JP4998106B2 - 偽造防止媒体、及び、偽造防止シート - Google Patents
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Description
特許文献1は、真贋判定を容易に行なえるように、表面にホログラム層を設けた金券を開示している。このような金券は、ホログラム層として主に、表面に微細な凹凸が設けられることにより干渉縞が記録されるレリーフ型ホログラムが用いられているが、昨今のホログラム技術の普及及び偽造技術の高度化に伴い、レリーフ型ホログラムそのものが偽造されてしまい、本来の偽造判定、偽造防止としての機能が有効に果たせなくなる場合があった。
請求項1の発明は、基材(21)と、前記基材(21)の一方の面側に設けられ、光の干渉によって生じる干渉縞を屈折率の異なる縞として層の厚さ方向に記録している体積型ホログラム層(22)と、前記体積型ホログラム層(22)の前記基材(21)とは反対の面側に設けられ、強磁性材料によって形成される強磁性材層(24)と、前記強磁性材層と前記体積型ホログラム層との間に設けられ、パターン状に形成される着色層と、前記着色層と前記強磁性材層との間に設けられ、前記着色層と重なって前記基材のある側から視認されないように形成される第2の着色層と、を備える偽造防止媒体(20)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の偽造防止媒体(20)において、前記強磁性材層(24)は、特定の磁化特性を有したアモルファス強磁性材料によって形成されること、を特徴とする偽造防止媒体(20)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の偽造防止媒体(20)において、前記着色層(23)は、黒色インキによって形成されていること、を特徴とする偽造防止媒体(20)である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体(20)において、前記強磁性材層(24)の前記体積型ホログラム層(22)とは反対の面側に接着層(25)を備えること、を特徴とする偽造防止媒体(20)である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の偽造防止媒体(20−2)において、前記基材(21)と前記体積型ホログラム層(22)との間に剥離層(26)を備えること、を特徴とする偽造防止媒体(20−2)である。
請求項6の発明は、請求項5に記載の偽造防止媒体(20−2)において、当該偽造防止媒体(20−2)は、前記剥離層(26)によって前記基材(21)から剥がされた状態で貼付対象物(11)に前記接着層(27)によって貼付されること、を特徴とする偽造防止媒体(20−2)である。
(1)偽造防止媒体は、基材の一方の面側に体積型ホログラム層、強磁性材層が順に設けられているので、体積型ホログラム層の視認による確認と、強磁性材層の磁気の情報による確認とによって、偽造防止媒体の真贋判別を実行することができ、また、干渉縞の複製が困難な体積型ホログラム層を採用することによって偽造防止媒体の偽造を困難にすることができる。
(2)強磁性材層は、アモルファス強磁性材料によって形成されているので、一般の磁性材料が示す磁気特性とは異なるアモルファス強磁性材料固有の磁気特性(大バルクハウゼン効果)を利用することによって、偽造防止媒体の真贋判別を容易にするとともに強磁性材層の偽造を困難にすることができる。
(4)着色層は、パターン状に形成されているので、体積型ホログラム層を介してパターン印刷を視認することができ、偽造印刷媒体の意匠性を向上させることができる。
(5)着色層は、黒色インキによって形成されているので、体積型ホログラム層のホログラム像を鮮明にすることができる。
(6)偽造防止媒体は、強磁性材層の体積型ホログラム層とは反対の面側に接着層を備えているので、偽造防止媒体をラベルとして使用することができ、商品などに貼付することによって、商品の模倣品の判別をすることができる。
(8)偽造防止シートは、偽造防止媒体をシート状基材に漉き込んだ状態で形成されるので、偽造防止媒体のシート状基材からの不正な貼り替えを防止することができる。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明による偽造防止媒体の第1実施形態として商品券に貼付された偽造防止ラベルを示す模式図であり、図1(a)に平面図を、図1(b)に図1(a)のA−A断面の断面図を示す。図2は、アモルファス強磁性材料及び一般の磁性材料のB−H磁化特性曲線を示す図である。ここで、説明を明確にするために、図1(b)の上方を表面とし、下方を裏面とする。
商品券10は、図1に示すように、デパートなどで利用される金券であり、シート状基材11及び偽造防止ラベル20を備えている。
シート状基材11は、商品券10の台紙となる長方形形状の上質紙であり、図1(a)に示すように、その表面に商品券の名称(デパート商品券)及び金額(¥1,000)が印刷されている。
基材21は、偽造防止ラベル20の基礎となる厚さ50μmの透明な樹脂製(例えば、PET:PolyEthylene Terephthalate)のシートである。また、基材21は、偽造防止ラベル20の表面に位置するので、体積型ホログラム層22を保護する保護層としての役割も兼ねている。
ここで、体積型ホログラム層22に使用される光重合性化合物は、例えば、光ラジカル重合性化合物や光カチオン重合性化合物などであり、光重合開始剤は、例えば、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤などが使用される。また、本願の体積型ホログラム層22は、ホログラフィ法で求めたホログラム以外の体積型の光回折構造も含むものとする。
ここで、体積型ホログラム層22のホログラム像は、体積型ホログラム層22の裏面に着色層23を設けても、図1(a)に示すように視認することができるが、仮に、従来技術で使用されていたレリーフ型ホログラム層の裏面に着色層23を設けた場合、レリーフ型ホログラム層と着色層とが重なった部位ではホログラム像は視認できなくなる。これは、レリーフ型ホログラム層と着色層との屈折率が近似しているため、レリーフ型ホログラム層に設けられた微細な凹凸に着色層23の印刷インキが入り込むことで、凹凸による光の反射がなくなってしまうためである。
強磁性材層24のアモルファス強磁性材料は、加熱、切断などにより、透磁率や飽和磁化特性が変化する性質を有した磁性材料であり、また、図2(a)に示すように、特異な磁気特性を有している。図2(a)及び図2(b)は、それぞれがアモルファス強磁性材料及び一般の磁性材料(例えば、鉄やフェライト)のB−H曲線を示しており、縦軸が磁束密度(B)、横軸が磁界の強さ(H)を示している。アモルファス強磁性材料は、保磁力(Hc)と飽和磁束密度(Bm)において、一般の磁性材料に比べ特異な特性を示しており、一般の磁性材料が、図2(b)に示すように、略S字型のヒステリシス曲線を有しているのに対し、アモルファス強磁性材料は、図2(a)に示すように、矩形に近いヒステリシス曲線を有し、低強度の振動磁界によって急峻に磁化反転を繰り返す性質(大バルクハウゼン現象)を備えている。
接着層25は、偽造防止ラベル20を商品券10に剥離不可能に貼付する接着剤である。
磁気ヘッド100は、図3に示すように、検出コイル部101、励磁コイル部102、制御部103及び表示部104を備えており、強磁性材層24の磁気情報を非接触で読み取る検出器である。
検出コイル部101は、強磁性材層24から発生する磁束の変化を検出するソレノイドコイル101−Aと、その検出データを増幅して出力する増幅器101−Bとを備えている。
励磁コイル部102は、強磁性材層24に交番励磁磁界を印加するソレノイドコイル102−Aと、ソレノイドコイル102−Aに交番励磁磁界を発生させる交番励磁電流を流すアンプ102−Bとを備えている。
表示部104は、検出コイル部101により検出した結果を、制御部103を介して表示する液晶ディスプレイである。
磁気ヘッド100の制御部103は、電源が投入されると、励磁コイル部102のソレノイドコイル102−Aにアンプ102−Bを介して高調波の交番励磁電流を流し、ソレノイドコイル102−Aに保磁力Hc以上の交番励磁磁界を発生させる。続いて、商品券10の表面に貼付された偽造防止ラベル20の強磁性材層24に磁気ヘッド100を近づけると、保磁力Hc以上の交番励磁磁界により大バルクハウゼン現象を起こし、制御部103は、強磁性材層24から発生する磁束の変化を、検出コイル部101のソレノイドコイル101−Aに検出させる。制御部103は、検出した結果を増幅器101−Bを介して入力し、表示部104に表示する。
(1)偽造防止ラベル20は、基材21の裏面に体積型ホログラム層22、着色層23、強磁性材層24が順に設けられているので、体積型ホログラム層22の視認による確認と、強磁性材層24の磁気の情報による確認とによって、偽造防止ラベル20の真贋判別を実行することができ、また、干渉縞の複製が困難な体積型ホログラム層22を採用することによって偽造防止ラベル20の偽造を困難にすることができる。
(2)偽造防止ラベル20は、強磁性材層24の裏面に接着層25を備えているので、商品券10に使用するシート状基材11に貼付することによって、商品券10の模倣品の判別を容易にすることができる。
(4)着色層23は、縞状に形成されているので、透明な基材21及び体積型ホログラム層22を介して着色層23の縞状の模様を視認することができ、偽造防止ラベル20の意匠性を向上させることができる。また、着色層23の縞状の印刷インキのない部位には、強磁性材層24が蒸着等により形成されるので、その部位にのみ強磁性材層24の厚みを変化させることができ、その厚みの変化によって磁気特性を変化させて強磁性材層24の真贋判別を容易にするとともに強磁性材層24の偽造を困難にすることができる。
図4は、本発明による偽造防止媒体の第2実施形態として商品券に転写された偽造防止転写箔を示す模式図であり、図4(a)に平面図を、図4(b)〜(d)に図4(a)のC−C断面図における商品券に偽造防止転写箔を転写するまでの流れを説明する図を示す。ここで、以下の実施形態の説明では、前述した第1実施形態と同様な機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に統一した符号を付して、重複する説明や図面を適宜省略する。
偽造防止転写箔20−2は、商品券10の偽造防止及び真贋判定を行うために商品券10の表面に熱転写される転写箔であり、基材21の裏面に剥離層26、体積型ホログラム層22、着色層23−2、強磁性材層24及び感熱接着層27を順に積層させている。
感熱接着層27は、強磁性材層24の裏面に設けられ、加熱することによって接着力を発生する接着剤であり、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂などによって形成される。
偽造防止転写箔20−2は、感熱接着層27を備えているので、熱板200を押し付けることによってシート状基材11に転写させることができる。
熱板200は、図4(b)に示すように、偽造防止転写箔20−2と接触する面にバーコード状の凹凸が形成されている。この凹凸の形状によって、熱板200によって押し付けられた偽造防止転写箔20−2は、熱板200の凸部200aによって押し付けられた部位のみシート状基材11に転写される。
偽造防止転写箔20−2は、熱板200に形成された凸部200aに対応した部位のみが、感熱接着層27によってシート状基材11に接着されるので、図4(c)に示すように、偽造防止転写箔22から基材21を剥離層26との界面で剥離すると(矢印E)、偽造防止転写箔22の熱板200の凹部200bに対応する部位のみが基材21とともに偽造防止転写箔22から剥がされる。
ここで、基材21を剥離層26との界面で剥離する際に、偽造防止転写箔20−2は、熱板200の凸部200aに対応する位置と凹部200bに対応する位置との間で切断される。この凹凸部間における偽造防止転写箔20−2の切断を容易(箔切れ性を容易)にするために、偽造防止転写箔20−2は、体積型ホログラム層22や強磁性材層24の組成材料に微粒子を添加してもよい。
(1)偽造防止転写箔20−2は、剥離層26を介して基材21の裏面に、体積型ホログラム層22、着色層23−2、強磁性材層24及び感熱接着層27が順に配置されているので、商品券10に体積型ホログラム層22、着色層23−2及び強磁性材層24を有した転写箔を感熱接着層27によって剥離不可能に転写することができ、商品券10の模倣品の判別を可能にするとともに、貼り替えなどによる不正を防止することができる。
図5は、本発明による偽造防止媒体の第3実施形態として商品券に転写された偽造防止転写箔を示す模式図である。
第3実施形態の偽造防止ラベル20−3は、第1実施形態の偽造防止ラベル20との相違点は、図5に示すように、着色層が2層に、すなわち、第1の着色層23a及び第2の着色層23bとして存在している点である。
第1及び第2の着色層23a、23bは、それぞれ、ピッチが同一であり、太さが異なる縞状のパターンが印刷されている。具体的には、第1の着色層23aの縞は、第2の着色層23bの縞よりも太く設定されており、第2の着色層23bは、基材21の表面から視認されないように形成されている。
具体的には、強磁性材層24の厚みは、図5(b)に示すように、第2の着色層23bの裏面に形成されたG部が最も薄く、また、第1の着色層23aの裏面のH部が、G部の強磁性材層24の層厚に加え、第2の着色層23bの厚みも加わるのでG部よりも厚くなり、さらに、体積型ホログラム層22の裏面のI部が、H部の強磁性材層24の層厚に加え第1の着色層23aの厚みが加わるので最も厚くなる。
図6は、本発明による偽造防止媒体の第4実施形態として商品券に漉き込まれた偽造防止スレッドを示す模式図であり、図6(a)に偽造防止スレッドがシート状基材に漉き込まれた状態の模式図を、図6(b)に図6(a)のJ−J断面の拡大図を示す。
第4実施形態の偽造防止スレッド20−4は、図6に示すように、基本的な層構成が第1実施形態の偽造防止ラベル20に類似しており、その相違点は、偽造防止スレッド20−4の強磁性材層24の裏面に接着層25を有していない点と、スレッドとしてシート状基材11に漉き込まれている点である。
偽造防止スレッド20−4は、図6(b)に示すように、シート状基材11の製紙時に漉き込まれる帯状のスレッドであり、帯状の長辺部の寸法をシート状基材11の短辺部の寸法としている。また、偽造防止スレッド20−4は、基材21の裏面に体積型ホログラム層22、着色層23及び強磁性材層24を順に積層させている。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態では、商品券10の偽造防止対策を例にして説明したが、それ以外の物、例えば、商品の包装箱や、商品そのものに偽造防止ラベル20や偽造防止転写箔20−2を使用してもよい。
(2)第2実施形態では、熱板200の偽造防止転写箔20−2と接触する面は、バーコード状の凹凸が形成されていたが、凹凸を全く設けない平面や、模様などを形成する凹凸面を設けてもよい。
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は、以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
11 シート状基材
20、20−3 偽造防止ラベル
20−2 偽造防止転写箔
20−4 偽造防止スレッド
21 基材
22 体積型ホログラム層
23 着色層
24 強磁性材層
25 接着層
26 剥離層
27 感熱接着層
Claims (7)
- 基材と、
前記基材の一方の面側に設けられ、光の干渉によって生じる干渉縞を屈折率の異なる縞として層の厚さ方向に記録している体積型ホログラム層と、
前記体積型ホログラム層の前記基材とは反対の面側に設けられ、強磁性材料によって形成される強磁性材層と、
前記強磁性材層と前記体積型ホログラム層との間に設けられ、パターン状に形成される着色層と、
前記着色層と前記強磁性材層との間に設けられ、前記着色層と重なって前記基材のある側から視認されないように形成される第2の着色層と、
を備える偽造防止媒体。 - 請求項1に記載の偽造防止媒体において、
前記強磁性材層は、特定の磁化特性を有したアモルファス強磁性材料によって形成されること、
を特徴とする偽造防止媒体。 - 請求項1又は請求項2に記載の偽造防止媒体において、
前記着色層は、黒色インキによって形成されていること、
を特徴とする偽造防止媒体。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体において、
前記強磁性材層の前記体積型ホログラム層とは反対の面側に接着層を備えること、
を特徴とする偽造防止媒体。 - 請求項4に記載の偽造防止媒体において、
前記基材と前記体積型ホログラム層との間に剥離層を備えること、
を特徴とする偽造防止媒体。 - 請求項5に記載の偽造防止媒体において、
当該偽造防止媒体は、前記剥離層によって前記基材から剥がされた状態で貼付対象物に前記接着層によって貼付されること、
を特徴とする偽造防止媒体。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の偽造防止媒体と、
前記偽造防止媒体を漉き込んだ状態で形成されるシート状基材と、
を備える偽造防止シート。
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