JP4950414B2 - 核酸の測定方法、それに用いる核酸プローブ及びその方法によって得られるデータを解析する方法 - Google Patents
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Description
(1)ドットブロッテング法
この方法は、標的核酸と蛍光色素で標識された核酸プローブをメンブラン上でハイブリダイズさせた後、未反応の核酸プローブを洗い流し、標的核酸とハイブリダイズした核酸プローブに標識された蛍光色素分子のみの蛍光強度を測定するものである。
この方法は、インターカレーターと称されるある種の蛍光色素が核酸の二重鎖内にはまりこんだときに、強く発光するのでその発光の増加量を測定する方法である。その蛍光色素として、例えば、エチジウムブロマイド(非特許文献2)、SYBR Rグリーン(Green)I(非特許文献3)を挙げることができる。
この方法は、標的核酸に二つの核酸プローブをハイブリダイズさせることからなる。二つの核酸プローブは、各々異なった蛍光色素で標識されている。二つのプローブの内の一方の蛍光色素は、FRET現象を通して、エネルギーを他方のプローブの蛍光色素に送りこれを発光させることができる。二つのプローブは、蛍光色素が向き合うように、かつ1〜9塩基離れてハイブリダイズするように設計されている。それで、二つの核酸プローブが標的核酸にハイブリダイズすると後者の蛍光色素の発光が起こり、発光の強さが標的核酸の複製量に比例する。
この方法で使用する核酸プローブは、核酸プローブの一端にレポーター色素、他端にクエンチャー色素が標識さている。そしてその両端部は塩基配列において互いに相補性があるので、プローブ全体としてヘアーピン構造(hairpin stem)を形成するように塩基配列が設計されている。その構造のために液中に浮遊している状態では、Forster共鳴エネルギーのため、レポーター色素の発光は、クエンチャー色素により抑制されている。しかし、標的核酸にハイブリダイズするとヘアーピン構造が壊れるために、レポーター色素とクエンチャー色素の距離が大きくなるので、Forster共鳴エネルギーの移動が起こらなくなる。そのために、レポーター色素の発光が起こるようになる。
デービスは、オリゴヌクレオチドの3’末端に蛍光色素を、炭素原子18個を有するスペサーを介して結合したプローブを作成した。これをフローサイトメトリーに適用した。3’末端に蛍光色素を直接に結合した場合より、ハイブリダイズした場合、10倍の蛍光強度が得られることを報告した。
これらの方法は、核酸の各種測定方法、FISH方法(fluorescent in situ hybridization assays)、PCR方法、LCR方法(ligase chain reaction)、SD方法(strand displacement assays)、競合的ハイブリダイゼーション方法(competitive hybridization)などに適用されてめざましい発展をとげている。
1)蛍光色素で標識された核酸プローブを用いる核酸測定方法において、前記核酸プローブが標的核酸にハイブリダイズしたときに、蛍光色素が、その発光を減少させる核酸プローブであり、前記核酸プローブを標的核酸にハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション前後における蛍光色素の発光の減少量を測定することを特徴とする標的核酸の濃度の測定方法、また、
3)核酸プローブが3’末端において蛍光色素で標識されている前記2)に記載の標的核酸の濃度測定用の蛍光色素で標識された核酸プローブ、また
4)核酸プローブが5’末端において蛍光色素で標識されている前記2)に記載の標的核酸の濃度測定用の蛍光色素で標識された核酸プローブ、また、
7)核酸プローブの5’末端塩基がG又はCで、かつ5’末端が蛍光色素で標識されている前記5)に記載の標的核酸の濃度測定用の蛍光色素で標識された核酸プローブ、また、
10)化学的に修飾した核酸が2'-O-メチルオリゴヌクレオチド、2'-O-エチルオリゴヌクレオチド、2'-O-ブチルオリゴヌクレオチド又は2'-O-ベンジルオリゴヌクレオチドである前記9)に記載の標的核酸の濃度測定用の蛍光色素で標識された核酸プローブ、また、
11)核酸測定用核酸プローブのオリゴヌクレオチドが、リボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドを含むキメリックオリゴヌクレトチド(chimeric oligonucleotide)である前記2)〜8)の何れか1項に記載の標的核酸の濃度測定用の蛍光色素で標識された核酸プローブ、また、
13)前記2)〜8)の何れか1項に記載の核酸測定用核酸プローブを、標的核酸にハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション前後における蛍光色素の発光の減少量を測定することを特徴とする標的核酸の濃度測定方法、また、
15)標的核酸をその高次構造が十分に破壊されるに適した条件で加熱処理後、核酸プローブと標的核酸をハイブリダイズさせる前記14)に記載の標的核酸の濃度測定方法。
16)ハイブリダイゼーション反応前にハイブリダイゼーション反応実施のためのハイブリダイゼーション反応系にヘルパープローブを添加する前記14)又は前記15)に記載の標的核酸の濃度測定方法、また、
18)加熱処理条件が80〜100℃、1〜15分である前記15)〜17)のいずれか1項に記載の標的核酸の濃度測定方法、また、
19)標的核酸がRNAである前記13)〜18)のいずれか1項に記載の標的核酸の濃度測定方法、また、
20)標的核酸の濃度を測定するキットにおいて、前記2)〜12)の何れか1項に記載の核酸プローブを含有又は付帯することを特徴とする標的核酸の濃度測定用キット、また、
21)ヘルパープローブを含有又は付帯する前記20)に記載の標的核酸の濃度測定用キット、また、
23)標的核酸の多型又は/及び変異を解析若しくは測定する測定キットにおいて、前記2)〜12)の何れか1項に記載の核酸プローブを含有又は付帯することを特徴とする標的核酸の多型又は/及び変異を解析若しくは測定するキット、また、
25)前記22)に記載の方法により得られるデータを解析する方法において、標的核酸が蛍光色素で標識された核酸プローブとハイブリダイズしたときの反応系の蛍光強度値を、前記のハイブリダイズしていないときの反応系の蛍光強度値により補正処理する過程を有することを特徴とする標的核酸の多型又は/及び変異を解析若しくは測定する方法のためのデータ解析方法、また、
27)前記25)に記載の補正処理過程をコンピュータに実行させるための手順をプログラムとして記録したコンピュータ読取可能な記録媒体、また、
30)固体支持体表面に結合させられた核酸プローブ毎に、反対側の表面に少なくとも一つの温度センサーとヒーターが設置され、核酸プローブ結合領域が最適温度条件になるように温度調節され得る前記28)、又は前記29)に記載の単数種若しくは複数種の核酸の濃度をそれぞれ測定するためのデバイス、また、 31)核酸プローブを蛍光色素で標識していない端部で固体支持体表面に結合させた前記28)〜30)の何れか1項に記載の単数種若しくは複数種の核酸の濃度をそれぞれ測定するためのデバイス、また、
33)前記1)、13)〜19)の何れか1項、又は前記32)に記載の核酸の測定方法において、標的核酸が、純粋分離して得た微生物由来、又は動物由来であることを特徴とする標的核酸の濃度測定方法、また、
34)標的核酸が、複合微生物系、又は共生微生物系の細胞内若しくは細胞のホモジネートに含まれる核酸である前記1)、又は前記13)〜19)の何れか1項、又は32)に記載の標的核酸の濃度測定方法、また、
37)PCR方法がリアルタイム定量的PCR方法である前記35)又は前記36)に記載のPCR方法の標的の増幅核酸の濃度測定方法、また、
fn=fhyb,n/fden,n 〔数式1〕
fn=fden,n/fhyb,n 〔数式2〕
〔式中、
fn:〔数式1〕あるいは〔数式2〕により算出されたn次サイクルにおける補正演算処理値、
fhyb,n:n次サイクルにおいて、増幅した核酸が蛍光色素と結合した後、あるいは増幅した核酸が蛍光色素で標識された核酸プローブとハイブリダイズした後の反応系の蛍光強度値、
fden,n:n次サイクルにおける、形成された蛍光色素−核酸複合体、あるいは形成されたプローブ−核酸ハイブリッド複合体が解離した後の反応系の蛍光強度値〕、また、
Fn=fn/fa 〔数式3〕
Fn=fa/fn 〔数式4〕
〔式中、
Fn:n次サイクルにおける、〔数式3〕あるいは〔数式4〕により算出された蛍光変化割合あるいは蛍光変化率、
fn:〔数式1〕あるいは〔数式2〕による補正演算処理値
fa:〔数式1〕あるいは〔数式2〕による補正演算処理値で、fnの変化が観察される以前の任意のサイクル数のもの〕、また、
(a)〔数式3〕あるいは〔数式4〕により算出された蛍光変化割合あるいは蛍光変化率のデータを用いて、〔数式5〕、〔数式6〕あるいは〔数式7〕による演算処理する過程、
logb(Fn)、ln(Fn) 〔数式5〕
logb{(1−Fn)×A}、ln{(1−Fn)×A} 〔数式6〕
logb{(Fn−1)×A}、ln{(Fn−1)×A} 〔数式7〕
〔式中、
A、b:任意の数値、
Fn:〔数式3〕あるいは〔数式4〕により算出されたn次サイクルにおける蛍光変化割合あるいは蛍光変化率〕、
(b)前記(a)の演算処理値が一定値に達したサイクル数を求める演算処理過程、
(c)既知濃度の核酸試料におけるサイクル数と反応開始時の標的核酸のコピー数の関係式を計算する演算処理過程、
(d)未知試料におけるPCR開始時の標的核酸のコピー数を求める演算処理過程、
を有することを特徴とするリアルタイム定量的PCR方法のためのデータ解析方法、また、
44)標的核酸について前記4)又は前記7)に記載の核酸プローブをプライマーとして用いてPCRを行い、標的核酸の融解曲線の分析を行って各増幅核酸のTm値を求めることを特徴とする標的核酸の融解曲線の分析方法、また、
46)前記39)に記載のデータ解析方法によりデータを解析する過程、前記40)に記載のデータ解析方法によりデータを解析する過程、前記41)に記載のデータ解析方法によりデータを解析する過程、前記42)に記載のデータ解析方法によりデータを解析する過程、前記45)に記載のデータ解析方法によりデータを解析する過程、を実施するための手段をそれぞれ有することを特徴とするリアルタイム定量的PCRの測定及び/又は解析装置、また、
49)核酸定量方法において、前記46)に記載の装置を利用することを特徴とする核酸の定量方法、また、
50)核酸定量方法において、前記47)に記載のコンピュータ読取可能な記録媒体を用いることを特徴とする核酸の定量方法、
を提供する。
1)本発明の標的核酸の濃度を測定する方法、本発明の各種の核酸プローブ、特に2−O−アルキルオリゴヌクレオチド若しくは2−O−アルキレンオリゴヌクレオチド、2−O−ベンジルオリゴヌクレオチドなど化学的修飾オリゴヌクレオチドなどからなる本発明の核酸プローブ、またオリゴリボヌクレオチドとオリゴデオキシリボヌクレオチドが介在するキメリックオリゴヌクレオチドなどからなる本発明の核酸プローブ、それらの本発明の核酸プローブを含有若しくは付帯する、標的核酸の濃度を測定する測定キット、及び前記の本発明の核酸プローブを結合してなるDNAチップなどの核酸チップ若しくは核酸デバイスを用いると、測定系から未反応の核酸プローブを除く等の操作をすることがないので、標的核酸の濃度を短時間でかつ簡便に測定できる。また、複合微生物系又は共生微生物系に適用すると、当該系における特定菌株の存在量を特異的かつ短時間に測定できる。また、本発明は標的核酸若しくは遺伝子のSNPなどの多型又は変異などの解析若しくは測定する簡便な方法を提供している。
2)また、本発明の定量的PCR方法は、次のような効果を有する。
a.TaqDNAポリメラーゼによる標的核酸の増幅に阻害的に作用する因子が添加されていないことから、従来公知の特異性のある通常のPCRと同様の条件で定量的PCRを行うことができる。
b.また、PCRの特異性を高く保つことができるので、プライマーダイマーの増幅が遅くなることから、従来公知の定量的PCRと比較すると定量限界が約1桁のオーダー低くなる。
c.複雑な核酸プローブを用意する必要がないので、それに要する時間と費用が節約できる。
d.標的核酸の増幅効果も大きく、増幅過程をリアルタイムでモニタリングすることができる。
3)また、リアルタイム定量的PCR方法で得られたデータを解析する際、本発明のデータ解析方法を用いて、未知核酸コピー数の核酸試料について核酸のコピー数を求める検量直線を作成すると、検量線の相関係数は従来の方法により得られたものに較べて格段に高い。それで、本発明のデータ解析方法を用いると核酸の正確なコピー数を求めることができる。
4)また、本発明のリアルタイム定量的PCR方法によって得られたデータの解析方法に係るデータ解析用ソフトウエア、また、その解析方法の手順をプログラムとして記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、また、それを用いたリアルタイム定量的PCRの測定若しくは解析装置を用いると、相関係数の高い検量直線を自動的に作成することができる。
5)また、本発明の新規な核酸の融解曲線の分析方法を用いると、精度の高い、核酸のTm値を求めることができる。更に、当該方法に係るデータ解析用ソフトウエア、また、その分析方法の手順をプログラムとして記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、また、それを用いたリアルタイム定量的PCRの測定若しくは解析装置を用いると、正確なTm値を求めることができる
本発明の第一の特徴は、蛍光色素で標識された核酸プローブを用いる標的核酸の濃度を測定する方法において、当該核酸プローブが標的核酸にハイブリダイズしたときに生ずる、ハイブリダイゼーション前後における蛍光色素の発光の減少量を測定することにある。
本発明において、プローブ−核酸ハイブリッド複合体とは、本発明の蛍光色素で標識された核酸プローブが標的核酸とハイブリダイズした状態のもの(複合体)のことを云う。そして簡便化のために、以下、核酸ハイブリッド複合体と略称する。
蛍光色素−核酸複合体とは、蛍光色素が標的核酸と結合した複合体のことを云う。例えば、2重鎖核酸内にインターカレターが結合した状態ものを挙げることができる。
また、本発明において、DNA、RNA、cDNA、mRNA、rRNA、XTPs、dXTPs、NTPs、dNTPs、核酸プローブ、ヘルパー核酸プローブ(又は核酸ヘルパープローブ、又は単にヘルパープローブ)、ハイブリダイズ、ハイブリダイゼーション、インターカレーター、プライマー、アニーリング、伸長反応、熱変性反応、核酸融解曲線、PCR、RT−PCR、RNA−primed PCR、Stretch PCR、逆PCR、Alu配列を利用したPCR、多重PCR、混合プライマーを用いたPCR、PNAを用いたPCR法、ハイブリダイゼーションアッセイ方法(hybridization assays)、FISH(fluorescent in situ hybridization assays)方法、PCR方法(polymerase chain assays)、LCR方法(ligase chain reaction)、SD方法(strand displacement assays)、競合的ハイブリダイゼーション方法(competitive hybridization)、DNAチップ、核酸検出用(遺伝子検出用)デバイス,SNP(スニップ:一塩基置換多型)、複合微生物系等の用語は、現在、分子生物学、遺伝子工学、微生物工学等で一般的に使用されている用語と同じ意味である。
標的核酸濃度測定用デバイスとは各種のDNAチップなどのことをいう。その具体例としては、とりもなおさず各種のDNAチップを挙げることができる。本発明においては本発明の核酸プローブが適用できるならば、どのような形式のDNAチップでもよい。
蛍光色素で標識された核酸プローブ(以下、単に本発明の核酸プローブ又は本発明のプローブという。)を用いて、標的核酸の濃度を測定する方法(以下、簡便化のために、単に核酸測定方法という。)とは、ハイブリダイゼーション方法(hybridization assays)、FISH方法(fluorescent in situ hybridization assays)、PCR方法(polymerase chain assays)、LCR方法(ligase chain reaction)、SD方法(strand displacement assays)、競合的ハイブリダイゼーション方法(competitive hybridization)などの方法により標的核酸の濃度を測定することをいう。
従来、これらの方法では、蛍光色素で標識された核酸プローブを加えた後、標的核酸にハイブリダイズしなかった未反応の当該核酸プローブの蛍光色素を測定系から洗浄等の方法で除去し、標的核酸にハイブリダイズした当該核酸プローブに標識された蛍光色素を当該プローブから直接的に、又は当該プローブに間接的な手段を施して(例えば、酵素を作用させたりして)、発光させて、その発光量を測定する方法である。本発明は、これらの方法においてこのような複雑な操作をしないで目的核酸を測定することに特徴がある。
なお、本発明において、オリゴヌクレオチドなる用語は、オリゴデオキシリボヌクレオチド又はオリゴリボヌクレオチド若しくはその双方を意味するもので、それらを総称するものとする。
2-O-アルキルオリゴリボヌクレオチド、2-O-アルキレンオリゴリボヌクレオチド、2-O-ベンジルオリゴリボヌクレオチドは、公知の方法(Nucleic Acids Research、26巻、2224〜2229ページ、1998年)で合成できる。また、GENSET(株式会社)(フランス)が委託合成を行っているので、容易に入手できる。本発明者らは当該会社に当該化合物の合成を委託して実験を行って、本発明を完成した。
本発明の核酸プローブを使用してRNAを測定する場合、当該プローブとハイブリダイズさせる前に、試料であるRNA溶液を、80〜100℃、好ましくは90〜100℃、最適には93〜97℃で、1〜15分間、好ましくは2〜10分間、最適には3〜7分間、加熱処理してRNAの高次構造を破壊することがハイブリダイゼーション効率を向上させるのに好適である。
本発明の核酸プローブの塩基鎖が35塩基以下の場合、ヘルパープローブの利用は、特に効果的である。35塩基鎖を超える本発明の核酸プローブを使用する場合は、標的のRNAを熱変性するだけでよい場合もある。
前記のようにして、本発明の核酸プローブをRNAにハイブリダイズさせると、ハイブリダイゼーション効率が高まるので反応液中のRNAの量に応じて蛍光強度が減少し、最終RNA濃度が約150pMまでRNAを測定できるようになる。
かくして、本発明は、本発明の核酸プローブを含有若しくは付帯する、標的核酸の濃度を測定する測定キットに前記のヘルパープローブを含有、付帯させるなる、標的核酸の濃度を測定する測定キットでもある。
(1)当該プローブにハイブリダイズした標的核酸の末端塩基部から1ないし3塩基離れて、標的核酸の塩基配列にG(グアニン)がすくなとも1塩基以上存在するように、当該プローブの塩基配列が設計されいる塩基配列、
(2)当該プローブの末端部分において核酸ハイブリッド複合体の複数の塩基対が少なくとも1対のG(グアニン)とC(シトシン)のペアーを形成するように、当該プローブの塩基配列が設計されている塩基配列、が好ましい。
それで本発明は、標的核酸の多型(polymorphism)又は/及び変異(mutation)を解析若しくは測定する方法のためのデータ解析方法を提供する。
この場合、塩基配列の異なる多くの本発明の核酸プローブを、個別に同一固体表面上に結合しているデバイスをつくることにより、同時に多種類の標的核酸を測定できる。
このデバイスにおいては、プローブ毎に、前記固体の本発明の核酸プローブを結合した面と反対側の面に少なくとも一つの温度センサーとヒーターが設け、そのプローブを結合した前記固体の領域が最適温度条件になるように温度調節され得るように設計されているのが好適である。
蛍光色素で標的核酸を標識するには、例えば、特定mRNAを標的とした場合、次のステップ(steps)を取る:(1)細胞から抽出されたmRNA全部を抽出する。(2)それから、逆転写酵素(reverse transcriptase)を用いて、蛍光色素で修飾されヌクレオサイドをとり込ませながらcDNAを合成する。本発明ではこのような操作は必要がない。
本発明の測定方法において、先ず、測定系に本発明の核酸プローブを添加し、標的核酸にハイブリダイズさせる。その方法は、通常の既知方法で行なうことができる(Analytical Biochemistry、183巻、231〜244頁、1989年;Nature Biotechnology、14巻、303〜308頁、1996年;Applied and Environmental Microbiology、63巻、1143-1147頁、1997年)。例えば、ハイブリダイゼーションの条件は、塩濃度が0〜2モル濃度、好ましくは0.1〜1.0モル濃度、pHは6〜8、好ましくは6.5〜7.5である。
前記のようにして、本発明の核酸プローブを標的核酸にハイブリダイズさせる。そして、ハイブリダイゼーションの前後で、蛍光色素の発光量を蛍光光度計で測定し、発光の減少量を計算する。その減少量の大きさは標的核酸の濃度と比例するので、標的核酸の濃度を求めることができる。
a)FISH方法に適用した場合
即ち、本発明は色々の種類の微生物が混在するか、若しくは一種類以上の微生物が動物や植物由来の細胞と共に混在していて、相互に単離できない微生物系(複合微生物系、共生微生物系)の細胞内若しくは細胞のホモジネート等の核酸測定に好適に適用できる。ここでいう微生物とは一般的にいう微生物のことで、特に限定されるものではない。例えば、真核微生物、原核微生物、その他、マイコプラズマ、ウイルス、リッケチャ等を挙げることができる。そして、ここの系でいう標的核酸とは、これらの微生物系において、例えば、どのように活躍しているのか調べたい菌株の細胞に特異性を有する塩基配列をもつ核酸のことである。例えば、特定菌株の5SrRNA、16SrRNA若しくは23SrRNA又はそれらの遺伝子DNAの特定配列である。
前記のような条件で本発明の核酸プローブを特定菌株の5SrRNA、16SrRNA若しくは23SrRNA又はそれの遺伝子DNAにハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション前後の複合微生物系又は共生微生物系の蛍光色素の発光の減少量を測定する。
PCR方法であればどのような方法でも適用できるのであるが、リアルタイム定量的PCR方法に適用する場合を以下に記す。
即ち、リアルタイム定量的PCR方法において、本発明の特定の核酸プローブを用いてPCRを行い、反応前後の蛍光色素の発光の減少をリアルタイムで測定するものである。
本発明のPCRとは各種方法のPCRを意味するものである。例えば、RT−PCR、RNA−primed PCR、Stretch PCR、逆PCR、Alu配列を利用したPCR、多重PCR、混合プライマーを用いたPCR、PNAを用いたPCR法等をも含む。また、定量的とは、本来の定量測定の他に、検出程度の定量測定をも意味するのは前記同様である。
(1)核酸プローブの末端部、好ましくは末端が、本発明の蛍光色素で標識されており、当該核酸プローブが標的核酸にハイブリダイズしたとき、当該プローブの蛍光色素で標識された末端部もしくは末端にハイブリダイズした標的核酸の末端塩基から1ないし3塩基離れて、標的核酸の塩基配列にG(グアニン)が少なくとも1塩基存在するように、当該プローブの塩基配列が設計されている。
(2)前記(1)のうち、核酸プローブが3’末端において蛍光色素で標識されている。
(4)核酸プローブが、標的核酸にハイブリダイズしたとき、プローブ末端部分において核酸ハイブリッド複合体の複数塩基対が少なくとも一つのG(グアニン)とC(シトシン)のペアーを形成するように、当該プローブの塩基配列が設計されている。
(5)前記(4)のうち、核酸プローブの3’末端塩基がG又はCで、かつ3’末端が蛍光色素で標識されている。
(6)前記(4)のうち、核酸プローブの5’末端塩基がG又はCで、かつ5’末端が蛍光色素で標識されている。
(7)前記(1)〜(6)の核酸プローブが、3’末端のリボース若しくはデオキシリボースの3’位炭素の水酸基、又は3’末端のリボースの3’位若しくは2’位炭素の水酸基がリン酸化されている。
(8)前記(1)〜(6)の核酸プローブのオリゴヌクレオチドが、化学的に修飾されている。
この場合、本発明の核酸プローブの塩基配列を、SNP(スニップ;一塩基置換多型)を含む領域と相補的な配列にすることで、PCR終了後、その核酸の本発明の核酸プローブから解離曲線を解析することにより、その解離曲線の違いからSNPの検出ができる。本発明の核酸プローブの配列としてSNPを含む配列と相補的な塩基配列を使用すれば、プローブ配列とSNPを含む配列との解離曲線より得られるTm値は、SNPを含まない配列との解離曲線から得られるTm値より高くなる。
リアルタイム定量的PCR方法は、現在、PCRを行わせる反応装置、蛍光色素の発光を検出する装置、ユーザーインターフェース、即ち、データ解析方法の各手順をプログラム化して、それを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(別称:Sequence Detection Software System)、及びそれらを制御し、データ解析するコンピュータから構成される装置で、リアルタイムで測定されている。それで、本発明の測定もこのような装置で行われる。
第一の特徴は、リアルタイム定量的PCR方法で得られたデータを解析する方法において、各サイクルにおける増幅した核酸が蛍光色素と結合したとき、あるいは増幅した核酸が本発明の核酸プローブとハイブリダイズしたときの反応系の蛍光強度値を、各サイクルにおける前記の蛍光色素と核酸が結合したもの、すなわち蛍光色素−核酸複合体、あるいは前記本発明の核酸プローブと標的核酸がハイブリダイズしたもの、すなわち核酸ハイブリッド複合体が解離したときの反応系の蛍光強度値により補正する演算処理過程、即ち、補正演算処理過程である。
また、「前記の蛍光色素−核酸複合体、あるいは前記の核酸ハイブリッド複合体が解離したときの反応系」とは、PCRの各サイクルにおける核酸の熱変性の反応系、具体的には、反応温度90〜100℃、好ましくは94〜96℃のときのもので、反応が完了した系を例示できる。
fn=fhyb,n/fden,n 〔数式1〕
fn=fden,n/fhyb,n 〔数式2〕
〔式中、
fn:〔数式1〕あるいは〔数式2〕により算出されたn次サイクルにおける補正演算処理値、
fhyb,n:n次サイクルにおける、増幅した核酸が蛍光色素と結合したとき、あるいは増幅した核酸が本発明の核酸プローブとハイブリダイズしたときの反応系の蛍光強度値、
fden,n:n次サイクルにおける、前記の蛍光色素−核酸複合体、あるいは核酸ハイブリッド複合体が解離したときの反応系の蛍光強度値〕
尚、本過程においては、上記の処理で得られた補正演算処理値をコンピュータのデスプレー上に表示及び/又は当該値を各サイクル数の関数としてグラフの形で同様に表示及び/又は印字するサブステップを含むものである。
Fn=fa/fn 〔数式4〕
〔式中、
Fn:n次サイクルにおける、〔数式3〕あるいは〔数式4〕により算出された蛍光変化割合あるいは蛍光変化率、
fn:n次サイクルにおける〔数式1〕あるいは〔数式2〕による補正演算処理値
fa:〔数式1〕あるいは〔数式2〕による補正演算処理値で、fnの変化が観察される以前の任意のサイクル数のものであるが、通常は、例えば、10〜40サイクルのもの、好適には15〜30サイクルのもの、より好適には20〜30サイクルのものが採用される。〕
尚、本過程においては、上記処理で得られた算出値コンピュータのデスプレー上に表示及び/又は印字する、又は比較値若しくは当該値を各サイクル数の関数としてグラフの形で同様に表示及び/又は印字するサブステップを含むものであるが、〔数式1〕あるいは〔数式2〕による補正演算処理値については、上記サブステップを適用しても、しなくともよい。
(3.1)〔数式3〕あるいは〔数式4〕により算出された蛍光変化割合あるいは蛍光変化率のデータを用いて、〔数式5〕、〔数式6〕あるいは〔数式7〕による演算処理する過程、
logb(Fn)、ln(Fn) 〔数式5〕
logb{(1−Fn)×A}、ln{(1−Fn)×A} 〔数式6〕
logb{(Fn−1)×A}、ln{(Fn−1)×A} 〔数式7〕
A、b:任意の数値、好ましくは整数値、より好ましくは自然数である。そして、A=100、b=10のときは、{(Fn−1)×A}は百分率(%)で表わされる。
Fn:〔数式3〕あるいは〔数式4〕により算出されたnサイクルにおける蛍
光変化割合あるいは蛍光変化率〕、
(3.2)前記(3.1)の演算処理値が一定値に達したサイクル数を求める演算処理過程、
(3.3)既知濃度の核酸試料におけるサイクル数と反応開始時の標的核酸のコピー数の関係式を計算する演算処理過程、
(3.4)未知試料におけるPCR開始時の標的核酸のコピー数を求める演算処理過程、
を有するデータ解析方法である。そして、(3.1)→(3.2)→(3.3)→(3.4)の順からなる過程が好適である。
尚、〔数式1〕あるいは〔数式2〕による補正演算処理値、〔数式3〕あるいは〔数式4〕による算出処理値を、各サイクル数の関数としてにグラフの形でコンピュータのデスプレー上に表示及び/又は印字しても、しなくてもよいので、それらの表示及び/又は印字のサブステップは必要に応じて追加すればよい。
即ち、本発明のPCR法により増幅された核酸について、低い温度から核酸が完全に変性するまで、温度を徐々に上げる過程(例えば、50℃から95℃まで)、この過程において、短い時間間隔(例えば、0.2℃〜0.5℃の温度上昇に相当する間隔)で蛍光強度を測定する過程、測定結果を時間の関数としてデスプレー上に表示する過程、即ち、核酸の融解曲線を表示する過程、この融解曲線を微分して微分値(−dF/dT、F:蛍光強度、T:時間)を得る過程、その値を微分値としてデスプレー上に表示する過程、その微分値から変曲点を求める過程からなる、解析方法である。本発明においては、蛍光強度は温度が上がるごとに増加する。本発明においては、各サイクルにおける核酸伸長反応時、好ましくはPCR反応終了時の蛍光強度値を熱変性反応時の蛍光強度値を用いて割る演算処理する過程を上記の過程に追加することにより、より好ましい結果が得られる。
実施例1
大腸菌(Escherichia coli)の16SrRNAの核酸塩基配列にハイブリダイズする、即ち、(3')CCGCTCACGC ATC(5')の塩基配列を有する核酸プローブの調製を以下の通りに行った。
殺菌したニュウトリエントブロス(NB)(Difco社製)液体培地50ml(組成:NB、0.08g/100ml)が添加された200ml容の(殺菌された)三角フラスコを用いて、大腸菌JM109株を37℃で一晩振蘯培養した。次に、本培養液に99.7%エタノールを当量添加した。このエタノール添加培養液2mlを2.0ml容量のエッペンドルフ遠心チューブで遠心分離し、菌体を得た。30mMリン酸緩衝液(ソーダ塩)(pH:7.2)100μlで菌体を一回洗浄した。菌体を130mMのNaCl含有の前記リン酸緩衝液100μlに懸濁した。当該懸濁液を氷冷中で40分間超音波処理し(出力:33w、発振周波数:20kHz、発振法:0.5秒発振、0.5秒休止)、ホモジネートを作製した。
核酸プローブの調製:大腸菌JM109株の23SrRNAにハイブリダイズする(5')CCCACATCGTTTTGTCTGGG(3')の塩基配列をもつオリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオチドの3’位炭素のOH基に、−(CH2)7−NH2を結合したものを、実施例1と同様にメドランド・サーテイファイド・レージント・カンパニー社(Midland Certified Reagent Company、米国)から購入した。更に、実施例1と同様にモレキュラープローブ(Molecular Probes)社からフロオ・リポーターキット(FluoReporter Kit)F-6082(ボデピーFLのプロピオン酸サクシニミジルエステル(BODIPY FL propionic acid succinimidyl ester)の他に、当該化合物をオリゴヌクレオチドのアミン誘導体に結合する試薬を含有するキット)を購入した。当該キットを前記オリゴヌクレオチドに作用させて、ボデピーFLで標識した核酸プローブを合成した。得られた合成物を実施例1と同様に精製して、最初のオリゴヌクレオチド原料2mMより25%の収率でボデピーFLで標識した核酸プローブを得た。
実施例2で得られた大腸菌JM109株の菌体に実施例2と同一の培地及び培養条件で調製したシュウドモナス・プウシモビルス 421Y株(Pseudomonas paucimobilis)(現在名:スフィンゴモナス・プウシモビルス)(FERM P-5122)の菌体をOD660値で大腸菌JM109株と同濃度混合し、複合微生物系を調製した。得られた混合液(大腸菌JM109株の菌体濃度は実施例2と同一)について実施例2と同じ方法によりホモジネートを調製した。実施例3で調製した核酸プローブを用いて、励起光を543nm、また、測定蛍光色を569nmにする以外は、実施例2と同様な実験を行った結果、実施例2と同様な結果を得た。
蛍光消光現象における標的核酸の塩基選択性、即ち、本発明の塩基特異性を検討した。下記に示す標的合成デオキシリボオリゴヌクレオチド(30mer)の10種類(poly a〜poly j)をDNA合成機ABI394(Perkin Elmer社製、米国)で調製した。
上記の合成DNAに対応するプライマーDNAの5’末端のリン酸基に、−(CH2)6-NH2を結合したものをメドランド・サーテイファイド・レージント・カンパニー社(Midland Certified Reagent Company、米国)から購入した。更に、モレキュラープローブ(Molecular Probes)社からフロオ・リポーターキット(FluoReporter Kit)F-6082(ボデピーFL/C6のプロピオン酸サクシニジルエステル(BODIPY FL propionic acid succinidyl ester)の他に、当該化合物をオリゴヌクレオチドのアミン誘導体に結合させる試薬を含有するキット)を購入した。当該キットを前記購入のプライマーDNAに作用させて下記のボデピーFLで標識した本発明のプローブprobe a〜d、及びf〜hのを合成した。そして対応する合成デオキシリボオリゴヌクレオチドとハイブリダイズしたときに、蛍光色素の発光がどの程度減少するかを下記の条件下に調べ、本発明のプローブの特異性を検討した。
下記のような塩基配列の標的核酸と本発明の核酸プローブを調製した。標的核酸内のG及び本発明の核酸プローブ内のGの数の影響について、前記実施例と同様にして調べた。
前記と同様にして下記のような塩基配列の標的核酸と本発明の核酸プローブを調製した。なお、本実施例における本発明の核酸プローブはオリゴヌクレオチドの5’末端部をボデピーFL/C6で標識したものである。標的核酸内の塩基種及び本発明の核酸プローブ内の塩基種の影響について、前記実施例と同様にして調べた。
本発明の核酸プローブに標識する色素の種類について、前記実施例と同様にして調べた。なお、本発明のプローブは、前記実施例7のプローブzを、また、標的核酸は前記実施例7のオリゴヌクレオチドzを用いた。
その結果を、表4に示した。表から分かるように、本発明に用いる蛍光色素として好適なものは、FITC、BODIPY FL、BODIPY FL/C3、6-joe、TMRなどを挙げることができる。
本発明の核酸プローブの調製:大腸菌JM109株の16SrRNAの1156塩基目から1190塩基の塩基配列に相当するKYM−7株の16SrRNA塩基配列に特異的にハイブリダイズする(5')CATCCCCACC TTCCTCCGAG TTGACCCCGG CAGTC(3')(35塩基対)の塩基配列をもち、1〜16及び25〜35塩基目がデオキシリボヌクレオチド、17〜24塩基目が2’位炭素のOH基をメチル基で修飾(エーテル結合で修飾)したリボオリゴヌクレオチドからなり、その5’末端のリン酸基のOH基を-(CH2)7-NN2で修飾して結合したオリゴヌクレオチドを、実施例1と同様にメドランド・サーテイファイド・レージント・カンパニー社(Midland Certified Reagent Company、米国)から購入した。また、2-O-Meプローブ(2-O-Meオリゴヌクレオチドからなるプローブを単に2-O-Meプローブという。)に使用する2-O-Meオリゴヌクレオチドは、GENSET株式会社(フランス)に合成を委託し、得たものである。
更に実施例1と同様にモレキュラープローブ(Molecular Probes)社からフロオ・リポーターキット(FluoReporter Kit)F-6082(ボデピーFL/C6のプロピオン酸サクシニミジルエステル(BODIPY FL/C6 propionic acid succinimidyl ester)の他に、当該化合物をオリゴヌクレオチドのアミン誘導体に結合する試薬を含有するキット)を購入した。当該キットを前記オリゴヌクレオチドに作用させて、ボデピーFL/C6で標識した本発明の核酸プローブを合成した。得られた合成物を実施例1と同様に精製して、最初のオリゴヌクレオチド原料2mMより23%の収率でボデピーFL/C6で標識した本発明の核酸プローブを得た。このプローブを35塩基鎖2-O-Meプローブと名づけた。
前記の16SrRNAを95℃で5分加熱処理した後、それを下記に示す反応条件においた前記のプローブ溶液に添加した後、蛍光測定機器パーキンエルマー(Perkin Elmer)LS-50Bで蛍光強度を測定した。その結果を図2に示した。尚、上記の加熱処理しない16SrRNAを用いたものをコントロールとした。加熱処理した実験区においては、蛍光強度の減少が大きいことが図2から分かる。この結果は、16SrRNAを95℃で加熱処理することで本発明のプローブとより強いハイブリダイゼーションをしていることを示している。
前記の16SrRNAにハイブリダイズする下記の各種の本発明の核酸プローブ及び各種のヘルパープローブを前記実施例9と同様にして調製した。また、2-O-Meプローブに使用する2-O-Meオリゴヌクレオチドは、すべてGENSET株式会社(フランス)に合成を委託し、得たものである。そして下記の条件にて、本発明の2-O-Meプローブの効果、当該プローブの塩基鎖の長さの影響、及びヘルパープローブの効果について、下記の図3A、B、C、及びDの実験系で前記実施例9と同様にして検討した。その結果を図3に示した。
図から、本発明の2-O-Meプローブがハイブリダイゼーション効率に寄与していることが分かる。また、2-O-Meプローブの塩基鎖が短い場合にヘルパープローブがハイブリダイゼーション効率を高めるのに役立っている。
2)35塩基鎖DNAプローブ: 前記1)の35塩基鎖2-O-Meプローブと同じ塩基配列であるが、オリゴヌクレオチドがデオキシリボースで構成されているプローブ、
3)17塩基鎖2-O-Meプローブ: 前記1)の35塩基鎖2-O-Meプローブと同じ塩基配列であるが、5’末端から8塩基分、3’末端から10塩基分のヌクレオチドを削除したプローブ、
4)17塩基鎖DNAプローブ: 前記2)の33塩基鎖DNAプローブと同じ塩基配列であるが、3’末端から16塩基分のヌクレオチドを削除したプローブ、
6)リバース型2-O-Meヘルパープローブ: 前記実施例9のリバース型ヘルパープローブの中央8塩基分(5’末端から数えて9塩基〜16塩基分)のリボースの2’位炭素のOH基を、メチル基で修飾(エーテル結合)したヘルパープローブ、
7)フォワード型DNAヘルパープローブ: 前記実施例9のフォワード型ヘルパープローブの塩基配列と同じ塩基配列であるが、オリゴヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチドで構成されているヘルパープローブ、
8)リバース型DNAヘルパープローブ: 前記実施例9のリバース型ヘルパープローブの塩基配列と同じ塩基配列であるが、オリゴヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチドで構成されているヘルパープローブ、
9)35塩基オリゴリボヌクレオチド: (5')CATCCCCACC TTCCTCCGAG TTGA CCCCGG CAGTC(3')なる塩基配列を有するオリゴリボヌクレオチド、
10)17塩基鎖オリゴリボヌクレオチド: (5')CCTTCCTCCG AGTTGAC(3')なる塩基配列を有するオリゴリボヌクレオチド。
前記rRNAを、0.1〜10nMの範囲のさまざまな濃度において、95℃で5分間加熱後、得られた核酸溶液を予め下記反応条件においた反応液に添加し、1000秒後、蛍光強度の減少をパーキンエルマーLS-50Bを使用して測定した。その結果を図4に示した。図から検量線は0.1〜10nMにおいて直線性を示すことが分かる。なお、下記の35塩基鎖2-O-Meプローブは実施例9と同じプローブである。
セルロモナス(Cellulomonas)sp.KYM-7(FERM P-11339)及びアグロバクテリウム(Agrobacterium)sp. KYM-8(FERM P-16806)の各々のrRNAにハイブリダイズする下記の本発明の35又は36塩基鎖オリゴデオキシリボヌクレオチド2-O-Meプローブを前記と同様にして調製した。各プローブの塩基配列は下記の通りである。
(5')CATCCCCACC TTCCTCCGAG TTGACCCCGG CAGTC(3')(アンダーライン部分がメチル基で修飾されている。)。
アグロバクテリウムsp.KYM-8のrRNA測定のための36塩基鎖オリゴデオキシリボヌクレオチド2-O-Meプローブ:
(5')CATCCCCACC TTCCTCTCGG CTTATCACCG GCAGTC(3')(アンダーライン部分がメチル基で修飾されている。)。
図から分かるように、各菌株のrRNAの動態は全rRNAの動態と一致した。また、各菌株のrRNAの合計量は全rRNAと一致した。このことは、本発明方法はFISH方法において有効な方法になることを示している。
・培地100mlを500ml容のコニカルフラスコに分注し、該フラスコを120℃で10分間、オートクレーブ釜を用いて殺菌した。
・培養条件:前記の菌株を斜面培地で予め培養した。該斜面培地より1白金耳の菌体をとり、前記の殺菌したコニカルフラスコの培地に接種した。30℃、150rpmで撹拌培養した。
実施例13
下記に示した塩基配列をもつ4種類のオリゴヌクレオチドを前記実施例5のDNA合成機を用いて合成した。また、前記実施例5と同様にして、下記の塩基配列の本発明の核酸プローブを合成した。該プローブと各々のオリゴヌクレオチドを溶液中でハイブリダイズさせた後、蛍光強度の変化から1塩基置換の評価ができるかどうか検討した。本発明の核酸プローブの塩基配列は、標的オリゴヌクレオチドのうちのいずれかの3’末端にGが存在する場合に、そのオリゴヌクレオチドの塩基配列に100%マッチするように設計されている。ハイブリダイゼーション温度は、プローブと標的オリゴヌクレオチドとの間の全塩基対(base-pairs)が100%ハイブリダイズできる40℃に設定した。プローブ及び標的オリゴヌクレオチドの濃度、緩衝液の濃度,蛍光測定装置、蛍光測定条件、実験操作などは、前記実施例5と同様である。
以上の結果より、標的核酸が2本鎖の場合、G→A、G←A、C→T、C←T、G→C、G←Cの置換を検出できることが明らかになった。
図6に本発明のDNAチップのモデルの一例を図示した。先ず、実施例13で調製した本発明のプローブである3'TTTTTTTTGGGGGGGGC5'BODIPY FL/C6のの3’末端のリボースの3’位炭素のOH基にアミノ基を導入して調製した修飾プローブ、また、スライドガラスを反応基としてエポキシ基を有するシランカップリン剤でスライドガラスの表面を処理した表面処理済スライドガラスを用意した。上記の修飾プローブを含む溶液をDNAチップ作成装置GMSTM417ARRAYER(TAKARA)で該表面処理済スライドガラス上にスポットした。そうすると、3’末端で上記修飾プローブがガラス面に結合した。該スライドガラスを密閉容器内に4時間位おき反応を完結させた。そして該スライドガラスを0.2%SDS溶液、水に1分程度交互に2回づつ漬けた。更にホウ素溶液(水300mlにNaBH41.0gを溶かしたもの。)に5分位つけた。95℃の水に2分つけてから、素早く0.2%SDS溶液、水に1分程度交互に2回づつ漬けて試薬を洗い流した。室温で乾燥した。このようにして本発明のDNAチップを調製した。
このDNAチップを用いて標的核酸を測定する場合を説明する。該プローブに標的核酸がハイブリダイズしていないとき、又はハイブリダイズしても蛍光色素標識末端でGCペアーを形成しないとき、若しくは当該プローブと標的核酸とがハイブリダイズした末端塩基部分から1ないし3塩基離れて、標的核酸の塩基配列にG(グアニン)又はシトシン(C)が少なくとも1つ存在しないときは、蛍光強度に変化ない。しかし、その反対に、該プローブに標的核酸がハイブリダイズしているとき、又はハイブリダイズしても蛍光色素標識末端でGCペアーを形成しているとき、若しくは当該プローブと標的核酸とがハイブリダイズした末端塩基部分から1ないし3塩基離れて、標的核酸の塩基配列にG(グアニン)又はシトシン(C)が少なくとも1つ存在するときは蛍光強度が減少する。この蛍光強度はDNAチップ解析装置GMSTM418アレースキャナー(Array Scanner)(TAKARA)を使用して測定できる。
I)標的核酸の調製:(5')AAACGATGTG GGAAGGCCCA GACAGCCAGG ATGTTGGCTT AGAAGCAGCC(3')の塩基配列をもつオリゴデオキシリボヌクレオチドを、DNA合成機ABI394(Perkin Elmer社製、米国)を用いて合成し、標的核酸とした。
II)核酸プローブの調製:標的核酸の5’末端から16塩基の配列(アンダーライン部)にハイブリダイズする塩基配列をもつ、下記の6個のオリゴデオキシリボヌクレオチドを、DNA合成機ABI394(Perkin Elmer社製、米国)を用いて合成した。そして、3'-Amino-Modifier C7 CPG(グレンリサーチ、カタログ番号20ー2957)を用いて、3’末端のデオキシリボースの3’位のOH基をアミノ化した。更に5’末端のリン酸基を実施例5と同様な方法でBODIPY FLで標識した。
2)プローブ−T(1塩基ミスマッチ):(5')CCTTCCCATA TCGTTT(3')、
3)プローブ−A(1塩基ミスマッチ):(5')CCTTCCCAAA TCGTTT(3')、
4)プローブ−G(1塩基ミスマッチ):(5')CCTTCCCAGA TCGTTT(3')、
5)プローブ−TG(2塩基ミスマッチ):(5')CCTTCCCTGA TCGTTT(3')、
6)プローブ−TGT(3塩基ミスマッチ):(5')CCTTCCCTGT TCGTTT(3')、
全てのDNAプローブを、滅菌蒸留水に溶解して、1μM濃度の溶液にした。DNAマイクロアレイヤー装置(DNAマイクロアレイヤーNo.439702、32ピン型、およびDNAスライドインデックスNo.439701からなる手動式のチップアレイヤーである。greiner社)を用いて、DNAチップ用スライドグラス(Black silylated slides、greiner社)の上に、前記プローブ溶液をスポテイング(spotting)した。スポット終了後10分間反応させ、プローブをスライドグラス上に固定化した。その後、50mMのTE緩衝液(pH:7.2)にて洗浄した。なお、各プローブ溶液につき、4スポットづつスポッテングした。
本発明のDNAチップの模式図を図6に示した。スライドグラス上に固定化された本発明のプローブは、標的核酸にハイブリダイズしないときはBODIPY FLは発色しているが、ハイブリダイズしているときは発色が、ハイブリダイズしないときのものよりも少ない。すなわち減少する。スライドグラスはマイクロヒーターで加熱されるようになっている(本発明では、下記に示すように顕微鏡用透明加熱板(MP-10MH-PG、(株式会社)北里サプライ)で行われた。)。
100μM濃度の標的核酸溶液{50mMのTE緩衝液(pH:7.2)使用}を上記のごとくに調製したDNAチップの上にのせた。カバーグラスで覆い、標的核酸が漏れないようにマニキュアにてカバーグラスをシールした。
検出測定のための装置類の概略は図7に示した。先ず、オリンパス正立顕微鏡(AX80型)の試料台に顕微鏡用透明加熱板(MP-10MH-PG、(株式会社)北里サプライ)をのせた。当該板上に前記に調製した本発明のDNAチップを置き、95℃から33℃まで3℃刻みで変化させ、30分かけて反応させた。各スポットの反応過程の蛍光強度変化を、冷却CCDカメラ(C5810型、浜松フォトニクス社)にて画像取り込み形式で測定した。
取り込み画像を画像解析装置(画像解析ソフト(TPlab spectrum;Signal Analytics社,Verginia)がインストールされたパソコン(NEC))にて解析し、各スポットの輝度を算出し、温度と輝度の関係を求めた。
実施例16
大腸菌のゲノムDNAにおける16SrRNA遺伝子を標的核酸として、当該核酸の増幅のための(BODIPY FL/C6で標識した)プライマー(本発明の核酸プローブ)を調製した。
プライマー2(Eu500R/forward:フォワード型)の調製:(5')CCAGCAGCCG CGGTAATAC(3')の塩基配列をもつオリゴデオキシリボヌクレオチドの5’末端に蛍光色素(BODIPY FL/C6)で標識したプライマー2を実施例14と同様にして収率50%で調製した。
殺菌したニュトリエントブロス(NB)(Difco社製)液体培地5ml(組成:NB、0.08g/100ml)を含有する試験管を用いて、大腸菌JM109株を37℃で一晩振蘯培養した。培養液1.5mlを1.5ml容量の遠心チューブで遠心分離し、菌体を得た。この菌体から、DNeasy Tissue Kit(キアゲン(QIAGEN)社、ドイツ国)を用いてゲノムDNAを抽出した。その抽出は本キットのプロトコルに従った。その結果、17ng/μlのDNA溶液を得た。
上記の大腸菌のゲノムDNA、プライマー1及び/又はプライマー2を使用して、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社発売のライトサイクラーTMシステム(LightCyclerTM System)を用いて常法通りにPCR反応を行った。操作は当該システム機器の手順書に従った。
また、上記システムにおいてPCRは、当該手順書に記されている核酸プローブ(FRET現象を利用する二個のプローブ)と通常のプライマー(蛍光色素で標識されていない通常のプライマー)の代りに本発明プライマー1及び/又は2を用いる以外は当該手順書通りに行った。
尚、標的核酸である大腸菌16SrDNAは、図9の説明欄に示される実験区の濃度で、また、プライマーは、同様に図9の説明欄に示される実験区のプライマー1及び/又は2の組合せで実験を行った。
図11は、サイクル数の関数として、大腸菌16SrDNAのコピー数を表現した大腸菌16SrDNAの検量線を示す。相関係数は0.9973で、極めてよい相関を示した。
以上の結果から分かるように、本発明の定量的PCR方法を用いると標的核酸の当初のコピー数を測定できるようになる。即ち、標的核酸の濃度の測定ができる。
実施例19においては、本発明のプローブをプライマーとしてPCRを行ったが、本実施例では従来法に用いるFRET現象を利用する二個のプローブの代わりに本発明のプローブを用いて下記の条件で本発明のPCRを行った。
a)標的核酸:大腸菌の16S−rDNA
b)使用プライマー:
・フォワードプライマー E8F:(5')AGAGTTTGAT CCTGGCTCAG(3')
・リバースプライマー E1492R:(5')GGTTACCTTG TTACGACTT(3')
c)使用プローブ:BODIPY FL-(5')CGGGCGGTGT GTAC(3')
d)使用PCR測定機器:ライトサイクラーTMシステム
e)PCRの条件:
変性反応 :95℃、10秒(第一回のみ、60秒間、95℃)
アニーリング反応:50℃、5秒
核酸伸長反応 :72℃、70秒
全サイクル数 :70サイクル
以上の結果から分かるように、本発明の定量的PCR方法を用いると標的核酸の当初のコピー数を測定できるようになる。即ち、標的核酸の測定ができる。
実施例21
ヒトゲノムDNA(ヒトβ−グロビン(globin)(TaKaRaカタログ商品番号 9060)(TaKaRa株式会社製)(以下、ヒトゲノムDNAという。)を標的核酸として、当該核酸の増幅のためのボデピーFL/C6で標識したプライマーを調製した。
プライマーKM29(フォワード型)の調製:(5')GGTTGGCCAA TCTACTCCCA GG(3')の塩基配列をもつオリゴデオキシリボヌクレオチドを実施例18と同様に合成した。
本比較実験例は、核酸伸長反応時の蛍光強度値を、熱変性反応時の蛍光強度値を用いて割る演算処理過程(数式(1)の処理)を有しないデータ解析用ソフトウエアの使用に係るものである。
上記のヒトゲノムDNA、プライマーKM38+C及びプライマーKM29を使用して、ライトサイクラーTMシステムを用いてPCR反応を行い、各サイクル毎の蛍光強度を測定した。
尚、本比較実施例のPCRは、前記に説明した蛍光色素色素で標識したプライマーを用いるものであり、蛍光発光の増加でなく、減少を測定する新規なリアルタイム定量的PCR方法である。データ解析は当該システムのソフトウエアを用いて行った。本比較実験例のPCRは、当該手順書に記されている核酸プローブ(FRET現象を利用する二個のプローブ)と通常のプライマー(蛍光色素で標識されていない通常のプライマー)の代りに本発明プライマーKM38+C及びKM29を用いる以外は当該装置の手順書通りに行った。
測定は、ライトサイクラーTMシステムを用いて行った。その際、該システムにあるF1〜3の検出器にうち、F1の検出器を用い、その検出器のゲインは10、励起強度は75に固定した。
(b)10サイクル目の蛍光強度値を1として各サイクルの蛍光強度値を換算する過程、即ち、下記の〔数式8〕による計算をする過程、
Cn=Fn(72)/F10(72) 〔数式8〕
ただし、Cn=各サイクルにおける蛍光強度値の換算値、Fn(72)=各サイクルの72℃の蛍光強度値、F10(72)=10サイクル目の72℃における伸長反応後の蛍光強度値。
(c)前記(b)の過程で得られた各換算値を、サイクル数の関数として、デスプレー上に表示及び/又は印字する過程、
〔数式9〕
Fdn =log10{100−Cn×100)}
Fdn =2log10{1−Cn}
ただし、Fdn=蛍光強度変化率(減少率、消光率)、Cn=〔数式8〕で得られた値。
(e)前記(d)の過程で得られた各換算値を、サイクル数の関数として、デスプレー上に表示及び/又は印字する過程、
(g)前記(f)の過程で計数した値をX軸に、反応開始前のコピー数をY軸にプロットしたグラフを作成する過程、
(h)前記(g)の過程で作成したグラフをデスプレー上に表示及び/又は印字する過程、
(i)前記(h)の過程で描かれた直線の相関係数又は関係式を計算する過程、(j)前記(i)の過程で計算された相関係数又は関係式をデスプレー上に表示及び/又は印字する過程。
図14は、上記(b)の過程で処理されたデータを印字した(前記(c)過程)したものである。即ち、10サイクル目の蛍光強度値を1として各サイクルの蛍光強度を換算し、その換算値を対応するサイクル数に対してプロットしたものである。
図15は、前記(d)の過程で処理したデータを印字した(前記(e)過程)ものである。即ち、図14の各プロット値から蛍光強度の減少率(消光率)を計算して、各計算値を各サイクル数に対してプロットしたものである。
PCRは比較実験例1と同様に行った。
データ処理は、比較実験例1の(b)の過程の前に下記の(a)の過程をおき、(b)、(d)の過程を以下のように変更する以外は比較実験例1と同様な過程で行った。
(a)各サイクルにおける増幅した核酸が本発明の核酸プローブである(蛍光色素で標識された)核酸プライマーとハイブリダイズしたときの反応系の蛍光強度値(即ち、核酸伸長反応時(72℃)の蛍光強度値)を、核酸ハイブリッド複合体(増幅した核酸が核酸プライマーとハイブリダイズしたもの)が解離したときに測定された反応系の蛍光強度値(即ち、核酸熱変性反応完了時(95℃)の蛍光強度値)で割る補正演算処理過程、即ち、実測の蛍光強度値を次の〔数式1〕で補正した。
fn=fhyb,n/fden,n 〔数式1〕
[式中、fn=サイクルの蛍光強度の補正値、fhyb,n=各サイクルの72℃の蛍光強度値、fden,n=各サイクルの95℃の蛍光強度値]
得られた値を各サイクル数に対してプロットしたのが図17である。
Fn=fn/f25 〔数式10〕
[式中、Fn=各サイクルの演算処理値、fn=〔数式1〕で得られた各サイクルの値、f25=〔数式1〕で得られた値で、サイクル数が25回目のもの]。
〔数式10〕は〔数式3〕において、a=25とした場合におけるものである。
log10{(1−Fn)×100} 〔数式11〕
[式中、Fn=[数式10]で得られた値]。
〔数式11〕は〔数式6〕において、b=10、A=100とした場合におけるものである。
図18は、前記(a)及び(b)の過程で処理された値をサイクル数に対してプロットし、印字したものである。
図19は、図18で得られた値を前記(d)の過程のように処理して得られた値を、サイクル数に対してプロットし、印字したものである。
本発明の新規なPCR法により増幅された核酸について、51)低い温度から核酸が完全に変性するまで、温度を徐々に上げるあるいは下げる過程(例えば、50℃から95℃まで)、52)前記51)過程において、短い時間間隔(例えば、0.2℃〜0.5℃の温度上昇に相当する間隔)で蛍光強度を測定する過程、53)前記52)過程の測定結果を時間の関数としてデスプレー上に表示する過程、即ち、核酸の融解曲線を表示する過程、54)前記53)過程の融解曲線を一次微分する過程、55)前記54)過程の微分値(−dF/dT、F:蛍光強度、T:時間)をデスプレー上に表示する過程、56)前記55)から得られる微分値から変曲点を求める過程からなるソフトウエアを作成し、前記本発明のデータ解析用ソフトウエアに合体した。当該データ解析用ソフトウエアを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体をインストールした前記ライトサイクラーTMシステムを用いて本発明の新規リアルタイム定量的PCR反応を行い、核酸融解曲線の分析を行った。本発明においては、蛍光強度は温度が上がるごとに増加する。
1)本発明の標的核酸の濃度を測定する方法、本発明の各種の核酸プローブ、特に2-O-アルキルオリゴヌクレオチド若しくは2-O-アルキレンオリゴヌクレオチド、2-O-ベンジルオリゴヌクレオチドなど化学的修飾オリゴヌクレオチドなどからなる本発明の核酸プローブ、またオリゴリボヌクレオチドとオリゴデオキシリボヌクレオチドが介在するキメリックオリゴヌクレオチドなどからなる本発明の核酸プローブ、それらの本発明の核酸プローブを含有若しくは付帯する、標的核酸の濃度を測定する測定キット、及び前記の本発明の核酸プローブを結合してなるDNAチップなどの核酸チップ若しくは核酸デバイスを用いると、測定系から未反応の核酸プローブを除く等の操作をすることがないので、標的核酸の濃度を短時間でかつ簡便に測定できる。また、複合微生物系又は共生微生物系に適用すると、当該系における特定菌株の存在量を特異的かつ短時間に測定できる。また、本発明は標的核酸若しくは遺伝子のSNPなどの多型又は変異などの解析若しくは測定する簡便な方法を提供している。
a.TaqDNAポリメラーゼによる標的核酸の増幅に阻害的に作用する因子が添加されていないことから、従来公知の特異性のある通常のPCRと同様の条件で定量的PCRを行うことができる。
b.また、PCRの特異性を高く保つことができるので、プライマーダイマーの増幅が遅くなることから、従来公知の定量的PCRと比較すると定量限界が約1桁のオーダー低くなる。
c.複雑な核酸プローブを用意する必要がないので、それに要する時間と費用が節約できる。
d.標的核酸の増幅効果も大きく、増幅過程をリアルタイムでモニタリングすることができる。
Claims (4)
- 塩基配列の異なる複数種の核酸プローブを、個別に同一固体表面上の異なるスポットにアレイ状に配列し、結合させた核酸測定用デバイスであって、
上記複数種の核酸プローブは、その一端が、標的核酸中に存在するグアニン塩基により蛍光強度が減少する蛍光色素で標識されており、もう一端が、上記固体表面に固定され、
上記蛍光色素が、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミン、6−joe、BODIPY FL(商標)、BODIPY FL/C3(商標)およびBODIPY FL/C6(商標)からなる群より選ばれるいずれかであり、
上記複数種の核酸プローブのうちの一種は、標的核酸と相補的な塩基配列を有し、
該核酸プローブが上記標的核酸とハイブリダイゼーションしたとき、該プローブの蛍光色素で標識された末端塩基が、G(グアニン)又はC(シトシン)であって、上記標的核酸とGCペアーを形成するように、当該プローブの塩基配列が設計されていることを特徴とする核酸測定用デバイス。 - 前記複数種の核酸プローブの5’末端塩基がCで、かつ該5’末端が蛍光色素で標識されている請求項1に記載の核酸測定用デバイス。
- 前記複数種の核酸プローブが、標的核酸と100%マッチするプローブ、標的核酸と1塩基ミスマッチを有するプローブおよび標的核酸と2塩基ミスマッチを有するプローブの少なくとも3種を含む請求項1に記載の核酸測定用デバイス。
- 請求項1に記載の核酸測定用デバイスに、標的核酸を含む溶液をのせ、該デバイスの温度を連続的に変化させながら各スポットの蛍光量を測定することを特徴とするSNPの検出方法。
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