JP4970341B2 - 二部材組付け構造 - Google Patents
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Description
第1の発明は、所定の装着部材を相手部材に組み付けるために、装着部材に設けられている座部に取り付けたクリップを、相手部材に開けられているクリップ孔に挿入する形式の二部材組付け構造であって、クリップは、該クリップが相手部材のクリップ孔に挿入されたときに、内方へ押し撓められるように弾性変形しながらクリップ孔を通過する係止腕を有する。この係止腕の外側面に、相手部材の内面側においてクリップ孔の孔縁に係止可能な高保持用および低保持用の二種類の係止面が設けられている。これらの係止面は、クリップの挿入方向に沿って配列されているとともに、クリップ孔の孔縁に係止するときの個々の傾斜角度が異なるように設定されている。
装着部材の座部は、クリップの取付け高さが異なる高保持用および低保持用の二種類が準備されている。二種類の座部のいずれかを選択してクリップを取り付けることにより、この選択に対応した高保持用あるいは低保持用の係止面をクリップ孔の孔縁に係止させるように構成している。
二種類の座部におけるクリップの取付け高さは、低保持用よりも高保持用が高く設定されている。
しかも、クリップは二種類の係止面を備えているにもかかわらず、これを例えば樹脂成形するときには、一般的な同種のクリップを成形する場合と同等の金型を使用することができ、コストアップを避けることが可能となる。
これにより、相手部材のクリップ孔に対するクリップの保持荷重を高保持として使用している場合に、高保持用の係止面と相手部材の内面との間に隙間が生じても、該係止面の緩傾斜領域がクリップ孔の孔縁に常に干渉した状態になり、相手部材に対するクリップのガタツキが抑えられる。
このように、クリップの形式を、その結合部の両外側に係止腕がそれぞれ設けられた構成とすることにより、相手部材のクリップ孔に対するクリップの保持が高保持あるいは低保持のいずれにおいても安定する。
二部材を組み付けるために用いるクリップ10は、合成樹脂材による一体に成形品であり、その全体形状は図1〜図4で示すように頭部12の側が閉塞され、基部14の側が開放されている。このクリップ10により、図1で示すセンタークラスタなどの装着部材30をインストルメントパネルなどの相手部材40に組み付けることが可能である。また、クリップ10の構成を大別すると、結合部16と、この結合部16の両外側に位置する一対の係止腕20とを有する。
結合部16は、クリップ10の頭部12側から基部14側に向かって突出しているとともに、該基部14に向かって開放されている。結合部16の相対向する内側面17には、開放側の端部近くにおいて係合爪18がそれぞれ設けられている。また、結合部16はクリップ10の頭部12側を支点として左右へ開くように弾性変形することが可能である。
低保持用の係止面22および高保持用の係止面24は、クリップ10の頭部12側から基部14側に向かう方向(後述するクリップ10の挿入方向)に沿って配列されている。つまり、低保持用の係止面22がクリップ10の頭部12側に位置し、これに連続して高保持用の係止面24がクリップ10の基部14側に位置している。
また、高保持用の係止面24については、傾斜角度の大きい急傾斜領域24aと、これに連続してクリップ10の基部14側に位置する傾斜角度の小さい緩傾斜領域24bとを備えている(図10)。後述するように、急傾斜領域24aは相手部材40の内面40a側においてクリップ孔42の周辺部に係止することが可能であり、緩傾斜領域24bはクリップ孔42の孔縁に干渉することが可能である。
リブ32a,34aの板厚は、クリップ10における結合部16の両内側面17の間隔S(図4)よりも大きく設定されている。つまり、リブ32a,34aが後述するように結合部16を外方へ押し撓めながら両内側面17の間に進入することで、座部32,34に対するクリップ10のガタツキが抑えられる。ただし、結合部16の両内側面17の間隔Sをリブ32a,34aの板厚とほぼ同じ寸法に設定することも可能である。
そこで、二種類の座部32,34を選択してクリップ10を取り付けることにより、このクリップ10の取付け高さを変え、相手部材40のクリップ孔42に対するクリップ10の保持荷重を低保持あるいは高保持と使い分けることが可能となる。したがって、一方の座部32は、クリップ10の保持荷重を選択するときの低保持用であり、他方の座部34は高保持用である。ここで、低保持用の座部32と高保持用の座部34との違いについて、以下に説明する。
なお、相手部材40は車両のインストルメントパネルなどであり、その所定箇所には表裏に貫通する矩形状のクリップ孔42が開けられている。このクリップ孔42のサイズなどについては、クリップ10が一種類である限り一種類である。
まず、クリップ10を低保持荷重で使用する場合、装着部材30における低保持用の座部32に対し、クリップ10を基部14側から取り付ける。これにより、結合部16の開放側からその両内側面17の間に座部32のリブ32aが相対的に進入する。このときのリブ32aは、結合部16を左右へ押し開きながら両係合爪18の間を進入し、結果的に両係合爪18が係合孔32cに両側から係合する。
この状態においては、結合部16の両内側面17がリブ32aをその両側面から挟み付けているとともに、結合部16は座部32の両側板32bの間に収まっている(図6および図7)。これにより、クリップ10が装着部材30の座部32に安定した状態で取り付けられる。そして、このときのクリップ10は、図5の(A)で示す寸法L1に基づいた取付け高さになっている。
一方、この状態における両係止腕20の高保持用の係止面24は、未だクリップ孔42内に位置しており、クリップ10の保持荷重には関与していない。
このように、クリップ孔42に対するクリップ10の保持荷重を高保持として使用している場合に、高保持用の係止面24の急傾斜領域24aと相手部材40の内面40aとの間には、この係止面24の傾斜角度が大きく設定されていることから所定の隙間が生じている(図10)。しかしながら、その一方では係止面24の緩傾斜領域24bがクリップ孔42の孔縁に常に干渉している。このため、相手部材40に対するクリップ10のガタツキが抑えられ、異音の発生が防止される。
なお、二種類の座部32,34は、いずれか一方を採用するのが一般的であるが、仮に一つの装着部材30に二種類の座部32,34を併用するとしても、座部32,34の配置箇所は明確に分離される。したがって、装着部材30にクリップ10を取り付ける工程では、保持荷重を使い分けるための判断を必要とせず、作業ミスが解消される。
その一つとしてクリップ10の形式には、それに要求される保持荷重に基づき、例えば図4において結合部16の左右両側の片側にのみ係止腕20を配置したものもある。その場合にも、前述した係止腕20の構成を採用することにより、同様の機能を果たすことができる。
20 係止腕
22 低保持用の係止面
24 高保持用の係止面
30 装着部材
32 低保持用の座部
34 高保持用の座部
40 相手部材
42 クリップ孔
Claims (4)
- 所定の装着部材を相手部材に組み付けるために、装着部材に設けられている座部に取り付けたクリップを、相手部材に開けられているクリップ孔に挿入する形式の二部材組付け構造であって、
クリップは、該クリップが相手部材のクリップ孔に挿入されたときに、内方へ押し撓められるように弾性変形しながらクリップ孔を通過する係止腕を有し、この係止腕の外側面に、相手部材の内面側においてクリップ孔の孔縁に係止可能な高保持用および低保持用の二種類の係止面が設けられ、これらの係止面は、クリップの挿入方向に沿って配列されているとともに、クリップ孔の孔縁に係止するときの個々の傾斜角度が異なるように設定され、装着部材の座部は、クリップの取付け高さが異なる高保持用および低保持用の二種類が準備され、二種類の座部のいずれかを選択してクリップを取り付けることにより、この選択に対応した高保持用あるいは低保持用の係止面をクリップ孔の孔縁に係止させるように構成している二部材組付け構造。 - 請求項1に記載された二部材組付け構造であって、
二種類の係止面は、クリップの挿入方向に関する先端側から低保持用および高保持用の順に配列されているとともに、クリップ孔の孔縁に係止するときの傾斜角度は、低保持用よりも高保持用が大きく設定され、二種類の座部におけるクリップの取付け高さは、低保持用よりも高保持用が高く設定されている二部材組付け構造。 - 請求項2に記載された二部材組付け構造であって、
高保持用の係止面は、相手部材の内面側においてクリップ孔の孔縁に係止可能な傾斜角度の大きい急傾斜領域と、この急傾斜領域よりも傾斜角度が小さく、かつ、相手部材の内面側においてクリップ孔の孔縁に干渉する緩傾斜領域とを備えている二部材組付け構造。 - 請求項1,2又は3に記載された二部材組付け構造であって、
クリップは、それが装着部材の座部から外れないように保持する結合部を有するとともに、この結合部の両外側に係止腕がそれぞれ設けられている二部材組付け構造。
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