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JP4941438B2 - 感光性樹脂組成物、画像表示装置の隔壁の形成方法及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、画像表示装置の隔壁の形成方法及び画像表示装置の製造方法 Download PDF

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JP4941438B2
JP4941438B2 JP2008234826A JP2008234826A JP4941438B2 JP 4941438 B2 JP4941438 B2 JP 4941438B2 JP 2008234826 A JP2008234826 A JP 2008234826A JP 2008234826 A JP2008234826 A JP 2008234826A JP 4941438 B2 JP4941438 B2 JP 4941438B2
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Description

本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、画像表示装置の隔壁の形成方法及び画像表示装置の製造方法に関する。
近年、紙のように薄く、持ち運びが自由で、文字や画像が表示可能な画像表示装置(PLD:Paper Like Display)が注目を集めている。かかる画像表示装置は、通常の印刷物としての紙の長所である視認性、携帯性を有し、さらに、情報を電気的に書き換え可能であるため、環境やコストの面からも紙の代替品として実用化が試みられている。
画像表示装置の表示技術としては、電気泳動などにより粒子を移動させるタイプ、液晶タイプ、電気化学タイプなど様々なタイプが考案されている(例えば、非特許文献1参照)。
特に粒子を移動させるタイプとしては、マイクロカプセル型電気泳動方式、マイクロカップ型電気泳動方式、電子粉流体方式、トナーディスプレイ等の方式が検討されている。これらの方式では、透明電極間に表示媒体である白と黒の粒子を封入し電場をかけ、これらの粒子を電気的に移動させることにより白/黒画像を形成し表示させる。また、画像表示装置の駆動方式としては、アクティブ駆動とパッシブ駆動があり、画像表示装置用の背面技術(パネル回路)の検討もなされている。
上記粒子移動タイプの画像表示装置の場合、上述のように白/黒の粒子を封入するための隔壁が必要となる。かかる隔壁の形成方法としては、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。中でも、感光性樹脂組成物を用いて、活性光線の照射により高精細なパターンが効率よく形成できるフォトリソ法が注目されている。
また、最近では、白/黒画像表示にカラーフィルターを組み合わせることにより、フルカラー表示を実現させるという報告例もある(例えば、非特許文献2参照)。
かかるフルカラー表示を行う際、白/黒表示の画像表示装置にカラーフィルターを併用するため、各画素間のコントラストの向上が必須である。従って、各画素間の光を遮断するための遮光層が必要となる。
フォトリソ法を用いた画像表示装置の隔壁は、以下のようにして形成される。すなわち、基板上にブラックマトリックスと呼ばれる遮光層をフォトリソ技術により積層する工程、さらに前記遮光層上に感光性樹脂組成物を塗布、又は感光性フィルムを積層することにより感光性樹脂組成物層を形成する工程、前記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化させる工程、未露光部を除去して光硬化物パターンを形成する工程を含む。従って、画像表示装置の隔壁を形成するための感光性樹脂組成物には、一般に、感度、解像性及び基板への密着性が要求される。
画像表示装置を製造する場合、前記工程で得たパターン内に粒子等の表示媒体を充填する工程、前記光硬化物パターンを熱処理する工程、電極基板を貼り付ける工程などをさらに含む。これにより、感光性樹脂組成物層の硬化物を隔壁とする画像表示装置が得られる。前記工程においては高温プロセスが必須となるため、感光性樹脂組成物を用いて形成される画像表示装置の隔壁には、耐熱性等が要求される。
特開2007−178881号公報 鈴木 明、"電子ペーパーの最新動向2007"、平成19年10月10日、日本画像学会誌 第46巻 第5号:372−384(2007) 田沼 逸夫、"電子粉流体を用いたフレキシブル電子ペーパー"、平成19年10月10日、日本画像学会誌 第46巻 第5号:396−400(2007)
従来の感光性樹脂組成物を用いた画像表示装置の隔壁の形成方法では、上述のように遮光層と隔壁を各々積層する必要があるため工程数が増え、材料のコストが高くなるといった問題があった。また、従来の遮光層に用いられるブラックマトリックスは熱に弱く、画像表示装置を製造する過程で退色してしまうという問題もあった。
また、従来の感光性樹脂組成物を用いて遮光性の隔壁を形成した場合、感度、解像度及び基板への密着性が不十分であった。また、黒色顔料の添加により、感光性樹脂組成物の溶液とした時の分散安定性が悪化する、あるいは感光性エレメントの形成時にスジが発生し塗膜外観を悪化させる等の問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、分散安定性に優れ感光性エレメントとした場合の塗膜外観を良好に保つことが可能な感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメントを提供する。
また、本発明は、遮光性を有し、熱処理により退色することのない画像表示装置用の隔壁を、簡便に作業性よく形成することができる感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、画像表示装置の隔壁の形成方法及び画像表示装置の製造方法を提供する。
本発明は、画像表示装置の隔壁を形成するための感光性樹脂組成物であって、前記感光
性樹脂組成物が、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始
剤、(D)無機系黒色顔料及び(E)界面活性剤を含み、前記(B)光重合性化合物が、
分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物を含
し、前記(E)界面活性剤がイミダゾリン系界面活性剤を含有する、感光性樹脂組成物を提供する。
本発明の感光性樹脂組成物は上記構成を有することにより、分散安定性に優れ感光性エレメントとした場合の塗膜外観を良好に保ち、また、遮光性を有し、熱処理により退色することのない画像表示装置用の隔壁を、簡便に作業性よく形成することができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、前記分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物が、さらに、分子内に少なくとも1つの水酸基を有することが好ましい。これにより、本発明の効果を一層向上させることが可能となる。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、前記(D)無機系黒色顔料がチタンブラックを含むことが好ましい。これにより、本発明の効果を一層向上させることが可能となる。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、前記(E)界面活性剤がイミダゾリン系界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、本発明の効果を一層向上させることが可能となる。
また、本発明は、支持体と、該支持体上に形成された前記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性エレメントを提供する。
本発明の感光性エレメントは、上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を備えることにより、塗膜外観を損なうことなく、また、熱処理により退色することのない画像表示装置用の隔壁を、簡便に作業性よく形成することができる。
また、本発明の感光性エレメントにおいて、前記感光性樹脂組成物層の膜厚は10〜60μmであることが好ましい。これにより、塗膜外観を損なうことなく、また、熱処理により退色することのない画像表示装置用の隔壁を、より簡便に作業性よく形成することができる。
また、本発明は、基板上に、前記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、前記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、前記露光部以外の部分を除去して光硬化物パターンを形成する現像工程と、を有する、画像表示装置の隔壁の形成方法を提供する。
本発明の画像表示装置の隔壁の形成方法は、上記本発明の感光性樹脂組成物を用いるため、熱処理により退色することのない画像表示装置用の隔壁を、簡便に作業性よく形成することができる。
また、本発明は、前記画像表示装置の隔壁の形成方法により形成された光硬化物パターンを、60〜250℃で加熱処理して熱硬化せしめる加熱工程をさらに有する、画像表示装置の隔壁の形成方法を提供する。
また、本発明は、表示媒体を、前記隔壁内に充填する工程と、一方の基板に対向するように隔壁の反対側に基板を貼り付ける工程と、を有する、画像表示装置の製造方法を提供する。
本発明によれば、分散安定性に優れ感光性エレメントとした場合の塗膜外観を良好に保つことが可能となる。また、遮光性を有し、熱処理により退色することのない画像表示装置用の隔壁を、簡便に作業性よく形成することができる。
さらに、本発明によれば、感度、解像度及び基板への密着性に優れた画像表示装置の隔壁を形成することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本明細書における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルを意味する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)無機系黒色顔料及び(E)界面活性剤を含有してなる。
以下、各成分について詳細に説明する。
本発明における(A)バインダーポリマーとしては、例えばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。アルカリ現像性の観点からは、アクリル系樹脂が好ましい。これらは単独で、または2種類以上のバインダーポリマーを組み合わせて用いることができる。2種類以上のバインダーポリマーの組み合わせの例としては、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーなどが挙げられる。また、特開平11−327137号公報記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用することもできる。なお、必要に応じて、バインダーポリマーは感光性基を有していてもよい。
(A)成分のバインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン等の重合可能なスチレン誘導体、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸などが挙げられる。これらを単独で用いてホモポリマーとしてもよいし、2種類以上を組み合わせてコポリマーとしてもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、及びこれらの構造異性体が挙げられる。これらは、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像性の見地から、カルボキシル基を含有していることが好ましく、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、現像性及び安定性の観点から(メタ)アクリル酸が好ましい。
(A)バインダーポリマーの酸価は、解像性の観点から30mgKOH/g以上であることが好ましく、耐現像液性及び密着性の観点から250mgKOH/g以下であることが好ましく、80〜240mgKOH/gであることがより好ましく、130〜230mgKOH/gであることがさらに好ましく、180〜220mgKOH/gであることが特に好ましい。現像工程として溶剤による現像を行う場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体の使用量を抑えて調製することが好ましい。
(A)バインダーポリマーの重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算)は、耐現像液性の観点から20,000以上であることが好ましく、現像時間を短くできる観点から300,000以下であることが好ましく、25,000〜150,000であることがより好ましく、30,000〜100,000であることが特に好ましい。
本発明における(B)成分の光重合性化合物は、分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物を含む。分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物は、さらに、分子内に少なくとも1つの水酸基を有していることが好ましい。また、(B)成分の光重合性化合物は、分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物と、分子内に少なくとも1つの水酸基、少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物とを両方含むこともできる。
分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物としては、密着性の観点から、例えば一般式(I)
Figure 0004941438
[一般式(I)中、Rは、各々独立に、一般式(II)
Figure 0004941438
(一般式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、mは1〜14の整数である)、一般式(III)、
Figure 0004941438
(一般式(III)中、mは1〜14の整数である)、又は、一般式(IV)、
Figure 0004941438
(一般式(IV)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、nは1〜9の整数であり、mは1〜14の整数である)を示す。但し、一般式(I)のRの少なくとも1つは、一般式(II)又は一般式(IV)である。]で表される化合物を用いることが好ましい。
光重合性化合物が、分子内に少なくとも1つの水酸基、少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する場合、Rの少なくとも1つは一般式(III)であり、かつ、Rの少なくとも1つは一般式(II)又は一般式(IV)である。
一般式(II)又は一般式(III)中、mは、1〜14の整数であり、1〜6であることが好ましい。mが、14を超えると、耐薬品性が低下する場合がある。また、一般式(IV)中、mは、1〜14の整数であり、1〜6であることが好ましく、nは、1〜9の整数であり、3〜6であることが好ましい。mが、14を超えると、耐薬品性が低下する場合があり、nが、9を超えると、機械強度が低下する場合がある。
分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物として、特に好ましくは、一般式(V)で表される化合物である。
Figure 0004941438
分子内に少なくとも1つの水酸基、少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物として、特に好ましくは、一般式(VI)で表される化合物である。
Figure 0004941438
上記一般式(I)で表される化合物で、市販のものとしては、例えば、NKオリゴUA−21(新中村化学工業株式会社、商品名、一般式(I)中、Rが全て一般式(III)である)、M−315(東亜合成株式会社、商品名、一般式(I)中、Rが全て一般式(II)である)、M−215(東亜合成株式会社、商品名、一般式(I)中、2つのRが一般式(II)であり、1つのRが一般式(III)である)等が挙げられる。
分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物の含有量は、密着性及びフィルム形成性の観点から、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、1〜40重量部とすることが好ましく、3〜30重量部とすることがより好ましく、6〜25重量部とすることが更に好ましい。
また、分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物以外の(B)成分としては、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物が好ましく用いられる。その例としては、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物に特に制限はないが、例えば、一般式(VII)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004941438
前記一般式(VII)中、R及びRは、各々独立に水素原子又はメチル基を示す。
記一般式(VII)中、X及びYは各々独立に炭素数2〜6のアルキレン基を示し、エチレン基又はプロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。前記一般式(VII)中、p及びqはp+q=4〜40となるように選ばれる正の整数であり、6〜34であることが好ましく、8〜30であることがより好ましく、8〜28であることが特に好ましく、8〜20であることが非常に好ましく、8〜16であることが非常に特に好ましく、8〜12であることが極めて好ましい。p+qが4未満では、(A)成分との相溶性が低下する傾向があり、p+qが40を超えると親水性が増加し光硬化物パターンの吸水率が高くなる傾向がある。前記炭素数2〜6のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基等が挙げられる。
また、前記一般式(VII)中の芳香環は置換基を有していてもよく、それら置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、フェナシル基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基、アリル基、水酸基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜10のアルキルカルボニル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のN−アルキルカルバモイル基又は複素環を含む基、これらの置換基で置換されたアリール基等が挙げられる。上記置換基は、縮合環を形成していてもよい。また、これらの置換基中の水素原子がハロゲン原子等の上記置換基などに置換されていてもよい。また、置換基の数がそれぞれ2以上の場合、2以上の置換基は各々同一でも相違していてもよい。
前記一般式(VII)で表される化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業株式会社製、製品名)又はFA−321M(日立化成工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビ__ス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
前記ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物に類似した化合物として、ビスフェノールA−ジエポキシにアクリル酸を付加させた化合物も挙げられる。ビスコート♯540(大阪有機化学工業株式会社製、製品名)として商業的に入手可能である。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
前記ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物以外の(B)光重合性化合物としては、トリシクロデカンジメタノールやネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレートや、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェニルジオキシレン(メタ)アクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β′−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明における(C)成分の光重合開始剤としては、置換基を有していてもよいヘキサアリールビイミダゾールが好ましく用いられ、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等が挙げられる。また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、密着性及び感度の見地からは、置換基を有していてもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体がより好ましい。また、置換基を有していてもよいヘキサアリールビイミダゾール以外の(C)成分としては、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせでもよい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
本発明の(D)成分の無機系黒色顔料としては、例えば、チタンブラック、カーボンブラック、コバルトブラック等が挙げられ、熱処理時の退色をより抑制する観点から、チタンブラックが好ましく用いられる。
前記(E)成分の界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン、不飽和ポリカルボン酸ポリマー、ポリカルボン酸のアルキルアンモニウム塩、ポリシロキ酸コポリマー等に代表される界面活性剤が挙げられる。市販品としては、例えば、ホモゲノール L−100、ホモゲノール L−18(花王株式会社製、商品名)、Disperbyk−116、Disperbyk−108(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名)等が挙げられる。
感光性樹脂組成物溶液における分散安定性、及び、感光性エレメント形成時の塗膜外観の見地からは、イミダゾリン系の界面活性剤を用いることが好ましい。前記イミダゾリン系界面活性剤としては、例えば、イミダゾリンの2位の炭素が、炭素数6〜20の直鎖状飽和又は不飽和炭化水素基で置換され、3位の窒素がヒドロキシエチル基により置換されたイミダゾリン誘導体が挙げられる。中でも、下記式(VIII)で表される化合物が好ましく用いられ、ホモゲノールL-95(花王株式会社製、製品名)が商業的に入手可能である。
Figure 0004941438
(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の塗膜性及び光硬化物の機械的強度の観点から、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、40〜80重量部の範囲とすることが好ましく、45〜70重量部とすることがより好ましい。
また、(B)成分が、分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物以外の光重合性化合物を含有する場合、その含有量は、解像度及び密着性と、フィルム形成性の観点から、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、1〜40重量部の範囲とすることが好ましく、5〜35重量部とすることがより好ましく、10〜30重量部とすることが特に好ましい。
前記(C)光重合開始剤の含有量は、感度、密着性及び光硬化物の底部の硬化性の観点から、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.2〜10重量部であることがより好ましい。(C)成分中のヘキサアリールビイミダゾールの含有量としては、密着性及び現像処理時の現像スラッジ抑制の観点から、10〜90重量%であることが好ましく、20〜80重量%であることがより好ましい。
前記(D)無機系黒色顔料の含有量は、感光性樹脂組成物の遮光性、分散安定性及び感光性エレメント形成時の塗膜外観の観点から、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.2〜5重量部であることがより好ましい。
前記(E)界面活性剤の含有量は、感光性樹脂組成物の遮光性、分散安定性、感光性エレメント形成時の塗膜外観及びフィルムの取り扱い性の観点から、(A)成分及び(B)成分の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.02〜5重量部であることがより好ましい。
以上のような成分を含む樹脂組成物は、さらに必要に応じて、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤などを、(A)成分および(B)成分の総量100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。
以上のような成分を含む本発明の感光性樹脂組成物は、たとえば、含有成分をロールミル、ビーズミル等で均一に混練、混合することにより得ることができる。また、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤またはこれらの混合溶剤に溶解して、固形分30〜60重量%程度の溶液として用いることができる。
得られた感光性樹脂組成物を用いて画像表示装置用基板上に感光物組成物層を形成する方法としては、特に制限はないが、前記基板上に感光性樹脂組成物を液状レジストとして塗布して乾燥することができる。また、必要に応じて感光性樹脂組成物層上に保護フィルムを被覆することができる。さらに、後に詳しく述べるが感光性樹脂組成物層を感光性エレメントの形態で用いることが好ましい。塗布される感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。液状レジストとして塗布後、保護フィルムを被覆して用いる場合の保護フィルムとしては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムが挙げられる。
本発明の感光性エレメントは、支持体と、その上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層とを備える。
支持体としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムを好ましく用いることができる。重合体フィルムの厚みは、1〜100μm程度とすることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。
支持体上への感光性樹脂組成物層の形成方法は、特に限定されないが、感光性樹脂組成物の溶液を塗布、乾燥することにより好ましく実施できる。塗布される感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。画像表示装置の隔壁として用いる場合、感光性樹脂組成物層の厚みは、乾燥後の厚みで10〜70μmであることがより好ましく、20〜60μmであることがさらに好ましい。

塗布は、たとえば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。乾燥は、70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。また、感光性樹脂組成物層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2重量%以下とすることが好ましい。
支持体として用いられる上記重合体フィルムを保護フィルムとして用いて、感光性樹脂組成物層表面を被覆してもよい。保護フィルムとしては、感光性樹脂組成物層と支持体の接着力よりも、感光性樹脂組成物層と保護フィルムの接着力の方が小さいものが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。さらに、感光性フィルムは、感光性樹脂組成物層、支持体および任意の保護フィルムの他に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層を有していてもよい。
製造された感光性エレメントは、通常、円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵される。なお、この際支持体が外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。上記巻芯としては、たとえば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。
次に、本発明の画像表示装置の隔壁の形成方法について説明する。すなわち、画像表示装置の基板上に、感光性樹脂組成物、又は感光性エレメントを用いて感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、前記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、前記露光部以外の部分を除去して光硬化物パターンを形成する現像工程と、を有する。
まず、上述した本発明の感光性樹脂組成物層を画像表示装置の基板上に積層する。前記基板としては、ガラス基板若しくはポリマー基板のような絶縁基板又はシリコン基板などの半導体基板若しくはITOのような電極が形成された半導体基板が挙げられる。積層方法としては、上述した塗布方法が用いられる他、感光性エレメントを用いることもできる。
感光性エレメントを用いる積層方法は、感光性樹脂組成物層上に保護フィルムが存在している場合には、保護フィルムを除去しながら基板上へ積層する。前記積層条件としては、例えば、感光性樹脂組成物層を70〜130℃程度に加熱しながら、基板上に0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm程度)の圧力で圧着することにより積層する方法などが挙げられ、減圧下で積層することも可能である。基板表面の形状は、通常は平坦であるが、必要に応じて凹凸や電極パターンが形成されていてもよい。
感光性樹脂組成物の積層後、感光性樹脂組成物層に画像状に活性光線を照射して、露光部を光硬化させる。画像状に活性光線を照射させる方法としては、感光性樹脂組成物層上にマスクパターンを設置して画像状に活性光線を照射し、露光部の感光性樹脂組成物層を光硬化させる方法がある。マスクパターンは、ネガ型でもポジ型でもよく、一般に用いられているものを使用できる。活性光線の光源としては、公知の光源、たとえば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。また、露光方法としては、マスクパターンを用いずにレーザーで直接パターンを描画する、直接描画露光法を用いることもできる。
露光後に未露光部の感光性樹脂組成物層を現像により選択的に除去することにより、画像表示装置用の基板上に光硬化物パターンが形成される。なお現像工程は、支持体が存在する場合は、現像に先立ち、支持体を除去する。現像は、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去することにより行われる。本発明においては、アルカリ性水溶液を用いることが好ましい。アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。このアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、たとえば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
現像後の処理として、形成された前記光硬化物パターンを、必要に応じて60〜250℃程度の加熱処理によりさらに硬化してもよい。
本発明の画像表示装置の製造方法は、粒子等の表示媒体を前記工程で得た隔壁内に充填する工程と、一方の基板に対向するように隔壁の反対側に基板を貼り付ける工程と、を有する。前記基板としては、ガラス基板若しくはポリマー基板のような絶縁基板又はシリコン基板などの半導体基板若しくはITOのような電極が形成された半導体基板が挙げられる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1、6、参考例2〜5及び比較例1〜3)
表1に示す材料を撹拌混合し、感光性樹脂組成物の溶液を得た。なお、表1中の(A)成分である樹脂(1)は、下記の合成例1に従って合成した。
(合成例)
[バインダーポリマーの合成]
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、重量比3:2であるメチルセロソルブ及びトルエンの配合物500gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、85℃まで加熱した。一方、重合性単量体としてメタクリル酸150g、メタクリル酸メチルエステル110g、アクリル酸エチルエステル65g、メタクリル酸ブチルエステル50g及びスチレン125gと、アゾビスイソブチロニトリル2.5gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意し、85℃に加熱された重量比3:2であるメチルセロソルブ及びトルエンの上記配合物に溶液aを4時間かけて滴下した後、85℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、重量比3:2であるメチルセロソルブ及びトルエンの配合物150gにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを溶解した溶液を、10分かけてフラスコ内に滴下した。滴下後の溶液を撹拌しながら85℃で5時間保温した後、冷却して不揮発分(固形分)は43重量%になるように、重量比3:2であるアセトン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶媒で希釈してバインダーポリマーを得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量は50000、分散度は2.0、酸価は195mgKOH/gであった。
なお、バインダーポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は、以下に示す。
[GPC測定条件]
ポンプ:日立L−6000型(株式会社日立製作所製)
カラム:Gelpack GL−R420 + Gelpack GL−R430 +
Gelpack GL−R440(計3本)(以上、日立化成工業株式会社製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:室温(25℃)
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI(株式会社日立製作所製)
Figure 0004941438
(配合量の単位:g)
1;2−(2−クロロフェニル)−1−[2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニル−1,3−ジアゾール−2−イル]−4,5−ジフェニルイミダゾール、保土ヶ谷化学工業株式会社製 商品名:B−CIM
;N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、保土ヶ谷化学工業株式会社製 商品名:EAB
;ロイコクリスタルバイオレット、山田化学株式会社製 商品名:LCV
;ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、東亜合成株式会社製 商品名:M−215
;トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、東亜合成株式会社製 商品名:M−315
;γ−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−β′−メタクリロイルオキシエチル−o−フタレート、大阪有機化学工業株式会社製 商品名:FA−MECH
;ノニルフェニルEO変性モノアクリレート(1分子中にエチレンオキサイド(EO)基を4モル付加させたもの)、東亜合成株式会社製 商品名:M−113
;EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(1分子中にエチレンオキサイド(EO)基を10モル付加させたもの)、日立化成工業株式会社製 商品名:FA−321M
;トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(1分子中にエチレンオキサイド(EO)基を21モル付加させたもの)、日立化成工業株式会社製商品名:TMPT−21
10;イミダゾリン系界面活性剤、花王株式会社製商品名:ホモゲノール L−95
11;特殊高分子界面活性剤、花王株式会社製商品名:ホモゲノール L−100
12;特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、花王株式会社製商品名:ホモゲノール L−18
13;顔料に親和性のある官能基を含むアクリル共重合物、ビックケミー・ジャパン株式会社製商品名:Disperbyk−116
14;顔料に親和性のある基を有する水酸基含有カルボン酸エステル、ビックケミー・ジャパン株式会社製商品名:Disperbyk−108
得られた感光性樹脂組成物の溶液について、分散安定性を以下のように評価した。
<分散安定性の評価>
表1で得られた感光性樹脂組成物の溶液を透明なサンプル瓶に入れ、40℃恒温下で静置したときの1日後及び3日後の溶液の状態を目視で観察し、以下の基準に従って分散安定性を評価した。感光性樹脂組成物の溶液が均一であるものを○、顔料の沈降が一部見られたものを△、顔料の沈降が見られたものを×として評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
表1で得られた感光性樹脂組成物の溶液を、16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:HTR−02)上に均一に塗布し、90℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥した後、ポリエチレン製保護フィルム(フィルム長手方向の引張強さ:16MPa、フィルム幅方向の引張強さ:12MPa、商品名:NF−15,タマポリ株式会社製)で保護して感光性エレメントを得た。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は、40μmであった。得られた感光性エレメントについて、塗膜外観を評価した。
<塗膜外観の評価>
上述のようにして得られた感光性エレメントを20cm四方に切り出し、感光性樹脂組成物層を保護フィルム上から目視および光学顕微鏡を用いて観察し、以下の基準に従って塗膜外観を評価した。感光性樹脂組成物層が均一であるものを○、一部に凝集物やスジ等が発生したものを△、凝集物やスジ等が全体に発生したものを×として評価した。
一方、ガラス基板(SiOスパッタ;長さ370mm、幅480mm、厚さ0.7mm、三立化成株式会社製、商品名:SP−SiO)を80℃に加温し、そのガラス表面(SiOスパッタ面)上に、上記感光性エレメントを、感光性樹脂組成物層がガラス表面に接するように、ポリエチレン製保護フィルムを剥離しながら110℃に加熱したラミネートロールを通してラミネートした。できあがった積層物の構成は、下からガラス基板、感光性樹脂組成物層、ポリエチレンテレフタレートフィルムとなる。得られた積層物について、感度、密着性、解像度および退色性の評価を行った。
<感度の評価>
高圧水銀灯ランプを有する散乱光露光機(株式会社オーク製作所製)HMW−201GXを用いて、41段ステップタブレットを有するフォトツールを積層物のポリエチレンテレフタレートフィルム上に密着させ、露光を行った。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、1重量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で30秒間スプレーすることにより、未露光部分を除去した。41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が26.0となるエネルギー量を感度(mJ/cm)とした。このエネルギー量の数値が小さい程、感度が高いことを示す。表2及び表3に評価結果を示す。
<密着性の評価>
高圧水銀灯ランプを有する散乱光露光機(株式会社オーク製作所製)HMW−201GXを用いて、密着性評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が30/400〜200/400(単位:μm、ライン幅5μm毎に増加、スペース幅一定)の配線パターンを有するフォトツールと、41段ステップタブレットを有するフォトツールを積層物のポリエチレンテレフタレートフィルム上に密着させ、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が26.0となるエネルギー量で露光を行った。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、1重量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で30秒間スプレーすることにより、未露光部分を除去して密着性を評価した。密着性は現像液により剥離されずに残ったラインの幅(μm)で表され、この数値が小さい程、細いラインでもガラス基板から剥離せずに密着していることから、密着性が高いことを示す。表2及び表3に評価結果を示す。
<解像度の評価>
41段ステップタブレットを有するフォトツールと、解像度評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が30/30〜200/200(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを積層物のポリエチレンテレフタレートフィルム上に密着させ、高圧水銀灯ランプを有する散乱光露光機(株式会社オーク製作所製)HMW−201GXを用いて、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が26.0となるエネルギー量で露光を行った。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、1重量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で30秒間スプレーすることにより、未露光部分を除去して解像度を評価した。解像度は現像処理によって未露光部が良好に除去された最も小さいスペース幅(μm)で表され、この数値が小さいほど解像度は良好である。表2及び表3に評価結果を示す。
<退色性の評価>
積層物に、ポリエチレンテレフタレート側から、高圧水銀灯ランプを有するコンベア式UV照射機を用いて2J/cmのエネルギー量で露光を行った。露光後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し200℃に加熱した箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)内に1時間静置した。露光後、及び200℃、1時間の熱処理後の積層物を分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)U−3310で400〜700nmにおける透過率を測定し、退色の割合を算出した。退色の割合は式(IX)に示すように、露光後の透過率最小値に対する熱硬化後の透過率最小値の割合により算出した。
Figure 0004941438

この値を元に熱による退色性の評価を行った。評価結果を表2及び表3に示す。熱処理後の退色の割合の数値が小さい程退色性がないことを示す。また、退色性が少なかったものを○、退色がやや見られたものを△、退色性が大きかったものを×として評価した。
Figure 0004941438
Figure 0004941438
表2、3より、実施例1、6及び参考例2〜5は、遮光性を有し、且つ200℃、1時間後の熱処理後も退色性が少ないことが明らかである。また、実施例1、6及び参考例2〜5は、比較例1〜3に比べて感光性樹脂組成物の溶液の分散安定性及び感光性エレメントの塗膜外観が良好である。

Claims (6)

  1. 画像表示装置の隔壁を形成するための感光性樹脂組成物であって、
    前記感光性樹脂組成物が、(A)バインダーポリマー、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、(D)無機系黒色顔料及び(E)界面活性剤を含み、前記(B)光重合性化合物が、分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物を含有し、前記(E)界面活性剤がイミダゾリン系界面活性剤を含有する、感光性樹脂組成物。
  2. 前記分子内に少なくとも1つの不飽和基及びイソシアヌル環構造を有する光重合性化合物が、さらに、分子内に少なくとも1つの水酸基を有する請求項1記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(D)無機系黒色顔料がチタンブラックを含む、請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
  4. 画像表示装置の基板上に、請求項1〜のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層する積層工程と、
    前記感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、
    前記露光部以外の部分を除去して光硬化物パターンを形成する現像工程と、
    を有する、画像表示装置の隔壁の形成方法。
  5. 請求項に記載の画像表示装置の隔壁の形成方法により形成された光硬化物パターンを、60〜250℃で加熱処理して熱硬化せしめる加熱工程をさらに有する、画像表示装置の隔壁の形成方法。
  6. 表示媒体を、請求項又はに記載の方法により形成された隔壁内に充填する工程と、
    一方の基板に対向するように隔壁の反対側に基板を貼り付ける工程と、
    を有する、画像表示装置の製造方法。
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