以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図12は、本発明が適用される自動車などの車両を示す模式図である。同図に示されるように、車両の本体をなす車体1は、その側部に形成されたドア開口1aを有するとともに、該ドア開口1aは、車両前後方向に移動する車両ドアとしてのスライドドア2によって開閉される。また、車両フロア3は、上記ドア開口1aに臨んで段差3aを形成している。そして、車両フロア3の下側には、前記段差3aから車両幅方向に進退され、ドア開口1a下端よりも一段低い位置まで昇降(移動)されるステップとしての可動ステップ4が設けられている。
次に、前記スライドドア2の開閉駆動及び前記可動ステップ4の移動駆動に係る細部構造等について図1〜図11に基づき説明する。なお、図1は、前記スライドドア2の全閉状態(可動ステップ4の格納状態)での平面図であり、図2は、前記可動ステップ4の突出が完了する直前の状態での平面図である。また、図3は、前記可動ステップ4の突出が完了し可動ステップ4が下降を開始する状態での平面図であり、図4は、前記スライドドア2の全開状態(可動ステップ4の下降状態)での平面図である。同図において、上側及び下側がそれぞれ車両幅方向内側(車内側)及び外側(車外側)に相当し、左側及び右側がそれぞれ車両前側及び後側に相当する。さらに、図5は、図1のA−A線に沿った断面図である。また、図6は、図1の拡大図であり、図7は、図1(及び図6)のB−B線に沿った断面図である。
図5に示されるように、車体1には、前記車両フロア3の下方において、車外側に開口する箱状のケース11が固定されるとともに、該ケース11の底壁には、例えば金属板からなるステップパネル12が設置されている。なお、ケース11には、その内部を高さ方向中間部で区画するサポートパネル11aが固着されて、その下側に格納空間Sを形成する。
前記ステップパネル12には、車両幅方向(車外側及び車内側)に対し一定の角度でわずかに傾斜する方向に延在する一対の固定レール13(図1〜図4参照)が固定されるとともに、該各固定レール13には、可動レール14が摺動自在に支持されている。なお、両可動レール14は、例えば金属板からなるスライドパネル15にて一体に連結されている。
図7に示されるように、前記各可動レール14の長手方向中間部の内側の側壁には、該長手方向に延びる長孔14aが形成されるとともに、該長孔14aにおいて、Xアーム41を構成する一方のアーム42の一側の先端42aが前記長孔14aに沿って移動可能に、且つ、回転自在に連結され、更に前記各可動レール14の長手方向先端部(車外側端部)の内側の側壁には、Xアーム41を構成する他方のアーム43の一側の先端43aが回転自在に連結されている。そして、アーム42,43は、各々の長手方向中央部でピン44により回転自在に連結されている。
また、前記長孔14aには、その車内側の終端14b及び前記アーム42の一側の先端42a間で、ガイドピン45が挿通されるとともに、該ガイドピン45には、前記先端42aに一端が回転自在に連結された金属板からなる長尺状のプレート46の他端が固着されている。そして、両可動レール14に配設されるガイドピン45は、例えば金属板からなる昇降用パネル47(図1〜図4参照)に一体に連結されている。従って、前記昇降用パネル47とともに該昇降用パネル47に固着された前記ガイドピン45が長孔14aの長手方向に沿って移動すると、該ガイドピン45にプレート46を介して連結された各アーム42の先端42aが前記長孔14aに沿って摺動することで、両アーム42,43の先端42a,43a間の距離が増減される。
前記可動ステップ4の車外側端部の側壁には、前記可動レール14の長手方向に延びる長孔4aが形成されるとともに、該長孔4aにおいて、前記アーム42の他側の先端42bが前記長孔4aに沿って移動可能に、且つ、回転自在に連結され、更に前記可動ステップ4の車内側端部の側壁には、前記アーム43の他側の先端43bが回転自在に連結されている。従って、前記昇降用パネル47、ガイドピン45及びプレート46とともに各アーム42の先端42aが前記長孔14aに沿って車外側に移動すると、各アーム42の先端42bが前記長孔4aに沿って車内側に移動しつつ前記Xアーム41が開いて各アーム42,43の先端42b,43bが下降し、該先端42b,43bに連結された可動ステップ4が下降する(図10参照)。一方、前記昇降用パネル47、ガイドピン45及びプレート46とともに各アーム42の先端42aが前記長孔14aに沿って車内側に移動すると、各アーム42の先端42bが前記長孔4aに沿って車外側に移動しつつ前記Xアーム41が閉じて各アーム42,43の先端42b,43bが上昇し、該先端42b,43bに連結された可動ステップ4が上昇する(図8、図9参照)。
また、前記各可動レール14の内側の側壁には、前記長孔14aの終端14b近傍の下側で、金属板からなる長尺状の切替レバー48がピン49にて回転自在に連結されている。この切替レバー48は、平面視で前記可動レール14及びプレート46の両対向面に挟まれる位置に配置されており(図6参照)、前記先端42a及びガイドピン45間の距離よりも短い長さを有して径方向一側に延出する延出部48aを有するとともに、該延出部48aの延出方向に略直交する径方向他側に鉤状に延出する係止片48bを有する。
なお、図7に示されるように、可動ステップ4の格納状態では、前記切替レバー48は、係止片48bが前記ステップパネル12に当接することで回転規制されており、このとき、前記延出部48aは、前記長孔14aの終端14bとの間で前記ガイドピン45の前記長孔14aに沿う移動を規制する態様で上向きに起立している。従って、この状態で、前記昇降用パネル47が車外側に移動すると、前記ガイドピン45により切替レバー48が押圧されることで、その力がピン49を介して可動レール14に伝達され、該可動レール14が一体で車外側に移動する。
一方、図8に示されるように、可動ステップ4のスライド突出が完了する直前の状態では、前記ステップパネル12の先端部が下向きに曲線を描きつつ前記係止片48bを解放し始めることで、前記ガイドピン45により押圧される前記切替レバー48は、回転規制が解除されて図示時計回転方向(矢印e方向)に回動し始める。
そして、図9に示されるように、可動ステップ4の突出完了、下降開始状態では、前記延出部48aが前記長孔14aの下面の高さで該長孔14aと平行になるまで前記切替レバー48が回動することで、前記切替レバー48は、前記ガイドピン45による押圧から解放されて、前記可動レール14の車外側への移動も停止する。このとき、前記切替レバー48は、係止片48bが前記ステップパネル12の先端部の形成する垂直部12aに係止されることでそれ以上の図示時計回転方向への回動が規制される。
なお、前記切替レバー48を回動させる前記ガイドピン45は、前記長孔14aに沿う移動が開始されることで、該ガイドピン45にプレート46を介して連結された前記アーム42の先端42aの前記可動レール14(アーム43の先端43a)に対する相対移動が開始され、前記可動ステップ4の下降が開始される。
この状態で、前記昇降用パネル47が更に車外側に移動すると、図10に示されるように、前記ガイドピン45は、前記延出部48a上を前記長孔14aに沿って移動することで、該ガイドピン45にプレート46を介して連結された前記アーム42の先端42aが前記可動レール14(アーム43の先端43a)に対し更に相対移動して、前記可動ステップ4の下降が完了される。
図5に示されるように、前記サポートパネル11aには、前記固定レール13等の上側でガイドレール16が設置されている。このガイドレール16は、前記スライドドア2の開閉作動を案内するためのものである。詳述すると、図1に示されるように、前記ガイドレール16は、その長手方向中間部に湾曲部16aを有している。そして、ガイドレール16は、上記湾曲部16aの前端側で車両幅方向内側に向かって傾斜する曲成部16bを、該湾曲部16aの後端側で車両後方に延びる直線部16cをそれぞれ形成している。
一方、前記スライドドア2の下部には、車内側に突出するアーム17が設けられており、その先端部には、ローラ支持部材18が回動可能に連結されている。そして、上記ローラ支持部材18は、一対のガイドローラ18aと、これらガイドローラ18a間に配置されたロードローラ18bとを備えている。ガイドローラ18aは車両の高さ方向(図1において紙面に直交する方向)に延びる回転軸を有しており、ロードローラ18bは両ガイドローラ18aの回転軸を含む平面に対し直交する方向に延びる回転軸を有している。このローラ支持部材18は、上記ガイドローラ18aが前記ガイドレール16に転動可能に装着された状態で、上記ロードローラ18bによりサポートパネル11a(車体1)上に転動可能に支持されている。
従って、前記アーム17を介してローラ支持部材18に連結されたスライドドア2は、上記ガイドローラ18aがガイドレール16に案内されることで車両前後方向にスライド移動して前記ドア開口1aを開閉する。そして、上記スライドドア2は、上記ロードローラ18bによりその荷重が支持されている。特に、上記スライドドア2は、上記ガイドローラ18aが前記湾曲部16aの前端側(曲成部16b)においてガイドレール16に案内されることで、例えば全閉状態から開作動する直後に車外側に押し出され、あるいは全閉状態になる直前に車内側に引き込まれる。これは、スライドドア2の開作動時にその後方へのスライドを許容し、全閉時にこれを車体1の側面と面一になるように配置するためである。
ここで、前記サポートパネル11a及びステップパネル12には、前記ガイドレール16よりも車内側において、前記スライドドア2を開閉駆動するための機構が搭載されている。詳述すると、上記サポートパネル11aには、電気的駆動源としてのスライドドア駆動ユニット21と、該スライドドア駆動ユニット21から時計回転方向に順次配置された複数のアイドルギヤ22,23,24,25,26,27と、前記スライドドア駆動ユニット21の出力ギヤ21a及びこれらアイドルギヤ22〜27に噛み合う態様で掛け渡された駆動ベルト28とが設けられている。これらアイドルギヤ22〜27及び駆動ベルト28は、第1伝達手段としての開閉機構29を構成する。
上記スライドドア駆動ユニット21は、サポートパネル11aに固定されており、その出力ギヤ21aを回転駆動する。前記アイドルギヤ22〜27は、サポートパネル11aに回転可能に支持されている。なお、前記アイドルギヤ23,22は、ガイドレール16の前端及び後端にそれぞれ対応してその近傍に配置されている。また、前記アイドルギヤ25は、前記アイドルギヤ22,23間の中間部となる車内側の位置に配置されている。さらに、前記湾曲部16aの近傍となる前記アイドルギヤ22,23間には、前記駆動ベルト28が噛み合う適宜のアイドルギヤが配置されている(図示略)。
そして、前記駆動ベルト28には、前記ガイドレール16に沿うアイドルギヤ22〜23間で前記ローラ支持部材18の先端部が固着されている。このローラ支持部材18の先端部は、図1に示した全閉状態において、アイドルギヤ23の近傍、即ちガイドレール16の前端近傍に配置されている。また、上記ローラ支持部材18の先端部は、図3に示した全開状態において、アイドルギヤ22の近傍、即ちガイドレール16の後端近傍に配置されている。
従って、前記スライドドア駆動ユニット21により、出力ギヤ21aが図1〜図3において反時計回転方向に回転駆動されると、前記駆動ベルト28は、前記アイドルギヤ22〜27を回転させつつ、ガイドレール16に沿うアイドルギヤ22〜23間で車両後方に移動する。このとき、前記アイドルギヤ25は、図示反時計回転方向に回転する。そして、前記ローラ支持部材18等を介して駆動ベルト28に連結されたスライドドア2は、前記ガイドレール16に沿って車両後方に移動して前記ドア開口1aを開放する。
一方、前記スライドドア駆動ユニット21により、出力ギヤ21aが図2〜図4において時計回転方向に回転駆動されると、前記駆動ベルト28は、前記アイドルギヤ22〜27を回転させつつ、ガイドレール16に沿うアイドルギヤ22〜23間で車両前方に移動する。このとき、前記アイドルギヤ25は、図示時計回転方向に回転する。そして、前記ローラ支持部材18等を介して駆動ベルト28に連結されたスライドドア2は、前記ガイドレール16に沿って車両前方に移動して前記ドア開口1aを閉鎖する。
図5に示されるように、前記ステップパネル12には、前記アイドルギヤ25の下側に同軸上に配置されたギヤ30が回転自在に支持されるとともに、これらアイドルギヤ25及びギヤ30間には、該アイドルギヤ25及びギヤ30間で伝達可能なトルクを一定値に制限するトルクリミッタ31が設けられている。また、前記ステップパネル12には、円盤状の板カム32が回転自在に支持されるとともに、該板カム32の外周部には、前記ギヤ30と噛み合うギヤ部32aが形成されている。
従って、前記アイドルギヤ25は、前記ギヤ30への伝達トルクが一定値に収まるときに、前記トルクリミッタ31を介してギヤ30を一体回転させて前記板カム32を回転駆動する。
図11に、図1を拡大して示したように、前記板カム32には、その下面側から凹設された溝カム33が形成されている。この溝カム33は、前記板カム32の回転軸に対し一定の半径とならないように延びる第1凹部33aと、該第1凹部33aに連続して前記板カム32の回転軸に対し一定の半径となるように円弧状に延びる第2凹部33bと、該第2凹部33bに連続して前記板カム32の回転軸から徐々に径方向外側に向かって曲線状に延びる第3凹部33cと、該第3凹部33cに連続して前記板カム32の回転軸に対し一定の半径となるように円弧状に延びる第4凹部33dとを有する。
一方、前記ステップパネル12には、長尺状をなす作動レバー34の一側の先端34aが回転自在に連結されている。この作動レバー34の他側の先端34bは、前記固定レール13の長手方向に沿う前記昇降用パネル47の移動を許容する態様で該昇降用パネル47に回転自在に連結されており、前記作動レバー34が一側の先端34aを中心に回動すると、他側の先端34bに連結された昇降用パネル47が押し引きされて固定レール13に沿って移動する。なお、前記ガイドピン45の固着された昇降用パネル47は、前記切替レバー48の作動で前記可動レール14と一体移動する状態と該可動レール14に対し相対移動する状態とで切り替えられることは既述のとおりである。
前記作動レバー34の先端34a寄りとなる長手方向中間部には、前記溝カム33に納められるブッシュ35が固定されている。このブッシュ35は、前記スライドドア2が全閉位置にあるときに前記第1凹部33aの終端33eに配置されるように設定されており(図1及び図11参照)、前記スライドドア2が全開位置にあるときに前記第4凹部33dの終端33fに配置されるように設定されている(図4参照)。つまり、前記スライドドア2が全閉位置から全開位置への移動を完了したときに、前記ブッシュ35が前記第1凹部33aの終端33eから前記第4凹部33dの終端33fへの移動を完了するように設定されている。
また、前記ブッシュ35は、前記スライドドア2が乗員の乗降し得る所定の開閉位置(ドア開度位置)に達するときに、前記第1及び第2凹部33a,33bの接続部に配置されるように設定されている(図2参照)。そして、前記板カム32は、前記ブッシュ35が第1凹部33aにあるときに(図1〜図2参照)、回転に伴い溝カム33(第1凹部33a)にて前記ブッシュ35を押圧する。これに伴い、前記作動レバー34が先端34a周りに回動され、昇降用パネル47が押し引きされる。このとき、昇降用パネル47に固着される前記各ガイドピン45は、前記切替レバー48により前述の態様で前記長孔14aに沿う移動が規制されており(図7〜図8参照)、昇降用パネル47と一体で前記各可動レール14が押し引きされる。そして、昇降用パネル47及び各可動レール14は一体で前記固定レール13に沿って移動する。従って、前記各Xアーム41(アーム42,43)の先端42a,43a間の距離は一定であり、前記可動ステップ4が昇降されることはない。そして、各Xアーム41を介して可動レール14に連結された前記可動ステップ4が出し入れ(進退)される。
さらに、前記板カム32は、前記ブッシュ35が第2凹部33bにあるときに(図2参照)、溝カム33(第2凹部33b)にて前記ブッシュ35の移動(板カム32の回転軸を中心とする径方向への移動)を規制し、回転に伴う前記作動レバー34の先端34a周りの回動を規制する。
また、前記板カム32は、前記ブッシュ35が第3凹部33cにあるときに(図3参照)、回転に伴い溝カム33(第3凹部33c)にて前記ブッシュ35を押圧し、前記作動レバー34を先端34a周りに回動する。このとき、昇降用パネル47に固着される前記ガイドピン45は、前記切替レバー48により前述の態様で前記長孔14aに沿う移動が許容されている(図9参照)。従って、前記作動レバー34の回動に伴い前記昇降用パネル47が押し引きされると、該昇降用パネル47は、前記可動レール14を残置したままその長孔14aに沿って移動する。このとき、各アーム42,43の先端42a,43a間の距離が増減されて、前記可動ステップ4が昇降される。
さらにまた、前記板カム32は、前記ブッシュ35が第4凹部33dにあるときに、溝カム33(第4凹部33d)にて前記ブッシュ35の移動(板カム32の回転軸を中心とする径方向への移動)を規制し、回転に伴う前記作動レバー34の先端34a周りの回動を規制する。前記可動レール14、スライドパネル15、作動レバー34、ブッシュ35、Xアーム41、ガイドピン45、プレート46、昇降用パネル47、切替レバー48は、前記ギヤ30及び板カム32とともに、第2伝達手段としてのステップ移動機構50を構成する。
ここで、本実施形態の動作について説明する。
まず、前記スライドドア2が全閉位置にあり、従って前記可動ステップ4も前記格納空間S内に引っ込んでいるとする(格納状態:図1、図5、図6、図7、図11参照)。この状態で、前記スライドドア2を開作動すべく、前記駆動ベルト28が一側に移動して該駆動ベルト28と噛合するアイドルギヤ25が、ギヤ30と一体で図1〜図2において反時計回転方向に回転したとする。このとき、ギヤ30と噛み合う板カム32は、その溝カム33とともに図示時計回転方向に回転し、前記第1凹部33aに納められた前記ブッシュ35が該第1凹部33aに押され、該ブッシュ35の固定された作動レバー34が先端34aを中心に図示時計回転方向(矢印a方向)に回動する。そして、作動レバー34の先端34bに連結された昇降用パネル47は、ガイドピン45を介して切替レバー48の延出部48aを矢印c方向に押圧する。このとき、切替レバー48は、ピン49を中心に矢印e方向に回転しようとするが、係止片48bがステップパネル12に当接して回転規制されることで、切替レバー48を押圧する力がピン49を介して可動レール14に伝達され、該可動レール14は固定レール13に沿って矢印c方向に突出作動する。
また、可動レール14にXアーム41を介して取り付けられている可動ステップ4も矢印c方向に突出作動するが、前記ガイドピン45は、前記切替レバー48により可動レール14に対する相対移動が規制されていることで、該ガイドピン45にプレート46を介して連結された前記アーム42の先端42aも可動レール14に対する相対移動が規制される。従って、Xアーム41を介して可動レール14に連結された前記可動ステップ4は、矢印g方向に下降せず(できず)に可動レール14と一体で矢印c方向に突出作動する。
前記スライドドア2が乗員の乗降し得る前記所定の開閉位置に達すると、前記ブッシュ35は、前記第1凹部33aから前記第2凹部33bに入る。これにより、前記アイドルギヤ25及びギヤ30の板カム32を介した作動レバー34への動力伝達が一時切断される(スライド突出完了直前状態:図2、図8参照)。このとき、前記切替レバー48は、前記長孔14a(終端14b)との間で前記ガイドピン45を未だ係止する状態で前記ステップパネル12の車外側の先端に到達しており、前記可動ステップ4の突出作動がまさに完了しようとしている。
また、前記スライドドア2が引き続き開作動し、前記ブッシュ35が前記第2凹部33bから前記第3凹部33cに入ると、前記ブッシュ35が該第3凹部33cに押され、該ブッシュ35の固定された作動レバー34が先端34aを中心に図示時計回転方向(矢印a方向)に更に回動する。そして、作動レバー34の先端34bに連結された昇降用パネル47は、ガイドピン45を介して切替レバー48の延出部48aを矢印c方向に押圧する。
これに伴い、前記可動ステップ4が突出完了位置まで突出作動してくると(図2〜図3、図8〜図9参照)、切替レバー48の回転を規制していたステップパネル12(垂直部12a)が下向きに曲線を描いて徐々に無くなることで、切替レバー48は、ガイドピン45に押圧されて矢印e方向に回転し始める。そして、切替レバー48の延出部48aが前記長孔14aの下面の高さで該長孔14aと平行になると、ガイドピン45が切替レバー48を押圧する力が無くなって、可動レール14の矢印c方向への突出作動が停止する(スライド突出完了・下降開始状態:図3、図9参照)。なお、前記ガイドピン45、即ち前記アーム42の先端42aの可動レール14に対する相対移動は、前記切替レバー48の回転が始まった時点で始まっており、従って前記可動ステップ4の矢印g方向への下降が始まっている。
前記スライドドア2が前記可動ステップ4のスライド突出完了・下降開始した状態で引き続き開作動すると、前記ブッシュ35が第3凹部33cに押され、前記作動レバー34が先端34aを中心に図示時計回転方向(矢印a方向)に更に回動する。そして、作動レバー34の先端34bに連結された昇降用パネル47がアーム42の先端42aとともに矢印c方向に押されて、停止中の前記可動レール14に対しその長孔14aに沿って移動する。このとき、各アーム42,43の先端42a,43a間の距離が減少されて、Xアーム41が開かれ、前記可動ステップ4が矢印g方向に下降する。
そして、前記ブッシュ35が前記第3凹部33cから前記第4凹部33dに入ると、前記アイドルギヤ25及びギヤ30の板カム32を介した作動レバー34への動力伝達が再び切断され、前記可動ステップ4の下降作動が完了する(下降状態:図4、図10参照)。そして、前記スライドドア2は、前記可動ステップ4の下降作動が完了した状態で、全開位置まで移動する。
一方、前記スライドドア2の全開位置(可動ステップ4の下降完了状態)において、該スライドドア2を閉作動すべく、前記駆動ベルト28が他側に移動して該駆動ベルト28と噛合するアイドルギヤ25が、ギヤ30と一体で図4において時計回転方向に回転したとする。このとき、前記アイドルギヤ25は、ギヤ30と一体で図示時計回転方向に回転し、ギヤ30と噛み合う板カム32は、その溝カム33とともに図示反時計回転方向に回転する。前記第4凹部33dに納められた前記ブッシュ35は、該第4凹部33dから押されないことはいうまでもない。つまり、前記スライドドア2の閉作動の当初は、前記ブッシュ35を押す力が働かず、前記可動ステップ4は作動しない。
そして、前記ブッシュ35が前記第4凹部33dから前記第3凹部33cに入ると、該ブッシュ35が該第3凹部33cに押され、前記作動レバー34が先端34aを中心に図示時計回転方向(矢印b方向)に回動する。そして、作動レバー34の先端34bに連結された昇降用パネル47がアーム42の先端42aとともに矢印d方向に引かれて、停止中の前記可動レール14に対しその長孔14aに沿って移動する。このとき、各アーム42,43の先端42a,43a間の距離が増加されて、Xアーム41が閉じられ、前記可動ステップ4が矢印h方向に上昇し始める(図4、図10参照)。この際、ガイドピン45が長孔14a内を摺動するため、可動レール14にも矢印d方向への移動力が発生するが、前記切替レバー48の係止片48bがステップパネル12の垂直部12aに当接することで係止され、且つ、延出部48a上にガイドピン45が載っていて前記切替レバー48が矢印f方向に回転できないため、可動レール14は矢印d方向へは移動しない(できない)。
そして、前記可動ステップ4が突出完了・降下開始位置まで上昇作動してくると(図3、図9参照)、切替レバー48は矢印f方向に回転可能となる。これにより、可動ステップ4は、矢印h方向上昇しつつガイドピン45が長孔14a内を擦る力によって可動レール14を矢印d方向に移動させる。そして、可動レール14の移動により切替レバー48は矢印f方向に回転し始める。
そして、前記可動ステップ4がスライド突出完了直前位置まで上昇作動してくると(図8参照)、前記ガイドピン45は、長孔14aの終端14bに当接するとともに、前記切替レバー48との間で係止されることで、可動レール14に対する相対移動が規制され、前記可動ステップ4の矢印h方向の上昇作動も停止する(完了する)。同時に、前記ブッシュ35が前記第3凹部33cから前記第2凹部33bに入り、前記アイドルギヤ25及びギヤ30の板カム32を介した作動レバー34への動力伝達が一時切断される。
前記スライドドア2が前記可動ステップ4の上昇作動が完了した状態で引き続き閉作動して、乗員の乗降し得ない所定の開閉位置に達すると(図2、図8参照)、前記ブッシュ35は、前記第2凹部33bから前記第1凹部33aに入る。これにより、前記アイドルギヤ25及びギヤ30の板カム32を介した作動レバー34への動力伝達が接続され、前記可動ステップ4の格納作動を開始する。そして、前記第1凹部33aに納められた前記ブッシュ35が、該第1凹部33aに押され、該ブッシュ35の固定された作動レバー34が先端34aを中心に図示反時計回転方向(矢印b方向)に回動する。また、作動レバー34の先端34bに連結された昇降用パネル47は、ガイドピン45を介して長孔14aの終端14bを矢印d方向に押圧する。そして、可動レール14は固定レール13に沿って矢印d方向に格納作動する。このとき、Xアーム41を介して可動レール14に連結された前記可動ステップ4は、昇降することなく格納作動する。そして、前記スライドドア2は、前記可動ステップ4の格納作動が完了すると同時に、全閉位置まで移動する(図1、図7参照)。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、前記切替レバー48による前記可動レール14及び前記アーム42の先端42aを一体移動させる状態では、前記スライドドア2の開閉作動に連動して、前記作動レバー34により前記可動レール14ともども該可動レール14にXアーム41を介して支持された前記可動ステップ4が進退(突出・格納)される。また、前記切替レバー48による前記可動レール14に対し前記アーム42の先端42aを相対移動させる状態では、前記スライドドア2の開閉作動に連動して、前記作動レバー34により前記可動レール14に対し前記アーム42の先端42aが相対移動されて前記可動ステップ4が昇降される。このように、前記スライドドア2の開閉作動に連動して、前記可動ステップ4が作動するため、例えば乗車時に腰を屈めて可動ステップ4を操作する必要がなくなる。
特に、前記作動レバー34により進退される前記アーム42の先端42aを、前記切替レバー48にて前記可動レール14との係脱を切り替えることで、前記可動ステップ4の進退作動と昇降作動とを切り替えて行うことができる。このため、例えば前記可動レール14及び前記アーム42の先端42aの先端を一体移動させるためのレバーや前記可動レール14に対し前記アーム42の先端42aを相対移動させるためのレバー、これらレバーの作動に係るカムなどを個別に設ける必要はなく、部品点数を削減することができる。また、例えばこれらレバーやカムなどを高さ方向に重ねて配置する場合に比べて、前記作動レバー34及び前記板カム32を重ねた高さを低く抑えることができ、前記格納空間Sを高さ方向によりコンパクト化することができる。従って、車両フロア3の高さをより低く設定することができ、乗降性を更に向上することができる。
(2)本実施形態では、前記スライドドア駆動ユニット21による電動で、前記スライドドア2の開閉作動及び前記可動ステップ4の移動作動(進退作動と昇降作動)を行うことができる。
(3)本実施形態では、前記ステップパネル12による前記切替レバー48の回転規制の設定・解除を切り替えるという極めて簡易な構造で、前記可動レール14及び前記アーム42の先端42aの一体移動及び相対移動、即ち前記可動レール14と一体での前記可動ステップ4の進退(突出・格納)作動及び該可動ステップ4の昇降作動を切り替えることができる。そして、前記可動ステップ4の突出完了状態において、該可動ステップ4を昇降させることができるため、例えば前記可動ステップ4(昇降用パネル47及び可動レール14)の進退作動中に該可動ステップ4が昇降して周辺部材と干渉したりすることを好適に抑制することができる。
(4)本実施形態では、前記ガイドピン45は、前記長孔14a内を移動する際、前記切替レバー48に載ってこれを回転規制することで、例えば前記作動レバー34により前記アーム42の先端42aを引っ込めて(退行させて)前記可動ステップ4を上昇させる際に、前記ガイドピン45に追従して前記切替レバー48が回動しようとすることが抑制される。これにより、前記ガイドピン45(アーム42の先端42a)と一体での前記可動レール14の退行側への移動を抑制することができ、前記可動ステップ4の上昇中に該可動ステップ4が格納(退行)されて前記車体1(垂直部12a等)と干渉したりすることを抑制できる。
(5)本実施形態では、前記長孔14a内を移動する前記ガイドピン45により前記切替レバー48が回転規制される状態では、前記係止片48bにより前記可動レール14の退行側への移動が規制されることで、前記可動ステップ4の上昇中に該可動ステップ4が格納されて前記車体1と干渉したりすることをより確実に抑制できる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、スライドドア2を開閉駆動する電気的駆動源(スライドドア駆動ユニット21)を割愛してもよい。この場合であっても、手動でのスライドドア2の開閉に連動して前記可動ステップ4を移動させることができる。
・前記各実施形態において、スライドドア2の全閉位置から全開位置への移動完了に合わせて、可動ステップ4の格納位置から突出・下降位置への移動を完了するように設定してもよい。
1…車体、1a…ドア開口、2…スライドドア(車両ドア)、4…可動ステップ(ステップ)、14…可動レール(可動部材)、14a…長孔、15…スライドパネル(可動部材)、21…スライドドア駆動ユニット(電気的駆動源)、29…開閉機構(第1伝達手段)、32…板カム、33…溝カム、34…作動レバー、35…ブッシュ、41…Xアーム、42,43…アーム、42a…先端、45…ガイドピン、46…プレート、47…昇降用パネル、48…切替レバー、48a…延出部、48b…係止片、50…ステップ移動機構(第2伝達手段)。