JP4980743B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
例えば、それぞれの電力変換器が、Vdcの直流電圧を有し、それぞれが+Vdc、0、−Vdcの電圧を出力できる回路構成になっている。そして、出力電圧に0を出力する場合は、すべての電力変換器が0を出力し、+Vdcを出力するときは1つの電力変換器が+Vdcを、残りが0を出力する。+2Vdcを出力するときは、2つが+Vdcを出力すればよい。
この方法をさらに進め、異なる直流電圧を有する電力変換器を組み合わせ、例えば1段目の電力変換器が3Vdc、2段目の電力変換器がVdcの直流電圧を有する場合、+Vdcを出力する場合は、2段目の電力変換器で+Vdcを出力し、1段目が0を出力する。+2Vdcを出力する場合は、1段目で+3Vdcを出力すると共に2段目では−Vdcを出力して、合成された電圧を+2Vdcとする。
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、電力変換器の数が少なくても歪みの少ない電圧波形を得ることを目的とする。
第1の出力電圧に第2の出力電圧を重畳した電圧を、電圧指令値に応答する電圧として出力するものである。
図1は、本発明の実施の形態1による電力変換装置を説明するための構成図である。第1の直流電源である第1の直流電位群1は、2つの電位P11とP12を持ち(P11>P12)、第1の電力変換手段2に接続されている。第1の電力変換手段2の直流側は第1の直流電位群1に、交流側は第1の出力端子T1a、T1b、T1cを介して第2の電力変換手段群3に接続されており、第2の電力変換手段群3から第2の出力端子T2a、T2b、T2cへ電圧を出力する。第2の出力端子T2a、T2b、T2cには、例えば、電動機などの負荷が接続されて駆動される。
第2の出力端子T2a、T2b、T2cが発生すべき電圧指令値V2a*、V2b*、V2c*を第1の電位選択手段4に入力し、第1の電位選択手段4は、第1の電力変換手段2のスイッチング状態S21、S22、S23を出力すると共に、スイッチングシーケンスSEQとスイッチング期間信号SWTを電圧推定手段5に出力する。
電圧推定手段5は、第1の出力端子T1a、T1b、T1cに出力される電圧(第1の出力電圧)の波形から後述する方法で平均電圧値V1a’、V1b’、V1c’を出力する。
減算手段7a、7b、7cは、平均電圧値V1a’、V1b’、V1c’と電圧指令V2a*、V2b*、V2c*との偏差を演算し、第2の電位選択手段6に入力する。
減算手段404aと、入力が負値のとき0、それ以外のとき1となる関数手段405aとで構成される比較手段により、サンプルホールドされたスイッチング期間信号SWT1a’と基準信号発生手段401aで発生した基準信号SWT0aとを比較した結果であるSW1aをスイッチングパターン選択手段406aに入力する。
スイッチングパターン選択手段406aでは、スイッチングパターンSEQaと比較結果SW1aとに基づき第1の電力変換手段2のスイッチング状態S21を出力する。
乗算手段505a、506aの出力は、加算手段507aで加算されて、除算手段508aで一定値Δで除算して所定のサンプリング期間Tsの平均スイッチング状態SSaを出力する。平均スイッチング状態SSaと第1の直流電位群1の電位P11とP12との電位差を乗算手段51aで乗算し、電位P12を加算手段53aで加算して平均電圧値V1a’を得る。
ここで得られた平均電圧値V1a’は、第1の出力端子T1aに出力される第1の出力電圧波形の平均値をサンプリング周期Ts毎に連ねた波形の電圧となる。
SEQb、SWTb’及びSEQc、SWTc’からV1b’、V1c’を演算する構成も同様である。
電圧指令値V2a*は、第1の直流電位群1の電位P12からP11の範囲の大きさを持つ交流信号(固定周波数または直流成分を含む可変周波数の交流信号)である。これを減算手段416aで電位P12を減算し、割り算手段402aで電位差P11−P12で割り算すると、0〜1の規格化された大きさを持つ信号が得られ、減算手段403aではその信号の反転に1を加算しスイッチング期間信号SWT1aを演算する。
電圧指令値V2b*とV2c*とからスイッチング状態S22、S23が与えられる動作も同様である。
一例として、図6に波形を示す。この例では、SWT0a’の繰り返し周期Tに対してサンプリング周期Tsは1/8である。最初の3サンプリング周期では、SWT1a’はSWT0a’以上であり、各サンプリング周期における平均スイッチング状態SSaはSEQaの第1要素に等しく0である。第4サンプリング周期では、サンプリング周期内でSWT0a’とSWT1a’が交差してスイッチング状態が変化するが、SWT0a’及びSWT0a’+ΔとSWT1a’の関係から、SEQaの第1要素と第2要素の中間的な値となる。第5から第8サンプリング周期では、SWT1a’はSWT0a’よりも小さく、平均スイッチング状態SSaは1となる。図6の2段目のグラフに平均スイッチング状態SSaの例を示している。そして、平均スイッチング状態SSaと第1の直流電位群1の電位差P11−P12を乗算手段51aで乗算し、加算手段53aで電位P12を加算すると第1の出力端子T1aに出力される電位をサンプリング周期Tsで平均化した平均電位値V1a’として推定される。その波形例を図6の3段目に示す。
すなわち、平均電位値V1a’の波形は、サンプリング周期毎に第1の電力変換手段2から出力する第1の出力電圧波形の平均値を演算し当該平均値をサンプリング周期毎に連ねた波形となる。
関数手段605aの出力は、SWT21a’がSWT22a以上の場合1、SWT21a’がSWT22aよりも小さい場合は0となる。関数手段606aは、SWT21a’の符号を反転した信号がSWT22a以上のときは1、それより小さいときは0を出力する。これにより、SWT21a’の正側では関数手段605aが1または0で関数手段606aは0、負側では逆に関数手段605aが0で関数手段606aが1または0となる。関数手段605a、606aの出力は、それぞれスイッチング状態S31aとS32aとなり、第2の電力変換手段32aのスイッチング状態となる。
電圧指令値V2b*、V2c*と平均電圧値V1b’、V1c’とからS31b、S32b及びS31c、S32cが出力される動作も同様である。
第2の電力変換手段群3の電圧指令値は、図7の2段目の電圧指令値V2a*とパルス状電圧との差分となり、3段目の波形に相当する。第2の電力変換手段32aのPWMのためのキャリア信号と電圧指令値(V2a*−V1a)により4段目のパルスが生成される。この4段目のパルスは、スイッチング期間での平均値を4段目に実線示しているが、破線が電圧指令値(V2a*−V1a)であり差が生じている。PWMによる電圧はスイッチング周期間の平均電圧として発生するため、本実施例に示すように平均電位をV2a*と一致するように動作すると指令値に対する偏差を小さくすることができる。
第1の電力変換手段2が端子T1a、T1b、T1cに出力する電圧の基本波成分は、負荷が必要とする基本波成分にほぼ一致しており、主たるエネルギーは第1の直流電位群1から負荷へ供給される。従って、第2の直流電位群31a、31b、31cが必要とするエネルギーは最小限にとどめることができる。
例えば、第1の直流電位群1の電位差に対して、第2の直流電位群の電位差を小さくし、第1の電力変換手段2は電圧が高く少ないスイッチング頻度に適した電力変換手段、第2の電力変換手段群3は電圧が低く多いスイッチング頻度に適した電力変換手段を選択するというように最適なシステム構成を得ることができる。また、第2の電力変換手段群3が第1の電力変換手段2の電圧を補正するように動作することから、T>Tsの関係で動作するのがより好ましく、出力端子T2a、T2b、T2cの電位を電圧指令値V2a*、V2b*、V2c*に精度良く制御することができる。
また、基準信号SWT20aの周期はかならずしもサンプリング周期Tsである必要はなく、違う周期でも動作し同様の効果がある。
また、第1の電力変換手段2が第1の直流電位群1の電位を出力端子T1a、T1b、T1cへ出力する方法は、スイッチング状態S21、S22、S23により制御することができればよく、例えば、トランジスタ、サイリスタ、ダイオードといった電力半導体を使って構成することができる。
さらに、本実施例では3相の例を示したが、その構成図から明らかなように各相に同じ制御手段が構成されていることから、3相に限定された発明ではなく3相以外でも容易に構成することができる。
図8は、本発明の実施の形態2による電力変換装置を説明するための構成図である。なお、この実施の形態2は、公知である、いわゆる瞬時空間電圧ベクトルの理論を適用した制御を適用する。従って、ここでは、上記理論に係る細部の内容で公知の部分は、適宜説明を割愛するものとする。
多相交流信号と直交二相との関係は、例えば、複素数表現では下式となる。
V2y*=Kc(√3)(V2b*−V2c*)/2
電圧指令値ベクトル(V2x*、V2y*)は、位相演算手段410で位相を演算し、位相区間演算手段412と区間位相演算手段411とを介してスイッチング期間演算手段413に入力される。スイッチング期間演算手段413は、スイッチング期間信号SWT1a、SWT1b、SWT1cを演算し、サンプルホールド手段407a、407b、407cを介して減算手段404a、404b、404cに入力される。
そして、除算手段508で正規化して所定期間の平均ベクトル(SSx’、SSy’)を演算し、第1の直流電位群1の電位差P11−P12にゲイン510を乗じた信号と乗算手段51で乗算し平均電位ベクトル(V1x’、V1y’)を出力する。
位相演算手段609の出力は、位相区間演算手段614と区間位相演算手段613とを介してスイッチング期間演算手段615に入力される。スイッチング期間演算手段615は、スイッチング期間信号SWT21a、SWT21b、SWT21c、SWT21d、SWT21e、SWT21fを演算し、サンプルホールド手段607a、607b、607c、607d、607d、607fを介して(図中、SWT21a’、SWT21b’、SWT21c’、SWT21d’、SWT21e’、SWT21f’と示す信号)、減算手段604a、604b、604c、604d、604e、604fに入力される。
V2x*とV2y*は、直交する交流信号であり、例えば、下式のように与えることが出来る。
V2y*=V*sin(θ*)
位相演算手段410では、V2y*/V2x*の逆正接を演算し、その出力は0〜2πの範囲の位相θ*となる。第1の直流電位群1の2つの電位差P11−P12に対して、第1の電力変換手段2のスイッチS21、S22、S23の状態に応じて、第1の出力端子T1a、T1b、T1cには8個の電圧ベクトルv0、v1、v2、v3、v4、v5、v6、v7が出力される。
第1の出力端子T1a、T1b、T1cの電位をP1a、P1b、P1cとして、(2P1a−P1b−P1c)/√3を横軸、(P1b−P1c)を縦軸とする平面を考えると、スイッチの状態(S21、S22、S23)により図12に示すように8個の点が描画される。各電圧ベクトルのスイッチ状態は、v0:(0,0,0)、v1:(1,0,0)、v2:(0,1,0)、v3:(1,1,0)、v4:(0,0,1)、v5:(1,0,1)、v6:(0,1,1)、v7:(1,1,1)であり、v0とv7は平面上では同一の点(原点)となる。この平面上で、電圧指令値ベクトルは、V2x*を横軸、V2y*を縦軸とする値となり、交流信号の振幅が一定のときは平面上の軌跡が円となる。
スイッチング期間信号SWT1a’、SWT1b’、SWT1c’と基準信号SWT0とをサンプル手段408によりサンプリング周期Tsでサンプリングした信号SWT0’は電圧推定手段5Aへ出力する(図中、SWT’として示した信号)。
SWT1a’−SWT0’がΔ以上の場合、Ts期間内では電圧ベクトルの変化は発生せず、SEQの第1番目の電圧ベクトルが出力される。SWT1a’−SWT0’が0以下の場合は、Ts期間でSEQの第1番目の電圧ベクトルが出力されないことを意味している。SWT1a’−SWT0’が0よりも大きくΔよりも小さい場合は、Ts期間の一部でSEQの第1番目の電圧ベクトルを出力し、残りの期間で他の電圧ベクトルを出力する。さらに、スイッチング期間信号SWT1b’は、減算手段501bとリミット手段503bとにより演算されて、SWT1b’−SWT0’がΔよりも大きい場合は、残りの期間が第2番目の電圧ベクトルを出力し、減算手段501dによりその期間が演算される。同様にして、第3番目、第4番目の電圧ベクトルを出力する期間を減算手段501e及び501fが出力する。
V2xy、V3xy、V4xyも同様にベクトル変換手段509b、509c、509dにより第2,3,4番目の電圧ベクトルの座標となる。そして、第1番目の電圧ベクトルの期間に相当するリミット手段503aの出力とV1xy、第2番目の電圧ベクトルの期間に相当する減算手段501dの出力とV2xy、第3番目の電圧ベクトルの期間に相当する減算手段501eの出力とV3xy、そして第4番目の電圧ベクトルの期間に相当する減算手段501fの出力とV4xyをそれぞれ乗算手段505a、505b、505c、505dで乗算して加算手段507で加算した後、除算手段508でΔで除算するとTs期間の平均電圧値ベクトルの座標値(SSx’、SSy’)が得られる。
さらに、乗算手段51でK(P11−P12)と乗算して、Ts期間の平均電圧値ベクトル(V1x’、V1y’)が演算される。ゲイン510の値は、ゲイン415と同じ値である。
次の制御周期では、TV2xy’=0.05、TV3xy’=0.2、その次はTV3xy’=0.25、そして4番目の制御周期ではTV3xy’=0.15、TV4xy’=0.1となる。これにより、平均電圧値ベクトルの座標値は、図14に示すような値が演算される。そして、平均電位値ベクトル(V1x’、V1y’)を得るが、その一例を図15に示す。
電圧指令値ベクトル(V2x*、V2y*)から図14のような処理を経て、図15の(V1x’、V1y’)が演算される。そして、これらの差を第2の電位選択手段6Aに入力して第2の電力変換手段群3で指令値に応じた電圧が出力されて第2の出力端子T2a、T2b、T2cには電圧指令値ベクトルに一致した電圧が出力される。
第1の出力端子T1a、T1b、T1cと第2の出力端子T2a、T2b、T2cとの電位差をV12a、V12b、V12cとして、(2V12a−V12b−V12c)/√3を横軸、(V12b−V12c)を縦軸とする平面を考えると、直流電位差P31a−P32a、P31b−P32b、P31c−P32cが等しい場合、64個の電圧ベクトルは平面上で同一の点が複数存在して19個の点となる。電圧指令値ベクトル(V2x*、V2y*)と平均電位値ベクトル(V1x’、V1y’)との差ベクトルから振幅演算手段608、位相演算手段609、ゲイン610、除算手段612、区間位相演算手段613、位相区間演算手段614により振幅V21k、位相V21th及び区間Nth21を得る動作は、電位選択手段4Aの振幅V2k、V2th、Nth2を得る動作と同様である。
第2の電力変換手段群3には、3つの独立した電位群P31aとP32a、P31bとP32b及びP31cとP32bを持つ。このため、加算手段611で電位群の電位差を加算してゲイン610をK=(1/3)・(1/2)とすればV2thがπ/6で、V21kが最大1.0となる。
例えば、位相区間Nth21が0で領域が0のときのスイッチングパターンSEQ2は(x0、x1、x3、x7、x3、x1、x0)、領域1は(x48、x49、x51、x55、x51、x49、x48)、領域2は(x32、x33、x37、x39、x37、x33、x32)、領域3は(x32、x33、x35、x39、x35、x33、x32)であり、それぞれの領域は平面上で3つの点で囲まれている。そして、これら3つの点による時間平均が電圧指令値ベクトル(V12x*,V12y*)になるように、それぞれの点が継続する時間配分を決定する。それぞれの点は、複数の電圧ベクトルまたは同じ電圧ベクトルを複数回使っており、それぞれの点の時間配分をさらに各電圧ベクトルが継続する期間に配分する。
例えば、位相区間Nth21が0で領域が0のとき、(S31a、S31b、S31c、S32a、S32b、S32c)は(0,0,0,0,0,0)→(1,0,0,0,0,0)→(1,1,0,0,0,0)→(1,1,1,0,0,0)→(1,1,0,0,0,0)→(1,0,0,0,0,0)→(0,0,0,0,0,0)と推移してスイッチング状態が第2の電力変換手段群3へ出力される。
第2の電力変換手段群3では、例えば、S31aが1、S32aが0のときは、出力端子T2aとT1aとの間に電位差P3a1−P3a2を、S31aが0、S32aが1のときは−(P3a1−P3a2)を、それ以外は0を出力する。これにより、第2の出力端子T2a、T2b、T2cと第1の出力端子T1a、T1b、T1cとの間にはTs期間の平均電圧値ベクトルが電圧指令値ベクトル(V12x*,V12y*)となるように動作する。
第1の電力変換手段2の出力できる範囲は、図12の範囲、また第2の電力変換手段群3が出力できる範囲は、図13に示す範囲であり、これらの平面上で制御することにより第1の直流電位群1、第2の直流電位群31a、31b、31cに対して最大限に出力可能な正弦波状の電圧を得ることができる。
第1の電力変換手段2が第1の出力端子T1a、T1b、T1cに出力する電圧の基本波成分は、負荷が必要とする基本波成分にほぼ一致しており、主たるエネルギーは第1の直流電位群1から負荷へ供給される。従って、第2の直流電位群31a、31b、31cが必要とするエネルギーは最小限にとどめることができる。
第1の直流電位群1と第2の直流電位群31a、31b、31cは、2つ以上の電位を持つことが可能であり、その電位数に応じて第1の電位選択手段4A、第2の電位選択手段6Aを構成すれば実現することができる。例えば、第1の直流電位群1の電位が3つの場合、図12に代わってスイッチング状態の数は異なるが図13の平面上と同様の点に電圧ベクトルが存在し、第2の電位選択手段6Aと同様に第1の電位選択手段4Aのスイッチング期間とスイッチングパターンを構成することができる。
図16は、本発明の実施の形態3による電力変換装置の第2の電位選択手段6Bを説明するための構成図である。電位選択手段6B以外は先の実施の形態2による電力変換装置の制御手段と同様であるのでそれらの説明は省略する。
区間位相V21thは、関数手段619に入力され、上限リミット手段618の上限値となる。振幅V21kは上限リミット手段618に入力され、減算手段620により上限リミット618の入力と出力との振幅偏差dV21kを得る。乗算手段622は、減算手段620の出力とゲイン手段610の出力を乗算し、電圧偏差dV21を出力する。乗算手段622の出力と位相演算手段609の出力とを座標変換手段621に入力して電圧偏差の直交座標成分dV21x及びdV21yを求める。
そして、座標変換手段621の出力dV21xとdV21yは1サンプル遅れ手段624a、624bでTs期間遅らせて、加算手段623a、623bでそれぞれ電圧指令値V12x*、V12y*に加算する。
例えば、図17に示すように、電圧指令値(V2x*、V2y*)が点A、第1の電力変換手段2のTs期間の平均電圧値(V1x’、V1y’)が点Bにあるとすると、第2の電力変換手段群3が出力すべき電圧はその差となるが、出力可能な範囲にある。しかし、電圧指令値が点A’にある場合は、第2の電力変換手段群3が出力可能な範囲を逸脱しており、負荷に印加する電位を電圧指令値に一致することができない。
そして、座標変換手段621により電圧偏差dV21を直交座標の値に変換する。すなわち、位相演算手段609の出力θ21と電圧偏差dV21とから下式で表される。
dV21y=dV21sinθ21
そして、2制御周期前の偏差が加算されて1制御周期前の実際の指令値ベクトル(V12x2*、V12y2*)となる。図18(b)は、第2の電力変換手段群3の電圧ベクトルを示しており、1制御周期前の実際の指令値ベクトル(V12x2*、V12y2*)が出力可能範囲を超過して偏差ベクトル(dV21、dV21y)が発生している。その偏差ベクトルを図18(a)では、現在の平均電圧(V1x’、V1y’)に対する指令値ベクトルに加算して、現在の実際の指令値ベクトル(V12x2*、V12y2*)を演算している。
V2x*=Kc(V2a*−V2b*/2−V2c*/2)=Kc((V2a*−V2b*)−(V2c*−V2a*))/2
V2y*=Kc(√3)(V2b*−V2c*)/2
となって出力電圧指令値の線間電圧で動作するため、各相に含まれる同一成分(零相)は制御されない。一方、各相での制御の場合は指令値の与え方に依存しており零相成分が含まれる可能性がある。各相で制御すると、第2の電力変換手段群3が飽和する場合に零相成分による飽和も生じるが、本実施の形態では空間電圧ベクトルでの制御であり多相負荷に有効に寄与する成分だけを補正することができ、第2の電力変換手段群3を有効に利用することができる。
図21は、本発明の実施の形態4による電力変換装置の第2の電位選択手段6Bを説明するための電圧ベクトル図である。本実施の形態の回路の構成は図7と同様である。図21は、第2の直流電位群31a、31b、31cの電位差P3a1−P3a2、P3b1−P3b2及びP3c1−P3c2がそれぞれほぼ同一の電位差のときの第2の電力変換手段群3が出力する電圧ベクトルを示している。本実施例では、図13に示す電圧ベクトル図のうち、第2の電力変換手段群3が第2の出力端子T2a、T2b、T2cと第1の出力端子T1a、T1b、T1cとの間に出力する各相の電位差を加算した値がほぼ零となる組み合わせを選択した電圧ベクトルを示している。
そして、この伝導ノイズは、第1の電力変換手段2及び第2の電力変換手段群3のスイッチング頻度が高いか、スイッチングあたりの電位変化が大きいときに大きくなる。本実施の形態では、第1の電力変換手段2のスイッチング頻度を下げ、第2の電力変換手段群3のスイッチング頻度を高くして負荷へは精度の高い電圧を供給すると共に、スイッチング頻度の高い第2の電力変換手段群3の伝導ノイズに影響する電圧を零とすることができ、伝導ノイズを低減することができる。電圧指令値に対して、三つのベクトルを選択し出力する方法については先の実施の形態2と同様である。
図22は、本発明の実施の形態5による電力変換装置の第2の電位選択手段6Bを説明するための電圧ベクトル図である。本実施の形態の回路の構成は図7と同様である。図22は、第2の直流電位群31a、31b、31cの電位差P3a1−P3a2、P3b1−P3b2及びP3c1−P3c2がそれぞれほぼ同一の電位差のときの第2の電力変換手段群3が出力する電圧ベクトルを示している。本実施例では、図13に示すベクトル図のうち、図21の実施の形態4の電圧ベクトルに加えて、電圧ベクトルx14、x21、x28、x35、x42、x49を選択対象としている。これら6つの電圧ベクトルは、第2の電力変換手段群3が第2の出力端子T2a、T2b、T2cと第1の出力端子T1a、T1b、T1cとの間に出力する各相の電位差を加算した値が零に近い電圧ベクトルである。第2の電力変換手段群3が出力する各相の電位差の加算値に比例した電圧(零相電圧)は、7段階存在する。例えば、図13において、電位が大きい順に一例を示すと、x7>x3>x35>x0>x49>x48>x56である。従って、本実施の形態における第2の電力変換手段群3が出力する零相電圧は零とその次のステップに限られ、伝導ノイズへの影響を最小限にすると共に、出力として選択できる電圧ベクトルを最大限にすることができる。
図23は、本発明の実施の形態6による電力変換装置の第2の電位選択手段6Cを説明するための構成図である。第2の電位選択手段6C以外は実施の形態1による電力変換装置の制御手段と同様であるのでそれらの説明は省略する。電圧指令値V2a*と平均電圧値V1a’との偏差を加算手段623aに入力して偏差信号dV21a2と加算し、第2の電力変換手段群3の電圧指令値に相当するV21a2*を出力する。V21a2*は、サンプルホールド手段607aに入力され、その出力SWT21a’がリミット手段618aと減算手段620aとから偏差信号dV21aを生成し、1サンプル遅れ手段624aでTs期間遅らせる。その他の構成は実施の形態1と同様である。
電圧指令値V2a*と平均電圧値V1a’との差がこの範囲を超えると、第2の電力変換手段32aの出力が飽和して第2の出力端子T2aには所望の電圧を出力することができない。リミット手段618aでは入力SWT21a’を±(P3a1−P3a2)の範囲に制限した信号を出力し、減算手段620aでSWT21a’から減算することにより、第2の電力変換手段32aが出力可能な大きさを超過した分の偏差dV21aが演算される。
そして、1サンプル遅れ手段624aでTs期間遅らせて、V2a*−V1a’に加算し修正される。これにより、一時的にSWT21a’が飽和した分を次回以降の周期で補正するように動作し、平均的には第2の出力端子T2aの電圧が電圧指令値V2a*に一致する。
4,4A 第1の電位選択手段、5,5A 電圧推定手段、
6,6A,6B,6C 第2の電位選択手段、31a〜31c 第2の直流電位群、
32a〜32c 第2の電力変換手段。
Claims (7)
- 第1の直流電源、スイッチング素子のオンオフ動作により交流信号である電圧指令値に追従するように前記第1の直流電源に基づき第1の出力電圧を出力する第1の電力変換手段、所定のサンプリング周期毎に前記第1の電力変換手段から出力する前記第1の出力電圧波形の平均値を演算し当該平均値を前記サンプリング周期毎に連ねた波形の平均電圧値を推定して出力する電圧推定手段、第2の直流電源、およびスイッチング素子のオンオフ動作により前記電圧指令値と前記平均電圧値との偏差に追従するように前記第2の直流電源に基づき第2の出力電圧を出力する第2の電力変換手段を備え、
前記第1の出力電圧に前記第2の出力電圧を重畳した電圧を、前記電圧指令値に応答する電圧として出力する電力変換装置。 - 前記第1の電力変換手段は、所定の繰り返し周期毎にパルス幅変調制御で前記第1の出力電圧を出力することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
- 前記第2の電力変換手段は、前記サンプリング周期と同一の周期毎にパルス幅変調制御で前記第2の出力電圧を出力することを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
- 前記第1の直流電源の電圧を前記第2の直流電源の電圧より大きくし、前記繰り返し周期を前記サンプリング周期より長くしたことを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
- 前記第2の電力変換手段は、前記電圧指令値と前記平均電圧値との偏差が、当該第2の電力変換手段の出力電圧上限値に対応して設定された上限設定値を越えたとき前記偏差を前記上限設定値までに減算して出力するリミット手段を備え、前記減算分を次サンプリング周期における前記偏差入力に加算するようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 前記電圧指令値は、電圧ベクトルで設定され、前記第1の電圧変換手段および前記第2の電力変換手段は、前記電圧ベクトルで設定された電圧指令値に基づき前記スイッチング素子のスイッチング状態に応じて予め設定される複数の電圧ベクトルの中から制御対象の電圧ベクトルを選択する電圧ベクトル選択手段を備え、三相電圧を出力することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 前記第2の電力変換手段の電圧ベクトル選択手段は、前記複数の電圧ベクトルの内、各相の前記第2の出力電圧を加算した値が零または零の次に大きい電圧ベクトルの中から制御対象の電圧ベクトルを選択するようにしたことを特徴とする請求項6記載の電力変換装置。
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