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JP4972041B2 - フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、インターディジタル型のフィルタに関するものである。
図6は、従来のフィルタの構成を示しており、このフィルタは、表面に接地導体2aを載置した誘電体基板1aの裏面に薄膜状の導体部30を形成し、誘電体基板1bが、その裏面を誘電体基板1aの裏面に対向させて導体部30上に載置され、誘電体基板1bの表面に接地導体2bを載置したストリップ線路構造を有する。ここで、誘電体基板1a,1bで誘電体基板1を構成しており、導体部30は、誘電体基板1内で接地導体2a,2bに対して平行に形成されている。
薄膜状の導体部30は、誘電体基板1a,1bの間で接地導体2a,2bの面に対して平行な面上に形成された矩形状の導体片31〜34で構成され、導体片31〜34は、導体片の幅方向で所定の間隔毎に並設されている。並設方向で隣り合う導体片31〜34は互いに電磁結合によって結合し、並設方向の一端の導体片31からは給電部4が延設され、並設方向の他端の導体片34からは出力部5が延設されている。
そして、導体片31〜34は、その並設方向に直交する導体片の長さ方向のいずれかの端部に接地用スルーホール6を設けており、導体片31〜34は接地用スルーホール6を介して接地導体2a,2bに電気的に接続している。導体片31〜34は、隣り合う導体片とは逆の端部に接地用スルーホール6を形成しており、例えば、導体片31が一方の端部に接地用スルーホール6を形成すれば、導体片32は他方の端部に接地用スルーホール6を形成し、導体片33は一方の端部に接地用スルーホール6を形成し、導体片34は他方の端部に接地用スルーホール6を形成する。また、導体片31〜34の接地用スルーホール6を設けていない端部は開放されている。
この導体片31〜34は共振器として動作し、隣り合う導体片とインターディジタル型に配置されて互いに電磁結合させることにより、給電部4の入力に対する出力部5の出力が所定の周波数帯域のみ通過するバンドパスフィルタを構成している。
図7は導体片3(以後、導体片31〜34を区別しない場合は導体片3と称す)の詳細図を示しており、導体片3の各寸法と特性の関係について説明する。矩形状の導体片3の長さ、幅、隣り合う導体片とのギャップをそれぞれL,W,Gとすると、長さLはバンドパスフィルタの中心周波数f0を決定し、幅WとギャップGは通過周波数の帯域幅B1を決定する。
(例えば、特許文献1参照)
特公昭61−19122号公報
上記従来技術によるバンドパスフィルタの通過特性を図8に示す。図8の横軸は周波数、縦軸は減衰量であり、中心周波数f0=4GHzの周辺を本来の通過帯域B1とするバンドパスフィルタの特性を示している。しかしながら、高域の8〜9GHzにも減衰量が十分に確保されていない帯域B11が発生している。
一般にバンドパスフィルタには急峻なスカート特性、本来の通過帯域B1における低損失特性、非通過帯域での十分な減衰量が求められる。しかし、図6に示す従来技術のバンドパスフィルタでは、図8に示すように、中心周波数f0(=4GHz)周辺に本来の通過帯域B1があるものの、減衰量が確保されなければならない高域の8〜9GHz周辺の帯域B11での減衰量が十分に確保されておらず、バンドパスフィルタの特性としては十分なものではなく、使用条件が制限されていた。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、本来の通過帯域よりも高域における減衰量を十分に確保できるフィルタを提供することにある。
請求項1の発明は、両面に接地導体を備えた誘電体板と、誘電体板内で接地導体に対して平行に形成された面上に並設されて、互いに電磁結合によって結合した複数の導体片と、複数の導体片のうち並設方向の一端の導体片に形成された給電部と、複数の導体片のうち並設方向の他端の導体片に形成された出力部と、各導体片の前記並設方向に対する直交方向の両端部のうち、隣り合う導体片とは逆の端部に形成されて、各導体片を誘電体板の両面の接地導体に接続する第1の接地結合部とを設けたフィルタにおいて、互いに隣り合う各導体片の少なくとも一方の導体片は、前記並設方向における当該導体片の幅の略中央であって、且つ互いに隣り合う各導体片の第1の接地結合部を結ぶ線の中央近傍において、誘電体板の両面の接地導体を互いに接続する第2の接地結合部を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、両面の接地導体を接続する第2の接地結合部を導体片に配置することで、接地結合部間の距離を従来に比べて短くして、両面の接地導体の電位の安定化を図り、本来の通過帯域よりも高域における減衰量を十分に確保できる。
請求項2の発明は、請求項1において、前記第2の接地結合部は、前記導体片を貫通して設けられることを特徴とする。
この発明によれば、ロスが少なくなる。
請求項3の発明は、請求項1または2において、複数の導体片のうち前記並設方向の一端および他端の各導体片は、第2の接地結合部を設けず、前記給電部および出力部を当該導体片上に形成することを特徴とする。
この発明によれば、減衰量が増大する高域の減衰極がより低域にシフトして、バンドパスフィルタの急峻なスカート特性を実現できる、さらには、フィルタの小型化を図ることができる。
以上説明したように、本発明では、本来の通過帯域よりも高域における減衰量を十分に確保できるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態のフィルタの構成を示しており、このフィルタは、表面に接地導体2aを載置した誘電体基板1aの裏面に薄膜状の導体部30を形成し、誘電体基板1bが、その裏面を誘電体基板1aの裏面に対向させて導体部30上に載置され、誘電体基板1bの表面に接地導体2bを載置したストリップ線路構造を有する。ここで、誘電体基板1a,1bで誘電体基板1を構成しており、導体部30は、誘電体基板1内で接地導体2a,2bに対して平行に形成されている。
薄膜状の導体部30は、誘電体基板1a,1bの間で接地導体2a,2bの面に対して平行な面上に形成された矩形状の導体片31〜34で構成され、導体片31〜34は、導体片の幅方向で所定の間隔毎に並設されている。並設方向で隣り合う導体片31〜34は互いに電磁結合によって結合し、並設方向の一端の導体片31からは給電部4が延設され、並設方向の他端の導体片34からは出力部5が延設されている。
そして、導体片31〜34は、その並設方向に直交する導体片の長さ方向のいずれかの端部に接地用スルーホール6(第1の接地結合部)を設けており、接地用スルーホール6は、誘電体基板1a,1b内を挿通して接地導体2a,2bに接続し、導体片31〜34は接地用スルーホール6を介して接地導体2a,2bに電気的に接続している。導体片31〜34は、隣り合う導体片とは逆の端部に接地用スルーホール6を形成しており、例えば、導体片31が一方の端部に接地用スルーホール6を形成すれば、導体片32は他方の端部に接地用スルーホール6を形成し、導体片33は一方の端部に接地用スルーホール6を形成し、導体片34は他方の端部に接地用スルーホール6を形成する。また、導体片31〜34の接地用スルーホール6を設けていない端部は開放されている。
この導体片31〜34は共振器として動作し、隣り合う導体片とインターディジタル型に配置されて互いに電磁結合させることにより、給電部4の入力に対する出力部5の出力が所定の周波数帯域のみ通過するバンドパスフィルタを構成している。
図2は導体片3(以後、導体片31〜34を区別しない場合は導体片3と称す)の詳細図を示しており、導体片3の各寸法と特性の関係について説明する。矩形状の導体片3の長さ、幅、隣り合う導体片とのギャップをそれぞれL,W,Gとすると、長さLはバンドパスフィルタの中心周波数f0を決定し、幅WとギャップGは通過周波数の帯域幅B1を決定する。
さらに従来例との差異として、本実施形態の導体片3は、その略中央(長さLおよび幅Wの略中央)に孔8を穿設し、その孔8を貫通して上下の接地導体2a,2bを接続する接地用スルーホール7(第2の接地結合部)を配置しており(接地用スルーホール7は、導体片2の幅Wの略中央であって、且つ後述する間隔P1の中央近傍に設けられればよい)、接地用スルーホール7は、誘電体基板1a,1b内を挿通して接地導体2a,2bに接続し、接地導体2a,2bは、接地用スルーホール7を介して互いに電気的に接続している。しかし、導体片3は、接地用スルーホール7の周囲に孔8を形成しており、導体片3とスルーホール7とは電気的に絶縁状態となる。
本実施形態のフィルタは、導体片3の長さLを1/4波長とする周波数を中心周波数f0とし導体片3の幅WおよびギャップGで帯域幅B1を決定することで、例えば4GHzを中心周波数f0とする通過帯域B1を有するバンドパスフィルタを構成する。バンドパスフィルタに求められる特性の1つに、通過帯域B1外での十分な減衰量を確保することが挙げられるが、図8に示す従来の特性では8〜9GHz付近の減衰量が十分ではなかった。この減衰量の悪化の要因は、図7に示す従来の導体片3において、互いに隣り合う導体片3の端部に設けた接地用スルーホール6の間隔P1である。
高周波回路において、ある周波数に対して接地導体2a,2bの電位を固定するためには、当該周波数の1/4波長以下の間隔で接地用スルーホールを設け、これらの接地用スルーホールによって上下の接地導体2a,2bを接続することが望ましいと言われている。しかし、図6、図7に示す従来のフィルタでは、導体片3の互いに同方向の端部に設けた接地用スルーホール6が、導体片3の幅W+ギャップGの2倍の比較的短い間隔で上下の接地導体2a,2bを接続しているが、導体片3の互いに逆方向の端部に設けた接地用スルーホール6(すなわち、隣り合って並設された各導体片3に設けた接地用スルーホール6)は、図7に示す間隔P1で上下の接地導体2a,2bを接続している。
この隣り合う導体片3の接地用スルーホール6の間隔P1は、導体片3の長さLに略等しいことから、本来の通過帯域B1の中心周波数f0の約1/4波長となり、通過帯域B1に対して接地導体2a,2bの電位は安定している。しかし、図8に示す帯域B11の周波数8〜9GHzに対しては接地導体2a,2bの電位の固定が不十分であり、接地導体2a,2bの電位の不安定化の要因となっている。すなわち、この間隔P1は、図8に示す帯域B11の周波数8〜9GHzにおける波長の約1/2であり、間隔P1を約1/2波長とする周波数で、互いに隣り合う導体片3の接地用スルーホール6間で共振が起こり、従来のフィルタでは、周波数8〜9GHzにおける減衰量が悪化しているのである。
このように、図6、図7に示す従来のフィルタでは、隣り合う導体片3の接地用スルーホール6の間隔P1を約1/2波長とする周波数で共振が発生し、本来非通過帯域となるべき帯域B11で減衰量が悪化していた。この減衰量の悪化を改善するにはより狭い間隔(帯域B11の1/4波長未満が望ましい)で接地用スルーホールを配置し、接地導体2a,2bの電位を安定化させる必要がある。
そこで本実施形態では、図1,図2に示すように導体片3の中央近傍に孔8を穿設し、その孔8を貫通するように上下の接地導体2a,2bを接続する接地用スルーホール7を配置することで、接地用スルーホール間の距離を従来に比べて短くしている。これにより本来の通過帯域B1より高域においても、上下の接地導体2a,2bの電位の安定化を図ることができる。また、高周波電流は導体片3の端部に沿って分布するため、導体片3の中央近傍に孔8を設けてもバンドパスフィルタの特性には大きな影響を与えない。
図2において、P1は、互いに隣り合う導体片3の端部に設けた接地用スルーホール6の間隔であり、P2は、各導体片3の接地用スルーホール6,7の間隔であり、P3は、互いに隣り合う導体片3の略中央に設けた接地用スルーホール7の間隔である。そして、各間隔P1,P2,P3は、導体片3の長さL、幅W、ギャップGを用いて、
P1=√{(W+G)+L
P2=L/2
P3=W+G
と表され、例えば、L=8mm、W=3mm、G=1mmとするとP1=8.9mm、P2=4.0mm、P3=4.0mmとなる。
上述の図8に示す帯域B11における減衰量の悪化は、間隔P1を1/2波長とする高域の周波数近辺で発生していた。本実施形態の構成によると、導体片3の長さLが通過帯域B1の中心周波数f0の1/4波長に等しく、間隔P1が帯域B11の1/2波長に等しく、さらに間隔P1が導体片3の長さLに略等しいことから、
P2≦1/2・P1≒帯域B11の周波数の1/4波長
P3<1/2・P1≒帯域B11の周波数の1/4波長
となる。したがって、接地用スルーホール6,7によって、帯域B11の周波数の1/4波長以下の間隔P2,P3で、上下の接地導体2a,2bの電位を固定することができる。このため本実施形態では、高域における減衰量の悪化は発生しない。
図3は本実施形態のフィルタの通過特性を示しており、従来は発生していた8〜9GHz付近の高域の通過帯域B11における減衰量の悪化が見られず(図8参照)、中心周波数f0(=4GHz)とする通過帯域B1以外の周波数では十分な減衰量が確保されていることが分かる。
このように本実施形態では、導体片3の中央近傍に上下の接地導体2a,2bを接続する接地用スルーホール7を配置することで、帯域B11の周波数の1/4波長以下の間隔で接地用スルーホール6,7を配置し、上述の高域における減衰量の悪化を抑制している。
なお、各導体片3の接地用スルーホール7は、互いに隣り合う各導体片3の少なくとも一方に設けておれば、上記同様の効果を得ることができる(例えば図1において、導体片31,33のみに接地用スルーホール7を設け、導体片32,34には接地用スルーホール7を設けない)。
(実施形態2)
図4は、本実施形態のフィルタの構成の一部を示しており、実施形態1の導体片31から延設した給電部4の代わりに給電部4aを形成し、導体片34から延設した出力部5の代わりに出力部5aを形成した点が実施形態1と異なる。
導体片31は、接地用スルーホール7が形成されず、略中央に給電部4aが形成されており、導体片34は、接地用スルーホール7が形成されず、略中央に給電部5aが形成されている。
このように、導体片31,34の接地用スルーホール7をなくし、給電部4a、給電部5aを導体片31,34に設けたことで、図5に示すように実施形態1と同様に高域での不要な共振を防止して、高域の帯域B11における減衰量の悪化を防止するとともに、減衰量が増大する減衰極A1がより低域にシフトして、バンドパスフィルタの急峻なスカート特性を実現できる。
さらには、給電部4a、出力部5aを導体片3内に形成することで、フィルタの小型化を図ることができる。
実施形態1のフィルタの構成を示す一部分解斜視図である。 同上の導体片の構成を示す平面図である。 同上の減衰特性を示す図である。 実施形態2のフィルタの一部構成を示す斜視図である。 同上の減衰特性を示す図である。 従来のフィルタの構成を示す一部分解斜視図である。 同上の導体片の構成を示す平面図である。 同上の減衰特性を示す図である。
符号の説明
1(1a,1b) 誘電体基板
2a,2b 接地導体
30 導体部
3(31〜34) 導体片
4 給電部
5 出力部
6 接地用スルーホール
7 接地用スルーホール

Claims (3)

  1. 両面に接地導体を備えた誘電体板と、
    誘電体板内で接地導体に対して平行に形成された面上に並設されて、互いに電磁結合によって結合した複数の導体片と、
    複数の導体片のうち並設方向の一端の導体片に形成された給電部と、
    複数の導体片のうち並設方向の他端の導体片に形成された出力部と、
    各導体片の前記並設方向に対する直交方向の両端部のうち、隣り合う導体片とは逆の端部に形成されて、各導体片を誘電体板の両面の接地導体に接続する第1の接地結合部とを設けたフィルタにおいて、
    互いに隣り合う各導体片の少なくとも一方の導体片は、前記並設方向における当該導体片の幅の略中央であって、且つ互いに隣り合う各導体片の第1の接地結合部を結ぶ線の中央近傍において、誘電体板の両面の接地導体を互いに接続する第2の接地結合部を設けたことを特徴とするフィルタ。
  2. 前記第2の接地結合部は、前記導体片を貫通して設けられることを特徴とする請求項1記載のフィルタ。
  3. 複数の導体片のうち前記並設方向の一端および他端の各導体片は、第2の接地結合部を設けず、前記給電部および出力部を当該導体片上に形成することを特徴とする請求項1または2記載のフィルタ。
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