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の弾球遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した弾球遊技機も、本発明の範囲に含まれる。