JP4981463B2 - 作業車の走行伝動構造 - Google Patents
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Description
本発明は、作業車の一時停止時の移動を防止できる作業車の走行伝動構造を低コストで実現することを目的とする。
(構成)
本発明の第1特徴は、作業車の走行伝動構造を、次のように構成することにある。
エンジンに、複数段に変速可能な変速装置と、当該変速装置を通じて動力伝達される、前進位置、中立位置、後進位置を備えた前後進切替装置とをその順で直列的に接続し、前記エンジンからの動力を前記変速装置及び前記前後進切替装置を介して走行装置に伝達するように構成し、
人為的に操作される変速操作具が中立位置から前進位置に操作されると、前記前後進切替装置を前進位置に操作し、前記変速操作具が中立位置から後進位置に操作されると、前記前後進切替装置を後進位置に操作する第1操作手段と、
前記変速操作具が中立位置に操作されると、前記変速装置の伝動比の異なる複数の変速位置を共に伝動状態に操作することで前記変速装置をロックして前記走行装置を制動し、かつ前記エンジンの回転を許すように前記変速装置の上流側の動力の伝達を遮断する第2操作手段と、を備える。
なお、上記の第1特徴による作業車の走行伝動構造に代えて、以下のような走行伝動構造を採用することも可能である。
エンジンに、中立状態を含む複数段に変速可能な無段変速装置と、当該無段変速装置を通じて動力伝達される、前進位置、中立位置、後進位置を備えた前後進切替装置とをその順で直列的に接続し、前記エンジンからの動力を前記無段変速装置及び前記前後進切替装置を介して走行装置に伝達するように構成し、
人為的に操作される変速操作具が中立位置から前進位置に操作されると、前記前後進切替装置を前進位置に操作し、前記変速操作具が中立位置から後進位置に操作されると、前記前後進切替装置を後進位置に操作する第1操作手段と、
前記変速操作具が中立位置に操作されると、前記前後進切替装置を前進位置と後進位置の両方が伝動状態になるように操作することで前記前後進切替装置をロックして前記走行装置を制動し、かつ前記エンジンの回転を許すように前記無段変速装置を中立状態に操作する第2操作手段と、を備える。
本発明の第1特徴によると、変速操作具が中立位置に操作されると、エンジンに直列的に接続した変速装置の伝動比の異なる複数の変速位置が自動的に伝動状態に操作されて、伝動比の異なる複数の動力が一つの変速装置内を同時に流れようとして二重伝動状態となり互いに伝動比を合わせようと抑え合って、変速装置において動力が全く流れない状態になる。これにより、この変速装置に接続された走行装置に見掛け上制動が掛かった状態を現出することができる。また、変速装置において動力が全く流れない状態になったとしても、変速装置の上流側の動力の伝達が自動的に遮断されて、エンジンからの動力が行き場を失ってエンジンが停止することを防止できる。
すなわち、前後進切替装置を操作する変速操作具の操作に基づいて、前後進切替装置とは別の変速装置によって走行装置に見掛け上制動が掛かった状態を現出でき、作業車の一時停止時の移動を防止できる。その結果、例えば特許文献1の前進及び後進停止位置が、本発明の第1特徴によると、既存のものと言ってよい変速操作具の中立位置に兼用されるので、特許文献1の前進及び後進停止位置を備える必要がない。
本発明の第1特徴によると、前後進切替装置の前進及び後進位置の両方を入り操作する専用の変速操作具の操作位置や専用の油圧回路等を採用せずに、既存の変速装置を操作することによって作業車の一時停止時の移動を防止できる。その結果、作業車の一時停止時の移動を防止する機構を簡素化でき、製造コストを削減できる。
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車の走行伝動構造において、次のように構成することにある。
前記走行装置に制動力を付与するブレーキ機構と、
前記変速操作具が前進又は後進位置から中立位置に操作されると、前記ブレーキ機構が自動作動し、前記変速操作具が中立位置から前進又は後進位置に操作されると、前記ブレーキ機構の自動作動を解除する自動ブレーキ作動手段と、を備える。
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、変速操作具が前進又は後進位置から中立位置に操作されてから、前進又は後進位置に操作されるまでの間、自動ブレーキ作動手段によってブレーキ機構を自動作動させることができ、走行装置に制動力を付与することができる。その結果、前後進切替装置を操作する変速操作具の操作に基づいて、ブレーキ機構によって走行装置への制動を補助することができる。
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、自動ブレーキ作動手段によって、作業車の一時停止時の移動を更に防止できる。
図1に、作業車の一例である四輪駆動型の農業用のトラクタの走行伝動系を示す。図1に示すように、エンジン1の動力が第1伝動軸2に伝達され、この第1伝動軸2から伝動クラッチ3を介して第2伝動軸4が連係されており、伝動クラッチ3は作動油が供給されることにより伝動状態に操作され、作動油が排出されることにより遮断状態に操作されるように構成されている。第1伝動軸2及び第2伝動軸4と平行に第3伝動軸5が配設されており、この第3伝動軸5に複数の変速可能な変速装置としてのシンクロメッシュ式のギア変速装置6が備えられている。第2伝動軸4には第1ギア7が固定されており、この第1ギア7に咬合する第2ギア8が第3伝動軸5に固定されている。
図2にトラクタの制御装置42のブロック図を示す。図2に示すように、このトラクタの制御装置42には、レバー位置検出センサ43、変速位置検出センサ44、クラッチペダルセンサ45、及び傾斜センサ46等の検出機器類を備え、これらの検出機器類からの検出結果に基づいて、制御装置42から電磁弁47〜50及び電磁切換弁51,52に出力を行って、前進及び後進クラッチ31,32、伝動クラッチ3、ギア変速装置6のシフト部材13,14を操作するアクチュエータ53,54及びブレーキ機構41を作動させるアクチュエータ55が操作できるように構成されている。
図3及び図4に基づいて、このトラクタで実施されている車輪制動制御について説明する。図3に示すように、レバー位置検出センサ43、変速位置検出センサ44、クラッチペダルセンサ45及び傾斜センサ46の検出結果が常時監視されている(ステップ#11)。クラッチペダルセンサ45の検出結果に基づいて、運転者によるクラッチペダルの踏み込み操作がされていない場合には(ステップ#12・NO)、レバー位置検出センサ43の検出結果に基づいて、シャトルレバー56が中立位置Nに操作されたか否かが判断される(ステップ#13)。
図5に基づいて、自動ブレーキ作動手段としての自動ブレーキ作動制御について説明する。図5に示すように、レバー位置検出センサ43により検出した検出結果が常時監視されており(ステップ#41)、シャトルレバー56が前進位置Fから中間位置F1に操作されたか否か、又は後進位置Rから中間位置R1に操作されたか否か判断され(ステップ#42)、前進位置Fから中間位置F1に操作された場合、又は後進位置Rから中間位置R1に操作された場合には(ステプ#42・YES)、電磁弁50に制御装置42から出力されてアクチュエータ55が作動し、ブレーキ機構41が自動作動する(ステップ#43)。
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、トラクタの走行伝動系を図1のように構成し、左右の前輪39及び後輪24に見かけ上制動が掛かった状態を現出するように構成した例を示したが、トラクタの走行伝動系を図6のように構成して、左右の前輪39及び後輪24に見かけ上制動が掛かった状態を現出するように構成してもよい。なお、後述する以外の他の構成は、前述の[発明を実施するための最良の形態]と同様である。
前述の[発明を実施するための最良の形態]においては、前後進切替装置33の上流側にギア変速装置6を配設し、ギア変速装置6の上流側に位置する伝動クラッチ3を切り操作することによりギア変速装置6の上流側の動力の伝達を遮断するように第2操作手段を構成した例を示したが、ギア変速装置6の上流側に前後進切替装置33を配設し、前後進切替装置33の前進及び後進クラッチ31,32を共に切り操作することにより、ギア変速装置6の上流側の動力の伝達を遮断するように第2操作手段を構成してもよい。
前述の[発明を実施するための最良の形態]、[発明の実施の第1別形態]及び[発明の実施の第2別形態]においては、前後進切替装置33を油圧多板式で摩擦式の前進及び後進クラッチ31,32で構成した例を示したが、シフト部材(図示せず)のシフト操作により前後位置、中立位置及び後進位置を切替可能な前後進切替装置33を採用してもよい。
6 ギア変速装置(変速装置)
24 後輪(走行装置)
33 前後進切替装置
39 前輪(走行装置)
41 ブレーキ機構
56 シャトルレバー(変速操作具)
F 前進位置(変速操作具の前進位置)
N 中立位置(変速操作具の中立位置)
R 後進位置(変速操作具の後進位置)
Claims (3)
- エンジンに、複数段に変速可能な変速装置と、当該変速装置を通じて動力伝達される、前進位置、中立位置、後進位置を備えた前後進切替装置とをその順で直列的に接続し、前記エンジンからの動力を前記変速装置及び前記前後進切替装置を介して走行装置に伝達するように構成し、
人為的に操作される変速操作具が中立位置から前進位置に操作されると、前記前後進切替装置を前進位置に操作し、前記変速操作具が中立位置から後進位置に操作されると、前記前後進切替装置を後進位置に操作する第1操作手段と、
前記変速操作具が中立位置に操作されると、前記変速装置の伝動比の異なる複数の変速位置を共に伝動状態に操作することで前記変速装置をロックして前記走行装置を制動し、かつ前記エンジンの回転を許すように前記変速装置の上流側の動力の伝達を遮断する第2操作手段と、を備えた作業車の走行伝動構造。 - 前記走行装置に制動力を付与するブレーキ機構と、
前記変速操作具が前進又は後進位置から中立位置に操作されると、前記ブレーキ機構が自動作動し、前記変速操作具が中立位置から前進又は後進位置に操作されると、前記ブレーキ機構の自動作動を解除する自動ブレーキ作動手段と、を備えた請求項1記載の作業車の走行伝動構造。 - エンジンに、中立状態を含む複数段に変速可能な無段変速装置と、当該無段変速装置を通じて動力伝達される、前進位置、中立位置、後進位置を備えた前後進切替装置とをその順で直列的に接続し、前記エンジンからの動力を前記無段変速装置及び前記前後進切替装置を介して走行装置に伝達するように構成し、
人為的に操作される変速操作具が中立位置から前進位置に操作されると、前記前後進切替装置を前進位置に操作し、前記変速操作具が中立位置から後進位置に操作されると、前記前後進切替装置を後進位置に操作する第1操作手段と、
前記変速操作具が中立位置に操作されると、前記前後進切替装置を前進位置と後進位置の両方が伝動状態になるように操作することで前記前後進切替装置をロックして前記走行装置を制動し、かつ前記エンジンの回転を許すように前記無段変速装置を中立状態に操作する第2操作手段と、を備えた作業車の走行伝動構造。
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