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JP4906569B2 - 燃料ホース及びその製造方法 - Google Patents

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JP4906569B2 JP2007105932A JP2007105932A JP4906569B2 JP 4906569 B2 JP4906569 B2 JP 4906569B2 JP 2007105932 A JP2007105932 A JP 2007105932A JP 2007105932 A JP2007105932 A JP 2007105932A JP 4906569 B2 JP4906569 B2 JP 4906569B2
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Description

本発明は、燃料ホース及びその製造方法に関する。
近年、自動車のコンパクト化等によりエンジンルーム内の雰囲気温度が高温化しており、エンジンルーム内に設けられる部品には、厳しい使用条件下でも十分に機能しうる耐久性が要求されてきている。
このような要請から、自動車の燃料ホースとしては、ニトリルゴム製のものから、耐熱性や耐熱老化性等がより優れるフッ素ゴムのものが使用されるようになってきている。
しかしながら、フッ素ゴムは高価であることから、一般には、本体部の最内層のみをフッ素ゴムで形成し、その外側を他のゴム種で被覆して燃料ホースを構成することが行われている。
特許文献1には、四フッ化エチレン・エチレン共重合体樹脂の内層とエピクロルヒドリン系ゴム等の外層とを備えた燃料ホースが開示されている。
特許文献2には、所定の添加剤を加えたフッ素系ゴムの内層とエピクロルヒドリン系ゴムの外層とを備えた燃料ホースが開示されている。
特許文献3及び4には、フッ素系ゴムの内層と所定の添加剤を加えたエピクロルヒドリン系ゴムの外層とを備えた燃料ホースが開示されている。
特許文献5には、フッ素系ゴムの内層と極性基含有ゴムの外層とを備えた燃料ホースが開示されている。
特許文献6には、フッ素樹脂チューブをプロテクターで覆った燃料ホースが開示されている。
特開平5−164273号公報 特開2006−213874号公報 特公昭61−29619号公報 特許第2810429号公報 特公平6−152165号公報 特許第3683006号公報
ところで、フッ素系の材料は一般的に密着性が低く、複合部材を構成することが困難であるという問題がある。
本願は、内層と中間層、及び、中間層と外層のそれぞれの層間の密着性が高く、一体性に優れる燃料ホース及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る燃料ホースは、
フッ素樹脂とフッ化ビニリデン系ゴムとの混合組成物で形成された内層と、
上記内層を被覆するように設けられ第1の架橋ゴム組成物で形成された中間層と、
上記中間層を被覆するように設けられ第2の架橋ゴム組成物で形成された外層と、
が一体に構成されたことを特徴とする。
上記の構成によれば、内層がフッ素樹脂とフッ化ビニリデン系ゴムとの混合組成物で形成されていると共に、中間層が第1の架橋ゴム組成物で形成され、さらに外層が第2の架橋ゴム組成物で形成されており、それらの組合せにより、内層と中間層、及び、中間層と外層のそれぞれの層間の高い密着性が得られ、内層、中間層、及び外層の一体性が優れることとなる。
層間のより高い密着性を得ることができるという観点からは、本発明に係る燃料ホースは、上記フッ素樹脂がエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体樹脂であることが好ましい。また、上記フッ素樹脂と上記フッ化ビニリデン系ゴムとの混合質量比(フッ素樹脂/フッ化ビニリデン系ゴム)が60/40〜99/1であることが好ましく、80/20〜95/5であることがより好ましい。さらに、上記中間層を形成する第1の架橋ゴム組成物がエピクロルヒドリン系ゴム組成物であること、特にエピクロルヒドリン・エチレンオキサイド共重合体ゴム組成物であることが好ましく、また、第1の架橋ゴム組成物がビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有することが好ましい。また、上記外層を形成する第2の架橋ゴム組成物がニトリルゴムを主成分とするゴム組成物であることが好ましい。
本発明に係る燃料ホースの製造方法は、フッ素樹脂とフッ化ビニリデン系ゴムとの混合組成物で形成された内層を構成するための管状体を、中間層を構成するための第1の未架橋ゴム組成物で被覆し、また、それを外層を構成するための第2の未架橋ゴム組成物で被覆し、それらを加熱及び加圧して第1及び第2の未架橋ゴム組成物を架橋させて全体を一体化させることを特徴とする。
本発明に係る燃料ホースの製造方法は、3層共押出成形による方法、内層及び中間層を2層共押出成形した後にその上に外層を押出成形する方法、中間層及び外層を2層共押出成形した後に内層をブロー成形やコーティングする方法、射出成形による方法、ブロー成形による方法のいずれにも適用可能である。
本発明によれば、内層、中間層、及び外層の材料構成の上記組合せによって、内層と中間層、及び、中間層と外層のそれぞれの層間の密着性が高く、優れた一体性を得ることができる。
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る燃料ホース10を示す。この燃料ホース10は、例えば、自動車の燃料注入配管と燃料タンクとの連絡に用いられるものである。
この燃料ホース10は、内層11、その内層11を被覆するように設けられた中間層12、及びさらに中間層12を被覆するように設けられた外層13の3層構造を有する。また、この燃料ホース10は、例えば、長さが100〜1000mm、外径が32〜72mm、内径が25〜60mmの円筒チューブ状に形成されている。
内層11は、フッ素樹脂とフッ化ビニリデン系ゴムとの混合組成物で形成されている。内層11は、層厚さが例えば0.05〜1.0mmに形成されている。
フッ素樹脂としては、例えば、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリビニリデンフロライド(PVDF)樹脂等が挙げられる。但し、これらのうち、中間層12との間のより高い密着性を得ることができるという観点からは、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂が好ましい。エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂は、例えば、エポキシ基、無水マレイン酸基、カルボニル基等で変性されていてもよい。エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)樹脂としては、具体的には、旭硝子社製の商品名フルオン、ダイキン工業社製の商品名ネオフロン等がある。フッ素樹脂は、上記のうち単一種で構成されていても、また、複数種が混合されて構成されていてもいずれでもよい。
フッ化ビニリデン系ゴムは、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FKM)ゴムである。フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)としては、デュポン社製の商品名バイトン、ダイキン工業社製の商品名ダイエルG、住友スリーエム社製の商品名ダイネオン等がある。
フッ素樹脂とフッ化ビニリデン系ゴムとの混合質量比は、フッ素樹脂/フッ化ビニリデン系ゴム=60/40〜99/1が好ましく、80/20〜95/5であることがより好ましい。
内層11には、その他に可塑剤、エラストマー等が含まれていてもよい。
中間層12は、第1の架橋ゴム組成物で形成されている。中間層12は、層厚さが例えば0.05〜1.0mmに形成されている。
第1の架橋ゴム組成物は、ベースゴムに、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、加工助剤、及び補強材(カーボンブラック等)を添加して混練した第1の未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧により架橋したものである。なお、第1の架橋ゴム組成物は、硫黄架橋系のものであっても、また、過酸化物架橋系のものであってもいずれでもよい。
第1の架橋ゴム組成物のベースゴムとしては、例えば、エピクロルヒドリン単独重合体ゴムやエピクロルヒドリン・エチレンオキサイド共重合体ゴムなどのエピクロルヒドリン系(CO、ECO)ゴム、ニトリルゴム(NBR)、ニトリルゴム(NBR)とポリ塩化ビニル(PVC)とのブレンド材、アクリルゴム(ACM、ANM)等が挙げられる。但し、これらのうち、内層11及び外層13との間のより高い密着性を得ることができるという観点からは、エピクロルヒドリン系ゴム、特に、エピクロルヒドリン・エチレンオキサイド共重合体ゴムが好ましい。エピクロルヒドリン系ゴムとしては、具体的には、日本ゼオン社製の商品名ヒドリン、ゼクロン、ダイソー社製の商品名エピクロマー等がある。第1の架橋ゴム組成物のベースゴムは、上記のうち単一種で構成されていても、また、複数種が混合されて構成されていてもいずれでもよい。
第1の架橋ゴム組成物は、内層11及び外層13との間のより高い密着性を得ることができるという観点からは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
外層13は、第2の架橋ゴム組成物で形成されている。外層13は、層厚さが例えば3.5〜6.0mmに形成されている。
第2の架橋ゴム組成物は、ベースゴムに、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、加工助剤、及び補強材(カーボンブラック等)を添加して混練した第2の未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧により架橋したものである。なお、第2の架橋ゴム組成物は、硫黄架橋系のものであっても、また、過酸化物架橋系のものであってもいずれでもよい。
第2の架橋ゴム組成物のベースゴムとしては、例えば、ニトリルゴム(NBR)等が挙げられる。但し、中間層12との間のより高い密着性を得ることができると共に、低コスト及び耐オゾン性の観点から、ニトリルゴム単独、或いは、ニトリルゴムにポリ塩化ビニル(PVC)等の他のゴムをブレンドしたゴム等のようにニトリルゴムを主成分とするものが好ましい。第2の架橋ゴム組成物のベースゴムは、単一種で構成されていても、また、複数種が混合されて構成されていてもいずれでもよい。
この燃料ホース10は、3層共押出成形による方法、内層11及び中間層12を2層共押出成形した後にその上に外層13を押出成形する方法、中間層12及び外層13を2層共押出成形した後に内層11をブロー成形やコーティングする方法、射出成形による方法、ブロー成形による方法のいずれによっても製造することができる。
上記のいずれの方法も、フッ素樹脂とフッ化ビニリデン系ゴムとの混合組成物で形成された内層11を構成するための管状体を、中間層12を構成するための第1の未架橋ゴム組成物で被覆し、また、それを外層13を構成するための第2の未架橋ゴム組成物で被覆し、それらを加熱及び加圧して第1及び第2の未架橋ゴム組成物を架橋させて全体を一体化させるものである。つまり、第1の未架橋ゴム組成物の架橋の進行に伴って内層11と中間層12とが一体化し、第1及び第2の未架橋ゴム組成物の架橋の進行に伴って中間層12と外層13とが一体化し、全体として内層11、中間層12、及び外層13が一体化する。
以上のような構成の燃料ホース10によれば、内層11がフッ素樹脂とフッ化ビニリデン系ゴムとの混合組成物で形成されていると共に、中間層12が第1の架橋ゴム組成物で形成され、さらに外層13が第2の架橋ゴム組成物で形成されており、それらの組合せにより、内層11と中間層12、及び、中間層12と外層13のそれぞれの層間の高い密着性が得られ、内層11、中間層12、及び外層13の一体性が優れることとなる。
なお、本実施形態では、3層構造の燃料ホース10としたが、特にこれに限定されるものではなく、さらに外側層を有していてもよい。
(構成材料)
以下の内層材料1〜8、中間層材料1〜4、及び外層1〜2を準備した。なお、内層材料4及び中間層材料1〜4のそれぞれの配合は表1及び2にも示す。
<内層材料>
−内層材料1−
エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ダイキン工業社製 以下、「ETFE」という。)とフッ化ビニリデン系ゴム(ダイキン工業社製 以下、「FKM」という。)とを前者/後者=70/30で混合した混合組成物を内層材料1とした。
−内層材料2−
ETFE/FKM=80/20で混合した混合組成物を内層材料2とした。
−内層材料3−
ETFE/FKM=90/10で混合した混合組成物を内層材料3とした。
−内層材料4−
ニトリルゴムと塩化ビニルゴムとのブレンドゴム(日本合成ゴム社製 品番:JSRNV75 NBR/PVC=70/30)をベースゴムとし、そのベースゴム123質量部に対して、FFFカーボンブラック60質量部、亜鉛華3号5質量部、ステアリン酸1質量部、加硫促進剤CZ1.5質量部、加硫促進剤TT1.5質量部、硫黄(架橋剤)0.5質量部、老化防止剤RD1質量部、及び老化防止剤MB1質量部を添加して混練した未架橋ゴム組成物を内層材料4とした。
−内層材料5−
ナイロン11(PA11)樹脂(ARKEMA社製 商品名:BESN TL)を内層材料5とした。
−内層材料6−
テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド三元共重合体(THV)樹脂(3M社製 商品名:Dyneon THV500)を内層材料6とした。
−内層材料7−
ポリビニリデンフロライド(PVDF)樹脂(ARKEMA社製 商品名:KYNAR710)を内層材料7とした。
−内層材料8−
フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FKM)ゴム(ダイキン工業社製 商品名:ダイエルG755)を内層材料8とした。
<中間層材料>
−中間層材料1−
エピクロルヒドリン・エチレンオキサイド共重合体ゴム(ダイソー社製 商品名:エピクロマーC)をベースゴムとし、そのベースゴム100質量部に対して、FFFカーボンブラック50質量部、可塑剤(ジ-(ブトキシ・エトキシ・エチル)アジペート)10質量部、滑剤ソルビタミンモノステアレート)1質量部、受酸剤(酸化マグネシウム)5質量部、加硫剤(2-メルカプトイミダゾリン)1.5質量部、加硫遅延剤(4,4’-ジチオモルホリン 大内新興化学社製 商品名:バルノックR)0.5質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(シェル石油化学社製 商品名:エピコート828)4質量部、老化防止剤1(ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル)1質量部、老化防止剤2(1,3-ビス(ジメチルアミノプロピル)-2-チオ尿素 大内新興化学社製 商品名:ノクラックNS−10N)1質量部、及び炭酸カルシウム5質量部を添加して混練した未架橋ゴム組成物を中間層材料1とした。
−中間層材料2−
ベースゴムのエピクロルヒドリン系ゴムとして日本ゼオン社製の商品名ゼクロン3100を用いたことを除いて中間層材料1と同様にして得た未架橋ゴム組成物を中間層材料2とした。
−中間層材料3−
ビスフェノールA型エポキシ樹脂を添加していないことを除いて中間層材料1と同様にして得た未架橋ゴム組成物を中間層材料3とした。
−中間層材料4−
ベースゴムのエピクロルヒドリン系ゴムとして日本ゼオン社製の商品名ゼクロン3100を用いたことを除いて中間層材料3と同様にして得た未架橋ゴム組成物を中間層材料4とした。
<外層材料>
−外層材料1−
内層材料4と同一構成の未架橋ゴム組成物を外層材料1とした。
−外層材料2−
サーモプラスチックオレフィン(TPO)(三井化学社製 商品名:Milastomer 6030B)を外層材料2とした。
Figure 0004906569
Figure 0004906569
(試験評価試料)
<実施例1>
各々、シート状の内層材料1、中間層材料1、及び外層材料1を順に積層し、それを160℃で9.8MPaの条件下で15分間保持して形成された、厚さ0.05mmの内層と厚さ0.05mmの中間層と厚さ4.90mmの外層とのシート状積層体を実施例1とした。
<実施例2>
内層の厚さが0.50mm、中間層の厚さが0.10mm、及び外層の厚さが4.40mmであることを除いて実施例1と同様にして得たシート状積層体を実施例2とした。
<実施例3>
内層材料1の代わりに内層材料2を用いたことを除いて実施例1と同様にして得たシート状積層体を実施例3とした。
<実施例4>
内層の厚さが0.50mm、中間層の厚さが0.10mm、及び外層の厚さが4.40mmであることを除いて実施例3と同様にして得たシート状積層体を実施例4とした。
<実施例5>
内層材料1の代わりに内層材料3を用いたことを除いて実施例1と同様にして得たシート状積層体を実施例5とした。
<実施例6>
内層の厚さが0.50mm、中間層の厚さが0.10mm、及び外層の厚さが4.40mmであることを除いて実施例5と同様にして得たシート状積層体を実施例6とした。
<実施例7>
中間層材料1の代わりに中間層材料2を用いたことを除いて実施例1と同様にして得たシート状積層体を実施例7とした。
<実施例8>
内層の厚さが0.50mm、中間層の厚さが0.10mm、及び外層の厚さが4.40mmであることを除いて実施例7と同様にして得たシート状積層体を実施例8とした。
<実施例9>
中間層材料1の代わりに中間層材料3を用いたことを除いて実施例1と同様にして得たシート状積層体を実施例9とした。
<実施例10>
内層の厚さが0.50mm、中間層の厚さが0.10mm、及び外層の厚さが4.40mmであることを除いて実施例9と同様にして得たシート状積層体を実施例10とした。
<実施例11>
中間層材料1の代わりに中間層材料4を用いたことを除いて実施例1と同様にして得たシート状積層体を実施例11とした。
<実施例12>
内層の厚さが0.50mm、中間層の厚さが0.10mm、及び外層の厚さが4.40mmであることを除いて実施例11と同様にして得たシート状積層体を実施例12とした。
<比較例1>
シート状の内層材料4を160℃で9.8MPaの条件下で15分間保持して形成された、厚さ0.50mmのシート体を比較例1とした。
<比較例2>
シート状の外側材料1を160℃で9.8MPaの条件下で15分間保持したものの片面に内層材料5を静電塗装によって付着させた後、200℃で9.8MPaの条件下で15分間保持して形成された、厚さ0.50mmの内層と厚さ4.50mmの外層とのシート状積層体を比較例2とした。
<比較例3>
シート状の内層材料6、及び外層材料2を順に単に積層して形成された、厚さ0.50mmの内層と厚さ4.50mmの外層とのシート状積層体を比較例3とした。
<比較例4>
内層材料5の代わりに内層材料7を用いたことを除いて比較例2と同様にして得たシート状積層体を比較例4とした。
<比較例5>
各々、シート状の内層材料8、及び外層材料1を順に積層し、それを160℃で9.8MPaの条件下で15分間保持して形成された、厚さ0.50mmの内層と厚さ4.50mmの外層とのシート状積層体を比較例5とした。
(試験評価方法)
<剥離接着力>
実施例1〜13及び比較例2〜5のそれぞれについて180°剥離試験を行った。但し、比較例3は非接着である。
具体的には、短冊状の試験片を切り出すと共に、その内層と外層との層間に切り込みを入れ、テンシロン万能試験機の一方のチャックで内層及び他方のチャックで外層をそれぞれチャッキングし、50mm/minの引張速度で180°剥離した。そして、そのとき剥離に要した力を試験片の幅で除した剥離接着力(N/cm)を算出した。
また、雰囲気温度60℃の条件下で内層にCE10を48時間接触させた試験片についても同様の180°剥離試験を行った。なお、内層に燃料を接触させた後の接着力の低下が大きいと、燃料が内装と外層との層間を通って端部から飛散する可能性が高い。
<燃料透過性>
実施例1〜13及び比較例1〜5のそれぞれについて、アルミカップベーパー法により燃料透過性試験を行った。
具体的には、CE10(FuelC(イソオクタンとトルエンとを体積比50:50で混合したもの)とエタノールとを体積比90:10で混合したもの)をアルミカップに25mlとり、その開口部にシート状の試験片を被せた。そして、全体の初期質量を測定した後、それを40℃に調温したオーブン内に入れ、1日毎に全体の質量を測定し、1日当たりの質量変化量をアルミカップの開口部を被覆する試験片の面積で除した燃料透過速度(g/m/day)を算出した。データとして、燃料透過速度の測定開始7日目から14日目までの燃料透過速度の平均値を求めた。
<柔軟性>
実施例1〜13及び比較例1〜5のそれぞれについて、シート状の試験片を筒状に丸めたときの柔軟性を◎、○、及び△の三段階で評価した。
<耐オゾン性>
実施例1〜13及び比較例1〜5のそれぞれについて、JIS K6330の4.2.5に記載のB法に準じて、つまり、JIS K6301の16に準じて、オゾン劣化試験を行った。
具体的には、長さ60mm及び幅10mmの試験片を切り出し、これを20%の伸びを与えた状態で、オゾン濃度50±5pphm及び雰囲気温度40℃の条件下に48時間保持した。そして、そのオゾン劣化させた試験片を円筒に巻き付けて表面劣化状態を拡大鏡を用いて観察し、亀裂なしのものを◎、亀裂少数のものを○、亀裂多数のものを△、及び亀裂無数のものを×と評価した。
(試験評価結果)
表3及び4は試験評価結果を示す。
Figure 0004906569
Figure 0004906569
<剥離接着力>
以上の結果によれば、内層材料1〜3及び中間層材料1〜4を組み合わせた実施例1〜12と、内層材料5〜8を用い且つ中間層を設けなかった比較例2〜5とを比較すると、前者の方が後者よりも内層と外層との層間の密着力が高いことが分かる。
内層及び中間層の厚さが異なる実施例1と実施例2とを比較すると、内層及び中間層の厚さの相異による内層と外層との層間の密着力の差はないことが分かる。実施例3と実施例4、実施例5と実施例6、実施例7と実施例8、実施例9と実施例10、及び実施例11と実施例12についても同様である。
ETFEの含有量が異なる内層材料1〜3を用いた実施例1、3及び5を比較すると、ETFEの含有量が高い実施例1、3及び5の順に内層と外層との層間の密着力が高いことが分かる。実施例2、4及び6についても同様に、ETFEの含有量が高い実施例2、4及び6の順に内層と外層との層間の密着力が高いことが分かる。
中間層材料1〜4を用いた実施例1、7、9及び11を比較すると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有する中間層材料1を用いた実施例1の方がそれを含有しない中間層材料3を用いた実施例9よりも内層と外層との層間の密着力が高く、同様に、中間層材料2を用いた実施例7の方が中間層材料4を用いた実施例11よりも内層と外層との層間の密着力が高いことが分かる。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有する中間層材料1を用いた実施例2の方がそれを含有しない中間層材料3を用いた実施例10よりも内層と外層との層間の密着力が高く、同様に、中間層材料2を用いた実施例8の方が中間層材料4を用いた実施例12よりも内層と外層との層間の密着力が高いことが分かる。
<燃料透過性>
フッ素樹脂の内層材料1〜3及び5〜8を用いた実施例1〜12及び比較例2〜5と、ニトリルゴムの内層材料4を用いた比較例1とを比較すると、前者の方が後者よりも燃料透過速度が著しく低いことが分かる。
内層及び中間層の厚さが異なる実施例1と実施例2とを比較すると、内層及び中間層の厚さが厚い実施例2の方が実施例1よりも燃料透過速度が低いことが分かる。実施例3と実施例4、実施例5と実施例6、実施例7と実施例8、実施例9と実施例10、及び実施例11と実施例12についても同様である。
ETFEの含有量が異なる内層材料1〜3を用いた実施例1、3及び5を比較すると、ETFEの含有量が高い実施例1、3及び5の順に燃料透過速度が高いことが分かる。同様に、ETFEの含有量が高い実施例2、4及び6の順に燃料透過速度が高いことが分かる。
中間層材料1〜4を用いた実施例1、7、9及び11を比較すると、中間層材料の相異による燃料透過性の差はないことが分かる。中間層材料1〜4を用いた実施例2、8、10及び12についても同様である。
<柔軟性及び耐オゾン性>
実施例1〜12及び比較例1〜5は、柔軟性及び耐オゾン性については、いずれも実用可能なレベルである。
本発明は、燃料ホース及びその製造方法について有用である。
実施形態に係る燃料ホースの断面図である。
符号の説明
10 燃料ホース
11 内層
12 中間層
13 外層

Claims (8)

  1. フッ素樹脂とフッ化ビニリデン系ゴムとの混合組成物で形成された内層と、
    上記内層を被覆するように設けられ第1の架橋ゴム組成物で形成された中間層と、
    上記中間層を被覆するように設けられ第2の架橋ゴム組成物で形成された外層と、
    が一体に構成されたことを特徴とする燃料ホース。
  2. 請求項1に記載された燃料ホースにおいて、
    上記フッ素樹脂がエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体樹脂であることを特徴とする燃料ホース。
  3. 請求項1又は2に記載された燃料ホースにおいて、
    上記フッ素樹脂と上記フッ化ビニリデン系ゴムとの混合質量比(フッ素樹脂/フッ化ビニリデン系ゴム)が60/40〜99/1であることを特徴とする燃料ホース。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された燃料ホースにおいて、
    上記中間層を形成する第1の架橋ゴム組成物がエピクロルヒドリン系ゴム組成物であることを特徴とする燃料ホース。
  5. 請求項4に記載された燃料ホースにおいて、
    上記エピクロルヒドリン系ゴム組成物がエピクロルヒドリン・エチレンオキサイド共重合体ゴム組成物であることを特徴とする燃料ホース。
  6. 請求項4又は5に記載された燃料ホースにおいて、
    上記中間層を形成する第1の架橋ゴム組成物がビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有することを特徴とする燃料ホース。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載された燃料ホースにおいて、
    上記外層を形成する第2の架橋ゴム組成物がニトリルゴムを主成分とするゴム組成物であることを特徴とする燃料ホース。
  8. フッ素樹脂とフッ化ビニリデン系ゴムとの混合組成物で形成された内層を構成するための管状体を、中間層を構成するための第1の未架橋ゴム組成物で被覆し、また、それを外層を構成するための第2の未架橋ゴム組成物で被覆し、それらを加熱及び加圧して第1及び第2の未架橋ゴム組成物を架橋させて全体を一体化させることを特徴とする燃料ホースの製造方法。
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