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JP4978577B2 - 発光素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、AlGaInPからなる4元発光層及び電流拡散層を有する発光素子及びその製造方法に関する。
従来、GaAs単結晶基板上に、発光層部と電流拡散層とを形成した発光素子が知られている。
例えば、GaAs単結晶基板上に、AlGaInPの4元からなる発光層部とGaPからなる電流拡散層(窓層とも言う)を形成した発光素子が知られている。このGaP電流拡散層は、発光層部側を有機金属気相成長法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy法、以下単にMOVPE法という場合もある)により比較的薄く第一電流拡散層を形成した後に、ハイドライド気相成長法(Hydride Vapor Phase Epitaxy法、以下単にHVPE法という場合もある)により比較的厚く第二電流拡散層を形成する方法が、例えば特許文献1等に開示されている。
この電流拡散層は例えば、全体として200μm程度の厚さにまで成長されることがある。
しかし、このように作製された発光素子の電流拡散層は、形成される際に不純物汚染が発生し、それにより発光素子の順方向電圧(Vf)が増大して消費電力が大きくなってしまう問題があった。
米国特許第5,008,718号公報
HVPE成長装置において、溶融III族金属を収容した坩堝や、成長容器あるいはウエーハを支持するサセプタなどの石英製構造物からのコンタミにより、第一電流拡散層と第二電流拡散層との界面が珪素(Si)や酸素(O)等の不純物により汚染されやすいために、上記のような問題が生じていた。
このため、Siは電流拡散層がp型のときn型ドーパントとして働き、第一電流拡散層と第二電流拡散層の界面に反転n型層が形成されてしまい、得られる発光素子の駆動時の順方向電圧(Vf)が増大するという不具合につながる。同様に、界面の酸素濃度が高くなることで抵抗率が上昇し、順方向電圧(Vf)が増大して消費電力が大きくなっていた。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、p型第二電流拡散層のp型第一電流拡散層との界面近傍における汚染の少ない、順方向電圧が良好な発光素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも、GaAs基板上にAlGaInPからなる4元発光層をエピタキシャル成長させる工程と、該成長させた4元発光層上にp型第一電流拡散層を有機金属気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程と、該成長させたp型第一電流拡散層上にp型第二電流拡散層をハイドライド気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程とを有する発光素子の製造方法であって、少なくとも、前記p型第一電流拡散層を有機金属気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程の後、前記p型第二電流拡散層をハイドライド気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程の前に、HVPE炉内に水素を線速12(m/min)以上で流しながら前記基板を熱処理する工程を有することを特徴とする発光素子の製造方法を提供する(請求項1)。
特に、エピタキシャル成長開始前のHVPE炉内に基板を投入してから成長温度まで昇温する過程には、成長容器あるいは基板を支持するサセプタなどの石英製構造物からの珪素(Si)や酸素(O)によって炉内での不純物の濃度が高くなってしまうが、本発明のように、p型第二電流拡散層をハイドライド気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程の前に、HVPE炉内に水素を線速12(m/min)以上流しながら熱処理する工程を有することで、p型第二電流拡散層成長前に炉内の上記のような不純物を希釈、排気することができる。これにより、炉内の不純物濃度が非常に低い状態からp型第二電流拡散層の成長を開始することができるため、p型第一電流拡散層との界面近傍に取り込まれる酸素やSiの量を極めて低く抑えることができる。
このように製造された発光素子であれば、設計値に比べて順方向電圧(Vf)が大きくなるといった不具合がほとんど生じないため、消費電力の増大を防ぐことができる。
このとき、前記HVPE炉内に水素を線速12(m/min)以上で流すことを、前記p型第二電流拡散層をハイドライド気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程において前記p型第二電流拡散層が2μmに成長するまで継続することが好ましい(請求項2)。
このように、p型第二電流拡散層が成長開始してから2μm成長するまで、本発明の熱処理工程から続けて水素を上記の線速で流すことにより、界面から成長初期のp型第二電流拡散層におけるSiや酸素等の不純物汚染が低減されるため、発光素子の順方向電圧(Vf)の増大を、より効果的に低減することができる。
このとき、前記熱処理する工程を、前記p型第二電流拡散層をハイドライド気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程のための成長温度まで昇温する際に行うことが好ましい(請求項3)。
このように、特に不純物汚染が発生しやすい成長温度まで昇温する過程中に、本発明の熱処理工程を行うことで、p型第二電流拡散層の界面や成長初期段階の汚染をより効果的に低減することができ、さらには成長温度に昇温後、すぐにエピタキシャル成長させることができるので効率的である。
また、本発明は、少なくとも、GaAs基板上にAlGaInPからなる4元発光層と、該4元発光層上に形成されたp型第一電流拡散層とp型第二電流拡散層を有する発光素子において、前記p型第一電流拡散層との界面から2μmまでの前記p型第二電流拡散層のSi濃度が1×1016〜4×1018個/cm、及び/又は、酸素濃度が1×1016〜1×1018個/cmであることを特徴とする発光素子を提供する(請求項4)。
このように、p型第一電流拡散層との界面から2μmまでのp型第二電流拡散層のSi濃度、酸素濃度が上記の範囲の発光素子であれば、電流拡散層がp型の時にn型ドーパントとして働くSiや、抵抗率を上昇させる酸素の濃度が低いため、順方向電圧(Vf)が設計値に比べて高くなる不具合が防止されて、消費電力の増大が低減された発光素子となる。
このとき、前記Si濃度が1×1016〜2×1018個/cm、及び/又は、前記酸素濃度が1×1016〜5×1017個/cmであることが好ましい(請求項5)。
このように、Si濃度、酸素濃度が上記の範囲であれば、さらに消費電力の増大が低減された発光素子となる。
以上のように、特にHVPE炉内に基板を投入してから成長温度まで昇温してエピタキシャル成長開始までの過程では、成長容器あるいは基板を支持するサセプタなどの石英製構造物からのSiや酸素等の、炉内での不純物濃度が比較的高くなってしまうが、本発明の発光素子の製造方法によれば、p型第二電流拡散層をハイドライド気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程の前に、HVPE炉内に水素を線速12(m/min)以上流しながら熱処理する工程を有することで、p型第二電流拡散層成長前の炉内における珪素(Si)や酸素(O)のような不純物を希釈、排気することができる。これにより、炉内の不純物濃度が非常に低い状態からp型第二電流拡散層の成長を開始することができるため、p型第一電流拡散層との界面近傍に取り込まれる酸素やSiの量を極めて低く抑えることができる。
このように製造された発光素子であれば、p型第一電流拡散層との界面から例えば2μmまでのp型第二電流拡散層のSi濃度、酸素濃度が非常に低減された発光素子とすることができるため、順方向電圧(Vf)が設計値に比べて高くなるといった不具合がほとんど発生せず、消費電力の増大を防ぐことができる。
以下、本発明の発光素子及びその製造方法について、実施態様の一例として、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図2は、本発明の発光素子の実施態様の一例を示す概略図である。
まず、図2に示すように、本発明の発光素子は、n型GaAs単結晶基板(以下、単に基板という)の第一主表面上に発光層部が形成されている。
詳しくは、基板の第一主表面と接するようにn型GaAsバッファ層が形成され、そのバッファ層上にAlGaInPからなる4元発光層部が形成される。そして、その発光層部の上にMOVPE法により例えばp型GaPからなる第一電流拡散層が形成され、更にHVPE法によりp型GaPからなる第二電流拡散層が形成されている。そして、その電流拡散層の上に、発光層部に発光駆動電圧を印加するための第一電極が形成されている。また、基板の第二主表面側には第二電極が全面に形成されている。
第一電極は、第二電流拡散層の第一主表面の略中央に形成され、第一電極の周囲の領域が発光層部からの光取出領域とされている。また、第一電極の中央部に電極ワイヤを接合するためのAu等にて構成されたボンディングパッドが配置されている。
発光層部は、例えばノンドープ(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦0.55、0.45≦y≦0.55)混晶からなる活性層を、p型(AlGa1−zIn1−yP(ただしx<z≦1)からなるp型クラッド層と、n型(AlGa1−zIn1−yP(ただしx<z≦1)からなるn型クラッド層とにより挟んだ構造を有する。図2の発光素子では、第一電極側にp型AlGaInPクラッド層が配置されており、第二電極側にn型AlGaInPクラッド層が配置されている。従って、通電極性は第一電極側が正である。
なお、ここでいう「ノンドープ」とは、「ドーパントの積極添加を行なわない」との意味であり、通常の製造工程上、不可避的に混入するドーパント成分の含有(例えば1013〜1016/cm程度を上限とする)をも排除するものではない。
ここで、本発明の発光素子のp型第二電流拡散層は、p型第一電流拡散層との界面から2μmまでのSi濃度が1×1016〜4×1018個/cmであり、好ましくは1×1016〜2×1018個/cmの範囲にある。
また、本発明の発光素子のp型第二電流拡散層は、p型第一電流拡散層との界面から2μmまでの酸素濃度が1×1016〜1×1018個/cmであり、好ましくは1×1016〜5×1017個/cmの範囲にある。
このように本発明の発光素子では、例えばp型GaPからなるp型第二電流拡散層は、その界面から2μmまでのSi濃度、酸素濃度が低く抑えられているため、発光素子の順方向電圧(Vf)が設計値に比べて高くなってしまうといった不具合が生じることがなく、消費電力の増大を抑制することができる。
次に、本発明の発光素子の製造方法の一例について図1、3を参照して、以下説明する。
まず、図1の工程(a)に示すように、成長用単結晶基板としてのn型GaAs単結晶基板を準備して洗浄した後、MOVPE炉に入れて、n型GaAs単結晶基板上に、n型GaAsバッファ層を、例えば0.5μmエピタキシャル成長させる。
次いで、工程(b)に示すように、n型GaAsバッファ層上に発光層部として各々AlGa1−xInPよりなる、例えば厚さ0.8〜4μmのn型クラッド層、厚さ0.4〜2μmの活性層及び厚さ0.8〜4μmのp型クラッド層を、この順序にてエピタキシャル成長させる。尚、発光層部は、p型AlGaInPクラッド層側の表面が第一主表面である。
上記各層のエピタキシャル成長は、公知のMOVPE法により行なわれる。この各層のエピタキシャル層を形成するための製造条件は、求めるエピタキシャル層の厚さや、組成比によって適宜選択することができる。Al、Ga、In(インジウム)、P(リン)の各成分源となる原料ガスとしては以下のようなものを使用できる。
Al源ガス;トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)など。
Ga源ガス;トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)など。
In源ガス;トリメチルインジウム(TMIn)、トリエチルインジウム(TEIn)など。
P源ガス:トリメチルリン(TMP)、トリエチルリン(TEP)、ホスフィン(PH)など。
また、ドーパントガスとしては、以下のようなものを使用できる;
(p型ドーパント)
Mg源:ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)など。
Zn源:ジメチル亜鉛(DMZn)、ジエチル亜鉛(DEZn)など。
(n型ドーパント)
Si源:モノシランなどのシリコン水素化物など。
次に、図1の工程(c)に示すように、p型AlGaInPクラッド層上に、例えばp型GaPからなるp型第一電流拡散層を有機金属気相成長法によりヘテロエピタキシャル成長させて、MOエピタキシャルウエーハを得る。
次に、本発明の発光素子の製造方法では、図1の工程(d)に示すように、HVPE炉内に水素を線速12(m/min)以上で流しながら基板を熱処理する工程を行う。
特に、HVPE炉内に基板を投入してから成長温度まで昇温し、エピタキシャル成長開始までの過程では、成長容器あるいは基板を支持するサセプタなどの石英製構造物からの珪素(Si)や酸素(O)等の炉内での不純物濃度が高くなっているが、本発明の熱処理工程により、p型第二電流拡散層をHVPE法によりエピタキシャル成長させる工程の前に、HVPE炉内に水素を線速12(m/min)以上流しながら熱処理することで、p型第二電流拡散層成長前の炉内において上記のような不純物を希釈、排気することができる。これにより、炉内の不純物濃度が非常に低い状態から後工程のp型第二電流拡散層の成長を開始することができるため、p型第一電流拡散層との界面近傍に取り込まれる酸素やSiの量を極めて低く抑えることができる。
ここで、図3は、本発明の製造方法に用いることができるHVPE炉の一例を示す模式図であり、このHVPE炉は、Ga融液13を収容する坩堝12が配置される第一室と、中間エピタキシャルウエーハWを保持する例えば石英製またはカーボン製のサセプタ11が収容される第二室とから成る成長容器15を有する。第一室と第二室は、坩堝12とともに石英にて構成され、それぞれ個別のヒータ10により昇温されるようになっている。
エピタキシャル成長させる際には、第一室と第二室の内部は、HVPE反応が十分に進むよう、適正な成長温度に昇温され、成長容器15内にはガス導入口14より例えば塩化水素ガスと、キャリアガスと、P源ガスと、ドーパントガスが導入される。本発明の熱処理工程では、このガス導入口14から水素を上記の線速で流しながら行う。
また、本発明の、「水素を線速12(m/min)以上」とは、炉内の成長容器に1分間当り流す水素の流量(m/min)を成長容器の断面積(m)で割った値である。
ここで、熱処理工程の熱処理温度としては、特に限定されず、例えばHVPE法によってエピタキシャル成長が始まる成長温度で、水素を上記の線速で流しながら、原料ガスを炉内へ流入させずに行い、不純物を十分に希釈、排気することもできる。
また、ここで本発明の熱処理工程が行われる、p型第一電流拡散層を有機金属気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程の後、p型第二電流拡散層をHVPE法によりエピタキシャル成長させる工程の前とは、p型第一電流拡散層をエピタキシャル成長させる工程後から、基板をHVPE炉内に投入して炉内温度が成長温度まで上がり、原料ガスを流入させることでp型第二電流拡散層が実際に成長開始するまでのことをいう。
ここで、熱処理する工程を、p型第二電流拡散層をHVPE法によりエピタキシャル成長させる工程のための成長温度まで昇温する際に行うことが好ましい。
このように、昇温の際に、従来は線速6(m/min)程度の水素を炉内へ流しながら行っていたが、成長温度まで昇温する過程の不純物汚染が発生しやすい間に、本発明の熱処理工程により水素を従来の倍以上で流しながら昇温することで、p型第二電流拡散層の界面や初期段階の汚染をより効果的に低減することができ、さらには成長温度で熱処理を行ってから、そのまま不純物濃度が低い状態で後の工程のエピタキシャル成長を行うことができるため、効率的に発光素子の製造を行うことができる。
次に図1の工程(e)に示すように、MOVPE法による成長を行ったエピタキシャルウエーハのp型第一電流拡散層上に、例えば厚いp型GaPからなるp型第二電流拡散層を、HVPE法でエピタキシャル成長させる。HVPE法は、具体的には、容器内にてIII族元素である金属Gaを所定の温度に加熱保持しながら、その金属Ga上に塩化水素を導入することにより、下記(1)式の反応によりGaClを生成させ、キャリアガスであるHガスとともに基板上に供給する。
Ga(液体)+HCl(気体)→GaCl(気体)+1/2H(気体)‥‥(1)
成長温度は例えば640℃以上860℃以下に設定する。
また、V族元素であるPは、PHを、キャリアガスであるHとともに基板上に供給して、下記(2)式の反応によりGaPを生成させる。さらに、p型ドーパントであるZnは、DMZn(ジメチルZn)の形で供給する。
GaCl(気体)+PH(気体)
→GaP(固体)+HCl(気体)+H(気体)‥‥(2)
このとき、本発明の製造方法において、HVPE炉内に水素を線速12(m/min)以上で流すことを、p型第二電流拡散層をHVPE法によりエピタキシャル成長させる工程においてp型第二電流拡散層が2μmに成長するまで継続することが好ましい。
このように、本発明の熱処理工程における、HVPE炉内に水素を線速12(m/min)以上で流すことを、p型第二電流拡散層のエピタキシャル成長開始後にも継続して2μm成長するまで水素を上記線速で流すことで、特に不純物汚染が発生しやすい成長初期において、炉内の酸素やSiの濃度を非常に低くすることができ、界面近傍や層全体の汚染をより低減することができる。
以上の工程が終了すれば、真空蒸着法により第一電極及び第二電極を形成し、更に第一電極上にボンディングパッドを配置して、適当な温度で電極定着用のベーキングを施す。その後、ダイシングによりチップ化し、第二電極をAgペースト等の導電性ペーストを用いて支持体を兼ねた図示しない端子電極に固着する一方、ボンディングパッドと別の端子電極とにまたがる形態でAu製のワイヤをボンディングし、更に樹脂モールドを形成することにより、発光素子が得られる。
このように、本発明の製造方法により製造された発光素子であれば、特に汚染が発生しやすいp型第二電流拡散層のp型第一電流拡散層との界面近傍の不純物汚染が効果的に低減されているため、発光素子の順方向電圧(Vf)が設計値に比べて高くなってしまうといった不具合が生じることがなく、汚染が原因の消費電力の増大を防ぐことができる。
以下、本発明を実施例、比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例、比較例)
図1に示す工程に従い、発光素子を製造するに際し、厚さ280μmのn型GaAs基板上にn型GaAsバッファ層を0.5μm成長させた後、MOVPE法でAlGaInP発光層を6.5μm形成し、更にp型GaPからなる第一電流拡散層を1μm形成する。
以上の工程で製造された複数のエピタキシャルウエーハについて、HVPE炉に移してp型GaPからなる第二電流拡散層を成長させるため常温から所定の成長温度である750℃に昇温する間、水素ガスの線速を従来法の5.5(m/min)から45.7(m/min)の間でそれぞれ線速を変えて、本発明の熱処理工程を行った。
次に、それぞれのエピタキシャルウエーハに厚さ150μmのp型GaPからなる第二電流拡散層を成長させた。なお、n型ドーパントガスとしてはモノシラン、p型ドーパントガスとしてはジメチル亜鉛(DMZn)を使用した。
次に、それぞれのエピタキシャルウエーハに真空蒸着法により第一電極及び第二電極を形成し、更に第一電極上にボンディングパッドを配置して、適当な温度で電極定着用のベーキングを施し、その後、ダイシングによりチップ化して発光素子を得た。
それぞれの条件で製造したウエーハからサンプリングした発光素子について、定電流電源にて20mAの電流を流して順方向電圧(Vf)を測定した後、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)により、第一電流拡散層と第二電流拡散層の界面から第二電流拡散層側2μmの位置までのSi濃度及び酸素濃度を評価した。
結果を図4−7に示す。
図4、5に示すように、水素を線速12(m/min)以上流しながら昇温した場合の発光素子は、Si濃度、酸素濃度がともに低減されていることがわかる。また、図6、7に示すように、界面近傍のSi濃度が4×1018個/cm以下、酸素濃度が1×1018個/cm以下である発光素子は、順方向電圧(Vf)が良好であることがわかる。
なお、濃度の値は、界面から第二電流拡散層2μmの位置までの最大値を表す。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の発光素子の製造方法の工程の一例を示すフロー図である。 本発明の発光素子の一例を示す概略図である。 一般的なHVPE成長装置を示す模式図である。 水素ガス線速とSi濃度の関係を示すグラフである。 水素ガス線速と酸素濃度の関係を示すグラフである。 界面近傍のSi濃度と順方向電圧(Vf)の関係を示すグラフである。 界面近傍の酸素濃度と順方向電圧(Vf)の関係を示すグラフである。
符号の説明
10…ヒータ、 11…サセプタ、 12…坩堝、
13…融液、 14…ガス導入口、15…成長容器、 W…基板。

Claims (3)

  1. 少なくとも、GaAs基板上にAlGaInPからなる4元発光層をエピタキシャル成長させる工程と、該成長させた4元発光層上にp型第一電流拡散層を有機金属気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程と、該成長させたp型第一電流拡散層上にp型第二電流拡散層をハイドライド気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程とを有する発光素子の製造方法であって、
    少なくとも、前記p型第一電流拡散層を有機金属気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程の後、前記p型第二電流拡散層をハイドライド気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程の前に、HVPE炉内に水素を線速12(m/min)以上で流しながら前記基板を熱処理する工程を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
  2. 前記HVPE炉内に水素を線速12(m/min)以上で流すことを、前記p型第二電流拡散層をハイドライド気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程において前記p型第二電流拡散層が2μmに成長するまで継続することを特徴とする請求項1に記載の発光素子の製造方法。
  3. 前記熱処理する工程を、前記p型第二電流拡散層をハイドライド気相成長法によりエピタキシャル成長させる工程のための成長温度まで昇温する際に行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発光素子の製造方法。
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