JP4976012B2 - 音声信号振幅制限器 - Google Patents
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Description
請求項5の発明は、入力信号または出力信号の高い周波数成分を強調するイコライザーを備えたことを特徴とする。
以下、本発明の第1実施形態を、図1に従って具体的に説明する。
図1において、符号1は入力された未処理の音声信号の振幅を制限する振幅制限回路、2はその後段に接続された減算器、3は減算器2からの出力信号中の高周波成分をカットするローパスフィルタ、4はローパスフィルタ3と並列に接続された遅延回路、5はローパスフィルタ3の後段に配置された減算器であって、この減算器5からの出力がスピーカなどに出力される。
このような構成を有する図1の振幅制限器の動作順序を振幅制限器の各部(a) 〜(f) と、これに対応する図8の(a) 〜(f) に示す信号波形図に従って説明すると、次の通りである。
(1)振幅制限回路1の具体的な構成は、一例として図2に示すものであって、この振幅制限回路1により、入力信号(a) が振幅制限された(b) のような信号が出力される。なお、図2の回路構成並びに動作については、後で詳しく説明する。
一方、ローパスフィルタ3の特性が平坦でない周波数域(つまり高域周波数)では、ローパスフィルタ3からの出力信号が現れないため、たとえ図8中央の図の(b) のように入力信号(a) に対して振幅制限回路で振幅制限を行っても、減算器2によって入力信号(a) と振幅制限回路1の出力信号(b) を減算すると、結局は(c) のように振幅制限回路1の効果が失われ、出力信号(f) としては振幅制限の効果があまり出ない。しかし、高い周波数の音声信号の振幅は通常小さい場合が多く、それほど耳につかないので、この振幅制限動作が不完全であっても実用上大きな問題ではない。
次に、第1実施形態における振幅制限回路2の一例を、図3により具体的に説明する。この振幅制限回路1は、入力信号の電圧変化方向が反転する点から同じ方向に一定電圧変化する区間の信号を検出し、この検出された成分信号を出力するものである。なお、第1実施形態において用いる振幅制限回路は、この図3のものに限定されないが、この図3の回路は、小さなダイナミックレンジの回路で比較的大きな振幅の信号を処理できる。
(1)図3の横軸は時間軸である。また、1、1'、1''、1'''と、2、2'、2''、2'''は振幅制限回路が動作し始める動作電圧を示し、1と2はその初期値である。そして、この1と2間の電圧は図2の回路のダイオードD1、ダイオードD2に電流が流れた場合の順方向電圧で決まる。
(5)t4〜t5までオペアンプOP2の出力電位はオペアンプOP1の出力電位と共に動くので、オペアンプOP1の出力電位は図3(a) と同様に変化する。この時波形制限回路が動作し始める電位は1''、2''へシフトする。
(7)更に、t6〜t7までオペアンプOP1の出力電圧は図3(a) と共に変化する。この時波形制限回路が動作し始める電位は1'''、2'''の電圧へシフトする。
(9)オペアンプOP1、コンデンサC3、ダイオードD3、ダイオードD4及びR5によって構成される回路は、特許文献1や特許文献2に使用されている回路と同等であり、図3(c) の波形信号は図3(d) の様な波形に整形される。
図4は、第1実施形態における振幅制限回路1の他の具体例を示すもので、電源電圧の変動に連動して振幅制限値が変化する回路の例である。すなわち、小型機器のオーディオパワーアンプ等で、できるだけ大きな音量を出すためにはパワーアンプが飽和して歪みが多くなる直前の波高値で本発明の波形制限回路が動作するのが望ましい。そのためには電源電圧の変動に連動して振幅制限値が変化される必要がある。図4はその回路(一部ブロック図)例である。
(A)第2実施形態の構成
次に、本発明の第2実施形態を、図5に従って説明する。この第2実施形態は、高い周波数まで良好な振幅制限が行われるために前記第1実施形態におけるローパスフィルタ3と遅延回路4を同じまたは近い周波数特性を持つものとした。また、入力回路または出力回路に高い周波数を強調するイコライザ6を設けたことを特徴とする。
この第2実施形態の作用は、次の通りである。
(1)図5の回路に入力された音声信号は、イコライザ6で高い周波数信号が強調される。これの目的は、後段のローパスフィルタ3と遅延回路4による高域の減衰を前もって補正するためである。
振幅制限回路としては、前記第1実施形態に使用したものと同様なものを用いることができるが、この第2実施形態では、一例として、図6に示す構成のものを使用する。この図6の回路とその作用を図7の波形図により説明する。
(2)図6のINPUTに図7(A)のような信号が入力されると、t1−t2までは出力にも同じ波形の信号が出力される。
(3)しかし、t3−t4ではダイオードD2がONするので出力電圧は変化しない。この時コンデンサC1は電流i1で充電される。
(5)t4ではD1がONしてt4−t5までOUTPUT波形は変化しない。この時コンデンサC1は電流i2で(3)の場合とは逆方向電流で充電される。
(7)図7(B)の信号は図7(A)信号における大振幅信号はひどく失われているが、小さな信号の失われ方は少ない。そのため音声信号がこの回路を通されてもその再生音の了解度はあまり悪くならない。
(A)第3実施形態の構成
図9に示す第3実施形態は、前記図5に示した第2実施形態よりも簡単な回路構成としたものである。この第3実施形態では、図5における振幅制限回路1および減算器2を小変化振幅信号削除回路7によって構成したものである。この小変化振幅信号削除回路7は、入力信号から、入力信号の電圧変化方向が反転する点から同じ方向に一定電圧分変化する区間の信号が削除された信号を出力するものであって、その構成は図10に示すが、回路動作は後述する。
このような構成を有する第3実施形態の作用は次の通りである。
第3実施形態に使用する小変化振幅信号削除回路7について、図10および図11に従って説明する。
前記の振幅制限回路は、音声信号の低域周波数から高域周波数までまとめて振幅制限を行うものである。しかしその方式では大きな低い周波数信号が振幅制限された場合は中域周波数帯の高調波信号も耳につく程度発生する。この歪み感を減少させるには音声帯域を複数に分割して処理するのが効果的である。
(2)イコライザー6の出力信号の一つは、図9の小変化振幅信号削除回路7と同等特性の小変化振幅信号削除回路7aを経てローパスフィルタ3aに入力される。ローパスフィルタ3aのカットオフ周波数は図5や図9のローパスフィルタ3より低い(一例として、1KHz以下とする)。
図13は、本発明の音声信号振幅制限器を組み込んだ防音保護具の一例を示す斜視図であって、この防音保護具は、防音保護具本体10と、その耳当て部に内蔵されたスピーカ11と、耳当て部の外側に取り付けられた回路ブロック12及びマイクロホン13とから構成される。また、その回路ブロックとしては、図14に示すように、マイク13の出力をマイクアンプ14で増幅し、これを本発明の振幅制限器15によって処理した後、パワーアンプ16を介してスピーカ11より出力する構成となっている。
図15は、本発明の音声信号振幅制限器を組み込んだパワーアンプの一例を示すブロック図で、入力信号をプリアンプ17,ボリューム18を介して本発明の振幅制限器19に入力し、パワーアンプ20を介して出力するものである。
図16は、本発明の音声信号振幅制限器を組み込んだ補聴器または助聴器の一例を示すブロック図で、マイク21からマイクアンプ22及び入力用ボリューム18を介して入力した音声信号について振幅制限19を行った後、出力用ボリューム18及びパワーアンプ20を介してイヤホン23から出力することで、聞き取りやすい再生音を得るようにしたものである。
図17は、ハンズフリー回路25を有する電話機に対して、本発明の音声信号振幅制限器を組み込んだ電話機の一例を示すブロック図で、送受話器27と並列に設けられたハンズフリー回路25側のマイクロホン21の入力を振幅制限器19を通すことで、送信音声の明瞭化を可能としたものである。
図18は、本発明の音声信号振幅制限器を組み込んだ拡声器の一例を示すブロック図であって、基本的には、前記図16の補聴器と同様に、入力音声の振幅制限を行うことで、大音量入力を排除して聞き取りにくい小音量音声の拡声を効果的に実施するものである。また、比較的小さなパワーで大きな音量を出せる特徴もある。
図19は、本発明の音声信号振幅制限器を組み込んだテープレコーダの一例を示すブロック図で、前記電話機と同様に、録音側のマイクロホン21からの入力信号に対して振幅制限19を与えたものである。なお、このように振幅制限された音声信号は、録音再生ヘッド29を介して磁気テープに記録され、再生アンプ31等を介してスピーカ28から出力される。この場合、明瞭度の高く聞き易い音質の録音が可能となる。
図20は、本発明の音声信号振幅制限器を組み込んだ望遠マイクの一例を示すブロック図であって、指向性の強いマイクロホン32を使用することで、遠方の音声を収録するものである。この場合、指向性の強いマイクロホン32は、遠い音源の小さな音を収録するため、その感度を高くする必要があるが、その反面、所定の音量以上の音声信号も入力される可能性がある。しかし、本実施例では、振幅制限器19により、大音量の音声信号の入力が制限されるので、遠く離れた小さな音を明瞭に収録することができる。
図21は、本発明の音声信号振幅制限器を組み込んだ音声認識装置の一例を示すブロック図であって、振幅制限を行った音声信号を分析装置33にかけることで、音声認識を行う。認識後のデータは、通信インターフェイス等から出力される。この音声認識装置においては、入力信号に振幅制限を与えることで、認識率を向上させることが可能になる。
本発明の振幅制限器は、振幅制限回路1、減算器2,5、ローパスフィルタ3及び遅延回路4の組み合わせを特徴とするものである。しかし、本発明の振幅制限器に使用する振幅制限回路単独で、前記(1)から(8)の装置に使用することも可能である。また、図22は、図11の小振幅信号削除回路をノイズ消去用として補聴器に使用した場合の構成を示すブロック図である。さらに、図2、図4あるいは図6に示す振幅制限回路を図11の回路の代わりに使用することもできる。
2…減算器
3…ローパスフィルタ
4…遅延回路
5…減算器
10…防音保護具本体
11…スピーカ
12…回路ブロック
13…マイクロホン
14…マイクアンプ
15…本発明の振幅制限回路
16…パワーアンプ
17…プリアンプ
18…アッテネー夕
19…本発明の振幅制限回路
20…パワーアンプ
22…マイクアンプ
21…マイクロホン
23…イヤホン
24…スピーチネットワーク回路
25…ハンズフリー回路
26…ダイヤル回路
27…送受話器
28…スピーカ
29…録音/再生ヘッド
30…録音アンプ
31…再生アンプ
32…鋭指向性マイク
33…分析回路
R1〜R14…抵抗
C1〜C4…コンデンサ
D1〜D4…ダイオード
Q1、Q2…トランジスタ
OP1〜OP4…オペアンプ
OUTPUT…出力回路
INPUT…入力回路
GND…接地回路
+Vcc…プラス電源回路
−Vcc…マイナス電源回路
Claims (5)
- 入力された音声信号の振幅を制限する振幅制限回路と、この振幅制限回路の出力側に設けられた減算器と、減算器からの出力信号中の高周波成分をカットするローパスフィルタと、ローパスフィルタと並列に接続された遅延回路と、ローパスフィルタ3の後段に配置され処理済みの音声信号を出力する減算器とを備え、
前記減算器は、振幅制限回路に入力されたものと同様な音声信号を入力して、その音声信号から振幅制限回路の出力信号を減算する処理を行うものであり、
前記遅延回路は、振幅制限回路に入力されたものと同様な音声信号を入力して、この入力信号に前記ローパスフィルタからの出力信号と同期させるための遅延処理を行うものであり、
前記後段の減算器は、前記遅延回路からの出力信号を入力し、この遅延回路からの入力信号から前記ローパスフィルタからの出力を減算して出力するものであることを特徴とする音声信号振幅制限器。 - 前記振幅制限回路と、この振幅制限回路に入力されたものと同様な音声信号を入力して、その音声信号から振幅制限回路の出力信号を減算する処理を行う減算器とを小変化振幅信号削除回路によって構成したことを特徴とする請求項1に記載の音声信号振幅制限器。
- 入力する音声信号を複数帯域に分割し、各帯域ごとに、前記振幅制限回路、減算器、ローパスフィルタ、遅延回路およびその後段の減算器とを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声信号振幅制限器。
- 前記ローパスフィルタと遅延回路の周波数特性を同一または近似したものとしたことを特徴とする請求項1に記載の音声信号振幅制限器。
- 入力信号または出力信号の高い周波数成分を強調するイコライザーを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声信号振幅制限器。
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