JP4940565B2 - 磁気センサの製造方法 - Google Patents
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Description
このGMR素子は、磁化の向きが所定の向きにピン止めされたピンド層と、磁化の向きが外部磁界に対応して変化するフリー層とを備え、外部磁界が加わった場合に、ピンド層の磁化の向きとフリー層の磁化の向きとの相対関係に応じた抵抗値を呈するもので、この抵抗値を測定することで外部磁界を検出するようになっている。
そこで、磁界の2方向(X方向及びY方向)の磁気成分に対して感応するX軸磁気抵抗効果素子及びY軸磁気抵抗効果素子とブリッジ回路とを同一基板上に形成した二軸のブリッジ回路付きの磁気センサ(特許文献1参照)、リードフレームを山型に折り曲げてステージとし、それぞれのステージに磁界の2方向(X方向及びY方向)の磁気成分に対して感応する磁気センサチップ、磁界の他の1方向(Z方向)の磁気成分に対して感応する磁気センサチップをそれぞれ搭載し、これらを樹脂モールドして1パッケージとした1パッケージ型の三軸磁気センサ(特許文献2参照)、単一の基板上に、同一の3個以上の磁気抵抗効果素子を、それらの磁化の向きが三次元方向に交差する様に配置した単一基板型の磁気センサ(特許文献3参照)等が提案され、実用に供されている。
また、1パッケージ型の三軸磁気センサでは、1つの磁気センサでX軸、Y軸及びZ軸方向それぞれの磁気成分を精度良く測定することができるものの、三軸磁気センサ自体が大きいために、小型化することは非常に難しいという問題点があった。
また、単一基板型の磁気センサにおいても、1パッケージ型の三軸磁気センサと同様、磁気センサ自体が大きいために、小型化することは非常に難しいという問題点があった。この単一基板型の磁気センサでは、同一基板上にブリッジ回路を形成していないために、ブリッジ回路を含む制御用のLSIを別途設ける必要があるという問題点も新たに生じる。
本発明の磁気センサの製造方法は、基板上に第1ないし第3の磁気抵抗効果素子がそれぞれ少なくとも一対ずつ形成され、これら第1ないし第3の磁気抵抗効果素子それぞれの磁化の向きが互いに三次元方向に交差する様に形成されてなる磁気センサの製造方法において、前記基板のセルの四辺の中央部に前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子それぞれのピンド層を含む膜を形成すると共に、前記基板のセルの四隅に形成された複数の斜面に、前記第3の磁気抵抗効果素子それぞれのピンド層を含む膜を形成する工程と、隣接する永久磁石片同士の極性が異なる様に複数の永久磁石片が配置されたマグネットアレイを用い、前記基板のセルの四隅を該マグネットアレイの隣接する4つの永久磁石片上に位置合わせし、1つの永久磁石片から前記基板の各辺に沿って隣接する2つの永久磁石片に向かう磁界で前記第1ないし第3の磁気抵抗効果素子の規則化熱処理を行う工程とを含むことを特徴とする。
上記の磁気センサの製造方法においては、前記第1ないし第3の磁気抵抗効果素子膜を所定の形状にパターニングして第1ないし第3の磁気抵抗効果素子とし、当該磁気抵抗効果素子を永久磁石膜に接続する工程と、隣接する永久磁石片同士の極性が異なる様に複数の永久磁石片が配置された第1のマグネットアレイを用い、前記基板のセルの四隅を該マグネットアレイの隣接する永久磁石片間に位置合わせして前記第3の磁気抵抗効果素子それぞれの前記永久磁石膜を着磁する工程と、隣接する永久磁石片同士の極性が異なる様に複数の永久磁石片が配置された第2のマグネットアレイを用い、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子を永久磁石片間に位置合わせして前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子それぞれの前記永久磁石膜を着磁する工程と、を含む方法とすることができる。
上記の磁気センサの製造方法においては、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子それぞれの前記永久磁石膜を着磁する工程において、隣接する前記永久磁石片同士の間の位置にスリットが形成されている軟磁性板を取り付けたマグネットアレイを用いる方法とすることができる。
上記の磁気センサの製造方法においては、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子それぞれの前記永久磁石膜を着磁する工程において、前記永久磁石片の四辺それぞれの近傍にスリットが形成されている軟磁性板を取り付けたマグネットアレイを用いる方法とすることができる。
上記の磁気センサの製造方法においては、前記第3の磁気抵抗効果素子として、前記斜面のそれぞれに配置された複数の帯状のものを形成し、前記第1ないし第3の磁気抵抗効果素子を永久磁石膜に接続する工程において、前記第3の磁気抵抗効果素子の長軸方向の両端部を永久磁石膜に接続して、前記第3の磁気抵抗効果素子と永久磁石膜とをつづらおり状に直列接続する方法とすることができる。
上記の磁気センサの製造方法においては、前記セルの四隅それぞれに形成された4つの第3の磁気抵抗効果素子によってブリッジ回路を形成する方法とすることができる。
本発明の磁気センサは、基板上に第1ないし第3の磁気抵抗効果素子がそれぞれ少なくとも一対ずつ形成され、これら第1ないし第3の磁気抵抗効果素子それぞれの磁化の向きが互いに三次元方向に交差する様に形成されてなる磁気センサにおいて、前記基板のセルの四辺に前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子を形成すると共に、前記セルの四隅に、前記第3の磁気抵抗効果素子を形成し、前記第3の磁気抵抗効果素子の磁化の状態は、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子の磁化の状態と同等であることを特徴とする。
本発明は、三軸磁気センサを作製する際においても解消されなかったX軸及びY軸磁気センサの着磁の際に、Z軸磁気センサの着磁状態が変化するという問題点を解消することを可能にしたものである。
なお、これらの実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り、本発明を限定するものではない。
図1は本発明の第1の実施形態の三軸磁気センサを示す平面図であり、図において、1は三軸磁気センサであり、石英、SiO2/Si等からなる所定の厚みを有する平面視正方形状の基板2と、基板2の表面2aのセル3の周囲に形成されX軸方向の磁界を検出するX軸磁気センサを構成するX軸GMR素子4〜7と、セル3の周囲に形成されY軸方向の磁界を検出するY軸磁気センサを構成するY軸GMR素子8〜11と、セル3の隅部に形成されZ軸方向の磁界を検出するZ軸磁気センサを構成するZ軸GMR素子12〜15とにより構成されている。
Y軸GMR素子8〜11もX軸GMR素子4〜7と同様に、石英基板2上のセル3の四辺のうちY軸に平行な二辺それぞれの中点の近傍に一対ずつ配置され、これら一対の素子同士は、その長軸方向がそれぞれの辺に垂直になるように、かつ、互いに隣接する素子同士が互いに平行になる様に配置されている。
Z軸GMR素子12〜15は、石英基板2上のセル3の四隅それぞれに1つずつ配置され、これらの素子同士は、その長軸方向がY軸方向と平行になるように配置されている。
なお、X軸GMR素子5〜7もX軸GMR素子4と全く同様の構成であり、また、Y軸GMR素子8〜11もX軸GMR素子4の磁気抵抗効果素子21を同一構成の(第2の)磁気抵抗効果素子に置き換えたもので、X軸GMR素子4と全く同様の構成であるから、ここでは、これらのGMR素子の形状については説明を省略する。
また、溝31の内面は、基板2の表面2aに対して30°以上傾斜していることが好ましく、より好ましくは45°以上である。
なお、Z軸GMR素子13〜15の形状もZ軸GMR素子12の形状と全く同様であるから、ここでは、これらのGMR素子の形状については説明を省略する。
図5は、この三軸磁気センサ1のX軸磁気センサのブリッジ接続を示すブロック図であり、図中、X1はX軸GMR素子4、5からなる素子群であり、X2はX軸GMR素子6、7からなる素子群、Vccはバイアス電圧である。
図6は、この三軸磁気センサのY軸磁気センサのブリッジ接続を示すブロック図であり、図中、Y1はY軸GMR素子8、9からなる素子群であり、Y2はY軸GMR素子10、11からなる素子群、Vccはバイアス電圧である。
この三軸磁気センサ1は、上記の構成とすることにより、X軸、Y軸及びZ軸の三次元方向の磁界を高精度で測定することができる。
まず、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の成膜技術を用いて、基板2の表面2aにX軸GMR素子4〜7、Y軸GMR素子8〜11及びZ軸GMR素子12〜15をそれぞれ形成し、X軸GMR素子4〜7及びY軸GMR素子8〜11の磁気抵抗効果素子21のピニング層の規則化熱処理及びピンド層のピン止めを行う。
したがって、1つの永久磁石片41(N極)から隣接する2つの永久磁石片41(S極)に向かう磁界42が形成されることとなる。
次いで、この基板2を、真空中にて、250℃〜280℃の範囲の温度にて4時間熱処理する。
これにより、X軸GMR素子4〜7、Y軸GMR素子8〜11及びZ軸GMR素子12〜15各々の磁気抵抗効果素子21の磁性膜のうちピニング層の規則化熱処理を行うことができる。同時に、ピンド層は交換結合によりピン止めされる。
この三軸磁気センサ1では、X軸GMR素子4〜7のX軸感度方向、Y軸GMR素子8〜11のY軸感度方向、及びZ軸GMR素子12〜15のZ軸感度方向は、互いに直交する方向となる。
図10は、Z軸GMR素子12〜15の着磁時のアレイ配置を示す平面図であり、このアレイは、隣接する永久磁石片51同士の極性が互いに異なるように、複数の永久磁石片51がマトリックス状に配置され、このアレイ下に、基板2が、その四隅が隣接する永久磁石片51、51の中間に位置するように配置されている。
したがって、基板2の四隅それぞれでは、1つの永久磁石片51(N極)から隣接する1つの永久磁石片51(S極)に向かう磁界52が形成されることとなる。
図11は、この着磁工程に用いられるマグネットアレイにヨークを取り付けた状態を示す平面図である。このヨーク61は、42アロイ(Fe−42重量%Ni)等の軟磁性体からなる厚み0.02mmの軟磁性板62であり、マグネットアレイの永久磁石片63、63に対応する位置に貫通孔が形成されている。そして、永久磁石片63、63間の中央部に対応する位置に、永久磁石片63、63の辺に平行に短冊状のスリット64が形成されている。このスリット64の幅は、互いに隣接する基板2、2のX軸GMR素子4〜7やY軸GMR素子8〜11が同時に着磁できるように、GMR素子の長軸方向の長さの約2倍になっている。
また、この軟磁性板62の一方の面は、永久磁石片63各々の一方の面と面一になっている。
したがって、X軸、Y軸及びZ軸の三次元方向の磁界を高精度で測定することができる三軸磁気センサ1を、容易に作製することができる。
図14は本発明の第2の実施形態の着磁工程に用いられるヨークを示す平面図であり、本実施形態のヨーク71が第1の実施形態のヨーク61と異なる点は、第1の実施形態のヨーク61では軟磁性板62の永久磁石片63、63間の中央部に対応する位置にスリット64が形成されているのに対し、本実施形態のヨーク71では永久磁石片63の四辺それぞれに隣接するスリット72が形成されている点である。
また、この軟磁性板62の一方の面は、永久磁石片63各々の一方の面と面一になっている。
また、これらのスリット72上には、1つの基板2のX軸GMR素子4〜7及びY軸GMR素子8〜11が位置するのみであるから、X軸GMR素子4〜7及びY軸GMR素子8〜11に対してより強い磁界を印加することができ、より強い着磁を行うことができる。
また、極性が逆のマグネットアレイを組み合わせれば、規則化熱処理の方向、あるいは永久磁石膜の着磁方向を反転させることもできる。
Claims (6)
- 基板上に第1ないし第3の磁気抵抗効果素子がそれぞれ少なくとも一対ずつ形成され、これら第1ないし第3の磁気抵抗効果素子それぞれの磁化の向きが互いに三次元方向に交差する様に形成されてなる磁気センサの製造方法において、
前記基板のセルの四辺の中央部に前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子それぞれのピンド層を含む膜を形成すると共に、前記基板のセルの四隅に形成された複数の斜面に、前記第3の磁気抵抗効果素子それぞれのピンド層を含む膜を形成する工程と、
隣接する永久磁石片同士の極性が異なる様に複数の永久磁石片が配置されたマグネットアレイを用い、前記基板のセルの四隅を該マグネットアレイの隣接する4つの永久磁石片上に位置合わせし、1つの永久磁石片から前記基板の各辺に沿って隣接する2つの永久磁石片に向かう磁界で前記第1ないし第3の磁気抵抗効果素子の規則化熱処理を行う工程とを含むことを特徴とする磁気センサの製造方法。 - 前記第1ないし第3の磁気抵抗効果素子膜を所定の形状にパターニングして第1ないし第3の磁気抵抗効果素子とし、当該磁気抵抗効果素子を永久磁石膜に接続する工程と、
隣接する永久磁石片同士の極性が異なる様に複数の永久磁石片が配置された第1のマグネットアレイを用い、前記基板のセルの四隅を該マグネットアレイの隣接する永久磁石片間に位置合わせして前記第3の磁気抵抗効果素子それぞれの前記永久磁石膜を着磁する工程と、
隣接する永久磁石片同士の極性が異なる様に複数の永久磁石片が配置された第2のマグネットアレイを用い、前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子を永久磁石片間に位置合わせして前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子それぞれの前記永久磁石膜を着磁する工程と、を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサの製造方法。 - 前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子それぞれの前記永久磁石膜を着磁する工程において、隣接する前記永久磁石片同士の間の位置にスリットが形成されている軟磁性板を取り付けたマグネットアレイを用いることを特徴とする、請求項1または2記載の磁気センサの製造方法。
- 前記第1及び第2の磁気抵抗効果素子それぞれの前記永久磁石膜を着磁する工程において、前記永久磁石片の四辺それぞれの近傍にスリットが形成されている軟磁性板を取り付けたマグネットアレイを用いることを特徴とする、請求項1または2記載の磁気センサの製造方法。
- 前記第3の磁気抵抗効果素子として、前記斜面のそれぞれに配置された複数の帯状のものを形成し、
前記第1ないし第3の磁気抵抗効果素子を永久磁石膜に接続する工程において、前記第3の磁気抵抗効果素子の長軸方向の両端部を永久磁石膜に接続して、前記第3の磁気抵抗効果素子と永久磁石膜とをつづらおり状に直列接続することを特徴とする請求項2ないし4記載の磁気センサの製造方法。 - 前記セルの四隅それぞれに形成された4つの第3の磁気抵抗効果素子によってブリッジ回路を形成することを特徴とする請求項5記載の磁気センサの製造方法。
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