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JP4930125B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ Download PDF

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Description

本発明は各種電子機器に使用されるコンデンサの中で、特に、低インピーダンス特性の固体電解コンデンサに関するものである。
電子機器の高周波化に伴って電子部品の一つであるコンデンサにも従来よりも高周波領域でのインピーダンス特性に優れたコンデンサが求められてきており、このような要求に応えるために電気伝導度の高い導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサが種々検討されている。
また、近年、パーソナルコンピュータのCPU周り等に使用される固体電解コンデンサには小型大容量化が強く望まれており、更に高周波化に対応して低ESR(等価直列抵抗)化や、ノイズ除去や過渡応答性に優れた低ESL(等価直列インダクタンス)化が要求されており、このような要求に応えるために種々の検討がなされている。
図6(a)、(b)はこの種の従来の固体電解コンデンサの構成を示した正面断面図とA−A線における側面断面図、図7は同固体電解コンデンサの外装前の平面図であり、図6と図7において、11は素子を示し、この素子11は弁作用金属であるアルミニウム箔からなる陽極体12の表面を粗面化して誘電体酸化皮膜層を形成した後に絶縁性のレジスト部13を設けて陽極電極部14と陰極形成部(図示せず)に分離し、この陰極形成部の誘電体酸化皮膜層上に導電性高分子からなる固体電解質層、カーボン層と銀ペースト層からなる陰極層を順次積層形成することにより陰極電極部15を形成し、これにより長手方向に陽極電極部14と陰極電極部15が設けられた平板状の素子11が構成されているものである。
16は上記素子11の陽極電極部14に接続された陽極コム端子、16aはこの陽極コム端子16に設けられ、陽極電極部14が搭載される平面部、16bはこの平面部16aの両端を曲げ起こすことにより形成された接続部であり、複数枚積層した素子11の陽極電極部14を上記平面部16a上に搭載し、接続部16bを折り曲げて陽極電極部14に密着するように包み込み、この接続部16bの先端部分と素子11の陽極電極部14とを溶接部16cでレーザー溶接することによって接合しているものである。
17は上記素子11の陰極電極部15に接続された陰極コム端子、17aはこの陰極コム端子17に設けられ、陰極電極部15が搭載される平面部であり、この平面部17aと陰極電極部15間、ならびに各素子11の陰極電極部15間の接合は導電性接着剤18を用いて行われているものである。
19は上記陽極コム端子16と陰極コム端子17の一部が夫々外表面に露呈する状態で上記複数枚の素子11を一体に被覆した絶縁性の外装樹脂であり、この外装樹脂19から表出した陽極コム端子16と陰極コム端子17の一部を外装樹脂19に沿って底面へと折り曲げることにより、底面部に陽極端子部16dと陰極端子部17bを形成した面実装型の固体電解コンデンサが構成されているものである。
このように構成された従来の固体電解コンデンサは、陽極コム端子16に設けた接続部16bの先端と素子11の陽極電極部14に同時にレーザー光を照射してレーザー溶接を行うことにより、安定した溶接作業を行うことができるようになるというものであった。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2003−289023号公報
しかしながら上記従来の固体電解コンデンサでは、陽極コム端子16に設けた平面部16a上に素子11の陽極電極部14を搭載し、上記平面部16aの両端を曲げ起こして形成した接続部16bを折り曲げて陽極電極部14を包み込んだ後、上記接続部16bの先端部分と素子11の陽極電極部14とを溶接部16cでレーザー溶接することによって接合するようにしているものであるが、上記素子11の陽極電極部14の表面には誘電体酸化皮膜層が形成されているために溶接作業にバラツキが発生し易く、このために図6(b)にその詳細を示すように、複数枚が積層された素子11の下層が溶融され難く、全体に均一な溶接を行うことが難しくなるために、ESRが増加してしまうという課題があった。
本発明はこのような従来の課題を解決し、複数枚が積層された素子の陽極電極部の溶接を均一に行うことにより低ESR化を実現することができる固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、平板状の素子と、この素子に設けられた陽極電極部と陰極電極部を接合した陽極端子ならびに陰極端子と、これらを被覆した外装樹脂からなり、上記素子の陽極電極部の一部に貫通孔を設けると共に、この陽極電極部の平坦部と接合される接合部を陽極端子に設け、この接合部の先端と上記陽極電極部とを、貫通孔と分離される貫通孔の近傍をレーザー溶接によって接合することにより、レーザー溶接の溶接部で溶融した陽極電極部の一部が貫通孔内に流れ込むようにした構成のものである。
以上のように本発明による固体電解コンデンサは、素子の陽極電極部と陽極端子を接合する溶接部の近傍の陽極電極部に貫通孔を設けた構成により、溶接時に溶融した陽極電極部の一部が貫通孔内に流れ込んで素子の陽極電極部どうしを電気的に接続するようになるため、複数枚が積層された素子全体を接合してESRを低減することができるようになるという効果が得られるものである。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に全請求項に記載の発明について説明する。
図1(a)、(b)は本発明の実施の形態1による固体電解コンデンサの構成を示した正面断面図とA−A線における側面断面図、図2は同固体電解コンデンサの外装前の平面図、図3は同固体電解コンデンサに使用される素子の構成を示した断面図である。
図1〜図3において、1は素子を示し、この素子1は弁作用金属であるアルミニウム箔からなる陽極体2の表面を粗面化して誘電体酸化皮膜層2aを形成した後に絶縁性のレジスト部3を設けて陽極電極部4と陰極形成部(図示せず)に分離し、この陰極形成部の誘電体酸化皮膜層2a上に導電性高分子からなる固体電解質層5a、カーボン層5bと銀ペースト層5cからなる陰極層を順次積層形成することにより陰極電極部5を形成し、これにより長手方向に陽極電極部4と陰極電極部5が設けられた平板状の素子1を構成しているものである。
4aは上記素子1の陽極電極部4の幅方向の略中央に設けられた矩形の貫通孔であり、この貫通孔4aは陽極電極部4の幅方向と交差する方向に長手方向が向くように設けられ、かつ、複数枚(本実施の形態においては4枚)が積層された素子1全てに設けられ、素子1が積層された状態で各貫通孔4aが連通状態になるように形成されているものである。
また、上記貫通孔4aは、1枚の素子1毎に金型等を用いて打ち抜き加工したものでも良く、また、積層した複数枚の素子1を同時に打ち抜き加工しても良い。また、貫通孔4aの形状は矩形である必要はなく、方形や円形や楕円形等であっても良い。
6は銅、鉄合金等の金属のリードフレームからなり、上記素子1の陽極電極部4に接続された平板状の陽極端子、6aはこの陽極端子6に設けられ、陽極電極部4が搭載される素子搭載部、6bはこの素子搭載部6aの両端を夫々曲げ起こすことにより形成された一対の接合部である。
そして、このように構成された陽極端子6の素子搭載部6a上に素子1の陽極電極部4を複数枚積層して搭載し、接合部6bを夫々折り曲げて陽極電極部4に密着するように両側面から相対して包み込むことによって結束し、この接合部6bの先端部分と上記素子1に設けた貫通孔4aの近傍の陽極電極部4に同時にYAGレーザーを用いてレーザー光を照射して、溶接部6cでレーザー溶接することによって接合しているものである。
これにより、上記貫通孔4aの内面には、陽極電極部4を構成する陽極体2のアルミニウムの表面上に更に溶接部6cで溶融した陽極電極部4のアルミニウムが流れ込んでアルミニウム層が形成され、このアルミニウム層によって各陽極電極部4間を連通状態で接合すると共に、電気的に接続したものである。
7は銅、鉄合金等の金属のリードフレームからなり、上記素子1の陰極電極部5に接続された平板状の陰極端子、7aはこの陰極端子7に設けられ、陰極電極部5が搭載される素子搭載部であり、この素子搭載部7aと陰極電極部5間、ならびに各素子1の陰極電極部5間の接合は導電性接着剤8を用いて行われているものである。
9は上記陽極端子6と陰極端子7の一部が夫々外表面に露呈する状態で上記複数枚の素子1と陽極端子6と陰極端子7を一体に被覆した絶縁性の外装樹脂であり、この外装樹脂9から表出した陽極端子6と陰極端子7の一部を外装樹脂9に沿って側面から底面へと折り曲げることにより、底面部に陽極端子部6dと陰極端子部7bを形成した面実装型の固体電解コンデンサを構成したものである。
以下に具体的な実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、アルミニウム箔の厚みを0.1mmとし、このアルミニウム箔を陽極体2に用いた素子1を4枚積層し、厚み0.1mmの銅合金のリードフレームからなる陽極端子6及び陰極端子7を用い、定格電圧2.0V、静電容量220μFの固体電解コンデンサを作製した。
陽極端子6に設けた接合部6bの先端部の幅Bは0.7mm、接合部6bの先端部間の距離Cは0.9mmとし、この一対の接合部6bの先端部間の略中央となる位置で、陽極電極部4に長辺0.5mm×短辺0.2mmの矩形の貫通孔4aを設けた。この貫通孔4aは陽極電極部4の幅方向と交差する方向に長手方向が配置されるようにしたものである。
レーザー溶接は、YAGレーザーを用いてレーザー出力2kWで行い、接合部6bの先端部と積層した陽極電極部4の最上部面とを溶接した。このときレーザー溶接部6cにおける溶接痕の直径は0.4mmであった。
(実施例2)
実施例2は、上記実施例1における素子1の陽極電極部4に設けた貫通孔4aの形状が異なるようにしたものであり、図4にその詳細を示すように、矩形の貫通孔4bを陽極電極部4の幅方向に長手方向が向くように配置したものであり、これ以外は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製したものである。
(比較例)
比較例として、貫通孔を設けない以外は上記実施例1及び実施例2と同様にして、定格電圧2.0V、静電容量220μFの固体電解コンデンサを作製した。
このように作製された実施例1、実施例2、比較例の固体電解コンデンサのESR特性(測定周波数100kHz)を確認した結果を(表1)に示す。
Figure 0004930125
(表1)から明らかなように、本発明による固体電解コンデンサは、素子1の陽極電極部4の溶接部6c間に貫通孔4a(4b)を設けることにより、溶接時に陽極電極部4から溶融したアルミニウムが貫通孔4a(4b)内に流れ込むために複数枚が積層された陽極電極部4全体に均一な接合ができ、この結果、ESRを大きく低減することができているのが分かるものである。またESRのバラツキも低減できていることが分かる。
また、上記貫通孔4a(4b)の大きさとしては0.1mm〜0.7mmが適しており、0.1mmより小さいと溶融したアルミニウムが流れ込むことが難しく、0.7mmより大きいと陽極電極部4の機械強度が弱くなるために好ましくないことから、矩形にすることが適していると言えるものである。
また、上記実施例2のように、矩形の貫通孔4bを、陽極電極部4の幅方向に長手方向が向くように設けた構成により、溶接部6cと貫通孔4bの距離が近くなるために、溶接時に陽極体2から溶融したアルミニウムが貫通孔4b内により入り易くなるものである。
また、溶接部6cと貫通孔4a(4b)との距離は0.1mm〜0.5mmが適しており、0.1mmより小さいと溶接部6cの溶融状態のバラツキが大きくなり、0.5mmより大きいと貫通孔4a(4b)に流れ込むアルミニウム量が不十分となるために好ましくない。
以上のように本発明による固体電解コンデンサは、素子1の陽極電極部4と陽極端子6を接合する溶接部6cの近傍の陽極電極部4に貫通孔4a(4b)を設けた構成により、溶接時に溶融した陽極電極部4の一部が貫通孔4a(4b)内に流れ込んで素子1の陽極電極部4どうしを電気的に接続するようになるため、複数枚が積層された素子1全体を接合してESRを低減することができるようになるという格別の効果を奏するものである。
また、溶接部6cを貫通孔4a(4b)と分離し、かつ、近傍に設けたことにより、溶接部6cの溶融状態を安定にすることができ、陽極電極部4間の接続抵抗を小さくできる。
また、レーザー光を陽極電極部4の平坦部に照射することにより、溶接部6cの溶融状態がより安定し、貫通孔4a(4b)に溶融した陽極電極部4の一部が流れ込む量を安定にすることができ、陽極電極部4間の接続抵抗のバラツキを小さくできる。
また、貫通孔4a(4b)を2つの溶接部6c間を結ぶ線上に設けることにより、溶融した陽極電極部4の一部が貫通孔4a(4b)に流れ込む量を増やすことができ、陽極電極部4間の接続抵抗を小さくできる。
また、接合部6bを設けることにより、積層した陽極電極部4の貫通孔4a(4b)間が密着するため、溶融して流れ込んだ陽極電極部4の一部の量が少ない場合でも、陽極電極部4間の接続抵抗を小さくできる。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に全請求項に記載の発明について説明する。
本実施の形態は、上記実施の形態1で図1、図2、図4を用いて説明した固体電解コンデンサに使用される素子の陽極電極部に設ける貫通孔の形状が一部異なるようにしたものであり、これ以外の構成は実施の形態1と同様であるために同一部分には同一の符号を付与してその詳細な説明は省略し、異なる部分についてのみ以下に図面を用いて説明する。
図5は本発明の実施の形態2による固体電解コンデンサの外装前の平面図であり、図5において、4cは素子1の陽極電極部4の幅方向の略中央に設けられた矩形の貫通孔であり、この貫通孔4cは陽極電極部4の幅方向と交差する方向に長手方向が向くように設けられ、かつ、一端が陽極電極部4を分断するようにスリット状に設けられたものである。
このように構成された本実施の形態による固体電解コンデンサは、貫通孔4cを大きくすると共に、その一部が陽極電極部4を分断するようにスリット状にした構成により、溶接時に陽極体から溶融したアルミニウムが貫通孔4c内により入り易くなり、上記実施の形態1による固体電解コンデンサにより得られる効果をより効率良く得ることができるという格別の効果を奏するものである。
本発明による固体電解コンデンサは、陽極電極部の接合を安定して行って低ESR化を図ることができるという効果を有し、特に高周波領域でのインピーダンス特性に優れたものが要求される分野等として有用である。
(a)本発明の実施の形態1の実施例1による固体電解コンデンサの構成を示した正面断面図、(b)同A−A線における側面断面図 同固体電解コンデンサの外装前の平面図 同固体電解コンデンサに使用される素子の構成を示した断面図 同実施例2による固体電解コンデンサの外装前の平面図 本発明の実施の形態2による固体電解コンデンサの外装前の平面図 (a)従来の固体電解コンデンサの構成を示した正面断面図、(b)同A−A線における側面断面図 同固体電解コンデンサの外装前の平面図
符号の説明
1 素子
2 陽極体
2a 誘電体酸化皮膜層
3 レジスト部
4 陽極電極部
4a、4b、4c 貫通孔
5 陰極電極部
5a 固体電解質層
5b カーボン層
5c 銀ペースト層
6 陽極端子
6a、7a 素子搭載部
6b 接合部
6c 溶接部
6d 陽極端子部
7 陰極端子
7b 陰極端子部
8 導電性接着剤
9 外装樹脂

Claims (3)

  1. 陽極電極部と陰極電極部が設けられた平板状の素子と、この素子に設けられた陽極電極部と陰極電極部を夫々接合した陽極端子ならびに陰極端子と、この陽極端子ならびに陰極端子の一部が夫々露呈する状態で上記素子と陽極端子と陰極端子を一体に被覆した外装樹脂からなる固体電解コンデンサにおいて、上記素子の陽極電極部の一部に貫通孔を設けると共に、この陽極電極部の平坦部と接合される接合部を陽極端子に設け、この接合部の先端と上記陽極電極部に設けた上記貫通孔と分離される上記貫通孔の近傍をレーザー溶接によって接合することにより、レーザー溶接の溶接部で溶融した陽極電極部の一部が上記貫通孔内に流れ込んだ固体電解コンデンサ。
  2. 陽極端子に設けた接合部の先端と素子の陽極電極部との上記溶接部を2箇所に設け、この2箇所の溶接部を結ぶ線上に陽極電極部に設けた貫通孔が配置されるようにした請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 陽極端子に設けた接合部が、素子の陽極電極部を両側面から相対して包み込むことによって結束するようにしたものである請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
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