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JP4986650B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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JP4986650B2 JP2007032856A JP2007032856A JP4986650B2 JP 4986650 B2 JP4986650 B2 JP 4986650B2 JP 2007032856 A JP2007032856 A JP 2007032856A JP 2007032856 A JP2007032856 A JP 2007032856A JP 4986650 B2 JP4986650 B2 JP 4986650B2
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Description

本発明は、本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置およびプロセスカートリッジに関し、特に転写工程後の像担持体表面をクリーニングするクリーニング装置を有する電子写真装置に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置では、現像工程で感光体等の像担持体上に形成したトナー像を、中間転写ベルトなどの中間転写体を介して、または直接的に転写紙などの転写体上に転写して画像を形成しているが、トナー像転写後の感光体表面には、転写残のトナーが残留する。このため、感光体上から残留トナーを除去するクリーニング装置が設けられている。このクリーニング装置としては、種々のものが知られており、弾性部材からなるクリーニングブレードやクリーニングローラのほか、ファーブラシ、磁気ブラシ等を用いることができる。中でも、クリーニングブレードは、構成が簡単であり、装置の小型化が容易で、コスト面も有利なので、広く実用化されている。しかし近年、画質向上のためにトナーの小粒径化、球形化が進められ、懸濁重合法や乳化重合法などによる重合トナーや、熱気流、流動造粒法による球形処理を施したトナーが用いられつつあり、球形化したトナーを用いた場合、各種クリーニング装置を備えた画像形成装置において、クリーニング不良による画像不良が発生しやすいという点が問題になっている。
この対策として、特許文献1、特許文献2等には、球形トナーと不定形トナーを特定の割合で混在させて使用する方法が提案されている。しかし、このような方法であっても、球形トナーが不定形トナーの隙間をすり抜けてブレードエッジ部に進んですり抜けることがあるため、球形トナーに対するクリーニング不良の改善が充分でなかった。
そこで、クリーニングローラあるいはクリーニングブラシを用いたクリーニング装置が数多く提案されている、例えば特許文献3には、クリーニングブラシおよび回収クリーニングローラそれぞれに所定の電圧を印加して、感光ドラム表面の残存トナーをクリーニングブラシを介して回収クリーニングローラの表面に回収するクリーニング装置において、回収クリーニングローラの軸心を含む水平面よりも下方の回収クリーニングローラの内部に回収クリーニングローラの内周面と所定距離をおいて配設される磁性体、または、この磁性体近傍の回収クリーニングローラの表面に先端部が対向して配設されて回収クリーニングローラの回転に伴ってその回収クリーニングローラの表面に回収される残存トナーを掻き落とす磁性体ブレードのいずれか一方が磁石である構成とすることによって、印字品質の低下を防止するとともにクリーニング装置の寿命を長くすることが提案されている。
更に、特許文献4においては被清掃部を清掃するクリーニングブラシと、クリーニングブラシに付着した粉塵を除去回収する回収ロールとを備えた電子写真装置の清掃装置において、非清掃動作時にはクリーニングブラシを被清掃部に対し離間させるとともに、クリーニングブラシを清掃動作時とは逆方向に回転させる構成とし、クリーニングブラシに付着した粉塵等の清掃装置外部への飛散を防止するとともにクリーニングブラシの長寿命化を狙う方法などが提案されている。しかし、ローラやブラシによるクリーニング手段においても前記球形化したトナーでは不定形に比べるとクリーニング性は悪く、さらに、これらローラやブラシによるクリーニング手段を用いた場合、当初良好なクリーニング性能を発揮していても、経時使用によりクリーニングローラやクリーニングブラシの性能が著しく低下する。即ち、転写残トナーを除去するうちに、トナーが徐々にクリーニングローラに付着し回収困難となる状態や、クリーニングブラシ内にたまって目詰まりした状態となる。このような状態となったクリーニングローラやクリーニングブラシでは、転写残トナーの除去性能がなくなり、クリーニング部材としての機能を果たせなくなってしまう。
また、特許文献5においては、クリーニングローラとクリーニングブレードを組み合わせてクリーニングを行い、クリーニングローラの中央部の密着性を高めるためにクリーニングローラ中央部を押圧する方法が提案されている。しかし、球形トナーを単純にクリーニングブレードでクリーニングすることは難しい。クリーニングローラ部によりトナーが変形するほどの圧力を加えると、感光体へのトルクが増大し、感光体に傷がついたり、高速で回転することができなくなるなどの不具合が生じる。
また、特許文献6では3個以上の中間転写体を用い、像担持体および中間転写体上にクリーニング装置を設けず、残留トナーを電界により移動させて、回収する方法が提案されている。しかし、転写回数が多くなるため、画像が劣化し球形トナーを用いても高画質化することが困難となる。
このように、本来、球形化されたトナーは高画質で転写効率もよく電子写真に適したトナー形状と考えられるが、従来のクリーニング方法では残留トナーを効率よくクリーニングすることが困難であり、画像劣化につながるという問題がある。
特開平8−62893号公報 特開平8−95286号公報 特開平5−188836号公報 特開平6−167912号公報 特開2004−361632号公報 特開平10−78686号公報
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、球形化したトナーに対して、良好なクリーニングを行うことができるクリーニング装置及び該クリーニング装置を使用することにより異常画像が少なく高画質な画像を得られる電子写真方式の画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
(1)球形化したトナーにより形成されたトナー像を像担持体から転写体へ転写した後、転写体に転写されずに像担持体に残留したトナーをクリーニングブレードにより像担持体から除去するクリーニング装置において、転写ニップ部と前記クリーニングブレードとの間に、残留トナーを温度と圧力によって変形させるトナー変形手段を具備し、該トナー変形手段は、3個のローラに巻き掛けられ前記3個のローラのうちの両端のローラによって前記像担持体に当接するベルトからなり、前記両端のローラのうちの、前記像担持体の回転方向上流に位置するローラの温度トナーのガラス転移温度Tgよりも高くして、圧力を加え、前記両端のローラのうちの、前記像担持体の回転方向下流に位置するローラの温度トナーのガラス転移温度Tgよりも低くして、上記回転方向上流に位置するローラの圧力より低い圧力を加え、前記両端のローラ以外のローラは、前記ベルトの表面に付着したトナーを掻き落とすクリーニング部材を備えていることを特徴とするクリーニング装置。
(2) 前記両端のローラのうちの、前記像担持体の回転方向上流に位置するローラを像担持体に対してバネ加重によって加重することを特徴とする(1)に記載のクリーニング装置。
(3) トナー像を担持する像担持体と、該像担持体上に担持されたトナー像を転写材に転写する転写手段と、トナー像が転写材に転写された後に、像担持体の表面に残留する転写残トナーを除去するクリーニング装置とを備え、該クリーニング装置が(1)又は(2)に記載のクリーニング装置であることを特徴とした電子写真方式の画像形成装置。
(4) 使用されるトナーの粒子形状が下記式(1)より表される形状係数が1.0〜1.35であることを特徴とする(3)に記載の画像形成装置。
形状係数={(最大粒径)×π/(粒子の投影面積×4)}……式(1)
(5) 使用されるトナーの体積平均粒径が1〜7μmとなるように調製したことを特徴とする(3)又は(4)に記載の画像形成装置。
(6) 像担持体の表面摩擦係数が0.4以下であることを特徴とする(3)〜(5)のいずれかに記載の画像形成装置。
(7) 像担持体表面に固形潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を有することを特徴とする(3)〜(6)のいずれかに記載の画像形成装置。
(8) 使用されるトナーの製造方法が、水系媒体中にポリエステル樹脂からなるトナー組成物を分散せしめ、トナー粒子を形成させる乾式トナーの製造方法において、無機分散材または微粒子ポリマーの存在下で水系媒体中に分散したイソシアネート基含有プレポリマーをアミン類により伸長反応あるいは架橋反応させ、得られた乳化分散液から溶媒を除去することにより得ることができ、また上記ポリエステル樹脂が、その数平均分子量が2000〜15000で、ガラス転移温度が55〜75℃、酸価が1〜30mgKOH/gであり、ウレア結合を有する変性ポリエステルを含有し、さらにそのポリオール成分としてビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物を含有することを特徴とする(3)〜(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
(9) 潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が転写された後に、像担持体の表面に残留する転写残トナーを除去するクリーニング装置とを備え、該クリーニング装置は像担持体上の残留トナーを押圧する押圧手段を備え、押圧手段により圧縮されたトナーを像担持体から掻き取るクリーニングブレードを備える、(1)又は(2)に記載のクリーニング装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(10) 使用されるトナーの粒子形状が下記式(1)より表される形状係数が1.0〜1.35であることを特徴とする(9)に記載のプロセスカートリッジ。
形状係数={(最大粒径)×π/(粒子の投影面積×4)}……式(1)
(11) 使用されるトナーの体積平均粒径が1〜7μmとなるように調製したことを特徴とする(9)又は(10)に記載のプロセスカートリッジ。
(12) 使用されるトナーの製造方法が、水系媒体中にポリエステル樹脂からなるトナー組成物を分散せしめ、トナー粒子を形成させる乾式トナーの製造方法において、無機分散材または微粒子ポリマーの存在下で水系媒体中に分散したイソシアネート基含有プレポリマーをアミン類により伸長反応あるいは架橋反応させ、得られた乳化分散液から溶媒を除去することにより得ることができ、また上記ポリエステル樹脂が、その数平均分子量が2000〜15000で、ガラス転移温度が55〜75℃、酸価が1〜30mgKOH/gであり、ウレア結合を有する変性ポリエステルを含有し、さらにそのポリオール成分としてビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物を含有することを特徴とする(9)〜(11)のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
(13) 像担持体の表面摩擦係数が0.4以下であることを特徴とする(9)〜(12)のいずれかに記載の画像形成装置。
(14) 像担持体表面に固形潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を有することを特徴とする(9)〜(13)のいずれかに記載の画像形成装置。
本発明によると、球形トナーを用いた画像形成装置において、転写後に像担持体に残留する転写残トナーをクリーニング装置に具備されたトナー変形部材により加熱圧縮し変形・凝集させることにより、通常ではクリーニングし難い球形トナーを、容易にクリーニングブレードによりクリーニングすることができる。
本発明の画像形成装置およびプロセスカートリッジは、従来の構成を変えることなく球形トナーを扱えるため、クリーニング不良による画像不良の発生を防止可能で、かつ高転写率で潜像に忠実な高画質画像が得られる。
本発明のクリーニング装置は、前記構成を有するために、従来の方法では除去し難い球形化されたトナーであっても、感光体表面に残留する転写残トナーを確実に除去することが可能となる。本発明の画像形成装置は、従来の構成を変えることなく球形トナーを扱えるため、クリーニング不良による画像不良の発生を防止可能で、かつ高転写率で潜像に忠実な高画質画像が得られる。
本発明のプロセスカートリッジは、従来の構成を変えることなく球形トナーを扱えるため、クリーニング不良による画像不良の発生を防止可能で、かつ高転写率で潜像に忠実な高画質画像が得られる。
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。本発明のクリーニング装置は、転写残トナーを加熱、押圧し変形させるトナー変形部材を有し、転写残となった球形トナーを変形部材により、変形または凝集させ、クリーニングブレードにより掻き取るため、特にクリーニング部をすり抜けやすい球形トナーにおいてもクリーニング不良を防止することができる
図1は、本発明の第1の構造に係るクリーニング装置を示す構成図である。
図1に示すように、本発明のクリーニング装置Aは、像担持体1との対向面側が開口する筐体5の開口に支持板3を介して一端側が支持され、他端側の先端が像担持体1の回転方向R1に対して対向する姿勢、即ちカウンタ向きで像担持体1表面に当接するクリーニングブレード2、該クリーニングブレード2の像担持体1への当接位置よりも該像担持体1の回転方向上流側に当接し、転写残トナーを加熱、押圧することができるトナー変形手段4を備えている。クリーニング時のトナー変形手段4と像担持体1の間の温度はトナーのガラス転移温度Tgよりも高く、クリーニングブレードと像担持体の間の温度はトナーのガラス転移温度Tgよりも低いことが好ましい。こうすることで、トナー変形部材4と像担持体1の間でトナーは変形しやすくなり、わずかな力で球形トナーは変形する。
さらに、クリーニングブレード2と像担持体1の間の温度がトナーのガラス転移温度Tgよりも低いことで、トナーは球形から変形した状態で固まり、クリーニングブレード2により容易に掻き取ることができる。圧接する方法は特に限定されないが、像担持体1のダメージ低減や転写残トナーの量の変化などに対応するために、一定の押圧力を加えることができるバネ加重による加重が好ましい。トナー変形手段4は、ローラ状、あるいはベルト状をしていることが好ましい。トナー変形手段4が一つのローラからなる場合、金属製ローラを直接感光体に対して圧接させるように構成しても良いし、金属ローラの表面を弾性体で被覆するようにしても良い。転写後、転写残としてクリーニング装置に入力された球形トナーはトナー変形手段4により圧接される。トナー変形手段4は図示しない加熱手段を具備しており、トナーのガラス転移温度Tg以上の温度に熱せられる。加熱されながら圧接されたトナーは変形や凝集を起こし、トナー変形手段4か像担持体1に付着する。トナー変形手段4に付着したトナーはトナー変形手段クリーニング部材6により掻きとられる。トナー変形手段4を通過し、像担持体1側に付着したトナーはクリーニングブレード2により掻きとられ、図示しない回収装置に回収される。
また、図2に示すクリーニング装置Bのように、クリーニング手段に具備されたトナー変形手段が複数のローラからなる場合、入力された転写後の残留トナーは第一のトナー変形手段4aによりトナーのガラス転移温度Tg以上に加熱し圧縮され、変形、凝集する。次に下流に具備された第二のトナー変形手段4bにより更に圧縮されるが、この時、第二のトナー変形手段4bと像担持体1との間の温度はトナーのガラス転移温度Tgよりも低く、圧力は上流部のトナー変形手段4aよりも低いことが好ましい。これにより、第一のトナー変形手段4aによって変形、凝集されたトナーは、第二のトナー変形手段4bによってトナーのガラス転移温度Tg以下に冷却されて、変形した状態で固化される。トナー変形手段により変形、固化されたトナーはクリーニングブレード2により掻き取られる。尚、ローラ状のトナー変形手段の個数は2個に限定されるものではなく、3個以上のローラでトナー変形を行うことも可能である。
また、図3に示すクリーニング装置Cのように、クリーニング手段に具備されたトナー変形手段がベルトからなる場合、材料としては一般的な樹脂材料を用いることができる。ベルト状のトナー変形手段は複数のローラ7a〜7cにより巻き掛けられており、ベルト状のトナー変形手段4のニップ部上流を形成するローラ7aには図示しない加熱装置が具備されており、ベルト状のトナー変形手段4のニップ上流部と像担持体1との間の温度はトナーのガラス転移温度Tg以上に加熱される。クリーニング装置に入力された転写後の残留トナーは、ベルト状のトナー変形手段4のニップ部上流でトナーのガラス転移温度Tg以上に加熱し圧縮され、変形、凝集する。ベルト状のトナー変形手段4のニップ下流部を形成するローラ7bはトナーのガラス転移温度Tgよりも低く設定されており、ニップ上流部で変形、凝集されたトナーはニップ下流部で固化される。こうすることでクリーニングブレード2およびクリーニング部材6へ進入するトナーの温度を確実にトナーのガラス転移温度Tgよりも下げることができる。また、トナー変形手段をベルト状とした場合はトナー変形手段に付着したトナーを一回で容易に除去することができる。圧接する方法は特に限定されないが、やはり一定の押圧力を加えることができるバネ加重が好ましい。
図4は、トナー変形手段4の先端部の状態を示している。転写残トナーとして像担持体1に残留した球形トナーは、本発明のクリーニング装置に入力され、トナー変形手段4を通過するときに、トナー変形手段4の温度と圧力により押しつぶされ、変形・凝集する。このとき、トナー変形手段4と像担持体1の間の温度はトナーのガラス転移温度Tgよりも高い。通常、球形トナーをクリーニングブレードによってクリーニングするとブレードエッジ部で回転してブレードに潜り込み、ブレード部をすり抜けてしまう。しかし、このように球形トナーの変形と凝集が起こった場合、エッジ部でのトナーの回転が起こらず、クリーニングブレードで容易にクリーニングすることができる。
トナーは、ガラス転移温度Tg以上の温度にすることで急激に変形し易くなるため、わずかな圧力で変形させることができる。球形トナーを変形させてクリーニングブレードでクリーニングするためには、定着工程のように完全に溶融する必要はなく、球形形状がわずかに変形するだけでクリーニング性は向上する。
このようにトナー変形手段4は球形トナーを変形・凝集させるために具備され、その押圧力は特に制限はなく、トナーや画像形成装置の条件によって適宜選択することができるが、加重方法をバネ加重方式としたときの総加重は2N以上であることが好ましい。2N以上にすることにより、球形トナーの変形・凝集を起こして容易にクリーニングすることができる。クリーニング部材6に使用する材料としては、弾性挙動を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。特に被クリーニング部材が樹脂の場合は、天然ゴム、ポリウレタンゴムなどが好適に挙げられ、被クリーニング部材が金属製の時はクリーニング部材6も金属製とすることで、より確実にトナーを除去することが可能である。
本発明ではトナー変形手段の温度をトナーのガラス転移温度(Tg)以上にするため、使用されるトナーのガラス転移温度は低いほど好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)は、例えば、TG−DSCシステムTAS−100(理学電機社製)を用いて、以下の方法により測定することができる。まず、トナー約10mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置する。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、TG−DSCシステムTAS−100システム中の解析システムを用いて、ガラス転移温度(Tg)近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点からガラス転移温度(Tg)を算出することができる。
本発明の画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体1と、該像担持体1上に担持されたトナー像を転写材Pに転写する転写手段13と、トナー像が転写材に転写された後に、前記像担持体1表面に残留する転写残トナーを除去するクリーニング装置Aとを備え、更に、必要に応じて適宜選択されるその他の構成を備えてなる。
像担持体1としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、金属からなる円筒体の周面に、感光層としての光導電性の有機半導体(OPC)等を塗布してなる構造が好適に挙げられる。
図5は、本発明の画像形成装置Dを示す構成図である。図5に示すように、画像形成装置Dは、矢印R1方向に回転駆動されるドラム状の像担持体1、該像担持体1の上部に配置され、該像担持体1表面に当接して従動回転し、像担持体1の表面を帯電する帯電装置11、帯電された像担持体1の表面に画像情報に応じた光を露光して静電潜像を書き込む画像書き込み手段12、像担持体1上に書き込まれた静電潜像を現像する現像装置10、像担持体1の下部に配置され、該像担持体1に所定のニップ圧で当接し、像担持体1上に形成されたトナー像を転写材である記録紙Pに転写する転写手段13、トナー像を記録紙Pに転写した後に像担持体1表面に残留する転写残トナーを除去するクリーニング装置A、図示しない給紙装置、図示しない定着装置などを備えている。像担持体1は、矢印R1方向に回転駆動され、この時、該像担持体1の表面は、帯電装置11によって所定の極性、例えば、マイナス極性に帯電される。次いで、該像担持体1の帯電面に、画像書き込み手段12から光変調されたレーザ光Lを照射して、像担持体1の表面に静電潜像を形成する。即ち、レーザ光が照射され像担持体表面部分の電位の絶対値が低下した部分が静電潜像(画像部)となり、レーザ光が照射されず電位の絶対値が高く保たれた部分が地肌部となる。次いで、前記静電潜像が、現像装置10に収納され所定の極性に帯電されたトナーTによって、現像されて、トナー像として可視化される。
一方、図示しない給紙装置から、例えば、記録媒体である記録紙Pが、像担持体1と転写装置13との間に、矢印Fの方向から所定のタイミングで搬送される。この時に、転写装置13により像担持体1上に形成されたトナー像が記録紙P上に静電的に転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、図示しない定着装置により加熱・加圧されてトナー像が記録紙上に定着される。その後、図示しない定着装置により定着された記録紙は図示しない排紙部から排出される。記録紙Pに転写されずに像担持体1上に残留した転写残トナーは、前記した本発明のクリーニング装置において、トナー変形手段により圧縮されて、変形・凝集する。変形・凝集したトナーはクリーニングブレード2に掻き取られ、回収される。
図6は、本発明の画像形成装置Eを示す構成図である。図6に示すように、クリーニング装置として本発明のクリーニング装置Bを具備した以外は、画像形成装置Dと同様の構成となる。図7は、本発明の画像形成装置Fを示す構成図である。図7に示すように、クリーニング装置として本発明のクリーニング装置Cを具備した以外は、画像形成装置Dと同様の構成となる。
本発明の画像形成装置には球形トナーが用いられる。球形トナーを使用すると高効率で潜像に忠実な画像を得ることが出来る。前記球形トナーとしては、下記式(1)により表される形状係数が1.0〜1.35であることが好ましい。前記形状係数は、真球に近づくほど1に近づく。
形状係数={(最大粒径)×π/(粒子の投影面積×4)} ……式(1)
但し、前記最大粒径は、トナー粒子の2次元投影像における重心を通る最大の粒径を示す。前記形状係数が1.35を超えると、画像のドット形成が不均一となり、画像の粒状性が悪化することがある。前記球形係数の測定方法としては、例えば、日立製作所製FE−SEM(S−4500)を用い、1000倍に拡大したトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報を、例えば、画像処理ソフト(Media Cybernetics製Image−Pro Plus)を用いて解析をおこない算出することにより測定することが可能である。前記球形のトナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、が1〜7μmであることが好ましい。前記体積平均粒径がトナーの粒径1μm未満であると、画像不良が発生することがあり、7μmを超えると、電子写真画像の高解像度の要求に対応するのが困難となることがある。前記体積平均粒径の測定方法としては、コールターエレクトリク社製コールターマルチサイザー測定により測定することが可能である。
次に、本発明で用いられるトナーの製造方法について説明する。本発明で用いられるトナーとしては、製造工程あるいは製造後の工程において球形化したトナーが用いられ、製造後の工程において球形化したトナーとは、例えばトナーの構成材料である樹脂や着色剤などを混合攪拌後に溶融混練し、粉砕・分級して作製した粉砕トナーを熱や機械的な力で球形化したトナーで、製造工程において球形化したトナーとは、例えば分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法により作製されたトナーである。
まずは分散重合トナーから説明する。
本発明におけるトナーを構成する樹脂粒子は親水性有機液体に、その親水性有機液体に溶解する高分子分散剤を加え、これに前記親水性液体には溶解するが、生成する重合体は前記親水性液体にて膨潤されるか、あるいは殆ど溶解しない一種または二種以上のビニル単量体を加えて重合することにより製造される。前記樹脂粒子の種粒子の形成時及び種粒子の成長反応時に用いる単量体の希釈剤としての親水性有機液体としては、メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、3−ペンタノール、オクチルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテルアルコール類などが代表的なものとして挙げられる。
これらの有機液体は単独で、もしくは二種以上の混合物して用いることができる。なお、アルコール類及びエーテルアルコール類以外の有機液体と、上述のアルコール類及び/又はエーテルアルコール類とを併用することで、有機液体が生成重合体粒子に対して溶解性をもたせない条件下で、有機液体のSP値を種々変化させて重合を行なうことにより、生成される粒子の大きさ、種粒子同士の合一及び新粒子の発生を抑制することが可能である。この場合の併用する有機液体としては、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、トリクロルエチレン、テトラブロムエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、シロキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メチラール、ジエチルアセタールなどのアセタール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンなどのケトン類、ギ酸ブチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの酸類、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミドなどの硫黄、窒素含有有機化合物類、その他水も含まれる。
また、重合開始時、重合途中、重合末期とそれぞれ混合溶媒の種類及び/又は組成を変化させ、生成する重合体粒子の平均粒径、粒径分布、乾燥条件などを調整することができる。種粒子製造時、または成長粒子の製造時に使用される高分子分散剤の適当な例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有するアクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子またはその複素環を有するものなどの単独重合体または共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンパルミチルアミン、ポリオキシプロピレンステアリルアミン、ポリオキシプロピレンオレイルアミン、ポリオキシプロピレンパルミチルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、ポリオキシエチレンパルミチン酸アミド、ポリオキシプロピレンステアリン酸アミド、ポリオキシプロピレンオレイン酸アミド、ポリオキシプロピレンパルミチン酸アミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(POE:5〜15)、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル(POE:5〜15)などのポリオキシエチレン系、並びにメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、または前記親水性モノマーと、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのベンゼン核を有するものまたはその誘導体、またはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体との共重合体、さらに、架橋性モノマー、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、ジビニルベンゼンなどとの共重合体も使用可能である。
これらの高分子分散剤は、使用する親水性有機液体、目的とする重合体粒子の種、及び種粒子の製造か成長粒子の製造かにより適宜選択されるが、特に重合体粒子同士の合一を主に立体的に防ぐ意味で、重合体粒子表面への親和性、吸着性が高く、しかも親水性有機液体への親和性、溶解性の高いものが選ばれる。また、立体的に粒子同士の反発を高めるために、分子鎖がある程度の長さのもの、好ましくは分子量が1万以上のものが選ばれる。しかしあまり分子量が高いと、液粘度の上昇が著しく、操作性、撹拌性が悪くなり、生成重合体の粒子表面への析出確率のばらつきを与えるため注意を要する。また、先に挙げた高分子分散剤の単量体を一部、目的とする重合体粒子を構成する単量体に共存させておくことも安定化には効果がある。
さらに、これら高分子分散剤と共にコバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、銅、錫、鉛、マグネシウムなどの金属またはその合金(特に粒径1μm以下のものが好ましい)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素などの酸化物の無機化合物微粉体、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、燐酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えば、アラニン型「例えばドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン」などのアミノ酸型やベタイン型の両性界面活性剤を併用しても、生成重合体粒子の安定性及び粒径分布の改良をさらに高めることができる。
一般に、種粒子製造時の高分子分散剤の使用量は目的とする重合体粒子形成用の重合性単量体の種類によって異なるが、親水性有機液体に対し0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。高分子分散安定剤の濃度が低い場合には、生成する重合体粒子は比較的大粒径のものが得られ、濃度の高い場合には小粒径のものが得られるが、10重量%を越えて用いても小径化への効果は少ない。
また、前記のビニル単量体とは、親水性有機液体に溶解可能なものであり、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチル脂肪酸モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸、もしくはメタクリル酸誘導体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類などからなる単独または相互の混合物、及びこれらを50重量%以上含有し、これらと共重合し得る単量体との相互の混合物を意味する。
また、本発明における前記の重合体は、耐オフセット性を高めるために、重合性の二重結合を二個以上有するいわゆる架橋剤の存在下に重合させたものであっても良い。好ましく用いられる架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びそれらの誘導体である芳香族ジビニル化合物、その他エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどのジエチレン性カルボン酸エステル、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなど全てのジビニル化合物、及び三個以上のビニル基を持つ化合物が挙げられ、これらは単独または混合物などで用いられる。
このように架橋された種粒子を用いて成長重合反応を引き続いて行った場合には、成長する重合体粒子の内部が架橋されたものとなる。また一方で、成長反応に用いるビニル単量体溶液に上記の架橋剤を含有させた場合には、粒子表面が硬化された重合体が得られる。また、平均分子量を調節する目的として、連鎖移動定数の大きな化合物を共存させて重合を行わせるものに、例えば、メルカプト基をもつ低分子化合物や四塩化炭素、四臭化炭素が挙げられる。
また、前記単量体の重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオクトエートなどの過酸化物系重合開始剤、過硫酸カリウムなどの過硫酸化物系重合開始剤、これにチオ硫酸ナトリウム、アミンなどを併用した系などが用いられる。重合開始剤濃度は、ビニル単量体100重量部に対して0.1〜10重量部が望ましい。
種粒子を得るための重合条件は、重合体粒子の目標平均粒径、目標粒径分布に合わせて、親水性有機液体中の高分子分散剤、ビニル単量体の濃度、及び配合比が決定される。一般に、粒子の平均粒径を小さくしようとするならば、高分子分散剤の濃度を高く、また平均粒径を大きくしようとするならば、高分子分散剤の濃度が低く設定する。一方、粒子径分布を非常に鋭くしようとするならば、ビニル単量体濃度を低く、また、比較的広い分布でもよい場合は、ビニル単量体濃度は高く設定する。
樹脂粒子の製造は親水性有機液体に、高分子分散安定剤を完全に溶解した後、一種または二種以上のビニル単量体、重合開始剤、その他必要ならば無機微粉末、界面活性剤、染料、顔料などを添加し、30〜300rpmの通常の撹拌にて、好ましくはなるべく低速で、しかもパドル型よりもタービン型の撹拌翼を用いて、槽内の流れが均一になるような速度で撹拌しながら、用いた重合開始剤の重合速度に対応した温度にて加熱し重合を行なう。なお、重合初期の温度が生成する粒子種に大きな影響を与えるため、単量体を添加した後に温度を重合温度まで上げ、重合開始剤を少量の溶媒に溶解して投入した方が望ましい。重合の際には窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性気体にて反応容器内の空気中の酸素を充分に追い出すことが望ましい。この酸素パージが不充分であると微粒子が発生し易い。重合を高重合率域で行なうには5〜40時間の重合時間が望ましいが、所望の粒子径、粒子径分布の状態で重合を停止させたり、また重合開始剤を順次添加したり、高圧下で反応を行なうことにより重合速度を速めることができる。
重合終了後は、そのまま染着工程に用いてもよいし、沈降分離、遠心分離、デカンテーションなどの操作により不必要な微粒子、残存モノマー、高分子分散安定剤などを除いた後に、重合体スラリーとして回収して染着を行なってもよいが、分散安定剤を除去しない方が染着の安定性は高く、不要な凝集が抑制される。
本発明における樹脂粒子の染着は、例えば次のような方法で行なうことができる。即ち、樹脂粒子を溶解せしめない有機溶媒中に樹脂粒子を分散し、この前または後に前記溶媒中に染料を溶解させ、前記染料を樹脂粒子中に浸透させ着色せしめた後、前記有機溶媒を除去して染着トナーを製造する方法において、前記染料の前記有機溶媒に対する液解度(D1)及び前記樹脂粒子の樹脂に対する前記染料の溶解度(D2)の関係が、(D1)/(D2)≦0.5となる染料を選択使用する。これにより、樹脂粒子の深部まで染料が浸透(拡散)したトナーを効率よく製造することができる。この明細書における溶解度は25℃の温度で測定されたものと定義される。なお、染料の樹脂中への溶解度とは、染料の溶媒中への溶解度と全く同じ定義であり、樹脂中に染料が相溶状態で含有させることができる最大量を意味する。この溶解状態あるいは染料の析出状態の観察は顕微鏡を用いることにより容易に行なうことができる。樹脂に対する染料の溶解性を知るには、上記した直接観察による方法の代わりに間接的な観察方法によってもよい。この方法は樹脂と溶解度係数が近似する液体、即ち樹脂をよく溶解する溶媒を用い、この溶媒に対する染料の溶解度を樹脂に対する溶解度として定めてもよい。
着色に使用する染料としては、前述のように使用する有機溶媒への該染料の溶解度(D1)と樹脂粒子を構成する樹脂への該染料の溶解度(D2)との比(D1)/(D2)が0.5以下であることが好ましい。さらに(D1)/(D2)が0.2以下とすることが特に好ましい。染料としては、上記の溶解特性を満たせば特に制限はないが、カチオン染料、アニオン染料などの水溶性染料は環境変動が大きいおそれがあり、またトナーの電気抵抗が低くなり、転写率が低下するおそれがあるので、バット染料、分散染料、油溶性染料の使用が好ましく、特に油溶性染料が好ましい。また、所望の色調に応じて数種の染料が併用することもできる。染着される染料と樹脂粒子との比率(重量)は、着色度に応じて任意に選択されるが、通常は樹脂粒子1重量部に対して、染料1〜50重量部の割合で用いるのが好ましい。
例えば、染着溶媒にSP値の高いメタノール、エタノールなどのアルコール類を使用し、樹脂粒子の樹脂としてSP値が9程度のスチレン−アクリル系樹脂を使用した場合、使用し得る染料としては、例えば、以下のような染料が挙げられる。 C.I. SOLVENT YELLOW(6、9、17、31、35、1、102、103、105) C.I. SOLVENT ORANGE(2、7、13、14、66) C.I. SOLVENT RED(5、16、17、18、19、22、23、143、145、146、149、150、151、157、158) C.I. SOLVENT VIOLET(31、32、33、37) C.I. SOLVENT BLUE(22、63、78、83〜86、91、94、95、104) C.I. SOLVENTGREEN(24、25) C.I. SOLVENT BROWN(3、9)など。市販染料では例えば保土谷化学工業社製の愛染SOT染料Yellow−1,3,4、Orange−1,2,3、Scarlet−1、Red−1,2,3、Brown−2、Blue−1,2、Violet−1、Green−1,2,3、Black−1,4,6,8やBASF社製のsudan染料、Yellow−140,150、Orange−220、Red−290,380,460、Blue−670や三菱化成社製のダイアレジン、Yellow−3G,F,H2G,HG,HC,HL、Orange−HS,G、Red−GG,S,HS,A,K,H5B、Violet−D、Blue−J,G,N,K,P,H3G,4G、Green−C、Brown−Aやオリエント化学社製のオイルカラー、Yellow−3G,GG−S,#105、Orange−PS,PR,#201、Scarlet−#308、Red−5B、Brown−GR,#416、Green−BG,#502、Blue−BOS,HN、Black−HBB,#803,EE,EX、住友化学工業社製のスミプラスト、ブルーGP,OR、レッドFB,3B、イエローFL7G,GC、日本化薬社製のカヤロン、ポリエステルブラックEX−SH3、カヤセットRed−BのブルーA−2Rなどを使用することができる。もちろん染料は樹脂粒子と染着時に使用する溶媒の組み合わせで適宜選択されるため、上記例に限られるものではない。
染料を樹脂粒子に染着させるために用いる有機溶媒としては、使用する樹脂粒子が溶解しないもの、あるいは若干の膨潤をきたすもの、具体的には溶解性パラメーター(SP値)の差が1.0以上、好ましくは2.0以上のものが使用される。例えば、スチレン−アクリル系樹脂粒子に対しては、SP値が高いメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系、あるいはSP値が低いn−ヘキサン、n−ヘプタンなどを使用する。SP値の差があまりに大きすぎると、樹脂粒子に対する濡れが悪くなり、樹脂粒子の良好な分散が得られないため、最適なSP値の差は2〜5が好ましい。
染料を溶解した有機溶媒中に樹脂粒子を分散させた後、液温度を樹脂粒子のガラス転移温度以下に保ち、撹拌することが好ましい。これにより、樹脂粒子の凝集を防ぎながら染着することが可能となる。撹拌の方法は市販されている撹拌機、例えばホモミキサー、マグネチックスタラーなどを用いて撹拌すればよい。また、分散重合などで重合終了時得られるスラリー、つまり有機溶媒中に重合樹脂粒子が分散している状態の分散液に、染料を直接添加して前記の条件にて加熱撹拌してもよい。加熱温度がガラス転移温度超過の場合は樹脂粒子同士の融着が生じてしまう。染着後のスラリーを乾燥する方法としては、特に限定はされないが、濾過した後に減圧乾燥あるいは濾別しないで直接減圧乾燥すればよい。本発明において濾別した後に風乾または減圧乾燥して得られた着色粒子は、凝集は殆どなく、投入した樹脂粒子の粒度分布を殆ど損なわないで再現できる。
次に、本発明の懸濁重合トナーについて説明する。
懸濁重合に使用される重合性単量体はビニル基を有するモノマーであり、具体的には以下のようなモノマーが挙げられる。即ち、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ブチルスチレン、オクチルスチレンなどのスチレン及びその誘導体が挙げられ、なかでもスチレン単量体が最も好ましい。他のビニル系単量体として、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのエチレン系不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類、ビニルナフタレンなどを挙げることができ、これらの単量体を単独あるいは混合して用いることができる。
単量体組成物中には、架橋重合体を生成させるために次のような架橋剤を存在させて懸濁重合させてもよい。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−メタクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールメタンテトラアクリレート、ジブロムネオペンチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリルなどが挙げられる。架橋剤の使用量が多過ぎると、トナーが熱で溶融しにくくなり、熱定着性、熱圧定着性が劣ることになる。また、架橋剤の使用量が少くな過ぎると、トナーとして必要な耐ブロッキング性、耐久性などの性質が低下し、熱ロール定着において、トナーの一部が紙に完全に固着しないでロール表面に付着し、次の紙に転写するという、コールドオフセットが発生してしまう。従って、用いる架橋剤量は、重合性単量体100重量部に対して0.001〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
また、得られるトナーのオフセット防止のために、重合組成物に離型剤を含有させることができる。離型剤としては低分子量のポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。この低分子量オレフィン重合体は、着色剤と共に重合性単量体中に分散させておくのが好ましい。なお、離型剤は重合性単量体100重量部に対して1〜15重量部使用することが好ましい。離型剤の使用量が1重量部未満では、得られたトナーが充分な離型効果をもたず、ローラ上にオフセットしやすくなる。逆に使用量が15重量部を超過すると、トナーから離型剤が摩擦帯電付与部材にスペントするようになるし、また、トナーの流動性が極めて悪くなる。
単量体に含有される着色剤としては、従来知られている染料及びカーボンブラック、カーボンブラックの表面を樹脂で被覆してなるグラフト化カーボンブラックのような顔料が使用可能である。その他の着色剤としては、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、レーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系染料、ジスアゾ系染料などの染顔料がある。なお、これらの着色剤の使用量は、重合性単量体100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましい。また、上述したように必要に応じた帯電制御剤を含有させる。帯電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
分散安定剤としては次のものが使用可能である。即ち、ポリビニルアルコール、でん粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、タルク、粘土、珪藻土、金属酸化物粉末などが用いられる。これらは水に対して0.1〜10重量%の範囲で用いるのが好ましい。
本発明において、重合開始剤は造粒後の単量体組成物を含む分散液中に添加してもよいが、個々の単量体組成物粒子に均一に重合開始剤を付与する点からは、造粒前の単量体組成物に含有させておくことが望ましい。このような重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスブチロニトリルなどのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
次に、本発明の乳化重合トナーについて説明する。
乳化重合法では、無機分散剤または微粒子ポリマーの存在下で、水系媒体中にイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーをはじめとするトナー組成物を分散せしめ、アミン類により伸長反応及び/又は架橋反応によりトナー粒子を形成させる。 イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α、α、α′、α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超え、或いは1/2未満では、得られるウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
本発明のウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法などにより製造される。ウレア変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステル(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
本発明においては、前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、(ii)の酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成しても良いし、あらかじめ製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いても良い。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)と他のトナー組成物(以下トナー原料と呼ぶ)である着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、帯電制御剤、変性されていないポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、帯電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径は2〜20μmが好ましく、そのためには高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)を含むトナー組成物100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
トナー組成物が分散された油性相を水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。また微粒子ポリマーも無機分散剤と同様な効果が確認された。例えばMMAポリマー微粒子1、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5及び2μm、スチレン−アクリロニトリルポリマー微粒子1μm、PB−200H(花王製)、SGP(総研)、テクノポリマーSB(積水化成品工業)、SGP−3G(総研)ミクロパール(積水ファインケミカル)、また上記の無機分散剤、微粒子ポリマーと併用して使用可能な分散剤としては、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンパルミチルアミン、ポリオキシプロピレンステアリルアミン、ポリオキシプロピレンオレイルアミン、ポリオキシプロピレンパルミチルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、ポリオキシエチレンパルミチン酸アミド、ポリオキシプロピレンステアリン酸アミド、ポリオキシプロピレンオレイン酸アミド、ポリオキシプロピレンパルミチン酸アミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(POE:5〜15)、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル(POE:5〜15)などのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に短時間で蒸発除去する方法を採用することができる。なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
さらに、トナー組成物の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)が可溶の溶媒を使用することもできる。溶媒を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶媒は沸点が100℃未満の揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。該溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100重量部に対する溶媒の使用量は、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。溶媒を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
また、上記の無機分散剤または微粒子ポリマーの存在下で水系媒体中に分散したポリエステル樹脂から得られるイソシアネート基含有プレポリマーをアミン類により伸長反応あるいは架橋反応させ、得られた乳化分散液から溶媒を除去することにより得られるトナーは形状及び粒径制御の容易性、生産性、低ガラス転移温度化等の点で特に優れており、形状を制御した粒径分布の狭い小粒径トナーを得ることができ、低温で変形させることができるため、本発明の画像形成装置に使用するのに好適である。
本発明では、圧接したトナーを像担持体から掻き取るため、本発明の画像形成装置に使用される像担持体の表面摩擦係数は低いことが好ましく、本発明の画像形成装置に使用される像担持体の摩擦係数は0.5以下になるように設定することが好ましい。摩擦係数を低下させる手段としては、像担持体表面に固形潤滑剤を塗布する方法などが好適である。像担持体の摩擦係数はオイラーベルト方式にて測定される。この方法は、下記の方法で実施されるが、測定が簡便で感光体径に関係なく測定でき、繰り返し安定性が優れている。なお、本発明での測定環境は20〜24℃/61〜65%RHである。測定方法:測定用の感光体を台座に固定して、幅30mm、長さ290mmにカットした厚み85μmの上質紙(リコー社製、タイプ6200ペーパー、縦目)をベルトとして用意し、前記上質紙を感光体の上に乗せ、ベルト端部の一方に100grの重りを取り付け、もう一方の片端に重量測定用のデジタル・フォース・ゲージを取り付け、デジタル・フォース・ゲージをゆっくり引き、ベルトの移動開始時の重量を読みとり、下記式(2)より(静止)摩擦係数(μs)を計算する。
μs=2/π×ln(F/W)…式(2)
(ただし上記式中、μs:静止摩擦係数、F:読みとり荷重、W:分銅の重さ、π:円周率を表す。)
前記固形潤滑剤としては、例えば、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸鉄、ステアリン酸銅、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、リノレン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−オキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられる。特に、像担持体1の摩擦を低減する効果の大きいステアリン酸金属塩、さらにはステアリン酸亜鉛が一層好ましい。塗布方法としては、例えばステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩を融解固化させて棒状に加工したものをブラシ状ローラで削りながら、感光体に塗布する方法などがある。
本発明のプロセスカートリッジは、潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、該現像手段により現像されたトナー像が転写された後に、像担持体の表面に残留する転写残トナーを除去するクリーニング装置とを備え、更に、必要に応じて適宜選択されるその他の構成を備えてなり、前記クリーニング装置が、前記本発明のクリーニング装置であり、夫々の装置の全て、あるいは一部の装置を一体的に備えてカートリッジとし、画像形成装置に着脱可能とするものである。尚、画像形成に用いられるトナーとしては、前記本発明の画像形成装置におけるものと同様とすることが可能である。
図8は、本発明の画像形成装置Gを示す構成図である。画像形成装置は、タンデム型のフルカラープリンタを示すものである。図8に示すように、画像形成装置Gは、直列に配置され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色のトナー像を形成する本発明の前記プロセスカートリッジC1〜C4、該プロセスカートリッジC1〜C4の下方に対向して配置され、複数のローラに巻き掛けされて矢印の方向に回転駆動され、作像部C1〜C4よりトナー像が転写されるための中間転写ベルト90を有している。また、中間転写ベルト90を介してローラ113に対して対向配置され、中間転写ベルト90に所定のニップ圧で当接され、中間転写ベルト90上に形成されたトナー像を転写材である記録紙Pに転写する2次転写ローラ120も備えている。図8に示すように、作像部C1〜C4は中間転写ベルト90の周りに直列に配置されており、中間転写ベルト90は、矢印の方向に回転駆動される。作像部C1〜C4より形成された、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像は中間転写ベルト90上に順次重ねて転写される。一方、図示しない給紙装置から、記録紙Pが、中間転写ベルト90と2次転写ローラ120との間に、矢印Fの方向から所定のタイミングで搬送される。この時に、中間転写ベルト90上に形成された各色のトナー像が記録紙P上に静電的に一括転写される。各色のトナー像が転写された記録紙Pは、図示しない定着装置により加熱・加圧されてトナー像が記録紙P上に定着される。その後、図示しない定着装置により定着された記録紙は図示しない排紙部から排出される。
前記各プロセスカートリッジC1〜C4におけるその他の構成、特に、クリーニング装置の構成、画像形成に用いられるトナーなどとしては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色のトナーを用いること以外は、前記本発明の画像形成装置EおよびプロセスカートリッジCと同様のものが挙げられる。前記中間転写ベルト90としては、無端ベルト基材の表面に弾性被覆層が少なくとも一層形成されてなるものが挙げられる。前記無端ベルト基材としては、樹脂、ゴム、金属薄板などが挙げられる。また、前記弾性被覆層としては、樹脂、ゴム、エラストマーなどが挙げられる。前記中間転写ベルト90としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属からなるドラム状の芯体の外周に、弾性被覆層が少なくとも一層形成されてなるドラムタイプとすることも可能である。図8では本発明のプロセスカートリッジを具備するとしたが、像担持体周辺の作像部分はプロセスカートリッジに限定されるものではなく、前記画像形成装置D、E、Fと同様の構成をとることが可能である。画像形成装置Gに使用されるトナーとしては、前記本発明の前記画像形成装置D、E、Fにおけるものと同様とすることが可能である。
本発明の第1の構造に係るクリーニング装置Aを示す構成図である。 本発明のクリーニング装置Bを示す構成図である。 本発明のクリーニング装置Cを示す構成図である。 トナー変形手段4の先端部の状態を示している。 本発明の画像形成装置Dを示す構成図である。 本発明の画像形成装置Eを示す構成図である。 本発明の画像形成装置Fを示す構成図である。 本発明の画像形成装置Gを示す構成図である。
符号の説明
1 像担持体
2 クリーニングブレード
4 トナー変形手段
6 クリーニング部材
10 現像装置
11 帯電装置
12 書き込み手段
13 転写手段

Claims (14)

  1. 球形化したトナーにより形成されたトナー像を像担持体から転写体へ転写した後、
    転写体に転写されずに像担持体に残留したトナーをクリーニングブレードにより像担持体から除去するクリーニング装置において、
    転写ニップ部と前記クリーニングブレードとの間に、残留トナーを温度と圧力によって変形させるトナー変形手段を具備し、
    該トナー変形手段は、3個のローラに巻き掛けられ前記3個のローラのうちの両端のローラによって前記像担持体に当接するベルトからなり、
    前記両端のローラのうちの、前記像担持体の回転方向上流に位置するローラの温度トナーのガラス転移温度Tgよりも高くして、圧力を加え、
    前記両端のローラのうちの、前記像担持体の回転方向下流に位置するローラの温度トナーのガラス転移温度Tgよりも低くして、上記回転方向上流に位置するローラの圧力より低い圧力を加え、
    前記両端のローラ以外のローラは、前記ベルトの表面に付着したトナーを掻き落とすクリーニング部材を備えている
    ことを特徴とするクリーニング装置。
  2. 前記両端のローラのうちの、前記像担持体の回転方向上流に位置するローラを像担持体に対してバネ加重によって加重する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
  3. トナー像を担持する像担持体と、
    該像担持体上に担持されたトナー像を転写材に転写する転写手段と、
    トナー像が転写材に転写された後に、像担持体の表面に残留する転写残トナーを除去するクリーニング装置とを備え、
    該クリーニング装置が請求項1又は請求項2に記載のクリーニング装置である
    ことを特徴とした電子写真方式の画像形成装置。
  4. 使用されるトナーの粒子形状は、下記式(1)より表される形状係数が1.0〜1.35である
    形状係数={(最大粒径)×π/(粒子の投影面積×4)}……式(1)
    ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 使用されるトナーの体積平均粒径が1〜7μmとなるように調製した
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 像担持体の表面摩擦係数が0.4以下である
    ことを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
  7. 像担持体表面に固形潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を有する
    ことを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 使用されるトナーの製造方法が、水系媒体中にポリエステル樹脂からなるトナー組成物を分散せしめ、トナー粒子を形成させる乾式トナーの製造方法において、無機分散材または微粒子ポリマーの存在下で水系媒体中に分散したイソシアネート基含有プレポリマーをアミン類により伸長反応あるいは架橋反応させ、得られた乳化分散液から溶媒を除去することにより得ることができ、また上記ポリエステル樹脂が、その数平均分子量が2000〜15000で、ガラス転移温度が55〜75℃、酸価が1〜30mgKOH/gであり、ウレア結合を有する変性ポリエステルを含有し、さらにそのポリオール成分としてビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物を含有する
    ことを特徴とする請求項3ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、
    該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像手段と、
    該現像手段により現像されたトナー像が転写された後に、像担持体の表面に残留する転写残トナーを除去するクリーニング装置とを備え、
    該クリーニング装置は像担持体上の残留トナーを押圧する押圧手段を備え、
    押圧手段により圧縮されたトナーを像担持体から掻き取るクリーニングブレードを備える請求項1又は請求項2に記載のクリーニング装置である
    ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  10. 使用されるトナーの粒子形状が下記式(1)より表される形状係数が1.0〜1.35である
    形状係数={(最大粒径)×π/(粒子の投影面積×4)}……式(1)
    ことを特徴とする請求項9に記載のプロセスカートリッジ。
  11. 使用されるトナーの体積平均粒径が1〜7μmとなるように調製した
    ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のプロセスカートリッジ。
  12. 使用されるトナーの製造方法が、水系媒体中にポリエステル樹脂からなるトナー組成物を分散せしめ、トナー粒子を形成させる乾式トナーの製造方法において、無機分散材または微粒子ポリマーの存在下で水系媒体中に分散したイソシアネート基含有プレポリマーをアミン類により伸長反応あるいは架橋反応させ、得られた乳化分散液から溶媒を除去することにより得ることができ、また上記ポリエステル樹脂が、その数平均分子量が2000〜15000で、ガラス転移温度が55〜75℃、酸価が1〜30mgKOH/gであり、ウレア結合を有する変性ポリエステルを含有し、さらにそのポリオール成分としてビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物を含有する
    ことを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
  13. 像担持体の表面摩擦係数が0.4以下である
    ことを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
  14. 像担持体表面に固形潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段を有する
    ことを特徴とする請求項9ないし請求項13のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
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