以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
(画像形成装置)
図1は本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す模式図である。図1に示した画像形成装置は、電子写真方式にて各色成分トナー像が形成される複数(本実施の形態では四つ)の画像形成ユニット10(具体的には10K,10Y,10M,10Cであるが、これらを総称して「画像形成ユニット10」という。)、各画像形成ユニット10で形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)保持させる搬送体としての中間転写ベルト20を備えている。また、図1に示した画像形成装置は、中間転写ベルト20に転写された重ね画像を用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置30、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置50を備えている。さらに、図1に示した画像形成装置は、画像形成動作全体を制御する制御部60を有している。
複数の画像形成ユニット10のそれぞれは、図1中の矢印A方向に回転する電子写真感光体11、この電子写真感光体11を所定の電位に帯電する帯電装置12を備えている。図1において帯電装置12は帯電ロールを備える接触帯電方式帯電装置である。なお、接触帯電方式により帯電を行う場合、電子写真感光体1へのストレスは大きくなるが、図1に示した画像形成装置では、後述するように、硬化型樹脂を含有する保護層16を備える電子写真感光体が用いられているため、優れた耐久性を得ることができる。なお、接触帯電方式帯電装置の代わりに、従来から公知のコロトロン、スコロトロンによる非接触方式帯電装置を用いることもできる。
また、複数の画像形成ユニット10のそれぞれは、帯電された電子写真感光体11に静電潜像を書き込む露光装置13、各色成分トナーが収容されて電子写真感光体11上の静電潜像を現像する現像装置14を有している。露光装置13としては、電子写真感光体11表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッター等の光源を所望の像様に露光できる光学系装置等を用いることができる。これらの中でも、非干渉光を露光可能な露光装置を用いると、電子写真感光体11の支持体(基体)と感光層との間での干渉縞を防止することができる。現像装置14としては、一成分系、ニ成分系等の正規または反転現像剤を用いた従来より公知の現像装置等を用いることができる。また、使用されるトナーの形状は特に制限されず、例えば粉砕法による不定形トナーや化学重合法による球形トナーが好適に使用される。使用されるトナーは、例えば結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により得ることができる。また、上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法なども適用可能である。形状制御、粒度分布制御の観点からは、水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。トナー母材は結着樹脂と着色剤、離型剤とからなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。トナーの平均粒径は1μm以上12μm以下、好ましくは3μm以上9μm以下である。
トナーに使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等をあげることができる。また、結晶性の低融点(融点100℃以下)樹脂、特に、ポリエステル樹脂を用いることもできる。
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、トナーには必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。本実施形態におけるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナーおよび磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
トナーは上記トナー粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
トナーに添加される滑性粒子としてはグラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用でき、これらを単独で使用するか、あるいは併用しても良い。但し、平均粒径としては0.1〜10μmの範囲で、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。活性粒子のトナーへの添加量は、好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
また、トナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物を除去する目的で、酸化アルミニウム、酸化セリウム、硫酸バリウムなどの無機粒子を添加することができ、中でも酸化セリウムが好ましい。これらの無機粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上3.0μm以下、より好ましくは0.5μm以上2.0μm以下である。無機粒子を添加する場合には、トナーへの添加量は滑性粒子より多いことが好ましく、また、滑性粒子の添加量との和が0.6質量%以上であることが好ましい。
無機粒子及び滑性粒子の添加量をそれぞれ上述の好ましい範囲内とすることで、放電生成物に対するクリーニング特性と平均形状係数100以上150以下のトナーに対するクリーニング特性とを両立させることができる。
トナーには、粉体流動性、帯電制御等を目的として、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなる。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉またはそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
さらに、複数の画像形成ユニット10のそれぞれは、電子写真感光体11上に担持されたトナー像を搬送体としての中間転写ベルト20に転写する転写バイアス印加部材としての一次転写ロール15、一次転写後の電子写真感光体11上の残留物を除去するドラムクリーナー16を具備している。なお、本実施形態では、これら一次転写ロール15および中間転写ベルト20によって、転写部材が構成されている。ドラムクリーナー16は、ゴムなどの弾性材料からなるクリーニングブレードを用い、その一端のエッジを感光体等の電子写真感光体表面に当接させて、表面に付着したトナー等の現像剤を除去する方法や、導電性プラスチックを用いたブラシ等、公知のクリーニング方法が用いられる。
また、一次転写ロール15には、例えばソレノイド等からなり、中間転写ベルト20に対する付勢力を調整可能な付勢手段としてのロール付勢機構17が取り付けられている。また、電子写真感光体11を駆動するためのドラム駆動モータ18が設けられている。このドラム駆動モータ18は、高い精度で回転速度を調整することのできるステッピングモータ等にて構成される。
中間転写ベルト20は、複数(本実施形態では六つ)の支持ロール21〜26に掛け渡されている。ここで、支持ロール21は中間転写ベルト20の駆動ロールである。支持ロール22、23、26は従動ロールとして用いられる。支持ロール24は中間転写ベルト20の搬送方向に略直交する方向の蛇行を規制する補正ロール(ステアリングロール:軸方向一端部を支点として傾動自在に配設される)である。支持ロール25は後述する二次転写装置30のバックアップロールである。そして、駆動ロール21を挟んだ中間転写ベルト20には、二次転写後の中間転写ベルト20上の残留物を除去するベルトクリーナー27が配設されている。中間転写ベルト20は、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂または各種ゴムにカーボンブラック等の導電剤を適当量含有させたものから構成される。また、駆動ロール21を駆動するためのベルト駆動モータ28が設けられている。このベルト駆動モータ28も、上述したドラム駆動モータ18と同様に、高い精度で回転速度を調整することのできるステッピングモータ等にて構成される。
二次転写装置30は、中間転写ベルト20のトナー像担持面側に圧接配置される二次転写ロール31と、中間転写ベルト20の裏面側に配置されて二次転写ロール31の対向電極をなすバックアップロール25とを備えている。さらに、二次転写装置30は、バックアップロール25にトナーの帯電極性と同極性の二次転写バイアスを印加する給電ロール32が当接配置されている。
また、用紙搬送系は、シートとしての用紙Pを収容する用紙収容部40、この用紙収容部40に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送経路に搬送する送り出しロール41、送り出しロール41にて繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール42を備えている。また、搬送ロール42の用紙搬送方向下流側には、所定のタイミングで二次転写装置30に用紙Pを送り込むための位置合わせロール43が配設されている。また、二次転写装置30よりも用紙搬送方向下流側には、二次転写後の用紙Pを定着装置50まで搬送するための搬送ベルト44が設けられている。さらに、定着装置50よりも用紙搬送方向下流側には、図示しない排出受けに排出するための排出ロール45が取り付けられている。
さらに、定着装置50は、内部に加熱源を有し、回転可能に配設される加熱ロール51を備えている。また、定着装置50は、加熱ロール51に圧接配置され、加熱ロール51に従動回転する加圧ロール52を備えている。ここで、加熱ロール51は図示しない温度調整部によって所定の温度範囲となるように制御されている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。画像読取装置やパーソナルコンピュータ等から出力される画像データは、図1に示すような画像形成装置に入力される。画像形成装置では、画像処理装置にて所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット10等によって作像作業が実行される。画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色の色材階調データに変換され、露光装置13に出力される。
露光装置13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザーから出射された露光ビームを画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cの各々の電子写真感光体11に照射している。画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cの電子写真感光体11では、帯電装置12によって表面が帯電された後、この露光装置13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cの現像装置14にて、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cの電子写真感光体11上に形成されたトナー像は、各電子写真感光体11と中間転写ベルト20とが当接する一次転写部にて、中間転写ベルト20上に転写される。より具体的には、一次転写部において、一次転写ロール15にて中間転写ベルト20の基材に対しトナーの帯電極性と逆極性の電圧を付加され、未定着トナー像が中間転写ベルト20の表面に順次重ね合わせられて一次転写が行われる。このようにして一次転写された未定着トナー像は、中間転写ベルト20の回転に伴って二次転写装置30に搬送される。
一方、用紙搬送系では、画像形成のタイミングに合わせて送り出しロール41が回転し、用紙収容部40から用紙Pが供給される。送り出しロール41により供給された用紙Pは、搬送ロール42により搬送され、二次転写装置30に到達する。二次転写装置30に到達する前に、用紙Pはレジロール43によって一旦停止され、前述のようにしてトナー像が担持された中間転写ベルト20の移動タイミングに合わせてレジロール43が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写装置30では、中間転写ベルト20を介して、二次転写ロール31がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト20と二次転写ロール31との間に挟み込まれる。このとき、給電ロール32にトナーの帯電極性と同極性の電圧(本実施の形態では負極性)が印加されると、二次転写ロール31を対向電極とする転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト20上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール31とバックアップロール25とによって押圧される二次転写位置にて、用紙Pに静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト20から剥離された後、搬送ベルト44によって定着装置50まで搬送される。定着装置50に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置50によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。その後、定着画像が形成された用紙Pは排出ロール45によって図示しない排出受けに排出される。一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト20上に残った残留トナーは、中間転写ベルト20の回動に伴ってベルトクリーナー27との対向部まで搬送され、ベルトクリーナー27によって中間転写ベルト20上から除去される。
ここで、上述した画像形成動作における一次転写動作について詳細に説明する。図2は、速度設定手段あるいは付勢力設定手段としての制御部60の機能ブロック図の一例を示している。但し、図2には、一次転写動作に関連する機能ブロックのみを示している。制御部60のCPU61は、ROM62に記憶されたプログラムに従い、RAM63との間で適宜データのやりとりを行いながら処理を実行する。また、この制御部60には、入出力インタフェース64を介して、UI(ユーザインタフェース)71からの画像形成情報(画像形成開始、終了等の指示)、各画像形成ユニット10の電子写真感光体11にそれぞれ取り付けられたサイクルカウンタ72からのサイクルカウント情報(電子写真感光体11のサイクル数(合計回転数))が入力される。なお、本実施形態では電子写真感光体11のサイクル数をサイクルカウント情報として用いているが、サイクルカウント情報は画像形成ユニット10における画像形成回数または用紙Pの合計出力枚数であってもよい。
また、本実施形態に係る画像形成装置には画像形成時の温度及び湿度を検知する温湿度センサー70が設けられている。温湿度センサー70で検知された温度及び湿度に関する情報は、入出力インタフェース64を介してCPU61に入力される。CPU61は温湿度センサーから入力された情報に応じて、予めROM62に入力されたプログラムに従いRAM63との間で適宜データのやりとりを行いながら処理を実行する。
また、制御部60は、入出力インタフェース64を介して、各一次転写ロール15に対応して設けられたロール付勢機構17(具体的には17K,17Y,17M,17C)、各電子写真感光体11に対応して設けられたドラム駆動モータ18(具体的には18K,18Y,18M,18C)、ベルト駆動モータ28を制御する。
本実施形態では、制御部60により、電子写真感光体11の使用履歴に応じて、あるいは更に温湿度センサー70で検知された温度及び湿度に関する情報に応じて、下記式(1):
(式(1)中、v1は前記電子写真感光体の表面の移動速度[mm/s]を示し、v2は前記電子写真感光体の表面の移動方向に沿った前記中間転写体の表面の移動速度[mm/s]を示す。)
で表される速度比率Δvの制御が行われる。制御部60による速度比率Δvの制御処理は、例えば図3に示すフローチャートの手順に沿って行われる。
CPU61は、画像形成開始信号301が入力されると、温湿度センサー70で検知された湿度が予め設定されている基準値(本実施形態では例えば50%RH)以下であるか否かを判断する(湿度条件判断処理302)。その結果、湿度が所定値以下である場合には、その回の画像形成における移動速度比率Δvを0に決定し(303)、Δv=0の条件下での画像形成を開始する(304)。一方、湿度が所定値を超える場合には、温度条件判断処理305に移行する。なお、本実施形態では湿度の基準値を50%RHとしたが、電子写真感光体への放電生成物等の付着等に起因する画像ボケ等の画質欠陥をより確実に防止できる点から、湿度の基準値は15%RH以上45%RH以下の範囲内で設定することが好ましい。
温湿度センサー70で検知された湿度が予め設定されている基準値を超える場合、CPU61は、温湿度センサー70で検知された温度が予め設定されている基準値(本実施形態では例えば22℃)以下であるか否かを判断する(温度条件判断処理(ステップ305))。その結果、温度が所定値以下である場合には、その回の画像形成における移動速度比率Δv0に決定し(ステップ306)、Δv=0の条件下での画像形成を開始する(ステップ307)。一方、温度が所定値を超える場合には、摩耗量見積処理(ステップ308)に移行する。なお、本実施形態では温度の基準値を22℃としたが、電子写真感光体への放電生成物等の付着等に起因する画像ボケ等の画質欠陥をより確実に防止できる点から、温度の基準値は10℃以上20℃以下の範囲内で設定することが好ましい。
温湿度センサー70で検知された温度及び湿度がそれぞれ予め設定されている基準値を超える場合、CPU61は、電子写真感光体11について予め取得されているサイクル数(合計回転数)と摩耗量との相関に基づいて、電子写真感光体11の合計摩耗量を見積もり(摩耗量見積処理(ステップ308))、次いで、見積もられた摩耗量が予め設定されている基準値以下であるか否かを判断する(摩耗量判断処理(ステップ309))。その結果、見積もられた摩耗量が基準値を超えている場合は、その回の画像形成における移動速度比率Δvを0に決定し(ステップ310)、画像形成を開始する(ステップ311)。一方、見積もられた摩耗量が基準値以下の場合には、速度比率Δvを0ではない所定の値に決定し(ステップ312)、Δv>0の条件下での画像形成を開始する(ステップ313)。本実施形態においては、電子写真感光体11について予め取得されている移動速度比率Δvと摩耗量との相関についての情報がCPU61に記憶されている。また、ROMには移動速度比率Δvと摩耗量との相関に基づいて、移動速度比率Δvについての複数のΔvから一のΔvを選択するプログラムが記憶されている。そして、移動速度比率Δvについての複数の移動速度比率Δvから一の移動速度比率Δvを選択することにより、移動速度比率Δvの制御が可能となっている。本実施形態では、ステップ309の摩耗量判断処理における基準値については1つでも良いし、複数設けてより細かな移動速度比率Δvの制御をおこなっても良い。なお、摩耗量見積処理(ステップ308)は、電子写真感光体のサイクル数と摩耗量との相関の代わりに、合計画像形成回数と摩耗量との相関又は用紙Pの合計出力枚数と摩耗量との相関に基づいて行ってもよい。
(感光体実施の形態)
次に、電子写真感光体11の好ましい例について詳述する。図4、5はそれぞれ電子写真感光体の要部を示す模式断面図である。図4に示した電子写真感光体は電荷発生層と電荷輸送層とが別個に設けられた感光層を有するもの(機能分離型感光体)である。また、図5に示した電子写真感光体は電荷発生材料と電荷輸送材料との双方を含有する層が設けられたもの(単層型感光層)である。より具体的には、図4に示す電子写真感光体においては、導電性支持体112上には下引き層114、電荷発生層115、電荷輸送層116、保護層117がこの順で設けられて感光層113が構成されている。図5に示した電子写真感光体は、導電性支持体112上には下引き層114、電荷発生/電荷輸送層118、保護層117がこの順で設けられて感光層113が構成されている。
導電性支持体112としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金属板、金属ドラム、金属ベルト、あるいは導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着、あるいはラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。感光ドラムがレーザープリンターに使用される場合には、レーザーの発振波長としては350nmから850nmのものが好ましく、短波長のものほど解像度に優れるため好ましい。さらに、本実施形態の感光体を用いることでブレードクリーナーや転写ベルトとの摩擦係数が低減できるため、感光体の回転がスムーズになり、バンディングなどの画質欠陥を防止できる。さらにまた、感光体などの駆動モーターにかかる負荷が低減でき、低消費電力化することにも効果がある。また、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、支持体表面は、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが好ましい。粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、あるいは、回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化などが好ましい。Raが0.04μmより小さいと、鏡面に近くなるので干渉防止効果が得られなくなり、Raが0.5μmより大きいと、本実施形態による被膜を形成しても画質が粗くなって不適である。さらに高画質を維持するためには、下引き層13を設けるとさらによい。この下引き層は積層構造からなる感光層12の帯電時において、導電性支持体11から感光層への電荷の注入を阻止するとともに、感光層を導電性支持体に対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用、あるいは場合によっては導電性支持体の光の反射防止作用等を付加させることができる。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、基材の表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
陽極酸化処理はアルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気または沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行う。
陽極酸化膜の膜厚は0.3μm以上15μm以下が好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招く。
リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下の様に実施される。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸およびフッ酸の配合割合は、リン酸が、10〜11質量%の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は、13.5質量%以上18質量%以下の範囲が好ましい。処理温度は、42℃以上48℃以下であるが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚については0.3μm以上15μm以下が好ましい。0.3μmより薄い場合は注入に対するバリア性が乏しく効果が十分でない。また、15μmより厚い場合は繰り返し使用による残留電位の上昇を招く。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分以上60分以下の間浸漬するか、90〜120℃の加熱水蒸気に5〜60分間接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚については0.1〜5μmが好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などの皮膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
また、下引き層114に用いられる材料としてはジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物、などの有機金属化合物、とくに有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。さらに、従来より下引き層に用いられるポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。また、下引き層中には電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、バインダーなどで表面処理しても良い。電子輸送性顔料は多すぎると下引き層の強度が低下し、塗膜欠陥を生じるため95質量%以下、好ましくは90質量%以下で使用される。混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等をもちいる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであれば如何なるものでも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。下引き層114の厚みは一般的には、0.1μm以上30μm以下、好ましくは0.2μm以上25μm以下が適当である。また、下引き層114を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬塗布法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布したものを乾燥させて下引き層114を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った基材は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引き層114を形成することが好ましい。
次に電荷発生層115について説明する。電荷発生材料は、ビスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、ジブロモアントアントロンなどの縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料や、三方晶セレン、酸化亜鉛などの無機顔料など既知のもの全て使用することができるが、特に380nm〜500nmの露光波長を用いる場合には無機顔料が好ましく、700nm〜800nmの露光波長を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特開平5−263007及び、特開平5ー279591に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472及び、特開平5−140473に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873及び、特開平5−43813開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
電荷発生層115に用いられる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)は10:1〜1:10の範囲が好ましい。またこれらを分散させる方法としてはボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができるが、この際、分散によって該の結晶型が変化しない条件が必要とされる。ちなみに本実施形態で実施した前記の分散法のいずれについても分散前と結晶型が変化していないことが確認されている。さらにこの分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。またこれらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。また、本実施形態で用いる電荷発生層の厚みは一般的には、0.1〜5μm、好ましくは0.2〜2μmが適当である。また、電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬塗布法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
次いで、電荷輸送層116について説明する。電荷輸送層116としては、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して形成されるか、あるいは高分子電荷輸送材を含有して形成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、電荷輸送材料としては、モビリティーの観点から、下記一般式(a−1)、(a−2)又は(a−3)で示される化合物が好ましい。
上記式(a−1)中、R34は水素原子又はメチル基を、k10は1又は2を示す。また、Ar6及びAr7は置換もしくは未置換のアリール基、−C6H4−C(R38)=C(R39)(R40)、又は、−C6H4−CH=CH−CH=C(Ar)2を示し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。また、R38、R39、R40は水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を、Arは置換又は未置換のアリール基を示す。
上記式(a−2)中、R35及びR35’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を、R36、R36’、R37及びR37’はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R38)=C(R39)(R40)、又は、−CH=CH−CH=C(Ar)2を、R38、R39及びR40はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を、Arは置換又は未置換のアリール基を示す。また、m4及びm5はそれぞれ独立に0〜2の整数を示す。
ここで、上記式(a−3)中、R41は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリール基、又は、−CH=CH−CH=C(Ar)2を示す。Arは、置換又は未置換のアリール基を示す。R42、R42’、R43、及びR43’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。
電荷輸送層116に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1乃至1:5が好ましい。
また、高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層6の構成材料として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層6は、上記構成材料を含有する塗布液を電荷発生層5上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。電荷輸送層を形成するための塗布液に用いられる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは1種を単独で或いは2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布後の乾燥は、溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。電荷輸送層6の膜厚は、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下である。
また、画像形成時に発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層3を構成する電荷輸送層6等には酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
また、感光層3中には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。
電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等を挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
保護層117は、上述の通り、硬化性樹脂の硬化物を含んで構成されている。
硬化性樹脂としては、アルコールに可溶な硬化性樹脂が好ましい。本実施形態でいう「アルコールに可溶な硬化性樹脂」とは、炭素数5以下のアルコールから選ばれる少なくとも1種のアルコールに1質量%以上溶解可能な硬化性樹脂を意味する。アルコールに可溶な硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂が好ましく、特に、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シロキサン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの硬化性樹脂の中でも、保護層7の機械強度、電気特性及び付着物除去性の点でフェノール樹脂が好ましい。
フェノール樹脂としては、レゾルシン、ビスフェノール等、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等とを、酸又はアルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマー、及びそれらの混合物、又はそれらをオリゴマー化されたもの、およびモノマーとオリゴマーの混合物を作製する。このうち、分子の構造単位の繰り返しが2以上20以下程度の比較的大きな分子がオリゴマー、それ以下のものがモノマーである。
このとき用いられる酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、リン酸などが用いられる。また、アルカリ触媒としては、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2、Ba(OH)2、CaO、MgO等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物や酸化物、あるいはアミン系触媒や、酢酸亜鉛、酢酸ナトリウムなどの酢酸塩類などが用いられる。
アミン系触媒としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる場合がある。そのような場合は、減圧で留去させるか、酸で中和するか、シリカゲルなどの吸着剤や、イオン交換樹脂などと接触させることにより不活性化、あるいは、除去することが好ましい。また、硬化の際には、硬化触媒を用いることもできる。その際用いる触媒は電気特性等に悪影響を与えなければ特に限定されない。
保護層7は、上記の構成材料に加えて、電気特性の改良のために導電性無機粒子及び/又は電荷輸送性有機化合物を更に含有することが好ましい。
導電性無機粒子としては、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等が挙げられる。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。本実施形態において用いられる導電性粒子の平均粒径は、保護層の透明性の点で0.3μm以下が好ましく、特には0.1μm以下が好ましい。また、本実施形態においては、上述した導電性無機粒子の中でも透明性の点で金属酸化物を用いることが特に好ましい。また、分散性のコントロールなどのために粒子の表面を処理することが好ましい。処理剤としては、シランカップリング剤、シリコーンオイル、シロキサン化合物、及び界面活性剤等が挙げられる。これらはフッ素原子を含有することが好ましい。
また、電荷輸送性有機化合物としては、用いる硬化性樹脂と相溶するものが好ましく、さらに、用いる硬化性樹脂と化学結合を形成するものがより好ましい。
反応性官能基を有する電荷輸送性有機化合物としては、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)で表される化合物が、成膜性、機械強度及び安定性に優れるため好ましい。
F−[(X1)n1R1−Z1H]m1 (I)
[式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、R1はアルキレン基を示し、Z1は酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを示し、X1は酸素原子又は硫黄原子を示し、m1は1〜4の整数を示し、n1は0又は1を示す。]
F−[(X2)n2−(R2)n3−(Z2)n4G]n5 (II)
[式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、X2は酸素原子又は硫黄原子を示し、R2はアルキレン基を示し、Z2は酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを示し、Gはエポキシ基を示し、n2、n3及びn4はそれぞれ独立に0又は1を示し、n5は1〜4の整数を示す。]
F[−D−Si(R3)(3-a)Qa]b (III)
[式(III)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導されるb価の有機基を、Dは可とう性を有する2価の基を、R3は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、aは1〜3の整数を、bは1〜4の整数を示す。]
[式(IV)中、Fは正孔輸送性を有する化合物から誘導される有機基を示し、Tは2価の基を示し、Yは酸素原子又は硫黄原子を示し、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示し、R7は1価の有機基を示し、m2は0又は1を示し、n6は1〜4の整数を示す。但し、R6とR7は互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。]
[式(V)中、Fは正孔輸送性を有する化合物から誘導される有機基を示し、Tは2価の基を示し、R8は1価の有機基を示し、m3は0又は1を示し、n7は1〜4の整数を示す。]
[式(VI)中、Fは正孔輸送性を有する化合物から誘導される有機基を示し、Lはアルキレン基を示し、R9は1価の有機基を示し、n8は1〜4の整数を示す。]
また、上記一般式(I)〜(VI)で表わされる化合物における上記Fは、下記一般式(VII)で表される基であることが好ましい。
[式(VII)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を示し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を示し、且つAr1〜Ar5のうち1〜4個は、上記一般式(I)で表わされる化合物における下記一般式(VIII)で示される部位、上記一般式(II)で表わされる化合物における下記一般式(IX)で示される部位、上記一般式(III)で表わされる化合物における下記一般式(X)で示される部位、上記一般式(IV)で表わされる化合物における下記一般式(XI)で示される部位、上記一般式(V)で表される化合物における下記一般式(XII)で表される部位、又は上記一般式(VI)で表される化合物における下記一般式(XIII)と結合するための結合手を有する。]
−(X1)n1R1−Z1H (VIII)
−(X2)n2−(R2)n3−(Z2)n4G (IX)
−D−Si(R3)(3-a)Qa (X)
また、上記一般式(VII)中のAr1〜Ar4で示される置換又は未置換のアリール基としては、具体的には、下記一般式(1)〜(7)に示されるアリール基が好ましい。
上記式(1)〜(7)中、R10は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を示し、R11〜R13はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基又はハロゲン原子を示し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を示し、Dは上記一般式(VIII)〜(XIII)で表される構造のいずれかを示し、c及びsはそれぞれ0又は1を示し、tは1〜3の整数を示す。
また、上記式(7)で示されるアリール基におけるArとしては、下記式(8)又は(9)で示されるアリーレン基が好ましい。
上記式(8)、(9)中、R14及びR15はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は、ハロゲン原子を示し、tは1〜3の整数を示す。
また、上記式(7)で示されるアリール基におけるZ’としては、下記式(10)〜(17)で示される2価の基が好ましい。
式(10)〜(17)中、R16及びR17はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は、ハロゲン原子を示し、Wは2価の基を示し、q及びrはそれぞれ1〜10の整数を示し、tはそれぞれ1〜3の整数を示す。
また、上記式(16)〜(17)中、Wは下記式(18)〜(26)で示される2価の基を示す。なお、式(25)中、uは0〜3の整数を示す。
また、上記一般式(VI)におけるAr5の具体的構造としては、k=0の時は上記Ar1〜Ar4の具体的構造におけるc=1の構造が、k=1の時は上記Ar1〜Ar4の具体的構造におけるc=0の構造が挙げられる。
さらに、膜の成膜性、可とう性、潤滑性、接着性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いても良い。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコーン系ハードコート剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、AY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。また、撥水性等の付与のために、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、等の含フッ素化合物を加えても良い。シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して質量で0.25倍以下とすることが望ましい。この使用量を超えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的でアルコールに溶解する樹脂を保護層16に加えることもできる。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、ポリビニルフェノール樹脂などがあげられる。特に、電気特性の点でポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂が好ましい。当該樹脂の分子量は2,000以上100,000以下が好ましく、5,000以上50,000以下がより好ましい。樹脂の分子量が2,000未満であると樹脂の添加による効果が不十分となる傾向にあり、また、100,000を超えると溶解度が低下して添加量が制限され、さらには塗布時に製膜不良を招く傾向にある。また、当該樹脂の添加量は1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。当該樹脂の添加量が1質量%未満であると樹脂の添加による効果が不十分となる傾向にあり、また、40質量%を超えると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる。
これらの成分を含有する保護層用塗布液の調製は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の溶剤を用いて行うことができる。かかる溶剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用可能であるが、好ましくは沸点が100℃以下のものである。溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎると一般式(I)〜(VI)で表される化合物が析出しやすくなるため、一般式(I)〜(VI)で表される化合物1質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上30質量部以下、より好ましくは1質量部以上20質量部以下で使用される。
また、上記成分を反応させて塗布液を得るときには、単純に混合、溶解させるだけでもよいが、好ましくは室温以上100℃以下、より好ましくは30℃以上80℃以下で、好ましくは10分以上100時間以下、より好ましくは1時間以上50時間以下加温しても良い。また、この際に超音波を照射することも好ましい。これにより、恐らく部分的な反応が進行し、塗布液の均一性が高まり、塗膜欠陥のない均一な膜が得られやすくなる。
保護層117には、帯電装置で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。感光体表面の機械的強度を高め、感光体が長寿命になると、感光体が酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
更に、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、保護層16に各種粒子を添加することもできる。粒子の一例として、ケイ素含有粒子を挙げることができる。ケイ素含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒径が好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下のシリカを、酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。保護層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から、保護層の全固形分全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。これらのシリコーン粒子は球状で、その平均粒径は好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下である。シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状を改善することができる。すなわち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐磨耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。保護層中のシリコーン粒子の含有量は、保護層の全固形分全量を基準として、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
また、その他の粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のフッ素系粒子や“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示されるような、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO2−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル;アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル;ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類;1,3,5−トリメチル−1.3.5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類;ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類;3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類;メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類;ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等が挙げられる。
また、保護層117に表面処理された金属酸化物を添加することもできる。添加する金属酸化物としては公知のものを用いることが出来るが、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛が好ましく、電気導電性の観点から酸化錫、酸化亜鉛がより好ましい。前記金属酸化物はその他の元素を少量ドープされていても良い。例えば、ストロンチウムをドープした酸化錫や、アルミニウムをドープした酸化亜鉛等が挙げられる。
前記金属酸化物の粉体抵抗値としては、1Ω・cm以上1×107Ω・cm以下の範囲が好ましく、10Ω・cm以上1×105Ω・cm以下がさらに好ましい。粉体抵抗が10Ω・cm未満であると、保護層の抵抗値が低くなりすぎて高温高湿下で画像流れが発生し、逆に1x107Ω・cmを超えると、電気特性の悪化の懸念がある。
前記金属酸化物の平均粒径は10nm以上100nm以下の範囲が好ましく、30nm以上80nm以下が更に好ましい。平均粒径が10nm未満であると表面積が大きくなりすぎ分散性が悪化することがあり、平均粒径が100nmを超えると、保護層内で金属酸化物とバインダー、電荷輸送剤成分が不均一になり、透明性が損なわれる可能性がある。
前記金属酸化物はスルホン酸エステル基を持った加水分解性の有機ケイ素化合物、またはチオール基を有する有機ケイ素化合物、もしくはスルフィド基を有する有機ケイ素化合物のうち少なくとも1種類で表面処理される。
なお、電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂やフェノール系樹脂は、優れた機械強度を有する上に光電特性も十分であるため、これをそのまま積層型感光体の電荷輸送層として用いることもできる。その場合、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なっても良いし、複数回重ね塗布した後でも良い。
一方、電荷発生/電荷輸送層118は、電荷発生材料、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して形成される。これらの成分は電荷発生層115及び電荷輸送層116の説明で例示されたものと同様のものを用いることができる。電荷発生/電荷輸送層118中の電荷発生材料の含有量は、10質量%以上85質量%以下程度、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、電荷輸送材料の含有量は5質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。電荷発生/電荷輸送層118の形成方法は、電荷輸送層114や電荷輸送層116の形成方法と同様である。電荷発生/電荷輸送層118の膜厚は5〜50μm程度が好ましく、10μm以上40μm以下とするのがさらに好ましい。
図4、5に示した電子写真感光体の感光層113を構成する各層には、複写機中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等があげられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。また、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。本実施形態の感光体に使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらの中でも、フルオレノン系、キノン系やCl−、CN−、NO2−等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
さらに、図4、5に示した電子写真感光体の保護層117を、ブレード部材の場合と同様にフッ素系樹脂を含有する水性分散液で処理すると、さらなるトルク低減が図れるとともに転写効率の向上も図れるため好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[感光体1の作製]
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロ500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間)焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛顔料を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛100質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン1質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛顔料を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛顔料60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部とブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)40質量部を添加し、170℃、40分の乾燥硬化を行い、下引き層塗布用液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ404mm、肉厚1mmのアルミニウム基材上に浸漬塗布し、厚さ21μmの下引き層を形成した。
次いで、電荷発生物質としてX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.4°、16.6°、25.5°、28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶1質量部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1質量部とともに酢酸ブチル100質量部に加え、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させた。得られた塗布液を前記下引き層表面に浸漬塗布し、100℃にて10分間加熱乾燥して、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
更に、下記式(XVIII−1)で示される化合物1.75質量部及び下記構造式(XIX−1)で示される高分子化合物(粘度平均分子量:39,000)3.25質量部をテトラヒドロフラン10質量部及びトルエン5質量部に溶解し、得られた塗布液を前記電荷発生層表面に浸漬塗布し、135℃にて45分加熱乾燥して、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。このようにして得られた感光体を感光体1とした。
[感光体2の作製]
電荷輸送層までは感光体1と同様にして作製した。次に、下記式(XVIII−2)で表される化合物を4.5質量部、イソプロピルアルコールを15質量部、テトラヒドロフランを9質量部、及び蒸留水を0.9質量部混合し、それにイオン交換樹脂(アンバーリスト15E)を0.5質量部加え、室温で攪拌することにより2時間加水分解を行った。さらに、ブチラール樹脂を0.5質量部、レゾール型フェノール樹脂(PL−2215、群栄化学社製)を5.5質量部、ジメチルポリシロキサンを0.05質量部加え保護層形成用塗布液を調製した。この保護層形成用塗布液を浸漬塗布法で電荷輸送層の上に塗布し150℃で35分乾燥し、膜厚約8μmの保護層を形成した。このようにして得られた感光体を感光体2とした。
[感光体3の作製]
電荷輸送層までは感光体1と同様にして作製した。次に、上記式(XVIII−2)で表される化合物の代わりに下記式(XVIII−3)で表される化合物を用いた以外は実施例1と同様にして保護層を形成した。得られた感光体を感光体3とした。
[感光体4の作製]
電荷輸送層までは感光体1と同様にして作製した。次に、下記式(XVIII−4)で表される化合物2質量部、メチルトリメトキシシラン2質量部、テトラメトキシシラン0.5質量部及びコロイダルシリカ0.3質量部を、イソプロピルアルコール5質量部、テトラヒドロフラン3質量部及び蒸留水0.3質量部の混合物に溶解させ、イオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.5質量部を加え、室温で攪拌することにより24時間加水分解を行った。加水分解後の反応混合物からイオン交換樹脂を濾過分離した液に対し、アルミニウムトリスアセチルアセトナート(Al(aqaq)3)を0.1質量部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.4質量部を加え、このコーティング液を前記電荷輸送層の上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、170℃で1時間加熱処理して硬化し、膜厚約7umの保護層を形成し得られた感光体を、感光体4とした。
[画像形成装置の作製及び画像形成テスト]
(実施例1)
実施例1においては、上記の感光体2を用いて、図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、感光体2以外の要素は富士ゼロックス社製DocuCentre Colore a450のものと同様とした。また、実施例1の画像形成装置は、図2に示す制御部を備えるもので、図3に示すフローチャートの手順に沿って速度比率Δvの制御処理が行われるように設定した。湿度及び温度の基準値はそれぞれ50%RH、22℃とし、また、摩耗量を見積もる際の基準値は膜厚換算値で15nm(合計回転数:1000回転相当)とし、速度比率Δvをその前後で表5のように3%から0%に切り替える制御をした。
次に、実施例1の画像形成装置について画像形成テストを実施し、画質評価を行った。テスト環境は、実施例1では28℃、85%RHの一定条件とした。画質評価は画像密度5%のA4用紙を連続して形成し、表5に記載の合計回転数ごとに100,000回転まで画質評価を行った。また、合計回転数が100,000回転のときの表面層の残留膜厚から、感光体1000回転当たりの磨耗量を求めた。画質評価は以下の基準で実施した。
○:良好
△:極僅かに画像ぼけが発生(目視では問題なし、ルーペで確認できるレベル)
×:画像ぼけ発生(使用上問題あり)
得られた結果を表5に示す。
(実施例2)
実施例2においては、上記の感光体2を用いて、摩耗量を見積もる際の基準値を膜厚換算値で10.5nm(合計回転数:700回転相当:第1の基準)および13nm(合計回転数:2000回転相当:第2の基準)の2段階とし、第1の基準の前後で速度比率Δvを3%から1%に切り替え、第2の基準の前後で1%から0%に切り替える制御をした以外は実施例1と同様に図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。画像形成装置について実施例1と同様に画像形成テストを実施し、画質評価を行った。得られた結果を表5に示す。
(比較例1)
比較例1においては、上記の感光体2を用いて、図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、感光体2以外の要素は富士ゼロックス社製DocuCentre Colore a450のものと同様とし、温度、湿度、磨耗量による速度比率Δvの制御をせずに速度比率Δvを3%に保持して実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表5に示す。
(比較例2)
比較例2においては、上記の感光体2を用いて、図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、感光体2以外の要素は富士ゼロックス社製DocuCentre Colore a450のものと同様とし、温度、湿度、磨耗量による速度比率Δvの制御をせずに速度比率Δvを1%に設定して実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表5に示す。
(比較例3)
比較例3においては、上記の感光体2を用いて、図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、感光体2以外の要素は富士ゼロックス社製DocuCentre Colore a450のものと同様とし、温度、湿度、磨耗量による速度比率Δvの制御をせずに速度比率Δvを0%に設定して実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表5に示す。
(実施例3)
実施例3においては、上記の感光体2を用いて、摩耗量を見積もる際の基準値を膜厚換算値で2.5nm(合計回転数:500回転相当)とし、評価環境を500回転まで10℃15%RHで行い、501回転目から28℃85%RHの条件とした以外は実施例1と同様に図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。画像形成装置について実施例1と同様に画像形成テストを実施し、画質評価を行った。得られた結果を表5に示す。
(比較例4)
比較例4においては、上記の感光体2を用いて、図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、感光体2以外の要素は富士ゼロックス社製DocuCentre Colore a450のものと同様とし、評価環境を500回転まで10℃15%RHで行い、501回転目から28℃85%RHの条件とした以外は温度、湿度、磨耗量による速度比率Δvの制御をせずに速度比率Δvを0%に保持して評価を行った。得られた結果を表5に示す。
(実施例4)
実施例4においては、上記の感光体3を用いて、摩耗量を見積もる際の基準値を膜厚換算値で10nm(合計回転数:500回転相当:第1の基準)および18nm(合計回転数:1500回転相当:第2の基準)の2段階と、第1の基準の前後で速度比率Δvを3%から1%に切り替え、第2の基準の前後で1%から0%に切り替える制御をした以外は実施例1と同様に図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。画像形成装置について実施例1と同様に画像形成テストを実施し、画質評価を行った。得られた結果を表5に示す。
(比較例5)
比較例5においては、上記の感光体3を用いて、図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、感光体2以外の要素は富士ゼロックス社製DocuCentre Colore a450のものと同様とし、温度、湿度、磨耗量による速度比率Δvの制御をせずに速度比率Δvを0%に設定して実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表5に示す。
(実施例5)
実施例5においては、上記の感光体4を用いて、摩耗量を見積もる際の基準値を膜厚換算値で2.4nm(合計回転数:400回転相当)とし、基準値前後で速度比率Δvを1%から0%に切り替える制御をした以外は実施例1と同様に図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。画像形成装置について実施例1と同様に画像形成テストを実施し、画質評価を行った。得られた結果を表5に示す。
(比較例6)
比較例6においては、上記の感光体4を用いて、図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、感光体4以外の要素は富士ゼロックス社製DocuCentre Colore a450のものと同様とし、温度、湿度、磨耗量による速度比率Δvの制御をせずに速度比率Δvを0%に設定して実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表5に示す。
(比較例7)
比較例7においては、上記の感光体1を用いて、図1に示す構成を有する画像形成装置を作製した。なお、感光体1以外の要素は富士ゼロックス社製DocuCentre Colore a450のものと同様とし、温度、湿度、磨耗量による速度比率Δvの制御をせずに速度比率Δvを0%に設定して実施例1と同様に評価を行った。得られた結果を表5に示す。
10…画像形成ユニット、11…電子写真感光体、12…帯電装置、13…露光装置、14…現像装置、20…中間転写ベルト、30…二次転写装置、50…定着装置、60…制御部、