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JP4517704B2 - 高分子光導波路の製造方法 - Google Patents

高分子光導波路の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子光導波路、特にフレキシブルな高分子光導波路の製造方法に関する。
高分子光導波路の製造方法としては、(1)フイルムにモノマーを含浸させてコア部を選択的に露光して屈折率を変化させフイルムを貼り合わせる方法(選択重合法)、(2)コア層及びクラッド層を塗布後、反応性イオンエッチングを用いてコア部を形成する方法(RIE法)、(3)高分子材料中に感光性の材料を添加した紫外線硬化樹脂を用いて、露光・現像するフォトリソグラフィー法を用いる方法(直接露光法)、(4)射出成形を利用する方法、(5)コア層及びクラッド層を塗布後、コア部を露光してコア部の屈折率を変化させる方法(フォトブリーチング法)等が提案されている。
然し、(1)の選択重合法はフイルムの張り合わせに問題があり、(2)や(3)の方法は、フォトリソグラフィー法を使うためコスト高になり、(4)の方法は、得られるコア径の精度に課題がある。また、(5)の方法はコア層とクラッド層との屈折率差を自由に設計できないという問題がある。
現在、性能的に優れた実用的な方法は、(2)や(3)の方法だけであるが前記のごときコストの問題がある。そして(1)ないし(5)のいずれの方法も、大面積でフレキシブルなプラスチック基材に高分子導波路を形成するのに適用しうるものではない。
また、高分子光導波路を製造する方法として、キャピラリーとなる溝のパターンが形成されたパターン基板(クラッド)にコア用のポリマー前駆体材料を充填し、その後硬化させてコア層を作り、その上に平面基板(クラッド)を貼り合わせる方法が知られているが、この方法ではキャピラリー溝にだけでなく、パターン基板と平面基板の間にも全面的にポリマー前駆体材料が薄く充填され硬化されてコア層と同じ組成の薄い層が形成される結果、この薄い層を通って光が漏洩してしまうという問題があった。
この問題を解決する方法の1つとして、デビット・ハートはキャピラリーとなる溝のパターンが形成されたパターン基板と平面基板とをクランプ用治具で固着し、さらにパターン基板と平面基板との接触部分を樹脂でシールなどした後減圧して、モノマー(ジアリルイソフタレート)溶液をキャピラリーに充填して、高分子光導波路を製造する方法を提案した(以下の特許文献1を参照)。この方法はコア形成用樹脂材料としてポリマー前駆体材料を用いる代わりにモノマーを用いて充填材料を低粘度化し、キャピラリー内に毛細管現象を利用して充填させ、キャピラリー以外にはモノマーが充填されないようにする方法である。
しかし、この方法はコア形成用材料としてモノマーを用いているため、モノマーが重合してポリマーになる際の体積収縮率が大きく、高分子光導波路の透過損失が大きくなるという問題がある。
また、この方法は、パターン基板と平面基板とをクランプで固着する、あるいはこれに加えさらに接触部を樹脂でシールするなど煩雑な方法であり、量産にはむかず、その結果コスト低下を期待することはできない。また、クラッドとして厚さがmmオーダーあるいは1mm以下のフィルムを用いる高分子光導波路の製造に適用することは不可能である。
また、最近、ハーバード大学のGeorge M. Whitesidesらは、ナノ構造を作る新技術として、ソフトリソグラフィーの一つとして毛細管マイクロモールドという方法を提唱している。これは、フォトリソグラフィーを利用してマスター基板を作り、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の密着性と容易な剥離性を利用してマスター基板のナノ構造をPDMSの鋳型に写し取り、この鋳型に毛細管現象を利用して液体ポリマーを流し込んで固化させる方法である。以下の非特許文献1には詳しい解説記事が記載されている。
又はハーバード大学のGeorge M. WhitesidesのグループのKim Enochらによって毛細管マイクロモールド法に関する特許が出願されている(以下の特許文献2を参照)。
しかし、この特許に記載の製造方法を高分子光導波路の製造に適用しても、光導波路のコア部は断面積が小さいので、コア部を形成するのに時間がかかり、量産に適さない。また、モノマー溶液が重合して高分子になるときに体積変化を起こしコアの形状が変化し、透過損失が大きくなるという欠点を持つ。
また、IBMチュリッヒ研究所のB. MichelらはPDMSを用いた高解像度のリソグラフィー技術を提案しており、この技術により数十nmの解像力が得られると報告している。詳しい解説記事は、以下の非特許文献2に記載されている。
このように、PDMSを使ったソフトリソグラフィー技術や、毛細管マイクロモールド法は、ナノテクノロジーとして最近、米国を中心に注目を集めている技術である
しかしながら、前記のごときマイクロモールド法を用いて光導波路を作製すると、硬化時の体積収縮率を小さくする(したがって透過損失を小さくする)ことと、充填を容易にするために充填液体(モノマー等)を低粘度化することを両立させえない。したがって、透過損失を小さくすることを優先的に考慮すると、充填液体の粘度をある限度以下にすることができず、充填速度が遅くなり、量産は望めない。また前記のマイクロモールド法は、基板としてガラスやシリコン基板を用いることが前提になっており、フレキシブルなフィルム基材を用いることは考慮されていない。
これに対し、本発明者らは既に、フレキシブルなフイルム基材をクラッド基材と兼ねさせ、該フイルム基材に高分子導波路を形成する方法を提案した(特願2003−58871号、特願2003−58872号)。この高分子光導波路の製造方法により、従来不可能であったフレキシブルな高分子光導波路を精度よく、低コストで作製することが可能になった。
一方、光学情報処理の分野においてシングルモード配線及びマルチモード配線が混在した光配線板が要請されるようになっている。シングルモード及びマルチモード光配線を光導波路で行う場合には、光信号に応じた異なる種類の光導波路(コアの径やコア屈折率)を作製することになる。
例えば、以下の特許文献3には、同一基板上に第1のコア径を有する第1の光導波路を作製した後、第1のコア径と異なる第2のコア径を有し、記第1の光導波路と結合する第2の導波路を作製することからなる光導波路カプラの製造方法が記載され、コアの作製には、フォトリソグラフィー法や反応性イオンエッチング法が用いられることが記載されている。しかし、この方法では異なるコアを形成するのにフォトリソグラフィー法や反応性イオンエッチング法を使い分ける必要があること、また量産性が低いこと、高コストであることなどの問題点がある。また、既に作られている光導波路が、次に作られる光導波路の作製工程で損傷され、光導波路品質が低下するなどの点も見逃せない。
また、以下の特許文献4には、同一層に異なる種類のコアを形成することは煩雑で難しいため、同種のコアは同じ層に、異なる種類のコアは別の層に形成することが記載され、例えば、シングルモード光配線を有する光導波路層とマルチモード光配線を有する光導波路層を積層したものが記載されている。そして、この積層型光導波路の各層の作製方法は、フォトリソグラフィー法を用いて樹脂がパターニングされている。したがって、このタイプのものは下の層に形成したコアを損傷する虞はないが、コアの種類ごとに光導波路層を作製しなければならず、また、フォトリソグラフィー法を用いるため、全体として煩雑でありコストも高い。
特許公報3151364号明細書 米国特許6355198号明細書 特開2002−277662号公報 特開2003−185868号公報 SCIENTIFIC AMERICAN SEPTEMBER 2001(日経サイエンス2001年12月号) IBM J. REV. & DEV. VOL. 45 NO. 5 SEPTEMBER 2001
本発明は、前記のごとき問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は同一平面内に屈折率の異なる複数種類の光導波路コアを備えた高分子光導波路を、簡便な方法により低コストで製造する方法を提供することにある。
前記課題は、以下の高分子光導波路の製造方法を提供することにより解決される
)1)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化層から形成され、かつ、屈折率が異なる複数種類の光導波路コアに対応する複数種類の凹部と、複数の前記凹部のうち屈折率が互いに同じである光導波路コアに対応する凹部同士のみの一端に共通に連通する貫通孔であって、液だめの機能を有する貫通孔と、複数の前記凹部のうち屈折率が互いに同じである光導波路コアに対応する凹部同士のみの他端に共通に連通する貫通孔と、が設けられた鋳型を準備する工程、2)前記鋳型に該鋳型との密着性が良好なクラッド用基材を密着させ、鋳型の凹部の一端にある貫通孔に、屈折率が異なる複数種類のコア形成用硬化性樹脂を、その凹部に充填すべきコア形成用硬化性樹脂に対応して充填し、鋳型の凹部の他端にある貫通孔から減圧吸引してコア形成用硬化性樹脂を前記鋳型の凹部に充填する工程、3)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させ、鋳型をクラッド用基材から剥離する工程、4)光導波路コアが形成されたクラッド用基材の上にクラッド層を形成する工程を有する、同一面内に屈折率が異なる複数種類の光導波路コアを有する高分子光導波路の製造方法。
)屈折率が異なる複数種類の光導波路コアに対応する複数種類の凹部が、少なくとも厚み方向寸法も異なることを特徴とする前記()に記載の高分子光導波路の製造方法。
)前記の屈折率が異なる複数種類の光導波路コアが、シングルモード光導波路コアとマルチモード光導波路コアであることを特徴とする前記()に記載の高分子光導波路の製造方法。
)前記鋳型が、平坦なシリコン基板又はガラス基板の上に、ドライエッチング法、切削加工法、又はフォトリソグラフィー法、又は細線接着法の1つ又は2以上の組合わせにより、少なくとも厚み方向寸法が異なる複数種類の光導波路コアに対応する凸部を設けた原盤に、鋳型形成用硬化性樹脂の層を形成した後硬化させた硬化層を剥離し、光導波路コアに対応する凹部の一端及び他端にそれぞれ連通する貫通孔を形成することにより作製されることを特徴とする前記()に記載の高分子光導波路の製造方法。
)前記鋳型形成用硬化性樹脂が液状シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の高分子光導波路の製造方法。
(6)前記鋳型の凹部の一端にある前記貫通孔の断面積は、前記鋳型を前記クラッド用基材に密着させた場合に前記クラッド用基材から離れるに従って小さくなることを特徴とする前記(1)に記載の高分子光導波路の製造方法。
本発明の高分子光導波路の製造方法は同一平面内に屈折率の異なる複数種類の光導波路コア、又は同一平面内層に少なくとも厚み方向寸法が異なるとともに屈折率も異なる複数種類の光導波路コアを備えた高分子光導波路を、簡便でまた低コストで量産性よく製造することができる。また、簡便かつ低コストな方法であるにもかかわらず、得られる高分子光導波路は、高精度のコア形状を持ち損失ロスが非常に小さく、更に優れた集積性も有する。また、本発明の方法により、従来困難であった自由度の高いフレキシブルな高分子光導波路を形成できる。更に、高分子光導波路コアを切断して端面を露出させると光学的な鏡面が得られ、端部を直接コネクタ等に接続可能である。
従来法では、前記のごとき異なる種類の光導波路コアを同一平面上に併設した高分子光導波路を製造することは不可能ではなかったものの、異なる種類の光導波路コアは別々に作製する必要があり、非常に煩瑣で高価な方法であったが、本発明により、異なる種類の光導波路コアを一度に作製することが可能となった。
本発明で製造する高分子光導波路は、異なる種類の光導波路コアを同一面内に有するものである。異なる種類の光導波路コアとは屈折率が異なる複数種類の光導波路コア、又は少なくとも厚み方向寸法と屈折率が異なる複数種類の光導波路コア等を意味する。このような複数種類の光導波路として、例えば、シングルモード光導波路コア及びマルチモード光導波路コアが挙げられるが、これに限定されるものではない。シングルモード光導波路コアとしてはコア径及び屈折率がマルチモード光導波路コアよりも相対的に小さいものが好ましい。
コア径が異なる光導波路を備えた高分子光導波路の例として、図1ないし図3で示されるものが挙げられる。図1ないし図3は鋳型作製に用いる原盤を示しているが、本発明の製造方法では、原盤と同じ形状の凸部を有する高分子光導波路が得られるので、作製すべき高分子光導波路の例として原盤の形状によって説明する。図3は分岐型のものを示す。
また、本発明の高分子光導波路の製造方法においては、鋳型を用いるため、光導波路コアの断面形状は、鋳型凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填し硬化させた後剥離する際、容易に剥離が可能なような形状にすることが必要である。例えば、断面形状が矩形のもの(図1の12a、12bを参照)は剥離が容易であり、また断面形状が矩形でなくても、図2の12cで表されるものは容易に剥離できる。
本発明の高分子光導波路の製造方法は以下のとおりである。
(1)少なくとも厚み方向寸法が異なる複数種類の光導波路コアを同一面内に有する高分子光導波路の製造方法は、以下の工程を有する。
1)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化層から形成され、かつ、少なくとも厚み方向寸法が異なる複数種類の光導波路コアに対応する凹部と、該凹部の一端及び他端にそれぞれ連通する貫通孔が設けられた鋳型を準備する工程
2)鋳型に該鋳型との密着性が良好なクラッド用基材を密着させ、鋳型の凹部の一端にある貫通孔に、コア形成用硬化性樹脂を充填し、鋳型の凹部の他端にある貫通孔から減圧吸引してコア形成用硬化性樹脂を前記鋳型の凹部に充填する工程
3)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させ、鋳型をクラッド用基材から剥離する工程
4)光導波路コアが形成されたクラッド用基材の上にクラッド層を形成する工程
(2)屈折率が異なる複数種類の光導波路コアを同一面内に有する高分子光導波路の製造方法は、以下の工程を有する。
1)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化層から形成され、かつ、屈折率が異なる複数種類の光導波路コアに対応する複数種類の凹部と、該複数種類の凹部の一端及び他端にそれぞれ連通する貫通孔であって、屈折率が互いに異なる光導波路に対応する凹部同士は連通しない貫通孔が設けられた鋳型を準備する工程
2)前記鋳型に該鋳型との密着性が良好なクラッド用基材を密着させ、鋳型の凹部の一端にある貫通孔に、屈折率が異なる複数種類のコア形成用硬化性樹脂を、その凹部に充填すべきコア形成用硬化性樹脂に対応して充填し、鋳型の凹部の他端にある貫通孔から減圧吸引してコア形成用硬化性樹脂を前記鋳型の凹部に充填する工程
3)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させ、鋳型をクラッド用基材から剥離する工程4)光導波路コアが形成されたクラッド用基材の上にクラッド層を形成する工程
以下に、本発明による高分子光導波路の製造方法を工程順に説明する。
1)鋳型を準備する工程
鋳型の作製は、光導波路コアに対応する凸部を形成した原盤を用いて行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。以下では、原盤を用いる方法について説明する。
<原盤の作製>
光導波路コアに対応する凸部を形成した原盤は、従来の方法、たとえばドライエッチング法(反応性イオンエッチング法(RIE法)等)、切削加工法、フォトリソグラフィー法、細線接着法等を1つ又は2以上組合わせることにより作製することができる。また、本出願人が先に出願した電着法又は光電着法により高分子光導波路を作製する方法(特願2002−10240号)も、原盤を作製するのに適用できる。原盤に形成される光導波路コアに対応する凸部の大きさは、例えば断面が正方形の光導波路コアの場合、一般的に断面形状の一辺の長さが5〜500μm程度、好ましくは40〜200μm程度であり、高分子光導波路の用途等に応じて適宜決められる。例えばシングルモード用の光導波路の場合には、10×10μm角程度のコアを、マルチモード用の光導波路の場合には、(50〜100)×(50〜100)μm角程度のコアが一般的に用いられるが、用途によっては数百μm角程度と更に大きなコア部を持つ光導波路も利用される。
光導波路断面の寸法のうち、少なくとも高分子光導波路平面からの高さ(本発明においては、この寸法を「厚み方向寸法」といい、以下では単に「高さ」ということがある。)が異なる光導波路を作製するための原盤を作製するには、断面寸法の種類の数に応じ、前記のごときフォトリソグラフィー法、ドライエッチング法法、切削加工法、細線接着法等を複数回繰り返したり、異なる方法を組み合わせるなどして行われる。
特に、シングルモード導波路に対応するような断面が10×10μm以下の凸部を形成するには、原盤用基板(以下、単に「基板」ということがある)、例えば、シリコン基板もしくはガラス基板に対するドライエッチング加工(反応性イオンエッチング法(RIE法))等)が有効である。これは、ドライエッチング加工により形成された凸部は基板と一体化して強固なため、他の方法より傷がつきにくいからである。
また、ドライエッチング法とフォトリソグラフィー法を用いて複数種類の凸部を形成するには、ドライエッチング法によるものを先に行うことが好ましい。
また、フォトリソグラフィー法を複数回繰り返すことにより厚み方向寸法がそれぞれ異なる光導波路を作るための原盤を作製するには、基板に、フォトレジストを所定の厚さ(第1の光導波路の厚み方向寸法に相当する)にスピンコート法などによって塗布した後、露光現像工程を経て第1の光導波路に対応する第1の凸部を作製し、その後基板全面に再度フォトレジストを所定の厚さ(第2の光導波路の厚み方向寸法に相当する)に塗布した後、露光現像して第2の光導波路に対応する第2の凸部を形成し、更に光導波路の厚み方向寸法の種類に応じて同様の工程が繰り返し行われる。この方法において、露光現像後にポストベーク工程を付加することにより、形成された凸部を強固なものにすることができ、続いて行われる他の種類の凸部形成を行う際に、先行して形成されている凸部に対する損傷の問題を最小限に留めることができる。また、この損傷の問題に対処するため、厚み方向寸法の大きい順に凸部を形成するのが望ましい。フォトレジストに対する露光時間や現像時間をそれぞれの厚みについて最適化することは言うまでもない。
また、基板の上に凸部を形成する方法として前記のごときドライエッチング法やフォトリソグラフィー法だけでなく、基板上に光導波路形状に切り出したものを貼り付ける方法でもよい。
更に、紫外線を透過しないファイバー状の細線を基板上に布線し、この上にポジ型のフォトレジストを塗布するか、あるいはポジ型フォトレジストを塗布した後、この上にファイバー状の細線をフォトレジストに埋め込むように置き、その後、細線の上方から基板に対し略垂直平行に紫外光を照射し、前記ポジ型レジスト材料を露光現像する方法(特願2003−279742号の段落0016〜0024に記載の方法)が挙げられる。最初にフォトレジストを塗布し、この上から細線を置く方法では、フォトレジスト自体が接着層として機能するので簡便な方法である。
細線を利用するこれらの方法においては、塗布するポジ型フォトレジストの厚さは、前記細線の上方から垂直平行光を照射しその後現像した場合、光非照射部分全体にポジ型レジスト材料の層が形成されるような厚さで塗布することが必要である。
また、細線を基板上に布線、すなわち所定位置に正確に位置決めするには、V溝を備えた基板を用い、V溝に細線を置く方法が好ましい。
細線の断面積が連続的に変化するものを用いると口径変換型の光導波路用凸部が形成される。
口径変換型の光導波路用凸部を形成するには、特願2002−224643号の段落0021〜0022に記載の方法、特願2002−347947号の段落0021〜0036に記載の方法を利用することもできる。
また、断面の形状や大きさが異なる分岐光導波路コアに対応する凸部を形成するには、前記のフォトレジストを用いる方法により凸部を繰り返して形成するか、ダイヤモンドターニングなどの切削加工がよい。
図1に、断面が正方形で、幅及び高さが異なる2種類の光導波路コアに対応する凸部を設けた原盤の一例を示す。図1(A)は、原盤の平面図であり、図1(B)は図1(A)のA−A断面の側面図である。図1(A)及び(B)中、原盤10を示し、11は原盤用の基板、12a及び12bは光導波路コアに対応する凸部である。
図1で示される原盤は、フォトリソグラフィー法、ドライエッチング法のいずれを用いてもよいが、前記凸部12bの断面が10×10μm以下の形状を有し、凸部12aが10×10μmより大きい形状の場合には、最初にドライエッチング法により凸部12bを作製し、その後フォトレジストを用いて凸部12aを作製することが好ましい。
図2には、原盤の他の態様を示す。図2で示す原盤は断面が円形の細線(紫外線非透過)を利用した凸部と、ドライエッチング法等によるパターニング法を用いて作製する凸部を有する原盤の一例を示す図である。図2(A)及び(2)中、10は原盤を示し、11は原盤用の基板、12cは細線を利用する凸部、12dはパターニング法を用いて作製する凸部である。
この態様の場合には最初に凸部12dを作製することが好ましい。また、凸部12cは細線を基板に布線した後ポジ型フォトレジストを塗布するか、又は基板にポジ型フォトレジストを塗布した後、細線をレジスト層の中に埋め込み、その後細線の上方から略垂直平行紫外光を照射・現像すると、細線の下部に存在するポジ型フォトレジストには紫外光が照射されず、図2(B)で示すような断面形状をもつ凸部が得られる。前記のごとき断面形状を有する凸部を形成する理由は次のような理由による。すなわち、円形断面をもつ細線をそのまま凸部としてもつ原盤を用いると、次工程である鋳型作製工程において、鋳型形成用硬化性樹脂が細線と基板の間に回りこんでしまうため、原盤から鋳型形成用硬化性樹脂の硬化層を取り外すのが極めて困難になってしまうからである。
更に図3に、分岐型光導波路であって分岐部と被分岐部とでは高さも幅も異なる分岐型光導波路コアに対応する凸部を設けた原盤の一例を示す図である。図3(A)は原盤の平面図、図3(B)は図3(A)のA−A切断断面図を示す。図3(A)及び(B)中、10は原盤、11は基板、12e及び12fは分岐型光導波路コアに対応する凸部をそれぞれ示す。この態様の原盤は、図1と同様、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法により作製可能である。
<鋳型の作製>
鋳型の作製の一例として、前記のようにして作製した原盤の凸部形成面に、鋳型形成用硬化性樹脂を塗布したり注型するなどの方法により鋳型形成用硬化性樹脂の層を形成した後、必要に応じ乾燥処理をし、硬化処理を行い、その後硬化樹脂層を原盤から剥離して前記凸部に対応する凹部が形成された型をとり、その型に、凹部の一端及び他端にそれぞれ連通する貫通孔を形成する方法が挙げられる。
コア形成用硬化性樹脂の入力側(充填側)の貫通孔は液(樹脂)溜まりとして利用でき、排出側(出力側)の貫通孔は減圧吸引管をその中に挿入して凹部内部を減圧吸引装置に接続することができる。また、入力側貫通孔をコア形成用硬化性樹脂の注入管に連結して該樹脂を加圧注入することも可能である。貫通孔は複数の凹部のいくつかに共通に連通する2以上の貫通孔を設け
複数の鋳型凹部に、異なる屈折率を有するコア形成用硬化性樹脂を充填する場合には、各凹部に充填するコア形成用硬化性樹脂が同じであるか異なるかにより、貫通孔を設ける態様を考慮する必要がある。すなわち、屈折率が互いに異なる光導波路コアに対応する凹部同士は連通しないように貫通孔を設ける必要がある。
また、分岐型光導波路コアの場合には、分岐側端部に設けた1又は2以上の貫通孔を出力側とし、分岐側端部とは反対の端部に設けた貫通孔を入力側とすることが好ましい。
前記貫通孔は、例えば前記型を所定形状に打ち抜くことにより形成できる。打ち抜いた貫通孔の場合であっても、鋳型とクラッド用基材との密着性がよく、鋳型凹部以外にクラッド用基材との間に空隙が形成されないため、凹部以外にコア形成用硬化性樹脂が浸透する虞はない。
前記型(樹脂硬化層)の厚さは、鋳型としての取り扱い性を考慮して適宜決められるが、一般的に0.1〜50mm程度が適切である。
また、前記原盤にはあらかじめ離型剤塗布などの離型処理を行なって鋳型との剥離を促進することが望ましい。
コア形成用硬化性樹脂入力側に設ける貫通孔は液(コア形成用硬化性樹脂)だめの機能を有する。また、コア形成用硬化性樹脂排出側に設ける貫通孔は、該樹脂を鋳型凹部に充填する際、鋳型凹部を減圧するための減圧吸引用に用いられる。入力側の貫通孔の形状や大きさは、貫通孔が凹部の進入端に連通しかつ液だめの機能を有していれば特に制限はない。また、排出側の貫通孔は、凹部の排出端に連通しかつ減圧吸引用に用いることができれば、その形状や大きさに特に制限はない。
鋳型凹部のコア形成用硬化性樹脂入力側に設けた貫通孔は液だめの機能をもっているため、その断面積が、鋳型をクラッド用基材に密着させた場合、該基材に接する側が大きく、基材から離れるに従って小さくなるようにすると、コア形成用硬化性樹脂を凹部に充填、硬化後、鋳型と基材との剥離がしやすくなる。コア形成用硬化性樹脂排出側の貫通孔には、液だめの機能を持たせる必要はないので、特にこのような断面構造を採用することを要しない。
また、鋳型作製の他の例として、原盤に光導波路コアに対応する凸部だけでなく貫通孔形成のための凸部(この凸部の高さは鋳型形成用硬化性樹脂の硬化層の厚さより高くする)を設け、この原盤に鋳型形成用硬化性樹脂を貫通孔形成のための凸部が樹脂層を突き抜けるように塗布等し、次いで樹脂層を硬化させ、その後硬化樹脂層を原盤から剥離する方法を挙げることができる。
鋳型形成用硬化性樹脂としては、その硬化物が原盤から容易に剥離できること、鋳型(繰り返し用いる)として一定以上の機械的強度・寸法安定性を有すること、凹部形状を維持する硬さ(硬度)を有すること、クラッド用基材との密着性が良好なことが好ましい。鋳型形成用硬化性樹脂には、必要に応じて各種添加剤を加えることができる。
鋳型形成用硬化性樹脂は、原盤の表面に塗布や注型等することが可能で、また、原盤に形成された個々の光導波路コアに対応する凸部を正確に写し取らなければならないので、ある限度以下の粘度、たとえば、500〜7000mPa・s程度を有することが好ましい。(なお、本発明において用いる「鋳型形成用硬化性樹脂」の中には、硬化後、弾性を有するゴム状体となるものも含まれる。)また、粘度調節のために溶剤を、溶剤の悪影響が出ない程度に加えることができる。
前記鋳型形成用硬化性樹脂としては、前記のごとき剥離性、機械強度・寸法安定性、硬度、クラッド用基材との密着性の点から、硬化後、シリコーンゴム(シリコーンエラストマー)又はシリコーン樹脂となる硬化性オルガノポリシロキサンが好ましく用いられる。前記硬化性オルガノポリシロキサンは、分子中にメチルシロキサン基、エチルシロキサン基、フェニルシロキサン基を含むものが好ましい。また、前記硬化性オルガノポリシロキサンは、一液型のものでも硬化剤と組み合わせて用いる二液型のものでもよく、また、熱硬化型のものでも室温硬化型(例えば空気中の水分で硬化するもの)のものでもよく、更に他の硬化(紫外線硬化等)を利用するものであってもよい。
前記硬化性オルガノポリシロキサンとしては、硬化後シリコーンゴムとなるものが好ましく、これには通常液状シリコーンゴム(「液状」の中にはペースト状のように粘度の高いものも含まれる)と称されているものが用いられ、硬化剤と組み合わせて用いる二液型のものが好ましく、中でも付加型の液状シリコーンゴムは、表面と内部が均一にかつ短時間に硬化し、またその際副生成物が無く又は少なく、かつ離型性に優れ収縮率も小さいので好ましく用いられる。
前記液状シリコーンゴムの中でも特に液状ジメチルシロキサンゴムが密着性、剥離性、強度及び硬度の制御性の点から好ましい。また、液状ジメチルシロキサンゴムの硬化物は、一般に屈折率が1.43程度と低いために、これから作った鋳型は、クラッド用基材から剥離させずに、そのままクラッド層として利用することができる。この場合には、鋳型と、充填したコア形成用樹脂及びクラッド用基材とが剥がれないような工夫が必要になる。
前記液状シリコーンゴムの粘度は、光導波路コアに対応する凸部を正確に写し取り、かつ気泡の混入を少なくして脱泡し易くする観点と、数ミリの厚さの鋳型形成の点から、500〜7000mPa・s程度のものが好ましく、さらには、2000〜5000mPa・s程度のものがより好ましい。
さらに、鋳型の表面エネルギーは、10dyn/cm〜30dyn/cm、好ましくは15dyn/cm〜24dyn/cmの範囲にあることが、基材フィルムとの密着性とコア形成用硬化性樹脂の浸透速度の点からみて好ましい。
鋳型のシェア(Share)ゴム硬度は、15〜80、好ましくは20〜60であることが、型取り性能、凹部形状の維持、剥離性の点からみて好ましい。
鋳型の表面粗さ(二乗平均粗さ(RMS))は、0.5μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下にすることが、形成されたコアの光導波特性において光損失を大幅に低減できる。
また、鋳型は、紫外領域及び/又は可視領域において光透過性であることが好ましい。鋳型が可視領域において光透過性であることが好ましいのは、以下の2)の工程において鋳型をクラッド用基材に密着させる際、位置決めが容易に行え、また、以下の3)の工程においてコア形成用硬化性樹脂が鋳型凹部に充填される様子が観察でき、充填完了等が容易に確認しうるからである。また、鋳型が紫外領域において光透過性であることが好ましいのは、コア形成用硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合に、鋳型を透して紫外線硬化を行うためであり、鋳型の、紫外領域(250nm〜400nm)における透過率が80%以上であることが好ましい。
前記硬化性オルガノポリシロキサン、中でも硬化後シリコーンゴムとなる液状シリコーンゴムは、クラッド用基材との密着性と剥離性という相反した特性に優れ、ナノ構造を写し取る能力を持ち、シリコーンゴムとクラッド用基材とを密着させると液体の進入さえ防ぐことができる。このようなシリコーンゴムを用いた鋳型は高精度に原盤を写し取り、クラッド用基材に良く密着するため、鋳型とクラッド用基材の間の凹部のみに効率よくコア形成用樹脂を充填することが可能となり、さらにクラッド用基材と鋳型の剥離も容易である。したがって、この鋳型からは高精度に形状を維持した高分子光導波路を、極めて簡便に作製することができる。
また、前記硬化樹脂層、とりわけ硬化樹脂層がゴム弾性を有する場合、硬化樹脂層の一部すなわち原盤凸部を写し取る部分以外の部分を他の剛性材料に置き換えることができ、この場合、鋳型のハンドリング性が向上する。
2)鋳型凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填する工程
本発明において用いるクラッド用基材としては、ガラス基材、セラミック基材、プラスチック基材等のものが制限なく用いられる。また屈折率制御のために前記基材に樹脂コートしたものも用いられる。クラッド用基材の屈折率は、コアの屈折率より小さい必要があるが、コア材料の選択性を高めるため1.55より小さく、1.52より小さいものがより好ましい。また、クラッド基材としては、平坦で、鋳型との密着性に優れ、両者を密着させた場合、鋳型凹部以外に空隙が生じないものが好ましい。また、クラッド基材が鋳型及び/又はコアとの密着性が余り良好でない場合には、オゾン雰囲気による処理、波長300nm以下の紫外線照射処理を行って、鋳型等との密着性を改善することが好ましい。
プラスチック基材の中でも、フレキシブルなフィルム基材を用いた高分子光導波路は、カプラー、ボード間の光配線や光分波器等としても使用できる。前記フィルム基材は、作製される高分子光導波路の用途に応じて、その屈折率、光透過性等の光学的特性、機械的強度、耐熱性、鋳型との密着性、フレキシビリティー(可撓性)等を考慮して選択される。
前記フィルム基材の材料としては、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、脂環式アクリル樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等)、脂環式オレフィン樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、アリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂、二又は三酢酸セルロース、アミド系樹脂(脂肪族、芳香族ポリアミド等)、イミド系樹脂、スルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、または前記樹脂のブレンド物等が挙げられる。
また、前記フィルム基材が鋳型及び/又はコアとの密着性が余り良好でない場合には、オゾン雰囲気による処理、波長300nm以下の紫外線照射処理を行って、鋳型等との密着性を改善することが好ましい。
前記脂環式アクリル樹脂としてはトリシクロデカン等の脂肪族環状炭化水素をエステル置換基に導入した、OZ−1000、OZ−1100(日立化成(株)製)等が用いられる。
また、脂環式オレフィン樹脂としては主鎖にノルボルネン構造を有するもの、及び主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基(アルキル基としては炭素数1から6のものやシクロアルキル基)等の極性基をもつものが挙げられる。中でも前記のごとき主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基等の極性基をもつ脂環式オレフィン樹脂は、低屈折率(屈折率が1.50近辺であり、コア・クラッドの屈折率の差を確保しやすい)及び高い光透過性等の優れた光学的特性を有し、鋳型との密着性に優れ、さらに耐熱性に優れているので特に本発明の高分子光導波路の作製に適している。
前記フィルム基材の屈折率は、コアの屈折率より小さい必要があるが、コア材料の選択性を高めるため1.55より小さく、好ましくは1.52より小さくすることが望ましい。
また、前記フィルム基材の厚さはフレキシビリティーと剛性や取り扱いの容易さ等を考慮して適切に選ばれ、一般的には0.1mm〜0.5mm程度が好ましい。
鋳型凹部にコア形成用硬化性樹脂を充填するには、入力側貫通孔に樹脂を溜め加圧充填したり、排出側貫通孔にポンプにつながった減圧吸引管を挿入して減圧吸引したり、これらを組み合わせるなどして行われる。
また、前記加圧充填と減圧吸引を併用する場合は、これらを同期して行うことが、さらに、前記加圧充填において圧力を段階的に増加させ、前記減圧吸引において圧力を段階的に減少させることが、鋳型が安定して固定された状態で、コア形成用硬化性樹脂をより高速に注入する相反則を両立させる点からみて好ましい。
コア形成用硬化性樹脂としては放射線硬化性、電子線硬化性、熱硬化性等の樹脂を用いることができ、中でも紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
前記コア形成用の紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が好ましく用いられる。
また、前記紫外線硬化性樹脂としてエポキシ系、ポリイミド系、アクリル系紫外線硬化性樹脂が好ましく用いられる。
コア形成用硬化性樹脂は、鋳型とクラッド用基材との間に形成された空隙(鋳型の凹部)に充填させるため、用いるコア形成用硬化性樹脂はそれが可能なように十分低粘度であることが必要である。前記硬化性樹脂の粘度は、10mPa・s〜2000mPa・s、望ましくは100mPa・s〜1000mPa・s、更に好ましくは300mPa・s〜700mPa・sにするのが、充填速度、コア形状の良さ及び光損失の少なさの点から好ましい。
このほかに、原盤に形成された光導波路コアに対応する凸部が有する元の形状を高精度に再現するため、前記硬化性樹脂の硬化前後の体積変化が小さいことが必要である。例えば、体積が減少すると導波損失の原因になる。したがって、前記硬化性樹脂は、体積変化ができるだけ小さいものが望ましく、10%以下、好ましくは0.01〜4%の範囲にあることが望ましい。溶剤を用いて低粘度化することは、硬化前後の体積変化が大きいのでできれば避ける方が好ましい。
コア形成用硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするため、前記樹脂にポリマーを添加することができる。前記ポリマーはコア形成用硬化性樹脂との相溶性を有し、かつ該樹脂の屈折率、弾性率、透過特性に悪影響を及ぼさないものが好ましい。またポリマーを添加することにより体積変化を小さくする他、粘度や硬化樹脂のガラス転移点を高度に制御できる。前記ポリマーとしては例えばアクリル系、メタクリル酸系、エポキシ系のものが用いられるが、これらに限定されるものではない。
コア形成用硬化性樹脂の硬化物の屈折率は1.20から1.60の範囲、より好ましくは1.4から1.6の範囲が好ましく用いられる。
コア形成用硬化性樹脂の硬化物の屈折率は、クラッドとなる前記フィルム基材(以下の4)の工程におけるクラッド層を含む)より大きいことが必要である。コアとクラッド(クラッド用基材及びクラッド層)との屈折率の差は、マルチモード導波路かシングルモード導波路かによって異なるが、マルチモード導波路の場合で0.01以上、好ましくは0.02以上である。また光ファイバーを接続しようとする場合は、その光ファイバーのNAとマッチングが取れるようにコアとクラッドの屈折率差を定めるのが望ましい。
また、この工程において、毛細管現象によるコア形成用硬化性樹脂の鋳型凹部への充填を促進するために、系全体を減圧(0.1〜100kPa程度)することが望ましい。
また、前記充填を促進するため、前記系の減圧に加えて、鋳型の進入口から充填するコア形成用硬化性樹脂を加熱することにより、より低粘度化することも有効な手段である。
3)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させ、鋳型をクラッド用基材から剥離する工程
充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させる。紫外線硬化性樹脂を硬化させるには、紫外線ランプ、紫外線LED、UV照射装置等が用いられる。また、熱硬化性樹脂を硬化させるには、オーブン中での加熱等が用いられる。
この後、鋳型をクラッド用基材から剥離する。また、前記1)〜3)の工程で用いる鋳型は、屈折率等の条件を満たせばそのままクラッド層に用いることも可能で、この場合は、鋳型を剥離する必要はなくそのままクラッド層として利用する。この場合、鋳型とコア材料の接着性を向上させるために鋳型をオゾン処理することが好ましい。
4)コアが形成されたクラッド用基材の上にクラッド層を形成する工程
コアが形成されたクラッド用基材の上にクラッド層を形成するが、クラッド層としてはフィルム(たとえば前記2)の工程で用いたようなクラッド用基材が同様に用いられる)や、クラッド用硬化性樹脂を塗布して硬化させた層、高分子材料の溶剤溶液を塗布して乾燥して得られる高分子膜等が挙げられる。クラッド用硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、例えば、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が用いられる。また、前記クラッド用硬化性樹脂の粘度は均一な膜厚に容易に塗布できるように、10mPa・s〜2000mPa・s程度であることが好ましい。
クラッド用硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)は10%以下であることが好ましくさらには6%以下が好ましい。体積変化を小さくするために、該樹脂と相溶性を有し、また該樹脂の屈折率、弾性率、透過特性に悪影響を及ぼさないポリマー(例えばメタクリル酸系、エポキシ系)を該樹脂に添加することができる。
クラッド層としてフィルムを用いる場合は、接着剤を用いて貼り合わされるが、その際、接着剤の屈折率が該フィルムの屈折率と近いことが望ましい。用いる接着剤は紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、例えば、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が用いられる。
前記紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするために、クラッド層に添加するポリマーと同様のポリマーを添加することができる。
また、前記クラッド用基材とクラッド層との屈折率差は小さい方が好ましく、その差は0.05以内、好ましくは0.001以内、更に好ましくは差がないことが光の閉じ込めの点からみて好ましい。
本発明の高分子光導波路の製造方法において、特に、鋳型形成用硬化性樹脂として硬化してゴム状になる液状シリコーンゴム、中でも液状ジメチルシロキサンゴムを用い、クラッド用基材として主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基等の極性基をもつ脂環式オレフィン樹脂を用いる組み合わせは、両者の密着性が特に高く、また、鋳型凹部構造の変形がなく、さらに凹部構造の断面積が極めて小さくても(たとえば10×10μmの矩形)、素早く凹部に硬化性樹脂を充填することができる。
以上の、高分子光導波路の製造工程の全体を図4により説明する。なお、説明を簡明にするため、光導波路コアを1本設けたものについて説明する。図4(A)は原盤10を示し、12は光導波路コアに対応する凸部である。この原盤10の凸部形成面に鋳型形成用硬化性樹脂を塗布又は注型した後硬化させる(図4(B)参照)。図4(B)中、20aは硬化樹脂層である。その後硬化樹脂層20aを剥離すると、凹部が形成された硬化樹脂層20aが得られる(図示せず)。凹部22が形成された硬化樹脂層20aに、凹部22に連通する貫通孔26及び28を凹部両端に打ち抜き等により形成して鋳型20(図4(C)参照)を得る。
次に、図4(D)が示すように、鋳型にクラッド用基材30を密着させ、その後鋳型に形成されている貫通孔26にコア形成用硬化性樹脂を入れ、他端の貫通孔28から減圧吸引して鋳型凹部22にコア形成用硬化性樹脂を充填する。その後該樹脂を硬化させ鋳型を剥離すると、図4(E)に示されるように、クラッド用基材30の上に光導波路コア32が形成される。
この後、クラッド層(上部クラッド及び側部クラッド)40を形成し(図4(F)参照)、最後に貫通孔26及び28内で硬化した樹脂部分をダイサー等で切り落として導波路路フィルムとする。コア端面は鏡面平滑性を有している。
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
この例では、図1に示す原盤を用いて高分子光導波路(断面形状が8×8μm角の4本のシングルモード光導波路(光導波路ピッチは125μm)と、断面形状が50×50μm角の4本のマルチモード光導波路(光導波路ピッチは250μm)をもつ)を作製する例を示す。
原盤用基板としてSi基板を用いた。最初に断面形状が8×8μm角の4本のシングルモード光導波路に対応する凸部作製のためのエッチングマスクを作製した。まず、Si基板にポジ型フォトレジストを滴下してスピンコートし、プリベークを行い、厚み1μm程度のレジスト膜を形成した。4本のシングルモード光導波路の平面形状パターンに対応する光学的開口部をもつフォトマスクを介して紫外線を露光し、その後現像し、更にポストベークを行って、Si基板上にレジスト層からなるエッチングマスクを形成した。
次に、レジスト膜をマスクにして反応性イオンエッチングを行い、マスクで遮蔽された部分以外のSi基板表面を8μmの深さでエッチングした。その後、不要になったレジスト膜を、酸素プラズマ中で灰化し除去した。Si基板表面に4本の光導波路に対応する凸部が形成された。
次に、前記のようにして4本の凸部が形成されたSi基板の上に、以下のようにして断面形状が50×50μm角の4本の光導波路に対応する凸部を作製した。
4本の凸部が形成されたSi基板全面に、ポジ型厚膜フォトレジスト(マイクロケミカル(株)製、SU−8)をスピンコート法で塗布した。これを80℃でプリベークした。プリベーク後の膜厚は50μmの厚さとなるようにした。プリベーク後のフォトレジスト層を、4本のマルチモード光導波路の平面形状パターンに対応する光学的開口部をもつフォトマスクを通して露光した後、現像し、更に120℃でポストベークし、4本の凸部(断面形状が50μm×50μm角)を形成し、これを原盤とした。
次に、前記原盤に離型剤を塗布した後、熱硬化性液状ジメチルシロキサンゴム(ダウ・コウニングアジア社製:SYLGARD184、粘度5000mPa.s)及びその硬化剤を混合したものを流し込み、120℃で30分間加熱して硬化させた後、剥離して、断面形状が矩形の2種類の前記凸部(断面8×8μm角、50×50μm角)に対応する凹部を持った厚み5mmの型を形成した。
次に、前記型に設けられた、断面が8×8μm角の4本の凹部の一端部に、楕円形の貫通孔を1つ打ち抜きにより形成した。この貫通孔には前記4本の凹部が連通するようにした。また、4本の凹部の他方の端部に同様の貫通孔を1つ設けた。2つの貫通孔をコア形成用硬化性樹脂の入出力部とした。
更に、前記型に設けられた断面が50×50μm角の4本の凹部の両端部にも、前記と同様にして楕円形の貫通孔をそれぞれ1つ設け、コア形成用硬化性樹脂の入出力部とした。
このようにして鋳型が作製された。鋳型は表面エネルギーが22dyn/cm、シェアゴム硬度が60、表面粗さが10nm以下、紫外線透過率80%以上であり、また、透明で下のものがよく観察できた。
ガラス製の固定用治具の上に、鋳型より一回り大きい膜厚188μmのクラッド用フィルム基材(アートンフイルム、JSR(株)製、屈折率1.51)を置き、この上に前記鋳型を密着させた。
次に、鋳型の8×8μmの凹部(シングルモード光導波路作製用)端部に設けた入力側貫通孔に、粘度が200mPa・sのエポキシ系紫外線硬化性樹脂(屈折率1.515)を数滴落とし、また、鋳型の50×50μmの凹部(マルチモード光導波路作製用)端部に設けた入力側貫通孔には粘度500のmPa・sのエポキシ系紫外線硬化性樹脂(屈折率1.54)を数滴落とし、それぞれの排出側(減圧吸引側)貫通孔から20kPaで減圧吸引したところ、約30分で前記凹部の全領域に紫外線硬化性樹脂が充填された。次いで、50mW/cm2のUV光を鋳型の上部から10分間照射して紫外線硬化させた。鋳型をアートンフイルムから剥離したところ、アートンフイルム上に前記原盤凸部と同じ2種類の大きさのコアが形成された。(以下の工程はすべて固定用治具の上で行った。)
次に、コアを形成したアートンフイルム上に、側部クラッドとなる、硬化後の屈折率がアートンフイルムと同じ1.51であるアクリル系紫外線硬化性樹脂を(JSR社製)ディスペンサーで塗布した。この上に別のアートンフィルム(上部クラッド)を載せ、50mW/cm2の紫外光を10分間照射して硬化させた。
最後にコア形成用硬化性樹脂が充填・硬化された入力部および出力部に相当する部分をダイシングソーで切断し、この切断面を光学端面とすることにより高分子光導波路を完成させた。
このようにして作製されたフィルム状高分子光導波路の、シングルモード光導波路端にシングルモードLD(波長1.3μm)およびPDを接続し、マルチモード光導波路端にマルチモードVCSELアレイ(富士ゼロックス製VCSEL−AM−0104、波長850nm)およびPDを接続した。このような構成によって同一基板上にシングルモードファイバー接続用光導波路と、50μmGI型マルチモードファイバー接続用光導波路を併設することが可能になった。
また前記鋳型は300回以上使用しても初期の性能が発揮できた。
実施例2
実施例1で用いたSi基板より更に大きいSi基板を用い、実施例1と同様にして、Si基板上に、8×8μm角の断面を有する4本の凸部(シングルモード光導波路に対応する凸部)と、50×50μm角の断面を有する4本の凸部(マルチモード光導波路に対応する凸部)を有する凸部を、反応性イオンエッチング法及びフォトリソグラフィー法により作製した。
次に、凸部を形成したSi基板の全面に、ポジ型厚膜フォトレジストをスピンコートにより150μmの厚で塗布し、直径300μmの紫外線を遮断するガラスファイバーを4本(ピッチ500μm)、前記フォトレジスト塗布層に埋め込み貼り付けた。この状態でプリベークを行い、全面露光した後現像して、120℃でポストベークし、図2(B)の12cで示すような断面形状を有する、マルチモード光導波路に相当する凸部を追加形成した。3種類の大きさの異なる凸部が形成された原盤が得られた。
実施例1と同様にして厚さ5mmの型を作製し、実施例1と同様に3種類の凹部端部に貫通孔を2個づつ、合計6個設けて鋳型とした。
シングルモード光導波路作製用の凹部の入力側貫通孔に、粘度が100mPa・sのアクリル系紫外線硬化性樹脂(屈折率1.515、JSR社製)を数滴落とし、また、マルチモード光導波路作製用の凹部端部に設けた入力側貫通孔には粘度800のmPa・sのエポキシ系紫外線硬化性樹脂(屈折率1.53、NTT−AT社製)を数滴落とした。更に、ガラスファイバーを利用して作製した凹部端部の入力側貫通孔に、粘度が800mPa・sのエポキシ系紫外線硬化性樹脂(屈折率1.57、NTT−AT社製)を数滴落とした。それぞれの出力側(減圧吸引側)貫通孔から20kPaで減圧吸引したところ、約5分で前記凹部の全領域に紫外線硬化性樹脂が充填された。
次いで、50mW/cm2のUV光を鋳型の上部から20分間照射して紫外線硬化させた。鋳型をアートンフイルムから剥離したところ、アートンフイルム上に前記原盤凸部と同じ形状のコアが形成された。3種類の断面高さの異なる光導波路(コア)部分はいずれも傷つくことなく形成された。
次に、コアを形成したアートンフイルム上に、側部クラッドとなる、硬化後の屈折率がアートンフイルムと同じ1.51であるアクリル系紫外線硬化性樹脂を(JSR社製)ディスペンサーで塗布した。この上に別のアートンフィルム(上部クラッド)を載せ、50mW/cm2の紫外光を10分間照射して硬化させた。
最後にコア形成用硬化性樹脂が充填・硬化された入力部および出力部に相当する部分をダイシングソーで切断し、この切断面を光学端面とすることにより高分子光導波路を完成させた。
このようにして作製されたフィルム導波路は、実施例1と同様に、シングルモードファイバー接続用光導波路及び、50μmGI型マルチモードファイバー接続用光導波路に加えて、300μm径のプラスチックファイバー接続用の光導波路も併設することが可能になった。ファイバー直径に対応した光導波路を設置することによって、ファイバーからの出射光を効率的にPDへ導くことが可能になる。
また、前記鋳型は300回以上使用しても初期の性能が発揮できた。
参考例1
この例では、図3に示すような分岐型高分子光導波路を作製した。
原盤用基板としてSi基板を用いた。最初に断面が10×10μm角の光導波路分岐部に対応する凸部作製のためのエッチングマスクを作製した。すなわち、Si基板にポジ型フォトレジストを滴下してスピンコートし、プリベークを行い厚み1μm程度のレジスト膜を形成した。光導波路分岐部の平面形状に対応する光学的開口部を有するフォトマスクを介して紫外線を露光し、その後現像し、更にポストベークを行って、Si基板上にレジスト層からなるエッチングマスクを形成した。
次に、レジスト膜をマスクにして反応性イオンエッチングを行い、マスクで遮蔽された部分以外のSi基板表面を10μmの深さでエッチングした。その後、不要になったレジスト膜を、酸素プラズマ中で灰化し除去した。Si基板表面に光導波路分岐部に対応する凸部が形成された。
次に、前記のようにして凸部が形成されたSi基板の上に、断面が100×100μm角の光導波路に対応する凸部を以下のようにして作製した。すなわち、前記凸部が形成されたSi基板全面に、ポジ型厚膜フォトレジスト(マイクロケミカル(株)製、SU−8)をスピンコート法で塗布した。これを80℃でプリベークした。プリベーク後の膜厚は100μmの厚さとなるようにした。プリベーク後のフォトレジスト層を、断面が100×100μm角の光導波路の平面形状に対応する光学的開口部を有するフォトマスクを通して(この際図3に示すような分岐凸部が形成されるように位置合わせを行う)露光した後、現像し、更に120℃でポストベークし、断面が100μm×100μm角の凸部を追加形成し、原盤とした。
次に、前記原盤に離型剤を塗布した後、熱硬化性液状ジメチルシロキサンゴム(ダウ・コウニングアジア社製:SYLGARD184、粘度5000mPa.s)及びその硬化剤を混合したものを流し込み、120℃で30分間加熱して硬化させた後、剥離して、断面が矩形の2種類の前記凸部(断面10×10μm角、100×100μm角)に対応する凹部を持った厚み5mmの型を形成した。
次に、前記型に設けられた、断面が10×10μm角の凹部の端部に、直径1mmの円形の貫通孔を打ち抜きにより形成した。これをコア形成用硬化性樹脂の出力部とする。
更に、前記型に設けられた断面が100×100μm角の凹部の両端部にも、前記と同様にして直径1mmの円形の貫通孔をそれぞれ1つ設け、コア形成用硬化性樹脂の入出力部とした。前記3つの貫通孔のうち、10×10μm角の凹部端部に設けた貫通孔及び該貫通孔と同じ側にある貫通孔を出力部とし、反対側端部にある1つの貫通孔を入力部とした。
このようにして鋳型が作製された。鋳型は表面エネルギーが22dyn/cm、シェアゴム硬度が60、表面粗さが10nm以下、紫外線透過率80%以上であり、また、透明で下のものがよく観察できた。
ガラス製の固定用治具の上に、鋳型より一回り大きい膜厚188μmのクラッド用フィルム基材(アートンフイルム、JSR(株)製、屈折率1.51)を置き、この上に前記鋳型を密着させた。次に、鋳型に設けた1つの入力側貫通孔に、粘度が500mPa・sのエポキシ系紫外線硬化性樹脂(屈折率1.54、JSR社製)を数滴落とし、2つの出力側(減圧吸引側)貫通孔から20kPaで減圧吸引したところ、約30分で前記凹部の全領域に紫外線硬化性樹脂が充填された。次いで、50mW/cm2のUV光を鋳型の上部から10分間照射して紫外線硬化させた。鋳型をアートンフイルムから剥離したところ、アートンフイルム上に、分岐型光導波路(同一屈折率、同一高度)が傷つくことなく、前記原盤凸部と同じ形状で形成された。
次に、コアを形成したアートンフイルム上に、側部クラッドとなる、硬化後の屈折率がアートンフイルムと同じ1.51であるアクリル系紫外線硬化性樹脂を(JSR社製)ディスペンサーで塗布した。この上に別のアートンフィルム(上部クラッド)を載せ、50mW/cm2の紫外光を10分間照射して硬化させた。
最後にコア形成用硬化性樹脂が充填・硬化された入力部および出力部に相当する部分をダイシングソーで切断し、この切断面を光学端面とすることにより高分子光導波路を完成させた。
このようにして作製されたフィルム状の高分子光導波路の、断面が100×100μmの光導波路端にレーザーダイオードを接続し、断面が10×10μmの光導波路に光量モニター用のフォトディテクターを接続することで、トランシーバモジュール用の出力モニター付導波路として機能させることが可能であった。またモニター分岐部分断面が相対的に小さいため出力に及ぼす影響が少なく、またフォトディテクターの大きさに対しても充分小さいため良好なモニター性能を発揮できた。
また、前記鋳型は300回以上使用しても初期の性能が発揮できた。
本発明において用いられる原盤の一例を示す図である。 本発明において用いられる原盤の他の例を示す図である。 本発明において用いられる原盤の他の例を示す図である。 本発明の高分子光導波路の製造工程を示す図である。
符号の説明
10 原盤
12 光導波路に対応する凸部
20 鋳型
26 入力側貫通孔
28 出力側貫通孔
30 クラッド用基材
40 クラッド(上部及び側部)

Claims (6)

  1. 1)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化層から形成され、かつ、屈折率が異なる複数種類の光導波路コアに対応する複数種類の凹部と、複数の前記凹部のうち屈折率が互いに同じである光導波路コアに対応する凹部同士のみの一端に共通に連通する貫通孔であって、液だめの機能を有する貫通孔と、複数の前記凹部のうち屈折率が互いに同じである光導波路コアに対応する凹部同士のみの他端に共通に連通する貫通孔と、が設けられた鋳型を準備する工程、2)前記鋳型に該鋳型との密着性が良好なクラッド用基材を密着させ、鋳型の凹部の一端にある貫通孔に、屈折率が異なる複数種類のコア形成用硬化性樹脂を、その凹部に充填すべきコア形成用硬化性樹脂に対応して充填し、鋳型の凹部の他端にある貫通孔から減圧吸引してコア形成用硬化性樹脂を前記鋳型の凹部に充填する工程、3)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させ、鋳型をクラッド用基材から剥離する工程、4)光導波路コアが形成されたクラッド用基材の上にクラッド層を形成する工程を有する、同一面内に屈折率が異なる複数種類の光導波路コアを有する高分子光導波路の製造方法。
  2. 屈折率が異なる複数種類の光導波路コアに対応する複数種類の凹部が、少なくとも厚み方向寸法も異なることを特徴とする請求項に記載の高分子光導波路の製造方法。
  3. 前記の屈折率が異なる複数種類の光導波路コアが、シングルモード光導波路コアとマルチモード光導波路コアであることを特徴とする請求項に記載の高分子光導波路の製造方法。
  4. 前記鋳型が、平坦なシリコン基板又はガラス基板の上に、ドライエッチング法、切削加工法、又はフォトリソグラフィー法、又は細線接着法の1つ又は2以上の組合わせにより、少なくとも厚み方向寸法が異なる複数種類の光導波路コアに対応する凸部を設けた原盤に、鋳型形成用硬化性樹脂の層を形成した後硬化させた硬化層を剥離し、光導波路コアに対応する凹部の一端及び他端にそれぞれ連通する貫通孔を形成することにより作製されることを特徴とする請求項に記載の高分子光導波路の製造方法。
  5. 前記鋳型形成用硬化性樹脂が液状シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1に記載の高分子光導波路の製造方法。
  6. 前記鋳型の凹部の一端にある前記貫通孔の断面積は、前記鋳型を前記クラッド用基材に密着させた場合に前記クラッド用基材から離れるに従って小さくなることを特徴とする請求項1に記載の高分子光導波路の製造方法。
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