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JP4962266B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents

光導波路の製造方法 Download PDF

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JP4962266B2 JP2007275196A JP2007275196A JP4962266B2 JP 4962266 B2 JP4962266 B2 JP 4962266B2 JP 2007275196 A JP2007275196 A JP 2007275196A JP 2007275196 A JP2007275196 A JP 2007275196A JP 4962266 B2 JP4962266 B2 JP 4962266B2
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Description

本発明は、光導波路及びその製造方法に関する。
高速信号の伝送において、それを担っている電気はクロストークや高消費電力、高損失等の理由から限界が近づき、光伝送の役割が期待されている。長距離光通信においては、低損失性や高い信頼性等の特徴からシングル石英系光ファイバによって光通信が標準化されているが、短距離伝送においては、接続コストや扱いにくいといった点からいまだ電気による通信が主体であり、それによるボトルネックが存在する。
そのような中、マルチモード高分子光導波路は、石英系と比較して光損失が多少大きいものの、低コストや接続の簡便さ、高屈曲性といった扱いやすさから、短距離光伝送への適用が期待されている。
マルチモード高分子光導波路については、下記に示すようないくつかの製造方法が提案されている。
(1)フィルムにモノマーを含浸させ、コア部を選択的に露光し、屈折率を変化させてフィルムを貼り合わせる方法(選択重合法)。
(2)コア層及びクラッド層を塗布後、反応性イオンエッチングを用いてクラッド部を形成する方法(RIE法)。
(3)高分子材料中に感光性の材料を添加した紫外線硬化性樹脂をフォトリソグラフィーにより露光・現像する方法(直接露光法)。
(4)射出成形を利用する方法。
(5)コア層及びクラッド層を塗布後、コア部を露光してコア部の屈折率を変化させる方法(フォトブリーチング法)。
(6)シリコンゴム鋳型を使った方法。
一方、先に挙げた6つの高分子導波路の製法とは別の方法として、基板上に、クラッドとなる第1の層と、該第1層より屈折率が高い第2の層(コア層)を形成し、第2の層の一部をダイシングソー等で機械的に切削除去することでコア部を形成し、該コア部より屈折率の低い材料でコア部を覆って第3の層(クラッド層)を形成することによって光導波路構造を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、積層フィルムに対する切削加工及び切削溝へのクラッド材の充填によって光導波路構造を形成することができ、また、ダイシングソーを用いることで、切削の良好な直線性および正確なピッチ間隔が実現できるため、簡便かつ低コストで、いわゆるアレイ型導波路の製造が可能となる。
特開平8−286064号公報
今日、高分子光導波路に求める重要要素の一つとしてフレキシブル性が挙げられる。モバイル機器等や機器内のおけるボード間光インターコネクションでは、局所空間における導波路の屈曲が求められ、時には曲げ半径2mm程度、またはそれ以下まで求められることもある。
高分子光導波路のフレキシブル性は予め備わった特性であるものの、その2mm以下の屈曲半径を実現するためには、導波路膜厚に制限を与え、そのときの厚さは100μm以下であることが多い。また、コアのサイズは用いられる光学系で決定されるため、上下のクラッドに許される膜厚は、時に20μm以下となる。
前記フレキシブル光導波路、特にコアを複数有するアレイ型高分子光導波路の製造方法に、特許文献1に開示されている技術の適用を考えたとき、ダイシングソーの試料台の凹凸、ブレード高さの不均一性、下層の膜厚不均一性等の理由により、屈折率の小さい下層(下部クラッド層)の一部を切削(ハーフカット)することが現実的である。つまり、コア層の下端にブレードの高さを設定し、精確に一定の高さで切削することは前記理由により困難となるため、コア層の下に位置する下部クラッド層の一部まで切り込むことが歩留まりと導波路特性から必須となる。
しかし、フレキシブル性をもたせるために、既述のように下部クラッド層が20μm以下となる場合があるため、積層フィルムの全領域にわたって下部クラッド層の所望の深さまで切削(ハーフカット)することは困難であり、時には、下部クラッド層も全て切削(フルカット)してしまったり、下部クラッド層を切削することなくコア層の一部まで切削したりといった問題が生じる。例えば、フルカットしてしまうことにより、その後の工程において積層フィルムが分離してしまい、アレイ型とするときにコアピッチを保持できなくなったり、あるいは、コア層の途中までしか切削しないとき、切削溝にクラッド材を充填してもコアが形成されなかったりといった問題が生じ、結果としてフレキシブルかつコアを複数有するアレイ型高分子光導波路の製造が困難となる。換言すると、特許文献1に開示されているような積層フィルムをハーフカットして光導波路を製造する技術は、薄膜には適応が困難であり、結果としてアレイ型フレキシブル光導波路を量産することは難しい。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、フレキシブル性を有し、かつ、コア間隔の精度が高いアレイ型光導波路の実現と、それを簡便かつ安価に製造する方法を提供することを目的とする。
<1> 複数のコアがクラッドに埋設されている光導波路であって、該光導波路を製造するときにコア層とクラッド層が交互に積層された積層フィルムを厚さ方向に貫通するように切断して溝を形成するとともに複数のコア部を形成し、該複数のコア部をクラッドで埋める前に、前記溝を一部の深さまで塞いで前記複数のコア部の間隔を維持するように形成された層を含むことを特徴とする光導波路。
<2> コア層とクラッド層が交互に積層された積層フィルムを厚さ方向に貫通するように切断して複数のコア部を形成する工程と、
前記複数のコア部の間隔を維持した状態で該複数のコア部をクラッドで埋める工程と、を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
<3> (A)コア層とクラッド層が交互に積層された積層フィルムの片面を切断用基材に一時的に固定し、該積層フィルムの反対側の面から、該積層フィルムは貫通し、かつ、前記切断用基材は貫通しないように厚さ方向に切断して溝を形成するとともに複数のコア部を形成する工程と、
(B)未硬化の硬化性樹脂層を設けた転写用基材を、前記切断された積層フィルムの前記切断用基材に固定されている面とは反対側の面に、前記硬化性樹脂層を介して貼り合わせる工程と、
(C)前記硬化性樹脂層を硬化させることにより前記複数のコア部の間隔を維持した状態で、前記切断された積層フィルムを前記切断用基材から剥離させて前記転写用基材に移し取る工程と、
(D)前記硬化性樹脂層により間隔が維持された前記複数のコア部をクラッドで埋める工程と、
を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
<4> 前記転写用基材に、前記硬化性樹脂層を10μm以下の膜厚で設けることを特徴とする<3>に記載の光導波路の製造方法。
<5> 前記硬化性樹脂層を、前記コア部を取り囲むクラッドの一部として残存させることを特徴とする<3>又は<4>に記載の光導波路の製造方法。
<6> 前記転写用基材を、前記光導波路に残存させることを特徴とする<3>〜<5>のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
<7> 前記切断用基材及び前記転写用基材が、紫外線剥離型であることを特徴とする<3>〜<6>のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
<8> 前記(B)工程において、前記転写用基材上の硬化性樹脂を半硬化状態として前記積層フィルムに貼り合わせることを特徴とする<3>〜<7>のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
<1>に記載の光導波路の構成を採用することにより、フレキシブル性を有し、かつ、コア間隔の精度が高い、安価なアレイ型光導波路を実現することができる。
<2>に記載の光導波路の製造方法を採用することにより、フレキシブル性を有し、かつ、コア間隔の精度が高いアレイ型光導波路を、簡便かつ安価に製造することができる。
<3>に記載の光導波路の製造方法を採用することにより、フレキシブル性を有し、かつ、コア間隔の精度が高いアレイ型光導波路を、より確実に製造することができる。
<4>に記載の光導波路の製造方法を採用することにより、より薄型のアレイ型光導波路を製造することができる。
<5>に記載の光導波路の製造方法を採用することにより、より効率的に、アレイ型光導波路を製造することができる。
<6>に記載の光導波路の製造方法を採用することにより、さらに耐環境性を有するアレイ型光導波路を製造することができる。
<7>に記載の光導波路の製造方法を採用することにより、さらに簡便かつ安価にアレイ型光導波路を製造することができる。
<8>に記載の光導波路の製造方法を採用することにより、未硬化の硬化性樹脂が必要以上に溝内部に侵入することを確実に防ぎ、歩留りを向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能・作用を有する部材には、全図面を通じて同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する。
<第1の実施形態>
図1〜図7は第1の実施形態に係る光導波路を製造する工程を概略的に示している。図7に示される本実施形態の光導波路30は、複数のコア12とダミーコア12bがクラッド14,16,28に埋設されているアレイ型であり、複数のコア12とダミーコア12b、該複数のコア12とダミーコア12b周囲を覆うクラッド14,16,28と、製造の際に分離された複数のコア部12とダミーコア12bの間隔を維持するように形成された層26を含んでいる。すなわち、この層26は、光導波路30の製造の際、コア層とクラッド層が交互に積層された積層フィルムを厚さ方向に貫通するように切断して溝を形成するとともに複数のコア部12を形成した後、該複数のコア部12をクラッド28で埋める前に、前記溝を一部の深さまで塞いで前記複数のコア部12とダミーコア12bの間隔を維持するように形成されたものである。ここで、ダミーコア12bとは、本導波路30のコア形成工程において、コア層12aが切削されて独立した一部分12bであり、この部分12bより屈折率の小さなクラッド28,14に囲まれてコア(光の伝搬部分)となりうるが、結果的に光の伝搬部分として使用されない部分をさす。もちろん、使用形態によっては、このダミーコア12bも光の伝搬部分、すなわちコアとして使用することも可能である。
以下、本実施形態の光導波路30を製造する方法について具体的に説明する。
本実施形態の光導波路30の製造方法は、主に、コア層とクラッド層が交互に積層された積層フィルムを厚さ方向に貫通するように切断して複数のコア部を形成する工程と、前記複数のコア部の間隔を維持した状態で該複数のコア部をクラッドで埋める工程と、を含む。
図1に示すように、下部クラッド14となる第1の層(下部クラッド層)14aと、コア12となる第2の層(コア層)12aと、上部クラッド16となる第3の層(上部クラッド層)16aとが積層された3層の積層フィルム10を用意する。第2の層(コア層)12aを構成する材料は、使用波長に対して透明であり、コア12の屈折率がクラッド14,16の屈折率よりも高く、コア12とクラッド14,16との間に所望の屈折率差を設定できるものであれば特に限定されない。例えば、脂環式オレフィン樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等を使用してコア層12aとクラッド層14a,16aを積層する。なお、各クラッド層14a,16aは通常は同じ材料で形成するが、コア層12aよりも屈折率が小さければ、異なる材料で形成してもよい。
コア層12a及びクラッド層14a,16aのそれぞれの厚みは、製造後の光導波路30に接続する光学系、結合損失、導波路30のフレキシブル性等から総合して決定される。特にフレキシブル性を考慮すると、上下のクラッド層14a,16aの厚さはできるだけ薄いことが求められ、具体的には、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
さらに、積層フィルム10の全体の厚みは、フレキシブル性等を考慮すると、好ましくは70μm〜150μmであり、より好ましくは60μm〜100μmであり、特に好ましくは50μm〜80μmである。
(A)切断工程
上記積層フィルム10を厚さ方向に貫通するように切断して複数のコア部12およびダミーコア12bを形成する。
具体的には、図2に示すように、コア層12aとクラッド層14a,16aが交互に積層された積層フィルム10の片面を、切断用基材18、例えば紫外線剥離型のダイシングテープに貼り付けて一時的に固定する。なお、積層フィルム10を切断するときに固定する切断用基材18は、紫外線剥離型のダイシングテープに限らず、積層フィルム10を切断する際、積層フィルム10を元の位置で固定し、切断後は、任意の方法で剥離することができるものを選択すればよい。
次いで、図3に示すように、ダイシングテープ18を貼り付けた積層フィルム10の反対側の面(上部クラッド層16a側)から、ダイシングブレード20によって、該積層フィルム10は貫通し、かつ、ダイシングテープ18は貫通しないように厚さ方向に切断(フルカット)する。例えば、ダイシングブレード20を、ダイシングテープ18の一部を切削する高さに設定して溝22を形成する。切削により形成する溝22の数や幅は製造すべき光導波路30の用途に応じて決めればよい。積層フィルム10をフルカットして所定のピッチで所定の数の溝22を形成することにより複数のコア部12およびダミーコア12bが形成される。一方、ダイシングテープ18は完全には切断されていないため、フルカットされた積層フィルム10は切削溝22を境にして個々に分離された状態でダイシングテープ18に固定された状態となる。
(B)貼り合わせ工程
次に、未硬化の硬化性樹脂層26aを設けた転写用基材24を、積層フィルム10のダイシングテープ18に固定されている面とは反対側の面に、前記硬化性樹脂層26aを介して貼り合わせる。
図4は、未硬化の硬化性樹脂層26aを設けた転写用基材24を示している。転写用基材24としては、樹脂、ガラス、金属等の板状のものが用いられる。通常は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂などにより形成された透明の樹脂フィルムが使用される。
転写用基材24の厚みは、板形状を保って硬化性樹脂層26aを形成することができれば特に限定されないが、例えば光導波路の保護部材として残存させて耐環境性の向上を図る場合には、保護部材としての機能や薄膜化を考慮すると、その材質にもよるが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜100μm、特に好ましくは10〜70μmである。
転写用基材24上の硬化性樹脂層26aを構成する材料、粘度、膜厚は、後述の貼り合わせ工程において積層フィルム10に貼り合わせたときに、積層フィルム10に形成されている溝22の内部への流動が適度に発生し、硬化させた際に、分離されている積層フィルム10を結合してコア間隔を維持することができるように適宜決定される。使用可能な硬化性材料として、例えば、紫外線硬化型、熱硬化型等が挙げられるが、プロセスの簡便性、熱による積層フィルム10や転写用基材24の変形防止の点から紫外線硬化型を選択することが好ましい。具体的な硬化性樹脂材料として、例えば、アクリル系、エポキシ系等制限なく選択することができる。
転写用基材24上に未硬化の硬化性樹脂層26aを形成する方法は特に限定されず、例えばスピンコート法、ディップコート法等の公知の方法が挙げられる。膜厚均一性、簡便さ等を考慮すると、スピンコート法を選択することが望ましい。
転写用基材24上の硬化性樹脂層26aの厚みは、これを貼り合わせる上部クラッド層16aの厚み、要求されるフレキシブル性等を考慮して決めればよいが、硬化後にコア間隔を確実に維持する一方、必要以上に切削溝22の深くまで侵入することを抑制するため、膜厚は、好ましくは5μm以上20μm以下、より好ましくは5μm以上10μm以下である。
硬化性樹脂材料の粘度に関しては、予め粘性が高い硬化性樹脂材料によって膜26aを形成した場合は、転写用基材24上に成膜後、そのまま積層フィルム10に貼り合わせることも可能である。一方、転写用基材24上に塗布し易いように粘性が低い材料を用いて未硬化膜26を形成した後、貼り合わせる前に、粘度を調整するために半硬化処理を施すことも有効である。ここで「半硬化」とは、一部の硬化反応、あるいは溶剤の揮発を生じさせた状態であり、転写用基材24上に塗布した直後の粘度よりも高いことを意味する。
硬化性樹脂層を半硬化させるには、完全硬化させる条件よりも緩い条件で硬化処理を行うことで実現される。硬化性樹脂層を半硬化させる条件は使用する硬化性樹脂材料の種類に応じて選択すればよく、例えば、硬化を促進するための付与エネルギー(例えば、紫外線、電子線、熱)を低減する、処理時間を短くする、等が挙げられる。紫外線硬化型の樹脂であれば、硬化条件に満たない紫外線の照射強度及び照射時間で半硬化状態とすることが可能である。また、他の方法として、酸素阻害を有する高分子材料であるラジカル系高分子材料(例えばアクリル樹脂)を選択し、酸素を含む雰囲気中で硬化処理を施すことにより酸素阻害によって半硬化状態とすることが可能であり有効である。他には、成膜後、一定時間の大気放置によって半硬化させることも可能である。
図5に示すように転写用基材24を、未硬化の硬化性樹脂層26aを介して積層フィルム10に貼り合わせる。硬化性樹脂材料により形成した未硬化の薄膜26aを積層フィルム10の上部クラッド層16aと向き合わせた状態で一定の圧力をかけて貼り合わせることで、未硬化の硬化性樹脂材料26aが積層フィルム10の溝22の内部に、ある程度の深さまで浸入する。このとき、硬化性樹脂材料26aが積層フィルム10の溝22の底部まで侵入してしまうと、硬化後、ダイシングテープ18の剥離が困難となったり、光導波路の表面に凹凸が生じ、さらに、硬化性樹脂材料26aが、クラッド材となり得ない場合は、光学特性に悪影響を及ぼしてしまう。
従って、硬化性樹脂材料26aが上部クラッド層16aに形成されている溝部分まで侵入するように材料、粘度、半硬化処理等を適宜選択する。転写用基材24上の硬化性樹脂層26aを半硬化状態として積層フィルム10に貼り合わせれば、この膜26aを構成する硬化性樹脂が積層フィルム10の溝22の内部に必要以上に侵入して光学特性に影響することを抑制し、歩留りの向上に寄与することとなる。ただし、硬化性樹脂層26aをクラッドとして機能し得る材料で形成した場合には、この硬化性樹脂材料26aが、コア層12aに形成されている溝部分、さらに下部クラッド層14aに形成されている溝部分まで侵入しても問題はない。
(C)転写工程
次に、硬化性樹脂層26を硬化させることにより複数のコア部12の間隔を維持した状態で、前記切断された積層フィルム10をダイシングテープ18から剥離させて転写用基材24に移し取る。
例えば、硬化性樹脂層26aを構成する材料が紫外線硬化型であり、ダイシングテープ18が紫外線剥離型である場合、上部クラッド16側または下部クラッド14側から、あるいは必要に応じて上下両側から紫外線を照射して硬化性樹脂層26aを硬化させるとともにダイシングテープ18から剥離させる。転写用基材24上の硬化性樹脂材料26aは、紫外線照射によって積層フィルム10の各溝22を一部の深さまで塞いだ状態で硬化して積層フィルム10と一体化し、図6に示されるように、積層フィルム10は、複数のコア部12の間隔が維持された状態で転写用基材24に移し取られる。
なお、転写用基材24と硬化性樹脂層26aとの接着力が小さければ、紫外線照射により硬化性樹脂層26aを硬化させるとともに転写用基材24も剥離させることが可能である。このとき、フルカットされている積層フィルム10は、各溝22の一部の深さまで塞いで硬化された硬化性樹脂層26と一体化して結合されているため、コア部12の間隔は維持され、また、転写用基材24が剥離することでフレキシブル性が増すことになる。一方、転写用基材24を光導波路に残存させる場合には、硬化性樹脂層26aが硬化した後も転写用基材24が剥離し難い材料を選択する。従って、硬化性樹脂材料26aと転写用基材24は、それぞれ完成後の光導波路30の用途、例えば、耐熱性、難燃性、強度性、耐湿性等に応じて選択すればよい。
(D)埋め込みクラッド形成工程
次に、硬化性樹脂層26により間隔が維持された前記複数のコア部12およびダミーコア12bをクラッド28で埋める。
具体的には、積層フィルム10に形成されている溝22にクラッド材28を充填し、必要に応じて両側のダミーコア部12bもクラッド14,16,28で覆われるようにクラッド材28を設けて硬化させる。溝22に充填するクラッド(埋め込みクラッド)28は、コア部12よりも屈折率が小さくなる材料とし、通常は、上下のクラッド14,16と同じ材料を用いる。このように溝22の内部にクラッド材28を充填するときも、溝22の一部の深さまで塞ぐように形成されている硬化性樹脂層26の存在によって各コア部12およびダミーコア12bの間隔が維持される。
埋め込みクラッド28を設けることで、図7に示したような複数のコア12およびダミーコア12bがクラッド14,16,28に埋設されており、各コア部12の間に相当する位置(溝の一部)には、埋め込みクラッド28のほかに、コア間隔を維持するために形成された層26を含む光導波路30が得られる。これにより、フレキシブル性を有し、かつ、コア間隔の精度が高く、安価なアレイ型光導波路30が得られる。
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態に係る光導波路を製造する工程の一部を示し、図9は、第2の実施形態に係る光導波路を示している。
まず、コア層とクラッド層がそれぞれ1層ずつ積層された積層フィルムを用意し、クラッド層側をダイシングテープ18に貼り付ける。次いで、コア層側から積層フィルムは貫通し、ダイシングテープ18は貫通しないようにダイシングブレード20により所定のピッチで切削を行い、溝22を形成する。これにより積層フィルムには複数のコア部12およびダミーコア12bが形成されることになる。
一方、片面に硬化性樹脂材料の未硬化層26aを設けた転写用基材24を用意する。この硬化性樹脂材料は、後にコア12を取り囲むクラッドの一部となるとため、コア12よりも屈折率が小さいクラッド材料を選択する。
図8に示すように、未硬化の硬化性樹脂層26aを設けた転写用基材24を、積層フィルム12,14のダイシングテープ18に固定されている面(クラッド14側)とは反対側の面(コア12側)に、硬化性樹脂層26aを介して貼り合わせる。このとき、図8に示されるように、転写用基材24に設けた未硬化樹脂材料26aを全て切削溝22に流動させずに、一部がコア部12上に残存する程度の圧力で貼り合わせて硬化させる。未硬化樹脂材料26aを全て溝22に流動させない手段としては、粘度の高い高分子材料を選択することが有効であり、また、未硬化の薄膜26aを形成した後、貼り合わせる前に、前記したような半硬化処理を施すことも有効である。
貼り合わせ後、紫外線を照射して未硬化樹脂材料26aを硬化させる。これにより、各切削溝22を一部の深さまで塞ぐようにして硬化された硬化性樹脂層26によって複数のコア部12の間隔を維持した状態で、積層フィルム12,14をダイシングテープ18から剥離させて転写用基材24に移し取る。
次いで、クラッド14側にクラッド材28を供給し、硬化後の硬化性樹脂層26によりコア間隔が維持されている複数のコア部12をクラッド材28で埋めて硬化させる。これにより、図9に示すように、各コア12およびダミーコア12bがクラッド14,26,28に埋設された光導波路40を得ることができる。この場合も、必要に応じ、転写用基材24を残留させることで保護部材として機能し、耐環境性を付与することができる。
このようにコア層とクラッド層をそれぞれ一層ずつ積層した2層フィルムを用いても、フルカット後、コア間隔を維持するための層26をクラッド材により形成することで、フレキシブル性を有し、かつ、コア間隔の精度が高く、安価なアレイ型光導波路40が得られる。また、このような第2の実施形態の光導波路40を製造する方法は、例えば第1の実施形態の光導波路30を製造する方法に比べて積層フィルムを作製する工程が少なく、上部クラッドと埋め込みクラッドを同じ工程で形成することができ、また上部クラッドを薄膜化できるため高いフレキシブル性を有する光導波路40が効率的に製造される。
以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
開口数が0.4となるように、コアとなる屈折率の高い層(紫外線硬化型エポキシ材料:屈折率1.56)を、クラッドとなる屈折率の低い層(紫外線硬化型エポキシ材料:屈折率1.51)で挟み、11cm×11cmの3層高分子フィルムを用意した。膜厚はそれぞれ、上部クラッド層:10μm、コア層:50μm、下部クラッド層:10μm、である。次に、この3層フィルムの下部クラッド層側を、紫外線剥離型のダイシングテープ(厚み:180μm)に貼り付けた。
次に、3層フィルムの最下面より下方15μmを基準として、上部クラッド層側からダイシングソーにより所定のピッチで切断して溝を形成した。そのときの溝間ピッチは50μm、該残50μmピッチは250μmである。
一方、PETフィルムに紫外線硬化型エポキシ材料をスピンコート法にて塗布し、7μmの厚さの未硬化高分子材料の膜を形成した。続いて、前記溝を形成した3層フィルムの上部クラッド層側に、PETフィルム上に形成した未硬化高分子材料の膜を貼り合わせ、一定の圧力をかけた後、紫外線を照射してその高分子材料膜を硬化させた。
次に、ダイシングテープから3層フィルムを剥離させ、溝に紫外線硬化型エポキシ材料(屈折率1.51)を充填した後、紫外線照射により硬化させて埋め込みクラッド層を形成した。
最後にダイシングソーにより、幅3mm、長さ10cmの短冊となるように切り出し、コア径50μm、コアピッチ250μmの4チャンネル高分子光導波路を完成させた。
この光導波路を半径1mmで360度屈曲させて、挿入損失を測定した結果、1.1dBであった。
<実施例2>
実施例1と同様、開口数が0.4となるようなコア層とクラッド層の2層フィルムを用意し、クラッド層側をダイシングテープに貼り付けた後、コア層からダイシングソーにより厚さ方向に切断して溝を形成した。続いてPETフィルム上にアクリル系高分子材料をスピンコート法により塗布して厚さ7μmの膜を形成し、空気雰囲気中で紫外線照射して半硬化させた。続いて2層フィルムのコア層側に、半硬化高分子材料の膜を形成したPETフィルムを貼り合わせ、窒素雰囲気中にて紫外線硬化させた。これより、未硬化層の一部はコア上面を、残部はコア側面をそれぞれ被った状態で硬化した。
続いて、2層フィルムを、PETフィルムおよびダイシングテープより剥離した後、溝にクラッド材料を充填して硬化させた。最後にダイシングソーにて外形形成し、幅3mm、長さ10cm、コア径50μm、コアピッチ250μmの4チャンネル高分子光導波路を完成させた。
この光導波路を半径1mmで360度屈曲させて、挿入損失を測定した結果、1.1dBであった。
本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されず、適宜変更を加えることができる。
例えば、コア層とクラッド層の数は、交互に積層されていれば積層数は限定されない。
また、積層フィルムの切削手段はダイシングブレードに限らず、他の切削手段を用いてもよい。
さらに、転写用基材上の硬化性樹脂層は、積層フィルムの切断後のコア間隔を維持することができればよく、硬化性樹脂の一部が必ずしも積層フィルムの溝内部に入り込む必要はない。
第1実施形態に係る光導波路の製造に用いる3層の積層フィルムを示す概略図である。 3層の積層フィルムをダイシングテープに貼り付けた状態を示す概略図である。 3層の積層フィルムを切断(フルカット)した状態を示す概略図である。 硬化性樹脂層を設けた転写用基材を示す概略図である。 切断後の3層の積層フィルムに転写用基材の硬化性樹脂層を貼り付けた状態を示す概略図である。 硬化性樹脂層を硬化させてコア間隔を維持した状態でダイシングテープを剥離する状態を示す概略図である。 第1実施形態の光導波路の断面を示す概略図である。 切断後の2層の積層フィルムに転写用基材の硬化性樹脂層を貼り付けた状態を示す概略図である。 第2実施形態の光導波路を示す概略図である。
符号の説明
10・・・積層フィルム
12a・・・コア層
12b・・・ダミーコア
12・・・コア
14a・・・下部クラッド層
14・・・下部クラッド
16a・・・上部クラッド層
16・・・上部クラッド
18・・・ダイシングテープ(切断用基材)
20・・・ダイシングブレード(切削手段)
22・・・切削溝
24・・・転写用基材
26a・・・未硬化の硬化性樹脂層(未硬化の硬化性樹脂材料)
26・・・硬化後の硬化性樹脂層(コア間隔を維持する層)
28・・・埋め込みクラッド
30,40・・・光導波路

Claims (6)

  1. (A)コア層とクラッド層が交互に積層された積層フィルムの片面を切断用基材に一時的に固定し、該積層フィルムの反対側の面から、該積層フィルムは貫通し、かつ、前記切断用基材は貫通しないように厚さ方向に切断して溝を形成するとともに複数のコア部を形成する工程と、
    (B)未硬化の硬化性樹脂層を設けた転写用基材を、前記切断された積層フィルムの前記切断用基材に固定されている面とは反対側の面に、前記硬化性樹脂層を介して貼り合わせる工程と、
    (C)前記硬化性樹脂層を硬化させることにより前記複数のコア部の間隔を維持した状態で、前記切断された積層フィルムを前記切断用基材から剥離させて前記転写用基材に移し取る工程と、
    (D)前記硬化性樹脂層により間隔が維持された前記複数のコア部をクラッドで埋める工程と、
    を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
  2. 前記転写用基材に、前記硬化性樹脂層を10μm以下の膜厚で設けることを特徴とする請求項に記載の光導波路の製造方法。
  3. 前記硬化性樹脂層を、前記コア部を取り囲むクラッドの一部として残存させることを特徴とする請求項又は請求項に記載の光導波路の製造方法。
  4. 前記転写用基材を、前記光導波路に残存させることを特徴とする請求項〜請求項のいずれか一項に記載の光導波路の製造方法。
  5. 前記切断用基材及び前記転写用基材が、紫外線剥離型であることを特徴とする請求項〜請求項のいずれか一項に記載の光導波路の製造方法。
  6. 前記(B)工程において、前記転写用基材上の硬化性樹脂を半硬化状態として前記積層フィルムに貼り合わせることを特徴とする請求項〜請求項のいずれか一項に記載の光導波路の製造方法。
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