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JP5049963B2 - 光輝性顔料含有水性ベースコート塗料 - Google Patents

光輝性顔料含有水性ベースコート塗料 Download PDF

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JP5049963B2 JP2008513854A JP2008513854A JP5049963B2 JP 5049963 B2 JP5049963 B2 JP 5049963B2 JP 2008513854 A JP2008513854 A JP 2008513854A JP 2008513854 A JP2008513854 A JP 2008513854A JP 5049963 B2 JP5049963 B2 JP 5049963B2
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Description

本発明は、特定の水分散性アクリル重合体粒子及び特定量の光輝性顔料を含有する水性ベースコート塗料に関する。
自動車車体の塗装は、一般に、下塗り塗料として電着塗料を塗装した後、中塗り塗料を塗装し、さらにその上に上塗り塗料を塗装することによって行なわれる。
上塗り塗料の塗装方法としては、例えば、1種類の上塗り塗料を塗装し、これを加熱硬化させる1コート1ベーク法、ベースコート塗料及びクリヤーコート塗料の2種類の上塗り塗料を用い、まずベースコート塗料を塗装し、これを硬化させることなく、その上にクリヤーコート塗料を塗装し、両塗膜を同時に加熱硬化させる2コート1ベーク法等を挙げることができる。
このうち、2コート1ベーク法の塗装においては、ベースコート塗料として、アルミニウムフレーク、雲母等の光輝性顔料を含有するベースコート塗料を用いることにより、塗膜外観を向上させることが従来から広く行なわれている。
光輝性顔料は、通常薄板状ないし麟片状の形状を有しており、塗膜内で被塗物の面に平行になるように配向し、キラキラとした輝きを持つとともに、見る方向によって色調が変化し、独特の意匠性を呈する塗膜を形成する。このうち、見る方向によって色調が変化するという性質はフリップフロップ性(FF性)と呼ばれ、この色調の変化が大きい方がフリップフロップ性が高く、光輝性顔料を含有する塗膜としての光輝感に優れるとされている。
一方、近年、大気汚染や省資源の観点から、塗料の水性化が進められており、このため現在では、優れた光輝感を有する塗膜を形成し得る光輝性顔料含有水性ベースコート塗料の開発が積極的に行なわれている。
光輝性顔料含有水性ベースコート塗料から形成されるベースコート塗膜の光輝感を向上する手段の一つとして、以前から、塗料固形分に対する光輝性顔料の顔料質量濃度(Pigment Weight Concentration、以下、「PWC」と略称することがある)を高くする方法が検討されてきたが、水性ベースコート塗料の光輝性顔料のPWCを高くすると、それから形成される塗膜の艶や平滑性が低下し、十分な仕上がり外観を得られなかったり、耐水性等の塗膜性能が低下するなどの問題がある。
この対策として、例えば、特許文献1には、アミド基含有アクリル樹脂及び、平均粒径が17〜60μmのアルミニウム顔料をPWCとして0.1〜50重量%含むアルミニウム顔料をPWCとして15〜50重量%含んでなる水性ベース塗料組成物が開示されている。しかしながら、該水性ベース塗料組成物を用いた場合においても、塗膜の光輝感と平滑性は不十分であり、また、耐水性等の塗膜性能も不十分である。
また、特許文献2には、光輝性顔料のPWCが比較的低い水性ベースコート塗膜上に、光輝性顔料のPWCが比較的高い水性ベースコート塗料を塗り重ね、さらにクリヤー塗料を塗り重ねることによって、優れた外観の光輝感を有する塗膜を形成する塗装方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、光輝性顔料のPWCが比較的低くかつ塗料固形分が比較的高い水性ベースコート塗膜上に、光輝性顔料のPWCが比較的高くかつ塗料固形分が比較的低い水性ベースコート塗料を塗り重ね、さらにクリヤー塗料を塗り重ねることによって、優れた外観の光輝感を有する塗膜を形成する塗装方法が開示されている。
しかしながら、これらいずれの塗装方法においても、得られる塗膜の光輝感と平滑性は十分とは言えず、耐水性等の塗膜性能も不十分である。
特開2002−179988号公報 特開2004−351390号公報 特開2004−351389号公報
本発明の主たる目的は、光輝感、平滑性等の仕上がり外観及び耐水性等の塗膜性能に優れた塗膜を形成することができる光輝性顔料含有水性ベースコート塗料を提供することである。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、今回、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体を含むラジカル重合性不飽和単量体混合物を乳化重合することにより得られる特定の水分散性アクリル重合体粒子及び顔料質量濃度(PWC)が15〜50%の範囲内にある光輝性顔料を含んでなる光輝性顔料含有水性ベースコート塗料により、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、水分散性アクリル重合体粒子(A)及び光輝性顔料(B)を含んでなり、水分散性アクリル重合体粒子(A)が、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体を含むラジカル重合性不飽和単量体混合物を乳化重合することにより得られるものであり、そして光輝性顔料(B)を15〜50%の範囲内の顔料質量濃度(PWC)で含有することを特徴とする光輝性顔料含有水性ベースコート塗料を提供するものである。
本発明の光輝性顔料含有水性ベースコート塗料を用いれば、光輝感、平滑性等の仕上がり外観及び耐水性等の塗膜性能に優れた塗膜を容易に形成せしめることができる。
本塗料によって耐水性及び塗膜外観に優れた塗膜を形成することができる理由としては、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)を用いて得られる水分散性アクリル重合体粒子(A)の粒子内部において、アミド基が三次元架橋内に取り込まれた構造が形成され、水素結合力のあるアミド基が粒子内部に比較的均一に存在するため、塗料状態では粒子内部まで水が浸透し、優れた粘性効果を発現して塗膜外観が向上すること、また、硬化塗膜においては、外部から塗膜中に浸透した水の局在化が生じにくくなるために耐水性が向上することが考えられる。一方、1分子中に1個のみのラジカル重合性不飽和基を持つアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体を用いた場合では、粒子内部においてアミド基が局在化しやすいため、塗膜の外観及び耐水性が不十分になると推察される。
以下、本発明の光輝性顔料含有水性ベースコート塗料についてさらに詳細に説明する。
本発明の光輝性顔料含有水性ベースコート塗料(以下、「本塗料」ということがある)は、水分散性アクリル重合体粒子(A)を含有し、かつ光輝性顔料(B)を15〜50%の範囲内の顔料質量濃度(PWC)で含有する塗料であり、塗膜性能の観点から、さらに
、必要に応じて、架橋剤(C)を含有することが好ましい。
なお、本明細書において、光輝性顔料(B)の顔料質量濃度(PWC)は、塗料の固形分に対する光輝性顔料(B)の質量割合である。
本発明の光輝性顔料含有水性ベースコート塗料は、水分散性アクリル重合体粒子(A)を、本塗料中の樹脂固形分を基準として、固形分で10〜100質量%、好ましくは15〜80質量%、さらに好ましくは20〜70質量%の範囲内で含有することができる。また、架橋剤(C)の含有量は、本塗料中の樹脂固形分を基準として、固形分で一般に0〜50質量%、特に10〜45質量%、さらに特に20〜40質量%の範囲内にあるのが好適である。
ここで、樹脂固形分は、本塗料に含まれる基体樹脂と架橋剤とその他の必要に応じて添加される樹脂、例えば、リン酸基含有樹脂との合計固形分である。
水分散性アクリル重合体粒子(A)
本塗料において使用される水分散性アクリル重合体粒子(A)は、本塗料における基体樹脂の少なくとも一部を構成するものであり、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M―1)を含むラジカル重合性不飽和単量体混合物を乳化重合することにより得られる水分散性アクリル重合体粒子であって、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M―1)を1種もしくはそれ以上のその他のラジカル重合性不飽和単量体(M−2)とともに乳化重合することにより得ることができる。
上記ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)としては、具体的には、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−テトラメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のC1〜6アルキレンビス(メタ)アクリルアミド;N,N’−1,3−フェニレンビスアクリルアミド;N,N’−(オキシメチレン)ビスアクリルアミド等を挙げることができる。
上記その他のラジカル重合性不飽和単量体(M−2)としては、アミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M―1)とラジカル重合するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)、アミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)以外の、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するラジカル重合性不飽和単量体(M−2−3)等を挙げることができる。
カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸及びこれらの不飽和ジカルボン酸のハーフモノアルキルエステル化物等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。塗料の粘度発現性と塗膜性能の観点から、中でも、メタクリル酸が好適である。
また、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−もしくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のC2〜10ヒドロキシアルキルエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)中の水酸基は
、架橋剤(C)と反応する官能基として作用することができる。これらの水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、アミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)以外の、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するラジカル重合性不飽和単量体(M−2−3)としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
さらに、上記のラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)〜(M−2−3)以外の、その他のラジカル重合性不飽和単量体(M−2−4)を使用することもでき、そのようなラジカル重合性不飽和単量体(M−2−4)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のC1〜20アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族系ビニル化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有ビニル化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの含窒素アルキル(炭素数1〜20)(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニルなどのビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの重合性不飽和結合含有ニトリル系化合物;ブタジエン、イソプレンなどのジエン系化合物等を挙げることができる。
その他のラジカル重合性不飽和単量体(M−2)としては、上記のラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)〜(M−2−4)をそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
水分散性アクリル重合体粒子(A)としては、特に、アミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M―1)、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)及び水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)を含むラジカル重合性不飽和単量体混合物を乳化重合することにより得られるものが好適である。なかでも、塗膜の耐水性などの観点から、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)としてメタクリル酸を用いたものが特に好ましい。その理由としては、メタクリル酸は、アクリル酸に比べ水中での解離度が低く、親水性官能基であるカルボキシル基がアクリル酸の場合に比べより粒子内部に均一に分布するため、親水性官能基の局在化が起こりにくいことが考えられる。
上記ラジカル重合性不飽和単量体混合物におけるアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M―1)の配合割合は、塗膜の仕上り性及び水分散性アクリル重合体粒子(A)の貯蔵安定性の観点から、ラジカル重合性不飽和単量体の総量を基準にして、一般に0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜4質量%、さらに好ましくは1〜3.5質量%の範囲内とすることができる。
また、上記ラジカル重合性不飽和単量体混合物におけるカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)の配合割合は、塗膜の外観や耐水性などの観点から、一般に0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは1〜10質
量%の範囲内とすることができ、さらに、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)の配合割合は、塗膜の硬化性や耐水性などの観点から、一般に0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは2〜10質量%の範囲内とすることができる。中でも、上記配合割合において、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)としては、メタクリル酸を用いることが特に好ましい。
水分散性アクリル重合体粒子(A)は、乳化剤の存在下且つラジカル重合開始剤の共存下で、アミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M―1)をその他のラジカル重合性不飽和単量体(M−2)とともに乳化重合することにより得ることができる。
上記乳化剤としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム及びアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤;ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性乳化剤が挙げられ、さらに、ラジカル重合性不飽和基を有する反応性乳化剤を挙げることができる。
上記乳化剤としては、反応性乳化剤を用いることが好ましく、得られる塗膜の耐水性の観点から、中でも、アニオン性の反応性乳化剤を用いることが特に好ましい。
上記アニオン性の反応性乳化剤としては、例えば、(メタ)アリル基、(メタ)アクリル基、プロペニル基、ブテニル基などのラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のナトリウム塩やアンモニウム塩等を挙げることができる。得られる塗膜が耐水性に優れていることから、中でも、ラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩が好ましい。該スルホン酸化合物のアンモニウム塩の市販品としては、例えば、ラテムルS−180A(花王社製、商品名)等を挙げることができる。
また、上記ラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩の中でも、ラジカル重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩がさらに好ましい。上記ラジカル重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩の市販品としては、例えば、アクアロンKH−10(第一工業製薬社製、商品名)、SR−1025A(旭電化工業社製、商品名)等を挙げることができる。
上記乳化剤の濃度は、使用するするラジカル重合性不飽和単量体の総量を基準にして、通常0.1〜10質量%、特に1〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
水分散性アクリル重合体粒子(A)は、多段階反応により合成される多層構造を有するものであることが好ましい。具体的には、例えば、2層構造であるコア/シェル構造、3層構造である第1コア/第2コア/シェル構造を有するものを挙げることができる。塗膜性能や水分散性アクリル重合体粒子(A)の生産性などの観点から、2層構造であるコア/シェル構造を有するものが好適である。中でも、塗膜性能や塗膜の仕上り性などの観点から、コア部分が粒子内架橋され且つシェル部分が実質的に未架橋であるものが特に好適である。
コア部分が粒子内架橋したコア/シェル構造を有する水分散性アクリル重合体粒子(A)は、例えば、最初にラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)を含有するラジカル重合性不飽和単量体混合物(
I)を乳化重合してコア部分を形成せしめ、次いで、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)を含有するラジカル重合性不飽和単量体混合物(II)を加え、さらに乳化重合してシェル部分を形成せしめることにより得ることができる。
上記のコア部分が粒子内架橋したコア/シェル構造を有する水分散性アクリル重合体粒子(A)におけるカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)の使用割合は、最初のコア部の合成においては、コア部を形成するラジカル重合性不飽和単量体混合物(I)の質量を基準にして、通常0〜10質量%、特に0〜5質量%の範囲内、さらに特に0〜2質量%、そしてその後のシェル部の合成においては、シェル部を形成するラジカル重合性不飽和単量体混合物の質量を基準にして、通常5〜30質量%、特に7〜25質量%、さらに特に10〜20質量%の範囲内とするのが好適である。
また、上記ラジカル重合性不飽和単量体混合物(I)が、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)を含有する場合、上記ラジカル重合性不飽和単量体混合物(II)は、上記カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)に加え、さらに、芳香族系ビニル化合物を、シェル部を形成するラジカル重合性不飽和単量体混合物(II)の質量を基準にして、通常2〜30質量%、特に5〜20質量%の範囲内で含有することが好ましい。
上記芳香族系ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができ、なかでも、スチレンを用いることが特に好ましい。
また、特に、前記コア部分が粒子内架橋したコア/シェル構造を有する水分散性アクリル重合体粒子(A)が、最初に、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)を、コア部を形成するラジカル重合性不飽和単量体混合物(I)の質量を基準にして、通常0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜4質量%の範囲内、さらに好ましくは0.75〜3.5質量%の範囲内で含有するラジカル重合性不飽和単量体混合物(I)を乳化重合し、次いで、シェル部を形成するラジカル重合性不飽和単量体混合物(II)の質量を基準にして、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)を通常3〜30質量%、好ましくは6〜25質量%の範囲内、さらに好ましくは11〜20質量%の範囲内、及びスチレンを通常2〜30質量%、好ましくは5〜20質量%の範囲内、さらに好ましくは11〜20質量%の範囲内で含有するシェル部を形成するラジカル重合性不飽和単量体混合物(II)を加えて、さらに乳化重合することによって得られる水分散性アクリル重合体粒子であることが好ましい。
水分散性アクリル重合体粒子(A)が2層構造を有する場合、コア部/シェル部の質量比は、厳密に制限されるものではないが、塗膜の外観や耐水性などの観点から、用いられる全ラジカル重合性不飽和単量体の質量を基準にして、一般に95/5〜50/50、特に85/15〜60/40、さらに特に80/20〜65/35の範囲内にあるのが好適である。
なお、水分散性アクリル重合体粒子を粒子内架橋する方法として、アミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)に加え、例えば、アミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)以外の、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するラジカル重合性不飽和単量体(M−2−3)を少量併用する方法;カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)とグリシジル基を有するラジカル重合性不飽和単量体とをそれぞれ少量併用する方法;水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)とイソシアネート基を有するラジカル重合性不飽和単量体をそれぞれ少量併用する方法等を用いることもできる。
また、ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化アンモニウムなどに代表される過酸化物;これら過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸などの還元剤との組み合わせよりなるレドックス系開始剤;4,4’−アゾビス(4−シアノブタン酸)などのアゾ化合物等を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は、使用するラジカル重合性不飽和単量体の総量を基準にして、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲内で用いることができる。
乳化重合の際の反応温度は、使用するラジカル重合開始剤により異なるが、通常約60〜約90℃の範囲内とすることができ、また、反応時間は通常5〜10時間程度とすることができる。
水分散性アクリル重合体粒子(A)は、得られる塗膜の耐水性などの観点から、一般に1〜70mgKOH/g、特に2〜60mgKOH/g、さらに特に5〜50mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。
また、水分散性アクリル重合体粒子(A)は、貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性などの観点から、一般に5〜90mgKOH/g、とくに10〜70mgKOH/g、さらに特に15〜50mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。
さらに、水分散性アクリル重合体粒子(A)は、通常10〜1000nm、好ましくは20〜500nmの範囲内、さらに好ましくは40〜350nmの範囲内の平均粒子径を有することができる。なお、本発明における水分散性アクリル樹脂(A)の平均粒子径は、測定温度20℃で、コールターカウンター法によって測定した値である。この測定は、例えば、「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製、商品名)を用いて行うことができる。
水分散性アクリル重合体粒子(A)は塩基性化合物で中和することが好ましい。該塩基性化合物は、水溶性であることが好ましく、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モルホリン、メチルエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールなどのアミン類等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができ、中でも、2−(ジメチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンを用いることが好ましい。
光輝性顔料(B)
光輝性顔料(B)は、塗膜にキラキラとした光輝感又は光干渉性を付与する顔料であり、りん片状ないし薄板状であることが好ましい。光輝性顔料(B)としては、例えば、アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、雲母、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、雲母状酸化鉄、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆アルミナ、酸化鉄被覆シリカ、酸化鉄被覆アルミナ等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
光輝性顔料(B)は3〜30μm、特に5〜25μmの範囲内の平均粒子径を有していることが好ましい。なお、本明細書において、光輝性顔料(B)の平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定された体積基準粒度分布のメジアン径(d50)であり、例えば、マイクロトラック粒度分布測定装置「MT3300」(日機装社製、商品名)を用いて
測定することができる。
また、光輝性顔料(B)は、水素ガス発生抑制の観点から、リン酸基又はスルホン酸基を含有する処理剤で分散処理されていることが好適である。リン酸基又はスルホン酸基含有処理剤としては、それ自体既知の低分子化合物や(共)重合体を使用することができる。
本塗料は、形成される塗膜の光輝感や平滑性などの観点から、かかる光輝性顔料(B)を、15〜50%、好ましくは21〜45%、さらに好ましくは25〜35%の範囲内の顔料質量濃度(PWC)で含有することができる。
架橋剤(C)
本塗料には、必要に応じて架橋剤(C)を配合することができる。配合し得る架橋剤(C)としては、特に制限されるものではなく、例えば、以下に述べるアミノ樹脂(C−1)、ブロック化ポリイソシアネート化合物(C−2)又はそれらの混合物等を好適に用いることができ、なかでも、アミノ樹脂(C−1)を用いることが特に好ましい。
アミノ樹脂(C−1)としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分とアルデヒドとの反応によって得られる部分もしくは完全メチロール化アミノ樹脂が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等が挙げられる。また、このメチロール化アミノ樹脂を適当なアルコールによってメチロール基を部分的にもしくは完全にエーテル化したものも使用することができ、エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
アミノ樹脂(C−1)としては、メラミン樹脂が好ましく、中でも、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基を、メチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、及びメチルアルコールとブチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種のアルキルエーテル化メラミン樹脂が好ましい。
上記メラミン樹脂は、一般に800〜5,000、特に1,000〜4,000の範囲内の重量平均分子量有することが好ましい。
上記メラミン樹脂の市販品としては、例えば、日本サイテックインダストリーズ社製のサイメル254などのサイメルシリーズ;三井化学社製のユーバン20SEなどのユーバンシリーズ等を挙げることができる。
また、メラミン樹脂を架橋剤(C)として使用する場合は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸、及びこれらの酸とアミンとの塩を触媒として使用することができる。
なお、本明細書において、メラミン樹脂、後記のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(東ソー社製、商品名「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量又は重量平均分子量を、標準ポリスチレンの分子量を基準にして換算した値であり、上記ゲルパーミュエー
ションクロマトグラフは、カラムとして「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも商品名、東ソー社製)の4本を用い、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min及び検出器RIの条件で操作される。
また、上記ブロック化ポリイソシアネート化合物(C−2)としては、例えば、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をオキシム、フェノール、アルコール、ラクタム、メルカプタン、ピラゾール等のブロック剤でブロックしたものを挙げることができる。
水性ベースコート塗料
本発明の水性ベースコート塗料には、樹脂成分として、前記水分散性アクリル重合体粒子(A)及び上記架橋剤(C)に加えて、さらに必要に応じて、その他の樹脂成分を含有させることもできる。このような他の樹脂成分のうちの基体樹脂としては、水性ベースコート塗料において通常使用されているもの、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができ、中でも、以下に述べるアクリル樹脂及びポリエステル樹脂が好適である。これらの樹脂はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
必要に応じて本塗料に含有させることができるアクリル樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合性不飽和単量体を常法に従い溶液重合法により共重合することによって得られるアクリル樹脂を挙げることができる。溶液重合に使用し得る有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール系、ジプロピレングリコール系等の親水性有機溶剤が好ましい。また、水分散性の観点から、該アクリル樹脂はカルボキシル基等の酸基を有していることが好ましい。
上記のラジカル重合性不飽和単量体としては、特に制限はなく、例えば、水分散性アクリル重合体粒子(A)に関して前述した、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)、その他のラジカル重合性不飽和単量体(M−2−4)等のラジカル重合性不飽和単量体を挙げることができる。
上記アクリル樹脂は、一般に1,000〜200,000、特に2,000〜100,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。また、上記アクリル樹脂は、通常10〜250mgKOH/g、特に30〜150mgKOH/gの範囲内の水酸基価、及び通常10〜100mgKOH/g、特に20〜60mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。
上記アクリル樹脂の配合量は、本塗料中の全樹脂固形分を基準として、固形分で、通常0〜40質量%、好ましくは5〜35質量部%の範囲内とすることができる。
必要に応じて本塗料に含有させることができるポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、例えば、常法に従って、多塩基酸と多価アルコ−ルとをエステル化反応させることによって合成することができるポリエステル樹脂を挙げることができる。
上記多塩基酸は1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸及びこれらの無水物等を挙げることができ、また、上記多
価アルコ−ルは1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
また、ポリエステル樹脂として、上記の如くして得られるポリエステル樹脂を、あまに油脂肪酸、やし油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸などの(半)乾性油脂肪酸等で変性した脂肪酸変性ポリエステル樹脂を使用することもできる。これらの脂肪酸による変性量は、一般に、油長で30質量%以下であることが好ましい。また、安息香酸などの一塩基酸を一部反応させたものであってもよい。さらに、ポリエステル樹脂に酸基を導入するために、前記多塩基酸と多価アルコールのエステル化反応後に、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸などの多塩基酸又はそれらの無水物を反応させることもできる。
上記ポリエステル樹脂は、一般に1,000〜200,000、特に2,000〜50,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。また、上記ポリエステル樹脂は、通常10〜250mgKOH/g、特に30〜150mgKOH/gの範囲内の水酸基価及び通常10〜100mgKOH/g、特には20〜60mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。
上記ポリエステル樹脂の配合量は、本塗料中の全樹脂固形分を基準として、固形分で、通常0〜40質量%、好ましくは5〜35質量%の範囲内とすることができる。
本塗料には、光輝性顔料(B)以外に、必要に応じて、着色顔料、体質顔料等の顔料を含有せしめることもできる。
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華などの白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどの黒色顔料;黄色酸化鉄、チタンイエロー、クロムエロー、酸化クロム、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエローなどの黄色顔料;パーマネントオレンジなどの橙色顔料;赤色酸化鉄、カドミウムレッド、モリブデンレッド、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッドなどの赤色顔料;コバルト紫、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレットなどの紫色顔料;コバルトブルー、プルシアンブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルーなどの青色顔料;フタロシアニングリーンなどの緑色顔料;その他のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料等が挙げられ、また、体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、バリタ、石膏、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、マイカ粉等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の光輝性顔料含有水性ベースコート塗料には、さらに必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、ポリマー微粒子、塩基性中和剤、防腐剤、防錆剤、シランカップリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、増粘剤、消泡剤、硬化触媒、劣化防止剤、流れ防止剤、水、有機溶剤等の水性塗料調製に際して通常用いられる他の塗料用添加剤を含有させることができる。
上記硬化触媒としては、例えば、有機金属化合物、酸化合物、塩基化合物等を挙げることができる。該有機金属化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、酢酸リチウム、アセチルアセトン鉄(III)、2−エチルヘキサン酸亜鉛、酢酸銅、三塩化バナジウム、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、テトラブチル錫、ジブチル錫オキシド、テトラ−n−ブチル−1,3−ジアセチルオキシジスタノキサン、テトラ−n−プロピル−1,3−ジアセチルオキシジスタノキサン、テトラ−n−ブチル−1,3−ジラウリルオキシジスタノキサン等の金属触媒を挙げることができ、特に、オクチル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジスタノキサン類等の有機錫系化合物が好ましい。さらに、低温焼き付けが要求される場合には、ジブチル錫ジアセテートが好適に用いられる。該酸化合物としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ブチルリン酸、オクチルリン酸などを挙げることができ、これらの酸のアミン中和物なども好適に用いられる。該塩基化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、N−ペンタメチルジエチレントリアミン、2−メチル−1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等の化合物を挙げることができる。
硬化触媒として上記したこれらの化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。硬化触媒の使用量は、その種類により異なるが、塗料中の全樹脂固形分100質量部に対して、通常0.05〜5質量部程度が好適である。
上記増粘剤としては、例えば、ケイ酸塩、金属ケイ酸塩、モンモリロナイト、有機モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等の無機系増粘剤;ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリアクリル酸系増粘剤;1分子中にウレタン結合とポリエーテル鎖を有し、水性媒体中において、該ウレタン結合同士が会合することにより効果的に増粘作用を示すウレタン会合型増粘剤(市販品として、例えば、旭電化工業社製の「UH−814N」、「UH−462」、「UH−420」、「UH−472」、「UH−540」(以上商品名)、サンノプコ社製の「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」(以上商品名)等が挙げられる);カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体系増粘剤;カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質系増粘剤;アルギン酸ソーダ等のアルギン酸系増粘剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルエーテル共重合体等のポリビニル系増粘剤;プルロニックポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系増粘剤;ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体の部分エステル等の無水マレイン酸共重合体系増粘剤;ポリアマイドアミン塩等のポリアマイド系増粘剤などが挙げられ、なかでも、ポリアクリル酸系増粘剤及び/又はウレタン会合型増粘剤を用いることが好ましく、ウレタン会合型増粘剤を用いることが特に好ましい。これらの増粘剤は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、該増粘剤を使用する場合、その使用量は、塗料中の全固形分100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、特に0.5〜8質量部、さらに特に1〜5質量部の範囲内が好適である。
上記紫外線吸収剤としては、それ自体既知のものを使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等を挙げることができる。これらの紫外線吸収剤を使用する場合、塗膜の耐侯性、耐黄変性などの観点から、その使用量は、塗料中の全樹脂固形分100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、特に0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の
範囲内が好適である。
上記光安定剤としては、それ自体既知のものを使用することができ、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。 該光安定剤を使用する場合、その使用量は、塗膜の耐侯性、耐黄変性などの面から、塗料中の全樹脂固形分100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、特は0.2〜5質量部、さらに特に0.3〜2質量部の範囲内であることが好ましい。
本塗料は、例えば、光輝性顔料(B)と分散用樹脂、例えば、リン酸基含有樹脂及び有機溶剤から、予め光輝性顔料濃厚液を調製し、それを前述の他の成分と、常法に従い混合することにより製造することができる。
本塗料は、形成される塗膜の光輝感などの観点から、一般に5〜40質量%、特に5〜15質量%、さらに特に7〜9質量%の範囲内の塗料固形分を有することが好適である。また、本塗料は、通常7.5〜9、特に7.5〜8.5の範囲内のpHを有することが好適である。
本塗料が5〜15質量%、特に7〜9質量%の範囲内の比較的低い塗料固形分を有する場合、本塗料は前記増粘剤を含有することが好ましく、なかでも、得られる塗膜のフリップフロップ性、光輝感、平滑性などの観点から、前記ポリアクリル酸系増粘剤及び/又はウレタン会合型増粘剤を含有することが好ましく、ウレタン会合型増粘剤を含有することが特に好ましい。
なお、本明細書において、光輝性顔料含有水性ベースコート塗料の塗料固形分は、該光輝性顔料含有水性ベースコート塗料を110℃で1時間乾燥させた後の不揮発分の質量割合であり、該光輝性顔料含有水性ベースコート塗料を直径約5cmのアルミ箔カップに約2g測りとり、カップの底面に十分全体に展延した後、110℃で1時間乾燥させ、乾燥前の塗料質量と乾燥後の塗料質量から算出することができる。
被塗物
本塗料を適用し得る被塗物としては、特に限定されるものではなく、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部等を挙げることができ、中でも、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
これらの被塗物を構成する基材としては、特に制限されるものではなく、例えば、鉄板、アルミニウム板、真鍮板、銅板、ステンレス鋼板、ブリキ板、亜鉛メッキ鋼板、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼板等の金属板;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂や各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;繊維材料(紙、布等)等を挙げることができ、中でも、金属板又はプラスチック材料が好適である。
また、上記被塗物は、上記の如き基材上に、下塗り塗膜又は下塗り塗膜及び中塗り塗膜を形成したものであってもよい。基材が金属製である場合は、下塗り塗膜の形成を行う前に、予めりん酸塩、クロム酸塩等による化成処理を行っておくことが好ましい。
下塗り塗膜は、防食性、防錆性、基材との密着性、基材表面の凹凸の隠蔽性(「下地隠蔽性」と呼称されることもある)等を付与することを目的として形成されるものであり、
下塗り塗膜を形成するために用いられる下塗り塗料としては、それ自体既知のものを用いることができ、例えば、金属等の導電性基材に対しては、カチオン電着塗料やアニオン電着塗料を用いることが好ましく、また、ポリプロピレンのような低極性の基材に対しては、塩素化ポリオレフィン樹脂系塗料などを用いることが好ましい。
下塗り塗料は、塗装後、加熱、送風等の手段によって、硬化させてもよく、また、硬化しない程度に乾燥させてもよい。下塗り塗料としてカチオン電着塗料やアニオン電着塗料を用いる場合は、下塗り塗膜と、該下塗り塗膜上に続いて形成される塗膜間における混層を防ぎ、外観に優れた複層塗膜を形成するために、下塗り塗料塗装後に加熱して下塗り塗膜を硬化させることが好ましい。
また、上記中塗り塗膜は、下塗り塗膜との密着性、下塗り塗膜色の隠蔽性(「色隠蔽性」と呼称されることもある)、下塗り塗膜表面の凹凸の隠蔽性、耐チッピング性等を付与することを目的として上記下塗り塗膜上に形成されるものである。
中塗り塗膜は、中塗り塗料を塗布することによって形成せしめることができ、その膜厚は硬化膜厚で通常10〜50μm、特に15〜30μmの範囲内にあることが好ましい。
中塗り塗料としては、それ自体既知のものを用いることができ、例えば、ビヒクル成分として、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有アクリル樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂、ブロック化ポリイソシアネート等の架橋剤を含んでなる中塗り塗料を挙げることができる。
中塗り塗料は、塗装後に加熱、送風等の手段によって、硬化ないしは指触乾燥させることが、中塗り塗膜上に続いて塗装される塗料との混層が抑制され、外観の優れた複層塗膜を形成することができるので好ましい。
塗装方法
上記の如き被塗物に対する本塗料の塗装方法は、特に限定されるものではなく、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装等の方法が挙げられ、これらの塗装方法で被塗物上にウエット膜を形成せしめることができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加されていてもよく、中でも、回転霧化方式の静電塗装及びエアスプレー方式の静電塗装が好ましく、回転霧化方式の静電塗装が特に好ましい。
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装又は回転霧化塗装する場合には、本塗料の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップ#4粘度計において、20℃で15〜60秒程度の粘度範囲となるように、適宜、水及び/又は有機溶剤を用いて調整しておくことが好ましい。
形成されるウエット塗膜の硬化は、被塗物に本塗料を塗装した後、加熱することにより行うことができる。加熱は、それ自体既知の加熱手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を用いて行うことができる。加熱温度は、通常約80〜約180℃、好ましくは約100〜約160℃の範囲内が適している。加熱時間は、特に制限されるものではないが、通常20〜40分間程度とすることができる。
本塗料の膜厚は、硬化膜厚として、通常5〜35μm、好ましくは8〜25μmの範囲内が適している。
また、被塗物上に本塗料を塗装し、該塗膜を硬化させることなく、その上にクリヤーコート塗料を塗装し、本塗料の塗膜とクリヤーコート塗膜を同時に加熱硬化させる2コート
1ベーク方式によって複層塗膜を形成せしめることができる。
上記2コート1ベーク方式によって複層塗膜を形成する場合、ハジキ等の塗膜欠陥の発生を防止する等の観点から、本塗料の塗装後、塗膜が実質的に硬化しない温度でプレヒートを行うことが好ましい。プレヒートの温度は通常50〜100℃程度とすることができ、また、プレヒートの時間は大体30秒間〜10分間、好ましくは1〜5分間程度とすることができる。
得られる未硬化のベースコート塗膜(本塗料の塗膜)上に、クリヤーコート塗料を回転霧化方式の静電塗装機、エアレススプレー塗装機、エアスプレー塗装機等の塗装機を用いて塗装した後、通常約100〜約180℃、好ましくは約120〜約160℃の温度で10〜40分間程度加熱して両塗膜を同時に硬化させることにより、優れた外観を有する複層塗膜を形成せしめることができる。
また、本塗料を用いることにより、塗膜性能と光輝感に優れた塗膜を形成せしめることができるので、本塗料は自動車用塗料として好適に用いることができる。
自動車車体の塗装ラインにおいては、通常、同種の塗料を用いるゾーン毎に区分けして塗装することにより、飛散塗料の被塗物や塗膜への付着などによる塗装品質の低下が抑制されており、例えば、自動車塗装ラインにおいては、一般に、下塗り塗装ゾーン、中塗り塗装ゾーン、ベースコート塗装ゾーン、クリヤーコート塗装ゾーンの各ゾーンに区分けされている。
また、各塗装ゾーン内においては、通常、塗装を2回以上に分け、各塗装の間で30秒間〜3分間程度のセッティング(静置)を行うことによって、塗料のタレ等を防止し、高い塗装品質を得る措置がなされており、同一ゾーン内の各塗装は、先に行われる塗装から順に、第1ステージ、第2ステージ・・・と呼ばれる。
このような塗装方法は、一般に、多ステージ塗装と呼ばれ、例えば、同一ゾーン内における塗装を2回に分けて行なう場合は2ステージ塗装、3回に分けて行なう場合は3ステージ塗装と呼ばれる。このうち、ベースコート塗装ゾーンにおいて、水性ベースコート塗料の塗装を行なう場合は、塗膜外観や塗装効率などの観点から、2ステージ塗装で行なうことが好ましい。
上記2ステージ塗装によって水性ベースコート塗料の塗装を行う場合、第1ステージで塗装される水性ベースコート塗料と、第2ステージにおいて塗装される水性ベースコート塗料は同一であってもまた互いに異なっていてもよい。中でも、第1ステージと第2ステージで異なる水性ベースコート塗料を用い、第1ステージにおいて、塗料固形分が16〜45質量%の水性ベースコート塗料(X1)を塗装し、第2ステージにおいて、塗料固形分を5〜15質量%の範囲内に調整した本発明の水性ベースコート塗料(X2)を塗装することにより、優れた光輝感と塗膜性能を有する塗膜を形成することができる(以下、この塗装方法を「ダブルベースコート塗装法」という)。
上記ダブルベースコート塗装法において、水性ベースコート塗料(X2)の塗料固形分は、得られる塗膜の光輝感などの観点から、特に6〜12質量%、さらに特に7〜9質量%の範囲内であることが好ましい。
また、上記ダブルベースコート塗装法における第1ステージの塗装終了時から、第2ステージの塗装開始時までの間は、省エネルギーや生産性向上などの観点から、プレヒートは行わず、30秒間〜3分間程度のインターバルをおくことが好ましい。
水性ベースコート塗料(X1)としては、特に制限されず、それ自体既知の水性ベースコート塗料を使用することができ、例えば、塗料固形分を16〜45質量%の範囲内に調整した本発明のベースコート塗料や、本発明の水性ベースコート塗料の光輝性顔料(B)のPWCを15%未満とし且つ塗料固形分を16〜45質量%の範囲内に調整した水性ベースコート塗料等を用いることができる。
ダブルベースコート塗装法においては、形成される塗膜の外観や耐水性などの観点から、水性ベースコート塗料(X1)の光輝性顔料の顔料質量濃度(PWC)が3〜30%、好ましくは3〜15%、さらに好ましくは5〜10%の範囲内にあり、且つ水性ベースコート塗料(X1)の光輝性顔料の顔料質量濃度(P1)と水性ベースコート塗料(X2)の光輝性顔料の顔料質量濃度(P2)の比率(P1/P2)が、通常(1/5)〜(1/1.1)、特に(1/4.5)〜(1/1.5)の範囲内にあることが好ましい。
中でも、水性ベースコート塗料(X1)として、本塗料の光輝性顔料(B)のPWCを一般に3〜30%、好ましくは3〜15%、さらに好ましくは5〜10%の範囲内に調整し、且つ塗料固形分を16〜45質量%の範囲内に調整した水性ベースコート塗料を用いることが、耐水性に優れた塗膜を形成することができるので、好適である。
また、水性ベースコート塗料(X1)の乾燥膜厚(T1)と水性ベースコート塗料(X2)の乾燥膜厚(T2)の比率(T1/T2)は、通常(5/1)〜(1.5/1)、特に(4/1)〜(2/1)の範囲内にあることが好適である。水性ベースコート塗料(X1)の乾燥膜厚(T1)は、一般に5〜15μm、特に7〜12μmの範囲内にあり、そして水性ベースコート塗料(X2)の乾燥膜厚(T2)は、一般に1〜5μm、特に2〜4μmの範囲内にあることが好ましい。
上記ダブルベースコート塗装法によって形成されるベースコート塗膜上にクリヤー塗料を塗装する場合、ハジキ等の塗膜欠陥の発生を防止する観点から、第2ステージでの塗装後、塗膜が実質的に硬化しない温度でプレヒートを行うことが好ましい。プレヒートの温度は通常約50〜約100℃の範囲内とすることができ、また、プレヒートの時間は通常30秒間〜10分間、好ましくは1〜5分間程度とすることができる。
上記プレヒートを行なうことによって得られる未硬化の光輝性顔料含有ベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料を回転霧化方式の静電塗装機、エアレススプレー塗装機、エアスプレー塗装機等の塗装機を用いて塗装した後、約100〜約180℃、好ましくは約120〜約160℃の温度で10〜40分間程度加熱して両塗膜を同時に硬化させることにより、優れた外観(光輝感、平滑性など)を有する複層塗膜を得ることができる。
クリヤーコート塗料
クリヤーコート塗料としては、例えば、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知のものを使用することができ、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、シラノール基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有化合物もしくは樹脂、エポキシ基含有化合物もしくは樹脂等の架橋剤をビヒクル成分として含有する有機溶剤系熱硬化型塗料、水性熱硬化型塗料、熱硬化粉体塗料等が挙げられる。中でも、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ基含有樹脂を含む有機溶剤系熱硬化型塗料又は水性熱硬化型塗料が好適である。クリヤーコート塗料は、一液型塗料であってもよく、或いは二液型ウレタン樹脂塗料等の二液型塗料であってもよい。
また、クリヤーコート塗料には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に着色顔料、光輝性顔料、染料等を含有させることができ、さらに、体質顔料、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等を適宜含有せしめることもできる。
クリヤーコート塗膜の膜厚は、塗膜外観や塗装作業性などの観点から、乾燥膜厚で、一般に15〜60μm、特に20〜50μmの範囲内にあることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
水分散性アクリル重合体粒子(A)の製造例
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水100部及びアクアロンKH−10(注1)0.5部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで、下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%及び3%過硫酸アンモニウム水溶液10.3部を反応容器内に導入し、80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を2時間かけて滴下し、1時間熟成した後、2−(ジメチルアミノ)エタノール5%水溶液42部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製、商品名)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した)、酸価33mgKOH/g、水酸基価48mgKOH/g及び固形分30%の水分散性アクリル重合体粒子(A1)を得た。
(注1) アクアロンKH−10: ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステ
ルアンモニウム塩:第一工業製薬株式会社製、商品名、有効成分:97%。
モノマー乳化物(1): 脱イオン水60部、アクアロンKH−10 1部、メチレンビスアクリルアミド3部、スチレン4部、メチルメタクリレート13部、エチルアクリレート30部及びn−ブチルアクリレート20部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2): 脱イオン水20部、アクアロンKH−10 1部、過流酸アンモニウム0.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート2部、n−ブチルアクリレート4部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10部及びメタクリル酸5部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
製造例2〜8
下記表1に示す配合割合の各成分を用いる以外、製造例1と同様に操作し、水分散性アクリル重合体粒子(A2)〜(A8)を得た。製造例1で得られた水分散性アクリル重合体粒子(A1)と併せ、得られた水分散性アクリル重合体粒子(A1)〜(A8)の固形分濃度、酸価及び水酸基価を下記表1に示す。
Figure 0005049963
(注2) Newcol562SN: 日本乳化剤社製、商品名、ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル硫酸エステル・ナトリウム塩、有効成分30%。
アクリル樹脂の製造例
製造例9
温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル35部を仕込み85℃に昇温後、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、n−ブチルアクリレート29部、ヒドロキシエチルアクリレート15部、アクリル酸6部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル15部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3部の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。その後さらに、反応容器に、プロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2’−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらに、ジエタノールアミン7.4部を加え、固形分55%、重量平均分子量58,000、酸価47mgKOH/g及び水酸基価72mgKOH/gのアクリル樹脂(D1)を得た。
ポリエステル樹脂の製造例
製造例10
攪拌機、還流冷却器、水分離器及び温度計を備えた反応器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール142部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126部及びアジピン酸120部を仕込み、160℃〜230℃の間を3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸46部を加え、180℃で1時間反応させた後、オクタノールで希釈し、酸価49mgKOH/g、水酸基価140mgKOH/g、固形分70%及び重量平均分子量6,400のポリエステル樹脂(E1)を得た。
光輝性顔料濃厚液の製造例
製造例11
攪拌混合容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル10部とオクタノール25部の混合溶剤を入れ、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(旭化成メタルズ社製、商品名、金属含有量74%)10部及びリン酸基含有樹脂溶液(注3)5部を添加し、攪拌混合して光輝性顔料濃厚液(B1)を得た。
(注3) リン酸基含有樹脂溶液: 温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却器及び
滴下装置を備えた反応容器に、メトキシプロパノール27.5部とイソブタノー
ル27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25部、n−ブチ
ルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学
社製、商品名、分岐高級アルキルアクリレート)20部、4−ヒドロキシブチル
アクリレート7.5部、リン酸基含有重合性モノマー(注4)15部、2−メタ
クリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10
部及びt−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を
4時間で上記の混合溶剤に加え、さらに、t−ブチルパーオキシオクタノエート
0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間で滴下した。その後
、1時間攪拌熟成して固形分50%のリン酸基含有樹脂溶液を得た。本樹脂のリ
ン酸基による酸価は83mgKOH/g、4−ヒドロキシブチルアクリレートに
由来する水酸基価は29mgKOH/gそして重量平均分子量は10,000で
あった。
(注4) リン酸基含有重合性モノマー: 温度計、サーモスタット、攪拌器、還流冷却
器及び滴下装置を備えた反応容器に、モノブチルリン酸57.5部及びイソブタ
ノール41部を入れ、90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート42.5部を
2時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノー
ル59部を加えて、固形分50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。リ
ン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。
製造例12
攪拌混合容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル10部とオクタノール25部の混合溶剤を入れ、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」40部及びリン酸基含有樹脂溶液18部を添加し、攪拌混合して光輝性顔料濃厚液(B2)を得た。
製造例13
攪拌混合容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル10部とオクタノール25部の混合溶剤を入れ、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」60部及びリン酸基含
有樹脂溶液27部を添加し、攪拌混合して光輝性顔料濃厚液(B3)を得た。
製造例14
攪拌混合容器にエチレングリコールモノブチルエーテル10部とオクタノール25部の混合溶剤を入れ、「Xirallic T60−10 WNT」(メルクジャパン社製、商品名、光輝性顔料)7.5部及びリン酸基含有樹脂溶液5部を添加し、攪拌混合して光輝性顔料濃厚液(B4)を得た。
製造例15
攪拌混合容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル10部とオクタノール25部の混合溶剤を入れ、「Xirallic T60−10 WNT」30部及びリン酸基含有樹脂溶液18部を添加し、攪拌混合して光輝性顔料濃厚液(B5)を得た。
製造例16
攪拌混合容器に、エチレングリコールモノブチルエーテル10部とオクタノール25部の混合溶剤を入れ、「Xirallic T60−10 WNT」45部及びリン酸基含有樹脂溶液27部を添加し、攪拌混合して光輝性顔料濃厚液(B6)を得た。
水性ベースコート塗料の実施例
実施例1
攪拌混合容器中に、製造例12で得た光輝性顔料濃厚液(B2)94部を投入し、該光輝性顔料濃厚液(B2)を攪拌しながら、サイメル325(日本サイテックインダストリーズ社製、商品名、メラミン樹脂、固形分80%)38部を添加した。さらに、攪拌を続けながら、製造例9で得たアクリル樹脂(D1)18部、製造例10で得たポリエステル樹脂(E1)43部及び製造例1で得たアクリル樹脂エマルション(A1)100部を添加して混合した。得られた混合物に2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加して、pH8.0及び塗料固形分23%の水性ベースコート塗料(X−1)を得た。
実施例2〜15
下記表2に示す配合組成の各成分を用いる以外は実施例1と同様に操作して、下記表2に示す塗料固形分を有するpHが8.0の水性ベースコート塗料(X−2)〜(X−13)及び(X1−1)〜(X1−2)を得た。
実施例16
攪拌混合容器中に、製造例12で得た光輝性顔料濃厚液(B2)94部を投入し、該光輝性顔料濃厚液(B2)を攪拌しながら、サイメル325(日本サイテックインダストリーズ社製、商品名、メラミン樹脂、固形分80%)38部を添加した。さらに、攪拌を続けながら、製造例10で得たポリエステル樹脂(E1)57部及び製造例1で得たアクリル樹脂エマルション(A1)100部を添加して混合した。得られた混合物に「プライマルASE−60」(ロームアンドハース社製、商品名、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加して、pH8.0及び塗料固形分14%の水性ベースコート塗料(X2−1)を得た。
実施例17〜34
下記表2に示す配合組成の各成分を用いる以外は実施例16と同様に操作して、下記表2に示す塗料固形分を有するpHが8.0の水性ベースコート塗料(X2−2)〜(X2−19)を得た。
実施例35
攪拌混合容器中に、製造例12で得た光輝性顔料濃厚液(B2)94部を投入し、該光
輝性顔料濃厚液(B2)を攪拌しながら、サイメル325(日本サイテックインダストリーズ社製、商品名、メラミン樹脂、固形分80%)38部を添加した。さらに、攪拌を続けながら、製造例10で得たポリエステル樹脂(E1)57部及び製造例4で得たアクリル樹脂エマルション(A4)100部を添加して混合した。得られた混合物に「SNシックナー660T」(サンノプコ社製、商品名、ウレタン会合型増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を添加して、pH8.0及び塗料固形分9%の水性ベースコート塗料(X2−20)を得た。
実施例36
製造例12で得た光輝性顔料(B2)94部を、製造例15で得た光輝性顔料濃厚液(B5)83部とする以外は、実施例35と同様に操作して、pH8.0及び塗料固形分9%の水性ベースコート塗料(X2−21)を得た。
Figure 0005049963
塗膜形成方法(試験板の作製1)
上記実施例1〜13で得られた水性ベースコート塗料(X−1)〜(X−13)及び上記実施例16で得られた水性ベースコート塗料(X2−1)について、以下のようにしてそれぞれ試験板を作製し、評価試験を行なった。
試験用被塗物の作製:
縦45cm×横30cm×厚さ0.8mmのりん酸亜鉛処理された冷延鋼板に「エレクロンGT−10」(商品名、関西ペイント社製、熱硬化エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を乾燥膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分加熱して硬化させてから、その上に中塗り塗料「アミラックTP−65−2」(商品名、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型中塗り塗料)を乾燥膜厚40μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して硬化させて試験用被塗物とした。
実施例35
温度23℃及び湿度75%の塗装環境において、上記試験用被塗物上に、実施例1で得た水性ベースコート塗料(X−1)を、回転霧化型のベル型塗装機「ABBカートリッジベル塗装機」(ABB社製、商品名)を用いて、乾燥膜厚15μmとなるように静電塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、その未硬化のベースコート塗面上にマジクロンKINO−1200(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂系溶剤型上塗りクリヤー塗料)を乾燥膜厚40μmとなるように塗装し、7分間放置し−た後、140℃で30分間加熱してこの両塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
実施例36〜45、比較例1〜3
実施例35における水性ベースコート塗料(X−1)及びその乾燥膜厚を下記表3及び表4に示す水性ベースコート塗料及び乾燥膜厚に変更する以外は、実施例35と同様に操作して、実施例36〜45及び比較例1〜3の試験板を作製した。
上記実施例36〜45及び比較例1〜2で得られたシルバーメタリック色の各試験板については、下記の試験方法1により評価を行なった。その結果を表3に示す。
(試験方法1)
フリップフロップ性: 各試験板について、多角度分光測色計MA−68(商品名、X−Rite社製)を用いて、受光角15度及び受光角110度のL値(明度)を測定し、下記の式によってFF値を求めた。
FF値=受光角15度のL値/受光角110度のL値。
FF値が大きいほど、観察角度(受光角)によるL値(明度)の変化が大きく、フリップフロップ性に優れていることを示す。
光輝感: 角度を変えて各試験板を目視し、下記基準で光輝感を評価した。
◎:目視の角度によるメタリック感の変化が大きく、フリップフロップ性に優れ、メ
タリックムラもほとんど認められず、極めて優れた光輝感を有する。
○:メタリックムラがわずかに認められるが、目視の角度によるメタリック感の変化
が大きく、フリップフロップ性に優れ、良好な光輝感を有する。
△:目視の角度によるメタリック感の変化がやや小さく、フリップフロップ性がやや
劣り、光輝感はやや劣る。
×:目視の角度によるメタリック感の変化が小さく、フリップフロップ性が劣り、光
輝感は劣る。
平滑性: 試験板の外観を目視にて評価した。
◎:極めて優れた平滑性を有する。
○:優れた平滑性を有する。
△:平滑性がやや劣る。
×:平滑性が劣る。
初期付着性: 各試験板上の複層塗膜に素地に達するようにカッターで切り込みを入れ、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作り、その表面に粘着テープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存数を調べた。
◎:100個残存し、カッターによる切り込みの縁も滑らかである。
○:100個残存するが、カッターの切り込みの交差点において塗膜の小さなハガレ
が生じている。
△:99〜81個残存。
×:80個以下残存。
耐水付着性: 各試験板を40℃の温水に10日間浸漬し、引き上げ、室温で12時間乾燥してから、上記初期付着性試験と同様にしてゴバン目試験を行った。評価基準は初期付着性試験の場合と同じである。
Figure 0005049963
また、上記実施例45及び比較例3で得られたパール色の各試験板については、下記の試験方法2により評価を行なった。その結果を表4に示す。
(試験方法2)
光輝感: 角度を変えて各試験板を目視し、下記の基準で光輝感を評価した。
◎:目視の角度による色調の変化が大きく、極めて優れた光輝感を有する。
○:目視の角度による色調の変化が比較的大きく、良好な光輝感を有する。
△:目視の角度による色調の変化がやや小さく、光輝感はやや劣る。
×:目視の角度による色調の変化が小さく、光輝感は劣る。
平滑性、初期付着性、耐水付着性: 上記試験方法1と同じ方法により評価した。
Figure 0005049963
塗膜形成方法(試験板の作製2)
上記実施例14〜36で得られた水性ベースコート塗料(X1−1)、(X1−2)及び(X2−1)〜(X2−21)について、以下のようにしてそれぞれ試験板を作製し、評価試験を行なった。
実施例46
温度23℃及び湿度75%の塗装環境において、前記試験用被塗物上に、実施例14で得た水性ベースコート塗料(X1−1)を、回転霧化型のベル型塗装機「ABBカートリッジベル塗装機」(ABB社製、商品名)を用いて、乾燥膜厚11μmとなるように静電塗装し、第1ベース塗膜を形成した。1分間のインターバルをおいた後、該第1ベース塗膜上に、実施例16で得た水性ベースコート塗料(X2−1)を、乾燥膜厚4μmとなるように塗装し、第2ベース塗膜を形成した。2分間のインターバルをおいた後、80℃で3分間プレヒートして、未硬化のベースコート塗膜を形成し、該未硬化のベースコート塗膜上にマジクロンKINO−1200(関西ペイント社製、商品名、アクリル樹脂系溶剤型上塗りクリヤー塗料)を乾燥膜厚40μmとなるように塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱してこれらの塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
実施例47〜63、比較例4〜6
下記表5及び表6に示した組み合わせと乾燥膜厚となるように、水性ベースコート塗料(X1−1)又は(X1−2)を塗装して第1ベース塗膜を形成した後、水性ベースコート塗料(X2−2)〜(X2−21)のいずれかを塗装して第2ベース塗膜を形成する以外は、実施例46と同様に操作して、実施例47〜63及び比較例4〜6の試験板を作製した。
上記実施例46〜58及び比較例4〜5で得たシルバーメタリック色の各試験板については、前記試験方法1により評価を行なった。その結果を表5に示す。
Figure 0005049963
また、上記実施例59〜63及び比較例6で得たパール色の各試験板については、前記試験方法2により評価を行なった。その結果を表6に示す。
Figure 0005049963

Claims (20)

  1. 水分散性アクリル重合体粒子(A)及び光輝性顔料(B)を含んでなり、水分散性アクリル重合体粒子(A)が、最初にラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)を含有するラジカル重合性不飽和単量体混合物(I)を乳化重合してコア部分を形成せしめ、次いで、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)を含有するラジカル重合性不飽和単量体混合物(II)を加え、さらに乳化重合してシェル部分を形成せしめることにより得られるコア部分が粒子内架橋され且つシェル部分が未架橋であるコア/シェル2層構造の水分散性アクリル重合体粒子であり、そして光輝性顔料(B)を15〜50%の範囲内の顔料質量濃度(PWC)で含有することを特徴とする光輝性顔料含有水性ベースコート塗料組成物
  2. ラジカル重合性不飽和単量体混合物(I)が、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するアミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M―1)と1種もしくはそれ以上のその他のラジカル重合性不飽和単量体(M−2)の混合物である請求項1に記載の水性ベースコート塗料組成物
  3. ラジカル重合性不飽和単量体(M―1)がC16アルキレンビス(メタ)アクリルアミドである請求項1又は2に記載の水性ベースコート塗料組成物
  4. ラジカル重合性不飽和単量体(M−2)が、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)、アミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−1)以外の、ラジカル重合性不飽和基を1分子中に2個以上有するラジカル重合性不飽和単量体(M−2−3)及びラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)〜(M−2−3)以外の、その他のラジカル重合性不飽和単量体(M−2−4)よりなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和単量体である請求項2に記載の水性ベースコート塗料組成物
  5. ラジカル重合性不飽和単量体混合物(I)が、アミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M―1)、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)及び水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)を含むものである請求項1に記載の水性ベースコート塗料組成物
  6. カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)がメタクリル酸である請求項5に記載の水性ベースコート塗料組成物
  7. ラジカル重合性不飽和単量体混合物(I)が、アミド基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M―1)を、ラジカル重合性不飽和単量体の総量を基準にして、0.1〜5質量%の範囲内で含有する請求項5に記載の水性ベースコート塗料組成物
  8. ラジカル重合性不飽和単量体混合物(I)が、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−1)を、ラジカル重合性不飽和単量体の総量を基準にして、0.1〜20質量%の範囲内で含有する請求項5に記載の水性ベースコート塗料組成物
  9. ラジカル重合性不飽和単量体混合物(I)が、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(M−2−2)を、ラジカル重合性不飽和単量体の総量を基準にして、0.1〜20質量%の範囲内で含有する請求項5に記載の水性ベースコート塗料組成物
  10. 水分散性アクリル重合体粒子(A)が1〜70mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有する請求項1に記載の水性ベースコート塗料組成物
  11. 水分散性アクリル重合体粒子(A)が5〜90mgKOH/gの範囲内の酸価を有する請求項1に記載の水性ベースコート塗料組成物
  12. 水分散性アクリル重合体粒子(A)が10〜1000nmの範囲内の平均粒子径を有する請求項1に記載の水性ベースコート塗料組成物
  13. 光輝性顔料(B)を21〜45%の範囲内の顔料質量濃度(PWC)で含有する請求項1に記載の水性ベースコート塗料組成物
  14. 架橋剤(C)をさらに含んでなる請求項1に記載の水性ベースコート塗料組成物
  15. 架橋剤(C)がアミノ樹脂及び/又はブロック化ポリイソシアネート化合物である請求項14に記載の水性ベースコート塗料組成物
  16. 塗料固形分が5〜15質量%の範囲内にある請求項1に記載の水性ベースコート塗料組成物
  17. 被塗物上に、請求項1に記載の水性ベースコート塗料組成物を塗装して未硬化のベースコート塗膜を形成せしめ、該未硬化のベースコート塗膜上にクリヤーコート塗料を塗装してクリヤーコート塗膜を形成した後、該ベースコート塗膜及び該クリヤーコート塗膜を同時に加熱硬化させることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  18. 被塗物上に、塗料固形分が16〜45質量%の範囲内である水性ベースコート塗料(X1)を塗装して第1ベースコート塗膜を形成せしめる工程と、該工程で形成される未硬化の第1ベースコート塗膜上に水性ベースコート塗料(X2)を塗装して第2ベースコート塗膜を形成せしめる工程を順次行うことからなる水性ベースコート塗料の塗装方法であって、
    水性ベースコート塗料(X2)が請求項16に記載の水性ベースコート塗料組成物であることを特徴とする水性ベースコート塗料の塗装方法。
  19. 請求項18に記載の水性ベースコート塗料の塗装方法によって得られた未硬化のベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料を塗装してクリヤーコート塗膜を形成せしめた後、該ベースコート塗膜及び該クリヤーコート塗膜を同時に加熱硬化させることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  20. 請求項17又は19に記載の方法により塗装された物品。
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