JP4920256B2 - X線ct装置 - Google Patents
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Description
またシングルスライス型X線CT装置は、検出素子7aを1列すなわち一次元方向(チャネル方向)に配列したX線検出器7を用い、かつ被検体2に扇形のX線ビームをX線管6から被検体2へ照射し、被検体2を透過したX線をX線検出器7によって計測して被検体2の投影データを得るように構成されている。
前記投影データは、離散的なX線管位置(以下ビューと呼ぶ)において取得され、得られた投影データ(以下ビューにおける投影データと呼ぶ)の1回転あたりのビュー数は、通常数百から数千に及ぶものとなる。1枚のCT画像を再構成するために必要なビュー数の投影データを取得する動作を「スキャン」と呼んでいる。
ここで、再構成画像に要求される画像SD(Standard Deviation)値を満たすようなスキャンを行うため、1方向のスキャノグラム撮影によって得られたスキャノグラム投影データから被検体2の楕円断面モデルを算出し、楕円断面の投影面積と楕円断面の縦横比と、X線CT装置の操作者が入力した画像SD所望値から適切な管電流値を算出して、スキャンを実行することのできるX線CT装置が例えば特許文献1で提案されている。
なおこのように、スキャンの計画段階でスキャン範囲内での画質指標所望値を入力し、その画質指標所望値を達成するために最適な照射X線量変調を実行する機能を、以下スキャン線量最適化機能と呼ぶ。
特に被検者2を載置する天板は、スキャナ回転軸と直交する水平方向に移動することはないが、鉛直方向の位置は、被検体テーブル上下動手段によって変更可能であるため、被検体2の横断面位置はスキャナ回転軸から鉛直方向にずれた状態でスキャンが行われることがあり、その結果スキャン計画時に想定した画質指標所望値を達成する断層画像が得られない等の問題がある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、被検体の位置がスキャナ回転中心からずれていても、スキャン計画時に想定した画質指標所望値を達成する最適な照射X線量変調を実行することができるX線CT装置の実現を目的とするものである。
図1はX線CT装置の全体的な斜視図、図2は同構成図、図3は同側面図、図4は検出手段の構成及びX線照射や被検体との関係を説明する模式図、図5は準備操作時の作用を示すフローチャート、図6ないし図9は被検体三次元モデルを生成する際の作用説明図である。
図1及び図2に示すX線CT装置は、被検体2をスキャンするスキャナ本体1と、被検体2を載置する被検体テーブル3と、スキャナ本体1を操作する操作卓4と、操作卓4上に設置されたキーボードよりなる操作手段4a及び表示手段27等からなり、スキャナ本体1を覆うカバー1aの中央部に、円形の開口部1bが開口されている。
スキャナ本体1のカバー1a内には、図示しないスキャナ回転中心を軸として回転する円板状の回転体5が設けられていて、この回転体5に、被検体2を挟んで対向するようX線管6とX線検出器7が配置されている。
X線管6の近傍には、回転体5に搭載されたコリメータ制御手段9により制御されるコリメータ10が設置されていて、このコリメータ10により、X線管6より被検体2に向けて照射されるX線ビーム11が例えば角錐形状のコーンビームにコリメートされるようになっており、被検体2を透過したX線ビーム11は、X線検出器7により検出されるようになっている。
X線検出器7は図4に示すように、X線管6の焦点6aを中心とする円弧状に形成されていて、X線ビーム11の受光面に、被検体2の体軸と直交するチャネル方向に多数のX検出素子7aが配列され、さらにX線検出素子7aは体軸方向(列方向)へも複数列配列された二次元配列となっている。
X線検出器7の背面側には、データ収集手段12が設置されていて、X線検出器7が検出した投影データを収集して操作卓4へ送るようになっており、回転体5は、回転体制御手段14により回転が制御される回転体駆動手段15により無端ベルトのような動力伝達手段16を介して回転されるようになっている。
画像再構成手段24は、スキャノグラム撮影時にはデータ収集手段12が収集したスキャノグラム投影データを用いてスキャノグラム画像を作成し、スキャン時にはデータ収集手段12が収集した複数ビューの投影データを用いてCT画像再構成を行うようになっており、画像再構成手段24で作成されたスキャノグラム画像及び再構成されたCT画像や、各種データ及びX線CT装置の機能を実現するためのプログラム等は、システム制御手段22に接続されている記憶手段25に格納されるようになっている。
さらにシステム制御手段22には、スキャン計画手段28が接続されていて、操作者が操作手段4aを操作することにより入力した指示を実行し、また記憶手段25から読み出したスキャノグラム画像を用いることにより、スキャン条件の事前計画作成を行うことができるようになっている。
すなわち、記憶手段25から読み出されたスキャノグラム画像を表示手段27に表示させ、操作者は、表示された被検体スキャノグラム画像上でCT画像再構成位置(以下スライス位置という)の座標を操作手段4aにより指定することにより、スライス位置の計画を立てることができるようになっており、ここで計画したスライス位置の情報は記憶手段25に保存されるため、スキャン計画手段28によってX線量制御条件等の計画を立てる際にも用いることができる。
X線CT装置で被検体2のCT画像を取得するスキャン動作前に、撮影条件を設定するために種々の準備操作を行うが、この準備操作としては、被検体2の撮影位置を設定するためのスキャノグラム画像の撮影と、そのスキャノグラムデータの解析、それに基づく撮影条件としての最適な照射X線量の変化パターンの決定などがあり、これらはシステム制御手段22の制御下で行うことになり、特にスキャノグラムデータの解析、それに基づく撮影条件としての最適な管電流の変化パターンの決定はシステム制御手段22に接続されたスキャン計画手段28により行う。
この準備操作において、先ず操作手段4aよりX線管電圧、X線管電流設定値などのX線撮影条件をシステム制御手段22に入力する。
スキャン計画手段28は、天板位置センサ20からの位置情報を基に被検体テーブル制御手段17が算出する天板3aの高さ情報を考慮しつつ、スキャノグラム投影データを解析し、被検体2の体軸に沿った任意の位置における推定断面を、例えば水に等価なX線吸収係数を持つ楕円断面としてモデル化するが、このモデルは、被検体2の体軸に沿った位置(以下z位置という)に依存して楕円断面の長軸長・短軸長が変化する三次元的なモデル(以下被検体三次元モデルという)となり、被検体三次元モデルのデータは、記憶手段25に保存される。
図5はX線CT装置によるスキャンに先立つ準備操作の一連の動作をフローチャートにしたもので、前述した準備操作をこのフローチャートで説明すると、先ずステップS1のスキャノグラム撮影工程で、被検体2のスキャノグラム画像を撮影するが、被検体2のスキャノグラム画像を撮影する手順は、CT画像を撮影する手順と基本的には同じである。
このとき得られるスキャノグラム画像は、一定方向、例えば背面から正面へ透過するX線による像を正面方向から見たものであり、このスキャノグラム画像は、スキャン時の被検体2のスライス位置(CT画像再構成位置)設定のために利用され、またスキャノグラム投影データは、スキャノグラム画像作成に用いられるだけでなく、特にスキャンにおける照射X線量制御のための照射X線量変化パターン決定のために利用される。
なおスキャン開始位置、スキャン終了位置は一連のスキャンで得られる最初のCT画像のz位置、最後のCT画像のz位置を各々意味している。
ステップS5では、操作者が操作手段4aから撮影条件としての管電圧設定値、スキャン時間、X線コリメーション条件、再構成フィルター関数の種類、視野サイズ、等を入力し、ステップS6では、操作者が操作手段4aから画質目標としての画質指標所望値を入力する。
なお本実施の形態では、楕円断面算出にあたり、天板3aの高さ、すなわち被検体テーブル3の設置床面30から天板3aの上面までの距離及びスキャナ回転軸の位置(水平方向、鉛直方向)をも考慮することにより楕円の位置を算出し、被検体2が回転中心に位置していない場合にも適切な楕円断面のサイズを算出している。
すなわち図6の(a)に示す被検体2の断面位置Aにおける投影データは、図6の(b)のようになり、最大値付近の投影データ値をRg、チャネル番号kのスキャノグラムデータをRA(k)とし、適当なチャネル数をnとして、最大値付近の投影データ値Rgを次式の(数1)で算出する。
なお中心透過長D=Rg/(G*μw)、X線焦点から見た楕円の開き角度αE=αP*S/Rg
ただしRgは、最大値付近の投影データ値、Ggはlog変換時の係数、μwは水のX線吸収係数、αPはX線検出器チャネルの開き角、Sは投影データの和、である。
従来では被検体2がスキャナ回転中心に位置する(すなわちスキャナ回転中心と楕円の中心とが一致する)と仮定することにより、楕円の縦軸長・横軸長を一意に決定していたが、しかし現実に被検体2がスキャナ回転中心に位置していない場合、従来の方法では楕円の推定が適切でないことは明らかである。
すなわち床面30からスキャナ回転中心までの距離は既知であり、X線焦点6aからスキャナ回転中心までの距離も既知である。
また天板3aの位置は、天板位置センサ20により検出することができるため、X線焦点6aから楕円中心までの距離を、次のように算出することができる。
X線焦点から楕円中心までの距離=X線焦点からスキャナ回転中心までの距離+(床面から楕円中心までの距離−床面からスキャナ回転中心までの距離)
従来は、スキャナ回転中心より被検体2の位置がずれていても、スキャナ回転中心に被検体2があるものと仮定して被検体モデルを推定していたため、被検体モデル推定結果は図8の破線に示す位置となっていたが、本実施の形態では、前記計算によるX線焦点6aから楕円中心までの距離を基に被検体モデルを推定しているため、被検体モデル推定結果は図8の実線に示す位置となり、正しい位置とサイズの被検体モデル推定結果が得られるようになる。
次にステップS10の工程では、スキャン開始位置と、スキャン終了位置、天板移動ピッチと、スキャン時間に基づいて、X線減弱指数Tの関数を、T=T(z,β)から時間tの関数T=T(t)に変換する。
ここで、スライス位置zにおけるCT画像Img(z)を再構成するために使用するビュー数をMとし、便宜的なビュー番号mをm=0〜M−1とする。1回転あたりのビュー数をNとした時、使用ビュー数Mは1回転あたりのビュー数Nと必ずしも等しくない。
また前述のX線減弱指数Tは、使用するビュー番号の関数T(m)としても表すことができ、ビュー番号m=0〜M−1におけるX線減弱指数Tの最大値をTmaX(0:M−1)とし、この時に基準管電流値i_refを対応させると仮定した場合、ビュー番号mに対する管電流値iv(m)は次式のようになる。
G.Wang 他「Half-Scan Cone-Beam X-ray Microtomography Formula」
Journal of Scanning Microscopies Vol.16,216-220(1994)
特許文献2 特開平08−280664号公報
とすることにより、いわゆるフルスキャン再構成を行うこともできる。
ここで、操作者が入力した画像SD所望値SDtgtから定まる画像ノイズ分散所望値Vtgt(SDtgtの二乗値)と(数3)の画像ノイズ分散予測値V*から、実際に適用すべき管電流値ia(m)は次式のように定められる。
以上のようにX線による被検体2のスキャン前に画質指標所望値を入力して、それに適した照射X線量変調パターンを決定することにより、適切な画質を実現するための最適なスキャンが実行可能となる。
すなわちスキャナ回転中心から被検体2が例えば左斜め上方にずれている場合、従来は、スキャナ回転中心より被検体2の位置がずれていても、スキャナ回転中心に被検体があるものと仮定して被検体モデルを推定していたため、被検体モデル推定結果は図9の破線に示す位置となっていたが、本発明においては前記図8の場合と同様に、楕円中心透過長及びX線焦点6aから見た楕円の開き角を投影データより算出し、X線焦点6aを通り、楕円に接する2本の直線と天板3aの上面とに接し、かつ中心透過長が特定の値となる楕円が一意的に決まるため、被検体モデル推定結果は図9の実線に示す位置となり、正しい位置とサイズの被検体モデル推定結果が得られるようになる。
またスキャノグラム撮影時、前記実施の形態では、X線管6が天板3aの下方になる場合について説明したが、X線管6が天板3aの上方になる配置で実行するようにしてもよい。
またスキャノグラム画像を作成する際のフィルタリング処理の影響を適切に考慮することにより、スキャノグラム投影データの代わりにスキャノグラム画像を解析して被検体の三次元モデルを求め、本発明の趣旨にかなうX線CT装置を実現することも可能である。
2 被検体
5 回転体
6 X線管
7 X線検出器
20 天板位置センサ
24 画像再構成手段
25 記憶手段
28 スキャン計画手段
Claims (2)
- 被検体の周囲を回転する回転体と、前記被検体を挟んで対向するよう前記回転体に配置されたX線管及びX線検出器と、前記X線検出器が検出した投影データを用いて前記被検体の断層像を再構成する画像再構成手段と、前記画像再構成手段が再構成した断層像を表示する表示手段とを備えたX線CT装置であって、
画質指標所望値の入力に用いられる操作手段と、
前記回転体を回転させずに前記被検体より取得したスキャノグラムデータを記憶する記憶手段と、
前記スキャノグラムデータを解析して前記被検体の各断面を楕円断面として近似した被検体三次元モデルを生成するモデル生成手段と、
前記被検体三次元モデルから前記被検体の撮影部位に応じた画像ノイズを算出し、前記画質指標所望値との比較から照射X線量の変調パターンを設定するスキャン計画手段と、を具備し、
前記モデル生成手段は、前記スキャノグラムデータから前記楕円断面の中心透過長とX線焦点から見た開き角を算出し、床面とスキャナ回転中心との鉛直距離と、X線焦点とスキャナ回転中心との鉛直距離と、床面と前記被検体を載置する天板との鉛直距離と、前記楕円断面の中心透過長とに基づいてX線焦点から前記楕円断面の中心までの距離を算出して前記楕円断面の位置及びサイズを推定することを特徴とするX線CT装置。 - 前記X線焦点から楕円断面の中心までの距離は、前記床面から楕円断面中心までの距離から前記床面からスキャナ回転中心までの距離を減算した距離に、前記X線焦点からスキャナ回転中心までの距離を加算することによって算出し、
前記床面から楕円断面中心までの距離は、前記楕円断面の中心透過長に0.5を乗算した距離に、前記床面と天板上面との鉛直距離を加算することによって算出することを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
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