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JP4945878B2 - 水素生成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素系の燃料を水で改質する水素生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水素の生成方法のひとつに、水蒸気改質法がある。天然ガス、LPG等の炭化水素成分、メタノール等のアルコール、あるいはナフサ成分等の有機化合物原料と水とを改質触媒を設けた改質部で水蒸気改質反応させ、水素を発生させる方法である。この水蒸気改質反応では一酸化炭素が副成分として生成するため、水と一酸化炭素をシフト反応させる変成部を併用する。また、高分子電解質型燃料電池用の水素供給方法として水蒸気改質法を用いる場合、一酸化炭素をさらに除去するため、変成部の後段にさらに、一酸化炭素酸化法あるいはメタン化法等を用いた浄化部を設ける。
【0003】
上記の改質部、変成部および浄化部にはそれぞれの反応に対応した触媒を設ける。それぞれの触媒で反応温度が相違するため、安定した水素供給を行うためには、触媒を反応温度まで加熱する必要がある。反応温度は、原料の流れの上流に位置する改質部が最も高く、変成部、浄化部の順で温度が低下する。従って、従来の水蒸気改質法を用いた水素生成装置では、改質部からの熱、例えば、改質後ガスの保有する熱、あるいは改質部に設けた加熱部の余剰熱で、変成部および浄化部を順次加熱する構成が用いられることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
改質部、変成部、浄化部の各反応部温度が適切でない場合、水素生成が効果的に進行しない。例えば、水蒸気改質法では、原料中の炭素原子が反応し二酸化炭素となる当量よりも酸素が不足しないように水を供給する。原料と水が反応するためには、少なくとも水が水蒸気の状態で存在することが必要となる。しかし、改質部が低温の場合、水を供給しても反応は進行せず装置内に滞留する。また、改質部を高温にした後原料および水を供給した場合、加熱過程で熱により触媒体が劣化し反応性が低下する可能性が有る。そこで、適切な温度で原料および水を供給する必要がある。
【0005】
また、改質部より下流のガスは、変成部触媒の耐熱温度よりも高い温度となる。耐熱温度以上のガスを供給した場合、触媒が劣化し特性が低下するため、改質部から変成部に至るまでに冷却する必要がある。また、浄化部で一酸化炭素濃度を十分に低減し、水素を供給することが、水素生成装置の目的である。しかし、毎回の装置起動時に一酸化炭素濃度を測定し、水素供給開始の判断を行うことは煩雑であるため、正常運転状態であることを検知するための簡便で正確な方法が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため本発明の水素生成装置の運転方法は、原料供給部と、水供給部と、前記原料と水とを反応させる改質触媒体を具備した改質部と、前記改質触媒体を加熱する加熱部と、一酸化炭素と水とを反応させる変成触媒体を具備した変成部と、前記改質部と前記変成部とを連通するガス通気経路と、前記ガス通気経路に第一温度検出部とを備える水素生成装置の運転方法であって、前記加熱部の動作を開始したのち、前記第一温度検出部により検出された温度が予め定めた下限値に到達した場合、前記原料供給部及び前記水供給部より前記改質部に原料と水との供給を開始し、前記下限値は、100℃以上400℃以下であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の水素生成装置の運転方法は、前記改質部と前記変成部とを連通するガス通気経路と前記ガス通気経路に水注入口と、前記水注入口と前記変成部との間の前記ガス通気経路に第二温度検出部とを備え、前記第二温度検出部により検出される温度が上限値を越さないように、前記水注入口より水を供給することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の水素生成装置の運転方法は前記上限値は、500℃以下250℃以上であることが望ましい。これは、この温度より低いと、下流側に水が溜まり、触媒を劣化させるためである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、従来の水素生成装置の課題を解決するもので、改質部、変成部、浄化部からのガス温度をもとに、原料、水および空気の供給を制御し、各反応部における触媒体を効果的に動作させ、水素の安定供給に対応できる水素装置を提供するものである。以下、本発明実施形態について図面とともに説明する。
【0011】
(実施形態1)
図1は、本発明の水素発生装置の要部の縦断面を示した図である。図1において、1は水蒸気改質反応の改質触媒部1aを設けた改質部である。改質触媒部1aには、白金属系貴金属を調製して作成した触媒を用いた。2は、改質部の加熱部で、本構成では火炎バーナーを加熱手段とした。3は、変成触媒体3aを納めた変成部である。変成触媒体3aには、少なくとも銅を成分として含む触媒を用いた。4は一酸化炭素の浄化部で、浄化触媒として白金属系酸化触媒4aを設ける構成とした。5は水蒸気改質反応のための炭化水素を主成分とする原料供給部、6は水供給部である7は、改質部1、変成部2および浄化部3で構成するガス通気経路で、改質部1、変成部2、浄化部3の順でガスを流し浄化部3に出口を有する。また、8は空気供給部で、変成部2と浄化部3との間のガス通気経路7に空気を供給する。9は改質部1後のガス温度を検出する第一温度検出部で、改質部1と変成部3との間のガス通気経路7に設けた。
【0012】
次に本実施形態の水素発生装置において、水素供給時の装置動作について説明する。加熱部2を作動させ、改質部1の改質触媒体1aを加熱する。原料である炭化水素成分を原料供給部5から、水を水供給部6から改質触媒部2aに供給し、水蒸気改質反応を進行させる。9の第一温度検出部で改質部2後のガス温度を測定し、その温度に下限値を設け、測定温度が下限値を超すことにより改質部2への原料および水の供給を開始する。改質部後のガスは、ガス通気経路7を通して変成部3に通気する。変成部3後のガスは、ガス通気経路7より浄化部4に通気する。浄化部4後のガスは、ガス通気経路7より外部に供給する。この時、空気供給部8より変成部3と浄化部4の間のガス通気経路7から変成部後のガスに空気を供給する。
【0013】
本水素生成装置の目的は、水素を安定して発生させることである。そのためには、改質部、変成部、浄化部の各反応部を適切な温度で動作させることが必要となる。特に改質部は、水素生成の基本反応を進める部分であり、原料および水の供給量、温度制御が重要となる。そこで、原料中の炭素原子が反応し二酸化炭素となる当量よりも酸素が不足しないように水を供給する。
【0014】
また、原料と水が反応するためには、少なくとも水が水蒸気の状態で存在することが必要となる。しかし、装置起動直後で改質部が低温の場合、水を供給しても十分に水蒸気として存在しないため反応は進行せず、かつ装置内に水が滞留する事態となる。仮に水が大量に滞留した場合、ガス通気経路を閉塞させる可能性もある。そこで、本発明では、改質部後のガス温度を測定し、その温度に基づき原料および水を供給する。この構成により、水を十分に蒸発させ改質部の反応を効果的に行うものである。
【0015】
次に、本実施形態における、水素発生装置の一動作例を示す。まず、装置起動時の動作を示す。加熱部を作動し改質部の加熱を開始した。加熱部により改質部改質触媒体を加熱することで、改質触媒体内のガス体が体積膨張し、加熱されたガス体がガス通気経路へと流れ込む。第一温度検出部では、改質部改質触媒部後のこのガス体温度を測定する。本実施の形態では、第一温度検出部で改質部1後のガス温度測定値をもとに、その温度が100℃を超すことにより改質部1への原料および水の供給を開始した。
【0016】
原料である炭化水素成分としてメタンガスを用い、メタンガス1モルに対して2モル以上の水を付加して、改質部1の改質触媒部1aに供給した。本形態では第一温度検出部温度が100℃を超す値の場合、改質触媒部温度も100℃以上となり、供給した水が十分に蒸発できることは確認した。なお定常運転時は、第一温度測定部温度が約700℃となるように加熱部2の加熱熱量を制御し、水蒸気改質反応を進行させた。
【0017】
なお、原料と水を供給する前に、窒素ガスなどの不活性ガス等を改質部に供給し改質部の加熱を開始することで、改質部触媒体温度をより正確に把握することができる。また、水供給の前に原料供給を開始し、加熱により原料を気化させるガス体とすることで、窒素ガス等の代用もできる。しかし、原料のみを改質部に送った場合、改質部温度により炭素析出が生じるため、なるべく速やかに水も供給する必要がある。
【0018】
また、改質部後のガス温度を測定し、原料および水の供給開始の判断基準としたが、直接改質部改質触媒部の温度を測定し、その温度を判断基準としてもよい。本実施例では、第一温度検出部温度100℃を基準としたが、装置構成、原料種、原料と水の供給割合等の運転条件の違いにより、その温度にも違いがでることはいうまでもない。また、酸素を含む気体として空気を供給したが、酸素を含む気体であれば空気に限られるものではない。また、加熱部として火炎バーナーを用いたが、改質触媒を加熱できる構成であれば、これに限るものではない。
【0019】
(実施形態2)
図2に、本発明での第二の実施形態を示した。図1に示した実施形態1と、ほぼ同一構成であり、実施の形態1とほぼ同様の動作を行う。同一の部分の説明は省略し、相違点のみを説明する。相違点は、水供給部6より改質部1および変成部3の間のガス通気経路7に水の供給経路6aを設けるとともに、水の供給経路後のガス通気経路7に第二温度検出部を設けた点である。
【0020】
次に、本実施の形態の動作について示す。実施形態1とほぼ同じ動作をする。相違点は、第二温度検出部温度に上限値を設け、上限値を超さないように水供給部6より改質部1および変成部3の間のガス通気経路7に水を供給する点である。
【0021】
水素生成装置は一般的に、原料流れ上流に位置する改質部の温度が最も高く、変成部、浄化部の順で各反応部温度は低下する。そこで、改質部からの熱、例えば、改質後ガスの保有する熱、あるいは改質部に設けた加熱部の余剰熱で、変成部および浄化部を順次加熱する。しかし、各反応部の最適反応温度が相違するため、最終的には各反応部の触媒反応に適した温度に制御する必要がある。本実施の形態では、変成部に入るガス温度を制御する構成を示すもので、改質部後のガスに水を供給しガス温度を制御する。水を直接供給しその蒸発潜熱、顕熱により冷却することで、空冷でガス温度を冷却する場合と比較して、冷却に必要な装置構成が小さくできるメリットがある。また、改質後ガスに水を添加することになるため、一酸化炭素と水の変成反応の反応性をより向上させることができる。
【0022】
次に、本実施の形態における、水素発生装置の一動作例を示す。変成部触媒体として、銅と亜鉛を主成分とする触媒を用いた。この触媒の耐熱温度は300℃であることから、第二温度検出部温度の上限値を300℃とした。水を改質部後ガスに直接供給するため、空冷による温度調節構成と比較して、温度調整の応答性が格段に向上させることができた。また、温度制御構成に必要な容積も約1/10とすることができた。
【0023】
なお、鉄とクロムを主成分とする触媒体ならば、500℃が上限となる。触媒体の種類および耐熱性等の特性によりこの上限値は決める必要がある。また、第二温度検出部は、改質部後ガスの温度を測定したが、変成部変成触媒の温度を直接測定し、その温度をもとに水を供給してもよい。
【0024】
(実施形態3)
図3に、本発明での第三の実施形態を示した。図1に示す実施の形態1とほぼ同一構成であり、実施の形態1とほぼ同様の動作を行う。同一の部分の説明は省略し相違点のみを説明する。相違点は、浄化部4後のガス通気経路7に第三温度検出部11を設けた点である。
【0025】
次に、本実施の形態の動作について示す。装置起動時は実施の形態1と同じ動作をする。相違点は、第三温度検出部温度に下限値を設け、第三温度検出部温度が下限値を超したことで、装置から水素供給を開始することを判断するものである。
【0026】
本発明の水素生成装置を、燃料電池、特に固体高分子型燃料電池に水素を供給する装置として用いる場合、水素中の一酸化炭素を低減して供給する必要がある。水素中の一酸化炭素の濃度は、赤外線を用いた分析機器等で測定することができる。しかし、分析機器により一酸化炭素濃度を測定し、装置の起動状態を判断することは、コストの上昇、および装置の大型化等の観点から好ましいものではない。
【0027】
本発明では、浄化部下流のガス温度を測定するとともに下限値を設け、その温度が下限値を超すことで、供給すべき水素ガス中の一酸化炭素濃度が所定値以下に下がった、いわゆる正常運転状態であり、外部機器に水素の供給が可能である構成を提供するものである。そして、この正常運転状態であることを示す表示手段、または、正常運転時に開通する生成ガス排出経路を生成ガス排出部に設けることで、水素ガスの被供給機器との燃料の連結を安全に制御することができる。
【0028】
基本的に浄化部を効果的に動作させた場合、一酸化炭素は低減できる。その浄化部の触媒体の一酸化炭素の浄化性は、温度依存性がある。そこで、一酸化炭素の低減状況を、浄化部下流のガス温度から判断するものである。浄化部の触媒として白金属系触媒を用いた場合、その触媒の一酸化炭素酸化特性は、入口の一酸化炭素濃度に依存し、一酸化炭素濃度が高い場合、反応性は低下する。また、一酸化炭素および水素の酸化時に発生する熱量は、基本的にどれだけ酸素と反応したかによって決まる。入口の一酸化炭素濃度が高い場合反応性が低下するため、発熱量は少なくなり、浄化部後のガス温度はあまり上昇しない。
【0029】
次に、変成部での変成反応が進行し、入口の一酸化炭素濃度が低くなった場合、反応性が向上するため、浄化部後のガス温度は上昇する。その温度上昇割合は、浄化部に供給する空気量が一定の場合ほぼ一定となるため、そのガス温度を測定することで、一酸化炭素の減少量は想定できる。従って、浄化部後のガス温度に下限値を設け、その温度を基に装置の運転状態が正常か否かを判断することができる。
【0030】
次に、本実施の形態における、水素発生装置の一動作例を示す。浄化部の浄化触媒には、白金触媒を用いた。本実施の形態の装置構成では、第三温度測定部温度が100℃以上となった場合、浄化部後ガス中の一酸化炭素濃度は、20ppm以下に安定的に低減できた。従って、100℃を下限値として水素生成装置の起動状態を判断することが可能といえる。なお、浄化部後ガスの温度は、使用する触媒種、触媒の使用条件、装置構成で基本的に相違するため、条件に見合って決める必要がある。
【0031】
また、浄化部触媒に酸化性を有する触媒だけでなく、少なくとも一酸化炭素をメタン化する触媒性を示す触媒体、例えば、ルテニウム触媒を浄化部に設けることでも同様の効果は得られた。また本実施の形態では、原料の炭化水素成分としてメタンを用いたが、天然ガス、LPG等の炭化水素成分、メタノール等のアルコール、あるいはナフサ成分等一般に水蒸気改質の原料として用いられているものも、使用することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明の構成により、改質部の反応を効果的に進行させ、かつ装置内に水が滞留する事態を防止することができた。また、冷却に必要な装置構成を小さくできるとともに、一酸化炭素と水の変成反応の反応性をより向上させることができた。
【0033】
また、起動時の改質部の反応性確保、定常時の変成部の動作性向上を、比較的単純な構成で行うができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における水素生成装置の要部の縦断面をしめした図
【図2】本発明の第2の実施形態における水素生成装置の要部の縦断面をしめした図
【図3】本発明の第3の実施形態における水素生成装置の縦断面をしめした図
【符号の説明】
1 改質部
1a 改質触媒部
2 加熱部
3 変成部
3a 変成触媒体
4 浄化部
4a 浄化触媒体
5 原料供給部
6 水供給部
7 ガス通気経路
8 空気供給部
9 第一温度測定部
10 第二温度測定部
11 第三温度測定部

Claims (3)

  1. 原料供給部と、水供給部と、前記原料と水とを反応させる改質触媒体を具備した改質部と、前記改質触媒体を加熱する加熱部と、一酸化炭素と水とを反応させる変成触媒体を具備した変成部と、前記改質部と前記変成部とを連通するガス通気経路と、前記ガス通気経路に第一温度検出部とを備える水素生成装置の運転方法であって、前記加熱部の動作を開始したのち、前記第一温度検出部により検出された温度が予め定めた下限値に到達した場合、前記原料供給部及び前記水供給部より前記改質部に原料と水との供給を開始し、前記下限値は、100℃以上400℃以下であることを特徴とする水素生成装置の運転方法。
  2. 前記改質部と前記変成部とを連通するガス通気経路と、前記ガス通気経路に水注入口と、前記水注入口と前記変成部との間の前記ガス通気経路に第二温度検出部とを備え、前記第二温度検出部により検出される温度が上限値を越さないように、前記水注入口より水を供給することを特徴とする請求項記載の水素生成装置の運転方法。
  3. 前記上限値は、500℃以下250℃以上であることを特徴とする請求項記載の水素生成装置の運転方法。
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