JP4973892B2 - キャパシタ - Google Patents
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Description
現在、量産可能な三次元構造集電体としては、発砲状ニッケルがあり、アルカリ電解質二次電池用の集電体として普及している。しかし、高電圧・高容量化を目的として非水電解質を用いる電気二重層キャパシタでは、ニッケルは非水電解液による酸化を受けやすく、電解液中に溶解してしまい、長期の充放電で充分な充電ができなくなる。
(3)上記(1)または(2)に記載のキャパシタであって、前記負極用金属多孔体が、発泡状ウレタンにニッケルを被覆した後にウレタンを焼失させて得た多孔度が80〜97%、ニッケル目付が150〜500g/m2の発泡状ニッケルであることを特徴とする。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一に記載のキャパシタであって、負極容量が正極容量よりも大きく、負極のリチウムイオンの吸蔵量が、正極容量と負極容量の差の90%以下であることを特徴とする。
したがって、本発明に係るキャパシタは、負極容量が正極容量よりも大きく、該負極容量と正極容量の差の90%まで、リチウムイオンを負極に吸蔵させておくことを特徴とする。放電時におけるリチウムイオンの吸蔵量を、負極容量と正極容量の差の90%以下としておくことにより、充電時の負極面内におけるリチウムイオン吸蔵量のばらつきの程度を吸収することができる。
本発明に係るキャパシタは、正極、負極の電極2枚を一対とし、これらの電極間にセパレーターを配置し、電解液を含浸することにより作製することができる。セパレーターとしては、公知又は市販のものを使用できる。例えば、ポリオレフィン、ポリエチレンレテフタラート、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ガラス繊維等からなる絶縁性膜が好ましい。セパレーターの平均孔径は特に限定されず、通常0.01μm〜5μm程度であり、平均厚さは通常10μm〜100μm程度である。
以下、各構成についてより詳しく説明する。
本発明に係るキャパシタに用いる正極は、正極集電体(金属多孔体)に活性炭を主体とした正極活物質を充填することにより作製できる。
集電体に正極活物質を充填する場合の充填量(含有量)は特に制限されず、集電体の厚み、キャパシタの形状等に応じて適宜決定すればよいが、例えば、充填量は、13〜40mg/cm2程度、好ましくは16〜32mg/cm2程度とすればよい。
正極活物質を充填する方法としては、例えば、活性炭等をペースト状にし、該活性炭正極ペーストを圧入法などの公知の方法などを使用すればよい。他には、例えば、活性炭正極ペースト中に集電体を浸漬し、必要に応じて減圧する方法、活性炭正極ペーストを集電体の一方面からポンプ等で加圧しながら充填する方法等が挙げられる。
また、電極には、リード端子が具備されていてもよい。リード端子は、溶接を行ったり、接着剤を塗布したりすることにより、取り付ければよい。
活性炭正極ペーストは、例えば、活性炭粉末を溶媒に混合機で攪拌することにより得られる。活性炭ペーストは、活性炭及び溶媒を含有していればよく、その配合割合は限定的ではない。溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、水等が挙げられる。特に、バインダとしてポリフッ化ビニリデンを用いる場合は、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いればよく、バインダとしてポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等を用いる場合は、溶媒として水を用いればよい。また、必要に応じて導電性助剤、バインダ等の添加剤を含んでいてもよい。
活性炭は電気二重層キャパシタ用に一般的に市販されているものを使用することができる。活性炭の原料としては、例えば、木材、ヤシ殻、パルプ廃液、石炭、石油重質油、又はそれらを熱分解した石炭・石油系ピッチのほか、フェノール樹脂などの樹脂などが挙げられる。炭化後に賦活するのが一般的であり、賦活法は、ガス賦活法及び薬品賦活法が挙げられる。ガス賦活法は、高温下で水蒸気、炭酸ガス、酸素等と接触反応させることにより活性炭を得る方法である。薬品賦活法は、上記原料に公知の賦活薬品を含浸させ、不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、賦活薬品の脱水及び酸化反応を生じさせて活性炭を得る方法である。賦活薬品としては、例えば、塩化亜鉛、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
活性炭の粒径は限定的でないが、20μm以下であることが好ましい。比表面積も限定的でなく、800〜3000m2/g程度が好ましい。この範囲とすることにより、キャパシタの静電容量を大きくすることができ、また、内部抵抗を小さくすることできる。
導電助剤の種類には特に制限はなく、公知又は市販のものが使用できる。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、天然黒鉛(鱗片状黒鉛、土状黒鉛等)、人造黒鉛、酸化ルテニウム等が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維等が好ましい。さらには、アセチレンブラックあるいはケッチェンブラックと、炭素繊維を混合することが好ましく、混合比は炭素繊維が導電助剤全体の20重量%以下となることが好ましい。これにより、キャパシタの導電性を向上させることができる。導電助剤の含有量は限定的でないが、活性炭100質量部に対して0.1〜10質量部程度が好ましい。0.1重量部以下では導電性を向上させる効果が小さく、10質量部を超えると静電容量が低下するおそれがある。
バインダの種類には特に制限はなく、公知又は市販のものが使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルクロリド、ポリオレフィン、スチレンブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。使用する溶媒にあわせて選択すればよいが、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いる場合はポリフッ化ビニリデンが、水を用いる場合はポリテトラフルオロエチレンとカルボキシメチルセルロースを混合した物が好ましい。これらの組み合わせでは、キャパシタの内部抵抗を低く抑えることができ、大きな静電容量を得ることができる。
バインダの含有量は、活性炭100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましい。バインダが0.5重量部より少ないと活性炭を集電体に保持できず、容量や寿命が小さくなる。また、バインダが10重量部より多いと活性炭の働きが阻害されるため、容量が小さくなる。より好ましくは1〜5重量部である。
前記正極集電体は、金属多孔体をクロマイジング処理することにより得られる。ニッケルの金属多孔体は耐食性が不十分であるが、クロム合金化することにより耐食性を向上させることができる。
(金属多孔体)
金属多孔体としては、前記活物質の充填性や多孔度の観点から、発泡状ニッケル、不織布状ニッケル等、発泡ウレタンや不織布を基材としたものを好ましく用いることができる。他にも、金属板に多数の小孔をあけたものや、金属板に凹凸を受けて擬似的に3次元構造としたもの、焼結体や連通気孔の構造体などが用いられる。
発泡状ニッケルは、発泡状樹脂の表面にニッケル被覆層を形成したのち、基材である樹脂を除去し、次いで必要に応じて還元性雰囲気中で加熱処理してニッケルを還元することにより得られる。
発泡状樹脂の多孔度は、通常80〜97%程度、好ましくは90〜96%程度である。平均孔径は、通常20μm〜200μm程度、好ましくは30μm〜100μm程度である。発泡状樹脂の厚みは、キャパシタの用途等に応じて適宜決定されるが、通常300μm〜1600μm程度、好ましくは400μm〜1200μm程度とすればよい。
導電被覆層の目付量は限定的でなく、通常5〜15g/m2程度、好ましくは7〜10g/m2程度とすればよい。電解ニッケルめっき層の目付量は限定的でなく、通常150〜500g/m2程度、好ましくは200〜450g/m2程度とすればよい。
これら導電被覆層、電解ニッケルめっき層の目付量の合計量としては、好ましくは200g/m2以上500g/m2以下である。合計量がこの範囲を下回ると、集電体の強度が衰えるおそれがある。また、合計量がこの範囲を上回ると、分極性材料の充填量が減少し、またコスト的にも不利となる。
不織布状ニッケルは、樹脂不織布の表面にニッケル被覆層を形成したのち、基材である樹脂を除去し、次いで必要に応じて還元性雰囲気中で加熱処理してニッケルを還元することにより得られる。
本発明で用いる多孔質不織布は、公知又は市販のものを使用することができるが、熱可塑性樹脂であることが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィン単独重合体からなる繊維、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のオレフィン共重合体からなる織碓、これら繊維の混合物が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂繊維を構成するポリオレフィン系樹脂の分子量及び密度は特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂の種類等に応じて適宜決定すればよい。また、融点の異なる2種の成分からなる芯鞘型繊維を用いても良い。
また、不織布の孔径は、通常10μm〜250μm程度、好ましくは15μm〜200μm程度である。なお、孔径はバブルポイント法により測定されるものである。不織布の平均厚みは、製造するキャパシタの用途、目的等に応じて適宜決定すればよいが、通常100μm〜1000μm程度、好ましくは150μm〜800μm程度とすればよい。
すなわち、電解めっき法、無電解めっき法、スパッタリング法等が挙げられ、これら単独でもよく、複数の被覆方法を組み合わせても良い。発泡状樹脂の場合と同様に樹脂不織布表面を導電処理し、次いで、これに電解めっき法によって所望の目付量までニッケルめっきする方法を採用することが好ましい。
導電性被覆層の目付量は不織布に導電性を付与できる程度あればよい。例えば、5g/m2〜15g/m2程度、好ましくは7g/m2〜10g/m2程度とすればよい。
クロマイジング処理は、ニッケル膜にクロムを拡散浸透させる処理であり、公知の手法を採用できる。例えば、前記金属多孔体(発泡状ニッケル、不織布状ニッケル等)にクロム粉末、ハロゲン化物、アルミナ粉末を混合した浸透材を充填して還元性雰囲気で加熱する粉末パック法を採用することができる。また、浸透材と金属多孔体を離間して配置し、還元性雰囲気中で加熱し、浸透材のガスを形成して金属多孔体表面のニッケルに浸透材を浸透させることもできる。
ニッケルクロムは製造方法が確立しているため、アルミニウムやステンレスの多孔体に比べて安価に製造することができる。
発泡状ニッケルクロム、不織布状ニッケルクロムの多孔度は80〜97%であることが好ましい。この範囲とすることにより、分極性電極としての強度を保ちつつ、集電体中に活性炭を多く充填することができ、キャパシタの高出力化及び高容量化が可能となる。
集電体の平均厚みは、通常100μm〜1000μm程度、好ましくは150〜800μm程度とすればよい。
負極は、負極用金属多孔体による負極集電体に、リチウムイオンを吸蔵脱離できる金属を主体とした負極活物質を充填することにより作製することができる。負極活物質を充填する方法としては、例えば、負極活物質をペースト状にし、該負極活物質ペーストをドクターブレード法等により塗布する方法が挙げられる。また、必要に応じて、乾燥後にローラープレス機等により加圧成形してもよい。
リチウムイオンを吸蔵脱離できる金属にリチウムイオンを吸蔵させるには、例えば、下記工程を経て作製した負極にLi箔を圧着させておき、製造後のセル(キャパシタ)を60℃の恒温層中で24時間保温する等の方法が挙げられる。他にも、リチウムイオンを吸蔵脱離できる金属とリチウム材料を混合してメカニカルアロイ法で混合する方法や、Li金属をキャパシタセルに組み込んで、負極とLi金属を短絡する方法等が挙げられる。
負極集電体としては、金属多孔体を好ましく用いることができる。前述のように本発明に係るキャパシタは、リチウムイオンを吸蔵脱離できる金属を主体とする負極活物質を使用する。リチウムイオンと合金化する金属は、リチウムとの反応時に発生する体積変化が大きいため、通常の構成である銅箔などを使用した場合には剥離を起こし、寿命特性が低下してしまう。しかし、本発明では、負極集電体に金属多孔体を使用し、該金属多孔体の骨格内に負極活物質を保持させることで、前記金属が体積変化を起こしても剥離を生じさせず、寿命特性に優れたキャパシタとすることができる。
これらの金属多孔体は、前述の正極集電体の場合と同様の方法により作製することが可能である。
負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵脱離できる金属粉末を溶媒に混ぜ、混合機で攪拌することにより得られる。必要に応じて導電性助剤、バインダを含んでもよい。
本発明では、負極に、リチウムと合金化する金属を充填するが、かかる金属は、従来の黒鉛系材料に比べて容量が大きいため使用量を減らすことができる。このため、本発明に係るキャパシタは、負極の厚さを薄くしてセルの体積を減少させることができ、キャパシタの体積エネルギー密度を向上させることが可能となる。
リチウムイオンを吸蔵脱離できる金属としては、リチウムイオンを吸蔵脱離できるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、スズ、シリコン等が挙げられる。また、アルミニウム、スズ、シリコンのうちいずれか一種以上の金属を20wt%以上含む合金、又は複合体であることが好ましい。特に、理論容量が300mAh/g以上あるものが好ましい。複合体の例としては、アルミ‐ニッケル合金や銅とスズを混ぜた銅スズ合金(スズ10〜70質量%)、シリコン粉末とシリカ粉末を複合した物が好ましく挙げられる。
導電性助剤としては、前記正極活物質の場合と同様に、公知又は市販のものが使用できる。すなわち、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、天然黒鉛(鱗片状黒鉛、土状黒鉛等)、人造黒鉛、酸化ルテニウム等が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維等が好ましい。さらには、アセチレンブラックあるいはケッチェンブラックと、炭素繊維を混合することが好ましく、混合比は炭素繊維が導電助剤全体の20重量%以下となることが好ましい。これにより、キャパシタの導電性を向上させることができる。
(バインダ)
バインダも、前記正極活物質の場合と同様に、特に種類に制限はなく、公知又は市販のものが使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルクロリド、ポリオレフィン、スチレンブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。使用する溶媒にあわせて選択すればよいが、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いる場合はポリフッ化ビニリデンが、水を用いる場合はポリテトラフルオロエチレンとカルボキシメチルセルロースを混合した物が好ましい。これらの組み合わせでは、キャパシタの内部抵抗を低く抑えることができ、大きな静電容量を得ることができる。
本発明に係るキャパシタはリチウムを有するため、電解液としては、非水電解液を用いる必要がある。かかる非水電解液は、例えば、充放電に必要なリチウム塩を有機溶媒に溶かしたものを使用することができる。
(リチウム塩)
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6等を用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、いずれか1種以上を混合して用いてもよい。
(溶媒)
上記リチウム塩を溶かす溶媒としては、例えば、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、ブチレンカーボネイト、ジメチルカーボネイト、ジエチルカーボネイト、エチルメチルカーボネイトから選ばれるいずれか1種以上を好ましく用いることができる。特に、リチウム塩としてLiPF6を、溶媒としてエチレンカーボネイトとジエチルカーボネイトの混合溶液を用いることが好ましい。電解液のイオン伝導度が高くなり、キャパシタの内部抵抗を低く抑えることができる。
<正極集電体の作製>
発泡状ニッケルにクロマイジング処理をして、発泡状のニッケルクロム合金基材を作製した。発泡状ニッケルは、ウレタンシート(市販品、平均孔径90μm、厚さ1.4mm、多孔度96%)に導電処理後、所定量のニッケルめっきを行い、ウレタンを大気中800℃で焼却除去後に還元性雰囲気(水素)で1000℃に過熱し、ニッケルを還元して作製した。導電処理はスパッタリングにより10g/m2のニッケルをつけた。ニッケルめっき量は、導電処理の分も合計して400g/m2になるようにした。作製した発泡状ニッケルは、平均孔径80μm、厚さ1.2mm、多孔度95%となった。
クロムの含有量はクロマイズ処理の加熱時間で調整し、クロム含有量が30wt%の基材を作製し、集電体aとした。作製した集電体の厚さは1.4mmであった。
活性炭粉末(比表面積2500m2/g、平均粒径約5μm)21.5重量部に、導電助剤としてケッチェンブラック(KB)0.7重量部、バインダとしてポリフッ化ビニリデン粉末2.5重量部、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)75.3重量部を添加し、混合機で攪拌することにより、活性炭正極ペーストを調製した。
この活性炭ペーストを、あらかじめギャップ550μmのローラープレス機により厚さを調整した集電体に、活性炭の含量が18mg/cm2となるように充填した。実際の充填量は17.5mg/cm2であった。次に、乾燥機で100℃、1時間乾燥させて溶媒を除去した後、直径500ミリのローラープレス機(ギャップ:250μm)で加圧して実施例1の正極Aを得た。加圧後の厚さは350μmであった。
正極集電体の作製方法と同様の方法にて作製した発泡状ニッケルを用いた。(ニッケル目付400g/m2、平均孔径80μm、厚さ1.2mm、多孔度95%)これを集電体a’とする。
シリコン粉末(平均粒径約10μm)21.5重量部に、導電助剤としてケッチェンブラック(KB)0.7重量部、バインダとしてポリフッ化ビニリデン粉末2.5重量部、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)75.3重量部を添加し、混合機で攪拌することにより、シリコン負極ペーストを調製した。
このシリコンペーストを、あらかじめギャップ550μmのローラープレス機により厚さを調整した集電体に、シリコンの含量が13mg/cm2となるように充填した。実際の充填量は12.2mg/cm2であった。次に、乾燥機で100℃、1時間乾燥させて溶媒を除去した後、直径500ミリのローラープレス機(ギャップ:150μm)で加圧して実施例1の負極A’を得た。加圧後の厚さは185μmであった。
正極A及び負極A’をさらに200℃で8時間、減圧環境で乾燥した。これらをドライルーム中(露点−65℃)にうつし、得られた正極A及び負極A’を直径14mmに打ち抜き、その後、負極A’に厚さ50μmのリチウム金属箔を圧着した。両電極の間にポリプロピレン製のセパレーター(厚さ25μm)を挟んで対向させて単セル素子とし、ステンレススチール製スペーサを用いてR2032サイズのコインセルケースに収納し、1mol/LのLiPF6を溶かした、エチレンカーボネイト(EC)とジエチルカーボネイト(DEC)を体積比1:1で混合した電解液を注入して電極及びセパレーターに含浸した。さらに、プロピレン製の絶縁ガスケットを介してケース蓋を締めて封口して、コイン形の試験用キャパシタAを作製した。その後、60℃の恒温槽中で24時間放置した。この操作により、負極に圧着したリチウムがイオン化して負極のシリコンに吸蔵される。
負極集電体として、銅箔(市販品、厚さ20μm)を用いた。実施例1で作製した負極活物質ペーストをドクターブレード法により両面合計が5mg/cm2となるように塗着して圧延し、比較例1の負極B’を作製した。実際の塗布量は11mg/cm2、電極の厚みは、110μmであった。
これ以降の操作は、実施例1と全く同じにしてコイン型のキャパシタBを作製した。
リチウムを吸蔵脱離できる天然黒鉛粉末21.5重量部に、導電助剤としてケッチェンブラック(KB)0.7重量部、バインダとしてポリフッ化ビニリデン粉末2.5重量部、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)75.3重量部を添加し、混合機で攪拌することにより、黒鉛系負極ペーストを調製した。
これ以降の操作は、実施例1と全く同じにしてコイン型のキャパシタCを作製した。
負極として実施例1で用いた正極と同じものを用いてキャパシタDを作製した。電解液はテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを1mol/Lとなるように溶解したプロピレンカーボネイト溶液を用い、セパレーターはセルロース繊維製セパレーター(厚さ60μm、密度450mg/cm3、多孔度70%)を用いた。
実施例1及び比較例1〜3と同様のキャパシタ(A〜D)をそれぞれ10個作製し、充電を2mA/cm2で2時間、放電を1mA/cm2で行い、初期静電容量及び充電電圧・作動電圧範囲・エネルギー密度を調べた。エネルギー密度の基準とする体積は、セル内の電極積層体の体積とし、(正極の厚さ+セパレーターの厚さ+負極の厚さ)×電極面積によって求めた。それらの平均値を表1に示す。
次に、キャパシタ特性として重要な耐久性を調べた。高電圧で保持されたときの耐久性は、バックアップ用などの用途で重要である。65℃で表1に示した各セルの充電電圧を印加しながら2000時間保持した。その後25℃にして静電容量を測定し、初期からの静電容量の変化率を調べた。結果を表2に示す。
別の耐久性評価法として充放電サイクル特性を調べた。サイクル特性はセルの寿命を現す重要な指標である。条件として、雰囲気温度45℃で0.5〜3.0Vの間で1mAの定電流による充放電サイクルを1万回繰り返し、1万サイクル後の放電容量を測定し、初期容量と比較して評価を行った。その結果を表3に示す。
したがって、本発明のキャパシタは、高い静電容量が得られるとともに、寿命に優れていることが分かった。
Claims (5)
- 少なくとも、
正極用金属多孔体に活性炭を主体とした正極活物質を充填した正極と、
負極用金属多孔体に、リチウムを吸蔵脱離できる金属を主体とした負極活物質を充填した負極と、
リチウム塩を含む非水電解液を備え、
負極にリチウムイオンを化学的あるいは電気化学的手法で吸蔵させたキャパシタであって、
前記正極用金属多孔体が、発泡状ウレタンにニッケルを被覆した後にウレタンを焼失させて得たニッケル目付が150〜500g/m2の発泡状ニッケルにクロマイジング処理を行って作製した、クロムの含有量が20質量%以上で、多孔度が80〜97%の発泡状ニッケルクロム合金であることを特徴とするキャパシタ。 - 前記リチウムイオンを吸蔵脱離できる金属が、アルミニウム、スズ、シリコンのうち一つ以上から選ばれた金属を20質量%以上含む合金、又は複合体であることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタ。
- 前記負極用金属多孔体が、発泡状ウレタンにニッケルを被覆した後にウレタンを焼失させて得た多孔度が80〜97%、ニッケル目付が150〜500g/m2の発泡状ニッケルであることを特徴とする請求項1または2に記載のキャパシタ。
- 前記リチウム塩が、LiClO4,LiBF4、LiPF6から選ばれる1種以上であり、前記非水電解液の溶媒が、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、ブチレンカーボネイト、ジメチルカーボネイト、ジエチルカーボネイト、エチルメチルカーボネイトから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載のキャパシタ。
- 負極容量が正極容量よりも大きく、負極のリチウムイオンの吸蔵量が、正極容量と負極容量の差の90%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載のキャパシタ。
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